DV被害者が陥りがちな5つの落とし穴
2017.10.02更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<<になります。
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1.DV被害者が陥りがちな落とし穴って?
私がDV離婚の問題を取り扱っておりますと、これから離婚したいという方だけではなく、離婚してしまったが離婚の条件決めで後悔しているというご相談を受けることもあります。
また、これから離婚したいという方でも非常に自分を卑下してしまっているといったこともあります。
そこで、以下私がDV離婚に関わる被害者の方と接して思うところをご紹介します。
2.「自分が悪い」の誤り
この点は、私がDV被害者の方と接していて非常によく思う点です。
通常私のところにDV被害者の方がご相談に来られる際には、ご親族や友人、区役所の女性相談員等だれかしらに相談して来られる方が多いのですが、ご親族等が「こんな事だったらもっと早く相談してくれていれば良かったのにねぇ。」とおっしゃるケースは多くあります。
ご本人は、DV暴力を受けたこと自体はショックだけれども、自分が原因を作ってしまったのだから、まずは自分の行動を改めなければならないとか、自分が頑張れば幸せだった結婚生活に戻れるといった形で、夫婦関係の円満な状況を作るように努力を重ねているのです。
自分が原因を作ってしまったと考えているDV被害者の方は、正直にDV旦那に謝罪したりしてしまうため、余計にDV旦那は増長し、DV被害が深刻になる、余計に家庭環境が悪化するというケースが多くあります。
大体このようなケースでは、DV被害者の方が心身に限界を感じて親族に相談をして問題が顕在化するケースが多いです。そうすると、親族等からは「そんな暴力をふるう夫とは早く分かれた方が良い」とか「あなたが我慢することじゃないでしょ」と言われて徐々に自分の過ちに気付き始めるのです。
そのため、旦那から殴る蹴るの暴力を受けた場合には、その経緯を含めて詳しく親族等に相談をし、客観的に見ておかしなことがないかを判断してもらった方が良いと思います。私はDVの問題をよく取り扱うので明確に断言しますが、暴力は絶対的に悪であり、どのような経緯があっても暴力が正当化されることはないと思います。
「また旦那を怒らせてしまった私が悪い」だとか「旦那が怒らないようにもっと家事を頑張らなければいけない」という発想は誤りです。もっと自分に自信を持って大丈夫です。
3.「自分さえ我慢すれば良い」の誤り
また、この話もDV被害者の方からよく聞くお話なのですが、特にお子様がいらっしゃる専業主婦の方でこのような発想をお持ちになることが多いです。
離婚しても子どもと生活していくだけの収入がないし、離婚すると片親になってしまう子どもが不憫だという発想を持つのです。
しかし、DVの頻度にもよりますが、DV暴力の頻度が多い場合で、旦那がお子様がいることを考えずに、お子様の目の前で平気で暴力をふるうような場合には、そのことがお子様に与える影響についても考える必要があります。
自分の父親が母親に暴力をふるう様子を見て育った子どもは、そのことが当然のことだと感じてしまい、その健全な成長に大きな問題を生じさせる虞があります。また、お子様にとっては母親はかけがえのない存在ですので、母親が一方的に暴力をふるわれる様子を見て心を痛めることも多いと思います。
そのため、あなた自身が我慢すればよいと言う問題ではないこと、度々暴力をふるわれていることをお子様が知り得る場合、そのお子様に悪影響を与えていることを考慮した方が良いと思います。
また、あまりに我慢を重ねるとあなた自身の身体又は精神を疲弊させる原因にもなります。心身の不調を生じさせると家事や育児にも悪影響を及ぼしかねないということも考えておく必要があります。
4.身内にも相談できない、相談しない方が良い。の誤り
私のところに相談に来られる方は、通常はご本人が身内に相談の上相談に来られる方が非常に多いです。ただ、中には「こんな話をすると両親が心配してしまうから」とか「両親に話をすると絶対離婚しなさいと言われてしまうため話ができない」といった理由でご両親ご兄弟等近しい身内にも、DVの件を相談していない方もいらっしゃいます。
近しい身内の方がどのように反応するのかという問題もありますので一概に相談することが正しいと言い切れませんが、基本的には近しい方には相談をした方が良いと思います。特にDVのケースですと、何度も暴力をふるわれるうちに、そのことに慣れてしまって感覚が麻痺してしまうということが良くあります。
そのため、身内の方に限らず近しい方に相談することによって自分の置かれている立場を客観的に把握できるのです。
また、DVの問題を1人で抱え込んでしまうと精神的にも辛いことが多いので、誰かに話をすることで少しは気が楽になるという面もあります。
そのため、もし現状近しい方(親族や友人)の1人に対してすら相談をしていないという場合には、ご相談されることを私はオススメしています。
5.離婚を急ぐあまり離婚条件で相手の言いなりにならないこと。
離婚協議、離婚調停と言った手続はいずれも、相手との交渉を基本とする手続ですから、最終的な離婚にたどり着くために、一定の譲歩を迫られることはあります。しかし、DVのケースで当人同士で話を進めますと、後で後悔してしまうような条件で離婚してしまうケースもありますので、注意が必要です。
(1)離婚を急ぐために親権を諦めてしまう
私がご相談を受けるケースとしては、離婚した際に父親を親権者にしてしまったけれども、母親に変更できますかという相談を受けることがあります。事情を聴きますと、お子様は離婚後も母親が育てていくという口約束はして、親権者は父親にしたとか、また、どうしても旦那様が親権を譲らないため、お子様を旦那様に養育してもらい、親権も旦那様に渡して離婚したといったケースになります。
しかし、離婚後の親権変更は難しいことが多く、また、父親に一度養育を委ねてしまいますと、その後お子様に会わせてもらえないといった問題が生じることがあります。
あなた自身でお子様を育てていきたいという気持ちがあるのでしたら、安易に親権を諦めるべきではありません。
(2)離婚を急ぐために養育費を請求しない
相手が離婚に応じて、親権もこちらに渡してくれるという場合でも、安易に養育費を諦めてしまいますと、今後の生活に不安を生じかねません。
ただ、養育費につきましては、離婚後も養育費を受け取っていると、なかなかお子様を相手に会わせないということが難しくなりますので、相手との関係を絶つという意味では養育費を受け取らないという選択肢もあり得ると思います。
いずれにしましても、養育費が無くとも今後の生活に不安がないかという点は慎重に検討して判断する必要があると思います。
(3)離婚を急ぐために慰謝料を請求しない。
DV旦那から激しい暴力を受けてきた場合、当然慰謝料を請求する権利があります。今後の生活のことも考えますと、できるだけ多くの慰謝料を獲得しておきたいところです。
そのため、簡単に慰謝料を諦めないで欲しいのですが、他方で、慰謝料と言いますと、相手が一方的に悪いという響きを含むため、DV旦那が余計に逆上してしまうこともあります。
このように慰謝料を請求するデメリットがあることも事実ですので、今後の生活のことも考えながら、慰謝料を請求するのかどうか、請求する場合いくら請求するのか等について慎重に検討すべきかと思います。
6.まずは別居を先行させて落ち着いて考えられる環境を作ること
DV旦那と同居して生活していると、何時どのように旦那が暴言を吐いてくるのか、暴力をふるってくるのかが分かりませんので、常に緊張した状態で生活を送っていると思います。
しかし、このような極限状態ですと、離婚の際にどのようにすればよいのかと言ったことを冷静に考えることはほぼ不可能だと思います。
また、別居を開始すれば旦那からの直接の暴力や暴言の被害を大きく減らすことができます。
そのため、まずは先に別居を開始してしまうのが良い結果に結びつきやすいと思います。
旦那に無断で別居することには問題があるのではないかと心配に思われる方もいるかもしれませんが、旦那からの暴力が原因で別居する場合、別居を批難される理由はありません。
7.まとめ
●DVの原因を作った私が悪い、という発想は完全に誤り
●自分さえ我慢すればよい、という発想も誤り
●身内にも相談できない、相談しない方が良い、という発想も誤り
●離婚を焦った結果、離婚条件で相手の言いなりにならないこと
●まずは別居を先行させて冷静に考えられる状況を作ることが重要である。
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