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【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(9)】何をどうアピールして夫婦関係修復につなげていくか

2025.06.30更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

1.何をどうアピールするか?


 夫からの突然の離婚話や突然の別居等、あなたからすると、強いショックを受けてしまうような事態が起きようとしている、もしくは起きてしまったのだと思います。
 そのような場合、どうすれば夫が戻ってきてくれるのか、何をアピールすればよいのか、ということがとても気になるところではないかと思います。
 そこで、今回は、どのようにアピールするのが良いかについて解説していきます。なお、相手が弁護士を立てている場合と、立てていない場合とで、対応方法が異なってくるものですから、場合分けして解説していきます。

 

 

2.【ケース1】夫がまだ弁護士を立てていない段階


(1)【ポイント1】まずは、夫の真意を探る
 まずは、夫の真意が分からなければ、何をアピールしていくのが良いのかを絞り込んでいくことは難しいので、夫の真意を確認していくということが重要な作業になります。
 まだ夫が同居中、または、別居してしまった後でも、直接夫と話ができるようなら直接話をするのが一番だと思います。それが難しい場合には、焦って夫と話をすることにこだわり過ぎず、夫の両親と話をするなど、夫の様子や夫が求めているものを探っていくという作業をしていくことになります。

 

(2)【ポイント2】ひとまずそっとしておいた方が良い時もある
 私が離婚希望者から相談を受けておりますと、「そっとしておいて欲しいのに、しつこく連絡が来た」とか「落ち着いて冷静に考えたいのに、早く帰って来いという連絡が来て一気に気持ちが冷めた」というようなことをおっしゃる方は相当数います。
 前述の通り、極力、夫側の様子や真意を確認した方が良いのですが、夫が「そっとしておいて欲しい」と考えているような場合には、「そっとしておく」方が良いということもあります。あなたとしては、ついつい焦ってしまうのでしょうが、それが逆効果になってしまっては元も子もありません。

 なお、このようなお話をしますと「いつまでそっとしておけばいいんですか?」とか「どのくらいそっとしておけばよいのか分からないと困ります」というお話をなさる方もいます。
 いつまでそっとしておいた方が良いかは、夫側の現在の心境によりますので、一概に申し上げられません。そのため、実際には、相手への直接の連絡は控えながら、相手の両親などとも相談しながらタイミングを見極めるのがベストだと思います。
 くれぐれも「焦らない」ということを肝に銘じて対応して下さい。

 

(3)【ポイント3】夫の話を素直に受け止めて反省・感謝する
 私がご相談を受けた際に、よくアドバイスするのは「改善策をアピールするにあたって、まず最初に必要になるのは、反省と感謝だよ」という点です。
 その前提として必要になるのが「夫の話を素直に受け止める」という点です。
 夫側と直接話をしていると、どうしても「反論したくなる」「夫が誤解している点は指摘したくなる」「こちらのことも分かって欲しくて口を挟みたくなる」ということが多いと思います。

 しかし、今は夫の方から別れ話が出たり、もしくは別居が開始してしまっている状況ですので、状況は深刻な状態だと理解した方が良いと思います。
 そんな状況で、夫側と言い合いになってしまっては、夫婦関係の修復はより一層難しくなってしまいます。
 そのため、一旦は、夫の話をしっかりと素直に受け止めることが大前提になります。
 その上で、あなたとして反省すべき点は反省し、夫の仕事や家事・育児への協力など感謝すべきは感謝するという姿勢がとても重要になります。

 

(4)【ポイント4】夫の話を素直に受け止めて改善する
 前述のように夫の話を素直に受け止めるということが非常に重要なのですが、そのように受け止められると、次のステップを導き出しやすいと思います。
 例えば、こちらが怒りっぽいのが嫌だというのであれば、アンガーマネジメントのカウンセリングを受けるなどして改善していくという改善策が考えられます。
 また、自由になるお金が少なくて不満だったということであれば、小遣いを増やしたり、家計を一緒に管理するなどして、家計の状況を共有するという改善策が考えられます。
 さらに、あなたの両親との付き合い方に不満があるということであれば、あなたの両親と距離を保つようにするといった改善策が考えられます。
 このように、こちらが素直に受け止める姿勢であれば、夫も本音を話しやすくなりますし、それが分かれば、こちらの改善策に直接結びつけていくことができるようになります。

 

(5)【ポイント5】夫を改善させたいという姿勢は基本的にNG
 色々と話を聞いていますと、「夫はよく節約というけど、自分の趣味にはかなりのお金を使っていて、それが解決すればすべてうまくいくんですよ」とか「夫は私がヒステリックだと言いますが、いつも口喧嘩の原因を作るのは夫の方なんです」などとおっしゃる方は多いです。
 もちろん夫婦ですので、どちらかだけが一方的に悪いというケースは実際にはほとんどないと思います。

しかし、今は夫から別れ話が出たり、もしくは別居が開始してしまっている状況ですので、状況は深刻な状態だと理解した方が良いと思います。
そのような状態で、夫の方に直して欲しい点ばかりを並び立ててしまうと、夫婦関係修復が遠のいてしまうだけです。
 夫の問題点があまりにひどい内容の場合には、別途対応を考えなければならないかもしれませんが、「相手を正す」という姿勢は厳禁という形で臨んだ方が良いかと思います。

 

 

3.【ケース2】夫が弁護士を立ててしまった後の段階


(1)【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
 相手が弁護士を立ててきた場合、弁護士が交渉の窓口になるので、本人と連絡を取らないでほしいと言われます。
 そのため、以後の連絡は、相手の弁護士との連絡になるのが基本です。

 

(2)【ポイント2】夫の真意を直接確認することは非常に困難
 前述のように、夫が弁護士を立てた場合、それ以降は、その弁護士が窓口になり、夫本人と直接やり取りすることは望ましくありません。
 そのため、夫と直接話をして、その真意を確認していくことは非常に難しいという認識で臨んだ方が良いです。

 

(3)【ポイント3】反省と感謝は早めに伝えた方が良い
 夫が弁護士を立ててしまった後は、調停など各種手続きが迅速に進んでしまうリスクがあります。
 そのため、早く手続が進んでいくことを防ぎたいのであれば、早めに反省と感謝の言葉は伝えた方が良いと思います。
 なお、口頭で伝えるだけですと、その内容がどこまで夫本人に伝わるかわかりませんので、手紙などの形にして渡すとより良いと思います。
 ちなみに、この手紙の中に夫への不満や夫に直して欲しい点などを書いてしまいますと、夫婦関係の修復は遠のくばかりですので、あなたが反省すべき点、感謝すべき点のみを記載した方が良いと思います。

 

(4)【ポイント4】同居中の夫の言葉や行動をよく思い出してみる
 前述のように、今から夫の真意を直接確認していくことは難しいのですが、同居中から夫が不満を述べていたとか、行動で表れていたということもあります。
 そのため、同居中どういうことで口喧嘩になってしまっていたのか、どういうことで夫が不機嫌になってしまっていたのか、どういうことで夫が家出してしまっていたのかといったことをよく思い出してみると、何を改善すればよいのかが見えてくることも多いです。

 

(5)【ポイント5】最悪の場合、夫側の調停申立書を見る
 前述のように思い出そうとしても、思い出せないとか、突然の別居だったので、思い出しようがないという場合もあります。
 そのような場合には、夫の離婚調停申立書を見ると、何が不満だったのかがある程度分かりますので、それをもとに改善策を検討していくことになります。
 なお、このように調停が始まってしまいますと、関係修復の難易度は上がってしまいますので、できる限り、調停になる前に、夫の不満点などが分かった方が良いのですが、難しいようでしたら、調停まで待つほかありません。

 

4.まとめ


・離婚を避けるために、夫に対して何をどうアピールしていくのかは、夫が弁護士を立てていない段階と、立てた後の段階とで場合分けして検討した方が良い。

・夫が弁護士を立てていない段階
【ポイント1】まずは、夫の真意を探る
【ポイント2】ひとまずそっとしておいた方が良い時もある
【ポイント3】夫の話を素直に受け止めて反省・感謝する
【ポイント4】夫の話を素直に受け止めて改善する
【ポイント5】夫を改善させたいという姿勢は基本的にNG

・夫が弁護士を立ててしまった後の段階
【ポイント1】基本の窓口は夫の弁護士になる
【ポイント2】夫の真意を直接確認することは非常に困難
【ポイント3】反省と感謝は早めに伝えた方が良い
【ポイント4】同居中の夫の言葉や行動をよく思い出してみる
【ポイント5】最悪の場合、夫の調停申立書を見る

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(8)】突如夫が家を出てしまったーそんな時の対処法9選

2025.06.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

  神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.これは「同居義務」違反や「悪意の遺棄」では?


(1)同居義務違反か?

  法律で夫婦に同居義務があることは、あなたも何かで聞いたことがあるかもしれません。そこで、まずは、この点について整理していきます。

 民法752条には、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と規定されておりまして、夫婦の同居義務を定めています。

 唐突に夫が家を出る行為は、この同居義務に違反するようにも見えます。

 

 ただ、同居拒否に正当な理由がある場合には、同居義務違反の責任は発生しないものとされていますし、そもそも、裁判所の命令をもってしても、同居義務を強制することはできないと解釈されています。現在の民法のスタンスは、法律は夫婦や家庭の問題に極力立ち入るべきではない、つまり、家庭の問題は当人同士の話し合い等に委ねるべきであって、強制に馴染まないというスタンスを取っているため、このような解釈が導かれてしまうのです。

 

 そのため、同居義務違反を根拠として、夫側に同居を強制するとか、ペナルティーを課すと言うことは非常に難しいです。

 

 (2)悪意の遺棄か?

 「悪意の遺棄」というのは、正当な理由なく同居義務や扶助義務に違反して婚姻生活を廃絶しようとすることを意味します。

 一家の大黒柱である夫が勝手に出て行ってろくに生活費を渡さないという状況ですと「悪意の遺棄ではないか?」とおっしゃる方もいるのですが、実際にはそう単純ではありません。

 「悪意の遺棄」は、「不貞行為」などと並ぶ離婚裁判事由でして、非常に悪質なケースでない限り「悪意の遺棄」には該当しません。

 

 以上のように、夫側を「同居義務違反だ」とか「悪意の遺棄だ」と責めていくことが現実的には難しいという前提で、以下解説していきます。

 

 

2.まずは場合分けが必要


 突如夫が家を出て行ってしまったケースは、大きく①不倫が強く疑われるケースと②不倫の可能性が低いケースの2つに場合分けができます。

 あなたのケースが、①不倫が強く疑われるケースと②不倫の可能性が低いケースのどちらなのかによって対応の仕方が大きく変わりますので、以下、場合分けして解説していきます。

 

 

3.【ケース1】不倫が強く疑われるケースにおける対処法


【そもそも、「不倫が強く疑われるケース」とは?】

 まず誤解がないように「不倫が強く疑われるケース」というのはどういうケースを指すのかについて、解説していきます。代表的な例を挙げると以下のようなものになります。

 ①同居中に夫が不貞行為をしており、夫も不貞を認めていた。

 ②同居中に夫が不貞行為をしており、夫ははっきりと認めなかったけれども、その時の不貞の確たる証拠がある。

 ③同居中の夫の不貞行為について夫側に問い質してはいないけれども、その時の不貞の確たる証拠がある。

 ④同居中に夫が不貞行為をしていたか確たる証拠まではないが、疑わしい事実・証拠が多数ある。

 なお、ここでの「不貞行為」というのは、夫が他の女性と肉体関係を持つことを指し、単にデートをするといったものは含みません。

 上記の①から④の例をご覧になると「不倫が強く疑われる」というよりも「ほぼ不倫で間違いがない」というケースではないか?と思われるかもしれません。

 ただ、例えば、上記の①でも、その不貞が行われたのが、今から7年前ということもあります。7年前に不貞に及んでいたからと言って、今回不貞の関係で別居したとまでは言い切れないかもしれません。

 そのため、いずれも「不倫が強く疑われるケース」に含まれるものとして、解説していきます。

 

(1)【対処法①】不貞の証拠をつかむ

 まず最初に取り組むべき大事な作業は、不貞の証拠をつかむという作業になります。

 なお、今回の不倫相手が過去の不倫相手と同じである可能性が極めて高いという場合には、改めて不貞の証拠を集める必要はないのですが、「違う相手の可能性がある」という場合には、改めて不貞の証拠をつかむようにして下さい。

 夫が別居した後ですと、不貞の証拠をつかむことは容易ではないことも多いので、必要に応じて調査会社への依頼も検討してみて下さい。

 

(2)【対処法②】不倫相手への慰謝料請求を検討する

 しっかりと不貞の証拠をつかむことができて、不倫相手を特定することができた後は、その不倫相手への慰謝料請求を検討してみて下さい。

 なお、この慰謝料請求は、夫と不倫相手を別れさせる目的で行うものになります。要するに、不倫相手に慰謝料請求をして、不倫相手の方から夫と別れるように仕向けて行くという対処方法になります。

 ちなみに、この慰謝料請求は、中途半端に請求する形を取ってしまいますと、①夫に足元を見られる、②夫と不倫相手の結束が逆に強くなってしまうというような逆効果になってしまうことも多いので、「請求すると決めたからには、強く請求していく」という姿勢の方がよいと思います。

 

(3)【対処法③】夫の親などから説得してもらう

 前述の不倫相手への慰謝料請求は、あなたにとっては全く知らない相手への慰謝料請求という形になるケースも多く、そこまでするのは抵抗があると感じる方もいらっしゃると思います。

 あなたとしては、もめ事を大きくしたいわけではなく、夫との関係を修復したいだけなのだとすると、慰謝料請求ということではなく、夫を説得してくれる人物を探す方が、あなたの目的に沿っています。

 そのため、夫の両親や兄弟姉妹などで、あなたの立場にも理解があって、不倫を思いとどまるよう伝えてくれる人がいれば、その人から夫を説得してもらうという方法も考えられます。

 

 

4.【ケース2】不倫の可能性が低いケースにおける対処法


 あなたが友人などに「夫が突然出て行ってしまった」「全く心当たりがない」といった話をすると、友人の方から「それって浮気じゃない?」と言われることもあります。

 ただ、前述のように同居中夫側の浮気の気配がほとんどないような場合には、浮気の可能性は低いことが多いと思います。

 もちろん、納得がいかないということで、調査会社に依頼して浮気調査をすることでも良いのですが、浮気調査を実施するかどうかは、調査費用との兼ね合いで慎重にご検討ください(調査費用は結構高額だったりします)。

 以下では、浮気の確たる証拠がないとか、浮気の確たる証拠を得る見込みがないというケースを想定して解説していきます。

 

(1)【対処法①】執拗に捜さない

 突如夫が家を出てしまった場合、不安で別居先を突き止めるまで探すという気持ちになっている方もいると思います。ただ、あまりしつこく探してしまいますと、夫側は余計に心を閉ざしてしまうこともありますので、慎重な検討を要することが多いです。

夫側が別居をスタートする経緯や原因は多岐にわたることが多いため、一概にどのような対処がベストかを決めつけることは難しいです。以下では、大きな類型ごとに分けて検討しますが、「この類型では、このような対応が無難であることが多い」というイメージでお読み頂ければと思います。

 

①夫がよく家出をする方の場合

 これまでの婚姻生活で相手が何回も家出をしたことがあるという場合、今回家を出たとしても、トラブルに巻き込まれた可能性は高くないことが多いように思われます。

 基本的にはこれまでの家出と同様の対応をするのがよいでしょう。

 ただ、今回の家出では夫が大量に荷物を搬出してしまっているという場合には、今までと異なり離婚等を検討している可能性もあり得ますので、夫の真意を早めに確認した方が良いように思われます。

 この場合でも、あまり執拗に相手に連絡を取ることは逆効果になることもありますので、注意が必要です。

 

②置き手紙その他のメッセージを残している場合

 方法がやや古い印象がありますが、夫側が別居にあたって置き手紙を残しているという場合も相当数います。手紙ではなくとも、LINEやメールにメッセージが届く場合もあります。

 いずれにしましても、夫が元気に暮らしていると言うことがメッセージに書き込まれている場合には、あまりトラブルの心配はしなくて良いと思います(但し、室内の様子から不審な点等が多い場合には、警察への相談等適切な対処の必要性がある場合もあります)。

 そして、そのメッセージの中に、あまりあなたからのコンタクトを望まない旨が記載されている場合には、執拗にコンタクトを取ろうとすることは逆効果になる可能性が高いです。

 

③今まで家出などしたことがなく、置き手紙もない場合

 この場合には、夫がトラブルに巻き込まれた可能性も否定できません。

 いずれにしましても、夫が突如家を出るような原因がなかったか、何か、それにつながるような話を相手が口走っていなかったかを慎重に思い出してみて下さい。全く心当たりがないようであれば、まずは、相手が行きそうな場所を探すなり、夫の実家に連絡を取るなりして安否を確認してみて下さい。

 夫の安否が明確ではないという場合には、最寄りの警察署への捜索願の提出も考えなければなりません。

 

④夫がトラブルに遭った可能性が低い場合、執拗に連絡を取らない方が良い。

 特に夫がトラブルに遭った可能性が低いという場合、あまり執拗に連絡を取ってしまいますと、相手の気持ちは余計に離れてしまいかねません。

 また、1日に何十件もメールやLINEを送ってしまいますと、夫側は、「普段からこのようにしつこい人間だった」ということで揚げ足を取ってくる可能性があります。

 夫のことを心配に思う気持ちやあなた自身が寂しい気持ちもあるかとは思いますが、今はぐっと堪えた方が、夫婦関係修復に役立つと思います。

 

(2)【対処法②】夫が残したメッセージにどのように反応すべきか

 夫が置き手紙その他別居に際してのメッセージを残しているような場合、その中には、あなたが納得できない記載やあなたを中傷する内容の記載がなされていることもありますが、その内容に対してすぐに返答するのではなく、1時間でも構いませんので冷静になる時間を設けてから返答した方が良いと思います。

 また、夫のメッセージが離婚を告げてくる内容等の場合には、まず、あなた自身が離婚に応じても良いのかという大きな方針を決断してから返答した方が良いと思います。特に離婚に応じられないという場合、あまり感情的な議論を持ちかけても、相手は余計にあなたに対する気持ちが離れてしまう危険性があるので、慎重な対応が必要になります。

 さらに、あなたが返信をした場合でも、しばらく夫側からの回答がないこともあります。この場合には、夫の方で一定期間あなたとの連絡を絶って冷却期間を設けたいと考えている場合もありますので、執拗に回答を求めるようなことはしない方が良いと思います。

 

(3)【対処法③】くれぐれも感情的にならないこと

 このような場合に、私が相談に乗っておりますと「居ても立っても居られず、夫の実家に押し掛けてしまいました」とか「夫に何回もLINEを送ってしまいました」、「こんなやり方はいくらなんでも酷いと思ったので、そのように電話して伝えてしまいました」といったお話を聞くこともあります。

 ただ、感情的になってしまいますと、状況は悪化していく一方です。このようなことになると、あなた自身も後悔することになると思います。

 そのため、くれぐれも感情的にはならず、冷静に今後のことを見据えて対応する必要があります。

 

(4)【対処法④】基本的には待ちの姿勢にならざるを得ない。

 上記のように執拗に連絡を取ることも好ましくないことが多いので、基本的には夫側からの出方待ちとせざるを得ないケースが多いように思われます。

 その様な場合に、「何時まで待っていればいいんですか?」と質問を受けることもありますが、その時期は明確に申し上げられないと言うことになります。

 夫側があなたとの直接の接触を希望しないという場合には、弁護士を立ててくることが多いのですが、その場合には、夫側が、どのタイミングで弁護士を依頼するか等によって、こちらに連絡が来るタイミングはずれてきますので、1か月くらいとか2か月くらいという明確な目安をお話しすることは難しいです。

 

(5)【対処法⑤】心配がある場合には、離婚不受理申出を!

 例えば、夫が強引な方で、離婚届を勝手に提出してしまうと言う危険性があるような場合には(要するに、こちらの署名・押印を相手が偽装してしまう危険性がある場合という意味です)、あなたの方から離婚不受理申出をしておいて下さい。

 仮にあなたの方で離婚やむ無しという気持ちがあったとしても、離婚の際には取り決めなければならない項目がいくつもありますので、それらが決まる前に勝手に離婚届を提出されることは防止する必要があります。

 そのため、上記のようなリスクがある場合には、念のため、離婚不受理申出をしておくと安心です。

 

(6)【対処法⑥】夫の居場所が分かる場合、どのような対処方法があるか

 例えば、夫のご両親から心配して連絡があって、詳しく聞いてみると夫がご実家に戻っていることが分かったといったケース等、夫の現在の居場所が判明する場合もあります。

①すぐにでも押しかけて夫本人と話がしたいが?

 夫の居場所が判明したのですから、あなたとしては「すぐにでも押しかけて直接話をしたい」と思うかもしれません。

 しかし、急に押しかけると、夫側は居留守を使うなどして直接会うことを避ける危険性もあります。

 そこで、基本的には、あなたに協力してくれる人物がいるようでしたら、その人を介して、直接話をするように夫を説得してもらう方が効果的だと思います。上記の例えで言うと、夫のご両親に事情を話して、夫婦が直接話をする場を設けてもらった方が良いでしょう。

 

②手紙を送ることは?

 夫があなたからのメールやLINEに対して一切返信しない場合で、かつ、LINEも一向に既読がつかないという場合には、あなたの気持ちを伝える方法としては手紙という手段が考えられます。

 ただ、この手紙についても一方的に送りつけてしまいますと、相手は警戒して読んでもくれないという危険性があります。

 そこで、この場合にも、協力的な人物に手紙を託すといった方法の方が効果的なのではないかと思われます。

 

③調停という手段を取ることは?

 あなたの方から執りうる手段としては、家庭裁判所に夫婦円満調停の申立をするという方法が考えられます。調停の手続は何かを強制する手続ではないのですが、裁判所からの書類を受け取った相手がどのような感じ方をするのかについては慎重に検討する必要があると思います。

 

 

5.まとめ


・一口に突如夫が出て言ったケースと言っても、①夫の不倫が強く疑われるケースと②そうでないケースとに場合分けして考えたほうが良い。

①夫の不倫が強く疑われるケースの対処法

 ・不倫の証拠をつかむ。

 ・不倫相手への慰謝料請求を検討する。

 ・夫の両親などから説得してもらう。

②夫の不倫の可能性が低いケースの対処法

・突如夫が別居を開始してしまった場合、ケースにもよるが執拗に捜さない方が良いことの方が多い。

・夫の残した置き手紙等には冷静に返答する必要がある。

・くれぐれも感情的な行動・対応は控えるべきである。

・基本的には相手からの連絡を待った方が良いことの方が多い。

・夫が勝手に離婚届を提出する危険性がある場合には、離婚不受理申出をしておいた方がよい。

・仮に夫の居場所が分かっても、あなたに協力してくれる人物を介してコンタクトを取った方が良いことの方が多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.突如相手が弁護士を立てたという連絡


 夫が自宅を出て行って暫くしたところで、その弁護士を名乗る人物から手紙が届くということが実際に起こります。あなたにも、急にこのような手紙が届けば当然驚くことかと思います。

 

 ただ、夫が付けた弁護士は、別にあなたを驚かせようとしてやっているわけではなく、弁護士が間に入ったという挨拶も含めて書面を送っているということになります。もちろん、あなたが受け取った文面には挨拶どころか、相手が同居期間中どれだけ苦労してきたのか、といった話が記述されており、納得いかないと思われる部分もあるかと思います。ただ、弁護士が何か行動を起こす場合、急にあなたに電話連絡をしても、最近は振り込め詐欺等が横行している時代ですので、あらぬ誤解を招く危険性があります。そのため、まずは書面にて通知するという形が一般的に取られているのです。

 そして、このような弁護士からの書面には通常「今後は当職が窓口になったので、旦那様への直接のご連絡はお控え下さい」といった文章が含まれることが多いです。

 

 

2.相手と直接会って話をすることは不可能なのか?


 たまに、私のところにご相談に来られる方の中には「『直接会うな』なんてけしからん。そんなことを向こうが決める権限はないから、私は本人に直接連絡を取り続けます」とおっしゃる方もいます。

 それでは、相手弁護士の言うことを聞かずに、相手に連絡を取り続けた場合、どのようなデメリット等があるのでしょうか。

 

(1)【デメリット1】相手を頑なにしてしまうリスク

 弁護士は、相手本人に対して、「もし電話がかかってきても電話に出ないで下さい」とアドバイスしていることが多いです。

 それにも関わらず、あなたが相手へと電話やメールを送り続けてしまいますと、相手からしてみると「直接話をしたくないという私の気持ちを考慮していない」とか「弁護士を立てているのに直接連絡してくるなんて信じられない」と思われるリスクがあります。

 そうしますと、相手はより気持ちが頑なになってしまい離婚の決意を固めてしまうリスクがあります。

 

(2)【デメリット2】相手に有利な証拠として利用されてしまうリスク

 また、あまり頻繁に電話等をかけてしまうと、相手の弁護士から「ストーカーまがいの行動はやめて欲しい」といった文書が届くケースもあります。

 このような場合、相手の弁護士は、あなたからの着信数やメール、LINEメッセージの内容等を入手して、必要に応じて、あなたに不利な証拠として提出してくることがあります。

 要するに、同居しているときから執着心や嫉妬心が強かった、そのため、弁護士を立てたのに頻繁に直接連絡を取ってきており、異常であると言ってくる可能性があるのです。

 そうなってしまいますと、あなたからの頻繁な電話等の着信履歴は、相手の主張の裏付けとなってしまうのです。

 

(3)【デメリット3】相手本人から「怖い」と主張してくる発端になるリスク

 あまりあなたの方から頻繁に相手本人に対して電話連絡等をしてしまいますと、「ストーカーのようだ」という言い分が出されるリスクが出てきます。

 それとともに、電話連絡だけではなく、こちらの居場所を探ろうとしているのではないか等々恐怖を覚えているという言い分を生み出す危険性があります。

 

(4)【デメリット4】ストーカー規制法で対応されるリスク

 ストーカー規制法は、夫婦間でも適用されます。また、離婚に関連するトラブルが増加傾向であることは警察も認知していますので、ストーカー規制法違反の相談があった場合には、厳正に対処する傾向が強まっています。

 そのため、あまり相手本人への連絡頻度が高かったりすると、警察からストーカー規制法違反での警告を受けてしまうということもありますので、注意が必要です。

 

(5)以上のようなデメリットがありますので、相手に弁護士が立っているのに、本人に直接連絡を取ることは避けた方が良いと思います。

 

 

3.それでは、相手の弁護士に要求することは?


 次に考えられるのは、相手の弁護士に対して「しっかりと本人と向き合って話ができていないので、直接会って話をする機会をセッティングして欲しい。弁護士さん立会でも構わないので、お願いしたい」という要望を伝える方法です。

 残念ながら、相手の弁護士に対して、相手本人と一対一で話をしたいと伝えても、断られる可能性が非常に高いです。

 そのため、「弁護士さん立会でも構わない」ということを伝えた方が良いと思います。

 それでも、断られてしまうリスクは高いのですが、 何も伝えないよりは、あなたが直接話したいと考えていることは相手に伝わりますので、このようなアプローチはした方が良いと思います。

 

 

4.こちらも弁護士を立てれば、相手と直接会いやすくなるか?


 それでは、あなた自身も弁護士を立てれば、相手と直接会って話をする道筋は付けやすくなるのでしょうか。

 この点は、正直に言いますと「あまり確率は上がらないと思います」という返答になります。

 

 もちろん、私も弁護士なので、相手の弁護士に対しては直接相手本人と会って話をしたい旨伝えますが、無理強いさせることは難しいというのが現状です。

 そのため弁護士を立てたから、相手本人と直接会う確率が上がるということにはなりません。

 

 

5.どうして夫の弁護士は会わせたくないのか?


 前述のように、相手が弁護士を立てると、その後、相手本人と直接会って話をすることは、かなり難易度が高いというのが事実です。

 ただ、あなたとしては、「急に出て行かれて、これでは気持ちの整理が全くできない」とか「夫婦なのに、一言も離婚や別居の相談もなくて、こんなのはおかしくないですか」「これだけ会いたくないって、何か向こうに後ろ暗いこと(実は浮気しているとか)があるんじゃないか?」などと色々と考えてしまうかと思います。

 そもそも、どうして相手の弁護士は、本人と会わせないようにするのでしょうか。

(1)【理由1】直接やり取りするなら弁護士がいる意味がない

 離婚のケースでは、夫婦間で直接やり取りをしたくないので、弁護士に間に入ってもらうというケースがかなり多いです。

 それなのに、簡単に直接のやり取りを認めてしまいますと、依頼者(夫)としては「これでは弁護士を頼む意味がないじゃないか」と感じてしまうと思います。

(2)【理由2】直接やり取りすると混乱する危険性がある

 直接のやり取りを認めてしまいますと、本人の言っていることと弁護士が言っていることとが、違ったニュアンス等で伝わってしまうこともあります。

 そうしますと、本人はこう言っているのに、弁護士は違うことを言っている、というように話し合いが混乱してしまうリスクがあります。

(3)【理由3】弁護士としてはトラブルを避けたい

 一対一で会う席を設けると、その際に暴力沙汰になるなど、依頼者の身に危険が及ぶリスク等が生じるケースもあります。

 いずれにせよ、トラブルが生じる危険性を冒す理由がない、ということで「会わせない」というスタンスの弁護士が多いのも事実です。

 

 

6.まとめ


・相手が弁護士を立てているのに、本人に直接連絡を取ることには以下のようなデメリットがある。

 ①相手を頑なにしてしまうリスク

 ②相手に有利な証拠として利用されてしまうリスク

 ③相手から「怖い」と言われる発端になるリスク

 ④執拗な連絡を取ってしまうと、ストーカー規制法違反で警告を受けるリスク等がある。

・そのため、相手の代理人弁護士宛てに連絡を取って、直接会うことを要望した方が良い。

・相手の弁護士も一定の理由があって断っているケースが多い。

 

 

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例1◆夫側の事例◆】婚姻費用分担調停と並行して協議し、夫婦円満で決着したケース

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弁護士 秦(はた) 真太郎

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対離婚できない(6)】相手の真意を確認したいのですが、どうすれば良いのでしょうか?【11個のポイント】

2025.06.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。まだ諦めるのは早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士として詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.相手の真意を確認したいがどうすれば良いか?


 あなたとしてはそれほど夫婦の関係、家族の関係が悪いとは思っていなかったのに、突然、夫から「別れて欲しい」といった話がなされると、強いショックを受けてしまうと思います。
 そのような場合に、あなたとして一番気になるのは、相手が何を考えているのか、その真意を知りたいというところかと思います。
 そこで、今回は、離婚回避に向けて、どのように相手の真意を確認するのが良いかについて解説していきます。なお、相手が弁護士を立てている場合と、立てていない場合とで、対応方法が異なってくるものですから、場合分けして解説していきます。

 

 

2.【ケース1】相手がまだ弁護士を立てていない段階


(1)【ポイント1】まずは、直接顔を合わせて話をする
 前述のように夫から突然別れを切り出されると、「ショックで相手を直視できない」とか「感情的になってしまいそうで怖い」、「これ以上ショックなことを言われると立ち直れなくなりそうなので、直接向き合いたくない」といったことで、LINEなどで相手の意図を確認する方もいます。
 ただ、やはり活字では夫側の真意を確認することは難しいですし、こちらの思いが誤解されるリスクもあります。

 そのため、直接相手と顔を合わせて話ができるようであれば、そのようにした方が良いと思います。
 ただ、相手が、あなたと直接顔を合わせて話をすることを強く嫌がっているような場合には、最初のうちは、相手の両親に間に入ってもらって話をする、といった順序で進めた方が良いこともあります。

(2)【ポイント2】話をする場所にはあまりこだわり過ぎない
 まだ相手と同居中であれば、通常は自宅で話をするという流れになると思いますので、特に問題はないと思います。
 問題になるのは、相手が既に別居を開始してしまっているような場合です。
 このような場合に、こちらとしては、相手との話し合いの場所を自宅にすることをこだわる方もいますが、それに固執してしまいますと、話し合いの場所を決めるだけで時間がかかってしまうこともあります。
 そのため。あまり話し合い場所にはこだわり過ぎない方が良いことが多いです。

(3)【ポイント3】心配であれば、事前に手紙やメモを準備する
 私がお話を聞いていますと、「相手と話をしていると途中から泣き出してしまいそうで、こちらの気持ちをしっかりと伝えられるか心配です」とか「聞きたいことはいくつもあるのですが、相手からショックなことを言われると頭が真っ白になりそうで不安です」といったお話をなさる方もいます。
 そのような場合には、事前に手紙やメモを準備するようアドバイスさせて頂くことが多いです。

 もちろん、折角相手と直接顔を合わせて話をしているのですから、直接あなたの口から質問したり、意見を言うのが良いとは思いますが、それが難しいと感じる場合には、予めあなたの気持ちをつづった手紙を準備しておいて、途中から、その手紙を渡して読んでもらうという対応を取ることもあります。また、どうしても確認したい事項がいくつかある場合には、それをメモしておいて、そのメモをたまに見ながら話をするという方法もあります。

(4)【ポイント4】しっかりと相手の話を聞く
 夫婦なので、相手の言っていることに違和感を感じたりした場合には、すぐに突っ込みたくなる、否定したくなる、というのは自然なことです。
 ただ、相手の話を十分聞き終わる前に、突っ込んだり、否定ばかりをしていると、相手は、それ以上話をしたくなくなってしまいます。そうすると、相手の真意を確認することなどできません。
 また、相手の話の腰を折ってしまいますと、その後は夫婦喧嘩になってしまい、「相手と冷静に話をするどころではなくなってしまいました」というケースも多いです。
 そのため、まずは、「今日は相手の話をしっかりと聞くこと」を最優先にしようという心持ちで臨むのが良いと思います。

(5)【ポイント5】相手は、こちらの様子・仕草をよく見ている
 相手は、こちらの様子や仕草をよく見ているというケースも多いです。相手の話について、あなたがどのように反応するのか、どんな表情を浮かべているのかを見極めるようとするのです。
 例えば、あなたが感情的にならないように、言葉では抑えていても、怒りの表情が顔に出ている場合には、相手は「とても怖かった」と感じてしまいます。また、あなたが不満げにしていると、相手は、自身の不満がこちらに響いていないと誤解してしまいます。
 あまり仕草や表情を気にし過ぎてしまいますと、自然に話ができなくなってしまうのですが、相手がこちらの表情などを気にしているということは、ある程度意識した方が良いと思います。

(6)【ポイント6】感情的になりそうであれば、発言を少なめにするなど工夫する
 このような相手との直接顔を合わせての話し合いで一番避けたいことは、感情的になることです。
 そのため、感情的になりそうな場合には、①その場でこちらの発言は最低限度に抑えるとか、②後日こちらの意見などは伝えるというような工夫をするのが良いと思います。
 感情的になってしまいますと、夫婦喧嘩になってしまい、夫婦関係修復どころか、離婚の決定打になってしまうケースもありますので、特に注意したいところです。

(7)【ポイント7】悩むようなら親族・友人等の意見も聞いてみる
 相手と直接話をすることができたとしても、あなた自身納得がいかないとか不満に感じることもあると思います。
 なかなか自分の考えがまとまらない場合には、あなたのご両親や兄弟姉妹、又は親友などに相談してみると、第三者の目から見てどのように映るのかを知ることができて参考になることが多いです。
 なお、たまに沢山の友人に相談し過ぎて、逆に考えがまとまらなくなったというケースもありますので、あまり多数の方に相談し過ぎない方が良いと思います(あまり相談相手が多いと、そのことを相手も認識することになったり、友達界隈で変な噂になってしまったり、ということもありますので、その点にもご留意下さい)。

(8)【ポイント8】相手がなかなか真意を言ってくれない場合には、多少期間を置く
 事情は様々ですが、相手が真意を打ち明けてくれないということもあります。
 その場合には、あまり無理に真意を確かめようとするのではなく、相手が言いやすくなるように「多少期間を置く」ことが良いこともありますので、検討してみてください。

(9)【ポイント9】相手が希望するようなら相手の両親等を窓口にする
 ケースによっては、相手の方から、本人ではなく、相手の父親を介して話をして欲しいといったリクエストが来ることがあります。
 このようなリクエストにすぐに応じなければならないということではないのですが、相手本人との話し合いに固執してしまいますと、相手の様子が分からない状態が長期化してしまうリスクもあります。

 そのため、相手が親族等を介しての話し合いを強く主張する場合には、一旦は、その方法で話をする方が良いこともあります。
 ただ、例えば、相手が、相手の母親を交渉窓口に指定してきたが、当該母親が離婚強硬派だというような場合には、余計に議論が複雑化してしまいますので、相手の父親や兄弟姉妹など、他の親族等を窓口にして欲しいと伝えた方が良いケースもあります。

 

 

3.【ケース2】相手が弁護士を立ててしまった後の段階


(1)【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
 相手が弁護士を立ててきた場合、弁護士が交渉の窓口になるので、本人と連絡を取らないでほしいと言われます。
 そのため、以後の連絡は、相手の弁護士との連絡になるのが基本です。

(2)【ポイント2】相手の弁護士立会で本人と会うことを提案しても良い
 前述のように、相手が弁護士を立てた場合、それ以降は、その弁護士が窓口になり、相手本人と直接やり取りすることは望ましくありません。
 ただ、相手本人と直接話をすることを「提案してはいけない」というわけではありません。
 弁護士がいる状態で、相手本人と一対一で話すことを提案しても断られてしまいますが、「弁護士さん立会で構わないので、相手と直接会って話ができませんか?」と提案することはできます。
 ただし、残念ながら、相手弁護士は、このような提案に応じてこないことが非常に多いです。

 

 

4.まとめ


・離婚回避に向けて相手の真意の確認にあたっては、相手が弁護士を立てていない段階と、立てた後の段階とで場合分けして検討した方が良い。

・相手が弁護士を立てていない段階
① 【ポイント1】まずは、直接顔を合わせて話をする
② 【ポイント2】話をする場所にこだわり過ぎない
③ 【ポイント3】心配であれば、事前に手紙やメモを準備する
④ 【ポイント4】しっかりと相手の話を聞く
⑤ 【ポイント5】相手は、こちらの様子・仕草をよく見ている
⑥ 【ポイント6】感情的になりそうであれば、発言を少なめにするなど工夫する
⑦ 【ポイント7】悩むようなら親族・友人等の意見も聞いてみる
⑧ 【ポイント8】相手がなかなか真意を言ってくれない場合には、多少期間を置く
⑨ 【ポイント9】相手が希望するようなら相手の両親等を窓口にする

・相手が弁護士を立ててしまった後の段階
① 【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
② 【ポイント2】相手の弁護士立会で本人と会うことを提案しても良い

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(5)】自分にも落ち度があるのですが、どう対応すれば良いでしょうか?

2025.06.02更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.本当に悔やんでも悔やみきれない


 相手が出て行く前に、別居や離婚の話し合いがなされていた場合には、あなたにとっても、何故相手が出て行ったのか、なぜ離婚したいのかについては目星がついていることが多いと思います。

 そのため、「どうしてあの時あんなことを言ってしまったんだろう」とか「どうしてあの時こうしなかったんだろう」と「悔やんでも悔やみきれない」という思いの方もいると思います。

 このような経過もあるため、あなたとしても、本当の気持ちとしては「別れたくない」と思っていても、「自分にそんなことを言う資格があるのか?」ということで思い悩んでしまうこともあると思います。

 今後あなたがどのようにしていくのが良いか、弁護士の立場から解説していきます。

 

 

2.自分がどうしたいのかをしっかりと決断する


 前述のように「悔やんでも悔やみきれない」というお気持ちが強いのでしょうが、相手から離婚を要求されている以上、過去のことばかりに捉われていても、良い方向には進みません。

 そのため、まずは、「自分がどうしたいのか」をしっかりと決断してもらう必要があります。

 私は、そのような際には、「あなたの気持ちの根底にあるものは何ですか?」「本当にしたいのは離婚なんですか夫婦関係修復なんですか?」と質問するようにしています。

 あなたが「できることなら関係を修復したいんです」と思っているのでしたら、「それなら、あなた自身の人生なんだから、夫婦関係修復を目指しましょう」とアドバイスするようにしています。

 

 実際に、あなた自身の今後の人生のことなのですから、自分のことを最優先に決断することは別にわがままでも何でもありません。

 ただ、このように「言うことは簡単」でも、多くの人は「そんなに簡単に割り切れない」という方が多いでしょうから、じっくりと考えて、「今後自分がどうしたいのか」結論を出してもらうようにしています。

 そして、一度決断した後は、「その方針を簡単には曲げない」という形で対応していくことになります。

 

 

3.自分の落ち度がどれほどのものなのかについて向き合う


(1)まずは「裁判上の離婚理由」に該当するのかの見極め

 今後の戦略を立てていくにあたっては、あなた自身がお感じになっている「落ち度」がどのようなものなのかについて向き合う作業が必要になります。

 特に、あなたが婚姻期間中に不貞行為に及んでしまった場合や暴力をふるって相手に怪我を負わせてしまったというような場合には、これらは、裁判上の離婚理由(離婚裁判になった場合、相手が勝訴できるだけの理由)になりますので、①相手がどこまでの証拠を持っているのか、②今後どのように事情を説明していった方が良いのかなどを慎重に検討する必要があります。

 もし、相手がしっかりとした証拠を持っているような場合には、残念ながら離婚裁判を避けるという観点から、裁判になる前に離婚に応じるという対応を検討した方が良いケースもあろうかと思います。

 

 逆に、あなたが考える「落ち度」が、上記の裁判上の離婚理由には該当しない場合、上記ほど今後のことを恐がる必要はありませんが、やはり、どのように事情を説明していくべきかについては慎重な検討が必要になります。

 なお、このようなご自身の落ち度の振り返り作業は、時に精神的に辛い作業になることも多いので、そのような場合には、一定期間をかけて振り返ることもあります。

 

(2)「裁判上の離婚理由」がないのであれば、あなた自身を責め過ぎないこと

 前述のように、あなたとしては、相手が出て行ってしまったことで、「悔やんでも悔やみきれない」と強く感じているかもしれません。

 しかし、前述のような「裁判上の離婚理由」がないのでしたら、通常の夫婦でも多かれ少なかれ存在する出来事と言えますので、「あまり自分を責め過ぎないでください」とお伝えすることが多いです。

 

(3)相手の主張に応じて臨機応変に対応していく

 また、調停などの手続きを進めていくと、こちらが予想していなかった理由を相手が述べてくる場合もありますので、そのような場合には、相手の主張が正しいのかどうか、どのように事情を説明していくのかについて検討していくことになります。

 

 

4.相手の落ち度の内容についてもお話し頂く


 夫婦として生活を送っていますと、あなただけが一方的に悪いというケースは実際にはほとんどなく、相手にも落ち度があるというケースが大半です。

 もちろん、相手の落ち度を相手に直接ぶつけてしまいますと夫婦喧嘩の延長と一緒ですので、相手にぶつけるタイミングやぶつけ方は慎重に検討すべきですが、予め事情を聞いておきませんと、普段の夫婦生活や家族生活の状況が分かりません。

 そのため、「相手の落ち度」についてもお話をお聞きしておいて、今後どのように手続きを進めていくのかの検討材料にさせて頂いています。

 

 

5.夫婦関係の修復を目指す以上は、「反省と感謝」の気持ちで対応していく


 あなたが一定の落ち度を自覚している以上、その「落ち度」に関する反省の気持ちを相手に伝えることが必要になります。あなたの反省の気持ちが相手に十分に伝わらないと、夫婦関係の修復は難しくなってしまいます。

 合わせて、同居中の相手の(家事・育児などへの)協力などについて感謝の気持ちを述べることが多いです。

 このような「反省と感謝」が今後の夫婦関係修復の重要ポイントになることが多いです。

 

 

6.調停中の場合の作戦


 既に調停が始まっている場合には、その調停では、夫婦関係の修復・離婚だけではなく、婚姻費用や面会交流も調停の議題になっているケースが多いです。

 そのような場合には、最初のうちは、上記のように「反省と感謝」の気持ちを示しつつ、後は、婚姻費用や面会交流の議題で議論している際には、敢えて「夫婦関係の話題に積極的に触れない」という作戦で臨むケースもあります。夫婦関係の話題にスポットライトを当ててしまうと「夫婦険悪化の要因にしかならない」というケースも多いため、積極的にスポットライトを外す作戦を取ることもあるのです。

 また、基本的にはスポットライトを外しつつ、婚姻費用や面会交流の議題について、書面を提出する際に、こちらの「反省と感謝」の気持ちをうまい具合に記載しておくという手法を用いることもあります。

 

いずれにしましても、調停に突入してしまっておりますと、夫側も余計に神経質になっていることが多いと思いますので、相手の様子を見極めながら、対応を検討していくことになります。

 

 

7.まとめ


・まずは、自分がどうしたいのかをしっかりと決断することが大事である。

・次に、自分の落ち度がどのようなものなのかを振り返る必要がある。

・振り返る際には、「裁判上の離婚理由」に該当するかどうかが重要である。

・あなたの落ち度が「裁判上の離婚理由」ではない場合、「自分を責め過ぎないこと」が大事である。

・相手の落ち度についても平行して検討する必要がある。

・夫婦関係の修復を目指す以上は「反省と感謝」の気持ちが大事である。

・既に調停に突入している場合には、夫側も神経質になっていることを考慮して対応した方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(4)】相手が出て行って精神的にしんどいのですが、皆さんどうなさっているのでしょうか?

2025.05.26更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.別居や離婚は人生の中で精神的ストレスが特にかかりやすい出来事とされている


 一般的に、別居や離婚は、人生の中でも特に精神的ストレスがかかりやすい出来事されています。

 そのため、夫が突如別居してしまい、そのことで大きな精神的ストレスを感じることは、通常の反応と言えます。

 私は精神科医などではありませんので、心理学的にあなたの大きな精神的負荷を軽減する方法を知っているわけではありません。

 ただ、私が担当してきた事件の中でも、このように大きな精神的ストレスを抱えてしまうご依頼者様は多いものですから、その方々が実際にどのように対処なさっているのかをご紹介致しますので、参考にして頂ければ幸いです。

 

 

2.【対処方法1】まず、弁護士抜きで話ができるようならば、弁護士抜きでの話をチャレンジする


 まだ夫側が弁護士を立てていないとか、弁護士を立てる予定だとしても、少し時間がかかりそうな場合、弁護士抜きでの話をトライしてみると良いです(逆に、夫側が正式に弁護士を立てた場合、弁護士抜きで話をすることは非常にリスクが高いので、基本的には避けるべきです)。

 ただ、夫側があなたと直接話をすることに抵抗感が強い場合には、無理に奥様に会おうとしたり、電話をかけるなどして話そうとすると逆効果のことが多いです。

 そのような場合には、夫側のご両親や兄弟姉妹など、間に入ってくれそうな人を介して話をするということが考えられます。

 

 このようにして、夫側と直接話ができるようでしたら(もしくは、夫側の親族を介して話ができるようでしたら)、あなたの今の反省の気持ちと同居中の夫の(家事・育児への)協力への感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにして下さい。

 なお、夫が弁護士を立てる前に話をしなければならないと考えて焦ってしまうと逆効果のことが多いので、夫側の抵抗が強いようでしたら、無理に直接の話し合いにこだわらない方が良いと思います。

 

 

3.【対処方法2】親族や友人など信頼できる人物に話をする


 比較的容易な手段としては、親族や友人など信頼できる人物に話をする・相談するという方法があります(自分の悩み事を聞いてもらってストレス発散する、という意味です)。

 たまに、「夫に見捨てられたなんて話を友人にしたら自分が一層みじめになる」といったことで、全く他の方に相談なさっていないという方もいます。

 ただ、別居や離婚というテーマは一人で抱えるにしては重た過ぎるテーマなので、私の方からは、「極力信頼できる人物に話をした方が良いですよ」とアドバイスさせて頂くことが多いです。そのことが多少なりともストレス発散につながることが多いです。

 

 

3.【対処方法3】カウンセリングなどを受ける


(1)精神的に辛いようであればカウンセリングは積極的に利用した方が良い

 前述のように親族などに相談してもあまりに気分の落ち込みがひどいとか、全く夜眠れないというようなときには、カウンセリングを受けることをアドバイスさせて頂くこともあります。

 前述の通り、私は心理学の専門家ではありませんから、私がお話を聞くことにも限界がありますから、カウンセリングを受けることで心理的ストレスを少しでも軽減してもらうのです。

 

 カウンセリングのことでご質問を受けることが多いのは、「カウンセリングを受けると余計に離婚にとって不利にならないでしょうか?」とか「親権獲得にあたって不利にならないでしょうか?」という点です。あなたがカウンセリングを受けると、自ら精神的に不安定だと認めるようなものなので、相手は余計に離婚を強く主張してくるのではないか?育児の面でも悪影響があると主張されるのではないか?という観点からのご質問です。

 結論から申しますと、カウンセリングを受け始めたからと言って、離婚や親権の点で大きく不利になることはほとんどありません。

 

 もちろん、精神的負荷が大きく、仕事(パートなど)もろくにできなくなってしまったというような場合には、一定程度の影響は避けられませんが、これまで通りに仕事ができているというようなことであれば、離婚や親権への影響はほとんどないのです。

 そのため、精神的に辛いと感じるようであれば、私の方からは「あまり我慢して本当に体調を崩してしまうと元も子もないですよ」とアドバイスさせて頂くことが多いです。

 

(2)モラハラ講習やDV講習は全く別

 なお、カウンセリングと似たようなものとして、モラハラ講習やDV講習(プログラム)といったものがあります。

 相手があなたのモラハラやDVを強く主張してくるので、自発的にモラハラ講習やDV講習(プログラム)を受けようと考える方もいますが、当該講習等を受けることは慎重に検討した方が良いです。

 なぜなら、そのような講習やプログラムを受けることは、あなた自身モラハラやDVをしてきたという前提で、それを改善するために受講するという色彩が強いので、今後の交渉等に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。

 相手が主張する離婚理由がほぼ正確なもので、あなた自身もそれを全て認めて、改善したいということであれば別ですが、実際には、相手が実際の出来事よりも誇張してきたり虚偽を述べてくることが多いため、それを認めるような行動は避けた方が良いのです。

 

 

4.【対処方法4】面会交流を実施してストレス軽減を図る


 この対処方法は、夫側の対処方法であることが多いのですが(妻が子供達と出て行ってしまったので、夫側から面会交流を要請するというパターンです)、妻側の対処方法として活用しているケースもあります。

 本件のようにお子さんが乳幼児という場合には、お子さんの成長の様子をしっかりと夫側にも見ておいて欲しいとか、面会交流の場にあなたが立ち会うことで、多少なりとも夫側との接点を持つことができるとか、面会交流をすることで安心感を得られるというケースもあります。

 なお、面会交流の話題を出すタイミングを慎重に検討すべき事案も多くありますので、この点は注意が必要です。あまり早期の段階から「子供に会って欲しい」ということを強く主張し過ぎると、夫側は、「夫婦関係修復のためのダシに子供を使っている」と感じることも多いからです。

 そのため、最初のうちは夫婦関係修復の話をし、少し後に面会交流の話をしていくという進め方をすることが多いです。

 

 

5.【対処方法5】信頼できる弁護士を雇う


 相手がまだ弁護士を立ててきていない場合には、こちらから先に弁護士を立てることはオススメしません。こちらから先に弁護士を立てると相手を不用意に刺激してしまう虞があるからです。

 他方で、相手が既に弁護士を立てていたり、既に離婚調停を申し立てられたりしている場合には、こちらも弁護士を立てることを検討した方が良いです。

 その場合には、離婚だけではなく夫婦関係修復にも力を入れている弁護士に依頼することをオススメします。

 そのようにして弁護士を雇うと、その弁護士があなたの話をじっくりと聞いてくれますし、今後の手続きの安心感も増すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・相手が出て行って精神的にしんどい時の対処法としては以下のようなものがある。

1)弁護士抜きで話ができるようであれば、弁護士抜きでの話をチャレンジする

2)親族や友人に話をする・相談する

3)カウンセリングを受ける

4)子供との面会交流を実施する

5)信頼できる弁護士に依頼する

 

 

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例1◆夫側の事例◆】婚姻費用分担調停と並行して協議し、夫婦円満で決着したケース

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例3◆妻側の事例◆】妻側からの夫婦円満調停申し立て-一旦は諦めたものの最終的に夫婦円満で解決したケース

>【弁護士秦の夫婦関係修復事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(3)】現状の立ち位置を知ろうーケース別復縁難易度

2025.05.19更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

  神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.ケース別復縁難易度って?


 私は、離婚回避・夫婦関係修復のご相談を受けることも多いのですが、ご相談を受けた時点で、どこまで状況が悪化しているのか、一定のケース分けができることに気付きました。

 もちろん、以下は、ケースごとの難易度を目安としてお示しするものであって、「このケースであれば夫婦関係修復確実」などと保障するものではありませんので、この点はご留意の上ご覧いただければと思います。

 

 

2.ケース分け


 あなたが起こっている事態に応じて、離婚に向けての深刻度を類型化することができますので、具体的には以下のようにケース分けして解説していきます。

 

①夫から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②夫から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③夫から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、夫が突如別居を開始した

⑤夫から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けていない)

⑦別居中の夫の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けている)

 

 なお、これら①から⑧は夫側が順を追ってこのような手続きを踏むというわけではなく、いきなり⑤と⑧から手続が進むと言うこともあります。そのため、現在あなたが置かれている状況が①から⑧のどの状況なのかを確認して、該当の解説をご覧下さい。

 

 

3.【ケース①または②】夫から、別居または離婚の提案があった


上記のケース分けで①または②に該当するケースです。実際に相手が別居を開始していない段階ですので、上記のケース分けの中では深刻度が一番低い類型になります。

 上記の③から⑧にまで発展していない段階ですので、あなたが対応を誤らなければ十分夫婦関係の修復も期待できる段階と言えます。

 

 ただ、この段階でも、真剣に相手が離婚を切り出してきている場合や、両親等も交えた話し合いを提案してきているような場合には、あなたも空いての声に真剣に耳を傾けないと、別居を実行されてしまうリスクもありますので、その意味では慎重な対応が必要になります。

 また、ここでのあなたの対応が夫側を更に傷つけてしまいますと、別居や離婚を決断させる引き金になってしまう可能性もありますので、その点に注意する必要があります。

 

 なお、夫側から別居の提案が出されただけというケース(①のケース)と、更に踏み込んで離婚の提案までなされたケース(②のケース)とでは、②の方が多少深刻度が高いということになります。

 また、夫側からこのような提案がなされるのが今回が初めてではない、という場合には、深刻度は増しますので、この点にも注意が必要です。

 

 

4.【ケース③】相手から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中


 何か別居の引き金になるような出来事が起こって、お互いに冷却期間を置いた方が良いということで、あなたも承諾して別居を開始したというケースです。

 例えば、夫婦喧嘩が白熱してしまい、ご近所さんが警察に通報してしまったというときに、お互いに話し合いをして、一時的に奥様が実家で暮らすことにしたというようなケースとか、旦那様があまりに仕事が忙しく、そのストレスで家庭内でもイライラすることが多いので、話し合って、一旦、旦那様だけ社員寮で暮らすことにしたといったケースがこれに当たります。

 いわゆる「ほとぼりが冷めるまで別居する」という内容ですので、あなたが対応を誤らなければ夫婦関係修復も期待できる段階と言えます。

 

 このようなケースでは先ほども解説しましたとおり、別居の引き金になるような出来事が起きていることが多いので、あなた自身もそのような出来事を振り返り、そのこととしっかりと向き合って対応する必要があります。

 ちなみに、相手のことを疑い始めてしまいますとキリがないのですが、残念ながら、冷却期間のための別居だと言いつつ、実際には、そのまま戻ってこないというケースもあります。そのような場合には、相手が別居したいということは伝わってくるものの、別居したい理由があいまいだというケースが多いので、そのような場合には、「別居前にじっくりと話し合おう」ということで、最初から別居に応じない方が望ましいと言えます。

 

 

5.【ケース④】夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、夫が突如別居を開始した


このケースは、夫から別居の提案があったという点ではケース③と同じですが、話し合いが上手く行かず、夫が別居を独断で実行したケースになります。

 このような夫側の行動心理としては、「話をしていても埒があかないので、最終的には承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース①から③よりも慎重な対応が必要になります。

 

 このようなケースでは、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 もちろん、別居後も相手から連絡があり、あなたからの連絡に対して相手からの返答もあるようでしたら、相手との直接の話し合いを模索してみても良いかもしれません。それが逆効果になりそうな場合や、相手との直接の話し合いを模索してみたけれども、なかなか難しいという段階で他の方を間に入れることを検討してみて下さい。

 

 

6.【ケース⑤】夫が何の提案もなく突如別居を開始した


このケースは、夫が突如別居を始めたという点はケース④と同じですが、夫が事前に別居の提案をしてこなかったケースになります。

 このような夫の行動心理としては、「直接話をしていても埒があかないので、承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース④よりも慎重な対応が必要になることが多いと思います。

 

 ただ、ケース④よりも深刻度が高いかというと、事前に話し合いをするかは、夫の性格やこれまでのご夫婦での話し合いや夫婦関係等による影響もありますので、あまり深刻度はケース④と変わらないというケースもあります。

 このケースでも、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 

 なお、あなたとしては、相手が何の相談もなく勝手に出ていったことに対する怒りの感情を持つかもしれませんが、そのような怒りの感情に支配されて行動してしまいますと、夫婦関係修復の道は遠のいてしまうと思いますので、冷静な対応が必要かと思われます。

 

 

7.【ケース⑥】家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けていない)


このケースは、あなたが普段通りに生活していたところ、突如離婚調停の通知が郵便で届いてしまったというケースになります。

 このケースは更に、①夫が別居した上で、暫くしてから裁判所の書類が届いたケースと、②夫が同居しながら(家庭内別居のまま)裁判所の書類が届くケースに分けることができます。このケース⑥-①の方が、⑥―②よりも深刻度が高いことの方が多いのですが、相手としては色々な事情があってケース⑥-②を選ばざるを得なかったということもあります。例えば、自宅が夫の持ち家なので、心情的にマイホームに暮らし続けたいとか、別居するとお子様との接点が減ってしまうので、それを避けたいといった事情が考えられます。そのような事情がある場合には、ケース⑥-①もケース⑥-②も深刻度はあまり変わらないと思います。

 

 このケースでは夫が弁護士を立てていないものの、裁判所での話し合いを希望している段階ですので、離婚意思が強いケースが多いと思います。

 この段階にまで発展してしまっていますと夫婦関係修復の難易度はかなり高いと思いますので、夫婦関係修復を希望するのであれば、誠意をもって調停に臨むことをオススメします。

 

 

8.【ケース⑦または⑧】夫が弁護士を付けた


夫が弁護士を付けて離婚を要求してきたケースです。弁護士が手紙を送ってくるケース(ケース⑦)と、弁護士の判子が押された調停書類が裁判所から届くケース(ケース⑧)とがあります。

 ケース⑦とケース⑧どちらの深刻度が高いのかという点ですが、一般的にはケース⑧の方が深刻度が高いのですが、事件の方針として交渉から着手するか調停から着手するかは弁護士の普段の事件処理方法によるところも大きいので、必ずしも深刻度に差があるとは限りません(より分かりやすく言いますと、弁護士によっては「離婚事件は常に離婚調停の申立からスタートする」という事件処理をしている弁護士もいるということです)。

 

 このケース⑦または⑧になりますと、夫側は弁護士にお金を払ってでも離婚したいという決意を持っているわけですから、離婚の覚悟は相当固いと考えた方が良いと思います。

 また、この段階にまで発展してしまっていますと、奥様が専門家である弁護士を付けているので、あなたとしてもミスが起きないよう弁護士を立てることを考えた方が良いと思います。

 

 

9.まとめ


・夫婦関係の悪化の状況に応じて復縁難易度には差が生じる。

・一般的には以下の数字が大きくなるほど復縁難易度は上がる傾向がある。

①夫から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②夫から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③夫から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、相手が突如別居を開始した

⑤夫から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けていない)

⑦別居中の夫の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けている)

・上記の①から⑧はあくまで目安なので、ご家庭の状況によっては復縁難易度に差が生じ得る。

 

 

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

 

 

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(2)】夫婦修復の秘訣とは?<まだ同居中のケース>

2025.05.12更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.離婚回避・夫婦修復の秘訣とは?


 私も、夫婦関係の問題を多数取り扱っておりますと、「あの時こうしていれば良かったのでは?」と感じてしまうケースも多くあります。
 そのため、修復の秘訣となるようなことを本ブログでは書いてみようと思います。
 なお、本ブログは、ご夫婦がまだ同居中というケースを想定しておりますので、この点は予めご留意下さい。
 また、夫婦の関係性は、型にはまったものではないと思いますので、以下の解説も一つの参考と思ってお読みいただければと思います。

 

 

2.【ポイント1】必殺技や奥の手はない


 私のところに夫婦円満を目指してご相談に来られる方の中には、私が夫婦円満のための必殺技や奥の手を知っていると誤解されていらっしゃる方もいます。
 そのため、最初にお話しておきますが、私の経験上、夫婦円満のための必殺技や奥の手はありません。
 ご相談に来られた方には、奥の手はないので、地道に信頼回復に努めていきましょうというお話をすることが多いです。

 

3.【ポイント2】険悪な状況を長期化させない


 私のところにご相談に来られる方は、既に相手が別居を始めてしまっているケースや、相手が弁護士を立ててしまっているケースが大半です。
 ただ、よくよく話を聞いてみますと、①実はこの4,5年、相手とはほとんど口を聞いていないんですとか、②この何か月間は、休日も含めて食事は別々に摂るようになっていましたとか、③相手がこちらを無視するので、こっちも無視していたら冷戦のような状況が2,3年続いています、といった話をなさる方もいます。

 要するに、別居を開始する前から、夫婦の関係性が「形だけのもの」になってしまっているのです。
 もし、あなたが、まだ相手と一緒に生活しているという場合には、険悪な状況が長引くほど、別居や離婚のリスクは高まってしまいますので、「険悪になっている」とか「険悪になり始めている」と感じた場合には、その状況を改善するように対応することが大事です。

 

 

4.【ポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない


 これも、私が相談に乗っていると聞くことが多いのですが、相手が別居してしまったけれども、数か月前には家族旅行に行ったとか、相手も旅行を楽しんでいた、というお話をなさる方もいます。ただ、より詳しく話を聞いてみますと、勤め先の保養所を利用する旅行で、実は相手はそれほど行きたいと思っていなかったとか、旅行に行くには行ったけれども、普段の夫婦の会話がほとんどなくなっていたので、旅行中夫婦の会話はほとんどなかったということも多いです。

 これでは、折角の家族旅行等も夫婦関係修復には役立ちません。
 また、家族旅行等が毎年の恒例行事になっているというのはよい側面もありますが、逆に、そのことがマンネリ化してしまうということもあると思いますので、それがルーティーン化してしまい、家族の絆を深める場になっていないようでしたら、行先や旅行計画等を工夫するなどして、少しでも家族の絆を深めるような努力をした方が良いと思います。

 

 

5.【ポイント4】 子供への叱責・しつけの限度を超えない


 これも、私がご相談を受けているとよく話題に出る事項なのですが、あなたのお子様への叱責や躾が限度を超えていると感じられてしまうということがあります。
 あなたとしては、お子様の将来のために一生懸命しつけている、叱っているとお考えなのかもしれませんが、熱が入り過ぎてしまい行き過ぎてしまうということも多々あります。
 ただ、行き過ぎた言葉や、特に「手が出る」ということになってしまいますと、厳密には児童虐待と呼ばれても仕方がない状況とも言えます。
 このような様子を見て、相手が「もう一緒にやっていけない」と感じてしまうという話を耳にすることも多いものですから、十分注意すべきかと思います。

 

 

6.【ポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている


 特にご年配の方がご相談に来られる際に、このようなお話をなさる方が多い印象ですが「私が小さい頃はこうやって育った」とか「私が小さい頃、父はこうしていた」、「昔は今みたいにパワハラだとかDVだとか騒がれなかった」といったお話をなさる方もいます。
 ただ、そのような考え方で相手と接してしまいますと、相手は時代錯誤だと感じてしまい、一層あなたへの気持ちが離れて行ってしまいます。
 特に、今は、インターネットで何でも検索できる時代ですから、今どきの夫婦像なども簡単に検索出来てしまいます。相手がそのことで違和感を感じてしまいますと、離婚や別居を切り出すという原因になりかねませんので、くれぐれも「昔はこうだったから、今も許される」といった発想は禁物です。

 

 

7.【ポイント6】謝るべきところは謝る


 あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、相手の話の中で、相手が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

 

8.【ポイント7】感謝の気持ちを伝える


 前述の謝る姿勢と合わせて、普段の相手の仕事ぶり、家事・育児への協力に対して感謝の気持ちを示すことも、同様に大切なことになります。
 夫婦喧嘩中ですと、感謝の気持ちを示すことに抵抗感を持つ方も多いのですが、意固地になってしまいますと状況は悪化していく一方というケースも多いので、感謝の気持ちは早めに示しておいた方が良いケースが多いです。
 特に、相手が別居をスタートさせてしまったり、弁護士を立ててしまったりしますと、感謝の気持ちを直接伝えることすら難しくなるということも多いので、感謝の気持ちも「伝えられるうちに伝える」ということが大切だと思います。

 

9.【ポイント8】間に誰かをはさむ


 夫婦が直接話をすると冷静な話し合いができない、余計にこじれそうだというような場合には、あなたのご両親や身内の方、仲人の方その他友人・知人の方などに間に入ってもらって話をするということが有益です。
 なお、間に入ってくれそうな適任者がいないというときには、弁護士に間に入ってほしいとおっしゃる方も多いのですが、夫婦円満を目指す場合には、安易に弁護士に依頼せず、極力身内の方を間に挟んだ話し合いを強くオススメすることが多いです。

 

10.【ポイント9】簡単に諦めない


 私のところにご相談に来られる方は、「夫婦関係はできれば修復したいですけど、難しいですよね。それだったらどうしようか悩んでいます。」とか「友人とかに相談すると、それなら離婚した方がいいんじゃない、という意見が多くて迷っています」というお話を聞くことも多いです。
 そのような場合に、私の方からお話するのは、「今後絶対に後悔しない、というくらいに覚悟が決まるまでは、離婚を口にすべきではないですよ」ということです。

 今後の夫婦関係の問題は、あなたの人生に関わるとても大事な話ですから、私としては後悔する選択はして欲しくないと考えています。
 また、現実的にも、あなたが「離婚で構いませんよ」と言ってしまいますと、離婚一直線で話が進んでしまいます。
 そのため、「悩んでいるうちは離婚を口にしない方が良い」とアドバイスすることが多いのです。

 

 

11.まとめ


・【離婚回避のためのポイント1】必殺技や奥の手はない

・【離婚回避のためのポイント2】険悪な状況を長期化させない

・【離婚回避のためのポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない

・【離婚回避のためのポイント4】子供へのしつけ・叱責の限度を超えない

・【離婚回避のためのポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている

・【離婚回避のためのポイント6】謝るべきところは謝る

・【離婚回避のためのポイント7】感謝の気持ちを伝える

・【離婚回避のためのポイント8】間に誰かを挟む

・【離婚回避のためのポイント9】簡単に復縁を諦めない

 

 

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<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対離婚できない(1)】修復のために「すべきこと」「やってはいけないこと」21選

2025.05.05更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。まだあきらめるのは早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.大まかに場合分けが必要


一口に離婚回避のために「すべきこと」「やってはいけないこと」と言いましても、あなたが置かれている状況によって、対応方法も異なってきますので、⑴別居前・⑵別居後・⑶相手が弁護士を立ててきたという3つに分けて、解説していきます。

 

 

2.【ケース1】まだ夫側が別居を開始する前の段階


 「まだ相手が別居を開始する前の段階」というのは、実際のケースとしては、まだ夫側が別居をスタートしてはいないけれども、別居や離婚の希望を直接伝えてきたとか、様子を見ていると別居の準備をしている様子があるといったケースです。
 この場合に「すべきこと」「やってはいけないこと」を8個に絞って解説します。

(1)【心得1】反発しないこと
 私が夫婦修復のケースを担当していて、まず注意して欲しいと考える点が「反発しないこと」です。
 夫側が別居希望や離婚希望をこちらに伝えて来る際には、当然ながら、あなたに対する不満をぶつけてくることが多いと思いますが、あなたの認識と異なる事実、誤解している事実が含まれることも多いと思います。
 そのため、夫の言い分をさえぎって、あなたの言い分や認識を伝えたくなるのも当然のことだと思います。

 もちろん、あなたの考えを伝えることで夫婦の誤解が解けて関係が修復するということもあるので、あなたの考えを伝えてはいけないということではありません。
 気を付けて欲しいのは、「売られた喧嘩を買う」ということにならないようにして欲しいということです。
 これでは、夫婦喧嘩にしかなりませんので、関係修復が遠のいてしまいます。
 夫側の口から離婚や別居というワードが出たということは、真剣に悩んでいる可能性が高いと思いますので、反発しないで冷静に話し合いができた方が良いと思います。

(2)【心得2】夫側の話を軽視しないこと
 「そんなこと言ったって、夫の収入なしでは生活できないに決まっているから、流石に本気ではないでしょう」とか「夫が急に私のことを嫌いになるということもないだろう」といった形で、夫の話をまともに取り合わないという方もいます。特にお子様が乳幼児の場合には、お子様のお世話で手一杯で、じっくりと夫の話を聞くような時間的余裕・心理的余裕がないというケースも多いです
 しかし、私が夫婦修復の件でお話を聞いておりますと、「同居中に夫がそんなことを言ってたんですが、本気だとは思わなくてそのままにしていたんですが、そうしたら急に何も言わずに出て行ってしまったんです。どうすればいいですか?」とご相談を受けることも多いです。
 そのため、「今回は本気かもしれない」と思って話を聞いた方が良いと思います。

(3)【心得3】理解できるところ、すべきところは、理解・共感する
 前述のように、夫は、あなたに対する不満をぶつけてくると思います。その中でも、理解できるところや、夫がこだわっていて、そこを妥協しないと夫婦修復の糸口がつかめないような部分については、理解・共感するという姿勢が大切なことが多いです。
 ただ、このような話をすると「要するに、相手の話に相槌だけ打っておけばいいんですよね?」とおっしゃる方もいますが、このような姿勢ですと、相手に見透かされてしまうことが多いので、実際にあなた自身理解・共感できる範囲で妥協するということの方が良いと思います。

 逆に、夫からの理不尽な要求などがあった際に「なんでも夫の言いなりにならないといけないのですか?」とご質問を受けることもあります。当然、あまりに理不尽な要求に応じる必要はありませんが、あまりストレートに反対すると夫婦喧嘩にしかなりませんので、伝え方・伝えるタイミングなどを慎重に見極めたほうが良いかと思います。

(4)【心得4】謝るべきところは謝る
 前述の理解・共感に加え、あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、夫の話の中で、夫が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

(5)【心得5】気持ちを切り替えるイベントのセッティング
 夫側から別居や離婚の話が出ているので、この険悪な状況が続くことは避けた方が良いと思います。
 そのため、家族の絆を深められるようなイベント(旅行や外食、記念日のお祝い等)をセッティングできるようであればセッティングして、それが、夫婦修復の試金石になることもあります。
 家族行事だと、険悪ムードを引きずりそうだという場合には、友人等を招いたパーティーのようにするとか、お互いの親族も呼んで旅行に行くなど、バリエーションを工夫してみても良いかもしれません。

(6)【心得6】状況を客観視する
 これは、夫婦修復の糸口をつかむために、場合によってはやってみても良いかもしれないという方法なのですが、親しい友人等に相談して、その意見を聞くこともあります。
 と言いますのは、あなた自身が一人で抱え込んでいても、なかなか解決の糸口がつかめないという場合でも、親友等に相談すると、客観的に状況を把握できるとともに、解決の糸口をつかむことができることもあります。
 なお、この場合に注意して欲しいのは、あまり沢山の人に相談しない方が良いということです。相談相手が複数に上りますと、様々な意見が出て意見集約が難しくなりますし、情報が拡散するリスクが高まるからです。職場の先輩何人かに相談したら、いつの間にか職場の同僚等全員が知るところとなってしまったというケースもありますので、情報管理には気をつけたいところです。

(7)【心得7】極力別居は回避する
 夫側が別居を始めてしまいますと、より一層夫婦修復が難しくなるのは事実なので、極力別居は回避した方が良いです。
 最悪、離婚裁判になることも視野に入れますと、別居開始が早いほどこちらに不利に働くことも事実です。
 他方で、①夫側が精神的に不調を抱えていて、一定期間冷却期間を置いた方が望ましいと言えるケースで、かつ、②別居先も夫の実家とし、実家が夫婦修復を強く希望しているという場合には、別居回避にこだわり過ぎないことが、結果的に良い方向に結び付くこともあります。
 そのため、別居回避を基本としつつ、状況に応じて、ある程度柔軟に対応することも検討してみてください。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 私がご相談を受けておりますと、夫側がこちらの署名と押印を偽造してまで離婚届けを提出するケースは少ないという印象ですが、少なからず勝手に離婚届を提出しようとする人もいます。
 特に同居しておりますと、夫側もこちらの印鑑の在処を知っているケースも多いので、勝手に押印されるリスクは捨てきれません。
 そのため、夫が勝手に離婚届を提出しそうであれば、予めこちらから離婚届不受理申請を出しておいた方が安全です。

 

 

3.【ケース2】相手が別居を開始してしまった後の段階


 一口に、相手が別居を開始してしまった後のケースと言っても、①こちらも同意した上で別居しているケース、②こちらは同意していないけれども、強く反対したわけではないケース、③反対している中で別居されたケース、④反対以前に何も相談がなく勝手に出て行かれたケースなど複数のケースが想定されるのですが、これらのケースをひとまとめにして、別居後のケースとして以下解説していきます。

(1)【心得1】夫側の姿勢に合わせた対応を心がける
 私が相談を受けていて一番感じる点なのですが、別居後に「より険悪」になってしまっているケースをよく見かけます。
 それは、別居後も、夫側が自身の悩みなどを真剣に相談等しているのに、こちらが、寄り添おうとせず、自ら夫婦修復の糸口をなくしてしまっているといったケースです。
 そのため、私が良くお勧めしますのは、「相手の姿勢に合わせた対応」というところです。

 例えば、別居したものの相手がこちらと接点を持ちたいがために必要なものを持ってきて欲しいといった形でサインを送ってきた場合には、それを送り届け、その際に少し顔を見て冷静に話をするといった対応が望ましいと言えます。他方で、一旦は話もしたくないという場合には、しばらく敢えて連絡を取らないという対応が望ましい時もあります。
 このように相手の姿勢に合わせて対応するのです。
 くれぐれも、「別居なんて勝手なことをして、断じて許せない」という姿勢は避けた方が良いかと思います。

(2)【心得2】夫側を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
 相手の別居が一時的な場合には、実家に身を寄せるというケース、社員寮で寝泊まりする、友人のところに居候するなどいくつかのケースがあると思いますが、誰かしら身近な同居者、つながりのある人物がいることが多いと思います。
 このように相手のことを見守ってくれる人物が言うことは、客観的に相手の様子や心境を言い表していることが多いと思いますので、その話は真摯に受け止めた方が、夫婦修復につながるケースが多いです。

(3)【心得3】別居解消を急かさない
 法律的な戦略という観点からは、別居期間を短期間に収めたほうが望ましいです。
 ただ、焦って対応すると、夫側は、一層態度を頑なにしてしまうリスクが高いので、既に別居がスタートしてしまっているという現状を踏まえ、焦らない方が結果的に夫婦修復につながることが多いような気がします。
 もちろん、夫が別居を始めたものの、内心では、早く迎えに来て欲しいと思っているような場合には、早く迎えに行った方が良いのですが、慎重な対応を心掛けた方が良いと思います。

(4)【心得4】長期間の断絶にはしないこと
 前述の通り、夫の姿勢に合わせて対応することが肝要なのですが、あまり期間が空き過ぎてしまいますと、逆に夫婦修復のきっかけがなくなってしまうということもあります。
 そのため、少なくとも1か月に一度も連絡しないままになってしまうとか、あまり夫との連絡不通が長期間になり過ぎないよう配慮した方が良いと思います。もちろん、夫と直接連絡を取ることが憚られる場合には、前述のように相手のことを見守っている夫の両親等とコンタクトを取るなど、連絡の相手についても慎重な検討が必要です。

(5)【心得5】お子さんのことばかりにならないこと
 夫の別居に納得していないため、夫に積極的に連絡したいとは思わない、けれども、子供のことは溺愛していたので子供のことは積極的に話をしたい、という方も多いと思います。
 ただ、相手との連絡がお子さん一色ということになりますと、相手は、自分のことを軽視されていると誤解してしまいます。
 そのため、①相手との連絡が、お子さんの様子の連絡ばかりにならないこと、②相手との接点が、お子さんとの面会交流の「ついで」のようにならない等の配慮が必要です。

(6)【心得6】夫の隠し録音には要注意
 既に夫が別居を開始していますので、本格的に離婚に向けて動き出す予兆という場合も多いです。
 その場合、自身に有利な言質を取るために、あなたとの会話の内容を隠し録音してくるケースも多いです。
 そのため、別居後、夫と直接会話する際などには、夫側に録音されているリスクも考慮しながら話をする必要があります。

(7)【心得7】記念日対策等
 あなたが別居に納得していないような場合には、相手の誕生日や結婚記念日を祝いたい気持ちにはなれないかもしれません。
 ただ、私が見ておりますと、記念日のプレゼント等が夫婦修復の後押しになったケースもあります。
 もちろん、状況によっては、このようなプレゼントが逆効果になることもありますので、慎重に検討した方が良いと思いますが、相手が受け取りそうな雰囲気があるのでしたら、プレゼント等を提案してみることも一考に値します。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 別居後は、相手もこちらの印鑑を勝手に押印するリスクは減りますが、①別居前に勝手に離婚届にあなたの判子を押してしまっているケース(その離婚届を持ち出しているケースです)や②別居後に判子を購入して、あなたの判子と偽って離婚届を提出するケースもあります。
 そのため、まだ離婚届不受理申請をしていない場合には、早めに申請しておいた方が良いと思います。

 

 

4.【ケース3】夫側が弁護士を立てた後の段階


 夫側が弁護士を雇ってしまった場合、通常は、離婚意思は固いことが多いと思いますので、そのような前提で対応する必要があります。
 以下では、夫が弁護士を立てた後の段階というシチュエーションでの心得を5個に絞って解説します。

(1)【心得1】夫との直接の連絡は控えること
 夫が弁護士を立てた場合には、その弁護士が窓口になりますので、夫との直接の連絡は控えた方が良いです。
 なお、このような説明をしますと、「相手の弁護士に連絡を取れなきゃいけない法律はあるんですか?」と質問されることも多いです。結論から言いますと、相手の弁護士に連絡することを直接義務付ける法律はありません。
 ただ、相手は、あなたと直接やり取りをしたくなくて、弁護士を立てていることが多いので、相手と直接連絡を取ることが逆効果になることが多いということは認識しておいた方が良いと思います。
 また、あまり相手に執拗に連絡してしまいますと、夫婦であってもストーカー規制法違反の問題が生じてしまうこともありますので、この点は注意する必要があります。

(2)【心得2】(禁止されていないのであれば)夫の両親等への連絡を試みる
 夫側の弁護士の対応によるのですが、夫本人への連絡は禁止しても、相手の両親への連絡は、これまでのあなたとの関係性等から禁止等しないケースもあります。
 もちろん、夫側の弁護士から禁止された場合には、夫の両親等への連絡も控えた方が良いのですが、禁止されていないのでしたら、夫婦修復のために、相手の両親等に連絡を取ることも一考に値します。

(3)【心得3】面会交流の場の活用
 今回のようにお子様が幼い年齢の場合、面会交流時に夫婦が顔を合わせるというケースも多くあります。
 もちろん、そのような場合に、あからさまに今後の夫婦関係のこと等を話すことは避けるべきですが、面会交流についての感謝の気持ちを伝えるなど、多少でも夫婦修復につながる対応ができるケースもあります。

(4)【心得4】手紙の活用
 夫が弁護士を立てた場合、あなたの気持ちを夫に伝える手段としては手紙が最も有力な手段となります。
 夫の弁護士の方針によっては、手紙を渡してくれないとか、弁護士が受け取っても夫本人が読んでくれないというケースもあるのですが、手紙の存在が相手に一定の影響を与えることもありますので、極力手紙を書くことをおススメすることが多いです。

(5)【心得5】こちらも弁護士を立てることを検討する
 相手が弁護士を立てた場合、こちらも、不備なく対応するには、弁護士を立てた方が望ましいケースも多いです。
 そのため、弁護士を立てること、その場合、どの弁護士に依頼するのかといったことは検討し始めても良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


(1)まだ別居前の場合の8個の心得
①相手に反発しない
②相手の話を軽視しない
③相手の話に理解・共感する
④謝るべきところは謝る
⑤気持ちを切り替えるイベントのセッティング等をする
⑥身近な人に相談して客観的意見をもらう
⑦極力別居を回避する
⑧離婚届不受理申請をする

(2)別居開始後の8個の心得
①相手の姿勢に合わせた対応を心がける
②相手を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
③極力別居解消を急かさない
④長期間の断絶にはならないよう配慮する
⑤お子さんのことばかりにならないよう注意する
⑥相手が隠し録音している可能性を考慮して会話する
⑦記念日対策等をする
⑧離婚届不受理申請をする

(3)相手が弁護士を立てた後の5個の心得
①相手への直接の連絡は控える
②(禁止されていないのであれば)相手両親等へのコンタクトを試みる
③面会交流の場の活用を考える
④手紙を書く
⑤こちらも弁護士に相談してみる

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?㉓】弁護士に依頼した場合に弁護士が登場するタイミング等は?

2025.04.28更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.弁護士が登場するタイミングは?


 弁護士が登場するタイミングとしては、①あなたの別居開始の前から登場する、②あなたの別居とほぼ同時に登場する、③あなたの別居後暫くしてから登場するという3パターンがあると思います。

 結論から言いますと、上記の「②あなたの別居とほぼ同時に登場する」というのが圧倒的多数と言えます。

 上記①の場合、あなたはモラハラ夫と同居しながら弁護士を通じて離婚協議等を行わなければならなくなりますが、モラハラ夫は弁護士よりもあなたと直接話をしたがることが多いですし、日常生活の中で嫌がらせを受けることも多いです。

 そのため、モラハラ離婚の場合には、①のタイミングで弁護士が登場することは少数派だと思います。

 

 また、上記③については、別居後も引き続きあなたの方でモラハラ夫と離婚協議を目指し、話し合いが難航した段階で弁護士を立てるというケースになりますが、そもそも、あなたの別居先を知らせないまま交渉するということが難しいケースが多いです。そして、あなた個人で交渉を行うと不利な離婚条件に陥ってしまうというリスクもあります。

 この点、②のタイミングで弁護士を登場させる場合、別居後の交渉はあなたが直接行う必要がなくなり安心ですし、不利な条件に陥るリスクがありません。そのため、②のタイミングで弁護士を登場させる方が圧倒的多数なのです。

 

 

3.弁護士の登場のし方は?


 今は振り込め詐欺などで、裁判所や弁護士の名を騙って電話をかけてくるような犯罪者もいるような時代ですので、弁護士からいきなりモラハラ夫に電話をかけるということはしないことが多いと思います。

 そのため、まずは、書面でモラハラ夫宛に連絡を取るケースが圧倒的多数ではないかと思います。

 なお、文書を送る場合、内容証明郵便を送るケースもありますが、私が担当する場合には、普通郵便で郵送する形を取っています。いきなり内容証明郵便を送ると、不用意にモラハラ夫を刺激してしまうケースが多いからです。

 モラハラ夫宛の文章の文案は、別居前までに調整しておいて、別居直後に発送する形を取ります。

 

 

4.その後の流れは?


 前述のように初回は文章の連絡をし、その後は、私の方で、モラハラ夫と直接会って話ができるようであれば、1度は会って話をするようにしています。

 弁護士として何人ものモラハラ夫と会話をしてきた経験から、実際にモラハラ夫に会って話ができると、一定の傾向や対応方法が見えてくることも多いからです。

 ただ、モラハラ夫がすぐに弁護士を立ててきた場合には、モラハラ夫の弁護士との交渉になってしまいますので、モラハラ夫と直接会って話をすることはできなくなります。逆に、モラハラ夫が私からの連絡を無視し続けるような場合にも、直接会って話をすることは難しいです(その場合には、早めに離婚調停を起こすケースが多いです)。

 

 

5.結局いつ頃までには依頼しておいた方が良いか?


 私の方からは、「正式な別居日が決まった場合、遅くともその2週間前までにはご依頼ください」とお伝えすることが多いです。

 別居までの準備の中で、あなたが自宅に残す置手紙の準備、私がモラハラ夫に送る文章の準備などの期間を考慮すると、2週間程度の期間は欲しいと感じるからです。

 

 

6.まとめ


・弁護士の登場タイミングは、あなたの別居直後にするケースが圧倒的多数である。

・弁護士の登場方法は、私の場合、普通郵便をモラハラ夫宛に送るという方法を取る。

・その後の流れは、私の場合、モラハラ夫と直接会って話ができるようなら直接会って話をするようにしている。

・別居までの準備のことも考えると、ご依頼は別居日の2週間前までということでお願いすることが多い。

 

 

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