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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑤】皆さんモラハラチェックリストに何個ぐらい当てはまった後に弁護士に相談してるんでしょうか?

2024.10.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.モラハラチェックリスト


 モラハラとは「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」のことであると言われてもピンと来ない方が多いのではないでしょうか。そこで、一定の類型化をするとモラハラとは以下の様に分類できるのではないかと思います。以下のうち、どの項目に該当するかチェックして整理すると、あなたのモラハラ被害を客観視できると思います(以下を「モラハラチェックリスト」と呼んだりしています)。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

 

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

 

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

 

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

 

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

 

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

 

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

 

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

 

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

 

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

 

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

 

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

 

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

 

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

 

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

 

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

 

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

 

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

 

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

 

⑳生活費を渡さない。

 

これは目安ですが、この20項目のうち、5,6個以上当てはまる場合には、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。直接当てはまらない場合でも、「ニアピン」のような項目が7,8個以上ある場合にも、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。

 

 

3.皆さん弁護士に相談するときにはチェックリストに何個ぐらい当てはまっているのか?


 私が相談に乗っておりますと、チェックリストに17個とか18個当てはまるという方もいれば、2個とか3個しか当てはまらないという方もいます。

 このようにチェックリストに何個当てはまった上で相談に来ているのかは、「人による」というのが私の率直な感想です。

 また、これも誤解されやすいので予めお話しておきますが、チェックリストに沢山当てはまるほど「離婚すべき」で、チェックリストにあまり当てはまらない場合には「離婚すべきでない」という相関関係があるわけではないということです。

 チェックリストにあまり当てはまらないけれども、そのモラハラ行為があまりに長く続いてきたという場合には、深刻で、早めに離婚した方が良いというケースもあるのです。

 

 そのため「私はあまり沢山モラハラチェックリストに当てはまっていないから、まだ弁護士さんに相談するほどのことではない」と考えるのではなく、あなた自身が離婚すべきか悩んでいる場合には、遠慮なく相談して欲しいです。

 

 

4.チェックリストにあまり沢山当てはまらない人は、その後どうしているのか?


 チェックリストにあまり沢山当てはまらない方々がその後どうしているのか?ですが、結論から言いますと、「皆様人それぞれ」という回答になります。

 今後どのようにしていくのか考えたいということでお帰りになる方もいれば、逆に、最初から弁護士に依頼しに来たということでその場でご依頼なさるという方もいます。

 以下では、このような方もいらっしゃるという代表例のようなものとしてご紹介いたします。

 

(1)【代表例①】特に強く確認したかったのは他のことなので、意見を聴いてお帰りになる

 代表的なのは、離婚ということよりも親権のことの方が気になっていて、このままの状態で親権がとれるのかどうかを確認してお帰りになるというようなパターンです。

 養育費や財産分与など金銭的なことを確認したかったということで、ご確認して帰られるという方もいらっしゃいます。

 

(2)【代表例②】一度夫に直接話してみるということでお帰りになる

 一度夫と話をして見るというのは大きく2パターンあります。

 具体的には、夫に最後のチャンスを与えるかどうかという点です。

 可能性は低いけれども、もう一度だけ夫に話をして見て、改善するようなら離婚を回避できるかもしれないという思いで、話をして見るという方もいれば、逆に、別れるということは決意していて、別居の時期などについて相談するために夫と話をして見るという方もいます。

 いずれ弁護士に入ってもらうかもしれないけれども、自分でできるだけのことはするという方が、このような決断をなさることが多いです。

 

(3)【代表例③】別居したいけど離婚するか悩まれる

 モラハラチェックリストに多数該当するわけではないけれども、夫のモラハラがあなたの精神面で非常に辛く、別居は早めにしたいという方です。

 ただ、今すぐ離婚するのかというと、今は精神的に厳しく、冷静に判断することが難しいので、離婚するかどうか今決めることはできないということでお悩みになっているのです。

 このような場合には、一度冷却期間を置きたいということで、そのような切り口で夫側に話をして見ても良いのではないかとアドバイスさせて頂くことが多いです。

 

(4)【代表例④】別居のタイミングや手順を再確認できたということで一旦お帰りになる

 私のところにご相談に来られた主眼が、「どのように別居の準備をした方が良いのか?」という方もいらっしゃいます。

 その場合、別居にあたってどのような準備をすべきかをアドバイスさせて頂き、それを聞いた上で、実際の別居予定日などを考えて、また後日相談に来ますといった方もいます。

 

(5)【代表例⑤】そのまま秦弁護士に依頼してしまう

 私のところに相談に来る前に、既に離婚することを決意し、もう別居先も決めてしまっているという方もいます。

 そのような方は、最初から私に依頼する目的で来たということで、その場で弁護士に委任するという方もいます。

 

 

5.まとめ


・モラハラチェックリストは20項目ある。

・私のところに相談に来られる方の中には非常に沢山当てはまっている方もいれば、あまり多数当てはまっていないという方もいる。

・あまり沢山当てはまっていないイコール離婚すべきではないという相関関係にはない。

・あまり沢山当てはまっていなくても、その場で弁護士に依頼する人もいれば、逆に、最後の関係修復の機会を与えるべく夫と直接話をするという人もいる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(6)】自分にも落ち度があるのですが、どう対応すればよいのでしょうか?

2024.10.14更新

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1.本当に悔やんでも悔やみきれない


 相手が出て行く前に、別居や離婚の話し合いがなされていた場合には、あなたにとっても、何故相手が出て行ったのか、なぜ離婚したいのかについては目星がついていることが多いと思います。

 そのため、「どうしてあの時あんなことを言ってしまったんだろう」とか「どうしてあの時こうしなかったんだろう」と「悔やんでも悔やみきれない」という思いの方もいると思います。

 このような経過もあるため、あなたとしても、本当の気持ちとしては「別れたくない」と思っていても、「自分にそんなことを言う資格があるのか?」ということで思い悩んでしまうこともあると思います。

 今後あなたがどのようにしていくのが良いか、弁護士の立場から解説していきます。

 

 

2.自分がどうしたいのかをしっかりと決断する


 前述のように「悔やんでも悔やみきれない」というお気持ちが強いのでしょうが、相手から離婚を要求されている以上、過去のことばかりに捉われていても、良い方向には進みません。

 そのため、まずは、「自分がどうしたいのか」をしっかりと決断してもらう必要があります。

 私は、そのような際には、「あなたの気持ちの根底にあるものは何ですか?」「本当にしたいのは離婚なんですか夫婦関係修復なんですか?」と質問するようにしています。

 あなたが「できることから関係を修復したいんです」と思っているのでしたら、「それなら、あなた自身の人生なんだから、夫婦関係修復を目指しましょう」とアドバイスするようにしています。

 

 実際に、あなた自身の今後の人生のことなのですから、自分のことを最優先に決断することは別にわがままでも何でもありません。

 ただ、このように「言うことは簡単」でも、多くの人は「そんなに簡単に割り切れない」という方が多いでしょうから、じっくりと考えて、「今後自分がどうしたいのか」結論を出してもらうようにしています。

 そして、一度決断した後は、「その方針を簡単には曲げない」という形で対応していくことになります。

 

 

3.自分の落ち度がどれほどのものなのかについて向き合う


(1)まずは「裁判上の離婚理由」に該当するのかの見極め

 今後の戦略を立てていくにあたっては、あなた自身がお感じになっている「落ち度」がどのようなものなのかについて向き合う作業が必要になります。

 特に、あなたが婚姻期間中に不貞行為に及んでしまった場合や暴力をふるって相手に怪我を負わせてしまったというような場合には、これらは、裁判上の離婚理由(離婚裁判になった場合、相手が勝訴できるだけの理由)になりますので、①相手がどこまでの証拠を持っているのか、②今後どのように事情を説明していった方が良いのかなどを慎重に検討する必要があります。

 もし、相手がしっかりとした証拠を持っているような場合には、残念ながら離婚裁判を避けるという観点から、裁判になる前に離婚に応じるという対応を検討した方が良いケースもあろうかと思います。

 

 逆に、あなたが考える「落ち度」が、上記の裁判上の離婚理由には該当しない場合、上記ほど今後のことを恐がる必要はありませんが、やはり、どのように事情を説明していくべきかについては慎重な検討が必要になります。

 なお、このようなご自身の落ち度の振り返り作業は、時に精神的に辛い作業になることも多いので、そのような場合には、一定期間をかけて振り返ることもあります。

 

(2)「裁判上の離婚理由」がないのであれば、あなた自身を責め過ぎないこと

 前述のように、あなたとしては、相手が出て行ってしまったことで、「悔やんでも悔やみきれない」と強く感じているかもしれません。

 しかし、前述のような「裁判上の離婚理由」がないのでしたら、通常の夫婦でも多かれ少なかれ存在する出来事と言えますので、「あまり自分を責め過ぎないでください」とお伝えすることが多いです。

 

(3)相手の主張に応じて臨機応変に対応していく

 また、調停などの手続きを進めていくと、こちらが予想していなかった理由を相手が述べてくる場合もありますので、そのような場合には、相手の主張が正しいのかどうか、どのように事情を説明していくのかについて検討していくことになります。

 

 

4.相手の落ち度の内容についてもお話し頂く


 夫婦として生活を送っていますと、あなただけが一方的に悪いというケースは実際にはほとんどなく、相手にも落ち度があるというケースが大半です。

 もちろん、相手の落ち度を相手に直接ぶつけてしまいますと夫婦喧嘩の延長と一緒ですので、相手にぶつけるタイミングやぶつけ方は慎重に検討すべきですが、予め事情を聞いておきませんと、普段の夫婦生活や家族生活の状況が分かりません。

 そのため、「相手の落ち度」についてもお話しいただく必要があります。

 

 

5.夫婦関係の修復を目指す以上は、「反省と感謝」の気持ちで対応していく


 あなたが一定の落ち度を自覚している以上、その「落ち度」に関する反省の気持ちを相手に伝えることが必要になります。あなたの反省の気持ちが相手に十分に伝わらないと、夫婦関係の修復は難しくなってしまいます。

 合わせて、同居中の相手の協力などについて感謝の気持ちを述べることが多いです。

 このような「反省と感謝」が今後の夫婦関係修復の重要ポイントになることが多いです。

 

 

6.まとめ


・まずは、自分がどうしたいのかをしっかりと決断することが大事である。

・次に、自分の落ち度がどのようなものなのかを振り返る必要がある。

・振り返る際には、「裁判上の離婚理由」に該当するかどうかが重要である。

・あなたの落ち度が「裁判上の離婚理由」ではない場合、「自分を責め過ぎないこと」が大事である。

・相手の落ち度についても平行して検討する必要がある。

・夫婦関係の修復を目指す以上は「反省と感謝」の気持ちが大事である。

 

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【絶対に離婚したくない(5)】(夫側のケース)子供に会えないのが精神的にしんどいんですがどうすれば良いのでしょうか?

2024.10.14更新

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1.突如妻が子供と一緒に出て行ってしまった


 事前に十分な話し合いがなされたのであればまだしも、ほとんど話し合いもなく奥様がお子様と一緒に突如出て行ってしまった場合、その喪失感は非常に強いと思います。

 心理学的観点からも、別居や離婚は人生の中でも特に精神的負担が大きい出来事の一つとされています。

 今回は、夫側の視点から、突如奥様がお子様と一緒に出て行ってしまい、お子様と会えないことでの精神的辛さ・しんどさをどうしていくべきかについて解説していきます。

 主に、夫側の視点からの解説であり、妻側の視点からの解説ではないので、ご留意下さい。

 

 

2.まず、弁護士抜きで話ができるようならば、弁護士抜きでの話をチャレンジする


 まだ奥様の側が弁護士を立てていないとか、弁護士を立てる予定だとしても、少し時間がかかりそうな場合、弁護士抜きでの話をトライしてみると良いです。

 ただ、奥様があなたと直接話をすることに抵抗感が強い場合には、無理に奥様に会おうとしたり、電話をかけるなどして話そうとすると逆効果のことが多いです。

 そのような場合には、奥様側のご両親や兄弟姉妹など、間に入ってくれそうな人を介して話をするということが考えられます。

 

 このようにして、奥様と直接話ができるようでしたら(もしくは、奥様の親族を介して話ができるようでしたら)、あなたの今の反省の気持ちと同居中の奥様の貢献への感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにして下さい。あなたとしては、お子様の件が非常に気がかりだとは思いますが、まずは、奥様のことを労わるような姿勢がないと、離婚を回避することはできませんので、まずは奥様のことを話題に出し、次いで、お子様のことを話した方が良いと思います。

 なお、奥様が弁護士を立てる前に話をしなければならないと考えて焦ってしまうと逆効果のことが多いので、奥様側の抵抗が強いようでしたら、無理に直接の話し合いにこだわらない方が良いと思います。

 

 

3.離婚を回避したい以上、奥様のことをおざなりにしないこと


 あなたとしては、急に出て行かれて、お子様の様子が全く分からないので、お子様が今どうしているのか心配、お子様の成長の様子をしっかりと知りたい、お子様と一刻も早く会いたい、という気持ちだと思います。

 ただ、あなたにとっての最終のゴールが離婚を回避して、夫婦関係を修復したいというものである以上は、奥様のことをおざなりにしてしまうのは本末転倒です。

 そのため、奥様側とのコンタクトについても、お子様のことばかりの話題になることは避けた方が良いです。お子様のことばかりを話題に出すと、奥様の側からすると「自分が放っておかれている」と感じてしまい、夫婦関係修復の可能性が下がってしまうからです。

 

 

4.監護者指定審判手続を取るべきか?


(1)そもそも監護権って?

そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利(身上監護権と言ったりします)だけではなく、他にも財産管理権と身分行為の代理権が含まれています(要するに、3つの権利の集合体が「親権」ということになります)。

この親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

(2)結局、監護者指定審判手続きで勝訴するとどうなるのか?

 あなたの方から監護者指定審判手続きを起こし(正確には、「3点セット」などと言われたりしますが、監護者指定審判と子の引渡し審判、これらの保全処分という3つの事件を同時に起こすのが一般的です)勝訴すると、法律上正当な権利をもって、奥様の側にお子様の引渡しを要求することが可能になります。

 その意味で、監護者指定審判手続きは非常に強力な手続きと言えます。

 

(3)弁護士としては、基本的に監護者指定審判手続きはオススメしない

 これは弁護士によって考え方の違いがあるところだと思いますが、私自身は、基本的に監護者指定審判手続きはオススメしていません。

 監護者指定審判手続きは、あなたが勝訴すれば、奥様の側にお子様の引渡しを要求できるという意味で強力な手続きである反面、「負けられない戦い」になることが多いです。

 そのため、同居中の奥様の家事不行き届きや育児不行き届き、育児面での問題点などを徹底的に追及していく必要があります(「負けられない戦い」なので、「なりふり構っていられない」という意味です)。

 

 そうすると、奥様の側からすると、あなたから強く責め立てられていると感じてしまい、夫婦関係修復の道はほぼ閉ざされてしまうのです。

 私のところにいらっしゃる方の中には、「なんとか監護者指定の手続を取って下さい」と言って来られる方もいますが「これをやると奥様との全面戦争になりますよ。そのため、夫婦関係修復はほぼ絶望的になりますが、大丈夫ですか?」とお話させて頂いています。きつい言い方になってしまって申し訳ないのですが、監護者指定審判手続きは、本当に過酷な手続きですので、このようにご説明させて頂いています。

 

 

5.面会交流調停が現実的な選択肢であることが多い


 前述のように、監護者指定審判手続きは強力な手続きである反面、夫婦関係修復の道を閉ざしてしまうリスクが高いため、現実的な選択肢としては、面会交流調停というところに落ち着くケースが多いと思います。

 なお、いきなりこちらから面会交流調停を起こしてしまうと、奥様の側からは「おざなりにされている」と感じてしまうケースが多いので、奥様の側から離婚調停を申し立てられた後に、こちらから面会交流調停を起こすという順番の方が良いです。

 

 

6.まとめ


・奥様が急にお子様と一緒に出て行った場合、弁護士抜きで話ができるようであれば、そのようにするのが良い。

・基本姿勢は、奥様のことをおざなりにしないという姿勢が非常に重要である。

・弁護士としては基本的に監護者指定審判手続きはオススメしない。

・最終的には面会交流調停を申し立てるという手段に落ち着くことが多い。

 

 

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【絶対に離婚したくない(4)】相手が出て行って精神的にしんどいのですが皆さんどうなさっているのでしょうか?

2024.10.14更新

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1.別居や離婚は人生の中で精神的ストレスが特にかかりやすい出来事とされている


 一般的に、別居や離婚は、人生の中でも特に精神的ストレスがかかりやすい出来事されています。

 そのため、相手配偶者が突如別居してしまい、そのことで大きな精神的ストレスを感じることは、通常の反応と言えます。

 私は精神科医などではありませんので、心理学的にあなたの大きな精神的負荷を軽減する方法を知っているわけではありません。

 ただ、私が担当してきた事件の中でも、このように大きな精神的ストレスを抱えてしまうご依頼者様は多いものですから、その方々が実際にどのように対処なさっているのかをご紹介致しますので、参考にして頂ければ幸いです。

 

 

2.【対処方法1】まず、弁護士抜きで話ができるようならば、弁護士抜きでの話をチャレンジする


 まだ奥様の側が弁護士を立てていないとか、弁護士を立てる予定だとしても、少し時間がかかりそうな場合、弁護士抜きでの話をトライしてみると良いです(逆に、奥様が正式に弁護士を立てた場合、弁護士抜きで話をすることは非常にリスクが高いので、基本的には避けるべきです)。

 ただ、奥様があなたと直接話をすることに抵抗感が強い場合には、無理に奥様に会おうとしたり、電話をかけるなどして話そうとすると逆効果のことが多いです。

 そのような場合には、奥様側のご両親や兄弟姉妹など、間に入ってくれそうな人を介して話をするということが考えられます。

 

 このようにして、奥様と直接話ができるようでしたら(もしくは、奥様の親族を介して話ができるようでしたら)、あなたの今の反省の気持ちと同居中の奥様の貢献への感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにして下さい。

 なお、奥様が弁護士を立てる前に話をしなければならないと考えて焦ってしまうと逆効果のことが多いので、奥様側の抵抗が強いようでしたら、無理に直接の話し合いにこだわらない方が良いと思います。

 

 

3.【対処方法2】親族や友人など信頼できる人物に話をする


 比較的容易な手段としては、親族や友人など信頼できる人物に話をする・相談するという方法があります(自分の悩み事を聞いてもらってストレス発散する、という意味です)。

 たまに、「嫁が出て行ったなんて恥ずかしくて話ができない」とか、「夫に見捨てられたなんて話を友人にしたら自分が一層みじめになる」といったことで、全く他の方に相談なさっていないという方もいます。

 ただ、別居や離婚というテーマは一人で抱えるにしては重た過ぎるテーマなので、私の方からは、「極力信頼できる人物に話をした方が良いですよ」とアドバイスさせて頂くことが多いです。そのことが多少なりともストレス発散につながることが多いです。

 

 

3.【対処方法3】カウンセリングなどを受ける


(1)精神的に辛いようであればカウンセリングは積極的に利用した方が良い

 前述のように親族などに相談してもあまりに気分の落ち込みがひどいとか、全く夜眠れないというようなときには、カウンセリングを受けることをアドバイスさせて頂くこともあります。

 前述の通り、私は心理学の専門家ではありませんから、私がお話を聞くことにも限界がありますから、カウンセリングを受けることで心理的ストレスを少しでも軽減してもらうのです。

 

 カウンセリングのことでご質問を受けることが多いのは、「カウンセリングを受けると余計に離婚にとって不利にならないでしょうか?」とか「親権獲得にあたって不利にならないでしょうか?」という点です。あなたがカウンセリングを受けると、自ら精神的に不安定だと認めるようなものなので、相手は余計に離婚を強く主張してくるのではないか?育児の面でも悪影響があると主張されるのではないか?という観点からのご質問です。

 結論から申しますと、カウンセリングを受け始めたからと言って、離婚や親権の点で大きく不利になることはほとんどありません。

 

 もちろん、精神的負荷が大きく、仕事もろくにできなくなってしまったというような場合には、一定程度の影響は避けられませんが、これまで通りに仕事ができているというようなことであれば、離婚や親権への影響はほとんどないのです。

 そのため、精神的に辛いと感じるようであれば、私の方からは「あまり我慢して本当に体調を崩してしまうと元も子もないですよ」とアドバイスさせて頂くことが多いです。

 

(2)モラハラ講習やDV講習は全く別

 なお、カウンセリングと似たようなものとして、モラハラ講習やDV講習(プログラム)といったものがあります。

 相手があなたのモラハラやDVを強く主張してくるので、自発的にモラハラ講習やDV講習(プログラム)を受けようと考える方もいますが、当該講習等を受けることは慎重に検討した方が良いです。

 なぜなら、そのような講習やプログラムを受けることは、あなた自身モラハラやDVをしてきたという前提で、それを改善するために受講するという色彩が強いので、今後の交渉等に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。

 相手が主張する離婚理由がほぼ正確なもので、あなた自身もそれを全て認めて、改善したいということであれば別ですが、実際には、相手が実際の出来事よりも誇張してきたり虚偽を述べてくることが多いため、それを認めるような行動は避けた方が良いのです。

 

 

4.【対処方法4】面会交流を実施してストレス軽減を図る


 この対処方法は、夫側の対処方法であることが多いです(妻が子供達と出て行ってしまったので、夫側から面会交流を要請するというパターンです)。

 お子さんとの面会交流が実施できるようになると、相手配偶者と直接話などはできないまでも、お子様と接することで安心感が増してくるというケースもあります。お子様が無邪気に遊んでいる様子を見て安心することで精神的ストレス軽減につなげることができるのです。

 なお、面会交流の話題を出すタイミングを慎重に検討すべき事案も多くありますので、この点は注意が必要です。お子様に会いたいということばかりを強く主張すると相手配偶者からすると「自分のことが放っておかれている」と感じることも多いからです。

 そのため、最初のうちは夫婦関係修復の話をし、少し後に面会交流の話をしていくという進め方をすることが多いです。

 

 

5.【対処方法5】信頼できる弁護士を雇う


 相手がまだ弁護士を立ててきていない場合には、こちらから先に弁護士を立てることはオススメしません。こちらから先に弁護士を立てると相手を不用意に刺激してしまう虞があるからです。

 他方で、相手が既に弁護士を立てていたり、既に離婚調停を申し立てられたりしている場合には、こちらも弁護士を立てることを検討した方が良いです。

 その場合には、離婚だけではなく夫婦関係修復にも力を入れている弁護士に依頼することをオススメします。

 そのようにして弁護士を雇うと、その弁護士があなたの話をじっくりと聞いてくれますし、今後の手続きの安心感も増すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・相手が出て行って精神的にしんどい時の対処法としては以下のようなものがある。

1)弁護士抜きで話ができるようであれば、弁護士抜きでの話をチャレンジする

2)親族や友人に話をする・相談する

3)カウンセリングを受ける

4)(主に夫側の対処方法)子供との面会交流を実施する

5)信頼できる弁護士に依頼する

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?④】皆さんモラハラの証拠はどのくらい持っているのでしょうか?

2024.10.14更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.結論から言うと、決定打になるような証拠は乏しいケースが大半


 私がモラハラ離婚の事件を扱っている中で、決定打になるような証拠があるケースはむしろ稀で、証拠が乏しいケースの方が大半です。

 具体的には以下のように大別できます。

 

(1)そもそもほとんど証拠を残せていない

夫のモラハラ行為は唐突に始まるため、録音のスイッチを押すタイミングがなかったとか、そもそも、夫のモラハラ行為が無視や監視などなので、証拠化そのものが難しいといったケースもあります。

これらの場合にも、当時の状況を綴った日記が少しは残っているという方はいるのですが、ノートやリングファイルに日付と出来事を書いただけの日記ですと、あまり有力な証拠にはなりません。このような形式の日記ですと、本当にその日に記載したかが分かりませんし、日記ですと、その時のあなたの感情などを反映していることもあって、客観性に欠ける面があるからです。

日記アプリでの記録につきましても、日記アプリの内容は一度記載しても、後から修正や編集が可能なものが多いため、それだけでは、残念ながら、あまり有力な証拠にはならないことが多いです。

 

(2)2,3個録音などの証拠はあるが、決定打として使いにくい

 このケースは、夫の発言を録音として記録できてはいるけれども、不十分だというケースです。

 例えば、夫が怒鳴り始めたので録音のスイッチを入れたが、結局怒鳴っていたのは最初の部分だけで、肝心の怒鳴り声の部分の録音ができなかったとか、録音はできているけれども、周りの音などがうるさくて夫の声が殆ど聞き取れない(お子様が泣き出してしまい、その泣き声にかき消されてしまっているとか)といったケースです。

 また、夫の怒鳴り声は聞き取れるものの、妻側もかなり強く言い返していて、夫のモラハラというよりも、夫婦喧嘩の音声に聞こえてしまうというケースもあります。

 LINEなどについても同様でして、確かにモラハラ夫のモラハラ発言はLINEに残っているのですが、妻側もかなり強めの反論をしていて、どちらか一方だけを悪いと評価することが難しいというケースもあります。

 

(3)録音は10個とか、それなりの数があるが、決定打として使いにくい

 このケースは、奥様の方で何かのために沢山録音を取っておいたものの、夫の怒鳴り声をあまり拾えていないとか、夫の怒鳴り声は聞き取れるものの、妻側もかなり強く言い返していて、夫のモラハラというよりも、夫婦喧嘩の音声に聞こえてしまうといったケースです。

 

 

3.モラハラの証拠が乏しいという前提で戦い方を考えることの方が多い


 前述の通り、モラハラの証拠がほとんどないというケースの方が多いので、私としては、①モラハラの証拠がほとんどない状態でどのように戦うか、または、②少ししかないモラハラ証拠をどう活用して戦っていくかという発想で準備、立ち向かっていくことが多いです。

 以下では、モラハラの証拠がほとんどない状態で、私の経験上、どのように戦っているのかをご紹介します。なお、下記の対処方法は代表的なものでして、実際には、事案に応じて、対応策を考えるようにしています。

 

 

4.【対処方法1】別居期間を稼ぐ


 相手が自分のモラハラを認めればよいのですが、証拠がない場合には、そのことを認めないケースも多いです。

 そうなった場合、証拠がない事実ばかりを主張していても離婚の道筋を付けることは難しいです。

 

 このような場合の直接的な方法としては「別居期間を稼ぐ」ということが最も有効な手立てと言えます。

 モラハラ等の明確な離婚原因の証明ができない場合であっても、別居期間が長期間に及ぶ場合には、このような別居生活の方が夫婦としての同居生活よりも安定しているという考えになりますので、離婚が認められやすくなるのです。

 

 どの程度の別居期間が必要かという点は、これまでの同居生活でのやり取りによりますので、一義的なことは言いづらいのですが、3年、4年が一つの目安と言われています。

 あなたとしては、早くモラハラ夫との縁を切りたいと考えているので、3年とか4年の期間は「非常に長い」と感じるとは思いますが、手堅く手続きを進めるという観点から、一定の別居期間を置いてから離婚裁判に打って出るという進め方をすることもあります。

 

 

5.【対処方法2】早めに婚姻費用の支払いを開始させる


先ほど説明した「別居期間を稼ぐ」という方法は、いわゆる手堅い手段ではあるのですが、離婚成立までに時間がかかってしまうというのが大きな難点です。

 

 そこで、次に考えられるのが婚姻費用を支払わせるという方法です。

 モラハラ夫は、自分の気に入らないことに対してはお金を払わないという態度の人間が多いため、「勝手に出ていった人間には生活費は渡さない」と言ってくる人は多いです。

 ただ、正式に離婚が成立する前であれば、あなたは婚姻費用(生活費)を請求する正当な権利がありますので、相手の「支払わない」という言い分が認められる可能性は極めて低いです。

 

 そのため、この権利を早めに行使し、早めに先方に婚姻費用の支払いを開始させることが重要です。

 なぜなら、相手に毎月生活費を支払わせていくと、相手としては納得が行かないお金を毎月支払わなければならなくなりますので、このこと自体がストレスに感じるでしょうし、実際上も毎月婚姻費用を支払うことで自身の収入が減っていきますので、「早く離婚してしまった方が、負担が少なくなる」という発想に結びつきやすくなるからです。

 そのため、早めに婚姻費用の問題に着手すると言うことは重要ですので、相手が支払いを拒むようであれば、早めに調停を起こして、支払いを早めに開始させる手順を踏むことが多いです。

 

 

6.【対処方法3】離婚裁判も辞さないという強い姿勢を示す。


 離婚の問題は協議が決裂した場合、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。

 離婚調停の中で、こちらは離婚したい、他方、相手は離婚したくないと言うことで意見が対立してしまいますと、離婚調停も決裂して終了してしまいます。

 

 ただ、調停も終盤に差し掛かりますと、調停委員から、今後どのようなことを考えているのかを質問されますので、こちらとしては、裁判も辞さないという強い覚悟を持っている旨を示していくことになります。

 「裁判」となりますと、夫側も「裁判までやって夫婦関係を修復することなんて流石に無理だろう」と考える人も相当数いますので、調停で話をまとめようとしてくることも多いのです。

 

 

7.まとめ


・実際のところ、モラハラの証拠がほとんどないとか、証拠がないわけではないが、あまり有効打ではないというケースは多い。

・そのため、私はモラハラの証拠が少ないという前提で戦い方を考えることが多い。

・別居期間を稼ぐと言うことが一番端的な対応策である。

・早めに夫側に婚姻費用の支払いを開始させることが重要である。

・離婚調停の席では、裁判を辞さない旨のしっかりとした強い覚悟を示すことも重要である。

 

 

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