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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑬】皆さんXデーはいつ頃に設定しているのでしょうか?

2025.01.13更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さんXデー(別居開始日)をいつ頃に設定しているのでしょうか?


 私のところにご相談に来られる方を見ておりますと、Xデー(ここでは「モラハラ夫に別居などを切り出す日付」ではなく「別居開始日」という意味でXデーという言葉を使っています)について、大きく分けると2パターンがあります。

 一つ目は、既におおよそのXデーを決めてしまっているパターンがあります。

もう一つは、状況等に応じて決めるので、現時点ではいつになるのか定かではないというパターンです。

それぞれについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【パターン①】既におおよそのXデーを決めてしまっているパターン


 このパターンは、すでに私のところに相談に来る前に別居先も確保し、ほとんど準備が整っているという場合か、まだそこまで準備が整ってはいないものの、子どもの都合を考慮して既にXデーの目星をつけているパターンとがあります。

(1)ほとんど準備が整っているという場合

 既にほとんど準備が整っていますので、あとは準備の詰めをすればいつでも家を出られるというパターンです。

 この場合は、私に相談に来られてから、2週間とか1か月とか、あまり間を置かずにXデーが設定されていることが多いです。

 

(2)子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけている場合

 子供の都合を考慮して目星をつけている場合というのは、あと3か月もすれば、子どもが夏休みに入って動きやすくなるので、そのタイミングで別居を考えているとか、年度の途中で転校するよりは、年度の切り替えのタイミングで別居した方が良いということで、3月下旬とかに別居すると決めているようなパターンが多いです。

 あとは、今あなたが働いているパート先の都合や別居先でのパート先候補の都合などで、既に何か月後に別居を始めることを決めているというパターンもあります。

 

(3)実際には「ほとんど準備が整っているケース」と「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」のどちらの方が多いのか?

 私のところにご相談に来られる方は、「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」の方が多い印象です。

 と言いますのは、別居の準備にあたって私のところにご相談に来られる方は、これからの別居の準備にあたって不安や疑問を抱えている方が多く、しっかりと準備した上で別居を始めたいという方が多いからです。

 そのため、夏休みとか進級など、数か月間を空けて、十分な準備期間を確保しているという方が多いのです。

 

 

4.【パターン②】具体的目処を立てていないケース


 このケースで最も多いのは、「一旦モラハラ夫に直接話をしてみるので、その様子によっていつ頃になるのかがまだ見通せない」というパターンです。

モラハラ夫が完全に納得することはないだろうけれども、ある程度は納得させてから別居したいという場合などでは、何度か話し合いをしなければならないので、いつ頃になるのかが見通せないということです。

 あとは、財産分与も考慮した場合、夫側の財産の所在がまだ十分に分かっていないため、その確認などに一定の期間を要するということで、特に目処を設けずに準備するというパターンもあります。

 

 

5.弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しい。


 あなたとしては、モラハラ夫との別居を決意したのですから、あまり期間を置かずに家を出たいと考えると思います。

 ただ、一度別居してしまいますと、あなたの私物を取りに戻ろうとしても、妨害されてしまうということもありますし、モラハラの証拠を自宅に置いて出てしまいますと、取りに戻ることも難しいケースもあります。

 そのため、「早く別居したい」というお気持ちは分かりますが、「一度家を出てしまいますと、また戻って自宅内を確認するということは難しいので、慎重に準備しましょう」とお話させて頂くことが多いです。

 

 

6.まとめ


・Xデー(別居開始日)については、予め目処を立てている場合と目処を立てていない場合とがある。

・目処を立てている場合とは、既に予め準備がほぼ整っているとか、お子様の都合などで目星をつけている場合などが主なケースである。

・目処を立てていない場合とは、モラハラ夫側と話をしてみるので、その話の行く末によって状況が変わるかもしれないというのが主なケースである。

・弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しいという話をすることが多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑫】別居先は遠方にするか近場にするか?

2025.01.06更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.別居先選び


 モラハラ夫との生活に強い恐怖感・不快感や倦怠感を持つようになった場合、別居や離婚が頭によぎるようになると思います。

 夫側に改善を要求したものの、一時的にしか改善されない、もしくは、改善すらされない、酷いケースですと、改善しないばかりか、これまでの被害が余計に悪化していくというケースすらあります。

 このような状況ですと、あなたは夫との生活を断念し、離婚の前提として別居を真剣に考えていくことになると思います。別居先の検討要素等について、以下の通り詳しく解説していきます。

 

 

3.別居先は近くがよいのか遠くがよいのか?


 別居といった場合にまず考えなければならないのは、別居先の問題だと思います。

 具体的な細かい場所はともかく、別居先選びにあたって大きな視点で、今の自宅の近くが良いのか、遠い場所の方が良いのかという点を検討する必要があります。

 

 別居先を近場とするのがよいのか遠隔地にするのがよいのかは、詳しくは、以下のような要素を総合して検討してみてください。

 

①同居中の夫の行動や言動等

 もちろん、同居中の夫からの暴力が日常的であったような場合には、できる限り遠隔地に転居した方が安全でしょうし、他方、夫のモラハラは無視が主体的であったという場合には、さほど遠隔地にまで転居しなくて良いかもしれません。

 夫の危険性とも言えますが、危険度の高低によって、別居先選択は大きく影響すると思います。

 また、モラハラ夫があなたにどのくらい執着しそうなのかによっても別居先選択の方向性は大きく影響します。この点は、同居中のあなたに対する監視や行動制限がどの程度のものだったのかによって見極めることができます。

 

②経済的問題

 仮に、夫の側から婚姻費用として生活費をもらうことを意図していたとしても、残念ながら、DV・モラハラ夫から生活費を回収するためには時間がかかってしまうこともあります。

 そのため、あなた自身の現在の収入に不安がある場合には、まずは実家に避難して、経済的な不利をカバーするというケースも多くあります。

 いずれにしましても、経済面は、今後のあなたの生活にとって非常に重要な要素なので、今後のあなたの生活が経済的に立ちゆかなくならないよう慎重に別居先を選ぶ必要があります。

 

③お子様の意見や教育面

 お子様が小学校高学年以上になると、小学校での友人が重要な存在になるというケースも多くあります。また、離婚や別居でただでさえお子様に心理的影響を与えるので、せめて教育環境は変化させたくないと考えることは、あり得ることかと思います。同じ学区内で引っ越すとなるとどうしても近場に引っ越す形になってしまうと思います。

 そのため、お子様の意見や教育面も、別居先選びの検討要素になります。

 ただ、最初は転校を嫌がっていたけれども、実際転校してみるとスムーズに馴染むことができたということも多いようです。

 

 

4.実際皆さんは近場と遠隔地どっちに転居したのか?


 私が担当している事件を見ておりますと、比較的自宅近くに別居した方もいれば遠隔地に別居した方もいます。別居先をどのように決めたのかについては、色々なご意見がありましたので、以下で説明を交えながら、詳しくご紹介いたします。

 

(1)夫が暴力を振るうので、シェルターに避難した。

 夫がモラハラにとどまらず、直接あなたに対して暴力を振るうようなケースですと、あなたの居場所が知られることそのものが身の危険を生じさせることになります。

 シェルターに避難することができれば、あなたが住んでいる場所を知られるリスクはほとんどなくなりますので、夫が暴力を振るうようなケースでは、シェルターに避難するケースも多いです。なお、シェルターにいられる期間は限られていますので、その方は、シェルター退所後は母子寮に転居して暮らしています。

 

(2)夫が暴力を振るうので、遠隔地を別居先にした。

 様々な事情からシェルターでの生活を選択しなかった場合や、一時はシェルターに避難した場合でも、通常シェルターにいられる期間は限られていますので、その後に、全く夫が知らない場所に引っ越す(前述の母子寮だけでなく、都営住宅等に転居なさる方などもいます)というケースなどです。

 夫が暴力を振るうようなケースでは、前述同様相手にこちらの居場所を知られないようにする必要がありますので、夫が居場所を探っても分からない場所に別居するのです。

 夫に居場所を推測されないようにする必要がありますので、あなたの実家や親戚の家の近く等は避けることが多いです。

 

(3)夫が暴力を振るうので、遠くの親戚の家に仮住まいさせてもらうことにした。

 これまでの説明同様夫が暴力を振るうため、どこか遠くに別居する必要があるけれども、通常の借家だと家賃が高いという場合などに、遠くの親戚の家に住まわせてもらうということもあります。

 ただ、親戚の家の所在を夫が知っていては避難の意味がありませんので、例えば、親戚名義の建物だけれども、親戚本人は住んでいないし、夫にも所在が発覚していない場所に避難するケースなどです。

 

(4)経済的な問題もあって実家に戻ることにした。

 別居を決断したけれどもすぐにしっかりとした収入を得ていくことが難しいとか、小さいお子さんがいらっしゃって実家の協力が必要だということで、実家に避難するケースです。これらの事情がある場合には、実家への避難が最有力候補になることも多いと思います。

 

 ただ、実家に避難する場合、モラハラ・DV夫に居場所を把握されるリスクが非常に高いので、以下のような要素を総合的に検討して判断するのがよいと思います。

(メリット1)家賃負担を軽減でき、経済的負担を抑えることができる。

(メリット2)お子様がいる場合など実家の協力が期待できる。

(メリット3)モラハラ・DV夫も、こちらの実家には頭が上がらないので、実家にいることで安全性が増す。

(デメリット1)居場所がバレやすく、玄関先で騒がれるケースなどもある。

(デメリット2)元々実家との折り合いがあまり良くないと、家庭内がぎくしゃくするリスクがある。

(デメリット3)お子様の通学先や通園先の当たりがつけやすくなるため、通学途中や通園途中の連れ去りのリスクが生じる。

 

(5)子どもを夫に会わせる手間等も考え、それほど遠くない場所に引っ越した。

 夫が直接の暴力を振るうわけではなく、また普段はほとんど暴言等を発しないというような場合には、自宅近くに引っ越すというケースもあります。

 夫が子どもを可愛がっており、子どもも懐いているという場合、無理に引き離すことはあまり望ましくありませんし、夫と子どもとの関係が良好であれば、円満な離婚につながる可能性もあるので、自宅近くに転居するのです。

 このような場合、引っ越し先が近距離なため、夫が頻繁に引っ越し先まで来て入り浸ると言ったケースが生じやすいため、こちらの離婚意思や別居意思をしっかり伝えておくなどして、半同居状態のような格好にならないよう注意が必要です。

 

 また、夫が普段から暴言ばかりではないとしても、感情的になるとどのような行動に出るか分からないという場合には、例えば、①まずは、2週間程度実家に転居して様子を見て、②ほとぼりが冷めた頃に自宅近くの別居先に避難し、そこで生活を落ち着かせるという方法を取ることもあります。このような場合には、①の別居開始の時点で早めに弁護士から夫宛に通知を送り、夫が感情的な行動に出ないよう予め牽制しておくという方法を取ることも多くあります。

 

(6)子どもの学校を転校したくなかったので自宅近くに住むことにした。

 このケースも、夫が直接の暴力を振るうわけではなく、また普段はほとんど暴言等を発しないというような場合が想定されます。

 特にお子さんが小学校高学年で、ほとんどの同級生が同じ公立中学校に進学するといった環境ですと、お子さんの教育環境に配慮して、学区が変わらない範囲で転居すると言うことです。

 なお、学校と習い事いずれが重要なのかを見極めて検討する必要があるケースもあります。何を言っているのかと言いますと、例えば、学校に馴染んでいるというよりも、実際には、同じサッカークラブの友人と仲が良いという場合、①そのサッカークラブに通い続ける前提で近場に転居するという選択肢もありますが、他方で、②サッカークラブ等ですと、モラハラ夫が見学や観戦に来てしまうリスクが高いということを考慮して、敢えて遠隔地に転居するという選択肢もあるのです。

 

 もちろん、お子さんの教育環境は重要ですが、お子さん自身は夫との接触を強く嫌がっているといった場合には、あまり住居が近いと、夫から面会交流を頻繁に求められるリスクも高くなりますので、そのようなリスクも考慮しながら引っ越し先を検討する必要があります。

 

 

5.まとめ


・別居先選びの検討要素として重要なものは①夫の同居中のDVやモラハラの状況・程度、②あなたの今後の経済面、③お子様の意見や教育面といった点になる。

・モラハラ・DVの案件では、別居先として以下のようなところが選ばれている。

 ①シェルター

 ②遠隔地の親戚の家(夫に居場所が全く判明していない場所)

 ③実家

 ④自宅近くの賃貸マンションを借りた

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(40)】夫婦同居調停ってなんだ?

2024.12.30更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

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1.夫婦同居調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦同居調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦同居調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦同居調停とは、一般的には、夫婦が当人同士で話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦の同居に導くための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦同居調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦同居調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に別居を開始してしまったという場合に、夫婦の同居義務(民法752条)の遵守を求めていくという手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、夫婦・家族同居に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 ただ、こちらとしては夫婦同居を求めて調停を起こしても、相手が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、話し合いが決裂してしまうリスクはあります。

 

 

3.夫婦円満調停との違いは?


 私は、夫婦同居調停のことを聞かれた場合には、夫婦円満調停を、より強力にした調停ですよ、と説明することが多いのですが、大きな違いは以下の3点になります。

①夫婦円満調停だと、ひとまず当面は別居(すぐに同居までは求めない)という選択肢もあるが、夫婦同居調停はあくまで同居を求める手続きである

②相手の「同居義務違反」をより際立たせた手続である

③調停が不成立になった場合には、審判という手続きに移行する

 

 以下詳しく解説していきます。

(1)あくまで同居を求める手続きである

 夫婦関係円満調停ですと、相手の意向を考慮して、一旦暫くは別居状態を続けるという形の解決も選択肢の一つではあります。

 しかし、夫婦同居調停は、あくまで同居を求めていく調停なので、暫く別居ということは基本的に視野に入れていません。

 

(2)同居義務違反を際立たせている

 同居調停は、夫婦の間に同居義務があることを前提として、その同居義務を守らせようとするものですから、夫婦円満調停以上に「同居義務違反」を際立たせた手続と言えます。

 

(3)調停不成立になると審判手続きに移行する

 夫婦円満調停は話し合いが決裂すると、調停手続きは終了してしまい、「調停がなかった時の状態」に戻ります。

 これに対して、夫婦同居調停は、話し合いが決裂すると、調停手続きは審判手続きに移行し、裁判官が結論を出してくれます。

 

(4)弁護士としては、同居調停はあまりオススメしない

 前述の通り、同居調停は、結論を「同居一本」に絞っているため、あなたとしても強く同居を求める姿勢だという決意を示すことはできます。

 ただ、同居調停は、元々、相手の同居義務違反を「責める」ことを前提にしていますので、そのことで相手の心情を害するリスクがあります。

 また、相手が悪質な背信行為に及んでいるような場合は別ですが、そうでない場合、同居調停が審判移行しても、裁判官が「同居せよ」という結論を出すことは基本的にありません(そのため、審判移行前に裁判官の方から「調停を取り下げて欲しい」と打診されるのが一般的です)。

 

 

4.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)相手に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は事前に夫婦同居調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

 

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、相手が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦同居を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

 

 

5.調停委員ってどんな人?


 夫婦同居調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

6.夫婦同居調停ってどこで行うの?


 夫婦同居調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

7.夫婦同居調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

 

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

11.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

12.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

13.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦同居調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 

 

14.まとめ


・夫婦同居調停は、夫婦同居を目指す手続である。
・夫婦同居調停は、夫婦円満調停を強力にした手続と捉えると理解しやすい

・弁護士としては、夫婦同居調停はあまりオススメしない

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦同居調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦同居調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑪】別居準備はどのような点に注意しているのでしょうか?

2024.12.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

以下では、このようなモラハラ夫と別居するにあたって検討すべき事項11項目について解説していきます。

 

 

2.【検討項目①】事前に夫に相談した方が良いか?


 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような仕打ちを受けるか分からないと言うことで、悩まれている方も多くいます。

 基本的に、これまでにもあなたへの誹謗中傷等がひどく、別居を相談すると、さらにどんな誹謗中傷を受けるか分からないといった場合には、事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしない方が良いと思います。また、夫からの度重なる暴言であなたが精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。

 他方で、そこまで極端な被害はないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、きちんとした離婚の理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。

 

 

3.【検討項目②】絶対にこちらの動きを察知されないこと


 事前に夫側に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることが非常に重要になります。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

 

4.【検討項目③】親族・友人等の支援体制を整えること


 特に夫側に事前に告げずに別居を開始した場合、夫があなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

 

5.【検討項目④】置き手紙の活用


 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

6.【検討項目⑤】捜索拒否願の提出・警察への事前相談


 これはケースにもよると思いますが、突如別居を開始すると、夫側が大騒ぎをしかねないという場合には、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出することも検討して下さい。

 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、夫側が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。
 なお、警察署によっては、捜索願が出る前の捜索拒否願の受付はしていない、とか、捜索願が出ても旦那さん側にあなたの住所は教えないから、拒否願は出さないで大丈夫だと指導を受けることもあります。そのような場合には警察の指導に従う形で結構かと思います。
 また、夫側があなたの職場を知っていて付きまとい行為をする可能性があるとか、子供の学校を知っていて子供を尾行してきそうだといったケースの場合には、捜索拒否願ではなく、警察署の生活安全課に事前に相談をし、別居時に警察から夫側に電話連絡をしてもらうよう依頼するとか、実際に付きまとい行為が始まった場合には注意・警告をしてもらうということもあります(なお、別居時の電話連絡は、応じてくれる警察署と応じてくれない警察署があります)。

 

 

7.【検討項目⑥】別居のタイミングの見極め


 お子様が小学校に通っているというような場合には、夏休みの時期が最もお子様の休みが長く動きやすいというケースも多いと思います。実際にも夏休みの別居に備えて事前に準備を進めているという方も多くみられます。
 ただ、児童虐待の内容が悪化していて夏休みまで待つことができないということもあると思いますので、別居のタイミングは、①事前の準備がどこまで整っているか、②お子様の長期休みなど身動きがとりやすいタイミングがいつか、③児童虐待がどこまで悪化してしまっているのか、といった点を総合して検討すべきかと思います。

 

 

8.【検討項目⑦】住民票の移動は慎重に


 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動しておいた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと夫側に居場所を知られる危険性が生じます。

 夫が同居中暴力をふるってきていたといったような場合、その被害者として役所に申請を提出しておけば、夫側があなたの住民票を入手することはできなくなりますが(これを「支援措置」と言ったりします)、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。

 

 

9.【検討項目⑧】健康保険の件


 あなたやお子様の健康保険が、旦那様の健康保険の被扶養者になっている場合、あなたやお子様が病院にかかると、その情報が旦那様側に通知されます(これは1か月ごとであったり、1年でまとめて通知されたり、健康保険組合によって取り扱いが異なるようです)。
 そのため、今後もその健康保険証を使い続ける場合には、病院にかかる場合には極力別居先付近の病院ではなく、元の自宅付近の病院に通うようにするなどの配慮が必要です。
 なお、同居中から、あなた自身が独自に健康保険に加入していて(要するにあなた自身に相当額の収入があって、勤務先の健康保険に加入しているということ)、お子様の健康保険もその保険に入れたいというケースもあるかもしれませんが、通常は夫側の協力が必要であったり、健康保険組合によっては正式に離婚が成立しない限り被扶養者資格の喪失が認められないということもあります。

 

 

10.【検討項目⑨】お子様の携帯電話


 お子様の利用する携帯電話に位置情報機能が付いており、そのことを失念したままお子さまの携帯電話をもって別居先に転居してしまいますと、当然、位置情報から、夫側がこちらの居場所を知ってしまうケースもあります。
 位置情報機能は解除したつもりでも、夫側の遠隔操作で再設定できるということもあるようですので、この点は細心の注意が必要です。
 そのため、可能な限り、お子様の携帯電話は自宅に置いて別居するとより安全です(お子様の携帯電話の中に、夫側に知られたくない情報が入っている場合にはその消去やデータ初期化も必要です)。

 

 

11.【検討項目⑩】必要に応じて、早めに弁護士に相談する


別居の手順等について悩むような点がある場合には、弁護士を雇うかどうかは別として、直接質問すべく相談することをオススメしています。

このブログでかなり詳しめに解説いたしましたが、ご家庭の状況は皆さま異なると思いますので、ご家庭の状況に応じた疑問点等もあると思いますから、そのような点は直接質問することで初めて解消できると思うからです。

 

 

12.【検討項目⑪】別居時の持ち物リスト


別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

13.まとめ


○事前に夫側に別居する旨を相談した方が良いかはケースによる。
○別居準備は絶対に夫側に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○ケースによっては、警察には捜索拒否願を提出したり、付きまとい防止のために相談しておいた方が良い。
○別居タイミングについては、お子様の長期休みを一つの目安として、児童虐待の悪化の程度も見極めながら判断した方が良い。
○住民票の移動は、時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○健康保険が旦那側の健康保険の被扶養者になっている場合には、別居後の受診には注意が必要である。
○お子様の携帯電話(位置情報の検索ができるもの)については、自宅に置いて別居したほうが良い。
○別居の方法等で悩むようなことがあるなら、早めに弁護士に相談だけでもしておいた方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑩】別居や離婚話を切り出したときの夫側の反応は?

2024.12.16更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 以下では、あなた自身がモラハラ夫に対して別居や離婚の話を切り出したときにモラハラ夫がどのように反応することが多いのかについて解説していきます。なお、実際に別れ話を切り出してみると、こちらが予測していたのとは異なる反応を示すこともありますので、予め心の準備をしておくという意味でも参考にして頂けるとありがたいです。

 

2.【ケース1】モラハラ夫が全く真剣に受け取ってくれない


 私が事件を担当していて、モラハラ夫の反応として一番多いと思われるのが、真剣に受け取らないという反応です。
 特に、あなたが専業主婦であったり、パート勤務で収入が少ないような場合には、「離婚しても自分の収入だけで生活できるはずがない」などと考えるモラハラ夫が多いようです。
 また、これは別れ話のタイミングにもよるのですが、夫婦喧嘩の際などに、別れる旨を話した場合には、モラハラ夫は、こちらが一時的な感情で離婚や別居を口にしたと誤解しているケースも多いです。
 このようにモラハラ夫が真剣に受け取らないという場合には、真剣に受け取るような伝え方をしていくのが良いと思います。例えば、お互いの両親を交えた大家族会議のような形式をとるとか、具体的な別居開始日を決定してしまって話をするとか、もしくは、別居開始後に改めて話をするといった方法が考えられます。

 

 

3.【ケース2】モラハラ夫が急に神妙になる・謝ってくる


 モラハラ夫は、家庭内ではモラハラ発言等ばっかりであっても、家庭の外では、まるで別人のように社交的にふるまうというような人物も多いです。そのようなモラハラ夫の共通点としては、「自分がどのように行動すると自分に有利になるのか」と言ったことを計算できるということです。
 そのため、あなたが真剣に別居や離婚のことを伝えると、一旦はあなたを落ち着かせたほうが良いと考え、モラハラ夫は神妙になったり、急に謝ってくるのです。

 

 このような場合によく質問を受けるのが「今は神妙にしているけれども、演技なので長続きしませんよね?」といったご質問です。
 私は実際にあなたの夫に直接会ったことも直接話したこともないため確証をもってお話しできないのですが、「これまでのモラハラ行為の重症度に応じて推測するしかありません」とお答えすることが多いです。これまでのモラハラの重症度が重い場合には、残念ながら、今は神妙にしていても長続きしなかったり、モラハラ行為が再燃する確率が高いと言えますし、逆に、これまでのモラハラの重症度がそこまで重くない場合には、モラハラ行為が再燃する確率は高くはないかもしれません。

 

 実際に私が担当したケースですと、反省が長続きしないケースだと「数日で元に戻ってしまった」というケースもあります。

 なお、モラハラ夫がこれまで一度も謝ったことがなかったような場合には、今回初めてモラハラ夫が謝ってきたことであなたも嬉しくなってしまい、安心してしまうということもありますが、残念ながらそれが演技の可能性もありますので、今後も多少なりとも用心しながら生活したほうが良いと思います。

 

 

4.【ケース3】モラハラ夫が猛反発してくる


 重症のモラハラ夫でよくあるケースですが、あなたが真剣に別れ話をしたことで、猛反発してくるケースです。
 そもそも、モラハラ行為をする人間は、自分が悪いことをしていないと考えている人が多いです。「あなたが俺を怒らせるのが悪い」「怒らせる原因を作ったのはあなただ」「あなたの家事があまりに不十分なので注意しただけで、感謝されても責められる謂れがない」といった発想です。
 このようにモラハラ夫としては何も悪いことをしていないと考えていますので、突如あなたから離婚や別居を突き付けられて、信じられない思いや、もっと家族円満にできるようあなたの方が努力すべきだなどと強く反発してくるのです。

 このような場合、あなた一人でこれ以上別れ話を進展させていくことは難しいですし、あなたのモラハラ被害が拡大していくだけなので、他の親族の協力を得るなど話の持って行き方や、離婚に向けての手順等をしっかりと検討していったほうが良いと思います。

 

 

5.【ケース4】表面的に波風を立てないようにしつつ離婚準備を始める


 表面的にモラハラ夫側の動きが見えにくくなるので、一番油断がならないケースです(ただ、私が実際に担当した事件でも、このように対応するモラハラ夫はごく少数です)。

 例えば、①表面的にはこちらへの圧が大きく軽減されたが、子供への関わりが非常に積極的になったケース(最悪離婚になっても、新件を獲得すべく準備しているケース)、②表面的にはモラハラ発言等が大きく減ったが、預金をインターネットバンキングに変更したり、これまで置いてあった共用スペースから勝手に移動し始めた(最悪離婚になっても、財産分与でなるべくお金を渡したくないので、財産隠ぺいを目論んでいるケース)といったものが考えられます。
 モラハラ夫はこちらの予想以上に計画的に準備を開始している可能性もありますので、十分用心する必要があります。

 

 

6.上記のケースはあくまで代表例であること


 上記で詳しく解説したケースはこれまで私が直接担当した事件での実際の事例なのですが、あくまで代表的なものに過ぎません。
 そのため、前述のケースの枠に入らない反応を示すケースもあると思います。
 また、前述のケースは、必ずしも、どれか一つのみが当てはまるということではありません。複数が当てはまるというケースも往々にしてありますので、この点も留意が必要です。

 

 

7.まとめ


・奥様が直接モラハラ夫に別れ話などを切り出したときの夫側の反応としては以下のようなものがある。
 ①全く真剣に受け止めない
 ②急に神妙になる・謝罪してくる
 ③猛反発してくる
 ④表面的には波風を立てないようにしつつ離婚準備を進める
・これらはあくまで代表例なので、違うケースもあり得るし、複合的なケースもあり得る。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(39)】相手の方が有責なのにひどくないですか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「有責」とは?


 離婚問題における「有責」とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味します。

 私のところにご相談に来られる方の中には、「確かに口喧嘩になることは多かったけれども、いつも妻の方が挑発してきて口喧嘩になっていたので、妻の方が『有責配偶者』だと思います」とか、「お互い口をきかなくなって2年ほどが経ちますが、元はと言えば、夫がこちらを無視してきたことから始まったことなので、夫の方が悪いと思います」といったお話をなさることも多いです。

 ただ、前述の「有責」とは、「どちらかというと妻・夫の方が悪い」と言うだけでは不十分で、例えば、相手が浮気をしたとか、こちらに暴力をふるってきて怪我をさせられたといったような「背信行為」と言えるような事情があることを意味します。

 

 

2.まずは証拠の確認


 前述のように相手が有責と言えるためには、単に「どちらかというと相手の方が悪い」というのでは不十分で、浮気をしたとか暴力をふるってこちらに怪我をさせたというような重大な出来事が必要になります。

 ただ、このことに関して、裏付け証拠がないと、相手は、浮気や暴力を否定してくることが多いです。

 そのため、まずは、相手に有責性を突き付けられるだけの証拠がどのくらいあるのかを精査する作業が必要になります。ご自分では「十分な証拠があると言えるか分からない」という場合には、証拠を持参して弁護士に相談してみると、見込みが立てられると思います。

 なお、証拠の確認をしてみて、十分な証拠がないという場合には、残念ですが、あまり相手の有責性をクローズアップしない方が良いことが多いです。

 以下は、相手の有責性についての証拠があることを前提として解説していきます。

 

 

3.攻め方は大きく二つの方向性がある


 相手の有責性の証拠がある場合、攻め方には大きく二つの方向性があります。

 具体的には、相手の有責行為をしっかりと追及して責めていく攻め方と、自分にも至らないところはあったので、そこを反省するという攻め方の二つになります。

 以下で詳しく解説していきます。

 

(1)【攻め方①】相手の有責行為をしっかりと追及していく

 この攻め方は、要するに「悪いことをした方の人間が離婚したいなんて言うのは虫が良すぎる」とか「そんなに世の中は甘くないから、そんな身勝手なことは認めない」というような形で、相手を攻めて、離婚を防止するという進め方です。

 あなたは被害者の側なのですから、相手を攻めたいと思うのは当然の感情だと思いますので、そのような心情をストレートに反映した攻め方と言えます。

 

(2)【攻め方②】自分としても反省すべき点は反省していく

 前述の攻め方は、相手の方が悪いことをしているのですから、当然の進め方と言えばそうなのですが、違う視点で考えると、夫婦喧嘩になってしまうだけで、夫婦関係が修復に向かうのかというと難しいかもしれません。

 そのため、あなた自身にも一定の落ち度があったという場合に、そのことを反省しているといったことを伝えて、あくまで関係修復を目指すという攻め方が二つ目の攻め方になります。

 

(3)どちらの攻め方の方が良いか?

 結論から言いますと、どちらも一長一短ですので、以下のような要素も総合してあなた自身で決めてもらうしかありません。

①相手が普段から全く反省していないような場合

 そのような場合には、「攻め方①」の方が良いことが多いです。「攻め方②」の攻め方をしますと、相手は余計に図に乗ってしまい、仮に夫婦関係が修復したとしても、あなたは縮こまって生活しなければならず、それがあなたの幸せにつながるとは思えないからです。

 

②相手が普段はこのようなことはしない場合

 相手が普段はこのようなことはしないというような場合には、あまりそのことを責め立てると、相手はこちらへの不信感を強めかねません。そのため、「攻め方②」の方が良いケースが多いかと思います。

 

③あなた自身の「落ち度」の内容や程度にもよる

 例えば、最近夫が浮気をしたとしても、実は、7年ほど前にあなたの方が浮気をしたことがあって、その時はあなたが謝って旦那に許してもらったというような場合には、直近の夫の浮気ばかりを責め立てて良いのか、という問題があろうかと思います。

 他方、夫が言うように多少家事に不行き届きがあったとは言っても、暴力をふるわれるような落ち度ではないというような場合には、相手の暴力をしっかりと追及した方が良いかと思われます。

 

④お子さんの様子を考慮すべき場合もある

 例えば不倫といった問題は、お子さんの年齢からすると、あまり直接お子さんに伝えない方が良いという場合もあります(お子さんの健全な成長の妨げになってしまう場合も多いと思います)。

 そうしますと、お子さんにとっては全く事情が分からないところで、父親又は母親が出て行ってしまったということで混乱してしまっているというような場合もあると思います。

 そのような場合には、相手の有責行為をしっかりと責め立てて短期決戦を仕掛けるという場合もあり得ますし、逆に、相手を余計に刺激しないようにと言うことで、慎重に進めるという場合もあり得ると思います。

 

 以上は、今後の攻め方の参考事情でして、最終的には、「あなたがどうしたいのか」というお気持ちを一番大事にして進め方を決めた方が良いと思います。

 

 

4.相手が不倫をしている場合で、不倫相手が分かっている場合


 夫の不倫相手の女性、もしくは、妻の不倫相手の男性が分かっている場合、その「不倫相手」を相手に慰謝料請求などのアクションを起こす場合もあります。

 この方法がうまく行けば、夫または妻も不倫相手との関係が切れて夫婦関係が元に戻るということもあり得ます。

 ただ、この方法は余計に相手の反発を招いて夫婦関係が余計に悪化するというパターンもありますので、慎重に検討した方が良いことが多いです。

 

 

5.まとめ


・有責性とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味する。そのため、夫婦のどちらかというと相手の方が悪い、というようなケースは含まない。

・相手の有責を主張する場合、その裏付け証拠がどの程度あるのかをしっかりと確認する必要がある。

・有責の証拠がある場合の攻め方は、相手の有責行為をしっかりと追及していく攻め方と、そうではなく、あなた自身の反省点を反省していくという攻め方の大きく二つの攻め方がある。

・どちらの攻め方に寄るかは、最終的にはあなたの心情を持って決めるしかない

・不倫相手が誰なのか分かっている場合には、その不倫相手への慰謝料請求からスタートする場合もある。

 

 

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【絶対に離婚したくない(38)】どうしてお互いの言い分がこんなにも食い違うのでしょうか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.離婚で争っている場合には、言い分が食い違うケースは非常に多い


 相手の弁護士の書面や離婚調停での相手の言い分など、離婚したい理由が示される場面はいくつかありますが、あなたの認識と大きく食い違っていることも多いです。

 実際に起きた過去の事実は同じなのに、夫婦の間でこれだけ言い分が食い違うのも奇異な話なのですが、実際に離婚調停などでは、「言い分が全く正反対」ということも多々あります。

 あなたとしては、「相手が嘘ばかりを言っている」と感じる事でしょうが、このように言い分が全く食い違うことにも理由や経緯があります。

 以下では、どうしてこのような言い分の食い違いが生じるのかについて、詳しく解説していきます。

 

 

2.相手の言い分が事実と異なる原因

 実際に私が担当した事件で、どうして言い分がここまで食い違うのか、その理由を探ってみましたので、詳しく解説していきます。

 

(1)【食い違う理由①】特に離婚したい理由に特化して言い分をまとめるから

 相手は離婚したい以上、離婚したい理由だけを述べて、離婚しなくても良い理由は一切述べません。そのため、例え夫婦生活の9割がた円満でも、残りの険悪なときの状況や場面、言動のみを切り取って、あの時こういった、あの時こうされた、という形で言い分をまとめてきますので、実態とは印象が大きく異なる言い分になるのです。

 

(2)【食い違う理由②】経緯や状況が異なっている

 最も分かりやすい例が、実際には夫婦喧嘩での言い合いなのに、相手は、自分の言葉を全てきり捨てて、あなたの酷い発言だけをピックアップして主張してくるケースです。

 夫婦ですので、時に口喧嘩になることもあると思いますし、その時には、きれいな言葉を発することなど難しいと思います。

 ただ、実際には売り言葉に買い言葉なのに、相手が、「自分がこう言われた」という言われた言葉だけを取り上げたらどうでしょうか。当然あなたの一方的な暴言のように捉えられてしまいます。

 これは極端な例ですが、これ以外にも、実際の経緯やシチュエーションが全く異なるということもあります。

 このようなことでお互いの言い分が全く異なるというケースもあります。

 

(3)【食い違う理由③】色々と調べるうちに記憶が混同してしまっている

 今は、インターネットで必要な情報を簡単に検索できる時代です。

 そのため、似たような境遇で困った経験がある人がいないかとか、似たような言動で苦しんできた人がいないかということで、インターネット上で検索すると様々な情報に接することが可能です。

 このように色々と調べている中で、「そういえば、私もこのように言われたことがあるかも」とか「よく思い出してみるとこのような発言に苦しめられていた気がする」などと記憶が混同して行ってしまうこともあるようです。

 

(4)【食い違う理由④】相手弁護士の表現方法の問題

 相手が弁護士を雇っている場合、離婚理由などについても、相手の弁護士が書面などをまとめて主張してきます。

 そうしますと、弁護士は、有利に立てるような事情などをピックアップ、強調して主張してきますので、実態と異なる書面が出来上がっていくというケースも多いです。

 例えば、何年も前の出来事とか、もうかなり前に夫婦の間では解決している問題であっても、それが、離婚にあたって有利になるような事情であれば、強調して主張してくるのです。

 

(5)【食い違う理由⑤】相手は離婚するために必死なので、一定範囲で虚偽や誇張を含んでしまう。

 相手は離婚したいという思いがあって弁護士を雇ったり、離婚調停を起こしているわけですから、有利に離婚を勧めようという心理が強く働きます。

 そのような中で、実際の過去の事実よりもオーバーに表現したり、過去の実際の事実に関連する事情などとして虚偽を織り交ぜてくるということも往々にしてあります。

 

 

3.嘘をついても罰せられないのか?


 離婚調停で問題になるのは、これまでの夫婦の関係性や出来事のことですから、相手が言っていることが事実なのか虚偽なのかは、あなた自身がよく分かっているということになります。

 そのため、相手の主張を見て、「こんなに嘘ばっかり言って良いんですか?」「何か罰せられたりしないんですか?」というご質問を受けることも多いです。

 しかしながら、法律上、離婚紛争中に相手が虚偽を述べたことをもって処罰するような規定等はありませんので、「処罰する法律はないんです」というご回答になります。

 そもそも、あなたの記憶としては、相手の言っていることが「全くの嘘だ」という場合でも、それを証明することは難しいことが多いです(それこそ録音でもしておかないと証明ができない)。

 

 

4.それでは「言ったもん勝ち」にならないか?


 上記の解説をご覧になった方の中には「それでは言ったもん勝ちじゃないのか?」とか「嘘をついた方が得をするようなもので、おかしくないか?」とお感じになったかもしれません。

 実際の離婚調停と離婚裁判でどのように取り扱われるのかについて以下で解説していきます。

 

(1)離婚調停の場合

 まず、離婚調停の場合、調停委員も、両当事者の意見が食い違うというケースをかなりの数扱っていますので、どちらが言っていることが正しいと断定的に決め付けるようなことは基本的にしません。

 そのため、相手が様々な主張をしても、調停委員はそれを鵜呑みにはしません。

 ただ、相手から裏付け証拠が提出された場合には、調停委員は、裏付け証拠の範囲で相手方の言い分を認めるということはあります。

 

(2)離婚裁判の場合

 離婚裁判の場合、より一層、裏付け証拠の有無、内容が重要視されます。

 何の裏付けもなく相手が主張していたとしても、裁判官は、その内容を信用することは基本的にありません。

 そのため、私の方からも、「離婚裁判は裏付け勝負になりますよ」とお話することが多いです。

 

 

5.安易な方針転換は禁物である


 もちろん、私は、あなたが夫婦関係の修復を希望する限り、全力でそれを応援します。

 ただ、相手が嘘ばかりついている様子を見て、「こんなことならもう離婚したい」という考えが頭をよぎってしまう方もいらっしゃいます。

 今後のことは、あなたの人生にとってとても大切な決断になりますので、もし多少離婚が頭をよぎったとしても、離婚に切り替えるかどうかは慎重に検討した方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・お互いの言い分が食い違う原因としては以下のようなものが考えられる。

  • 特に離婚したい理由に特化して事情をまとめているため
  • 経緯や状況が異なっている
  • 色々と調べているうちに記憶が混同してしまっている
  • 相手が雇った弁護士の表現方法の問題である
  • 離婚するために必死なので虚偽や誇張が含まれる

・調停などで虚偽を述べても、そのことを罰する法律はない

・調停でも裁判でも、裁判所側は相手の言い分をそのまま鵜呑みにはしないため「言ったもん勝ち」にはならない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑨】夫側に何も伝えずに別居を始める人は多いのでしょうか?

2024.12.02更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.実際に何も伝えずに別居を始める人は多いのか?


 結論から申しますと、事前に何も伝えずに別居を開始する人はかなり多いです。

 特に離婚調停の席で、この話題が出ると、調停委員は、「事前に何も話さずに家を出る人はかなり多いですよ」と答えてくることが多いです。

 事前に話をすることでこれまで以上にモラハラ被害を受ける危険性があると感じたとか、事前に話をすると別居を妨害されそうだと感じたというようなことで、事前に話をせずに別居を開始しているようです。

 

 

3.夫や調停委員から責められないのか?


(1)モラハラ夫は責めて来ることが多い

 まず、モラハラ夫から責められないのか?という点ですが、お察しの通り、モラハラ夫からは、「突然妻が出て行ってびっくりした」「こんなひどい仕打ちはあんまりだ」という言い方をしてくることが多いです。

 ただ、事前に話をしていれば責められないのかと言いますと、「多少妻から話はあったが、しっかりとした話し合いをする前に出て行かれた」とか「何回か話をしたというけど、こちらはいつも反対していた。はっきりとした理由も言わないし、こちらは別居に同意していない」などと言ってきて、結局こちらが責められることは変わらないというケースも多いのが実情です。

 後述の通り、私は、モラハラDVがひどいケースでなければ、事前に話をすることを推奨してはいますが、事前に話をしても、結局別居後にモラハラ夫が責めてくることが多いのも事実です。

 

(2)調停委員は?

 前述の通り、離婚調停になっているケースですと、事前に何も話をしないとかほとんど話をせずに別居を開始するケースの方が多いので、調停委員があなたを責めて来ることはほぼありません。

 そのため、「調停委員から責められるかしれない」という心配はありません。

 

 

4.弁護士としては、モラハラDVがひどくないようなら事前に話をすることを推奨している


モラハラ離婚のケースで一番悩まれるのは、離婚することや別居することを事前に相手に伝えるべきかという問題だと思います。
 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような暴言・態度を受けるか分からないと言うことで、悩まれている方が多いです。

 基本的に、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容の場合には、事前に離婚や別居を切り出さずに別居を開始した方が良いことが多いと思います。事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしないのです。また、度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。

 

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、モラハラ被害防止というきちんとした理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。
 ただ、事前に何も伝えておかないと、①こちらの真意がいつまでもモラハラ夫に伝わらない、②離婚協議を始めても、先方の反発が強くて手続が大きく遅延していってしまうというリスクもありますので、事前に話ができるようなら、極力話はしたほうが良いと思います。

 以下では、基本的な注意点について詳しく解説していきます。 

 

 

5.最低限置き手紙は残す


(1)何も残さずに別居することは混乱のもとである。
まず、置き手紙も何も残さずに別居を開始してしまいますと、モラハラ夫は、あなたの職場や実家、親族、果ては警察など様々なところに電話をかけまくったり、直接訪問してくることもありますので、混乱を避けるためには、少なくとも置き手紙くらいは残したほうが良いと思います。

 

(2)置き手紙には何を書くか?

 置き手紙のボリュームをどの程度にするかは、あなた自身の考え方にもよるのですが、大きく分けると以下のようなことを盛り込むことが多いと思います。以下、詳しく解説していきます。

 ①離婚を前提とした別居であることの明記

 ②別居を決意した理由の説明

 ③子ども達と一緒に家を出るが元気にしている旨

 ④くれぐれも探さないでほしい旨

 ⑤今後の連絡先(担当弁護士の電話番号等)

 詳しく説明していきますと、①については、離婚を前提としていることはしっかりと伝えることが多いです。一旦冷却期間を置くための別居だと誤解されては困りますので、この点を明記するのです。
 次に、②につきましては、どこまで細かく記載するかはあなた次第です。ただ、あまり細かい事情を書いても、モラハラ夫がそのことを理解するとはとても思えませんので、簡潔に記載することが多いと思います(短い場合には、2,3行で済ませるケースも多いですが、しっかりと気持ちを伝えておきたいということで何十行も書く人もいます)。私としては、モラハラ夫が反発してくることを想定して、簡潔に書くようアドバイスすることが多いです。

 

 上記の③については、モラハラ夫側が、妻は置いておくとしても、子供達が安全なのかが心配ということで騒ぎ立てることを防止するために、この点を記載することも多いです。
 また、④については、前述の通り、納得いかないとモラハラ夫はあなたを探し回る人もいるため、くれぐれも探さないよう伝える文言です。
 なお、実際にはあなたは浮気などしていないのに、同居中から、妻があなたの浮気を執拗に疑っていたケースとか、あなたの居場所を伝えないと職場に迷惑がかかりそうだといったケースですと、④の箇所で「今後は実家で暮らします」というように、あなたの居場所を伝えてしまうケースもあります。
 ただ、このように書いてしまうと、モラハラ夫が実家に乗り込んでくることも多いので、どこまで書くかは慎重に検討したほうが良いと思います。

 

 最後の⑤については、あなたの別居先住所を伝えるという意味ではありません(ケースによっては、あなたの住所は絶対に伝えないほうが良いというケースも多いかと思います)。担当の弁護士が決まっているようでしたら、弁護士の連絡先を書いたり、「追って近日中に弁護士から手紙が届きます」と書いたりします。また、あなたのご実家のお父様に間に入ってもらう場合には「今後は父の携帯電話までご連絡下さい。私宛の直接の連絡はお控えください」と書いたりします。

 

 

6.まとめ


・実際上、事前に話をせずに別居を始める人は多い。

・事前に話をしないとモラハラ夫は後から責めて来ることが多い。

・ただ、事前に話をしてもモラハラ夫は後から責めて来ることが多い。

・調停委員から責められることはほとんどない。

・モラハラDVがひどいケースでない場合、弁護士としては事前に話をすることを推奨している

・最低限置き手紙は残して家を出たほうが良い。

・置手紙には最低限書いておいた方が良い事項がある。

 

 

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>弁護士秦のモラハラDV総合サイトはこちら!

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

2024.11.25更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.事前にモラハラ夫に話した方が良いか?


モラハラ離婚のケースで一番悩まれるのは、離婚することや別居することを事前に相手に伝えるべきかという問題だと思います。
 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような暴言・態度を受けるか分からないと言うことで、悩まれている方が多いです。

 基本的に、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容の場合には、事前に離婚や別居を切り出さずに別居を開始した方が良いことが多いと思います。事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしないのです。また、度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。

 

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、モラハラ被害防止というきちんとした理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。
 ただ、事前に何も伝えておかないと、①こちらの真意がいつまでもモラハラ夫に伝わらない、②離婚協議を始めても、先方の反発が強くて手続が大きく遅延していってしまうというリスクもありますので、事前に話ができるようなら、極力話はしたほうが良いと思います。

 以下では、基本的な注意点について詳しく解説していきます。 

 

 

3.モラハラ夫から猛反発される危険性が高いなら、事前に話さないほうが良いかもしれない


 前述の通り、モラハラ被害がどの程度のものなのか、あなた自身の体調面を考慮して、事前に話をするかどうかは決めたほうが良いと思いますが、モラハラ夫がどのような反応を示すのかということも考慮要素にしておいたほうが良いと思います。

 

 と言いますのは、こちらから別居話をした際に、モラハラ夫が猛反発してくることが強く予測される場合には、「話をしたことで余計に別居しづらくなる」という事態に陥りかねませんので、そのような場合には、事前に話をしない方が良いかもしれません。
 モラハラ夫が猛反発し始めた場合、そんな中で別居を開始すると、「こちらが大反対している中で勝手に出ていった」と言われるリスクが高まってしまうと思います。

 

 

4.実際皆さんどうしているのか?


 これは全体的な傾向になるのですが、ご相談に来られる方が、弁護士への依頼をどこまで真剣に考えているかによって大きく異なるように感じます。

 既に弁護士に頼むことを決断している場合には、多少はモラハラ夫に話をするけれども、その後の話は弁護士に任せてしまうとか、ほとんど話をしないで別居をする(置き手紙だけを残す)というパターンが多いように感じます。

 これに対して、弁護士を立てるとモラハラ夫が強く反発してきそうだと考えて、自分でできるところまで話をしたいという方の場合は、時間と根気をかけて話をしている方が多い気がします。

 どちらが絶対的な正解ということはありませんので、あなた自身でよく考えて決断して欲しいと思います。

 

 

5.自分で夫に話をすると決意した場合、伝え方の工夫等はあるか?


 自分でモラハラ夫に話をすると決意した場合、どのように伝えるべきかと相談を受けることがあります。その場合、私からは以下のようにアドバイスしています。

 

(1)【離婚を切り出すポイント1】お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す

 夫婦を長年続けておりますとどうしてもカッとなってしまうこと、喧嘩をしてしまうこともあると思います。

 そんなときに、つい「離婚してやる」とか「離婚して欲しい」と口走ってしまうこともあるかもしれませんが、これではお互いに冷静な話し合いは期待できません。

 

 また、酔った勢いで離婚を申し入れても相手は真剣に受け取らないでしょうし、相手が酔った状況で話をしても、話は進展しないと思います。

 上記のシチュエーションは極端な例ですが、そうでなくとも、①家庭内別居の期間が長く、モラハラ夫が何を考えているのか、何を言い出すのかわかりにくい状況や②モラハラ夫が不機嫌で冷静な話し合いが期待できない状況の場合もあると思います。モラハラ夫が不機嫌な場合には一定期間を置いて冷静になるのを待ったり、事前にメールやLINE等にて「大切な話があるので時間を取って下さい」と伝えた上で話し合いの日時を決めるなどすることも考えてみて下さい。 

 

 いずれにしましても、お互いが冷静な状況・環境で話をすると言うことは当たり前のことのようでも重要なことです。

 

 

(2)【離婚を切り出すポイント2】具体的なエピソードを思い出す

 離婚のご相談を受けておりますと、抽象的な理由ばかりで具体的に相手のどのようなところが悪いのか、合わないのかがはっきりしないということがあります。

 例えば、「頻繁に暴言を浴びせてくる」とか、「相手はモラハラ夫なんです」と訴えてくる方もいらっしゃいますが、具体的にどのくらいの頻度で(ほぼ毎日なのか、1週間に1回程度なのか等)どのようなことを言ってくるのかが分かりませんと、対応ができません。

 

 ただ、モラハラ夫の嫌いなところを列挙すると、とりとめがなくまとまらなくなってしまうと言うこともあります。

 そのため、まずは、自分が相手とやっていけないと思う「一番の理由」を考えてみて下さい。

 その理由を選び出したら、婚姻中、具体的にどのような行動や言動があったのか重要なことだけでも良いので良く思い出して列挙してみて下さい。

 

 例えば、以下の様なものになります。

(参考例)

 先月上旬にモラハラ夫から「お前のように家事ができない女は要らないから今すぐ出て行け」と言われた。このような発言は、モラハラ夫の指示通りの献立で夕食を準備したのに、帰宅すると「今日はこんなに暑かったんだから涼しいメニューを作れ」などと発言してきて上記の発言につながった。

 相手の言うとおりに作り直していると、モラハラ夫は、空腹に耐えられないと言って家を出て、一人外食をして帰ってきた。

 

 このようにあなたが考える離婚理由を整理しておきますと、いざモラハラ夫と話をする際にも離婚話にメリハリをつけることができます。

 相手がモラハラ夫なのですから、こちらが離婚したい理由を話すと、即座に反論してくる、こちらを批判してくると言うことも予想されます。その反論や批判にすぐには負けないだけの準備をしておいた方がよいでしょう。

 

 なお、口頭だと十分に自分の意見を伝えられないという場合には、事前に手紙を作成しておいて、その手紙を渡してその場で読んでもらうという方法を取ることもあります。

 

(3)【離婚を切り出すポイント3】こちらが本気だと分かってもらう工夫をする

 離婚を切り出す相手はモラハラ夫なので、最初からこちらを下に見ていると言うことも往々にしてあります。特にこちら側が専業主婦という場合には、現状収入を得ていないと言うこともあって、モラハラ夫の側は本気にしてくれないと言う可能性も出てきます。そのため、こちらとしては悩んだ末に、やっていけないと考えて離婚を真剣に切り出しているのに、モラハラ夫からほとんど相手にされないという事態が発生し得ます。

 このような事態を避けるために、どのような方法が考えられるのかを、以下の通りご説明します。

 

①きちんと「離婚」というフレーズを使う

 長い間モラハラ被害受け続けていると、モラハラ夫の機嫌を損なう発言をしにくいというケースも多いです。そのため、遠慮がちに「もうやっていけないと思ってるんだけど」とか「夫婦の今後のことについてどう思ってるの?」と言った曖昧な表現になってしまうこともあります。

 しかし、このような曖昧な表現ですと、モラハラ夫はこちらの離婚意思をしっかりと受けとめてくれないかもしれません。

 そのため、あなたの口から離婚を切り出すと決めたのでしたら、きちんと「離婚」というフレーズを使ってモラハラ夫にきちんと話をして下さい。

 

②実家の両親などに間に入ってもらう 

 あなた自身の口で離婚のフレーズを伝えたのにモラハラ夫が真剣にとらえてくれないというケースもあります。そのような場合には、こちらが真剣に離婚したいと思っていることをアピールするため、ご実家の両親や親戚なども交えて離婚の話をするという方法が考えられます。

 この場合には、相手の両親も一堂に会して家族会議のような形で話をしてみるのもよいと思います。

 ご夫婦同士の直接の話し合いだと、相手が真剣に受けとめないという場合には、このような方法は有効打となることがあります。

 

③どうしても真剣に捉えてくれない場合「別居する」というのも選択肢の一つ

 身内が間に入って話をしてもモラハラ夫が真剣に受けとめないとか、自分に都合の良い捉え方しかしないため話が進まないという場合、別居という手段を取ることも検討してみて下さい。

 この場合は、一時的に実家に戻るという形が多いと思います。

 なお、相手に無断で別居を強行してしまいますと、相手がこちらの実家まで乗り込んでくるなど、話が複雑になりがちなので、別居については相手に相談をした上で進めるのが望ましいと言えます(もちろん、モラハラ被害が深刻な場合等には、くれぐれも無理をせず、場合によっては夫に事前に告げずに別居することもご検討下さい)。

 

④家庭裁判所に調停の申立をする

 ご夫婦が直接話し合うだけでは話が進展しないという場合、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法もあります。

 ただ、調停の申立が必要かもしれないと迷われているという場合には、まずは、弁護士に相談してみることをオススメします。

 

 

(4)【離婚を切り出すポイント4】メールやLINEで切り出すことは避ける

 私が相談に乗っておりますと、たまに「もう何年も夫と家庭内別居生活で、必要なことはLINEでやり取りするようにしていますので、離婚のこともLINEで切り出そうと思います」とお話になる方もいます。

 しかし、離婚という重大なトピックですので、メールやLINEでは、モラハラ夫側にこちらの意図が伝わらないケースが多いと思います。

 家庭内別居期間が長い場合、急に夫と顔を合わせて話をすることが難しいということも多いと思いますので、例えば、事前に「大事な話がありますので、今週末時間を作って下さい」とLINEをし、その週末に顔を合わせて話をするとか、あなたの実家のご両親にも立ち会ってもらって、話をするなどの方法も検討してみてください。

 

 

(5)【離婚を切り出すポイント5】冷静な話し合いを維持する工夫をする

 前述の通り、離婚を切り出す際には、冷静に話ができる状況で切り出すべきだと思いますが、話をしていると、お互いにヒートアップしてしまうというケースも往々にしてあります。

 特に、前述のように、あなたの方から離婚の理由を説明し始めると、モラハラ夫側からは「そんなことは言っていない」「誤解している」とか「そんな昔の話を持ち出すなんておかしい」「その話は解決済みだから今更持ち出さないで欲しい」等々様々な反論が返ってくることもあります。売り言葉に買い言葉で夫婦喧嘩になってしまいますと、折角最初は冷静な状況だったのに、途中から、あの時はこうだった、どうだったという話が延々と続いて、収拾がつかないというケースも多いです。

 いずれにしましても、話をしている途中で冷静な話し合いを維持できなくなりそうになった場合には、一旦話は打ち切って、後日改めて、前述のように両親にも立ち会ってもらって話をするとか、冷静な話し合いを維持できる工夫をした方が良いと思います。

 

(6)【離婚を切り出すポイント6】今後の経済面についても考えておく

 元々、モラハラ夫が自分の稼ぎを誇示してきたり、こちらの稼ぎがない・もしくは低いことを酷評してきているような場合には、離婚を切り出したときにも、「離婚してもお前だけでは生活できない」と言われてしまう事が強く懸念されます。

 また、いずれにしても、離婚した後の生活費のことはある程度計画を練っておく必要があります。

 現状専業主婦という場合には、離婚後、実家で暮らし、再就職先を探しつつ生活をしていくという形が一番現実的かもしれませんが、いずれにしましても、離婚後の経済面のことは具体的にイメージしておかないと、モラハラ夫側から、つけ入る隙を与えてしまいます。

 

(7)【離婚を切り出すポイント7】あまりズルズルと引き延ばさない

 離婚というトピックは重たいトピックになりますので、「話しづらい」「気が重い」「夫の反応が怖い」といったことで、ついつい先延ばしにしてしまう事もあります。

 もちろん、現状の生活に決定的な不満があるわけではないということでしたら、離婚を切り出すタイミングを急ぐ必要はないのですが、離婚を固く決意しているようでしたら、あまり話を先延ばしにするメリットはないと思います。

 そのため、しっかりと離婚を決意した場合には、あまり先延ばしにせず離婚話を切り出した方が良いと思います。

 また、一度離婚を切り出した後は、一定期間モラハラ夫側の反応や様子を見る必要があると思いますが、あまり長く引き伸ばしてしまいますと、こちらの離婚の本気度が疑われてしまいます。

 そのため、一度離婚を切り出した後も、あまり長期間間を置かずに、改めて話をしたり、話が進展しない場合には、伝え方を変えるなどの工夫をしていった方が良いかと思います。

 

 

6.伝える前の準備


 あなたの方から別れ話を切り出すと決意した場合、どのように話を持って行ったほうが良いか、どこまで話をするのかという点についてはしっかりと準備することが多いと思いますが、その前に別の準備が必要になります。
 と言いますのは、こちらが別れ話をすると、先方は、最悪離婚になっても良いように自分名義の資産を隠し始めるといったケースがあるのです。
 そのため、別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要になります。

 

 

7.まとめ


・モラハラの被害が深刻な場合には、事前に別居のことを伝えないほうが良いことが多く、逆に、深刻とまでは言えない場合には、伝えたほうが良いことの方が多い。
・モラハラ夫が猛反発しそうなら、事前に話をしないほうが良いかもしれない。

・これは全体的な傾向だが、既に弁護士に頼むことを決めているような場合には、自分ではあまり深く話をしないことが多く、逆に一旦は頼まない前提の場合には、しっかりと話をすることが多い印象である。
・ ご本人で離婚を切り出す場合、お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す。

・ 具体的なエピソードを元に離婚の理由を話す。

・ こちらが本気だと分かってもらう工夫をする。

・メールやLINEで切り出すことは避ける。

・冷静な話し合いを維持する工夫をする。

・今後の経済面のことも考えておく。

・あまりズルズルと引き延ばさない。

・別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑩】別居や離婚話を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

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【絶対に離婚したくない(37)】いきなり離婚調停って、どうしてこんな目に遭わなければいけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.いきなり離婚調停の案内が来た


 相手が弁護士を立ててきたので、話し合いをするのかと思いきや、いきなり離婚調停の案内が来ることもあります。相手の弁護士から手紙が届き、その手紙の中に、離婚調停を起こすことにした旨と、追って裁判所から連絡が来るのであなたの言い分はその調停で述べてくださいといった旨が書かれているといったケースです。

 相手が急に出て言って驚いているところに、相手の弁護士は話し合いの余地すら認めないような態度で、二重に驚いたという感覚に陥ってしまうと思います。

 

 

2.暴力や浮気ならまだ分かるけど…


 あなたが相手に暴力をふるって怪我をさせてしまったとか、浮気をしてしまったということなら、相手にこのような対応を取られても、ある程度はやむを得ないと割り切れるかもしれません。

 しかし、あなたの方としてこのような重大な離婚原因を作っていないような場合には、割り切れませんし、私に対しても、「暴力をふるったり、浮気をしたわけでもないのに、このような仕打ちはあんまりだと思います」とおっしゃる方も多くいます。経緯に鑑みますと、このように感じてしまうことは当然のことだと思います。

 

 

3.どうしていきなり調停なのか?


 いずれにせよ、あなたとしては、どうしていきなり調停なのか、相手が何を考えて調停を起こしてきたのかについては非常に気になるところかと思います。

 実際、どのようなパターンが多いのかという観点から解説していきます。

 

(1)【大前提】いきなり裁判は起こせない

 最も強硬な手段としては、いきなり離婚裁判を起こすという進め方になるのですが、日本の法律は調停前置主義を取っていますので、離婚調停をせずにいきなり離婚裁判を起こすということはできません。

 そのため、まずは、離婚調停を起こす必要があります。

 

 

(2)【相手弁護士の思惑①】自身の言い分にかなり自信を持っているのか?

 前述のように、いきなり相手の弁護士から離婚調停を予告されたので、びっくりしてしまうという方が大半ではないかと思います。
 私のところにも、このように驚いて、ともかく事態を把握したいので相談にいらっしゃるという方も多くいます。
 このようにご相談に来られた方がよく口にするのが「これは、よほど自信があるからいきなり調停を起こしてきたんですよね」というご質問です。
 要するに、相手が自身の言い分にかなり自信があるから、離婚協議等を経ずにいきなり調停を起こしても大丈夫だと考えた、という発想のようです。

 

 しかし、離婚調停手続きは、裁判所を利用しますが、あくまで話し合いの手続です。

 そのため、自身の主張に自信があるかどうかとはあまり関係がないというケースの方が多いと思います(要するに、裁判の手続でしたら、普通はかなり自信がないといきなり裁判は起こしてこないと思いますが、裁判と調停は別の手続ですから、同じようには考えられないということです)。

 

 

(3)【相手弁護士の思惑②】相手弁護士の普段のスタイルなだけ

 実際の相手弁護士の様子を見ていると、何か特別な思惑があってやっているというよりも、相手弁護士の普段のスタイルなだけであるということがかなり多い印象です。
 つまり、弁護士には、それぞれ自分なりの仕事の進め方がありますが、今回相手が雇った弁護士は、離婚事件を処理する際には、離婚協議等はせずにいきなり調停を起こすという進め方をしているということです。

 

 そのため、相手弁護士としてみれば、特に特別な進め方をしているという認識はないのです。
 私がご相談を受けている印象ですと、最近は、このようにいきなり調停を起こすという進め方をする弁護士がかなり増えてきているよう印象です。
 そのため、いきなり調停を起こされたからと言って、それほど不安に感じなくても良いと思います。

 

 

(4)【相手弁護士の思惑③】相手の言い分がDV等の場合

 前述のように、相手弁護士が普段からいきなり調停を起こすというスタイルの弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。「そうでない弁護士」の場合でも、今回でけは理由があって、いきなり調停を起こしてきているというケースもあります。
 このような理由としてよく挙がるのが、DVのケースです。
 要するに、相手の言い分だと、「夫からのDVがひどい」とか「妻はヒステリックで暴れ始めると手が付けられない」というものなので、弁護士も、話し合いによる解決は難しいだろうと判断して、いきなり調停を起こしてきているのです。
 もちろん、離婚協議が順調に進んで、協議離婚によって解決できれば、その方が時間の短縮になるというメリットがあります。しかし、話し合いの可能性が低い場合、協議離婚にかけている時間は、かえって早期解決の妨げになることもあるのです。
 また、調停という裁判所の手続中であれば、こちら側の行動を一定程度牽制できると、相手が考えているケースもあります。

 

 

4.それほど「まずい」と考えない方が良い


 前述の通り、いきなり調停が起こされたとしても、それが相手弁護士の普段のスタイルなだけであるとか、相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしてきているなど、特段大きな意味合いはないということの方が多いと思います。

 いきなり調停を起こされてしまいますと、あなたとしては「本当にまずいことになった」と感じてしまうかもしれませんが、前述のようにそこまで重大な意味はないことの方が多いため、まずは落ち着いて冷静に対応した方が良いと思います。

 

 

5.まとめ


・いきなり調停を起こされたからと言って、一概に、相手が自信満々というわけではない

・いきなり調停を起こすことが相手弁護士の普段のスタイルということも多い。

・相手弁護士が相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしていることもある。

・いずれにせよ、いきなり調停になったからと言って「本当にまずいことになった」と思う必要はない。

 

 

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