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DV・モラハラの証拠が少ない場合の対処法

2019.11.25更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>「DV・モラハラの連鎖を断ち切る!!」DV・モラハラ被害女性のための総合サイトはこちら<<になります。

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1.相手はDV夫やモラハラ夫なのにその証拠が少ないというケースは案外多い


 被害女性の方からお話を聞いていますと、DVやモラハラ被害があったことは明らかなのですが、肝心の証拠が少ないというケースは多くあります。

 特にモラハラですと、相手が頻繁に暴言を浴びせて来るというケースだと録音等をしておけばよいのですが、長期間無視してくるとか、こちらの行動を監視して来るというケース等ではそもそも証拠を入手すること自体が難しいということも多いです。

 

 また、相手からのLINEやメール等はあるものの、あまり決定打になる様なものがないというケースもあります。

 ただ、そんな場合にも簡単に離婚を諦めずに対処していく必要があります。

 以下では、どのようにして離婚に道筋をつけていくのかを解説していきます。

 

 

2.前提としてのしっかりとした準備


 前述のように証拠があまりないと言っても、少ないなりにどのような証拠がどの程度あるのかについては、しっかりと見極める必要があります。

 素人目に見て、「証拠があまりない」と思っていても、専門家の目から見ると有効活用できる証拠が存在するということもあります。

 また、婚姻期間が長い場合には、DVやモラハラ被害の詳しい時期をよく思い出せないというケースも多いです。そのような場合に、LINEやメールやり取りを見ることで、被害を受けた時期を思い出すことができるということもあります。

 なお、証拠として日記やメモなどはあるという方もいますが、残念ながら手書きのメモ等はあまり有力な証拠にならないことが多いです。

 いずれにしましても、 できる限りどのような証拠があるのかを確認し、整理しておくことは必要です。

 このような準備をした上で、どのような対処方法があるのかについて以下で解説していきます。

 

 

3.【対処方法1】別居期間を稼ぐ


 

 相手が自分のモラハラやDVを認めればよいのですが、証拠がない場合には、そのことを認めないケースも多いです。

 そうなった場合、証拠がない事実ばかりを主張していても離婚の道筋を付けることは難しいです。

 

 このような場合の直接的な方法としては「別居期間を稼ぐ」ということが最も有効な手立てと言えます。

 DV等の明確な離婚原因の証明ができない場合であっても、別居期間が長期間に及ぶ場合には、このような別居生活の方が夫婦としての同居生活よりも安定しているという考えになりますので、離婚が認められやすくなるのです。

 

 どの程度の別居期間が必要かという点は、これまでの同居生活でのやり取りによりますので、一義的なことは言いづらいのですが、3年、4年が一つの目安と言われています。

 

 

4.【対応策2】早めに婚姻費用の支払いを開始させる


 

 先ほど説明した「別居期間を稼ぐ」という方法は、いわゆる手堅い手段ではあるのですが、離婚成立までに時間がかかってしまうというのが大きな難点です。

 あなたとしては、もはやDV夫・モラハラ夫と夫婦でいる必要がありませんので、早めに離婚したいと希望しているでしょうから、別居期間を稼ぐという方法は、このような希望には添っていません。

 

 そこで、次に考えられるのが婚姻費用を支払わせるという方法です。

 モラハラ夫やDV夫は、自分の気に入らないことに対してはお金を払わないという態度の人間が多いため、「勝手に出ていった人間には生活費は渡さない」と言ってくる人は多いです。

 ただ、正式に離婚が成立する前であれば、あなたは婚姻費用(生活費)を請求する正当な権利がありますので、相手の「支払わない」という言い分が認められる可能性は極めて低いです。

 

 そのため、この権利を早めに行使し、早めに先方に婚姻費用の支払いを開始させることが重要です。

 なぜなら、相手に毎月生活費を支払わせていくと、相手としては納得が行かないお金を毎月支払わなければならなくなりますので、このこと自体がストレスに感じるでしょうし、実際上も毎月婚姻費用を支払うことで自身の収入が減っていきますので、「早く離婚してしまった方が負担が少なくなる」という発想に結びつきやすくなるからです。

 そのため、早めに婚姻費用の問題に着手すると言うことは重要ですので、相手が支払いを拒むようであれば、早めに調停を起こして、支払いを早めに開始させる手順を踏むことが多いです。

 

 

5.【対応策3】離婚裁判も辞さないという強い姿勢を示す。


 

 離婚の問題は協議が決裂した場合、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。

 離婚調停の中で、こちらは離婚したい、他方、相手は離婚したくないと言うことで意見が対立してしまいますと、離婚調停も決裂して終了してしまいます。

 

 ただ、調停も終盤に差し掛かりますと、調停委員から、今後どのようなことを考えているのかを質問されますので、こちらとしては、裁判も辞さないという強い覚悟を持っている旨を示していくことになります。

 そうすると、裁判になりますと長期戦になりますので、夫側が短気な場合には、長期紛争を嫌がって、調停で話をまとめようとしてくることも多いです。

 

 

6.まとめ


・DV・モラハラの証拠が少ない場合であっても戦い方はあるので、簡単に離婚を諦めてはいけない。

・まずは、少ないなりに手持ちの証拠を確認・整理する必要がある。

・別居期間を稼ぐと言うことが一番端的な対応策である。

・早めに夫側に婚姻費用の支払いを開始させることが重要である。

・離婚調停の席では、裁判を辞さない旨のしっかりとした強い覚悟を示すことも重要である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV・モラハラ離婚:調停の席にあなたも出席する必要があるか

2019.11.11更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>「DV・モラハラの連鎖を断ち切る!!」DV・モラハラ被害女性のための総合サイトはこちら<<になります。

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1.弁護士を雇った場合、弁護士に丸投げできないの?


 

 あなた自身で(弁護士を立てずに)離婚調停を申し立てた場合、その調停の席にあなた自身が出席しなければならないのは当然ですが、弁護士を依頼した場合はどうでしょうか。

 要するに、弁護士を雇ったのだから、弁護士に丸投げできないのかという問題です。

 

 ちなみに、遠隔地の裁判所に調停を申し立てた場合には、電話会議方式で調停を行うケースが多いので、その場合にはご本人も裁判所の調停室に直接足を運ばない形にはなります。今回の解説は、このような電話会議の場合ではなく、通常の調停を想定して解説していきます。

 

 

2.原則ご本人に出席して頂く必要がある


 

 DV・モラハラ夫が相手ですので、ご不安もあるとは思いますが、基本的には調停にはご本人にもご出席頂く必要があります。

 理由は以下の通りです。

 

(1)直接顔を合わせない工夫がなされている

 調停というと、DV夫と直接顔を合わせるのではないかと不安に思われている方も多いのですが、調停では相手と直接顔を合わせないような工夫がなされています。

 まず、調停の際、あなたは弁護士と一緒に調停室に入り、調停委員に対して事情を説明するのですが、調停室に入るのはあなたと弁護士のみで、DV夫は同席しません。

 そのため、調停室であなたがDV夫と直接顔を合わせるということはありません。

 

 より具体的には、調停は、あなたとDV夫とが交互に調停室に入りますので、調停室内で直接顔を合わせることがないようになっているのです。

 このように調停室で顔を合わせないとしても、待合室で待っているときにDV夫が入ってこないかという不安もあろうかと思います。

 

 この点は、DVのケースであることを裁判所に予め説明しておけば、こちら側が待機している待合室の階数をずらしてくれたり、集合時間をずらしてくれたりしますので、このようにして回避できるように工夫されています。

 そのため、現実的には裁判所でDV夫と顔を合わせるリスクは少なくなっています。

 

(2)離婚という身分関係に関わる重要な問題であること

 調停で話し合いが行われますのは、夫婦関係を解消させるという重要性の高い議題になります。

 このような重要なお話しになりますので、私の方からは「弁護士に丸投げというわけにはいきませんよ」とお話させて頂くことが多いです。

 

(3)こちらの真剣さを伝える

 調停委員も人間ですから、目の前で話をする人間の表情や仕草、話しぶりに影響されるのは事実です。

 そのため、あなた自身が調停の席に出席して、真剣に離婚したい旨を話すと、調停委員も、その真剣さを受けとめてくれることが多いです。

 

 逆に、あなた自身は出席せずに、弁護士だけが調停の席に出席して話をしたらどうでしょうか。調停委員からは、あなた自身の生の声が聞けていませんし、あなた自身の表情や仕草を確認することもできませんので、あなた自身の真剣度を測ることは難しくなります。

 前述の通り離婚はあなたの身分関係に関わる重要な問題でもありますので、通常の離婚調停ではご本人も調停の席に出席します。

 そのため、あまりあなた自身が欠席を繰り返すことになってしまいますと、調停委員からは「どうしてご本人がいらっしゃらないんだろう」「ご本人の表情が見えないな」と感じてしまうリスクがあるのです。

 

(4)あなた自身に調停手続の内容をリアルに把握してもらう

 弁護士だけが調停の席に出席するという形になってしまいますと、あなたの調停事件を担当してくれる調停委員がどんな人なのかということは分からないと思います。

 そして、弁護士から事後的に、その日の調停の様子の報告を受けても、概要の報告しかできませんので、事細かなやり取りの詳細までは把握できないことが多いと思います。

 

 逆に、あなた自身が調停の席に出席していれば、調停委員の話しぶりから感じるところもあるでしょうし、何よりリアルタイムで調停の詳しいやり取りを把握することができます。

 このようにリアルタイムで理解しながら調停を進めていくことができれば、その都度状況をしっかりと認識しながら、納得しつつ手続を進められると思います。

 

(5)詳しい事実関係の確認は本人でないと対応できない

 調停でどのような話が出るのかについては事前に準備をしますが、相手がどのような言い分を述べるのかを全て事前に把握しきることは不可能です。

 そのため、弁護士のみが調停の席に出席した場合、過去ご夫婦でどのようなことがあったのかを全て事前に把握しておくことは不可能なので、弁護士が把握していない過去の事実について調停委員から質問等を受けた場合に返答することができなくなってしまいます。

 そうすると、詳しくは次回調停期日までに把握してきて下さいと調停委員から指示を受けてるという進行になってしまいますので、調停手続の遅延の原因にもなりかねません。

 

 

3.自分ではうまく話せない不安があるのですが…


 調停の席にあなた自身が出席して欲しい旨をお話すると、「緊張してしまってうまく話せないのではないかと不安」とか「余計な話をしてしまいそうで心配」とおっしゃる方も多いです。

 ただ、調停の席は、面接テストなどの場ではありませんので、私の方からは「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」とご説明することが多いです。また、実際に出席した方からは、「事前に思っていたよりも調停委員が話しやすい方でした」とおっしゃる方が多いです。

 確かに緊張してしまうとは思いますが、弁護士である私が同席して、必要な範囲で修正や補足ができますので、私の方でフォローが可能です。

 また、緊張して十分話せないというデメリットはあるかもしれませんが、前述のように、あなた自身の言葉で実情を伝えるメリットの方が大きいです。

 

 

4.まとめ


・以下の理由からDV・モラハラのケースでもご本人に調停の席に来てもらう必要があるのが原則である。

 ①身分関係という重要な話をする場であるから
 ②調停委員にこちらの真剣さを伝える必要があるから
 ③あなた自身にリアルタイムで調停の場でのやり取りを把握してもらう必要があるから
 ④過去夫婦間でどのようなやり取りがあったのかはあなた自身でないと答えられない事実も多いから

・裁判所ではあなたがDV・モラハラ夫と出くわさないような工夫がされている。

 

 

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