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不倫女性から3割の慰謝料を取り返したケース

2016.04.25更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.不倫慰謝料を支払った後、相手は何も負担しなくて良いのか?


 

若干問題が複雑ですので仮称を付けてご説明します。

 

太郎と花子というご夫婦がいるとします。

 

太郎が、法子という別の女性と不倫した場合、花子は法子に対して慰謝料を請求することができます。

 

問題は、法子が花子に対して慰謝料を支払った場合、法子は、太郎に対して、応分の負担を求めることができるのかという点です。いわゆる不倫加害者側の負担の分担の問題です。

 

 

 

2.私が担当した事件


 

・ご依頼者様 : 不倫してしまった40代前半の男性(Rさんとします)

・ご依頼内容 : Rさんは、eさんから慰謝料を請求されたため、その支払いをしました。しかし、dさんは、一切慰謝料の負担をしていませんでしたので、Rさんからdさんに対しても一定額を負担させたいというご依頼内容でした。

 

この事件の相手方 : 30代前半の女性(dさんとします)、dさんの家庭状況は、旦那様 : 40代前半(eさんとします)、お子様 :  お一人いらっしゃるが詳細は不明、婚姻期間 : 10年程度、家庭環境 : 同居中(当面離婚予定も無し)というケースでした。

 

 

 

3.Rさんの言い分


 

この事件では、Rさんは、eさんに対して慰謝料を支払っていますが、背景としては、dさんがeさんと結託しているという事情がありました。

 

eさんがRさんに慰謝料を請求する際、eさんは、dさんが自筆したという手紙も送りつけており、その手紙には不倫の様子が事細かに記載されていました。そして、その手紙には、事実に反する点やdさんがeさんとの関係を悪化させないよう意図的に嘘をついていると思われる点がいくつもありました。

 

そのため、Rさんは、eさんに慰謝料を払った後、dさんが何も金銭負担をしないことにが許せないという強い気持ちがありました。

 

 

 

4.私の弁護活動


 

Rさんからお話を聞いた際、私の方からは、dさんに金銭請求をすることは構わないが、それは、eさんを再度苦しめることにもなりかねないという点を説明いたしました。

 

今回の不倫後もdさんとeさんは離婚せず一緒に生活しておりましたし、eさんから見れば、Rさんから慰謝料を獲得したことで、この不倫の件は一段落ついたと考えている可能性が高かったからです。

 

また、仮にdさんからいくらかの金銭を回収できるとしても、Rさんの負担額の半分というのは難しいと見込まれることを説明しました。

 

しかし、Rさんの意思は固かったので、私の方からdさんに金銭請求をしました。

 

 

 

5.dさんの言い分


 

dさんは直ぐに弁護士を付けて反論してきました。そして、その弁護士は、eさんの代理をしていた弁護士と同じ弁護士でした。

 

dさんの言い分は、eさんの心情を考えると一切負担できないとの返答でした。

 

つまり、eさんとしては、本来もっと高額の慰謝料をRさんからもらうはずだったが、dさんを許してやったので、そのことも考慮して低額で納得したとのことでした。それなのに、Rさんがdさんに負担を求めるのはおかしいという言い分でした。

 

これに対しては、私の方から、そもそも、Rさんが負担した金額が低額とまでは言えないことなどを軸に主張を展開し、裁判も辞さない姿勢を強く示しました。

 

 

 

6.最終解決


 

このようなやり取りを経てdさんは3割分は負担すると言うことで折り合うことができました。

 

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

裁判で徹底的に争った末、親権を獲得したケース

2016.04.07更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.親権が大きな争いになる場合どのような手続の流れになるの?


 

 事件によっては、これまでの旦那様の言動等から、親権をご夫婦どちらに帰属させるかについて大きな争いになることが事前に予想できる事件もあります。

 その様な場合には、最終的には裁判で決着を付けざるを得ないのですが、その基本的な流れは、以下の通りになります。

 

①相手との交渉の段階

私の方から相手に書面を送ったり、電話で話をしたり、場合によっては直接相手と面談して交渉を行う段階です。弁護士が離婚問題を取り扱う場合、通常は、このステップから事件に取り掛かるのが一般的です。

 

②調停の段階

話し合いで折り合いを付けることができない場合には、調停を申し立てることになります。調停は、裁判所の建物内で手続が行われ、調停委員が間に入ることになりますが、あくまでも当事者間の話し合いを基本とした手続になります。

そのため、調停委員は話し合いの促進を図ることはできますが、結論を命じるといった権限はありません。

③裁判の段階

調停での話し合いも上手く行かない場合には、裁判を起こすことになります。裁判は、最終的には判決を得る手続になりますので、調停のような話し合いの手続とは区別されます。

裁判所が言い渡した判決には拘束されることになりますので、不服のある当事者も従わなければならなくなります(ただし、1回目の判決に不満がある場合には、控訴といった不服申立ができます)

 

 

2.私が担当した事件          


 

・ご依頼者様 : 30代前半の女性(Xさんといいます)

・ご依頼内容

 旦那様が姑女の意見ばかりを尊重し、姑女の意見で全ての家庭に関する重要事項が決まるので、窮屈な生活が耐えられず、離婚したい、娘の親権は絶対に旦那には譲りたくないので弁護を依頼したいという内容でした。

 

なお、この事件の相手方 : 30代前半の旦那様、お子様 : 保育園に通園する娘様お一人、婚姻期間 : 5年程度、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 

3.私の弁護活動             


 

 前述のような手順で、まずは、旦那様と交渉をすべく通知書を郵送しました。通知書には、Xさんが離婚を希望していること、離婚の条件を書き記しました。

 

 そうすると、旦那様から電話連絡があり、中立な調停委員がいる場所で話がしたいとの希望がありましたので、私の方から調停を申し立て、調停手続で話が行われることになりました。

 

 

4.旦那様の言い分            


 

 旦那様の言い分は、Xさんは精神病を患っていて、ときに娘様につらく当たることもあるので、Xさんに娘様を託すことはできない。Xさんは常に場面場面で嘘をつくので、娘様の教育上も好ましくないといった独自の主張をして、旦那様ご本人が親権者になりたいと強く主張してきました。

 

 

5.私の弁護活動              


 

 まずは、Xさんご本人から、旦那様の言い分の真偽を確かめ、詳しく事実経過を確認する作業を行いました。Xさんが精神病だというのが全くのデタラメであり、旦那様の言い分が全く信用できないことが十分に分かりました。

 

 その後は、調停の場で、こちらの言い分を述べるようにしました。

 

 なお、この調停で、旦那様の翻意を図るために取った作戦は以下の通りです。

(1)娘様との面会交流を認めた

 Xさんは、旦那様の身勝手な言い分にかなり怒っていらっしゃいましたが、Xさんとよく話をした上で、旦那様と娘様との面会交流を実施しました。

 

 こうすることで、旦那様も、娘様が健康に生育していることを直接目で見て確認できますし、硬直的な意見を柔軟化できるかもしれないという思惑もありました。

 旦那様は、娘様と面会交流できたことについては満足している様子でしたが、意固地な状態は続きました。

 

(2)家庭裁判所調査官の調査を頼んでみた

 家庭裁判所調査官という専門家から見て、Xさんが親権者として適確であるとのお墨付きが出れば、旦那様も親権を諦める可能性がありましたので、私の方から調停委員に家庭裁判所調査官の調査を頼みました。

 調停委員は、家庭裁判所調査官の調査に前向きでしたが、裁判官が反対の意向を示したため、結局調査は実施されませんでした。

 

 

5.調停不成立となり、裁判での争いになった。


 

 結局、旦那様は自分の意見を全く曲げず、親権の帰属について裁判で争われることになりました。

 

 裁判では、Xさんと旦那様いずれが親権者として適確かという点について、激しい議論の応酬がなされ、ときには、私の方から30頁を超える裁判書類を提出することもありました。

 裁判の中でも、旦那様が妥協する様子は全くなく、裁判手続の中で家庭裁判所調査官の調査が実施されることになりました。

 

 

6.家庭裁判所調査官の調査      


 

 家庭裁判所調査官の調査は、大まかに以下のような項目で行われます。
①ご夫婦本人から別々に事情を尋ねる(ご夫婦それぞれの家庭環境についても質問を受けます)
②Xさんの自宅を訪問して娘様の家庭での様子を確認する
③保育園に連絡を取り、保育園での娘様の様子を確認する

 

上記①のヒアリングは、これまでの裁判で、こちらが徹底的に主張してきた部分のおさらいという面が強いため、あまり心配はいりませんが、自宅訪問や保育園への連絡については注意を払っておく必要があります。

そのため、Xさんには事前に家庭裁判所調査官が、どのような点に関心を持つ傾向にあるのかといった点をお話しし、十分に準備を行いました。

 

 このような準備の成果もあって、家庭裁判所調査官の調査結果は、Xさんが娘様を育てて行くことが適確であるとの結果でした。

 

 

7.最終的には和解で解決        


 

 上記のような調査結果が出ましたので、裁判官が旦那様を強く説得し、旦那様も親権を譲る意向を示しました。

 そのため、Xさんが親権を取得する形で裁判上の和解が成立し、解決しました。

 なお、この「和解」という手続は、裁判の手続きは進行させながら、または、裁判の手続きを一時保留にした上で、当事者同士が話し合いをして、双方が納得できる場合に、「和解」という形で最終解決することをいいます。裁判は、判決を獲得するための手続なのですが、今回の様に、裁判官が和解を強く勧めてくることがあり、和解が成立した場合には、判決まで手続が進まずに解決することになります。

和解の場合には、離婚の条件をすべて約束した上で解決することになりますので、判決を得る必要がなくなるのです。

 

 Xさんが初めて私の所にご相談に来られてから2年以上経過しての最終解決になってしまいましたが、Xさんはこの結論に満足されている様子でした。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

親権を取得しない限り絶対離婚しない!と言っていた旦那様と離婚したケース

2016.04.05更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.旦那様は親権の獲得を希望する?希望しない?


 

離婚の問題を取り扱っておりますと、特に小さいお子様がいらっしゃる場合、ご夫婦のいずれが親権を取得するのか激しい争いに発展することもあります。それでは、旦那様は親権獲得を希望するのでしょうか?希望しないのでしょうか?

 

結局は、旦那様の人柄等にもよるのですが、私が離婚問題を解決していく中で感じたのは、両極端に分かれる傾向があるという点です。

つまり、徹底的に親権の獲得を強く主張してきて一切譲歩しない方と、逆に、それほど強く親権を主張して来ない方とで両極端に分かれることが多いように思われます。

 

正確な統計を取ってはおりませんが、最近は少子化の影響もあり、親権の獲得を強く希望される旦那様が増えてきているように見受けられます。

 

 

2.私が担当した事件           


 

・依頼者様 : 40代後半の女性(Wさんとします)

・ご依頼内容

 旦那様からの暴言がひどく一緒に生活して行くことができないので離婚したい、離婚するにあたっては確実に親権を取得したいというご依頼内容でした。

 

なお、この事件での相手方 : 30代後半の旦那様、お子様 : 保育園に通園する娘様お二人、婚姻期間 : 5年程度、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 

3.私の弁護活動               


 

 

この事件は直接の暴力こそ無かったものの家具を壊すといった間接的暴力があり、暴言の内容も酷いものでしたので、DV事件に近いものとして、まずは、Wさんから詳しい間接的暴力や暴言の状況について聞き取りを行いました。

このような聞き取りを通じて、間接的暴力の頻度や内容を把握できました。

 

このような被害内容をお伺いすることは、Wさんにとっても思い出したくないことを思い出す作業にはなってしまいますが、この点を確認しませんと離婚事件の全容を把握することができません。また、被害実態を解明することでWさんと認識を共有することができ、一緒にこの離婚問題に取り組むにあたっての出発点になります。

 

このようなWさんからの事実確認の後、私の方から旦那様宛に離婚の希望と離婚条件を書き記した通知書を郵送で送りました。

 

すると、旦那様側も弁護士に依頼し、弁護士同士の話し合いになりました。

 

しかし、親権をどちらが取得するかという点で協議は暗礁に乗り上げ、旦那様側の弁護士より調停が起こされました。

 このようにして、議論の場は裁判所の調停手続に移りました。

 

 

4.相手の言い分              


 

 

 旦那様は、Wさんに対する間接的暴力や暴言を一切否定し、むしろ、暴言を放っていたのはWさんの方であるといった主張を展開しました。

 

 また、Wさんはほとんど家事もせず、旦那様が主体的に育児をしてきたといった主張もし、絶対に旦那様が親権を取得した方が子供のための幸せになるという主張を展開してきました。

 

 これに対しては、Wさんが暴言を放った事実がないこと、Wさんが育児を精力的に行ってきたことなどを積極的に反論しましたが、お互いの主張に客観的裏付けがない状況でした。

 

 

5.Wさんが親権者として適確な事情


 

 

 客観的な裏付けがないとは言っても、Wさんが親権者として適確であると言うことは調停委員に積極的にアピールして行く必要がありますから、これまでの娘様の生育歴や現在の生育状況、今後の育て方などについて積極的に主張しましたし、旦那様のこれまでの娘様への接し方に大きな問題があったこと、旦那様一人で娘様を育てて行くことなどできないことを事細かに主張しました

 

 もちろん、このような主張を展開するにあたっては、Wさんご本人から詳細なヒアリングをした上で、入念な準備を重ねました。

 

 

6.家庭裁判所調査官の調査を活用


 

 上記の通り、Wさんが親権者として適確な事情を事細かに主張しても、旦那様側は、こちらの主張に徹底抗戦の構えで、話は平行線をたどりました。

 ただ、調停当時、Wさんが娘様お二人と生活していたのですが、旦那様は、現在の娘様が劣悪な環境で生活しているのではないかと強く不安視していました。

 

 そこで、私は、Wさんに、家庭裁判所調査官による調査の利用をオススメし、了解を得られましたので、調停委員にも相談しました。

 

 調停委員は裁判官とも相談の上、家庭裁判所調査官による調査が実施されることになりました。

 

 この家庭裁判所調査官の調査というものは、家庭裁判所調査官がお子様の生活状況を直接確認し、現在の生活環境が適正かどうか調査するというものです。家庭裁判所調査官が直接Wさんのご自宅に訪問して、お子様とも直接話をしますので、実際のお子様の生活状況を客観的に把握できる機会とも言えます。

 

 このような調査を実施しますのは、現在娘様がWさんと順調に生活を送っており、旦那様が娘様を引き取るのが望ましくないという事実を家庭裁判所調査官の目ではっきりと確かめて欲しいと思ったからです。こうすることで、旦那様が親権を諦めることを期待して、調査を依頼しました。

 

 

7.家庭裁判所調査官の調査結果


 

 前述のような調査の結果、家庭裁判所調査官からは、Wさんのもとでの娘様の生育に問題がない旨の結果が示されました。

 

 このような結果を軸として、旦那様を積極的に説得してもらうよう調停委員に働きかけました。

 

 しかし、旦那様は意固地になっており、親権を諦めるような様子はありませんでした。

 

 そこで、旦那様側の弁護士が調停を不成立にしたい旨の意見を述べ、最終的に調停は不成立になって終了してしまいました。

 このように調停は不成立になってしまいましたが、Wさんからすれば、家庭裁判所調査官から、娘様の育て方に問題がない旨のお墨付きを得たことになりますから、今後の生活にあたっての自信にもなりました。

 

 

8.最終的には協議離婚成立


 

 前述の通り調停が上手く行きませんでしたので、旦那様側から離婚裁判が起こされるものと考えていましたが、結局は旦那様が親権を諦める形で協議離婚が成立しました

 

 調停が不成立で終了してから2か月後の解決でした。

 

 旦那様側の弁護士の話では、家庭裁判所調査官の調査結果がキチンと示されたため、旦那様も悩んだ末に協議離婚を受け入れることにした、というお話しでした。

 

 

9.調停での家庭裁判所調査官の調査の活用について


 

 今回の事件については、調停手続の中での家庭裁判所調査官の調査について、裁判官の理解もあったため、調査を実施することができました。

 しかし、現実の裁判所の運用を見ておりますと、調停手続内での家庭裁判所調査官の調査実施には消極的な裁判官の方が多いのが実情です。

 

 本来家庭裁判所調査官による調査は、離婚裁判で実施されることが多く、調停手続で実施することに躊躇いがあるようです。

 

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モラハラ・DV夫に絶対住所を知られたくない!住所を知られずに離婚したケース

2016.04.01更新

弁護士秦

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1.モラハラ・DV夫に絶対住所を知られたくない!そんなことは可能なの?


 

 私が離婚事件に携わっておりますと、夫がDV暴力をふるってくるとか、離婚後もストーカー被害を受けそうであるといった理由で、今のお住まいを知られたくないと要望される方は最近増加傾向にあるように思われます。

 

 その様なご要望を実現できるかどうかですが、原則として、住所を知られたくないキチンとした理由が有れば、住所を知られずに離婚することが可能です。

 

 ただ、私が弁護士として活動を開始する前に、既に夫側が奥様の現住所について目星を付けているケースもありますし、奥様のご親戚の方から住所の情報が夫に伝わってしまったというケースもありますので、細心の注意が必要になります。

 

 弁護士が間に立ちますと、弁護士には守秘義務がありますので、旦那様に奥様の現住所が漏れることは基本的にありません。このことは離婚問題を弁護士に依頼する大きなメリットでもあると思います。

 

 

2.私が担当した事件         


 

 

①ご依頼者様 : 40代後半の女性(Vさんとします。)

②ご依頼内容 : 旦那様からの暴言・暴力に耐えかねて別居を開始したが、旦那様と直接話をすると執拗に住所を質問されそうなので、直接話をすることができない。絶対に住所を知られずに離婚したい、というご依頼内容でした。

 

③関係者の概要等

この事件の相手方 : 40代後半の旦那様 、 お子様 : 高校生以上の娘様3人と息子様1人の合計4人 、 婚姻期間 : およそ20年 、 家庭環境 : ご依頼時別居中

④モラハラ・DVの概要 

モラハラ)ほぼ毎日の様にこちらを侮辱する様な暴言、家事の些細な点を執拗に責め立てる行為、性欲が旺盛であり、こちらが拒絶すると風俗店に行くと脅してくる等々

DV)殴る蹴るの直接の暴力のみならず、ゴルフクラブを使っての直接暴行あり

 

3.まずは、ご本人様で住民票・戸籍の秘諾手続を取っておくこと


 

 Vさんは、私の所にご相談に来られる前に既に手続きを取っておられたのですが、区役所にて、住民票及び戸籍附票をVさん以外の人間が取得できないようにする手続を取っていただく必要があります

 

 このようにすることで万が一にも旦那様が区役所の窓口で奥様の住所を知ることはほぼなくなります。

 

 

4.住所を知りたがるモラハラ・DV夫        


 

 

 この事件でもそうでしたが、DVの事件などでは、夫側が奥様のお住まいを執拗に質問してくるケースも多くあります。

 

 「家内の荷物がまだ自宅に残っているから送りたい」だとか「家内は扶養から外れるから手続をしなければいけないので現住所を教えて欲しい」、「勝手に別居しておいて挨拶もないなんて許せない。直接話に行くから住所を教えろ」等々様々な理由で住所を尋ねてくる人間もいます。

 

 このように弁護士に質問している内はまだいいのですが、奥様のご親戚や親しい友人に電話やメールを頻繁にして奥様の居場所を探ろうとする人もいます。

 

 

5.モラハラ・DV夫に対する弁護士からの通知 


 

 

 まず、離婚問題を弁護士が取り扱う場合、こちらの要望を記載した通知書を夫側にお送りします。

 

 その通知書には、こちらの要望だけではなく、弁護士が離婚問題の窓口になったので、奥様、その勤め先、そのご親族に直接連絡を取らないよう記載します。合わせて、奥様の住所を探らないようにして欲しい旨も明記します。

 

 今回のVさんのケースでも、旦那様に住所を知られることを強く不安がっていましたので、通知書には、Vさんの住所を探らないようにして欲しい旨を明記しました。

 

 

6.弁護士の守秘義務        


 

 弁護士には依頼者の個人情報等を事件の相手方や第三者に漏らしてはならず、秘密を守る義務(守秘義務)があります。

 

 そのため、夫側から聞かれても、弁護士が奥様の住所を教えることはありません。

 

 また、弁護士が法律上このような守秘義務を負っているということは、夫側から奥様の住所を質問された時に、回答を拒否する理由として活用できます。

 

 例えば、私は「弁護士は法律で守秘義務という義務を負っているので、奥様の住所を教えると法律違反になってしまうのです」と夫側に説明することもあります。

 

 

7.今回の事件でも相手がしつこく住所を尋ねてきた


 

 今回のモラハラ・DV夫も私に対して頻繁に電話連絡をしてきて、色々と理由を付けてVさんの居場所を質問してきました。その都度、私は守秘義務の話などをして撃退していました。

 

 夫側は、私からの話にその場では渋々納得するのですが、翌日には他の理由でVさんの住所を尋ねてくる始末で、次第にしびれを切らしたのか、私に対して以下の様なことを言ってきました。

「弁護士が夫婦の中を引き裂く様なことをするのは問題じゃないのか。」

「本当はVは、私と会いたいに決まっている。きちんと私の気持ちをVに伝えてくれ、そうじゃないとあんたが窓口になっている意味がない」

これに対しては、私の方が冷静さを欠いてしまいますと元も子もありませんので、冷静に、Vさんのお気持ちをお伝えしました。

 

 しかし、モラハラ・DV夫は「そこまで言うなら、Vと直接会わせろ。直接会ってVの気持ちを確認しないと納得できない」とまくし立ててくる状態でした。

 私の方も、必要以上にモラハラ・DV夫を刺激しない様に、あまり不親切な対応にはならない様注意しつつ説得を試みましたが、夫側は説得に応じる様な様子はほとんどありませんでした。

 

 そのため、私の方からVさんに対しては、協議離婚での解決は難しく、早期に調停離婚に切り替えることや、場合によっては離婚裁判も覚悟してもらう必要がある旨を説明しました。

 

 

8.今回の事件の結末        


 

 この事件では、モラハラ・DV夫が離婚そのものについて徹底的に争ってきましたし、独自の意見を決して曲げないため、調停委員もお手上げという状況でした。そのため、離婚調停が不成立になり、こちらから離婚裁判を起こしました。

 

 何回か裁判期日が開かれ、ようやく夫側も離婚に応じて、裁判上の和解で離婚にこぎ着けることができました。

 

 これら調停や裁判の手続きの中でも、私はVさんの住所が知られないよう細心の注意を払って手続を行い、最終的にVさんの住所は知られずに離婚にこぎ着けることができました。

 

 

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