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【絶対に離婚したくない(37)】いきなり離婚調停って、どうしてこんな目に遭わなければいけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.いきなり離婚調停の案内が来た


 相手が弁護士を立ててきたので、話し合いをするのかと思いきや、いきなり離婚調停の案内が来ることもあります。相手の弁護士から手紙が届き、その手紙の中に、離婚調停を起こすことにした旨と、追って裁判所から連絡が来るのであなたの言い分はその調停で述べてくださいといった旨が書かれているといったケースです。

 相手が急に出て言って驚いているところに、相手の弁護士は話し合いの余地すら認めないような態度で、二重に驚いたという感覚に陥ってしまうと思います。

 

 

2.暴力や浮気ならまだ分かるけど…


 あなたが相手に暴力をふるって怪我をさせてしまったとか、浮気をしてしまったということなら、相手にこのような対応を取られても、ある程度はやむを得ないと割り切れるかもしれません。

 しかし、あなたの方としてこのような重大な離婚原因を作っていないような場合には、割り切れませんし、私に対しても、「暴力をふるったり、浮気をしたわけでもないのに、このような仕打ちはあんまりだと思います」とおっしゃる方も多くいます。経緯に鑑みますと、このように感じてしまうことは当然のことだと思います。

 

 

3.どうしていきなり調停なのか?


 いずれにせよ、あなたとしては、どうしていきなり調停なのか、相手が何を考えて調停を起こしてきたのかについては非常に気になるところかと思います。

 実際、どのようなパターンが多いのかという観点から解説していきます。

 

(1)【大前提】いきなり裁判は起こせない

 最も強硬な手段としては、いきなり離婚裁判を起こすという進め方になるのですが、日本の法律は調停前置主義を取っていますので、離婚調停をせずにいきなり離婚裁判を起こすということはできません。

 そのため、まずは、離婚調停を起こす必要があります。

 

 

(2)【相手弁護士の思惑①】自身の言い分にかなり自信を持っているのか?

 前述のように、いきなり相手の弁護士から離婚調停を予告されたので、びっくりしてしまうという方が大半ではないかと思います。
 私のところにも、このように驚いて、ともかく事態を把握したいので相談にいらっしゃるという方も多くいます。
 このようにご相談に来られた方がよく口にするのが「これは、よほど自信があるからいきなり調停を起こしてきたんですよね」というご質問です。
 要するに、相手が自身の言い分にかなり自信があるから、離婚協議等を経ずにいきなり調停を起こしても大丈夫だと考えた、という発想のようです。

 

 しかし、離婚調停手続きは、裁判所を利用しますが、あくまで話し合いの手続です。

 そのため、自身の主張に自信があるかどうかとはあまり関係がないというケースの方が多いと思います(要するに、裁判の手続でしたら、普通はかなり自信がないといきなり裁判は起こしてこないと思いますが、裁判と調停は別の手続ですから、同じようには考えられないということです)。

 

 

(3)【相手弁護士の思惑②】相手弁護士の普段のスタイルなだけ

 実際の相手弁護士の様子を見ていると、何か特別な思惑があってやっているというよりも、相手弁護士の普段のスタイルなだけであるということがかなり多い印象です。
 つまり、弁護士には、それぞれ自分なりの仕事の進め方がありますが、今回相手が雇った弁護士は、離婚事件を処理する際には、離婚協議等はせずにいきなり調停を起こすという進め方をしているということです。

 

 そのため、相手弁護士としてみれば、特に特別な進め方をしているという認識はないのです。
 私がご相談を受けている印象ですと、最近は、このようにいきなり調停を起こすという進め方をする弁護士がかなり増えてきているよう印象です。
 そのため、いきなり調停を起こされたからと言って、それほど不安に感じなくても良いと思います。

 

 

(4)【相手弁護士の思惑③】相手の言い分がDV等の場合

 前述のように、相手弁護士が普段からいきなり調停を起こすというスタイルの弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。「そうでない弁護士」の場合でも、今回でけは理由があって、いきなり調停を起こしてきているというケースもあります。
 このような理由としてよく挙がるのが、DVのケースです。
 要するに、相手の言い分だと、「夫からのDVがひどい」とか「妻はヒステリックで暴れ始めると手が付けられない」というものなので、弁護士も、話し合いによる解決は難しいだろうと判断して、いきなり調停を起こしてきているのです。
 もちろん、離婚協議が順調に進んで、協議離婚によって解決できれば、その方が時間の短縮になるというメリットがあります。しかし、話し合いの可能性が低い場合、協議離婚にかけている時間は、かえって早期解決の妨げになることもあるのです。
 また、調停という裁判所の手続中であれば、こちら側の行動を一定程度牽制できると、相手が考えているケースもあります。

 

 

4.それほど「まずい」と考えない方が良い


 前述の通り、いきなり調停が起こされたとしても、それが相手弁護士の普段のスタイルなだけであるとか、相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしてきているなど、特段大きな意味合いはないということの方が多いと思います。

 いきなり調停を起こされてしまいますと、あなたとしては「本当にまずいことになった」と感じてしまうかもしれませんが、前述のようにそこまで重大な意味はないことの方が多いため、まずは落ち着いて冷静に対応した方が良いと思います。

 

 

5.まとめ


・いきなり調停を起こされたからと言って、一概に、相手が自信満々というわけではない

・いきなり調停を起こすことが相手弁護士の普段のスタイルということも多い。

・相手弁護士が相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしていることもある。

・いずれにせよ、いきなり調停になったからと言って「本当にまずいことになった」と思う必要はない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(36)】仲良くしたいのに闘わないといけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障るんじゃないのか?


 相手が強く離婚を要求してきている場合、こちらが「離婚したくない」と主張すること自体が、相手の癇に障るのではないか、ということは一つの問題と言えます。

 ただ、離婚に応じると法律上「他人」になってしまうわけですから、離婚に応じるかどうかはあなたの今後の人生にとって非常に重大な決断になります。

 そのため、例え、相手の癇に障ることになっても、あなた自身が夫婦関係修復を強く希望するのであれば、「離婚したくない」と主張することになりますし、そのことを責められる謂れはありません。

 

 

2.こちらは仲良くしたいのに「闘わざるを得ない」のでは?


 そうはいっても、あなたとしては、相手との夫婦関係を修復したいわけですから、「闘いたい」わけではありません。

 しかしながら、相手から離婚調停を起こされるなどした場合、全て相手の言いなりになってしまうと、離婚に応じざるを得ないということになってしまって、自己矛盾が生じます。

 そのため、相手が弁護士を立てて責めてきた場合や、調停に持ち込まれた場合など、対応を慎重に検討しなければならないことも多いです。

 以下では、実際に私が担当した事件で、どのように対応しているのかといった点について解説していきます。離婚の問題は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という順番で手続きが進んでいきますので、それぞれの段階で、どのように対応するのが良いかを解説していきます。

 

 

3.実際の交渉段階での対応方法は?


 まず、相手が弁護士を立ててあなたにコンタクトを取ってきた場合には、相手の離婚意思が固いことを伝えられて、あなた自身の考え方を聞かれるのが一般的です。

 相手が離婚を決意した理由については、あまり詳細を伝えてこないケースが多い気がしますが、あなたの方から詳細を尋ねると回答してくれることもあります。

 あなたの方で、気持ちの整理がつかない場合には、気持ちの整理がつかないので十分な検討期間がほしい旨打診することもありますし、離婚したくないという意思が固い場合には、離婚したくない旨を伝えていくことになります。

 

 協議離婚の段階で、私が代理人に就くケースは稀なのですが(相手を刺激しないために、弁護士を立てないケースが多いため)、私が交渉段階から調停に入る場合にも、基本的な対応方法は同じです。

 なお、離婚に応じたくない旨を伝えると、その理由を尋ねられますので、相手への愛情を失っていないとか、お子様達のことを考えて離婚したくないといった簡単な説明をすることが多いです(あまり詳しい説明をすると相手との対立構造に陥ってしまうので、避けるという意味です)。

 

 

4.実際の調停段階での対応方法は?


 前述のように、交渉段階で離婚したくない旨を伝えると、比較的早い段階で相手側が離婚調停を申し立ててくることが多いです(なお、弁護士によっては、離婚協議をほとんどしないで、いきなり調停を起こしてくる弁護士もいます)。

 調停段階での対応方法は、交渉段階の時よりも多少複雑で、①調停委員から事情を聞かれるので、どのように答えるかをある程度想定しておく必要がある、②改善計画を述べる必要がある、③説明文書の提出をすべきかというのが大きな違いとなります。

 

(1)調停委員から事情を聞かれた際の答え方

 調停委員から事情を聞かれた際の答え方は、基本的には、あなたの記憶に基づいて回答していくことになりますが、相手が虚偽を述べている場合や誇張をしている場合には、実際の事実を丁寧に説明していくことになります(特に、相手を批判するわけではなく、調停委員の誤解を解くように説明をしていくことになります)。

 実際には、あなたが弁護士を雇っている場合には、調停の席で相手がどのように言ってくるのかをある程度想定して、どのように回答するのかを事前に検討しておくことが多いと思います。

 なお、調停の席で夫婦の認識が大きくずれるというケースは多いため、調停委員も、そのことで強い違和感を覚えるようなケースは少ないです。

 

(2)改善計画を練る

 事前にしっかりと準備ができているようでしたら、答弁書に改善計画を記載してしまうことの方が多いです。

 改善計画には、相手が離婚したいと主張する理由に対して、あなたがどのように改善していくのかを記載することになります。例えば、相手が、あなたの深酒を気にしている場合には、今後は禁酒するとか、仕事上の付き合いの飲み会以外は一切飲まないといったことを改善計画に書き込むことになります。

 なお、相手の離婚理由がまだ不明確な段階の場合、調停の席などで、相手の離婚理由がはっきりとしてから、改善計画を立てていくというケースもあります。

 

(3)説明文書を提出すべきか

 私がご相談を受けていると、「調停委員にも詳しく事情を知っておいて欲しいので、20ページくらい説明文書を作成しました」といったご相談を受けることがあります。

 ただ、長文の説明文書を提出することはリスクが大きいので、避けるようアドバイスすることが多いです。

 長文の説明文書を提出すると、相手が弁護士を付けていた場合に、その弁護士から揚げ足取りなどに使われてしまうというのが最も大きなリスクです。このリスクは、こちらが長文の説明文書を書けば書くほど高くなってしまいます(それだけ揚げ足取りの材料を提供することになってしまうため)。

 また、長文にするとあなたの気持ちが調停委員に伝わりにくくなってしまうという面もあります(率直に「私はまだ妻のことを愛しているんです」の方がストレートに思いが伝わります。

 そのため、私の方からは「一旦そのような説明文書は提出しない方が良いですよ」とか「あなたが今後改善していきたいというところに絞って提出した方が良いですよ」とアドバイスすることが多いです。

 

(4)結局、調停委員は、あなたの修復意思の固さを一番気にする

 離婚するかどうかは、あなたの人生にとっても重大な決断ですので、あなたが強く夫婦関係の修復を希望しているのに、調停委員が離婚を強要してくるようなことはありません。

 実際にも、調停委員は、あなた自身の関係修復の意思がどれくらい固いのかについて強い関心を持つことが多いです(逆に、あなたが離婚にしようか悩んでいるような様子を見せると、調停委員は、離婚を勧めてくることもあります)。

 そのため、あなたが夫婦関係を修復したいという揺るぎない意志を持っていると示すことができれば、調停委員も、あまり細かく過去の事実を確認等せずに、調停手続きを進めることができることが多いです。

 

(5)あくまで調停は話し合いの場

 あくまで調停は、話し合いの場ですから、あなたの関係修復意思の強さを示して、後は、過去の事実に関する細かい議論を避ければ、調停の場で相手と必要以上に闘うことは避けられることが多いです。

 前述のように、最低限、相手の主張の虚偽や誇張については、「私の認識はこうなんです」というように否定すれば良く、そのことで相手との「闘い」を避けて対応する進め方が賢い進め方になります。

 

 

5.実際の裁判段階での対応方法は?


 相手が離婚裁判まで起こしてきた場合、相手の主張に対してしっかりと反論しないと敗訴してしまいますので、しっかりとした対応が必要になります。

 ただ、相手の言い分一つ一つに事細かに反論していくのかと言いますと、イメージとしましては、「相手の証拠に対して反論していく」という作業になります。

 何を言っているのかと言いますと、例えば、相手が、あなたからこういう風に言われたとか、こういうことをされたという言い分を述べていても、実際、その裏付けはほとんどないということも多いです(口頭でのやり取りなので、裏付けがほとんどないのです)。そのような場合、相手の言い分には裏付けがほとんどないのですから、簡潔に反論して済ませるようにするのです。

 このようにすることで、必要以上に相手の反感を買うことを避けることができます。

 

 なお、裁判官は、相手の言い分をそのまま鵜呑みにすることはなく、相手がどのような証拠を提出してきているのか、その証拠からどのような事実を認めることができるのかという点に強い関心を持ちます。

 そのため、私は、裁判については「裏付け勝負ですよ」と説明することが多いのですが、相手の裏付けの内容を注視して、こちらの反論を組み立てていくようにしています。

 また、裁判序盤では、あなたの「本当は争いたくない気持ち」を書面にも明記して、関係修復を切に願う気持ちを書き記すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障る可能性は高いが、そこはあなた自身の人生に関わる重大事なので、あなたの気持ちで結論を出すべきである。

・【離婚協議の段階】離婚協議の段階では、あなたの関係修復意思を強く示せば、相手の弁護士もあまり深入りしてこないことが多いので、大きな対立を生じさせずに済ませられることが多い。

・【離婚調停の段階】最低限、相手の主張の虚偽や誇張に関してはコメントする必要があるが、事細かに反論する必要はない。

 あなたの関係修復意思の強さを示すのが胆である。

・【離婚裁判の段階】敗訴を避けるためにはしっかりと反論しなければならないが、相手の裏付けに対して反論するという視点が大事である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑦】モラハラ夫はどのくらい離婚に抵抗してくるのでしょうか?

2024.11.11更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.モラハラ夫は離婚にどこまで抵抗してくるのでしょうか?


 念のため、弁護士が担当する事件で、事件がどのように推移するのかを解説しますと、以下のようになります。

①モラハラ夫に直接コンタクトを取って話し合いをするフェーズ

 ↓

②家庭裁判所の調停という手続きを利用するフェーズ

 ↓

③家庭裁判所の裁判という手続きを利用するフェーズ

 

 あまり離婚問題を長引かせたいという方はいないと思いますので、上記の①の協議離婚のフェーズで決着させるのが利用です。

 ただ、実際に私が担当した事件の傾向を見ますと、モラハラ夫を相手にした事件で①の協議離婚のフェーズで決着した事件はかなり少数です。

 それでは、②の調停で解決したケースと、③の裁判にまで発展してしまったケースの割合がどうなのかと言いますと、私の印象としては五分五分というイメージです。

 モラハラ夫はこだわりが強い人物が多く、離婚裁判にまで至ってしまうケースが相対的に多いと感じます。

 

 

3.なぜ抵抗してくるのか理解が難しいケースも多い


 私が奥様と話をしておりますと、モラハラ夫側がなぜ離婚に抵抗してくるのか理解しがたいというケースも多いです。

 例えば、以下のようなものがあります。

 

(1)同居中はモラハラ夫の方から「離婚だ」「出て行け」と言われることが多かったのに、こちらから離婚調停を起こしたら「離婚には応じられない」などと言ってくる。

(2)同居中あれだけ沢山ひどいことを言ってきたのに、調停の席では「夫婦としてはとても仲が良かった」とか「どうして離婚と言われるのか思い当たるところが何もない」などというので信じられない。

(3)離婚調停の中で、モラハラ夫が暴言などについて謝罪してくるならまだしも、こちらを「嘘つき」呼ばわりしたり、批判してきたりするので、「そんなに私のことが嫌いなら別れればいいのに」と思ってしまう。

(4)離婚調停の中で、調停委員がモラハラ夫に「何か改善するつもりはあるか?」と尋ねたところ、「妻が変われば丸く収まる」などと言っており、話にならない。

 

 

4.モラハラ夫はなぜ抵抗してくるのか?(その理由)


 それでは、モラハラ夫はなぜ離婚にそこまで抵抗してくるのでしょうか?

 

(1)自分はひどいことをしていない

 モラハラ夫側と離婚に関する話し合いをしていると、「あなたは奥さんにこんなひどい発言をしたでしょう?」と尋ねても「そんなことは言っていない」という返事が返ってくることが非常に多いです。

 多少は自分のモラハラ発言を認めても、「怒らせる妻の方が悪い」とか「あまりに妻の家事が行き届いていないのだから怒って当たり前」とか、ひどいケースですと、「俺は妻のためを思って注意している。妻のやり方じゃあ社会で通じないに決まっているから、俺に感謝して欲しいくらいだ」とまで言ってきます。

 このように「ひどいことを何一つしていないから、離婚と言われる理由がない」と主張してくるモラハラ夫はかなり多いです。

 

(2)夫婦の上下関係から反対してくる

 モラハラ夫は妻側を下に見ていることが非常に多いです。

 そのため、「俺の方から離婚というのは良くても、お前の方から離婚というのはまかりならん」という発想のモラハラ夫はかなりの数います。

 モラハラ夫の目から見て、あなたからの離婚要求は、「下の立場の人間」が歯向かってきた、というように見えるので、とことん抵抗するとか反対するという反応になることが多いです。

 

(3)一度も直接の話し合いもできていないのに筋が通らない

 あまりに夫からのモラハラがひどいケースなどでは、別居前に夫側と離婚や別居などの話を一切できずに家を出るというケースもあります。

 このようなケースで夫側が主張してくることが多いのが、「妻と離婚について全く話ができていない」「弁護士に任せっきりで、直接話もせずに出ていくなんて筋が通っていない」「何も言わずに別居してさようならなんて、そんな勝手な話はない」と言ってくるモラハラ夫はかなり多いです。

 

(4)自分の正しさを証明したい

 離婚裁判などで対立していますと、モラハラ夫側が「自分の正しさを証明したい」と考えているように感じるケースが相当数あります。

 離婚裁判では、裁判の時点で、夫婦を離婚させるべきかどうかの決着が裁判官から示されますので、「そこで自分の正しさを証明したい」と考えるようです。

 このようなタイプのモラハラ夫の場合、離婚裁判の結論を見ない限り離婚に応じないというスタンスのため、離婚紛争が長期化してしまうことが多いです。

 

(5)お子さんの親権や面会交流のことを考えて抵抗してくる

 モラハラ夫も内心は離婚を視野に入れているように見えても、離婚になってしまうと妻側に親権を取られてしまうので、「離婚そのものに反対する」というスタンスを取るケースも相当数あります。

 また、モラハラ夫なりに希望する面会交流の頻度などがあり、そのような面会交流が保証されない限り離婚に応じないというスタンスを取るモラハラ夫も相当数います。

 

(6)浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる

 特にご年配の方で、このようにおっしゃる方が多いのですが「こんなことを言うと考え方が昭和だって言われてしまうかもしれませんけども、私は浮気したり、妻に暴力ふるったこともないから、家庭を守るのが妻の務めだと思うんですけどね」とか「私も多少言い過ぎたことはあったと思いますけど、私の両親の時代は親父がお袋に手を上げるなんてことは日常茶飯事で、それでも離婚なんて話はありませんでしたからね」といったお話をなさる方もいます。

 結婚した以上は、よほどのことがない限りは離婚なんてもってのほかだという考えで、離婚に抵抗してくるのです。

 

(7)単純に寂しい

 特にお子さんがいるケースで多いのですが、妻と子供が出て行って寂しいということで離婚に反対してくるモラハラ夫もいます。

 ただ、寂しいという理由ひとつだけで離婚に強く反対してくるかというと、実際には、前述の(1)から(6)の理由と合わせて反対してくるケースの方が多いかと思います。

 

 

5.まとめ


・モラハラ夫と協議離婚できたケースもあるが全体的には少数である。

・モラハラ夫と調停で離婚できるか裁判まで行ってしまうのかは、五分五分である。

・モラハラ夫は以下のような理由で抵抗してくる。

 ①自分はひどいことをしていない

 ②夫婦の上下関係から反対してくる

 ③一度も直接話し合う機会がなかった

 ④自分の正しさを証明したい

 ⑤お子様の親権や面会交流の観点から抵抗してくる

 ⑥浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる

 ⑦単純に寂しい

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(35)】こんな闘いをいつまで続けないといけないんでしょうか?

2024.11.04更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.別居や離婚は人生の中で精神的ストレスが特にかかりやすい出来事とされている


 一般的に、別居や離婚は、人生の中でも特に精神的ストレスがかかりやすい出来事されています。

 そのため、相手配偶者が突如別居してしまい、そのことで大きな精神的ストレスを感じることは、通常の反応と言えます。

 そして、このように強い精神的ストレスを抱えているからこそ、「出口はいつ頃に見えてくるのか?」ということが気になる方も多いと思います。

 もちろん、このような争っている期間は短いに越したことはないのですが、今後の人生に関わる大事なお話でもありますので、時間がかかってしまうということも多いのが実情です。

 以下では、こんな闘いをいつまで続けないといけないのか?という点について、具体的に解説していきます。

 

 

2.実は結論は大きく3パターンある


 皆さん、相手から離婚を迫られていますので、離婚に応じるか、円満に関係を修復するのかの2択だとお考えの方も多いと思いますが、実際には、大まかに3パターンに分かれます。

 

(1)【パターン①】円満に関係を修復できたパターン

 一番理想的なパターンでして、一度出て行った相手が戻ってきて、家族全員で同居して生活を再開するというパターンです。

 なお、後述の通り、最終的に同居再開に至るものの、それまでにかなりの期間を要した、というケースもあります。

 

(2)【パターン②】こちらも離婚に応じることにしたパターン

 こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

 この場合にも、仮に離婚が争点ではなくなったとしても、親権や財産分与などが問題になり、その調整で時間がかかるというケースもあります。

 

(3)【パターン③】別居婚が長期化するパターン

 相手が弁護士を立てていない場合、弁護士を立てて争うことや調停を起こすことにためらいがあって、別居状態が長期間続く、というパターンもあります。

 また、相手が弁護士を立ててきた場合、通常は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という経路をたどるのですが、離婚裁判でこちらが勝訴すると、相手がそれ以上に何もしてこなくなるというケースもあります(実際には、2度目の離婚裁判を起こしてくる人も多いです)。更には、相手が弁護士を立てて離婚調停を起こしたものの、調停が決裂し、そのままの状態が長期的に続くというパターンもあります。

 

 

3.最終的に修復したケースでかかった期間等


 私が直接担当したケースや、私が相談を受け、ご本人が対応することで修復に結び付いたケースなどを見ておりますと、修復までに要する期間は、「かなりばらつきが大きい」というのが率直な感想です。
 ただ、手続きがどの程度進んでしまったのかに応じて、一定の傾向などをお示しすることはできますので、以下解説していきます。

 

(1)【ケース1】相手が弁護士を立てずに対応したケース

 相手が突如別居を開始してしまったり、調停を起こしたりなどしたが、結局弁護士を立てなかったケースです。
 このケースですと、夫婦関係修復までにあまり期間を要しないケースも多い印象です。
 本当に短期間のケースですと、①妻の短期間の家出ということで1か月くらいで解決しました、とか、②夫の海外出張に同行するという大きな決断をすることになりましたが、同行して生活していくと円満な家庭を築けていますといったお話を伺うことも多いです。
 他方で、夫婦関係の軋轢が深く、①一旦はこのまま別居させて欲しいと言われてしまい半年は別居期間が続きました、とか、②調停委員からもあまり焦らない方が良いと言われてしまい、1年別居を経ての同居再開という条件になってしまいました、といったお話を聞くこともあります。

 

(2)【ケース2】相手が弁護士を立ててきたケース

 相手が弁護士を立ててきたケースですと、残念ながら、夫婦関係修復の可能性が下がる傾向が強いです。
 相手も弁護士を立てているくらいですから、離婚の意思が強いことが多く、どうしても夫婦関係修復に向けての話し合いに進まないことが多いのです。
 私が実際に担当したケースでも、夫婦関係修復までの期間は様々という印象でして、①半年ほどの調停期間を経て無事に同居にまで結びつけられたというケースもあれば、②調停自体は4か月ほどで終了したのだけれども、そのあと2年ほどが経ってようやく家族同居にこぎ着けたというケースもあります。

 

(3)【ケース3】相手が弁護士を立てて離婚裁判を起こしてきたケース

 はじめにお話しておきますが、離婚事件についてはいきなり裁判を起こすということはできません。特別な事情がない限り、まずは、離婚調停という手続きを踏んだ後でないと、離婚裁判を起こすことはできないのです。
 このようにして、相手が離婚調停を起こし、その後、離婚裁判まで起こしてきたという場合でも、相手の離婚請求棄却、要するに、裁判所から「現時点では離婚不相当」という結論を得たことはあります。
 ただ、その場合でも、夫婦関係の修復に結び付いたのかと言いますと、残念ながら、冷却期間が長引いているだけとなってしまうことが多いかと思います。
 離婚裁判はそれ自体がお互いにとって負担が大きく、結論として「現時点では離婚不相当」という結論を得ても、なかなか夫婦関係修復の道筋を描くことが難しいのです。

 

 

4.残念ながら離婚で決着させることにしたケース


前述のように、こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

この場合でも、あなたが離婚に応じることにした後に、お子様の親権や財産分与についての議論をしなければなりません。

このような議論にあまり時間をかけずに決着できる場合には、あなたが離婚に応じることに決めてから半年程度で手続きが終わるケースもありますが、長引くと1年や1年半程度がかかってしまうケースもあります。

また、親権についての対立が激しいと、実質親権者を決めるために離婚裁判をすることになりますので、やはり、裁判だけで1年とか1年半かかってしまうこともあります。

 

 

5.決着までに長くかかるから、という理由で関係修復を諦めないで欲しい


 前述のように、決着までには時間がかかってしまうケースも多いです。

 このようなことを聞くと「そんなに長い期間争うのは大変なので離婚に応じることにしようかと思います」という反応を示す方もいます。もちろん、あなた自身がそのように覚悟したのでしたら、私は止めることはしません。

 ただ、離婚に応じるか応じないかは、今後のあなたの人生にとって非常に大事な決断です。そのため、その決断を、後から振り返ったときに後悔するようなことはしないで欲しいと強く思います。

 

 

6.まとめ


・離婚紛争の決着の付け方としては、同居再開、離婚以外にも、別居婚の長期化というケースもある。

・同居再開に至るケースでも、結論に至るまでの期間はさまざまである。

・残念ながら離婚に応じると決断した場合でも、親権や財産分与の議論などで長期化するケースもある。

・決着までに時間を要するからと言って関係修復を諦めないで欲しい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(34)】どうして相手は急に「モラハラ」なんて言い始めたのでしょうか?

2024.11.04更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.突如突き付けられた離婚理由


 離婚理由を突き付けられる場面としては、相手配偶者(妻又は夫)から直接突きつけられる場合と、その弁護士から突き付けられる場合とがあります。

 いずれであろうと、離婚したい理由が、「あなたのモラハラ発言に耐えられなくなったから」というものである場合、あなたとしては、「モラハラってどういうこと?」と困惑してしまうと思います。

 あなたとしては、普段通りの夫婦の関係で、他愛ない会話しかしていないと考えてきたわけなので、突如「モラハラ」と言われても驚いてしまうのです。

 

 これまで何年も夫婦として一緒にやってきたのに、急に「あなたの発言はモラハラだった」と言われても納得できないのは当然のことだと思います。

 以下では、相手ががどうして「モラハラ」などという言葉を使い始めたのか、そのきっかけ等について、実際に私が担当したケースなどを元に解説していきます。

 

 

2.そもそもモラハラって何だ?


 「モラハラ」、最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含め得る概念です。

 

3.相手がモラハラという言葉を使い始めたきっかけ


 相手が急に「モラハラ」という言葉を使い始めている以上、そのことにはきっかけがあります。

 そもそも、前述のように、モラハラの概念は非常に広いため、「何でもかんでもモラハラと言ってしまえば該当してしまう」という側面があるのも事実です。

 以下では、どのようなものがきっかけとされることが多いのかを解説していきます。

 

(1)友人や知人から聞いて知った

 ママ友やパパ友、または、友人・知人等と雑談をしていた際に、ふとしたことから、このような用語が出たということがきっかけの場合があります。

 特に、離婚経験があるママ友やパパ友の場合、自らの離婚経験から、「モラハラ」といったことを身をもって知っているという方も多いため、そのような友人経由で話を聞いた、自分が相手から受けてきた発言が「正にモラハラ発言だと気付いた」と言い始めるケースも多いです。

 

(2)テレビなどから情報を得た

 モラハラという用語も以前よりはテレビなどでも取り上げられるようになりました。

 その関係で、ニュースやドラマ、情報バラエティーなどで、「モラハラ」という概念や、それがどのようなものなのかについて見聞きすることも増えてしまっています。

 そのような経緯で一度「モラハラ」という言葉を知ると、後はインターネットで検索すると、情報はいくらでも出てきますので、自分がモラハラ被害者だったんだと誤解してしまう人も多くいます。

 

(3)行政機関への相談

 今では行政機関でも「モラハラ」や「DV」についての周知活動を行っています。

 そのため、違和感を感じた際に、行政機関(身近なところで言うと区役所など)に相談すると、「それはモラハラなので、すぐに逃げたほうが良い」とか「モラハラは治らないから、改善を期待しない方が良い」といった回答をするケースが非常に多いです。

 一方の話だけを聞いて、このようにアドバイスすることもどうかと思いますが、行政機関からこのように言われると、「やっぱり自分はモラハラ被害者だったんだ」と誤解してしまう人も多いです。

 

 

4.熟年離婚の場合


 熟年離婚の場合には、「これまでずっと相手からのモラハラに耐え続けてきましたが、やっと子供も成人したので、離婚したいです」とか「子供が大学を卒業したので、離婚したいです」というように、お子様の成長を待って、離婚を切り出してくるというケースも多くあります。

 

 

5.今後の手続きの中で重要になってくるものは何か?


 モラハラの問題は、言った言わないの水掛け論になるケースが非常に多いです。相手は離婚するために、あなたから「このように言われた」といったことを主張してくることが多いのですが、ニュアンスが大きく異なっていたり、経緯が全く違っているといったことも多いです。

 いずれにせよ、相手が「こういわれた」、あなたが「そうは言っていない」と言い合っていても議論は錯綜するばかりで、問題の決着は遠のくばかりです。

 

 少なくとも、離婚調停の段階では、モラハラについてどういう証拠があるのか?といったことを細かく突き詰めていくというケースはほとんどないのですが、少なくとも、離婚裁判になった場合には、どのような証拠がどの程度あるのかという点が非常に重要な意味を持ってきます。

 そのため、相手が「モラハラ」を主張してきた場合には、相手がどのような証拠を持っているのかを推測しながら対応していく必要があります。

 

 

6.相手は不倫している?


 これはよく出る話題なのですが、私の経験上、不倫の証拠は出てこないケースの方が大半です。

 あなたとしては、相手配偶者から突如離婚を突き付けられ、また、身に覚えのないモラハラが理由なので、相手の不倫を疑う(他の人のことが好きになったので、私を捨てようとしていると疑う)ことも、心情的に理解できなくはないですが、その証明ができないことの方が多いのが実情です。

 そして、相手の不倫の証拠が全くないか、もしくは、ほとんどないという場合、調停や裁判の席で不倫を主張することは難しいです。

 

 

7.まとめ


・相手がモラハラを言い始めるきっかけとしては、友人や知人から知識を得たというケースも多い。

・他にも、テレビから情報を得たという人もいる。

・「モラハラ」ということで行政機関に相談すると、別居や離婚を勧めるケースも多い。

・熟年離婚の場合、お子様の成人等を待ったというケースもある。

・今後の手続きの進め方の検討に当たっては、相手がどのような証拠を持っているのかがカギになる。

・相手の不倫を疑う気持ちは分からなくもないが、証拠をつかめないケースが大半である。

 

 

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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか

2024.11.04更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.結局モラハラ夫は、何がきっかけで離婚に応じたのか?


 私がモラハラ夫と対峙してきたケースの中で、何がきっかけで離婚に応じたのかについて代表的なものをご紹介していきます。

 なお、説明の便宜上、①離婚調停に至らずに離婚に応じたケース(協議離婚で解決したケース)、②離婚調停手続きの中で離婚に応じたケース、③離婚裁判になってしまったが和解が成立したケースの3つに分類してご紹介していきます。

 なお、離婚の話し合いは、まずは協議離婚で解決できないかを調整し、難しい場合には、離婚調停を申し立てて、家庭裁判所の調停手続きの中で離婚の調整ができないかを話し合っていきます。このような調停も決裂してしまうと、裁判を起こして争っていくことになります。

 このように、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という3つのステップがありますので、それぞれのステップで夫側が何をきっかけに関係修復を諦めたのかについてご紹介していきます。

 

 

3.全体的な傾向


 モラハラ夫と離婚の件で対峙している中で、モラハラ夫側の言い分としてよく出るのは、「自分は悪いことはしていない」「妻とは仲が良かった」「たまに夫婦喧嘩があっただけで、どこの夫婦でもあるような話だ」というものです。

 このようにモラハラ夫は自分が悪いことをしたという認識が乏しいため、何故離婚と言われるのかが分からないとか、離婚すべき理由がないと言ってくる人間が多いです。

 そのため、全体的な傾向としては、モラハラ夫側は離婚を拒否してくるパターンが多いです。

 

 

4.協議離婚で解決したケース


 私が担当した事件で、実際に協議離婚で解決したケースに絞った上で、モラハラ夫がどうして離婚に応じることにしたのか、そのきっかけ等について代表的なものをご紹介していきます。

 

(1)【ケース①】妻側弁護士が間に入ることで断念した

 前述の通り、大半のモラハラ夫は、こちらが弁護士を立てても、すんなりと離婚に応じません。

 ただ、稀に、「妻がそこまで覚悟しているなら、離婚でも致し方ないです」とか「弁護士さんが間に入っていくれるなら、財産分与なども公平に話ができると思いますので、離婚で話を進めて下さい」などと言ってくるモラハラ夫もいます。

 もちろん、最初は離婚に反対していても、私と話をしているうちに、離婚に応じてくるモラハラ夫も少なからずいます。

 

(2)【ケース②】妻と直接会うことで諦めた

 別居前にあなたと十分別居や離婚の話ができていない場合、モラハラ夫は、こちらが弁護士を立てていても、「妻と話がしたい」「妻と一度も話ができずに離婚なんておかしい」といったことを言ってくることは多いです。

 奥様の方もモラハラ夫と会いたくもないというケースが多いので、基本的には、モラハラ夫と奥様とが直接会うことはしません。

 しかし、話し合いが順調に進まないケースなどでは、奥様ご自身が「交渉が長引いているので、直接会って夫側に引導を渡してやりたい」とおっしゃることがあります(ごく稀ですが)。

 そのような場合には、夫側を私の事務所まで呼んで、私も立ち会った上で、夫と妻とが直接話をする場を設けることもあります。

 妻側からやり直すつもりが一切ないという強く覚悟を見せることで、夫側も諦めて離婚に応じてくることがあります。

 

(3)【ケース③】調停を回避したいということで諦めた

 モラハラ夫の中には、離婚はしたくないけれども、離婚調停もしたくないという人間もいます。

 よくあるケースは、①モラハラ夫が妻に対しては強く出れるけれども外部の人間に対してはうまくコミュニケーションを取ったりすることが難しいとか、②家庭内の話を裁判所などの公的立場の人間に聞かせたくない・恥ずかしい、③裁判所の調停委員から、自分のこれまでの言動等を注意される可能性があると感じ、自信がないといったパターンです。

 こういったケースですと、もうそろそろ離婚調停が避けられないといった話をすると、「調停だけはやりたくない」ということで離婚に応じてくる人もいます。

 

 

5.調停離婚で解決したケース


 私が担当した事件で、実際に調停離婚で解決したケースに絞った上で、モラハラ夫がどうして離婚に応じることにしたのか、そのきっかけ等について代表的なものをご紹介していきます。

 

(1)【ケース①】調停の場で妻側の覚悟を窺い知れて諦めた

 これは稀なケースなのですが、調停委員を介して、妻側の覚悟を知ることができたので、離婚に応じるというモラハラ夫もいます。

 離婚協議をしている間は、モラハラ夫は妻側の窓口としては弁護士としか話ができないので、妻側がどこまで離婚を強く覚悟しているのかは半信半疑だというモラハラ夫もいます。もちろん弁護士の方からは妻側の離婚意思はしっかりと伝えるのですが、あくまで妻が雇った弁護士なので夫側は半信半疑に思うことも多いのです。

 しかし、いざ調停が開かれますと、調停委員の目の前で妻側が真剣に離婚したいという強い覚悟を伝えますので、調停委員はそのことは夫側にも伝えます。

 そうすることで、もう夫婦関係修復の可能性は低いと思って離婚に応じてくる人間もいるのです。

 

(2)【ケース②】録音などを聞いて分が悪いと判断した

 離婚調停は話し合いの場なので、あまりすぐに録音などの証拠を提出することはしません。

 ただ、調停が難航してしまった場合には、録音など決め手となるような証拠があれば、それをモラハラ夫にも見せて、不利になるということを自覚させるという作戦を取ることもあります。

 モラハラ夫は外面が良いことが多いため、録音といった動かぬ証拠を出されてしまったことで体面を保つことができないとか、分が悪いと思って離婚に応じてくることがあるのです。

 

(3)【ケース③】婚姻費用の負担に耐えかねて諦めた

 モラハラ夫は身勝手な人間が多いため、離婚には応じたくない、また、婚姻費用も払いたくないという人間も多くいます。

 その場合、離婚調停よりも婚姻費用調停の調整を先行させ、モラハラ夫側に婚姻費用を早期に支払わせるという作戦を取ることもあります。

 モラハラ夫は、離婚の話し合いが長引けば長引くほど婚姻費用の支払額が積み重なっていきますので、離婚に応じやすくなることがあります。

 

(4)【ケース④】面会交流の道筋が見えたので諦めた

 離婚調停の中で話を続けていく中で、モラハラ夫も段々と妻への愛情というよりも子供への執着という方向へシフトしていくことがあります。

 妻側から嫌われていることは十分わかったけれども、子どもと会う算段だけは立てたいと考え始めるのです。

 このような場合には、子どもと会える道筋が立つと、離婚にはすんなりと応じてくるというケースもあります。

 

(5)【ケース⑤】何としても離婚裁判は避けたくて離婚に応じた

 離婚調停も終盤になってきますと、調停委員から「調停が決裂した場合には、裁判になるんですか?」と質問してくることがあります。

 その場合に、こちらから、「裁判をしてでも離婚したい」という強い覚悟を伝えることもあります。

 モラハラ夫も、調停ならまだしも裁判まではしたくないということも多く、裁判を避けるために、調停での離婚に応じてくるということもあります。

 

 

6.離婚裁判を起こしたが、和解で解決したケース


 私が担当した事件で、離婚裁判を起こすことになったけれども、裁判中に和解が成立して解決したケースに絞った上で、モラハラ夫がどうして離婚に応じることにしたのか、そのきかっけ等について代表的なものをご紹介していきます。

 

(1)【ケース①】別居期間が長期化したので諦めた

 別居期間が長期化すると、裁判で争っても、裁判所の方から離婚の判決が出て強制的に離婚させられてしまうというケースも多いです。そのような将来の見通しも踏まえて、離婚に応じるというモラハラ夫もいます。

この場合、裁判の序盤で和解が成立するケースと中盤で和解が成立するケースがあります。

 序盤で和解が成立するケースですと、大きく①本格的な離婚裁判の紛争になると泥仕合になるので、裁判序盤で離婚に応じることにしたというケースと②これまではモラハラ夫自身で対処していたが、弁護士に依頼することにしてより有利な条件で離婚しようと考えるようになったというケースがあります。

 中盤で和解するケースは、離婚すべきかどうかについて、証拠の提出などもあって、モラハラ夫側も自分が妻から非常に嫌われているということを認識せざるを得なくなって、離婚に応じることにしたというケースになります。

 

(2)【ケース②】判決の見通しが分かったので諦めた

 離婚裁判も終盤まで来ると、裁判官が、判決の見込みを直接話してくるケースも多いです。

 実際に判決を書く裁判官が見込みを話してくるのですから、そのような結論は避けられないということで、モラハラ夫も離婚には応じてくることも多いです。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫は自分が悪いことをしてきたという認識が乏しいので、離婚に反対してくることが多い。

・それでも協議離婚で解決できたケースもあって、代表的なものは以下のようなものである。

  • 弁護士が間に入ることで諦めた
  • 妻と直接会って(弁護士立会)諦めた
  • 調停を避けたくて諦めた

・協議離婚はうまく行かなくても、調停で離婚になったケースの代表的なものは以下の通り

  • 調停の場で妻側の覚悟を窺い知ることができて諦めた
  • 録音などの証拠が提出されて分が悪いと考えて諦めた
  • 婚姻費用の負担に耐えかねて諦めた
  • 面会交流の道筋が見えたので諦めた
  • 離婚裁判を避けたくて諦めた

・離婚裁判の中で和解が成立したケースとしては以下のようなものがある。

  • 別居期間が長期化したので諦めた
  • 裁判官から判決の見通しを告げられて諦めた

 

 

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