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【絶対に離婚したくない(36)】仲良くしたいのに闘わないといけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障るんじゃないのか?


 相手が強く離婚を要求してきている場合、こちらが「離婚したくない」と主張すること自体が、相手の癇に障るのではないか、ということは一つの問題と言えます。

 ただ、離婚に応じると法律上「他人」になってしまうわけですから、離婚に応じるかどうかはあなたの今後の人生にとって非常に重大な決断になります。

 そのため、例え、相手の癇に障ることになっても、あなた自身が夫婦関係修復を強く希望するのであれば、「離婚したくない」と主張することになりますし、そのことを責められる謂れはありません。

 

 

2.こちらは仲良くしたいのに「闘わざるを得ない」のでは?


 そうはいっても、あなたとしては、相手との夫婦関係を修復したいわけですから、「闘いたい」わけではありません。

 しかしながら、相手から離婚調停を起こされるなどした場合、全て相手の言いなりになってしまうと、離婚に応じざるを得ないということになってしまって、自己矛盾が生じます。

 そのため、相手が弁護士を立てて責めてきた場合や、調停に持ち込まれた場合など、対応を慎重に検討しなければならないことも多いです。

 以下では、実際に私が担当した事件で、どのように対応しているのかといった点について解説していきます。離婚の問題は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という順番で手続きが進んでいきますので、それぞれの段階で、どのように対応するのが良いかを解説していきます。

 

 

3.実際の交渉段階での対応方法は?


 まず、相手が弁護士を立ててあなたにコンタクトを取ってきた場合には、相手の離婚意思が固いことを伝えられて、あなた自身の考え方を聞かれるのが一般的です。

 相手が離婚を決意した理由については、あまり詳細を伝えてこないケースが多い気がしますが、あなたの方から詳細を尋ねると回答してくれることもあります。

 あなたの方で、気持ちの整理がつかない場合には、気持ちの整理がつかないので十分な検討期間がほしい旨打診することもありますし、離婚したくないという意思が固い場合には、離婚したくない旨を伝えていくことになります。

 

 協議離婚の段階で、私が代理人に就くケースは稀なのですが(相手を刺激しないために、弁護士を立てないケースが多いため)、私が交渉段階から調停に入る場合にも、基本的な対応方法は同じです。

 なお、離婚に応じたくない旨を伝えると、その理由を尋ねられますので、相手への愛情を失っていないとか、お子様達のことを考えて離婚したくないといった簡単な説明をすることが多いです(あまり詳しい説明をすると相手との対立構造に陥ってしまうので、避けるという意味です)。

 

 

4.実際の調停段階での対応方法は?


 前述のように、交渉段階で離婚したくない旨を伝えると、比較的早い段階で相手側が離婚調停を申し立ててくることが多いです(なお、弁護士によっては、離婚協議をほとんどしないで、いきなり調停を起こしてくる弁護士もいます)。

 調停段階での対応方法は、交渉段階の時よりも多少複雑で、①調停委員から事情を聞かれるので、どのように答えるかをある程度想定しておく必要がある、②改善計画を述べる必要がある、③説明文書の提出をすべきかというのが大きな違いとなります。

 

(1)調停委員から事情を聞かれた際の答え方

 調停委員から事情を聞かれた際の答え方は、基本的には、あなたの記憶に基づいて回答していくことになりますが、相手が虚偽を述べている場合や誇張をしている場合には、実際の事実を丁寧に説明していくことになります(特に、相手を批判するわけではなく、調停委員の誤解を解くように説明をしていくことになります)。

 実際には、あなたが弁護士を雇っている場合には、調停の席で相手がどのように言ってくるのかをある程度想定して、どのように回答するのかを事前に検討しておくことが多いと思います。

 なお、調停の席で夫婦の認識が大きくずれるというケースは多いため、調停委員も、そのことで強い違和感を覚えるようなケースは少ないです。

 

(2)改善計画を練る

 事前にしっかりと準備ができているようでしたら、答弁書に改善計画を記載してしまうことの方が多いです。

 改善計画には、相手が離婚したいと主張する理由に対して、あなたがどのように改善していくのかを記載することになります。例えば、相手が、あなたの深酒を気にしている場合には、今後は禁酒するとか、仕事上の付き合いの飲み会以外は一切飲まないといったことを改善計画に書き込むことになります。

 なお、相手の離婚理由がまだ不明確な段階の場合、調停の席などで、相手の離婚理由がはっきりとしてから、改善計画を立てていくというケースもあります。

 

(3)説明文書を提出すべきか

 私がご相談を受けていると、「調停委員にも詳しく事情を知っておいて欲しいので、20ページくらい説明文書を作成しました」といったご相談を受けることがあります。

 ただ、長文の説明文書を提出することはリスクが大きいので、避けるようアドバイスすることが多いです。

 長文の説明文書を提出すると、相手が弁護士を付けていた場合に、その弁護士から揚げ足取りなどに使われてしまうというのが最も大きなリスクです。このリスクは、こちらが長文の説明文書を書けば書くほど高くなってしまいます(それだけ揚げ足取りの材料を提供することになってしまうため)。

 また、長文にするとあなたの気持ちが調停委員に伝わりにくくなってしまうという面もあります(率直に「私はまだ妻のことを愛しているんです」の方がストレートに思いが伝わります。

 そのため、私の方からは「一旦そのような説明文書は提出しない方が良いですよ」とか「あなたが今後改善していきたいというところに絞って提出した方が良いですよ」とアドバイスすることが多いです。

 

(4)結局、調停委員は、あなたの修復意思の固さを一番気にする

 離婚するかどうかは、あなたの人生にとっても重大な決断ですので、あなたが強く夫婦関係の修復を希望しているのに、調停委員が離婚を強要してくるようなことはありません。

 実際にも、調停委員は、あなた自身の関係修復の意思がどれくらい固いのかについて強い関心を持つことが多いです(逆に、あなたが離婚にしようか悩んでいるような様子を見せると、調停委員は、離婚を勧めてくることもあります)。

 そのため、あなたが夫婦関係を修復したいという揺るぎない意志を持っていると示すことができれば、調停委員も、あまり細かく過去の事実を確認等せずに、調停手続きを進めることができることが多いです。

 

(5)あくまで調停は話し合いの場

 あくまで調停は、話し合いの場ですから、あなたの関係修復意思の強さを示して、後は、過去の事実に関する細かい議論を避ければ、調停の場で相手と必要以上に闘うことは避けられることが多いです。

 前述のように、最低限、相手の主張の虚偽や誇張については、「私の認識はこうなんです」というように否定すれば良く、そのことで相手との「闘い」を避けて対応する進め方が賢い進め方になります。

 

 

5.実際の裁判段階での対応方法は?


 相手が離婚裁判まで起こしてきた場合、相手の主張に対してしっかりと反論しないと敗訴してしまいますので、しっかりとした対応が必要になります。

 ただ、相手の言い分一つ一つに事細かに反論していくのかと言いますと、イメージとしましては、「相手の証拠に対して反論していく」という作業になります。

 何を言っているのかと言いますと、例えば、相手が、あなたからこういう風に言われたとか、こういうことをされたという言い分を述べていても、実際、その裏付けはほとんどないということも多いです(口頭でのやり取りなので、裏付けがほとんどないのです)。そのような場合、相手の言い分には裏付けがほとんどないのですから、簡潔に反論して済ませるようにするのです。

 このようにすることで、必要以上に相手の反感を買うことを避けることができます。

 

 なお、裁判官は、相手の言い分をそのまま鵜呑みにすることはなく、相手がどのような証拠を提出してきているのか、その証拠からどのような事実を認めることができるのかという点に強い関心を持ちます。

 そのため、私は、裁判については「裏付け勝負ですよ」と説明することが多いのですが、相手の裏付けの内容を注視して、こちらの反論を組み立てていくようにしています。

 また、裁判序盤では、あなたの「本当は争いたくない気持ち」を書面にも明記して、関係修復を切に願う気持ちを書き記すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障る可能性は高いが、そこはあなた自身の人生に関わる重大事なので、あなたの気持ちで結論を出すべきである。

・【離婚協議の段階】離婚協議の段階では、あなたの関係修復意思を強く示せば、相手の弁護士もあまり深入りしてこないことが多いので、大きな対立を生じさせずに済ませられることが多い。

・【離婚調停の段階】最低限、相手の主張の虚偽や誇張に関してはコメントする必要があるが、事細かに反論する必要はない。

 あなたの関係修復意思の強さを示すのが胆である。

・【離婚裁判の段階】敗訴を避けるためにはしっかりと反論しなければならないが、相手の裏付けに対して反論するという視点が大事である。

 

 

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