【絶対に離婚したくない(5)】(夫側のケース)子供に会えないのが精神的にしんどいんですがどうすれば良いのでしょうか?
2024.10.14更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.突如妻が子供と一緒に出て行ってしまった
事前に十分な話し合いがなされたのであればまだしも、ほとんど話し合いもなく奥様がお子様と一緒に突如出て行ってしまった場合、その喪失感は非常に強いと思います。
心理学的観点からも、別居や離婚は人生の中でも特に精神的負担が大きい出来事の一つとされています。
今回は、夫側の視点から、突如奥様がお子様と一緒に出て行ってしまい、お子様と会えないことでの精神的辛さ・しんどさをどうしていくべきかについて解説していきます。
主に、夫側の視点からの解説であり、妻側の視点からの解説ではないので、ご留意下さい。
2.まず、弁護士抜きで話ができるようならば、弁護士抜きでの話をチャレンジする
まだ奥様の側が弁護士を立てていないとか、弁護士を立てる予定だとしても、少し時間がかかりそうな場合、弁護士抜きでの話をトライしてみると良いです。
ただ、奥様があなたと直接話をすることに抵抗感が強い場合には、無理に奥様に会おうとしたり、電話をかけるなどして話そうとすると逆効果のことが多いです。
そのような場合には、奥様側のご両親や兄弟姉妹など、間に入ってくれそうな人を介して話をするということが考えられます。
このようにして、奥様と直接話ができるようでしたら(もしくは、奥様の親族を介して話ができるようでしたら)、あなたの今の反省の気持ちと同居中の奥様の貢献への感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにして下さい。あなたとしては、お子様の件が非常に気がかりだとは思いますが、まずは、奥様のことを労わるような姿勢がないと、離婚を回避することはできませんので、まずは奥様のことを話題に出し、次いで、お子様のことを話した方が良いと思います。
なお、奥様が弁護士を立てる前に話をしなければならないと考えて焦ってしまうと逆効果のことが多いので、奥様側の抵抗が強いようでしたら、無理に直接の話し合いにこだわらない方が良いと思います。
3.離婚を回避したい以上、奥様のことをおざなりにしないこと
あなたとしては、急に出て行かれて、お子様の様子が全く分からないので、お子様が今どうしているのか心配、お子様の成長の様子をしっかりと知りたい、お子様と一刻も早く会いたい、という気持ちだと思います。
ただ、あなたにとっての最終のゴールが離婚を回避して、夫婦関係を修復したいというものである以上は、奥様のことをおざなりにしてしまうのは本末転倒です。
そのため、奥様側とのコンタクトについても、お子様のことばかりの話題になることは避けた方が良いです。お子様のことばかりを話題に出すと、奥様の側からすると「自分が放っておかれている」と感じてしまい、夫婦関係修復の可能性が下がってしまうからです。
4.監護者指定審判手続を取るべきか?
(1)そもそも監護権って?
そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利(身上監護権と言ったりします)だけではなく、他にも財産管理権と身分行為の代理権が含まれています(要するに、3つの権利の集合体が「親権」ということになります)。
この親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。
離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。
(2)結局、監護者指定審判手続きで勝訴するとどうなるのか?
あなたの方から監護者指定審判手続きを起こし(正確には、「3点セット」などと言われたりしますが、監護者指定審判と子の引渡し審判、これらの保全処分という3つの事件を同時に起こすのが一般的です)勝訴すると、法律上正当な権利をもって、奥様の側にお子様の引渡しを要求することが可能になります。
その意味で、監護者指定審判手続きは非常に強力な手続きと言えます。
(3)弁護士としては、基本的に監護者指定審判手続きはオススメしない
これは弁護士によって考え方の違いがあるところだと思いますが、私自身は、基本的に監護者指定審判手続きはオススメしていません。
監護者指定審判手続きは、あなたが勝訴すれば、奥様の側にお子様の引渡しを要求できるという意味で強力な手続きである反面、「負けられない戦い」になることが多いです。
そのため、同居中の奥様の家事不行き届きや育児不行き届き、育児面での問題点などを徹底的に追及していく必要があります(「負けられない戦い」なので、「なりふり構っていられない」という意味です)。
そうすると、奥様の側からすると、あなたから強く責め立てられていると感じてしまい、夫婦関係修復の道はほぼ閉ざされてしまうのです。
私のところにいらっしゃる方の中には、「なんとか監護者指定の手続を取って下さい」と言って来られる方もいますが「これをやると奥様との全面戦争になりますよ。そのため、夫婦関係修復はほぼ絶望的になりますが、大丈夫ですか?」とお話させて頂いています。きつい言い方になってしまって申し訳ないのですが、監護者指定審判手続きは、本当に過酷な手続きですので、このようにご説明させて頂いています。
5.面会交流調停が現実的な選択肢であることが多い
前述のように、監護者指定審判手続きは強力な手続きである反面、夫婦関係修復の道を閉ざしてしまうリスクが高いため、現実的な選択肢としては、面会交流調停というところに落ち着くケースが多いと思います。
なお、いきなりこちらから面会交流調停を起こしてしまうと、奥様の側からは「おざなりにされている」と感じてしまうケースが多いので、奥様の側から離婚調停を申し立てられた後に、こちらから面会交流調停を起こすという順番の方が良いです。
6.まとめ
・奥様が急にお子様と一緒に出て行った場合、弁護士抜きで話ができるようであれば、そのようにするのが良い。
・基本姿勢は、奥様のことをおざなりにしないという姿勢が非常に重要である。
・弁護士としては基本的に監護者指定審判手続きはオススメしない。
・最終的には面会交流調停を申し立てるという手段に落ち着くことが多い。
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