「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言っていますよ」―離婚を諦めなければならないのか?
2016.09.26更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。
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1.調停手続での調停委員の発言
ご自身で家庭裁判所の離婚調停手続を申し立てた場合、通常はあまり足を踏み入れたことがない裁判所に足を踏み入れて手続をしなければなりませんから、最初は緊張してしまうことが多いと思います。
ただ、いざ調停手続が始まりますと、調停室は、テレビドラマの法廷のような厳粛な場所ではなく、膝詰めの話しやすい環境ですので、次第に緊張もほぐれていくと思います。
とは言っても、家庭裁判所内という特殊な環境で、慣れない離婚について話し合うことになりますので、即座に的確な判断をして行くことは簡単ではありません。
2.調停委員から「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われてしまった
あなたは、相手方と離婚をしたくて離婚調停を申し立てたのに、調停委員から「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われてしまうことがあります。その発言の真意については、どのように理解すればよいのでしょうか。
(1)調停委員は相手方の意向は、そのまま申立人に伝えなければいけない。
調停委員は中立の立場にありますので、あなたの離婚の意向を相手方に伝えた結果については、そのままあなたにお伝えしなければなりません。
つまり、あなたの離婚の意向を相手に伝えたところ、相手が「絶対に離婚したくない」という返事をした場合には、そのままあなたに伝えなければいけないのです。
従って「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われたとしても、調停委員が離婚に後ろ向きであると言うことではありません。
(2)調停では復縁より離婚の方が、圧倒的に件数が多いという実態
離婚協議が上手く行かず、離婚を求めて調停を起こしても、なおも相手が頑固に離婚に応じない姿勢を示すと言うことは多くあります。しかし、調停手続を進めていくうちに相手も離婚で致し方ないと考えて、離婚調停が成立するケースの方が復縁よりも圧倒的に多いのが実態です。
そのため、上記のような調停委員の言葉があっても、直ぐに離婚を諦める必要はありません。
3.まずは相手が離婚に応じない理由を詳しく確認する
まずは相手が離婚に応じないという理由をしっかりと確認していく必要があります。
その理由によって、今後のこちらの取るべき対応が異なってくるからです。
(1)別居の経緯について反発しているケース
相手が反発する理由としてよくあるケースですが、あなたが別居を開始した経緯について反発しているケースです。
一緒に生活していた際離婚するかどうかについて真剣な話し合いが持たれていなかったり、特に相手に断りなく別居を始めたケースなどで問題になりやすいものと言えます。
この場合、相手が別居の経緯等について誤解している場合もありますので、こちらからは別居の経緯を詳しく正確に調停委員に伝える必要があります。
また、相手がやり直すつもりがあるのかについても調停委員にしっかりと尋ねる必要があります。このように相手がこちらに対する不平不満を述べている場合には、やり直す意思があるようには見えませんので、この点を突くのです。
(2)安易にやり直せると考えているケース
相手がよく言ってくるのは「このようなことは普通の夫婦ではよくあることだ」とか「こんな些細なことで離婚する人はいない。申立人がもう少し我慢すれば済むことだ」といったことになります。
このような反論がなされた場合には、あなたが離婚を決意した理由をしっかりと調停委員に説明して行くことになります。
なお、私が相談に乗っておりますと、「旦那の暴言がひどい」とか「旦那が生活費を渡さない」という抽象的な説明をする方が多く見られます。暴言という場合には、どのようなひどいことを言ってくるのか、具体的なフレーズについてお話しいただく必要がありますし、その頻度やタイミングについてもご説明していただく必要があります。また、生活費を渡さないという場合にも、いつ頃から渡さなくなったのか、渡さなくなる前はいくらもらっていたのかと言った点を詳しく説明して行く必要があります。
いずれにせよ具体的な理由を述べて、どれだけ相手のことを嫌っているのかという点をしっかりと具体的に説明して行くことが肝心です。
(3)子供に会えないことに反発しているケース
別居を機にお子様に会う機会を与えていないというケース、または会う頻度について相手に不満があるといったケースです。
この場合、お子様に会わせられない理由をキチンと調停委員に説明する必要がありますが、合わせてお子様との面会を認める方向の検討も必要になります。
相手にお子様を会わせることで相手の態度を軟化させる可能性がありますので、その様なメリットも考慮して、面会を認めるかどうかを判断して行くことになります。
4.相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合
相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合、それによって夫婦関係がうまくいかなくなっているのですから、強気の姿勢で臨んでも良いと思います。
相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合というのは、相手方が浮気をしており、そのことが原因で夫婦仲が冷え切ってしまったとか、相手方が暴力をふるってきて病院に入院するほどのけがをしてしまったので、さすがに愛想が尽きて離婚したいといったケースになります。
ただ、あまり高額な慰謝料など離婚条件を高くし過ぎてしまいますと、そのことが原因で離婚の話が進まないと言うこともありますので、この点は注意する必要があります。
5.どうしても相手が意固地になっている場合
相手の意思が固く調停での話し合いが上手く行かなくなりそうな場合には、今後離婚裁判も検討しなければならなくなりますので、早めに弁護士に相談されることをオススメします。
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