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【絶対に夫に親権を渡したくない(45)】警察との関わり方

2023.06.02更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.別居の前か後かによって関わり方の視点が異なってくる


 警察との関わり方については、別居の前か後かによって、望ましい関わり方が異なってきますので、分類して解説していきます。

(1)別居開始前の段階
 別居開始前の関わり方についての鉄則は、「夫からの虐待(疑いを含む)がある場合なるべく早くに警察に相談する」ということに尽きます。
 あまり大事にしたくないということで、警察への相談を躊躇う方も多いとは思いますが、あまり相談が遅れてしまいますと、親権争いの中で、あなた自身が「旦那側の虐待を見過ごしてきた」と評価されてしまうリスクがありますので、早めに相談することが得策です。

 なお、警察の目から見て旦那側の行動が危険だと認識した場合には、旦那側に誓約書(今回のような虐待行為に及ばないといった誓約書)を書かせることが多いので、その後の旦那の行動に対する抑止になることが多いです。
 また、警察が児童虐待の案件だと認識した場合には、警察から児童相談所に対して通告することが決まっていますので、児童相談所にも情報が共有され、その後、児童相談所も関わってくることになります。

(2)別居開始後の段階
 別居開始後は、旦那側がお子様と一緒に生活するという状況が解消されておりますので、「別居してから警察に初めて相談する」というケースは稀だと思います。
たまに、「これまでの出来事を警察の方にも記録しておいて欲しいので、警察を尋ねた方が良いのでしょうか?」という質問を受けることもありますが、あまり効果的ではないと思います。前述したように、警察を活用するにあたっては、児童虐待(疑いを含む)が行われている「真っ最中」でこそ効果が高いからです。

 ただ、別居後の最大の心配事は、旦那がこちらの居場所を探し回るのではないかという点、こちらの居場所を突き止めて押し掛けてくるのではないかという点かと思いますので、別居開始直後に警察に相談して、警察を経由して旦那側に探さないよう釘を刺してもらうとか、別居後何か起きた時に備えて警察に相談するという活用方法はあります。

 

 

2.児童相談所と警察どっちに頼った方が良いの?


 これまでの解説を読んでいて、ふと旦那から児童虐待が行われているケースの場合、結局、児童相談所と警察どちらに頼る方がより良いのか?という疑問が生じたかもしれません。この点について解説するにあたっては、児童相談所と警察の役割の違いについてお話した方が理解しやすいと思いますので、まず、役割の違いからお話します。

(1)児童相談所と警察の役割の大きな違い
 児童相談所の大きな使命は、お子様に取って安心・安全な環境を整えることです。これに対して、警察の使命は、起こってしまった犯罪を捜査して犯人を処罰するための手続きを取ること、犯罪を未然に防止することです。
 児童虐待という場面に限ってみますと、児童相談所と警察署の役割が重複する場面もありますが、それぞれの役割には大きな違いがあります。
 例えばですが、激しい児童虐待が行われてしまい、そのことを奥様の方も防止しきれないという場合、児童相談所は、お子様の安全のために一時保護と言って児童相談所で一時匿うことを検討し始めることが多いです。これに対して、警察は、お子様を保護するという視点よりも、犯人である旦那様を逮捕したり処罰したりしようとします。

(2)結局どちらに頼った方が良いのか?
ア 暴力被害などがあなた自身にも及んでいる場合、より警察の対応を強めた方が良い
 旦那側があなた自身にも暴力を振るうなどしている場合、旦那側への処罰・牽制という視点を重視した方が良い気がします。
 そうしますと、どちらかというと児童相談所というよりも警察への力点を置いた方が良いと思います。
 あなた自身への暴力と児童虐待の両方がある場合、児童相談所はお子様の安全確保という観点から旦那側に指導等を行ってくれることが多いですが、警察から警告などをした方が、旦那側も「次は逮捕されるかもしれない」「今度同じことをすると処罰されるかもしれない」と考えることが多いので、牽制効果は大きいと思います。

イ お子様のケアの必要性が高い場合、より児童相談所の対応を強めた方が良い
 度重なる児童虐待によって、お子様が情緒不安定になってしまい、体調不良になってしまったり、不登校になってしまうなど、具体的な弊害が生じているような場合には、お子様のケアが非常に大事になります。
 そのため、より児童相談所の関与に力点を置いた方が良いと思います。

ウ 結局、児童相談所「OR」警察ではなく、児童相談所「AND」警察
 お子様への児童虐待が行われ、又は疑われるケースですと、児童相談所と警察のどちらかだけということではなく、「どちらも」ということになるケースが大半だと思います。
 ただ、両方が関与するにしても、前述の通り、どちらに力点を置くのかによって、対応のし方等が変わってきますので、そのあたりはメリハリをつけて対応した方がより良いかと思います。

 

 

3.警察への通報の意味合い


 たまに私が相談に乗っておりますと、奥様の方から「大変な事態が起きないと警察に相談するはずはないのですから、『通報した』イコール『大変な事態が起きた』ということは、調停委員や裁判官も分かってくれますよね?」という質問を受けることがあります。
 確かに、何もないのに警察に通報するということは考えにくいとは思いますが、警察に相談したということだけで、「大変な事態が起きた」と直接結びつけることは難しいと思います。

 通常は、調停委員等は、あなたが通報するに至る経緯などを詳しく確認し、旦那側にも事情を確認したうえで、当時どのようなことが起きたのかについてのイメージを持つことが多いと思います(要するに、「通報した」イコール「大変な事態が起きた」と単純に結びつけるのではなく、何があったから通報したのかという事情を正確に確認するということです)。
 そのため、「警察に通報したのだからもう安心だ」と考えるのではなく、警察への通報と合わせて、お子様が怪我をしたようなケースですと、怪我の部分の写真を撮ったり、病院を受診して診断書を取得するなど、しっかりと証拠集めをしておいた方が良いです。

 

 

4.被害届を出すべきか


 これは児童虐待というよりも、あなた自身が暴力被害を受けているケースで、警察から質問されることが多いのですが、暴力を受けた際に110番通報をして警察に臨場してもらうと、暴力の程度などによっては、警察から「奥さん被害届を出されますか?」と質問されます。
 旦那側にしっかりと懲りてもらうために被害届を出すこともなくはないのですが、被害届を出して旦那が逮捕・勾留されるということになりますと、職を失うリスク等があるため、被害届を出さずに済ませるというケースも多いです。

 なお、被害届を出すと、旦那側が釈放されたときに、あなたに対して逆恨みで一層暴力を振るうようになるというケースも多いので、被害届を出す場合には、通常、夫が逮捕されている間に、あなたは別居を開始してしまうというケースが多いかと思います。
 ちなみに、被害届を出さないと、「今回あったことは全てなしになってしまうのですか?」という質問を受けることも多いのですが、今回の暴力が全てなしになってしまうわけではありません(旦那側に刑事罰を科すという意味では、ハードルは上がってしまいますが、いずれにしても、「何もなかったことになる」ということではありません)。

 

 

5.警察に相談した記録は開示してくれるのか?


 あなたが警察に相談した内容は、概要を警察の方でまとめて記録化してくれています。そして、その記録については、あなたが個人情報の開示申請をすれば開示してくれます。
 ただ、警察側から相互暴力と捉えられてしまい、かつ、110番通報をしたのが旦那側という場合には、あなたからの開示申請は認められないこともあります。また、例えば、旦那からの暴力があって、あなたが実家のお母様に電話し、お母様が警察に通報したという場合には、あなたではなく、お母様からしか個人情報の開示申請ができないということもあります。

 このようにして開示された資料には、担当警察官の氏名等の情報は黒塗りになっていることが多く、また、旦那側の言い分は全て黒塗りになっています。そのため、あの時旦那がこう言っていたはずなので、それを警察の記録から証明したい、という場合、警察の記録から証明することはできません(黒塗りになっていて読めないため)。
 また、警察側は記録を開示してくれるのですが、開示に時間がかかることが多いです(3週間程度かかることが多く、警察が繁忙であったり、開示する記録が多いと1か月以上待たされることもあります)。そのため、早く警察の記録を取得したいという場合には、早めに警察に足を運んで開示申請をするということが必要になります。

 

7.まとめ


・児童虐待が行われている場合や疑われる場合、速やかに警察に通報すべきである。
・別居後は、特に別居直後、旦那側がこちらを探し回らないよう警察から伝えてもらう、というように活用することが多い。
・警察と児童相談所とでは目的が違うので、状況によってどちらにより力点を置くかは異なってくる。
・ただ、結局は、警察と児童相談所のどちらか、ということではなく、「どちらも」ということが多い。
・警察に通報したイコール「大変な事態が起きた」と単純に結び付けられるわけではない。
・被害届を出すかどうかは状況に応じて慎重に判断した方が良い。
・警察へ相談した内容は記録を開示してくれるが、旦那側の言い分は黒塗りになっている。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(46)】職業は影響するか?

2023.06.02更新

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1.旦那側が大手上場企業に勤めていて立場が安定しているという場合、有利になるのか?


 たまに私が相談に乗っておりますと、「夫は大手上場企業の部長職を務めていて定年までクビになることはまずないと思いますが、私はパートしかしていないので、とてもかなわないですよね?」という質問を受けることもあります。
 もちろん、職業の安定性は親権争いにあたって全く無関係の事情ではありませんが、そこまで重視される事情でもありません。
 そのため、大手上場企業の部長VSパートスタッフだから太刀打ちできないということにはなりません。

 

 

2.逆に、旦那の仕事が忙しいという場合には、こちらに有利な要素になる


 旦那側が責任ある立場の場合、職を失うリスクは少ないかもしれませんが、その立場ゆえに、こちらに有利な事情になることもあります。例えば、以下のような場合には、旦那側がお子様に関わる時間を取りにくい事情になりますので、こちらに有利に働くことが多いです。

 ①旦那側は残業時間が長く、毎日帰宅するのは子供が寝た後の時間であることが多い。

 ②旦那側は急な休日出勤なども多く、休日すら予定が立てづらい。

 ③旦那側は出張が多く、一度出張すると4,5日自宅を空けることが多い。

 ④旦那側は仕事を最優先なので、平日の子供の発表会や保育参観などに参加したことは一度もない。

 ⑤旦那側は仕事を途中で抜け出してくるということができないので、子供が熱を出して早退等をした時に対応するのは常に私の方であった。

 

 

3.子供に豊かな教育を受けさせられるということは旦那側に有利な事情なのではないのか?


 これもたまに質問を受けることがありますが、旦那側の社会的地位、経済力などから、旦那側の方がお子様に豊かな教育を受けさせられるので、こちらに不利なのではないか?と質問されることもあります。
 今後の監護計画という面から、このような部分は無関係ではないのですが、あまり重視される項目ではないかと思います。
 なぜなら、裁判官は、お子様のことを考えた場合、①よりお子様が愛着を持つ親御さんに育ててもらった方が良い、②これまでお子様の育児に関わって来て、今後も安心して任せられる親御さんに育ててもらった方が良いという視点で考えることが多く、このような「もっと基礎的なこと」を重視することが多いからです。

 

4.結局、職業は親権争いでは全く考慮されないの?


 前述のように職の安定性とか経済力という点はあまり重視されないのですが、①看護師や②小児科医、③保育士という場合には、特にお子様の年齢が低いケースですと、考慮要素になることが多いです(逆に、それ以外の職業ですと、親権紛争との関係ではほとんど考慮されないことが多いと思います)。
 特に、看護師や小児科医の場合には、お子様の病気の際の対応やケアという面で、しっかりとした資格と経験を持っているということになりますので、重視される傾向が強いです。
 ただ、前述同様、例えば、小児科医であるがゆえに多忙過ぎてお子様と関わってこなかったという場合には、それほど有利な事情にはならないかと思います。
 また、どの程度考慮されるのかは、そのような資格で働いた勤務経験の長さ等が影響します。

 

5.まとめ


・職業の安定性・経済力はあまり大きな考慮要素ではない。
・逆に、社会的地位が高いがために多忙だという場合には旦那側に不利な要素になる。
・お子様に今後豊かな教育環境を準備できるという点はどれほど重視されない。
・但し、看護師や小児科医、保育士等は、考慮要素となることの方が多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(47)】精神疾患はどこまで手続に影響するか

2023.06.02更新

弁護士秦

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1.全部で3パターン


 一口に精神疾患の影響と言いましても、①あなたが精神疾患のパターンと、②旦那側が精神疾患のパターン、③夫婦双方が精神疾患のパターンの3パターンがあると思います。
 そのパターンに応じて、監護者指定事件に与える影響も異なってきますので、それぞれについて解説していきます。
 なお、このブログでの「精神疾患」とは、心療内科医等から正式に精神疾患の診断を受けていることを指す用語として使っております。そのため、単に①精神的な不調があって今度病院でカウンセリングなどを受けてみようかと思っているとか、②心療内科に通ってはいるけれどもカウンセリングを受けているだけで、正式な診断は出ていない場合は「除外」して解説しています。

 

2.【パターン1】あなたが精神疾患のパターン


(1)残念ながら不利な要素の一つにはなってしまう
 前述の通り、親権者とは、今後お子様の身の回りの世話などをしていくにふさわしい人を指しますので、あなたが精神疾患を患っているということは、残念ながら不利な要素となってしまいます。
 ただ、精神疾患であるから、親権を争っても勝てない、ということではありませんので、慎重に見極めていく必要があります。

(2)どのように考慮されるのか?
 あなたの精神疾患がどの程度影響するかは、主に以下の要素が考慮されると思います。

①精神疾患の診断名

②精神疾患の重症度

③精神疾患を患っていた期間

④今後の治療見込み

⑤精神疾患が日常生活に与える影響の度合い

⑥精神疾患が育児に与える影響の度合い

⑦精神疾患が特定の場所や状況で発現する場合、どのような状況等で発現するのか

 以下、それぞれについて解説していきます。
(3)【考慮要素①】診断名
 あなたが心療内科医又は精神科医に「診断書を書いてください」と依頼すると、その際に診断名も書いてくれると思いますが、その「診断名」のことです。
 例えば、パニック障害、適応障害、身体表現性障害、うつ病、ADHD、PTSD等、どのような病気なのかということです。
 この診断名ないし病名を見れば、どのような病気なのかということが明確になりますので、精神疾患の影響を探るには最も重要な要素と言えるかと思います。

(4)【考慮要素②】重症度
 前述の病名を見れば、ある程度その精神疾患の重症度が分かることも多いのですが、同じ病気でも、症状の重さは人それぞれかと思います。
 例えば、うつ病が良い例だと思いますが、かなり軽いうつ病の場合には、ほとんど日常生活に影響がないという方もいると思いますし、逆に、重度うつ病の場合には、日中はほとんど寝たきりに近いという方もいると思います。

 このような精神疾患の重症度も、精神疾患の日常生活への影響を探る上で重要な要素となります。
 このような重症度については、裁判所サイドは、①通院頻度(頻度が多い方が症状が重いと判断されやすい)、②処方されている薬の内容・分量(効用が強い薬、分量多めの方が症状が重いと判断されやすい)、③精神障碍者等級の認定を受けている場合にはその等級といったことから判断することが多いと思います。

(5)【考慮要素③】患っていた期間
 その精神疾患を患っていた期間がかなり長期間に及ぶという場合には、近い将来に治るということは難しいだろうということになると思いますし、疾患としては重いと判断されることが多くなってしまうと思います。
 ただ、例えば通院期間が4,5年と比較的長い場合でも、通院頻度は2か月に1回とか、それよりも少ないというような場合には、主にカウンセリング目的で受診していた可能性が高いということで、期間の長さがそれほど不利にならないこともあります。
 また、最近の通院期間は1年間だという場合でも、12年前から7年前までの5年間も通院していたというような場合、過去の通院歴が今後にどのように影響を及ぼすのかという点も考慮されることが多いです(いわゆる既往歴の問題です)

(6)【考慮要素④】今後の治療見込み
 前述の通り、現状の精神疾患の具合が非常に重視されてしまうのですが、例えば新薬の治験が始まっていて、劇的に症状の改善見込みがあるといった場合には、そこまでこちらに不利にならないこともあると思います。
 今後どの程度のスパンで精神疾患と付き合っていかなくてはならないのか、どの程度改善していく見込みなのかといった点が考慮要素になります。

(7)【考慮要素⑤】日常生活への影響
 精神疾患としては決して軽い症状ではないとしても、例えば、朝はどうしても起きれないけれども、午前11時頃に起きた後は、ほぼ問題なく日常生活を送れるというような場合、朝のお子様の支度や朝食の準備さえフォローできれば、親権者として指定されるにあたって全く問題ないと評価される場合もあります。逆に普段はほとんど症状がないとしても、体調を崩したときには一気に不調になって3,4日寝込んでしまうというような場合には、そのように寝込んでしまう期間の生活をどうするのかということが大きな課題になります。
 このような精神疾患があなたの日常生活にどのような影響を与えており、どの程度制限になってしまっているのかという点も重要な考慮要素となります。

 前述の通り、親権者とは、今後お子様の身の回りの世話などをしていくにふさわしい人を指しますが、あなた自身の日常生活すらままならないということになってしまうと、「育児どころではない」と評価されてしまう可能性もありますので、育児を担う前提として、あなた自身の日常生活への影響も考慮されることになるのです。

(8)【考慮要素⑥】お子様の育児への影響
 前述のようなあなた自身の日常生活の問題もありますが、あくまで親権争いですので、お子様の育児にどのような影響を与えるのかという点も裁判所は注意深く見極めていくことになります。
 実際には、お子様が保育園に通っているとか小学校に通っているという場合には、担任保育士や担任教師から事情を聴いて、お子様の園や学校での様子で気になったことはないか、気になるような発言がないか、宿題や課題の遅れ、普段の登園・登校準備に不足等がないのか等を把握する中で、精神疾患の影響を見極めることが多いかと思います。

(9)【考慮要素⑦】症状の発現条件等
 精神疾患によっては、症状が現れる場所が限られるといったケースもあります。例えば、以前の職場でのストレスが原因で適応障害になってしまったというような場合、出勤すると症状が出るが、家庭内ではほとんど症状がないとか、パニック障害ですと、人混みだと症状が出るが、人混みを避ければ問題がないといったことです。
 このように発言の場所や状況が限定される場合、そのことが、子育てとの関係でどのような影響があるのかを見極めていくことになろうかと思います。

(10)結局は、お子様の育児にどの程度影響があるのかという視点で見極めていくことになる。
 前述のような考慮要素を相互して検討していくことになりますが、結局は、お子様の育児にどの程度影響があるのかによって、監護者にふさわしいかどうかが決まっていくことになります。
 裁判官が、あなたの精神疾患の詳細を確認したいと判断した場合には、カルテを取り寄せて治療の経過等を確認することもあります。

(11)夫からの暴力や暴言が原因なのにこちらに不利になるのか?
 あなたの精神疾患が、夫からの暴力や暴言を原因としているケースもあり、そのような場合にも精神疾患が不利に考慮されるというのは不公平だと感じると思います。
 この場合に、あなたの精神疾患が夫からの暴力や暴言のみを原因としていると明確に証明できれば良いのですが、医師もそこまで断定的に原因を特定してくれないことが多いと思います。
 そのため、旦那の暴言、暴力のせいでこうなってしまったという証明が難しいことが多いのが実情ではないかと思います。
 そのような場合には、「旦那のせいでこうなったのだから、旦那の有利な事情として考慮すべきではない」という視点よりも、「旦那は子供の前でも私に暴力を振るうような粗暴な人なんだ」という視点で戦った方が有利になる気がします。

 

 

3.【パターン2】旦那側が精神疾患の場合


 旦那側が精神疾患という場合も、考慮要素は前述の7項目の要素が考慮されることが多いです。
 ただ、旦那側特有の問題もありますので、以下の通り解説します。

(1)旦那はフルタイム勤務していて、その点では支障を生じていない場合、どのように評価されるのか
 旦那が精神疾患を患っているとしても、家族の家計を支えているのは旦那の収入であるというケースもあると思います。
 その場合、旦那が仕事に支障をきたしていないという事情はどのように考慮されるのでしょうか。
 一般的には、旦那の仕事に支障がないという場合、例え精神疾患を患っていたとしても日常生活面等にはほとんど影響がないと評価されることが多いです。
 仮に、多少仕事に支障を生じていたとしても、概ね問題なく仕事ができているということになりますと、親権争いにあたって大きな減点要素にはならないことが多いです。

(2)あなたの目から見て絶対精神疾患だと感じる場合

ア 裁判所はどの程度考慮してくれるのか?
 私が相談を受けておりますと、「旦那は病院に行っていないんですが、インターネットで調べてみたところアスペルガー症候群であることがほぼ間違いないと思います。これでこちらが有利にならないのでしょうか?」とか「旦那に何度病院に行くように言っても行ってくれないのですが、日常生活の中であまりにおかしいことが多いので、絶対に精神疾患だと思います」といったご相談を受けることも多いです。
 要するに、正式な精神疾患の診断が出ていないものの、あなたとしては旦那が精神疾患だと疑っているケースになります。

 このようなケースですと、旦那の普段の行動等によほどおかしなものがある場合は別として、そうでない場合には、ほとんど考慮してもらえないことの方が多いかと思います。
 残念なことに、こちらが旦那のおかしな行動や言動を指摘しても、旦那側は、「そのような事実はない」とか「このような経緯があってのことなのでおかしなものとは言えない」などと反論してくることが多く、あなたが感じている違和感を裁判所に共有することが難しいことが多いです。

イ 多少強引にでも旦那を心療内科に連れて行くべきなのか?
 前述のようなご説明をしますと、「それなら多少強引にでも旦那を心療内科に連れて行きます」とか「何とかして旦那に精神疾患の診断をつければいいんですね?」と追加で質問を受けることもあります。
 ただ、多少強引にでも心療内科に連れて行くとしても、一度心療内科に行けば精神疾患の診断名をつけてくれるということではないかと思います。通常は、何回か心療内科に足を運んで初めて、心療内科医等が診断可能な状況になるということです。

 また、心療内科医も、旦那自身が全く精神面での治療を希望していない、逆に拒否するという場合、無理に治療を続けることもできないと思います。
 更に、旦那に心療内科医からの診断をつけるという点も、診断名があれば、もちろん考慮要素にはなりますが、前述の通り、その疾患によってどの程度日常生活や育児に影響があるのかという点が最も重要な考慮要素になりますので、病名があっても、日常生活に大きな問題がないということになってしまいますと、ほとんど旦那側の減点要素にはなりません。

 

(3)夫がイライラしやすい、子供へのやつ当たりが多いという場合

  たまに、夫がイライラしやすいような場合に、「夫が精神疾患だと断定できれば、夫にとって致命傷になりますよね」というご質問を受ける場合があります。

 既に、夫が心療内科や精神科に通院している場合には、診断書などを通して、その病状を把握していくことになりますが、元に通院していない場合には、前述のように、強制的に通院させる手段がないため、精神疾患だと断定することが、そもそもできません。

 

 また、重度の精神疾患であればともかく、そうでない場合(軽度の精神疾患であったり、正式な診断が出ていない場合)には、そのことが夫にとって致命傷になるケースは少ないと思います。

 そのため、夫のお子様へのやつ当たりが多いという場合には、そのやつ当たりの証拠を集めることに重点を置いた方が良いかと思います。

 

 

4.【パターン3】夫婦とも精神疾患の場合


(1)夫婦がお互い精神疾患だという場合
 夫婦がお互い精神疾患だという場合(夫にも正式な精神疾患の診断が出ているというケースを想定しています)、前述の7個の考慮要素に照らして、どちらの精神疾患がどの程度重いのかということが重要になります。
 なお、夫は仕事をしており、あなたが専業主婦だという場合、同じ精神疾患でも、夫側は症状が軽いのではないか?逆にあなたの方は症状が重いのではないか?と見られがちなので、しっかりとあなたの症状の状況を裁判所に説明していくことが重要になります。

(2)精神疾患の程度によっては、監護補助者が相対的に重要になることもある
 精神疾患と言っても、日常生活にほとんど影響がないという場合もあり、そのような場合には、監護補助者がいなくても、こちらに大きく不利にはならないと思います。
 他方で、それなりの症状だという場合には、体調を崩した際などに、育児をサポートしてくれる人(通常は親族)、すなわち、監護補助者がいるのかどうか、どの程度サポートしてくれるのかという点が相対的に重要になってくることもあります。

 

5.まとめ


・一口に精神疾患と言っても、①あなたが精神疾患の場合、②旦那側が精神疾患の場合、③夫婦双方が精神疾患の場合という3パターンがある。
・精神疾患がどこまで考慮されるかは、以下の7個の項目が重視される傾向がある。
①精神疾患の診断名
②精神疾患の重症度
③精神疾患を患っていた期間
④今後の治療見込み
⑤精神疾患が日常生活に与える影響の度合い
⑥精神疾患が育児に与える影響の度合い
⑦精神疾患が特定の場所や状況で発現する場合、どのような状況等で発現するのか
・旦那側が精神疾患だという場合でも、通常通り仕事ができている場合、その症状はあまり重視されないことが多い。
・旦那側に精神疾患の診断名をつけようと躍起になってもあまり大きな効果がないことが多い。
・夫婦双方が精神疾患の場合、疾患の程度によっては、監護補助者が相対的に重要になってくることも多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(32)】関係機関調査って何だ?

2023.06.02更新

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1.関係機関調査って何だ?


 関係機関調査とは、お子様の監護状況を確認する一環として、現在または過去に関係していた機関に対して、家庭裁判所調査官が調査をかけることを言います。通常は、家庭裁判所調査官がその関係機関まで直接足を運んで話を聞くという形をとります。
一般的に関係機関調査の対象になるのは、①現在お子様が通っている保育園・小学校、②お子様がメンタルケアなどを受けている場合には、通院している病院、③児童相談所が関わっている事件の場合には、児童相談所等となります。

(1)関係機関調査の位置付け
 児童相談所が深く関わっている事件の場合、お子様への虐待の程度や頻度、虐待親の危険性等の判断にあたって、児童相談所の見解は非常に重要になりますが、①児童相談所が関わってはいるが、かかわりが薄い場合や、②児童相談所が全く関わっていない場合などでは、関係機関調査の重要性は、そこまで高くないことが多いです(家庭訪問やお子様の意思確認の方が、格段に重要性が高いです)。
 要するに、普段の学校での生活に問題等がないかを確認するといったものですので、あまり関係機関調査の結果を心配し過ぎない方が良いと思います。

(2)各関係機関調査ごとの特徴等
ア 保育園・小学校の調査
 保育園や小学校の調査は、現在お子様が通っている保育園・小学校の調査を行うことが多く、別居直前の保育園(転園前の保育園)・小学校(転校前の小学校)の調査までは行わないことの方が多いです。
 一般的には、家庭裁判所調査官が、その保育園・小学校まで足を運び、保育園ですと担任の保育士と園長先生から話を聞く、小学校ですと担任教師と教頭先生(又は校長先生)から話を聞くという形がオーソドックスかと思います(但し、保育園によっては、「うちは書面での回答しかしない」という方針のところもあって、その場合には、調査官が書面で質問事項を送り、保育園から書面で回答が来るということになります)。
調査の際、調査官は、お子様の普段の保育園・学校生活の様子(積極性や普段の態度、他の児童とのトラブルの有無・内容、宿題など提出物や授業準備の状況)や、小学校の場合、学校成績等を尋ねることが多いです。
 このような調査に先立って、あなたまたは夫側から保育園の連絡帳コピーや小学校の通知表コピーなどを事前に裁判所宛に提出し、調査官もある程度も事前に情報を得た上で、調査に臨むことが多いです。

イ 病院の調査
 ここでの病院の調査というのは、お子様が現状もメンタルケア等で病院に通院している際に、その病院医師から調査官が事情を聴くというものです。
 たまに、夫が過去に心療内科等への通院歴がある際に、こちらから、その病院への調査を希望する場合もありますが、裁判所側は、まず、夫側から診断書を提出させ、診断書で症状等が把握できるのであれば、それ以上に調査まではしないケースがほとんどだと思います。
 お子様の病院への通院期間が長い場合、調査の事前準備として、カルテを提出したり、または、主治医の意見書を提出するケースが多いと思います。このように事前にある程度の情報を把握した上で、調査を実施するのです。
 その後の対応は、主治医がどこまで協力してくれるかにもよるのですが、多忙な医師の場合、調査官が来訪して直接話をする時間をとることが難しいということで、電話での事情確認にとどめるケースもあります。
 なお、病院への調査の場合、カルテのコピー、主治医の対応、いずれも、費用が発生するケースも多いです(要するに、その医師に対して手間賃を支払うということです)。費用負担について両当事者間で話し合いが円滑に進めばよいのですが、円滑に進まない場合には、病院への調査(専門用語では「医療機関調査」などと言ったりします)をどこまでどのように実施するかに影響を及ぼすケースもあります。

ウ 児童相談所への調査
 お子様の関係で児童相談所が関係している場合、基本的には、家庭裁判所調査官の調査を実施していくことになります。
 ただ、あなた又は夫側が児童相談所に事情を話して相談しただけ(要するに、児童相談所としては調査等を一切実施していない)といった場合には、調査官の調査までは行わないこともあります。
 児童相談所は、調査官からの質問をまとめた書面を受け取り、書面で回答するという対応が多いですが、各児童相談所で対応が統一されているわけではないようで、調査官と直接面接して事情を話してくれることもあります。
 また、調査に先立って、あなた又は夫側から児相側に個人情報の開示申請を行い、その資料を事前に提出するよう裁判所から求められることもあります。

 

 

2.関係機関調査の順序


 関係機関調査を実施する場合、同時期に実施してしまうことが多いのですが、家庭訪問との先後では、①関係機関調査を早急に実施する場合と②家庭訪問と同時期に実施する場合とがあります。
①の進め方にするか、②の進め方にするかは、裁判官によっても異なるのですが、一般的には、②のパターンが多いかと思います。

 

 

3.まとめ


・関係機関調査とは、お子様の監護状況を確認する一環として、現在または過去に関係していた機関に対して、家庭裁判所調査官が調査をかけることである。
・関係機関調査としては、保育園・小学校、病院、児童相談所などが対象になることが多い。
・虐待の事案の場合、児童相談所への調査の重要性は非常に高いが、そうでない場合、関係機関調査はそこまで重要ではないことの方が多い。
・関係機関調査は、関係機関ごとに特徴がある。特に医療機関調査は、費用が発生する可能性がある点で注意が必要である。
・関係機関調査のタイミングは家庭訪問と同時期に行うケースが相対的に多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(48)】最近夫は完全在宅勤務になっているが、こちらに不利になるのか?

2023.06.02更新

弁護士秦
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1.在宅勤務だと監護実績という部分で争いが激化しやすい


(1)監護実績とは?
 監護実績というのは、分かりやすく言いますと、これまでお子様の育児にどの程度関わってきたのかという実績のことです。
 親権紛争では、この監護実績が非常に重要な考慮要素とされます。なぜなら、これまでの監護実績が豊富であれば、その親御さんに引き続きお子様の世話を任せるのが安心だという評価を受けやすく、親権紛争で大きくリードすることができるからです。

(2)在宅勤務だと監護実績で争いが激化しやすい
 元々、親権紛争では、監護実績について夫婦の言い分が大きく食い違うことも多々あります。旦那側は、親権を獲得するために、積極的に育児に関わってきたと主張してくるため、言い分が食い違ってしまうのです。
 そして、旦那側が在宅勤務だと、平日旦那側も自宅に居ることになりますので、「仕事をしながらも、育児に関わっていた」という主張がなされやすくなるのです。

 逆のパターンを想定すると分かりやすいと思いますが、旦那側が出社勤務だという場合、旦那側が育児に関わっていたと主張しても、こちらから「夜遅くまで会社に行っていたのだから、物理的に育児なんてできるわけがない」と反論すると、旦那側は言い訳が難しくなります。
 しかし、旦那側が自宅に居ると、「物理的に育児ができない」ということを言いにくくなってしまうため、一層監護実績という点で紛争が激化しやすくなってしまうのです。

 

2.夫が在宅勤務の場合、監護実績はどのように判断されるのか?


(1)大きく分けると3パターンが考えられる。
 一口に夫側が在宅勤務だと言っても、大きく分けると、以下の3パターンがあると思います。
①【パターン1】あなたは専業主婦で、夫は在宅勤務
②【パターン2】(共働き)あなたも夫も在宅勤務
③【パターン3】(共働き)夫は在宅勤務だけど、あなたは出社勤務

 上記の【パターン1】のケースですと、夫側が在宅勤務だと言っても、あなたの方が専業主婦として家事や育児に大きく関わっていることが推測されますので、夫が在宅勤務だからと言って、夫側が大きく有利になるということはないと思います。ただし、前述の通り、夫が出社勤務のケースと比較して、在宅勤務の方が、単純に通勤時間がなくなるわけですし、物理的に自宅に居るため、育児に関わりやすくなっていることは事実ですので、夫側の育児の主張に対しては丁寧に反論していく必要があります。

 次に、【パターン2】のケースですと、お互いが在宅勤務ですので勤務形態という点から、大きな差はつかないことが多いと思います。ただ、お互いに在宅勤務だとしても、あなたは時間短縮勤務で、旦那側はフルタイム勤務だという場合、ある程度はあなたの方が家事・育児に関わる時間が取りやすいと評価されることもあろうかと思います。
 最後に【パターン3】のケースですと、勤務形態という点からは、残念ながらあなたの方が不利になってしまっていることは否定できません。そのため、あなた自身の監護実績をどのように証明していくのかという点が課題になります。

(2)結局、裁判所は何をもとに判断するのか?
 親権紛争の手続を進めておりますと、監護実績についてのお互いの言い分が大きく食い違ってしまい、言い分だけでは、監護実績を判断することが難しいというケースも多いです。
 そのため、裁判所側は、保育園の連絡帳等当時の状況を探れる資料を非常に重要視することが多いです。これを見れば、ある程度お子様がどのような生活を送っていたのかが分かりますし、誰が連絡帳を書いていたのかが分かれば、夫婦のどちらが積極的に育児に関わってきたのかが分かるからです。

 また、今回のブログは、解説を簡明にするために、夫側が完全在宅だというケースで解説しましたが、実際には完全在宅ではなく、週2回は出社しているなど、一部出社しているケースもあります。そのような場合には、出勤簿などを提出して、どの程度出社していたのかを確認するといったこともあります。

 

 

3.在宅勤務のもう一つの懸念点


 夫側が在宅勤務の場合、夫も自宅に居るため、こちらの育児方法に色々と口を挟んでくる機会も増えていきます。
 口を挟むだけならまだしも、親権紛争の中で、あなたが子供を虐待して泣かせていたとか、不適切な育児をしている現場を見たといった主張がなされることもあります。
 そのため、ある程度夫が言ってきそうな問題点があらかじめ分かっているようでしたら、早めにこちらの方から事情を説明するという形で対応することもあります。

 

 

4.まとめ


・夫が在宅勤務だと監護実績について争いが激化しやすい
・一口に夫側が在宅勤務だと言っても、大きく分けると、以下の3パターンが考えられる。
①【パターン1】あなたは専業主婦で、夫は在宅勤務
②【パターン2】(共働き)あなたも夫も在宅勤務
③【パターン3】(共働き)夫は在宅勤務だけど、あなたは出社勤務
・あなたが専業主婦の場合、夫が在宅勤務であっても大きな影響はないが、共働きの場合には一定の影響が避けられない。
・特にあなたが出社勤務の場合【パターン3の場合】には、しっかりと監護実績を証明していく必要が出てくる。
・監護実績の証明にあたっては、保育園の連絡帳などが最適である。
・在宅勤務の場合のもう一つの懸念点は、あなたの育児方法などについて夫がみて不適切な育児だなどと言い始めることである。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(33)】夫の方が経済力があるが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.夫の方が経済力があるというケースは非常に多い


 夫婦共働きというケースでも、奥様の方が収入が高いというケースは少数で、旦那側の収入の方が高額だというケースの方が多いと思います。
 また、結婚を機に、仕事を辞めて、専業主婦をしているという場合には、あなた自身の収入はゼロ、もしくは、パート勤務なので、大した収入がないというケースも多いと思います。
 このように、夫側の方が経済力が高い場合、特に、あなたが専業主婦で、ほとんど収入が無いような場合、親権者を決める時に、どのように影響するのでしょうか。

 

 

2.同居中、夫から散々言われていたので不安


 特にあなたが専業主婦の場合には、同居中に、夫側から「生活力がないから、お前が育てていけるはずがない」とか「仕事を辞めてこんなに立っているんだから、誰もお前のことを雇ってくれるはずがない」とか、散々に言われているケースもあります。
 そもそも、あなたが専業主婦になったのは、結婚や出産といった出来事があって、夫側とも相談しての結果なので、これを責められる謂れはなく、夫の発言そのものがモラハラ発言と言えるものです。
 ただ、夫からそのように言われていると、今後のことが不安になるのもよく分かるお話ですので、専業主婦であることが不利に働くのかという視点も踏まえて解説していきます。

 

 

3.キーポイントは家計が維持できていること


 監護者指定事件で重視されるのは、別居後の家計が維持できていることです。
 例えば、実家に転居し、実家の支援を受けることで、お子様の生活費も含めて家計を維持できているようでしたら、そのことで、不利に扱われることはほとんどありません。
 また、今は、貯蓄を切り崩して生活しているという場合でも、貯蓄が少なくなった段階で生活保護を申請して、生活保護費で暮らしていく予定だということでも、そのことで家計を維持できるのであれば、それほど大きく不利になるケースは少ないです。

 

 

4.家計維持にあたっては、婚姻費用も考慮して良い?


(1)夫側から婚姻費用が支払われている場合
 現在夫側から任意に婚姻費用の支払いがあり、今後の支払も期待できるような場合には、このような婚姻費用も家計維持にあたって考慮して差し支えありません。
 ただ、あなたが、夫との離婚を希望する場合、離婚した後は、養育費しかもらえなくなりますので、養育費しかもらえなくても家計を維持できるのか、といった点は考慮しておく必要があります。その際、児童扶養手当や児童育成手当等、行政の支援が期待できるような場合には、どのような支援が期待できるのか、いくらぐらい貰えるのかといった点を確認しておくと、より安心かと思います。

(2)夫側から婚姻費用が支払われていない場合
 これは、夫側の勝手な言い分ですが、「勝手に出て行ったやつには一銭も払わない」といったことを言ってくる夫もいます。
 そうやって婚姻費用がなかなか支払われない場合には、一旦は、婚姻費用の支払いが期待できないことを前提に家計を維持できるかを確認する必要があります。
 もちろん、婚姻費用は夫側に支払い義務がありますし、いずれは支払わなければならないものなのですが、現段階で支払われていないという場合には、「今は、今月分の婚姻費用も入ってきていませんが、いずれ、今月分も後から払われるから、その後払い分も考慮して下さい」と主張しても、現実に「今」あなたの手元に入ってきていない収入なので、家計維持にあたって考慮することは難しいです。

 

 

5.いつまでに就職すればよいか?


 たまに監護者指定等で有利に話を進めたいということで、就職活動に熱心に取り組んでくださる方もいます。
 もちろん、あなた自身がしっかりと稼いで、家計の状況がもっと良くなるようであればプラス材料にはなります(但し、前述のように現状でも家計を維持できているのであれば、あまり無理をする話ではありません)。しかし、一つ気を付けなければならない点があります。
 それは、就職活動や仕事をすることによって、お子様の世話や家事が疎かにならないかという点です。
 親権の争いでは、現在のお子様に対するケアが行き届いているかどうかという点を重視することが多く、あなたが就職しているかどうかという点よりも重要性が断然高いです。
 そのため、就職活動や業務開始に伴って、お子様へのケアが疎かにならないようにして下さい。

 

 

6.将来の教育の充実等は、そこまで重視されない


 夫の方が経済力がある場合には、夫側から、「自分が育てていくのであれば、私立の小学校に入学させ、小学校時代から、遠足で海外に行かせたり、小学校高学年からは英語学習にも力を入れ、グローバルな教育を受けさせられる」というように、教育面で充実させられるといったことが主張されることがあります。逆に、あなたの元では、小学校受験や中学校受験をするだけの費用も出せないといったことを批判してくるのです。
 確かに、経済力の差がある場合、ある程度教育を受けさせる資金面での差は否定できません。
 ただ、裁判所が重視するのは、これまで誰がお子様の面倒を見て来て、今後もお子様のケアをしっかりと行っていくことができるのか、という点でして、教育を充実させられるかどうかといった点は「二の次」というように考えることが多いです。

 

 

7.お子様も充実した教育に期待してしまっている場合


 同居中、あまりに夫側がバラ色の教育のように話をするので、お子様の方も、詳しいところは分からないまでも、そのような「バラ色の教育」に期待してしまうというケースもあります。
 ただ、お子様の年齢からして、その「バラ色の教育」の詳しい内容が分からないまま、「なんとなくパパが言ってたから、そっちの方が良いと思っていました」という程度の話であれば、そのことが影響することはほとんどありません。
 また、お子様がもう中学生や高校生で、そのような教育に期待している面があったとしても、普段の生活面では、母親であるあなたとの生活でないと、生活が成り立たないと考えているのであれば、やはり、教育面よりも普段の生活面の方が重視されます。

 

 

8.まとめ


・妻側よりも夫側の方が経済力があるケースの方が多い。
・だからと言って、それだけで夫側が有利になるというわけではない。
・むしろ、普段の生活のケアを夫と妻どちらの方が担えるのかということの方が重要なので、経済面は「二の次」とされることの方が多い。
・経済面で重視されるのは、こちらの家計が維持できているかどうか、である。
・あまり就職を焦って、お子様へのケアが疎かにならないよう注意が必要である。
・現に婚姻費用が支払われているのであれば、婚姻費用が支払われることで家計が維持できていれば、それで差し支えない。
・お子様が将来の充実した教育に期待していても、普段の生活の方が重要性が高い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(49)】夫による連れ去り事案なのでこちらに有利に働くか

2023.06.02更新

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1.夫による連れ去り事案ってどういうケース?


 夫による連れ去り事案というのは、夫側がこちらに断りもなくお子様を勝手に自宅から連れ出し、夫だけ(夫の実家の補助を受けつつ)で育てていくようなケースを言います。
 よくあるケースとしては、①こちらが別居の準備をしていることを夫側が察知してしまい、こちらが別居を始める前に夫側が先に連れ去って行ってしまったケースや、②こちらの冗談の発言を夫が真に受けて、お子様に危険が及ぶ可能性があるなどと言って連れ去ってしまうケースなどがあります。

 

2.連れ去りは違法になるのか?


 連れ去りが違法な場合、夫側には大きく不利な要素となりますので、連れ去りが違法なのかどうかという点が非常に重要になります。
 一般的には以下のような要素を考慮して判断されるケースが多いです。

(1)【違法な連れ去りかどうかのポイント1】連れ去り態様
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

(2)【違法な連れ去りかどうかのポイント2】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 夫側がお子様を連れ去る場合、お子様の意思を十分確認せずに別居を開始していることも多いと思いますが、お子様が自宅に戻りたいとか、奥様と一緒に生活したいと希望するような場合には、お子様の意思に反していますので、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は6,7歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。

(3)【違法な連れ去りかどうかのポイント3】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況(それまでの育児への関わり方)は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。
 同居中、育児をメインで担当していた場合、別居後も同居中の育児の延長とみなすことができますので、連れ去りの違法性は否定する方向に働きますし、逆に、同居中あまり育児に関わってこなかった場合、別居後しっかりと育児を担うことができるものと評価して良いのかという問題が発生しますので、連れ去りの違法性が肯定される方向に働くのです。

(4)【違法な連れ去りかどうかのポイント4】無断別居イコール「違法な連れ去り」ではない。
 たまに私が相談に乗っていますと、奥様の了解を得ずに連れ去ったことをもって「違法だ」と強くご主張なさる方もいますが、「無断別居」イコール「違法な連れ去り」ではありません。
 確かに、あなたの了解も得ずにお子様を連れて行っているのですから「連れ去り」にはなるのでしょうが、それが法律的に違法なのかどうかは、これまでに述べてきた考慮要素を総合的に検討して判断されることになるのです(要するに、連れ去りと言っても「適法な連れ去り」というのもあるということです)。

 

3.まずどう動くか?


 通常、夫側と離婚し、親権を獲得したいという場合、協議離婚のための交渉をしたり、交渉が決裂した場合に、調停を起こすという手順がオーソドックスです。

 しかし、このように離婚交渉や離婚調停をしていると、それだけお子様が夫側で生活している期間が長くなってしまいますので、①夫側の生活に馴染んでしまって、お子様自身の気持ちがこちらから離れて行ってしまうリスク、②夫側の監護実績が積み上がってしまい、そのことがこちらに不利に働くリスクなどがあります。

 そのため、このような場合には、法律上正当な手段としてお子様を取り戻すために監護者指定審判・同保全申し立てという手続きを取ることが多いと思います。

 そして、監護者指定事件では、早めにお子様を取り戻すために、速やかに保全事件の結論を得られるよう尽力する必要があります。

 

4.警察や児童相談所を活用して至急連れ戻すことはできないのか?


 たまに私が相談に乗っておりますと、「監護者指定事件だと保全だと言ってもどうしても時間がかかってしまうので、今すぐ警察に乗り込んでもらって、すぐに子供を保護してもらえないのか?」という質問を受けることもあります。
 旦那側の連れ去りが、あまりに乱暴な態様だというような場合には、警察も誘拐事件として取り上げてくれるケースもありますが、連れ去りは、通常、こちらの目が届かないところで実行されることが多いので、どのようにして連れ去って行ったのか、こちらには分からないことが多いです。

 そのため、誘拐罪と絡めて警察に動いてもらうことは難しいことが多いと思います。
 また、児童相談所についても、現状お子様が旦那側から暴力被害を受けているというような、明らかな児童虐待のケースであれば別ですが、そうでないと、児童相談所が大きく動くことは難しいと思います。

そのため、結局は、監護者指定事件(特に保全事件)の中で裁判所に速やかに結論を出してもらうという方法を取ることが多いと思います。

 

5.まとめ


・無断での連れ去りイコール違法というわけではない(同じ「連れ去り」でも「適法な連れ去り」となるケースもある)
・連れ去りが違法かどうかは、以下のような要素で判断されることが多い。
 ①連れ去り態様
 ②お子様の意思
 ③それまでの監護状況
・夫側に連れ去られた場合には、速やかに監護者指定事件(保全を含む)を起こすなど初動が非常に大事である。
・警察や児童相談所を介して早期に連れ戻すということは難しいケースが多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(34)】夫側はこちらの家事の不十分を指摘してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.同居中、家事不十分を指摘されることは多かった


 特に夫が潔癖症だとか、異常に几帳面という場合には、一緒に生活しているときに、家事不十分を指摘されるケースは多くあります。例えば以下のようなものです。

・お前が作る食事は薄味過ぎて食べられない。

・お前が作る食事は栄養バランスが偏ってる。

・子供にお菓子ばかり与えるな、普段の食事が食べられなくなる。

・どうして合成調味料・化学調味料を使って食事を作るんだ。

・家中埃だらけで汚い。

・週末オレが掃除しなければ、ゴミ屋敷になっていたぞ。

・(掃除が行き届いていないので)ルンバの方がお前よりも役に立っている。

・専業主婦なんだから毎日洗濯くらいしろ。

・(子供が少し服を汚しただけなのに)どうして汚い服を着させているんだ、子供が可哀想だろう。

・大したことをしていないのに、どうして毎日子供を寝かしつける時間が遅いんだ

このような発言そのものがモラハラ気質を含んでいるのですが、様々に言われるので、あなたも自信を無くしてしまっているというケースも多いと思います。

 

 

2.毎日の家事・育児をしていれば特に問題がない


 夫側からの指摘では、「家事が雑」「あまりに不器用」など、あなたの家事の仕方等について不満を述べられることも多いのですが、よほど特殊な家事の仕方をしているのでなければ、特に、そのように指摘されたからと言って、こちらが不利になるということはありません。
 また、お子様が病気にかかってしまい、その看病があったとか、事情があって一時的に家事や育児が行き届かなくなることもあると思います。そのようなケースでも、事情があってのものであって、一時的なものであれば、そのことであなたが不利になるケースはほとんどありません。

 さらに、洗濯や掃除なども、毎日必ず実施しなければならないというものではありませんので、例えば、洗濯物が貯まりっぱなしで、それが何日も何日も続くといった特別な状況に至っていなければ、それほど気にする必要はありません。

 

 

3.より重要なのは、夫と妻とで比較した場合に、「どちらの方がより家事や育児に関わってきたのか」という視点


 たまに、親権の争いでは、より分かりやすくするために、裁判官自身が「直近1年間でのお子様の育児の割合は夫と妻で何対何くらいの割合でしたか?」と質問してくることもあります。
夫側は、こちらの家事不十分をしきりに指摘してきますが、それよりも、夫と妻とでどのくらいの作業分担をしていたのか、どちらの方がお子様に関わっていたのかということの方が重要です。

 

 

4.家事不十分の証拠


 親権の争いでは、よく、こちらの家事不十分の証拠として、リビングの散らかった状態の時の写真などが提出されることもあります。
 ただ、お子様が小さい年齢の時などには、どうしてもお子様の動きに気を取られて、片付けが後回しになってしまうこともありますし、そもそも、片付けなどは夫婦で分担すべきものであって、夫の側に対しても「写真を撮っている暇があったらあなたが片付けて下さい」というレベルの話と言えます。

 

 

5.家事を十分やった証拠


 よく私がご相談に乗っていると、「夫は私の家事が不十分だったと強く主張してくると思いますので、それに対抗するために、こちらがちゃんと家事をしてきた証拠を出せないものでしょうか?」と質問を受けることも多いです。

 日々の生活の中で毎日育児日記をつけて来たとか、お子様がまだ保育園に通っていて、その連絡帳を克明につけ続けてきたといった場合には、それらの育児日記や連絡帳は有力な証拠になります。

 ただ、それ以上に毎日家事をしっかりやってきたことの証拠を集めるということは難しいと思います(きちんと夕食を手作りしてきたということで毎日夕食の写真を撮影すると言っても、その写真全てを裁判所に提出するのはボリュームが多くなり過ぎてしまいますし、昼食や朝食の写真まですべて撮影するのかというとキリがないと思います)

 前述の通り、家事や育児については、あなたと夫のどちらの方が多く担当していたのかという視点の方が大事ですので、家事を十分やった証拠を必死に集めるという必要はないと思います。

 

 

6.たまに夫のモラハラ気質を示す証拠を提出して対抗することもある


 

 そもそもの、夫側のこちらに対する指摘が、夫の神経質やモラハラ気質を理由とするケースもかなりの数あります。

 つまり、こちらの家事・育児が不十分だったわけではなく、夫の方が神経質であまりに気にし過ぎているとか、こちらを精神的に支配したいがために細かく家事・育児の指示をしてくるといった具合です。

 この場合には、夫がこちらに送ってきたメールやLINEなどから、夫の神経質な点やモラハラ気質を浮き彫りにして対抗するケースもあります。

 こうすることで、こちらの家事・育児が不十分ではなかったことを証明できるとともに、夫の神経質やモラハラ気質でこちらが苦労していたということも証明できるため一石二鳥です。

 

 

7.まとめ


・同居中、几帳面な夫から様々な指摘がなされているケースは相当数ある。
・だからと言ってあまり自信を無くさなくても良い。
・より重要なのは、家事・育児で夫と妻を比較してどっちの方が分担してきたのかという視点(分担割合)である。
・自宅の散らかった写真などはあまり有力な証拠にはならない。

・逆に、こちらが家事をしっかりとやったという証拠を集めることも難しいことが多い。

・たまに、夫のモラハラ気質等を示す証拠を提出して対抗することもある。 

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に夫に親権を渡したくない(50)】夫は同居中些細なことでも録音など証拠を取っていたが大丈夫か?

2023.06.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 1.同居中、夫は些細なことでも録音を取ったり証拠集めをしていたが大丈夫か?


 夫婦の関係が良好な場合には、夫側が家庭内で録音機を構えたり、スマートフォンで録音をするということはないと思います。しかし、夫婦の関係が険悪化してきますと、今後何かあったときのためにといったことで、夫側が証拠集めのようなことを開始する場合があります。
 あなたはお子さんの育児に奔走しているため、記録化があまりできていないのに対して、旦那側はほとんど育児に協力しないため、着々と記録化しているといったパターンが多いように思われます。
 具体的に私が担当した事件では以下のようなパターンがありましたので、各パターンごとに以下で詳しく解説していきます。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化

② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化

③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化

④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化

⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化

 

2.【パターン①、②】こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化


 こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化というのは、具体的には、旦那側があなたに対して家事不行き届や育児不行き届を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースになります。
 以下では、具体的にはどのようなことをどのように記録しているのかに応じて解説していきます。

(1)音声録音での証拠化
 具体的には、前述のような、旦那側があなたに対して①家事不行き届(部屋が片付いていないとか、取り込んだ洗濯物が置きっぱなし、食事後の食器を洗い始めるのが遅いとか、料理の味が薄いとか)や②育児不行き届(保育園への持ち物の忘れ物が多い、おむつを替える頻度が少ない、目を離している隙にお子様が化粧品等を口にしようとしてしまっているとか)を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースがこれに該当します。

 このような録音に対する対抗策としては、録音中に、あなた自身の口から「録音している余裕があるなら手を貸して」「そうやって録音しているけど、あなたは何もしてくれないよね」と言った形の発言をして、あなただけの問題ではないという記録化をしていくというのが有効かと思います。

(2)写真や動画での証拠化
 写真や動画での証拠化というのは、よくあるケースとしては、①こちらが他の家事や育児で手が回らず、部屋が片付いていない状況を旦那側が写真撮影するとか、②こちらがお子様の幼児で外出しなければならないため、食後の食器類を洗い場にそのままにしている状況を旦那が動画にして、旦那自身のコメントを勝手に吹き込むといったことになります。
 そもそも、このような片付けや整頓の不十分については、数日不十分な状態が継続したということであればともかく、そうでない場合には、あまり大きな落ち度になるような問題ではないかと思います。
 また、親権争いの中で、旦那側がこちらを追及してきた場合には、「リビングは旦那もよく利用する部屋なので、リビングが片付いていないのは旦那側の責任でもある」といったような反論をすれば十分かと思います。

(3)日記やメモでの証拠化
 旦那側が問題に感じたことを逐一日記やメモ帳にまとめているというケースもたまにあります。
 単なる手書きのメモの場合、メモを何時作成したのかの証明が難しいことが多いので(要するに、旦那側が「令和2年2月2日に書いた」としても、実際には親権争いの最中の令和5年5月5日に書いていることもあり得るということです)、あまり心配する必要はないかと思います。
 手書きの日記や手書きのメモは、その当時に記録したものであれば、一定の証拠価値があるのですが、「いつかいたのかが不明確なもの」(旦那側がいついつに書いたと言い張っているだけで、本当にその日に書いたのかが不明確なものも含みます)については、あまり証拠価値は認められないことが多いです。

 これに対して、携帯電話のメモ機能で作成したデータについては、作成日付を変更できない形式のものでしたら、少なくともその時に作成したデータということになり、一定の証拠価値が認められることになります。
 ただ、その場合でも、書いている内容次第というところでして、あまり旦那側の主観が多く含まれる場合には、あまり重要とは見られないケースがほとんどです。

 

 

3.【パターン③】こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化


 これは端的に、こちらがお子様を叱責しているときの様子を旦那側が録音したり動画にしたりするというパターンになります。
 最近は、新型コロナウイルス流行を機に、在宅勤務をする旦那が増えた関係で、在宅勤務中に、お子様の泣き声を聞くと、すぐに旦那が口を挟んでくるとか、携帯電話を構えて録音しようとしてくるといったケースが増加傾向にあります。
 そもそも、録音等されたとしても、その叱責が行き過ぎたものでなければ、特にこちらが不利になるわけではありません。お子様ですからふざけてしまったり、悪戯をしてしまったりと、しっかりと注意しなくてはならない場面は多くあると思いますので、そのような場合に、何も注意しないというのではむしろお子様にとっても良くないことだと思います。

 なお、そのような叱責が、旦那側が煽った結果だというケースもあります。
 例えば、お子様の悪戯が度を越していてしっかりと注意しなくてはいけないのに、旦那側が、「そのくらい大目に見てやれよ」とか「ヒステリーなママだねぇ」などと煽ってくるケースです。
 そのような場合、こちらが叱責している場面だけを切り取って記録化されてしまいますと、こちらに不利になりますので、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 旦那側は、あなたがお子様を叱っている場面だけを切り取って、親権争いの手続きの中でも「些細なことで子供を叱りつけている」といった言い方をしてくると思います。
 それに対抗するために、しっかりと経緯もあなたの方で記録化しておくという意味です。そして、その記録化は、早めに記録化しておく必要がありますので「その日のうちに」親族にメールを送るなどして、状況保存しておいた方が良いのです。

 

 

4.【パターン④】旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がお子様と会話をし、その中でお子様に対して旦那への感謝を言わせるというものです(その会話全体を録音しています)。例えば、あなたが所用で自宅を留守にしている際に、旦那がお子様の昼食を準備したとします。そのことについて、お子様に「パパが作るミートソーススパゲティは最高だよ」「いつもパパが料理してくれるよね。サンキューね」などと言わせ、録音するといったものです。
 こうした録音については、旦那側が意図的に言わせていることが多く、不自然な雰囲気、不自然な会話になっていることが多いので、このような録音が親権争いの手続きの中で出てきたとしても、あまり心配しなくても良いことが多いと思います。

 

 

5.【パターン⑤】こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がこちらを煽ってきた上で、もしくは、こちらを挑発してきた上で、こちらを怒らせ、怒っている様子だけを録音するといったものです。
 そもそも、そのようなあなたの発言が、聞いていて、周りを萎縮させるようなものでしたら問題になるかもしれませんが、そこまでのものでなければ、そこまで心配する必要はないかと思います。また、その場面にお子様が同席していなければ、親権争いとの関係ではほとんど無関係な事情となります(夫婦間の問題であって、お子様との関係の問題ではないという意味です)。
ただ、この場合も、不安があるようでしたら、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 

 

6.こちらも記録化した方が良いのか?


 夫側が記録するのであれば、こちらも記録するというスタンスで臨みたという方もいますが、弁護士としてはあまりオススメしません。
 と言いますのは、あなたが記録をとっていることを旦那側が知ると、旦那側の記録行為は悪化していく可能性が高く、余計に家庭内がぎくしゃくしていくからです。
 もし、あなたの方で記録を残しておきたいということでしたら、「旦那の落ち度を探す」という観点ではなく、むしろあなたの育児での頑張りを記録しておいた方が良いと思います。
 一番端的なのは、毎日育児日記をつけておくということではないかと思います。大した行事やイベント等がない日も、しっかりと「毎日書く」ということが非常に重要になります。

 

 

7.まとめ


・旦那側がこちらの落ち度を記録しようとする場合、以下のようなものが考えられる。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化
② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化
③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化
④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化
⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化
・いずれについても、行き過ぎたものでなければ、旦那側が記録を取っていても無意味である。
・それぞれの証拠化に対して対処方法もあるので、不安があるようなら対処方法を講じるべきである。
・こちらが積極的に「旦那の落ち度を探す」という観点で記録化することはあまりオススメしない。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(35)】夫側は「妻が子供を虐待していた」と主張してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.同居中も散々そのように言われていた


夫が神経質なので、妻から子への虐待ということを言われることが多かったというケースもあります。私が直接担当した事件でも以下のようなものがありました。

・こちらは何もしていないのに、子どもが泣き出すと「また泣かせたのか?」と詰め寄られる。

・子供がいけないことをしたので注意をしていると、夫が「虐待だ」と騒ぎ出す。

・子供が公園で転んで怪我をすると、夫から「お前が怪我させたのか」と騒ぎ出す。

・子供が外で怪我をすると、夫から「一瞬でも目を離したお前が悪い」と責められた。

・子供に片付けを促すべく、後ろから軽く子供の肩を押したところ、子どもが倒れてしまい、夫が虐待だと騒ぎ出す。

 

 

2.言いがかりに近い主張は、ほとんど影響しない


 前述の例で記載したように、夫側の言い分が、「言いがかり」に近いようなレベルの場合、そのことが親権争いに影響を与える可能性は低いです。
 同居中、前述のように言われてしまっていると、あなたも自信を無くしてしまっているかもしれませんが、安心して下さい。

 

 

3.ただ、反論は必要


 前述のように、夫側の言い分が言いがかりに近いようなものだったとしても、親権紛争の中で争われる場合には、夫側も弁護士を付けてきますので、上手い言い方をしてくることが多いです。要するに、簡単に「言いがかり」とは思えないように言い分を組み立ててくるのです。
そうすると、裁判所側も重大な関心を抱くケースもあります。実際に虐待行為が繰り返されていた場合には、あなたを親権者に選んで大丈夫なのか、裁判所もしっかりと見極める必要があるからです。
 そのため、夫側の言い分が事実無根なものである場合には、事実無根であることをしっかりと指摘・反論していく必要があります。

 

 

4.躾の範囲でも暴力はNG


 たまに、子どもがあまりに言うことを聞かないので手をあげることは多かったです、とか、言っても聞かない子は叩いても許される、というようなことを奥様側から言われることもあります。
 ただ、いかなる理由があろうとも、お子様の身体に危害を加えることは、裁判所から見ると問題行動と評価されるリスクが高いです。
 そのため、仮に、事実としてあなたが暴力を振るったことがある場合には、そのことの影響を極力小さくしていくために、どのように裁判所にアピールしていくのかといった点をしっかりと弁護士と入念に準備していく必要があります。

 

 

5.逆に「虐待」と騒ぐ夫の発言は脅迫じゃないのか?


夫側の言い分が「言いがかり」に近い場合、頻繁に「虐待」と責め立てて来ることは、あなたに対する心理的虐待という側面も持ちます。
 ただ、裁判所に対して、このような点をクローズアップしても、裁判所の反応は薄いことが多いです。親権争いの中では、対お子様との関係の問題が重要であって、夫婦間の問題は重要性が落ちるからです。
 そのため、先方からの「言いがかり」に対しては、そのような事実がないこと、もしくは、過去の実際の出来事等を正確に裁判所に伝えるという対応に徹した方が良いことが多いです。

 

 

6.夫も子供に手をあげていたので「お互い様だ」という主張は?


 たまに、私にご相談に来られた方から、多少子供に手をあげてしまったことは事実だが、夫も手をあげることがあったのでお互い様だとおっしゃる方もいます。

 ただ、「お互い様」という点を強調し過ぎてしまいますと、裁判所から見ると「この夫婦はどっちもどっちなので、この人たちにお子さんを預けて大丈夫なのか?」とか「むしろ児童相談所に預けてもらった方が安全なんじゃないか?」という発想を持ちかねません。

 

 そのため、いずれにしましても、あなたが多少お子様に手をあげてしまったことが事実だとしても、その影響は最小限にとどめる必要が出てきます。

そして、お互い様というよりも、夫の側がお子様に対して何度か手をあげたことがある場合には、その虐待の点をしっかりと強くクローズアップしていく必要があります。

「お互い様」というと、あなた自身が行ったお子様への行動について、反省もなく「開き直っている」という印象を裁判所に与えかねませんので、注意が必要です。

 

 

7.まとめ


・夫が神経質だと、頻繁に虐待だと責められる事態もある。
・夫の言い分が「言いがかり」に近いような場合、影響は少ない。
・ただ、「虐待」の有無については裁判所も関心を持つことが多いので、しっかりと反論する必要がある。
・躾の範囲でも暴力はNGなので、そのことを頭に入れて準備する必要がある。
・夫の虐待発言は、あなたに対しる心理的虐待の側面もあるが、監護者指定事件では、あまりそこをクローズアップしないことの方が多い。

・夫婦お互い様という視点は、裁判所に悪印象を持たれるリスクがあるので注意が必要である。

 

 

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