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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(58)―保育園・幼稚園の連絡帳の位置付け | 雨宮眞也法律事務所

離婚問題

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(58)―保育園・幼稚園の連絡帳の位置付け

2023.07.31更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.監護者指定審判手続きにおける連絡帳の「重み」


(1)普段の生活では、何の気なしに記帳しているものだけれど…
 保育園や幼稚園の連絡帳については、普段の生活の中では、「重要書類」といった意識もなく記帳していることが多いと思います。
 しかし、監護者指定審判手続きの中では、非常に重要な書類と位置付けられることが多いです。
 なぜ、このように重視されるのかと言いますと、監護者指定審判手続きでは、これまで夫婦のどちらがどのくらい育児を担ってきたのかという点について、お互いの言い分が大きくずれることが多いです。そんなときに、連絡帳を見ると、おのずと夫婦のどちらの方が育児をメインで担当していたのかといったことが明確化することが多いので、重要な書類と位置付けられることが多いのです。

(2)残念ながらあまりに簡素なものは、ほとんど証拠価値がない
 例えば、連絡帳はあるけれども、そもそも書く欄が、元気かどうか及びその朝の体温しか書けない形式のものだとか、連絡帳自体がなく、保育園に備え付けのボードにその日の出欠と朝の体温だけを書くといったものの場合、それだけを見ても夫婦のどちらが育児をメインで担当していたのかといったことはほとんど分からないので、残念ながらほとんど証拠価値はありません。

(3)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント①】
 前述のようにあまりに簡素な連絡帳は、あまり有力な手掛かりとはなりません。
 逆に、しっかりとコメント欄などもある連絡帳については、何が重要になってくるのでしょうか。
 まず大きなポイントの一つ目は、「夫婦のどちらが記帳しているのか」という点です。

 通常は、記帳者が保育園・幼稚園への送迎も担っていることが多いので、少なくとも保育園への送迎を夫婦のどちらがメインで担ってきたのかという点は分かることが多いです。
 そうしますと、保育園・幼稚園のお迎えという場合には、夫婦のどちらが先に自宅に帰宅しているのかが分かることも多いです(通常は、保育園にお迎えに行く方が先に帰宅していると思います)。先に帰宅した方の配偶者が、その分お子様と自宅で接する時間が長かったということになりますし、その間、育児を担っていた証明にもなります。

 また、連絡帳を記帳するにあたっては、連絡帳の形式にもよりますが、今朝の朝食や前夜の夕食メニューなどを書く形式のものがありますが、これらのメニューは、実際に食事の用意をしていた者でないと分からないことも多いです。
 お子様の食事について記帳しているということは、その食事の調理や配膳に関わってきた可能性が高いという推定が働き得るのです。

(4)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント②】
ポイントの二つ目は「どのような内容が記載されているのか」という点です。
このように解説しますと「他愛ない日常的なやり取りをしていない」ということで心配される方もいるかもしれませんが、それでも問題ありません。

そのような他愛ないやり取りの中でも、普段のお子様の生活や癖、成長具合などを探る貴重な手掛かりになることも多いからです。
後は、前日の夜に食べた食事の内容、その日の朝に食べた食事の内容なども細かく記載する形の連絡帳ですと、お子様の栄養面で配慮してきたかどうかといったことも分かりますので、そのような食事欄の記載の有無・内容も重要な要素になります。

(5)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント③】
 ポイントの三つ目は、連絡帳に記載している「分量」になります。
 家庭裁判所調査官も、ある程度は連絡帳の記帳内容を確認しますが、その全てをきめ細かく確認するのかというと、そこまで手が回らないということもあります。
 その場合に、調査官は、連絡帳の全体を確認し、あなたが書いた箇所の分量や空欄がどの程度あるのかという全体感を見ることも多くあります。

 

 

3.連絡帳は何年分必要になる?


 この点は裁判官によって対応が異なるのですが、大きく分けて、1年分の提出で足りるとする裁判官と2年分提出して欲しいと要請してくる裁判官に大別されるように思います。
 なお、裁判官から「2年前からのもの」と要請された場合でも、3年前の連絡帳の方が、あなたが熱心に育児に関わってきたことが分かるという場合には、敢えて戦略的に3年前のものまで提出することもあります。
 どの範囲の連絡帳を提出するかは、裁判官からどのように要請されたのか、及び、どのような戦略で対応するかを弁護士と相談しながら、対応していくことになります。

 

 

4.連絡帳提出の際の注意点


 あなたが別居後、旦那側に別居先を伝えていない場合(伝えたくない場合)には、連絡帳をそのまま提出してしまいますと、旦那側にこちらの居場所を知られてしまうリスクが生じてしまいます。
 そのため、連絡帳の保育園名はもちろん、クラスの名前はマスキングしますし、連絡帳の記載内容の中に、地名(園の近くの公園の名前とか)、お友達の名前、園での特別なイベントの名前(例えば、あまり東京の園では行わないような地方の踊りをイベントで踊るといった場合、その踊りの名前はマスキングしたりします)、記帳して下さった保育士の名前などにマスキングをすることが多いと思います。
 このように連絡帳を提出する際には、マスキングにかかる時間も考慮して、裁判所への提出期限を設定すると安心です。

 

 

5.小学校での連絡帳は?


 小学校でも連絡帳を活用している学校が多いと思いますが(最近はタブレットで管理している学校も多いように思いますが)、学校の連絡帳は、何か病欠や行事等があった際にしか記帳しないと思いますので、監護者指定事件で重視されることはほとんどありません。
 ただ、お子様が学校でトラブルを起こしてしまったり、いじめを受けたりしていて、その際の担任教師とのやり取りを記帳していたというような場合には、その内容を確認することはあります。

 

6.育児日記は?


 育児日記は、保育園の保育士とやり取りするというものではなく、あなたご自身が任意にお子様の成長を記帳しているものだと思います。
 このような育児日記は、監護者指定事件でどの程度重みがあるのでしょうか。

(1)連絡帳との比較では?
 もし連絡帳がある場合、それに重ねて育児日記を提出しても、効果は少ないことが多いと思います。
 連絡帳は、第三者である保育士も記帳しているので、その資料の中立性が高まっていると言えるからです(育児日記は、あなただけが記帳していますので、どうしても、中立な保育士も記帳している資料よりも証拠価値が落ちてしまうのです)

(2)真価を発揮するのは、連絡帳がないとき、又は簡素な連絡帳の時
 前述のように、保育園の連絡帳がある場合、そちらの内容の方が重視され、育児日記の内容はあまり効果が少ないことが多いです。
 他方で、①そもそも、まだお子様を円に入園させていないという場合には、連絡帳そのものがありませんし、②年長さんになって連絡帳を書かなくなったという場合、もしくは、③連絡帳は書いているけれども、体温だけを記載するだけの簡単な連絡帳である、というようなケースですと、連絡帳を見ても、お子様の普段の様子は分かりませんので、育児日記が真価を発揮することもあり得ます。

(3)連絡帳がないときは、育児日記はかなり重視されるのか?
 前述のように、連絡帳がないとき、または、連絡帳の内容が非常に簡素な連絡帳な場合には、育児日記が重視される場合もありますが、これも、その記載内容次第です。以下ポイントに絞って解説します。

ア)【重視される育児日記のポイント①】毎日欠かさず記帳していること
 最も重要なポイントになりますのが、「毎日欠かさず記帳していること」です。
 毎日記載することで、お子様の成長や変化等を漏らさず記帳することができますので、重要なポイントになるのです。
 もちろん、たまに1日だけ記帳しなかった、というだけで、その育児日記にほとんど価値がなくなる、ということはないのですが、記帳の頻度が低ければ低いほど、その証拠としての価値は落ちてしまいます。

 例えば、お子様の記念日だけ記帳している育児日記(誕生日や誕生後ちょうど1か月のバースデイ、寝返りを打った、首が座った、立った等の特徴がある日のことしか書いていないような育児日記)は、残念ながら証拠としての価値が薄くなってしまいます。
 または、例えば、週末である土日だけ記帳している育児日記も、平日という週5日間の記録が抜けていることになってしまいますので、残念ながら証拠としての価値は薄くなってしまいます。

イ)【重視される育児日記のポイント②】それなりの分量記載していること
 次のポイントは、記載の分量です。
 毎日欠かさず記帳しているとはいっても、毎日1行だけしか記載していないということですと、残念ながら証拠としての価値は薄くなってしまいます。

ウ)【重視される育児日記のポイント③】あまり古くないものであること
 次のポイントは、「あまり古くないものであること」です。
例えば、現在お子様が6歳だとして、育児日記が0歳児の時の日記だとすると、記録として「古過ぎる」と評価されてしまう可能性が高いと思います。このような古い記録は、あまり重視されないと思います。

 

7.まとめ


・保育園・幼稚園の連絡帳は、監護者指定事件で重要な資料として扱われることが多い。
・但し、あまり簡素な連絡帳(体温だけを記載するものとか)はあまり役に立たない。
・連絡帳の評価にあたっては、①夫婦のどちらが記帳しているのか、②記帳内容、③その分量が重要なポイントになる。
・連絡帳提出の際には、部分的にマスキングが必要になることも多いので注意が必要である。
・小学校の連絡帳は、ほとんど重視されないことが多い。
・連絡帳がない場合、又は簡素な無いような場合には、育児日記が重視される場合もある。
・どのような育児日記が重視されるのかは、最近のもので、かつ、毎日欠かさず、それなりの分量記載してある育児日記だと心強い。

 

 

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