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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(10)】親権はいつどのように決まっていくものなのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.離婚の方向性が決まらないと親権の話にならない


 私がご相談に乗っておりますと、お子さんの親権のことが非常に心配なので、親権の不安事で頭がいっぱいになっていて、離婚のことが疎かになってしまっている方もいらっしゃいます。
 ただ、親権の問題は離婚になって初めて問題になる話題ですので、夫側が頑なに離婚に応じないという姿勢の場合には、まず、どうやって離婚を実現していくのかという視点が重要になってきます。

 このようなご説明をしますと、「別居している場合には、離婚しなくても親権を決めないといけないんじゃありませんか?」という質問を受けることもありますが、日本の法律では、離婚しない場合には、共同親権とされておりますので、基本的に夫婦の一方を親権者と定めることはできません。

 そして、夫側が「離婚したくない」ということに強いこだわりを示す場合には、離婚すべきかどうかという点で離婚裁判にまで発展することもあります(親権について不安をお持ちの方は、親権について裁判になると誤解されている方も多いのですが、夫が「離婚したくない」と言い続けた場合には、離婚裁判の中で離婚の当否がまず最初の審査対象になるのです)。

 ちなみに、ここで説明して参りました「離婚の方向性が決まらないと親権の話にならない」というのは、夫側が「離婚で構わない」と意思表示しないと、親権の話にならないという意味ですので、この点は誤解のないようご留意ください(離婚届を提出してしまわないと親権の話にならないという意味ではありません)。

 

 

4.難しく考えなくとも、夫側の了解があれば済む話


 私のところに親権で思い悩んでご相談に来られる方は、「夫はこういう切り口で責めてくると思うんですが、どう反論すればいいでしょうか?」とか「実は、子供を責め過ぎてしまったことがあるのですが、そのことは不利になるのでしょうか?」など個別の様々な問題について、不安や疑問を抱いていることが多いです。
 ただ、親権の細々とした議論に入る以前に、親権についても、夫側が「親権は妻に譲る」と言ってくれれば済んでしまう問題です。
 もちろん、実際の紛争では、夫側が簡単に譲歩しないので、手続きが長期化してしまうことも多いのですが、大原則は、夫さえ争わなければ、そこで解決する問題なのです。

 

 

5.いつ親権が決まるか?


(1)協議離婚の場合
 協議離婚とは、区・市役所に離婚届を提出することで離婚することを指します。
 夫婦で話し合って、モラハラ夫も親権者をあなたにすることに合意して署名してくれれば、あなたが正式に親権者に決まります。
 なお、離婚届を提出する際には、養育費・面会交流・財産分与や年金分割のことは決めなくても構いません。ただ、離婚した後は、お金を出し渋る夫が非常に多いので、通常は、養育費や財産分与といったお金の大事なこともしっかりと決めてから離婚するケースが圧倒的多数です。

 

 また、以前は、離婚届を提出する際には必ず親権者を決めなければならなかったのですが、改正法では、以下の二つの条件を満たす場合には、離婚だけを決めて離婚届を提出するということが可能になりました。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 この場合には、親権については親権者指定調停(親権者調停については、後述の(3)で解説します)で話し合っていくことになります。

 

(2)調停離婚の場合
 離婚の話し合いが上手くいかなかった場合、離婚に向けて家庭裁判所に調停を起こすことになります。
 この調停においても、離婚することと親権者をあなたにすることについて夫が同意すれば、そのような前提で調停手続きは進んでいきます。
 ただ、調停の場合には、養育費・面会交流・財産分与や年金分割といった問題についても一緒に解決しようとしますので、離婚・親権の問題で夫婦の意見が一致しても、養育費・面会交流・財産分与や年金分割についての意見が対立している場合には、これらの問題についての議論が続いていくことになります。

 そのため、「調停の手続で親権者が決まるのは何時ですか?」と質問された場合、「調停の手続が最終決着する時です」というのが解答となります。養育費・面会交流・財産分与や年金分割についても、話し合いが決着した時に、調停成立となりますので、そのような最終段階で、親権者も決定するということになるのです。

 逆に、①夫側が調停の場でも「断固離婚には応じない」と言い続けた場合には、親権の議論に到達する前に調停は終了してしまいますし、②夫側が離婚には応じても、「断固親権は譲らない」と言い続けた場合にも、調停は終了してしまいます。このようなことを「調停不成立」と呼びますが、調停不成立になった場合には、残念ながら何も決まらないで、調停手続きが終了してしまうということになります(調停手続きが終了すると、何も事件・裁判所の手続きがなくなる状態になります)。

 

(3)親権者指定調停・審判の場合

 前述の通り、離婚だけを先に決めた場合、調停の対象になるのは「親権者をどのようにするのか」という点になります(既に離婚が成立していますので、離婚調停を起こすことはできません)。

 なお、この調停と一緒に養育費や財産分与、年金分割などについても議論したい場合には、養育費調停、財産分与調停、年金分割調停も申し立てて、一緒に議論していくことになります。

 あくまで調停は話し合いの場になりますので、モラハラ夫側が親権について妥協しない場合には、調停は不成立になってしまいます。

 

 なお、親権者指定調停が不成立になった場合、自動的に審判手続きに移行しますので、最終的には審判の中で親権者が決まっていくことになります(前述のように、離婚調停については、調停が不成立になると事件が何もなくなってしまうのですが、親権者指定調停については、調停が不成立になると自動的に審判に手続き移行しますので、両者は、調停不成立の際のその後の手続きに大きな差があります)。

 審判手続きは、話し合いではなく、裁判官が強制的に結論を下す手続きになりますので、最終的にはそこで親権が決まることになります。

 

(4)裁判離婚の場合
 これまでの説明と同様、離婚裁判の中でも、夫側が「妻に親権は譲る」と主張してきた場合、妻側が親権者となるという前提で裁判手続きは進行していくことになります。
 即ち、夫側が親権をあきらめていますので、家庭訪問といった調査官による調査を実施しないことが多いです。
 もちろん、調停の場でも、夫側は「親権を譲らない」と言っていたのですから、ほとんどのケースで、裁判でも親権が争われるのですが、ごく少数ですが、裁判になった場合には、あっさり親権を譲ってくるケースもあります。

 ただ、今後は、離婚後共同親権という選択肢ができましたので、モラハラ夫は、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権という主張を展開してくることが強く予想されます。そのため、離婚裁判の手続きの中でも、モラハラ夫は「自分が単独親権者になれなくても、最低でも共同親権にはして欲しい」という形で争ってくるケースが増えていくと予想されます。

 

 なお、仮に夫側が親権を争わなかったとしても、その時点ですぐに親権者が決定するのではなく、裁判所の判決が言い渡されるまで、正式には、親権者は決まりません。調停の時と同様、養育費・財産分与や年金分割といった問題点について全て決めるのと同時に親権も決まるのです。
 ちなみに、家庭裁判所が一度判決を下しても、不服がある当事者は、高等裁判所に控訴することができますので、控訴手続きが続く限り、離婚・親権いずれも正式には決まりません。

 なお、離婚裁判手続き中、裁判官が和解を勧めてくることも多く、当事者間の話し合いが上手くいけば、和解で手続きが終了することもあります。その場合には、調停の時と同様、和解成立時に正式に親権者も決まることになります。

 

 

6.どのように親権が決まるか?


 離婚協議はもちろん、離婚調停も結局は夫婦の話し合いの場ですから、親権者をどのようにするのかという点で意見が対立すると、親権者を決定することはできません。その意味で「どのように親権者を決めるのですか?」と質問された場合、協議でも調停でも「夫婦の話し合いで決めることになります」という解答になります(この点は、親権者指定調停でも同様です)。
 なお、離婚調停手続きの中で家庭裁判所調査官が関わるケースも多いですが、この調査官が調停手続きの中で本格的な親権調査を実施することは稀です。本格的な調査を実施しても、調停が話し合いの手続であるため、調査結果の拘束力がなく、折角調査をしても無駄になってしまうからです。

 結局は、最初に申し上げました通り、調停でも夫婦の話し合いがつかない場合には、親権者は決まらないということになるのです。
 次に、裁判だとどうかと言いますと、前述の通り、夫側が裁判の時点で「親権をあきらめる」と言ってきた場合には、本格的な調査等は行わずに、あなたを親権者とする方向で手続きは進んでいきます。
 逆に、夫側が親権を争う場合には、家庭訪問や関係機関調査、子の心情調査といった一通りの調査を実施することになります(これらの調査は、家庭裁判所調査官が実施することになります)。そのため、あなたの方でも家庭訪問等への対応をしていく必要が出てきます。

この点は、親権者指定審判でも同様です。

 

 

7.まとめ


・協議離婚の場合、離婚届を区・市役所に提出した時に親権者が決まる。
・調停離婚の場合、調停が成立した時に親権者が決まる。

・親権者指定調停の場合も、調停が成立した時に親権者が決まる。
・裁判離婚の場合、判決が言い渡されたときに親権者が決まるが、判決に至る前に和解が成立すると、その時に親権者が決まる。

・親権者指定審判の場合も、審判の結論が出た時に親権者が決まるが、審判の結論に至る前に話し合いが成立すると、その時に親権者が決まる。
・裁判離婚で判決が言い渡されても、夫が控訴すると、最終決着するまで親権者は決まらない。

・親権者指定審判の場合も、審判の結論が出た際に、夫が即時抗告すると、その即時抗告の結論が出るまで親権者は決まらない。
・協議離婚・調停離婚・親権者指定調停の場合、親権者は夫婦の話し合いで決まる。
・裁判離婚の場合でも、夫が親権をあきらめれば、本格的な調査をせずに親権者が決まることが多い。この点は、親権者指定審判の場合も同様である。
・裁判離婚の際、夫が親権を本格的に争う場合、家庭訪問・関係機関調査・子の心情調査といった本格的な調査を実施して親権者を決める。この点は、親権者指定審判の場合も同様である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(9)】モラハラ・親権の証拠が少ない場合の対処法

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.相手はモラハラ夫なのにその証拠が少ないというケースは案外多い


 被害女性の方からお話を聞いていますと、モラハラ被害があったことは明らかなのですが、肝心の証拠が少ないというケースは多くあります。

 特にモラハラですと、相手が頻繁に暴言を浴びせて来るというケースだと録音等をしておけばよいのですが、長期間無視してくるとか、こちらの行動を監視して来るというケース等ではそもそも証拠を入手すること自体が難しいということも多いです。

 

 また、相手からのLINEやメール等はあるものの、あまり決定打になる様なものがないというケースもあります。

 さらに、モラハラについての証拠が少ないというケースですと、同様に親権に関しての証拠もあまりないということも多いです。

 ただ、そんな場合にも簡単に離婚を諦めずに対処していく必要がありますし、離婚する場合には、あなたがしっかりと単独親権者になるために手続を進めていく必要があります。

 以下では、どのようにして離婚・親権に道筋をつけていくのかを解説していきます。

 

 

4.前提としてのしっかりとした準備


 前述のように証拠があまりないと言っても、少ないなりにどのような証拠がどの程度あるのかについては、しっかりと見極める必要があります。

 素人目に見て、「証拠があまりない」と思っていても、専門家の目から見ると有効活用できる証拠が存在するということもあります。

 また、婚姻期間が長い場合には、モラハラ被害の詳しい時期をよく思い出せないというケースも多いです。そのような場合に、LINEやメールやり取りを見ることで、被害を受けた時期を思い出すことができるということもあります。

 

 なお、証拠として日記やメモなどはあるという方もいますが、残念ながら手書きのメモ等はあまり有力な証拠にならないことが多いです。

 いずれにしましても、 できる限りどのような証拠があるのかを確認し、整理しておくことは必要です。

 また、モラハラ夫のお子さんへの不適切な対応という場合には、心理的虐待の証拠がないか?という観点で検討してしまうケースが多いのですが、親権を決定するにあたっては、同居中の監護実績が非常に重視される傾向があります。

 そのため、今一度保育園の連絡帳や育児日記等、あなたの同居中の監護実績を証明できる証拠がないのかといった検討が必要になります。

 このような準備をした上で、どのような対処方法があるのかについて以下で解説していきます。

 

 

5.【対応策1】別居期間を稼ぐ


 相手が自分のモラハラを認めればよいのですが、証拠がない場合には、そのことを認めないケースも多いです。

 そうなった場合、証拠がない事実ばかりを主張していても離婚の道筋を付けることは難しいです。

 

 このような場合の直接的な方法としては「別居期間を稼ぐ」ということが最も有効な手立てと言えます。

 モラハラ等の明確な離婚原因の証明ができない場合であっても、別居期間が長期間に及ぶ場合には、このような別居生活の方が夫婦としての同居生活よりも安定しているという考えになりますので、離婚が認められやすくなるのです。

 

 どの程度の別居期間が必要かという点は、これまでの同居生活でのやり取りによりますので、一義的なことは言いづらいのですが、3年、4年が一つの目安と言われています。

 

 また、このような別居生活の中で、あなたがお子さんと二人での生活を続けていくことは、「現状のお子さんとの生活が安定している」ことの証拠になり得ます(別居後の監護実績を積み上げていくなどと表現することもあります)。そのため、一定の別居期間を稼ぐことは、監護実績を積み上げて、真剣で優位に立つという側面もあります。

 

 

6.【対応策2】早めに婚姻費用の支払いを開始させる


 先ほど説明した「別居期間を稼ぐ」という方法は、いわゆる手堅い手段ではあるのですが、離婚成立までに時間がかかってしまうというのが大きな難点です。

 あなたとしては、もはやモラハラ夫と夫婦でいる必要がありませんので、早めに離婚したいと希望しているでしょうから、別居期間を稼ぐという方法は、このような希望には添っていません。

 

 そこで、次に考えられるのが婚姻費用を支払わせるという方法です。

 モラハラ夫は、自分の気に入らないことに対してはお金を払わないという態度の人間が多いため、「勝手に出ていった人間には生活費は渡さない」と言ってくる人は多いです。

 ただ、正式に離婚が成立する前であれば、あなたは婚姻費用(生活費)を請求する正当な権利がありますので、相手の「支払わない」という言い分が認められる可能性は極めて低いです。

 

 そのため、この権利を早めに行使し、早めに先方に婚姻費用の支払いを開始させることが重要です。

 なぜなら、相手に毎月生活費を支払わせていくと、相手としては納得が行かないお金を毎月支払わなければならなくなりますので、このこと自体がストレスに感じるでしょうし、実際上も毎月婚姻費用を支払うことで自身の収入が減っていきますので、「早く離婚してしまった方が負担が少なくなる」という発想に結びつきやすくなるからです。

 そのため、早めに婚姻費用の問題に着手すると言うことは重要ですので、相手が支払いを拒むようであれば、早めに調停を起こして、支払いを早めに開始させる手順を踏むことが多いです。

 なお、親権という観点からは、あまり婚姻費用に期待し過ぎると「自立していない」と思われてしまうのではないかと心配なさる方もいますが、婚姻費用は法律上認められた正当な権利ですので、婚姻費用をもらっていても、そのことが直ちに今後の親権に大きな影響を与えるわけではありません。

 

 

7.【対応策3】離婚裁判も辞さないという強い姿勢を示す。


 離婚の問題は協議が決裂した場合、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。

 離婚調停の中で、こちらは離婚したい、他方、相手は離婚したくないと言うことで意見が対立してしまいますと、離婚調停も決裂して終了してしまいます。

 

 ただ、調停も終盤に差し掛かりますと、調停委員から、今後どのようなことを考えているのかを質問されますので、こちらとしては、裁判も辞さないという強い覚悟を持っている旨を示していくことになります。

 そうすると、裁判になりますと長期戦になりますので、夫側が短気な場合には、長期紛争を嫌がって、調停で話をまとめようとしてくることも多いです。

 

 

8.モラハラ夫が離婚には応じる姿勢を示してきたが、少なくとも離婚後共同親権だと争ってきた場合の対応


 まず、モラハラ夫が相手の場合、離婚後共同親権にすると、お子さんの重要事項について円滑に決めることなど望めないので、基本的に共同親権に応じられないという方向で回答することになると思います。

 ただ、その場合であっても、①離婚も親権も離婚裁判の中で争うパターンと②離婚だけ分離して先に決着してしまうパターンの2パターンがあり得ると思います。

 改正民法の下では、親権者を決めなくても、以下の二つの条件を満たす限り、離婚届が受理される扱いになりました。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 

 そのため、モラハラ夫が「離婚だけなら構わない」というのであれば、離婚だけ先に決めて(夫婦で協力して離婚届けだけは提出してしまう)、親権の話だけ後回しにする(調停で話をする)という選択も可能になったのです。

 この場合の最大のデメリットは、離婚が成立してしまいますので、その後の婚姻費用がもらえなくなる(養育費分しかもらえなくなる)という点です。ただ、モラハラの証拠があまりなく、今すぐ離婚裁判を起こそうとしても難しいというような場合には、「離婚の問題だけでも先に解決して、心理的負担を軽くする」という選択もあり得るかと思います。

 

 

9.まとめ


・モラハラの証拠が少ない場合であっても戦い方はあるので、簡単に離婚を諦めてはいけない。

・まずは、少ないなりに手持ちの証拠を確認・整理する必要がある。

・別居期間を稼ぐと言うことが一番端的な対応策である(親権獲得という意味でも効果的ではある)。

・早めにモラハラ夫側に婚姻費用の支払いを開始させることが重要である。

・離婚調停の席では、裁判を辞さない旨のしっかりとした強い覚悟を示すことも重要である。

・モラハラ夫が離婚に応じる姿勢を示した場合、親権を後回しにして離婚に応じるかどうかを検討すべき場面もある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(8)】親権に関する証拠集めのポイント

2026.03.01更新

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.改正民法の下での親権の扱い


(1)離婚後に単独親権にするか共同親権にするかは選択制になった

 改正法においては、離婚の際に①共同親権にするか、又は②夫婦のどちらかの単独親権にするかは選択制になりました。

 よく誤解されがちなのが、「共同親権が原則の形」という誤解ですが、共同親権と単独親権どちらが原則でどちらが例外という定めは改正法にはありません。

 そのため、ご夫婦が真剣に話し合って、共同親権にする、もしくは、単独親権にするということを決めた上で離婚届を提出すると、その通りの効力が生じます。

 他方で、このような話し合いが上手くいかないような場合または、そもそも、まともな話ができないような場合には、弁護士が間に入ったり、家庭裁判所の調停や裁判で親権者について決めていくことになります。

 

(2)「必要的単独親権事由」として共同親権を選択できない事由が明記された

 もちろんご夫婦が任意に話し合いをして、真剣に協議した結果、共同親権という形で離婚届を提出する場合、必要的単独親権事由があるかどうかといった専門的な検討はしていないのが通常ですから、その場合にまで「必要的単独親権事由がある・ない」といったことを問題とする必要は基本的にありません。

 これに対して、家庭裁判所が親権について決めるにあたっては、改正法819条7項が定める必要的単独親権事由が存在する場合、共同親権を選択することができません(必ず、単独親権にしないといけない)。

必要的単独親権事由とされていますのは、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合(後述の児童虐待の虞がある場合が代表例)、②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合(夫婦の一方が相手に対して身体的暴力を振るう虞がある場合が代表例)になります。

 

 

4.証拠集めって?


(1)そもそも親権者指定で重要なポイントは?
 一般的に親権者指定については以下の8個の項目が重要視されると言われています。
1)監護実績
2)別居の違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)今後の監護計画

6)子供の意思
7)面会交流への姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合)

 

 ケースによって、上記の8項目の中でも優先度に差が生じますので、一概にどれが一番重要ということは言いにくいのですが、特に「1)監護実績」については、最重要項目とされることが多いです。
 親権紛争においても、上記の8個の視点をもって証拠集めを検討する必要があるのですが、どこが大きな争点になっているのかに応じて、特に重点を置くべき項目が異なってきます。この点は詳しく後述いたします。

 

(2)文章の表現で勝ったつもりにならない。
 調停や裁判など、親権紛争においては、自身の優位性を示す文章を作成していく場面が出てきます。
 もちろん、裁判所に提出する書類になりますので、しっかりとした文章を作成する必要があります。
 ただ、この文章がしっかりとした文章であれば勝訴できるというものではありません。

 裁判所から見ますと、先方側、当方側いずれも他人ですから、それぞれの言い分を鵜呑みにすることはありません。そうすると、裁判所がどちらの言い分が正しいと判断するのかというと、それは、どのような証拠で裏付けられているかによって決定するのです。
 そのため、私もご依頼者様に「裏付け勝負ですよ」などとお話しすることがあるのですが、それだけ裏付けが重要なのです。

 

(3)どんな裏付けが重要なのか?
 前述の通り、親権紛争では、これまでの監護実績が非常に重要になりますので、その裏付けが重要です。その他、親権者を決めるにあたっての重要項目に則して、それぞれ解説していきます。

 

ア)これまでの監護実績についての裏付け

 具体的にはお子様が通う保育園の連絡帳や母子手帳が客観的裏付けになることが多いです。特に保育園の連絡帳は、前日の夕食に食べたものや、家庭で起きたことなどをその時々で記載していることも多く、過去の監護実績を知る重要な手掛かりになることが多いです。また、任意に作成した育児日誌についても、一定期間毎日記帳していたという場合には、当時の育児の状況を示す重要な証拠になることがあります。なお、普段のお子様との生活ぶりを確認する観点から、お子様の写真やお子様との家族写真等を確認したいと言ってくる裁判官もおりまして、そのような場合には、その写真の内容も重要な証拠になります。

 

イ)調査官調査等で明らかになっていくもの

 前述した親権者指定に当たって重要な7個のポイントのうち、「現在の監護状況」及び「お子様の意思」、「監護計画」は、手続きの中で家庭裁判所調査官が確認していくことになりますので、特段こちらから証拠を提出する必要性はあまりありません。

 また、「面会交流への姿勢」についても、あなたの意見を述べればよいのですから、何か特段の証拠が必要になるわけではありません。

 

ウ)別居が違法と評価されてしまうか?

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、あなたが別居するにあたって、モラハラ夫とどのような話し合いをしたのか、その経過や内容も重視されることになりました。

 証拠という観点では、口頭での会話などですと証拠に残しにくいので、モラハラ夫との会話の重要な内容を、後からモラハラ夫宛にLINEで送るなど工夫しておくと、それが証拠になる場合もあります。

 

エ)お子さんへの児童虐待

 「児童虐待」に該当するかどうかについては、児童虐待防止法2条に「児童虐待」に該当する項目が列挙されていますので、参考になります。以下のような行為は児童虐待に該当します。

①身体的暴力

②性的虐待

③ネグレクト

④心理的虐待・面前DV

同居中にモラハラ夫が上記のどれかの虐待行為に及んでいた場合には、その証拠の有無・内容が非常に重要になります。

 なお、虐待については、よく日記をつけてある、都度メモを取っています、とおっしゃる方も多いのですが、その都度つけたメモ等はあまり有効な証拠にはならないことが多いです。残念ながら、メモは、過去のその日付で書いたことを証明することが難しいので証拠性が低くなりがちなのです。
 そのため、暴力などの場合には診断書やお子様の怪我の写真、暴言であれば録音音声等が非常に有効な証拠になります。

 

オ)夫婦の関係性等についての証拠

 改正民法の下では、モラハラ夫側が、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権という主張を展開してくることが強く予想されます。

そして、共同親権にする余地があるかどうかについては、「夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合」という必要的単独親権事由の有無が重要な問題になりますので、この点での証拠も重要になります。

 

 

5.反論証拠にとらわれ過ぎないこと


 親権紛争の際には通常モラハラ夫側の身勝手な言い分が並べられ、その証拠としてLINEやメールが添付されていることも多く、一つ一つに対して反論したくなることも多いです。
 もちろん、重要なポイントとなる証拠に対してはしっかりと反論していく必要があるのですが、反論にばかり目を奪われていますと、一番大事なこちらの監護実績の主張等が疎かになりがちです。
 そのため、前述のような、「過去の監護実績」「別居の違法性」「児童虐待の有無」という大きな視点を持ったうえで、裏付けの有無をまずはしっかりと検討すべきかと思います。そのようなときには、私の方から「木を見て森を見ず」にならないよう、細々とした点にばかり気を取られず、もっと大きな視点から反論準備をしていきましょうとお伝えすることも多いのですが、そのような視点での対応が肝要なことも多いです。

 

 

6.まとめ


・親権を決めるにあたっての重要な8項目があるので、証拠についても、その8項目を意識して準備する必要がある。

・特に重要なのは過去の監護実績なので、保育園の連絡帳等自身の監護実績につながる証拠が重要である。

・今後は、別居にあたっての話し合いの内容等も重要視されていくと見込まれるので、その証拠も準備しておくと良い。

・モラハラ夫が児童虐待に及んでいた場合には、その証拠も確保しておくと安心である。

・その場その場で作成したメモは、児童虐待等の証拠にしにくいことが多い。

・共同親権が争われるケースでは、夫婦の関係性等も焦点になる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(7)】親権者を決めるにあたっての重要な8個のポイント

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.改正民法の下での親権の扱い


(1)離婚後に単独親権にするか共同親権にするかは選択制になった

 改正法においては、離婚の際に①共同親権にするか、又は②夫婦のどちらかの単独親権にするかは選択制になりました。

 よく誤解されがちなのが、「共同親権が原則の形」という誤解ですが、共同親権と単独親権どちらが原則でどちらが例外という定めは改正法にはありません。

 そのため、ご夫婦が真剣に話し合って、共同親権にする、もしくは、単独親権にするということを決めた上で離婚届を提出すると、その通りの効力が生じます。

 他方で、このような話し合いが上手くいかないような場合または、そもそも、まともな話ができないような場合には、弁護士が間に入ったり、家庭裁判所の調停や裁判で親権者について決めていくことになります。

 

(2)「必要的単独親権事由」として共同親権を選択できない事由が明記された

 もちろんご夫婦が任意に話し合いをして、真剣に協議した結果、共同親権という形で離婚届を提出する場合、必要的単独親権事由があるかどうかといった専門的な検討はしていないのが通常ですから、その場合にまで「必要的単独親権事由がある・ない」といったことを問題とする必要は基本的にありません。

 これに対して、家庭裁判所が親権について決めるにあたっては、改正法819条7項が定める必要的単独親権事由が存在する場合、共同親権を選択することができません(必ず、単独親権にしないといけない)。

必要的単独親権事由とされていますのは、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合(後述の児童虐待の虞がある場合が代表例)、②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合(夫婦の一方が相手に対して身体的暴力を振るう虞がある場合が代表例)になります。

 

以下では、前述のようにご夫婦間で話がまとまらないことを前提として、親権者を決めるにあたっての重要なポイントについて解説していきます。

 

 

4.親権者を決めるにあたっての8個のポイント


 親権者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の8つの点に集約できると思います。
1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流の姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ)
 以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。

 

(1)現在の監護状況
 「現在の監護状況」とは、現時点で夫婦のどちらがお子様と一緒に生活し、育児を担っているのかという点です。例えば、奥様がお子様とともに別居を開始し、以後一緒に生活しているという場合には、「奥様が現在お子様を監護している」ということになります。
 親権者を定めるにあたっては、このような監護が別居以降現在まで相当の期間に及ぶ場合には、「今お子様を育てている親」の方を有利に扱うことが非常に多いです。これは「継続性の原則」と言われたりもしますが、これまで継続的に育児を担ってきた場合には、その親を親権者とする方が、お子様も混乱しないし安定した生活が送れるということです。

 親権者指定にあたって、特に重視される要素と言っても過言ではないと思います。
 なお、現在の監護状況については、あなたがお子様と一緒に生活していればなんでも良いというわけではなく、お子様が健全で安定した生活を送れているのかについては、家庭裁判所調査官が家庭訪問をして確認に来るということも多いです。
 調査官が家庭訪問した際には、室内の様子やお子様の暮らし向き、お子様の様子や調査官と接したときの反応等を確認していくことになります。

 

(2)(別居前の)監護実績
 (別居前の)監護実績というのは、お子様と同居中、どの程度お子様の身の回りの世話をしてきたのかということです。
ポイントとしましてはお子様の衣食住にどの程度関わってきたかという視点で考慮されることが多いです。

要するに、①「衣」とは、お子様の普段着るものや身につけるものを誰が購入し準備していたか(これには学校・保育園の制服や学校用品等の準備も含みますし、その時々の季節に合った衣服を着させているのかという部分も評価要素になります)、小さいお子様だと普段のお着替えやおむつ替えは誰が行っていたのか等のことを指し、②「食」は普段のお子様の食事の支度を誰がしていたのか、小さいお子様だと授乳やミルク上げを含むことになります。また、お子様に食べ物のアレルギーなどがある場合には、そのアレルギーの管理等を誰がしていたのかという点も評価要素になります。③「住」はお住まいの賃貸名義が誰かという話ではなく、お子さんが安心できる住環境を誰が整えていたのか、また、普段の躾や教育を誰が行っていたのかという問題です(別居前の住居はモラハラ夫の持ち家であったり、モラハラ夫の名義で借りているというパターンも多いと思いますが、そのような形式的な名義ではなく、適切な収納や整理整頓等を誰がしていたのか、特にお子さんが小さい場合には、床にラグマットを敷いたり、引き出しにチャイルドロックをかけるなどの対応を誰がしていたかといった点が重視されます)。
 過去の監護実績についてはご夫婦で主張が大きく対立することも多いので、保育園の連絡帳の記載内容等が重要な判断証拠になることも多いです(要するに保育園の連絡帳を夫婦のどちらが記入し、どのような記入がなされているか)。

 

(3)連れ去りの違法性
 離婚紛争が起きているときには、夫婦が別居状態にあることの方が多いかと思います。そうしますと、ご夫婦のどちらか一方がお子様と一緒に別居を開始しているということになりますが、この別居が「連れ去り」にあたるとして紛争になることもあります(但し、連れ去りかどうかといった問題は監護者指定事件で問題になることが多く、親権紛争ではあまり問題にならないこともあります)。
 「連れ去り」という主張は、奥様が旦那様に事前に伝えずに別居を始めたときに、旦那様側から主張されるケースが非常に多いのですが、親権紛争にあたって重要な争点になることもありますので、詳しく解説します。

 

1)【ポイント1】別居までの話し合いの経過や内容

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、今後は、あなたが別居するにあたって、モラハラ夫とどのような話し合いをしたのか、その経過や内容も重視されることになりました。ただ、当然ながら、相手はモラハラ夫ですので、必ずあなたが夫と直接話をしなければならないわけではなく、あなたのご両親を間に入れて話をした場合でも、話し合いとしてカウントされる余地はあります。

 

2)【ポイント2】別居態様
 お子様と一緒に別居することを余儀なくされたとしても、その態様によっては、お子様の心情をひどく害してしまうというケースもありますので、違法な連れ去りかどうかの重要なポイントの一つが、その「態様」ということになります。
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「別居のし方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

 

3)【ポイント3】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 あなたが別居を余儀なくされた側だとしても、そのことにお子様が納得しないケースもあると思いますし、ある程度の年頃にいったお子様ですと、明確に別居に反対したり、自宅に残るという意思表示をするケースもあると思います。
 このようなお子様の意思に反して別居を始める場合、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は就学年齢(小学校入学後)以上を一つの目安として確認することが多いと思います(お子様の意思確認については、離婚調停で親権が争われる場合には、就学年齢が一つの目安となることが多いですが、離婚訴訟の場合には、もっと年齢が上の子を想定していることが多い印象です)。

 

4)【ポイント4】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。
 前述の通り、お子様が就学年齢以上の年齢の場合には、一般的にお子様の意思や別居時の様子についてお子様から直接話を聞くことができますが、お子様の年齢がまだ小さい場合には、お子様の意思確認をすることはあまり期待できません。
 そのため、一般的には、普段お子様の面倒を見てきた奥様がお子様と一緒に別居を開始したという場合には、「違法な連れ去り」とは評価されないケースが多いのが実情です。他方、モラハラ夫が主夫としてお子さんの世話をメインで担当しているような場合には、「違法な連れ去り」のおそれがあると見られるケースが相対的に多いように感じます。

 

(4)過去の児童虐待の有無・程度
ア そもそも、「児童虐待」って何だ?

 「児童虐待」に該当するかどうかについては、児童虐待防止法2条に「児童虐待」に該当する項目が列挙されていますので、参考になります。以下のような行為は児童虐待に該当します。

①身体的暴力

厚生労働省のサイトなどでは「殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など」と具体例が書かれていますが、もちろん、身体的暴力に該当する行為は全て含みますので、これらの行動に限定されるわけではありません。

②性的虐待

厚生労働省のサイトなどでは「子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など」と具体例が書かれていますが、モラハラ夫がお子さんに性的に著しく不適切な言動を繰り返すといったものも性的虐待に該当すると思います。

③ネグレクト

厚生労働省のサイトなどでは「家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など」と具体例が書かれています。これらの行為はネグレクトとして、児童虐待に該当する可能性があります。

 なお、モラハラ夫は、あなたが普段から片付けが苦手だったとか、家中が散らかっていたと言ったことを主張して、ネグレクトだと言ってくるケースもありますが、多少散らかっていることがあったとしても、それだけでネグレクトになるケースはほとんどないかと思います。

④心理的虐待・面前DV
 厚生労働省のサイトなどでは「言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など」と具体例が書かれています。これらの行為も状況等によっては児童虐待に該当する可能性があります。

 

イ 「児童虐待」の共同親権上の取り扱い

 前述の通り、今後モラハラ夫がお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合には、裁判所は、共同親権を選択することはできず、必ずあなたの単独親権にしなければなりません(これを「必要的単独親権事由」と言ったりもします)。

 現状は「今後モラハラ夫がお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある」に該当するかの明確な基準は示されていませんので、今後の裁判実績が積み上がっていくことを待つしかありませんが、過去にモラハラ夫がお子さんに対して前述のような児童虐待をしていたという場合には、今後も児童虐待に及ぶ危険性があるものとして、必要的単独親権事由に該当する可能性が高いです。

 

(5)お子様の意思
 お子様が15歳以上の場合、裁判所はお子様の意向を確認しなければならない義務があり、そこでお子様の意向が重視されることになります。
 また、15歳になっていなくとも就学年齢以上の場合には(裁判の場合には、もう少し年齢が上なことが多い)通常はお子様の意向を確認し、その意向が親権獲得に影響することが多いです。

 なお、このようなお子さんの意思は、離婚裁判の手続きの中では、家庭裁判所調査官が直接お子さんに会って確認するというケースが多いです。

 

(6)今後の監護計画
 今後の監護計画というのは、要するに、今後どのようにお子様を育てていく予定なのかということです。これだけですとまだ抽象的でわかりにくいと思いますので、より具体化しますと、①今後のお住まいに変更があるのかどうか、②今後の生活状況に変化があるのかどうか、③今後のお子様の教育環境に変化があるのかどうか、④その他の変化があるのかどうかという点が検証されることになります。

 例えば、離婚に伴う財産分与で自宅を売却する場合には、引越しが必須になりますので、上記の①の点で、住む場所が変化していくわけですし、例えば、引越しに伴って、親せきの家で一緒に住むことになれば、上記の②の点で、一緒に住む人間に変化が生じているということになります。また、引越に伴って、小学校も転校が必要になるのであれば、転校先の学校にお子様が馴染むことができるのか、新しい学童でも問題なく過ごすことができるのかという点などが問題になっていきます。
 また、上記の④の点としては、例えば、あなた自身がパート勤務から正社員になるとか、転職するといった場合には、これまでとは生活スケジュールや経済力に変化が生じる場合があります。
 これらのことを踏まえ、今後も現在と同様にお子様を育てていけるのかという点が検討されることになるのです。

 

(7)面会交流への姿勢
 一般的に裁判所は面会交流に積極姿勢です。と言いますのは、面会交流を通じて、お子様は両親の愛情を感じることで安心や自信を得られる、自分のルーツを知ることで人間関係の多様化を図れるといった利点があるからです。
 そのため、しっかりとした理由もなく面会交流を全面的に拒否するとか、理由があいまいであったり裏付けが不十分な場合には、そのことが親権者指定にあたって不利に働くこともあります。
このような面会交流の消極姿勢が親権者獲得にどの程度の影響を及ぼすかを非常に気にされる奥様も多くいます。ただ、率直に言いますと、しっかりとした理由があって面会交流の拒絶姿勢を取ることは、お子様を守ることにもつながりますので、親権獲得にあたってあまり大きな影響を与えないことの方が多いかと思います。

 

(8)ご夫婦の関係性等

前述の通り、家庭裁判所が親権について決めるにあたっては、改正法819条7項が定める必要的単独親権事由が存在する場合、共同親権を選択することができません(必ず、単独親権にしないといけない)。

必要的単独親権事由とされていますのは、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合(後述の児童虐待の虞がある場合が代表例)、②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合(夫婦の一方が相手に対して身体的暴力を振るう虞がある場合が代表例)になります。

 そのため、この②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合に該当するかどうかの検討にあたって、ご夫婦の関係性等が問題となってきます。

 なお、この議論は、モラハラ夫が共同親権を主張してきた場合に初めて問題となる事項になります(モラハラ夫が自身の単独親権のみを主張している場合には、裁判所が上記①、②の点を検討する必要がないので)。ただ、今後、モラハラ夫は、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権と主張してくるパターンが増えていくことが予想されますので、その点で、第2希望の検討にあたって、夫婦の関係性も考慮されることになっていくことになると見込まれます。

 なお、改正法では「父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無…(協議離婚の話し合いの際に親権者について)協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難」な場合に必要的単独親権事由に該当するとされていますので、このような身体的暴力の有無や心理的暴言の有無、離婚協議の際に親権でもめた経緯等が考慮対象になります。

 

(9)その他
 上記の重要判断要素のほかに、ネットの記事等を見ておりますと、①母性優先の原則とか、②兄弟姉妹不分離の原則といった点を掲げている記事も見かけますので、以下ご説明いたします。

①母性優先の原則とは?
 母性優先の原則とは、特に乳幼児については、原則として母親が親権者になることが子供のためになるという考え方を言います。
 かなり以前の判例ですと、この母性優先の原則を大きな根拠にする裁判所等もありましたが、近年は、母性優先の原則は影を潜めている印象です。
  もちろん、お子様とお母様の関係性を無視するということではなく、その実態に応じて判断するという意味です。実際には、前述の現状の監護状況の確認にあたっては、家庭訪問時にお子様がお母様をどれほど慕っているのかといった関係性も確認することが多いです。「母親である」ということで紋切り型に決めてしまうのではなく、実際の母子関係を見極めて実態に則して判断されることになるのです。

②兄弟姉妹不分離の原則とは?
 兄弟姉妹不分離の原則とは、ご夫婦のお子様が二人以上いらっしゃるときに、その兄弟姉妹「全員」の親権者を夫か妻どちらかに委ねるべきで、例えば、長男の親権者を夫、次男の親権者を妻というように分離すべきではないという原則のことを言います。
 近年は、この兄弟姉妹不分離についても、お子様が複数いる場合には必ず一方に全てのお子様の親権を委ねるというように紋切り型で判断することはかなり少なくなっている印象です。これについても、兄弟姉妹の関係性等も考慮の上で、実態に則して判断されています。

 

 

5.まとめ


・改正民法では、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合と②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合には、離婚後共同親権にすることができないものとされている(必ず夫婦どちらかの単独親権にしないといけない)。

・親権者は以下の8個のポイントで決定することが多い。
1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流への姿勢

8)夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ)
・最近は、母性優先の原則や兄弟不分離の原則で紋切り型で親権を決めることはほとんどなくなっている。

 

 

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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(6)】親権について、今後モラハラ夫はどのような言い分を展開してきそうか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.大前提として、モラハラ夫が離婚に応じるかどうかも要注意


 モラハラ夫は、あなたと同居していた時には、あなたに対して「もう離婚だ」とか「出ていけ」などというくせに、あなたの方から離婚を切り出すと、「離婚したくない」とか「離婚の理由がない」などと言い始める人が非常に多いです。

 そのため、親権についての議論に入る前に、モラハラ夫が離婚そのものに反対してくることも多いので、その点は十分注意する必要があります。

 

 

4.今後モラハラ夫はどのような言い分を述べてきそうか?


 改正法において、離婚後も共同親権にすることが選択肢の一つになりましたので、そのことを受けてモラハラ夫側の主張にも変化が出てくると思います。

 今回は、特に「親権」に絞って、モラハラ夫がどのように言ってくることが予想されるのかについて解説します。

 以下では、①協議の段階、②調停の段階、③裁判の段階に分けて解説します。

 

 

5.協議の段階でのモラハラ夫の言い分


(1)夫が単独親権を主張してくることも想定される

 実際の育児の状況が、ほぼあなたが一手に担っているという状況でも、モラハラ夫は自分が担った育児については、「忙しく仕事をしている中でも時間を作った」と捉える傾向にあります。また、モラハラ夫は外では良い格好をしたがる人間が多く、さも自分が「育メン」であるかのように話していることも多いです。

 そのため、離婚協議をしている際にもモラハラ夫が「俺は子育てに関わってきた」と述べて、「子どもの親権は渡さない」とか「俺が単独親権者になる」と主張してくる展開が想定されます。

 

(2)離婚後共同親権の主張も増えると見込まれる

 前述のように、モラハラ夫が多少でも育児に関わってきたという場合には、自分の多読親権を主張してくる確率が上がりますが、ほとんど育児をしてこなかったという場合には、最初から共同親権を主張してくるケースも増えると思います。

 普段から仕事が忙しく、帰宅が遅いとか、海外出張等で家を空けることが多いというような場合には、物理的にお子さんと接する機会は少ないため、モラハラ夫も「自分の単独親権」ではなく「離婚後も共同親権」を主張してくる可能性が上がるのです。

 

(3)モラハラ夫の共同親権の主張には要注意

 改正法が施行されて間もない時期ですと、離婚後共同親権の制度を十分理解していない方も増えると思います。

 そのため、モラハラ夫は、あなたに対して、制度について誤った説明をして離婚後共同親権を実現しようとしてくる危険性があります。例えば「離婚するときには共同親権が原則の形になった」とか「本当は共同親権だと夫婦も一緒に生活しなければいけないんだが、俺はそこまで言うつもりはない。今だったら夫婦別々に暮らすことでも良いから、共同親権にサインだけはしてくれ」とか、誤った説明を繰り返して、共同親権にしてしまおうとしてくることが強く予想されます。

 モラハラの場合には、「早く離婚したい」とか「早く夫と別に暮らしたい」という気持ちが先行しやすいですが、安易に共同親権に応じてしまいますと、後から変更することは簡単ではありませんので注意が必要です。

 

 

5.調停の段階でのモラハラ夫の言い分


(1)調停の段階でのモラハラ夫の言い分

 家庭裁判所の調停になりますと、モラハラ夫も、離婚後共同親権の制度について間違ったことを言うことはできません(誤った解釈を述べてきたとしても、調停委員や裁判官から指摘されますので、その内容がそのままあなたに伝わることはほとんどないと思います)。

 ただ、実際に関わった育児の割合について虚偽の主張をすること自体は避けられませんので、モラハラ夫は、さも自分が育メンだったと主張してくることも予想されます(実際の調停でも、どのくらいモラハラ夫が育児に関わったのか(育児の分担割合)についても夫婦の言い分が食い違うことは非常に多いです)。

 そのため、モラハラ夫が、第1希望として自身の単独親権を主張し、第2希望として共同親権を主張してくる事態も増えていくことが見込まれます。

 特に夫婦のどちらを親権者にするのかという部分で争いが大きい場合には、モラハラ夫は「間を取って共同親権にすればよい」とか「俺は本当は自分が単独親権者になるべきだと思うが、共同親権ということでかなり譲歩している」といった言い分を述べてくることが予測されます。

 

(2)裁判になってしまうケースが増えるか?

 現状、私がモラハラ離婚の現場に携わっておりますと、今は、離婚のときには夫婦のどちらかを親権者にしなければなりませんので、「裁判になると勝てない」と考えて、調停の段階で、妻の単独親権に応じるというモラハラ夫もいます。

 しかし、今後は離婚後の共同親権という選択肢が増えましたので、モラハラ夫も「自分が単独親権者になることは難しいとしても、共同親権なら狙えるかもしれない」と考えて、調停の成立率が落ちることも懸念されます。

 

 

6.裁判の段階でのモラハラ夫の言い分


 調停の段階同様、モラハラ夫が、第1希望として自身の単独親権を主張し、第2希望として共同親権を主張してくるケースが増えてくるものと見込まれます。

 特にモラハラ夫は自信過剰気味の人が多い印象ですので、仮に、自身の単独親権が認められないとしても、せめて共同親権は認めてくれ、ということで大きく争ってくる可能性があります。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫は離婚そのものを争ってくることも多いので、その点にも注意が必要である。

・協議離婚の場合、モラハラ夫は誤った内容を伝えて共同親権にしようと計画してくる可能性もあるので、注意が必要である。

・調停離婚の場合、モラハラ夫が、第1希望として自身の単独親権を主張し、第2希望として共同親権を主張してくる事態が増えていくと見込まれる。

・そのため、モラハラ夫がせめて共同親権を獲得したいとして調停離婚が成立せず、離婚裁判を起こさざるを得ない事態も想定される。

・離婚裁判でも、モラハラ夫が、第1希望として自身の単独親権を主張し、第2希望として共同親権を主張してくる事態が増えていくと見込まれる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(5)】離婚のときに共同親権にしておいても、後から単独親権に変えれば良いだけなのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.モラハラ夫との離婚後共同親権には様々なリスクを伴う


 この点は別のブログで解説しましたが、モラハラ夫との離婚後共同親権には様々なリスクを伴います。

 特にモラハラ夫は、共同親権者という立場を利用して、あなたやお子さんの生活に過度に干渉してくるリスクもありますので、離婚後共同親権にすることは「かなりのリスクを伴うもの」だとお考えになった方が良いかと思います。

 

 

4.今後は「離婚を急いでいたから、やむを得ず共同親権に応じた」という言い分が通じにくくなる。


 改正法では、親権の協議を後回しにして、離婚だけを成立させるということが可能になりました(但し、以下の二つの条件をどちらも満たす必要があります)。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 

 このように、離婚を急いでいたとしても、離婚だけ先に決着して、親権の話し合いを後回しにすればよいため、「離婚を急いでいたから、やむを得ず共同親権に応じた」という言い分は以前よりも通りにくくなったと言えます。

 

 

5.夫に親権者変更届にサインさせればよいだけではないのか?


 親権者の変更といった場合、離婚届を提出した時と同じように「夫に親権者変更届にサインさせればそれで良い」と誤解されている方もいます。

 しかし、実際には、親権者を変更するためには、家庭裁判所の調停または審判が必須になります(民法819条6項)。一度取り決めた親権者を変更することになりますので、そのような親権者変更が本当にお子さんの福祉・利益にかなうかどうかを、裁判所がチェックする必要があるので、調停または審判が義務化されているのです。

 

 

6.親権者変更の難易度は?


(1)短期的な変更は難易度が高い

 一度あなたの方でも離婚後共同親権で構わないと合意してしまっていますので、それを短期間で変更することは簡単ではありません。

 確かに、改正民法819条8項では、親権者変更にあたっては、当初の親権合意の協議の経過を考慮するものとされていますが、問題なのは、そのような協議の経過で、モラハラ夫があなたに高圧的に話をしたり、あなたを騙すような発言をしたことを「証明しなければならない」という点です。

 特にモラハラ夫は、外面が非常に良いことが多く、親権者変更の調停などでも、自分に非がある内容を自発的に認めるケースは非常に稀です(むしろ、自分の正当性を大々的に主張してくることの方が多い)。

 そのようなことも考えますと、例えば、離婚した後数か月で「共同親権にしたことは間違っていた」といった主張をして親権者を変更することは簡単ではありません。

 

(2)その後の事情の変化が必要

 一旦、離婚の際に共同親権にすることにあなたも同意していますので、今回単独親権に変更するために、どのような事情の変化が生じているのかを積極的に主張していく必要があります。

 なお、あなたにとっても、既に離婚してしまっていますので、モラハラ夫と話をすることが単純に煩わしいとか、面倒だと感じる場面は増えて来るとは思います。ただ、モラハラ夫がお子さんの利益になるような話をしている場合、それが面倒だからという理由で、親権者を変更することはできません。

 お子さんの成長に伴って、お子さん自身がモラハラ夫からの干渉を強く嫌がるようになったとか、モラハラ夫が一方的にお子さんのことを決めて、あなたの意見を全く聞こうとしないような状況が長く続いたというような場合には、親権者を変更する余地はあるかもしれませんが、そうでもない限り、親権者を変更すべき事情の変化とまでは言えないケースも多いと思います。

 

 

7.モラハラ夫との共同親権は極力避けるべき


 以上のように、離婚の際に安易に共同親権に応じてしまいますと、それを後からあなたの単独親権に変更することは簡単ではありません。

 モラハラ夫は共同親権ということになると、あなたやお子さんの生活に対して様々な形で干渉してくることが想定されますので、①共同親権の形では離婚しないとしっかりと主張する、または、②(どうしても離婚を急ぐ事情があったとしても)親権については調停をして、離婚だけを決める(親権はその後の調停で決める)というようにした方が良いかと思います(なお、弁護士として②は極力お勧めしませんが、離婚のときに共同親権で合意するよりは「まだマシ」という趣旨になります)。

 

 

8.まとめ


・今後は「離婚を急いでいた」という理由は、共同親権に合意する理由として一層通じにくくなる。

・親権者を変更するためには家庭裁判所の調停または審判が必須である。

・一度親権者を決めてしまうと短期間で変更することは簡単ではない。

・一度親権者を決めてしまうと、その後の事情の変化がないと基本的に親権者の変更はできない。

・そのため、特にモラハラ夫と離婚する際には、共同親権は避けたほうが良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(4)】共同親権に応じて早めに解決した方が良いのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.今後、モラハラ夫側からの共同親権の提案が増えると予想される


 モラハラ夫は、自分の考えが絶対に正しいと考える人が多いので、通常は、親権の争いになった場合には、自分が単独親権者になると主張してくるパターンが非常に多いです。

 ただ、同居中、お子様の育児にほとんど関わってこなかったという場合には、離婚後に、モラハラ夫が単独親権を取得することは難しいケースが多いです。

 モラハラ夫は自分の関心がある事項については徹底的にリサーチしたり、弁護士の意見を確認することも多く、自分が不利に働くと分かった場合には、あなたに対して「本当は俺が単独親権者になりたいんだけれども、今離婚するなら共同親権で分かれることでも構わない」といった提案をしてくる可能性が十分にあります。

 

 ここで解決すれば、今後離婚調停や親権調停といった手間をかけずに済むので、このようなモラハラ夫の話に応じてしまって良いのでしょうか?

 結論としては、モラハラ夫の話に応じることにはデメリットが非常に多いので、応じない方が良いのですが、詳しくは以下の通り解説していきます。

 

 

4.【デメリット①】モラハラを受けている状況では冷静な判断ができない


 まず、夫側からモラハラを受け続けている場合には、残念ながら夫婦として対等な関係を築くことなど到底できず、モラハラ被害受けることが日常という生活実態のことが多いです。

 このような場合、モラハラ夫側の機嫌を損ねないように緊張しながら生活することに慣れてしまっていますので、冷静な判断ができないことが非常に多いです。

 特にモラハラ夫は自分に利益になることは、しつこく説得してくることが多いので、面倒になってしまって応じてしまいますと、後で大きく後悔することになりかねません。

 

 

5.【デメリット②】同居中と別居後とでは大きな差がある


共同親権と言いますと、離婚前の今も「共同親権」なのですから、「離婚した後、共同親権でも結局同じこと」だと誤解しがちです。

 しかし、今あなたはモラハラ夫と同居して生活していますが、離婚した後は、別居して生活することになります。

 共同親権でも、別居後お子様をあなたが育てていくという前提だと、お子様の日常生活に関する事項は、あなたの方で決めることが可能です。しかし、以下の事項については、夫側としっかりと話し合って決めるべきことになります。

⑴お子様の住む場所(要するに別居先)

⑵お子様の進学先の決定

⑶重大な医療行為

⑷財産の処分等

 同居中であっても、モラハラ夫がこだわっている事項については、なかなか話し合いが上手くいかなかったと思いますが、離婚して別居してしまいますと、余計に話し合いが難航する可能性が高いです。

 そのため、安易に共同親権に応じてしまいますと、話し合いが難航してお子様についての重要な事項がいつまでも決まらないという状況が生まれかねません。

 

 

6.【デメリット③】共同親権者として様々に干渉してくることが強く予想される


 前述の通り、離婚後に共同親権にした場合でも、お子様の日常に関する事項はあなた自身で決めることが可能です

 しかし、そんなこともお構いなしに、元夫側は、共同親権者だということで、様々な事項に様々な形で干渉してくることが予想されます。

 特に懸念されますのが、お子様の習い事や通塾、普段の些細な医療行為等です。例えば、①あなたの意向に関係なく、元夫が「うちの子は小学校の間はサッカーを習わせる」と言い張って、勝手にサッカーチームに入れてしまったり、「音楽を習わせた方が良い」などと言って勝手にピアノ教室に申し込んでしまうといったことが考えられます。また、②今の子は中学受験するものだと言い張って、お子さんの意向を無視して中学受験の塾に申し込んでしまったり、③普段の些細な風邪などについても、「すぐに小児科に連れていけ」と命令してくることも想定されます。

 

 以上にとどまらず、神経質なタイプのモラハラ夫の場合には、①今日は何を食べさせたんだ、とか、②今日は何時に寝かせるんだ、③洗濯は毎日しているのか、といったことまで口を挟んでくる可能性すらあります。特に別居していて元夫側が普段のお子様の様子が分からないため、このような質問や指示が増える可能性もあります。

 モラハラ夫は、あらゆる場面でこちらを支配しようとしてくることが多いので、別居後は、上記のような形で干渉・指示してくることが強く懸念されます。

 そのため、「離婚しても、子供のことに関して頻繁に連絡が来る」という状況に陥りかねませんので、離婚後共同親権にすることはリスクが高いと思います。

 

 

7.【デメリット④】単独親権への変更は難易度が高い


 一度離婚の際に共同親権と取り決めても、後からあなたの単独親権に変更することも可能には可能です。

 ただ、まず、親権者を変更するにあたっては、調停または審判が必須になりますので、家庭裁判所の手を借りないと変更そのものができません(当事者間の話し合いのみで親権者を変更することはできません)。

 また、親権者を変更するにあたっては、①当初共同親権にする話し合いの経過に不適切な合意形成がないかどうか、②離婚後どのような状況変化があったのかを慎重に見極めていくことになりますので、簡単に親権者の変更が認められるわけではありません。

 

 上記の①不適切な合意形成というのは、あなたがモラハラ夫のことが怖くて逆らえなかったということを指しますが、問題は、そのことをあなた自身が証明しなければならないということです。モラハラ夫はあなたとよく話し合って決めたと言い張る可能性が高いので、それを覆す証拠を提出することは簡単ではないことが多いと思います。

 上記の②については、一定期間状況変化を見極める必要がありますので、離婚後すぐに単独親権への変更を申し立てても、認められる可能性は低いです。

 

 

8.【デメリット⑤】面会交流への悪影響


 離婚の際に共同親権と取り決めた場合、一般的には、夫側とお子様との関係性はさほど悪くないという考え方になろうかと思います(父子関係に問題がある場合、あなたの単独親権にするであろうから、そうなっていない以上、父子関係に大きな問題がないと推測されてしまうという意味です)。

 そのため、あなたが面会交流の頻度や時間を制限しようとしても、裁判所側でなかなか受け入れてもらえないという事態が生じ得ます。

 当然ながら、モラハラ夫はあなたの意向などは関係なく、無理な要求を突き付けてくるのでしょうから、面会交流の話し合いについても、非常に難航することが予想されますし、共同親権にすることでこちらに不利に働く面が否定できません。

 

 

9.まとめ


・モラハラ夫と一緒の生活では冷静な判断ができないので、安易に離婚後共同親権に応じるべきではない。

・離婚後共同親権に応じると、お子様の重要な事項の決定がいつまでもできないという事態に陥りかねない。

・モラハラ夫側は共同親権者だということで様々に干渉してくる危険性がある。

・一度共同親権に応じてしまうと、後から単独親権に変更することは難易度が高い。

・元夫は共同親権者として面会交流を要求してくるので、それを制限することに一定の限界がある。

 

 

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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(3)】親権の問題を後回しにして早期に離婚すべきか?

2026.03.01更新

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神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.改正民法では親権者を決めずに離婚できるようになった


 これまでは、お子様の親権者を夫婦のどちらにするかを決めて、それを離婚届に記入しない限り、離婚届が受理されませんでした。

 しかし、改正民法の下では、親権者を決めなくても、以下の二つの条件を満たす限り、離婚届が受理される扱いになりました。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 

 それでは、モラハラ夫との離婚を考えた場合、親権を決めずに早めに離婚してしまった方が良いのでしょうか。以下で詳しく解説してきます。

 

 

4.親権者を決めずに早期に離婚してしまった方が良いのか?


 親権者を決めずに早期に離婚することのメリットとデメリットについては、以下のようなものが考えられます。

 

(1)メリット

①離婚という区切りができて気持ちの整理が付く

②旧姓に戻した生活をいち早く開始できる

③世間・周りの人に対して説明がしやすい

④子供達にも説明しやすい

⑤シングルマザーの公的支援を受けられる

⑥再婚に向けた活動が可能になる

⑦モラハラ夫が翻意する危険性を避けられる

 

(2)デメリット

①婚姻費用を得られなくなる

②(まだ別居を始めていない場合)別居の動きがしづらくなる

③モラハラ夫側の(費用支払い等の)モチベーションが下がりやすい

④モラハラ夫側に見返りを求められて話が複雑化する危険性がある

⑤親権についての紛争を調停にすることが必須になってしまう

⑥離婚そのものを激しく争って来られると、この手段は取れない

⑦最終決着までの期間はさほど変わらないというケースも十分考えられる

⑧年金分割で不利になる

 

以下で詳しく解説していきます。

 

 

5.【早期離婚のメリット①】気持ちの整理が付く


 私がモラハラ被害者の方からよく出るお話ですが、離婚の話がなかなか進まないことに非常にもどかしくお感じになる方は数多くいます。

 離婚の件については、モラハラ夫は、夫婦の仲は良かったとか、離婚しなければならないほど悪いことはしていないという言い分が出されることが非常に多く、離婚協議が全く進捗しないというケースも非常に多いです。

 親権の問題も絡んでくると一層交渉等に時間がかかってしまうことが多いので、民法改正で離婚だけでも先に決めることができれば「気持ちの整理が付く」とおっしゃるモラハラ被害者の方は多いと思います。

 

 

6.【早期離婚のメリット②】いち早く旧姓での生活をスタートできる


 最近は正式に離婚が成立する前でも、事情を話すと職場での旧姓使用を認めてくれることが多くなっています。

 ただ、離婚が正式に成立していませんので、あくまで「通称名」として旧姓を使うことを許可されているに過ぎず、正式なお名前として旧姓を使うことができるわけではありません。

 早期に離婚すれば、正式なお名前として旧姓に戻すことができますので、そのことは大きなメリットの一つと言えます。

 なお、お子様の氏ですが、親権について調停中という場合には、お子様の氏を今すぐにあなたの旧姓と同じにすることは難しいケースが多いのではないかと見込まれます(この点は、今後の実務の集積に委ねられていくことになるとは思いますが)。

 このようにお子様の氏を今のままにしなければならなくなると、あなたの氏とお子様の氏が分かれてしまい、母子の一体感が損なわれるという考え方もあるかもしれません。

 

 

7.【早期離婚のメリット③・④】世間やお子様への説明のしやすさ


 正式に離婚が成立していませんと隣近所などにも、「別居はしているけれども正式には離婚していない」という説明しかできませんでした。

 しかし、早期に離婚できますと、堂々と夫婦間では離婚が成立している旨を説明できるようになります。

 また、今の別居の中途半端な状況だと、お子様達への説明をしづらいとおっしゃる方も相当数います。正式に離婚すれば、お子様達にも「ママとパパは離婚したから、一緒に住んでいないんだよ」という説明しやすいとおっしゃる方も相当数います。

 

 

8.【早期離婚のメリット⑤】シングルマザーの公的支援を受けられる


 実際の公的支援の内容は、あなたがお住まいの地域によって内容・金額等が異なりますので、詳しくは役所で確認して欲しいのですが、少なくとも正式に離婚が成立していますので、シングルマザーとしていくつかの行政支援を受けられるようになると思います(まだ実務の対応が固まりきっていないため、役所によっては、親権者が正式に決まっていない段階では、シングルマザーの公的支援を出来ないと主張してくるところもあるかもしれません。そのあたりは役所の窓口で教えてくれますので、事前に正確な情報を得るようにして下さい)。

 

 

9.【早期離婚のメリット⑥】再婚活動が可能になる


 モラハラ被害を受け続けてきた方は、離婚しても「すぐに再婚活動する気になれない」という方が非常に多い印象です。

 ただ、ときにモラハラ夫との間でお子さんに恵まれたが、二人目のお子さんはモラハラ夫との間でもうけたくないという場合などでは、早めに再婚して、二人目のお子さんを授かりたいといった希望をなさる方もいます。その場合には、早めに離婚したいという方もいらっしゃいます。

 

 

10.【早期離婚のメリット⑦】モラハラ夫の翻意を避けられる


 モラハラ夫はその時々で言うことがコロコロ変わるということも多くあります。

 そのため、今モラハラ夫が離婚したがっているのでしたら、時機を逃さずに離婚した方が良いと感じるケースもあるかもしれません。

 ただ、このようにモラハラ夫自身があなたとの婚姻関係に強い未練がない場合、仮に今後「やっぱり離婚したくない」とモラハラ夫が言い始めたとしても、「それならこちらは離婚裁判を起こすだけです」と伝えれば、裁判はしたくないということで再び離婚に応じると言ってくる可能性はあります(そのため、今離婚に応じるメリットはあまり大きくないかもしれません)。

 

 

11.【早期離婚のデメリット①】婚姻費用を得られなくなる


 仮にあなたがモラハラ夫と別居していても、正式に離婚する前までは婚姻費用を請求することが可能です。

 よく婚姻費用と養育費を混同なさっている方もいますが、婚姻費用はあなたとお子様達の生活費をモラハラ夫に要求することで、逆に、養育費は、お子様達の生活費だけを要求することです。このようにあなた自身の生活費を含むかどうかで差があります。

 離婚してしまいますと、法律上、夫婦は他人同士ということになりますので、以後は、お子様達の生活費のみ(養育費)のみしか請求できなくなってしまいます。そして、婚姻費用の金額は養育費の金額よりも高額ですから、請求できる月々の金額が下がるということは、それなりの経済的ダメージと言えます。

 

 

12.【早期離婚のデメリット②】別居の動きがしにくい


 モラハラ夫との間で親権者について争いになっている状態ですと、あなたが別居しようとしても、モラハラ夫は「お前一人で出ていくのは構わないが、子供は置いていけ」などと言ってくることも多く、別居して新しい生活をスタートさせることが難しくなるという場面も想定されます。

 離婚が成立しても、その後の親権について調停中ということになりますと、調停手続きが進んでいる最中にモラハラ夫の強い反対を押し切ってお子さんと別居してしまうと、非難を受けるリスクが否定できないからです。

 

 

13.【早期離婚のデメリット③】モラハラ夫側のモチベーションが下がりやすい


 前述の婚姻費用のお話と多少関連するのですが、離婚に反対するモラハラ夫は、一定額の婚姻費用は支払ってくることもあります(残念ながら、断固支払いを拒否してくるモラハラ夫もいますが)。これは、婚姻費用を払わないと離婚で自分が不利になるという心理が働いていることが多いです(モラハラ夫が「離婚したくない」という場合、生活費を渡さずに妻側を苦しめることは矛盾する行動になるからです)

 しかし、早期に離婚してしまいますと、モラハラ夫からすると、法律上夫婦は他人同士なので、「他人にやる金はない」と言ってくるモラハラ夫はかなり増えそうです(要するに月々の生活費を出し渋るということです)。

 

 

14.【早期離婚のデメリット④】見返りを求められて話が複雑化するリスクがある


 モラハラ夫が一旦離婚に応じたものの、後から「本当は離婚したくなかった」とか「妻の言う通りに離婚してやったんだから、親権を争う」などと見返りのような話が出てくるリスクがあります。

 特にモラハラ夫は自分に都合が悪い展開になると、自分が優位に立てるような話を蒸し返してくる人間が多いので、話が複雑化するリスクがあります。

 

 

15.【早期離婚のデメリット⑤】親権の調停が避けられない


 前述の通り、親権を決めずに離婚届を提出する場合には、親権についての調停を起こしていることが絶対条件になります。その意味で、親権についても協議(裁判所の外での話し合い)で決めるということができません。

 たまに、夫婦の紛争や親子の紛争を調停に持ち込みたくないという希望を述べられる方もいますが、その場合には、離婚も親権もセットで協議を行うという手段しかとり得ないことになります。

 

 

16.【早期離婚のデメリット⑥】離婚について激しい争いがある場合


 モラハラ夫は同居しているときには「もう別居だ」とか「こんなことなら離婚だ」ということを口にするのですが、あなたの方から離婚を切り出すと、「別れたくない」と言ってくることが非常に多いです。

 前述の通り、親権について決めずに離婚するという制度は、話し合いで離婚することを前提としていますので、離婚するかどうかについて夫婦の意見対立が激しい場合には、この制度を利用することができません。

 

 

17.【早期離婚のデメリット⑦】最終解決までの期間はそれほど変わらないということも想定される


 離婚について先行して決めることができれば、そのことで他の離婚条件についての話し合い等に弾みがつきそうな印象はあります。

 ただ、モラハラ夫は自身の考えが絶対に正しいという人物が多いので、親権や面会交流・養育費、財産分与等、離婚に付随して決めなければならない項目一つ一つで激しい争いに発展するリスクがかなりあります。

 そのため、離婚は早く決まったけれども、「全て解決するまでにはかなり期間がかかってしまった」というケースもかなり多くなる気がします。

 

 

18.【早期離婚のデメリット⑧】年金分割で不利になる


 年金分割というのは、夫婦それぞれが婚姻中に支払ってきた年金保険料の内、厚生年金部分等の保険料支払い記録を互いに折半するという制度です。

 早期に離婚しますと当然折半する対象期間が短くなりますので、全てセットで離婚する場合と比較して不利になります。

 

 

19.結局どうするのが良いか?


 早期に離婚してしまいますと、婚姻費用を受け取れなくなるという点が、経済的に大きなデメリットになると思います。特に同居中専業主婦だったとか、パート勤務であまり収入がないという方にとっては、養育費分しか生活費がもらえなくなってしまうデメリットは大きいと思います。

 また、先に離婚が成立したとしても、親権が争われるケースですと、モラハラ夫は「お前一人で出ていくのは構わないが、子供は置いていけ」などと言ってくることも多く、別居して新しい生活をスタートさせることが難しいという場面も想定されます。

 そのため、制度としては親権を決めずに離婚するというシステムはあるのですが、実際には、これまでと同様「セットで離婚する」という進め方を取ることが多いのではないかと思います。

 

 

20.まとめ


・民法の改正で、親権について調停を起こすことで、離婚届だけを先行して提出するということが可能になった。

・この制度を利用するメリットとしては以下のようなものがある。

①離婚という区切りができて気持ちの整理が付く

②旧姓に戻した生活をいち早く開始できる

③世間に対して説明がしやすい

④子供達にも説明しやすい

⑤シングルマザーの公的支援を受けられる

⑥再婚に向けた活動が可能になる

⑦モラハラ夫が翻意するリスクを避けられる

・逆にデメリットとしては以下のようなものがある。

  • 婚姻費用を得られなくなる
  • 別居をスタートさせづらい
  • モラハラ夫側の(費用支払い等の)モチベーションが下がりやすい
  • モラハラ夫が見返りを求められて話が複雑化するリスクがある
  • 親権についての紛争を調停にすることが必須になってしまう
  • 離婚そのものを激しく争って来られるとこの手段は取れない
  • 最終決着までの期間はさほど変わらないというケースも十分考えられる
  • 年金分割で不利になる

・最終的には今まで通りセットで離婚するという進め方を取ることが多くなると思う。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(2)】結局「離婚後も共同親権」ってどういう意味なのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.一緒に住んでいるときの「共同親権」はイメージしやすいけれども…


 夫婦仲が良く一緒に住んでいるときの「共同親権」というのは、夫婦がともにお子さんに対して権利を持つとともに責任を負うという意味で、イメージがつきやすいと思います。

 しかし、離婚してしまった後も共同親権と言われても、そのイメージがつきにくいという方も多いのではないでしょうか。

 そのような方に向けて、離婚した後も「共同親権」になるというのが、どういう意味合いなのかについて解説していきます。

 

 

4.改正法でも「共同親権が原則」というわけではない。


 離婚後の共同親権を認める民法改正の報道などを見て、離婚後も「原則的に共同親権になってしまう」と誤解なさっている方もいますが、そうではありません。

 今回の民法改正では、以前のように離婚後単独親権だけしか選択できなかったものを、「共同親権も選択可能にする」というものでして、離婚した後「単独親権」と「共同親権」どちらにするかはご夫婦の選択に委ねられています(どちらが原則という関係性はありません)。モラハラ夫は自分に有利になるように「離婚した後も共同親権にしなければならなくなった」とか「基本は共同親権だ」などと言い放ってくる可能性がありますが、そのようなことはありません。この点は十分ご留意下さい。

 

 

5.共同親権を選ぶと夫婦一緒に生活しないといけないのか?


 「共同親権」というと夫婦で一緒にお子さんのことを決めなくてはならず、離婚後も夫婦で共同生活を営まなければいけないようなイメージを持ってしまいそうですが、そうではありません。

離婚する場合、通常、ご夫婦の関係性が悪く、夫婦としてやっていくことが難しいから離婚するのでしょうから、その後も同居しなければならないというのは大きな矛盾となります。改正法も、離婚後はご夫婦が別々に暮らすことを前提に、共同親権を位置付けています。

 なお、離婚した後も「共同親権」を選ぶと、お子さんをご夫婦の間で行ったり来たりさせないといけないと誤解なさっている方もいますが(例えば、月曜から木曜は妻側、金曜から日曜は夫側でお子さんの面倒を見るといった形)、それも間違いです。詳しくは後述しますが、「共同親権」は、夫婦が同等にお子さんに関わるということを意味するわけでもありません。

 この点も、モラハラ夫は、「共同親権」の間違った解釈で、あなたに行動を求めてくる危険性がありますが、間違っているものは間違っているとしっかりと指摘することが大事です。

 

 

6.結局、共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

前述の通り、仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

7.モラハラ夫との「共同親権」を選択することはかなり慎重に検討した方が良い


 詳しくは別のブログで解説しますが、改正民法が施行された後、モラハラ夫は同居中ほとんどお子さんの世話などしてこなかったにもかかわらず、いざ離婚になると「共同親権が良い」と主張してくることが予想されます。

 しかし、一度モラハラ夫との共同親権になってしまいますと、モラハラ夫は様々な場面であなたの生活に干渉してくるリスクがありますので、極力あなたの単独親権にする方が望ましいと思います。

 

 

8.まとめ


・改正法は、離婚した後も共同親権・単独親権どちらも選べるという制度であって、共同親権が原則系ではない。

・離婚した後共同親権だからと言って夫婦一緒に住まなければいけないわけではない。

・同様に離婚した後共同親権にしたとしても、お子さんを夫婦の家に半々行き来させないといけないというわけでもない。

・結局、離婚後共同親権というのは、以下のようなお子さんにとって重要な事項を夫婦一緒に話し合って決めるという制度である。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

・前述のように夫婦一緒に決めなければならない事項でも、緊急時には例外扱いが認められている。

・モラハラ夫と離婚する場合には、あなたの単独親権を選択した方が望ましいことが多いと思われる。

 

 

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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(1)】改正民法で離婚のハードルは何か変わったのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚のハードルには何か影響があるのか?


 モラハラ離婚したいと希望するあなたにとっては、改正民法施行によって、離婚のハードルが下がるのかどうかが非常に気になるところだと思います。

 結論から言いますと、今回の改正で、離婚理由についての法律の定めには何も変更が加えられませんでした。

 そのため、離婚のハードルについては、「今までと変化がない」というのが結論になります(親権や面会交流といったお子様に関わる話題については、大きな変化があったのですが、「離婚しやすさ」に限って言うと、変化がないという意味です)。

 

 このように改正民法施行でモラハラ離婚のハードルには変わりがないのですが、折角ですので、モラハラが離婚理由になるのかどうかについて、(以前から考えに変わりはないのですが)改めて解説いたします。

 

 

3.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 これだけではなかなかピンと来ないと思いますので、ある程度類型化して整理しますと、以下のようにまとめられると思います。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

 

夫婦で生活していると一度や二度は、夫側からこのような発言や行動が出たことがあるかもしれませんが、これらのことが「継続している」ということが重要な要素になります。

 

 

4.モラハラは離婚理由になるか?


 「離婚理由」という場合、大きく分けて二つの意味があります。一つめは、相手に離婚を切り出す理由になるかという意味、二つめは、裁判で勝てるだけの理由になるかという意味です。

 

 まず、一つめの離婚理由という意味で言いますと、モラハラは立派な離婚理由になります。ただし、実際に相手に離婚を切り出すとなると、具体的にどのようなモラハラ被害を受けてきたのか、という点をしっかりと整理して旦那側に話す必要が出てくると思います。また、親権に離婚したいと考えている場合には、こちらが本気だということが相手にも伝わるように話をする必要があります。

 

 次に、「裁判で勝訴できるだけの理由」という意味での離婚理由になるかというと再度詳しく検討していく必要があります。

 と言いますのは、裁判で認められる離婚理由は法律で厳しく限定されているため、モラハラの内容や程度によっては、「裁判で勝てるだけの理由とは言えない」と言われてしまうリスクがあるからです。離婚裁判ですと、裁判所が強制的に離婚を命じることができるのですが、本来離婚するかどうかは当人同士の意思に委ねるべき話ですから、「裁判で勝てるだけの離婚理由」というのは法律で制限されているのです。

 

 

5.別に裁判をしたいわけではないんだけれど…


 モラハラ夫の特徴としては、こちらから離婚を突きつけると、これに反発してくるケースが非常に多いです。モラハラ夫はあなたのことを下に見ているケースが多いため、「生意気だ」といった感情を持つのです。または、全く逆に、こちらが別居を開始した時などは、旦那側が謝ってくるということもあります。自分に不利にならないようにという心理が働いて、体裁を整えてくるのです。

 実際上、私の経験ではモラハラ離婚のケースで裁判にまで行かずに調停または協議で解決することの方が多いです。

 

 しかし、少数ですが相手の反発が大きく裁判を避けられないと言うこともありますので、事前に裁判になることを考えながら準備を進めていく必要があるのです。「備えあれば憂いなし」ということです。

 

 

6.モラハラが「裁判で勝てるだけの離婚理由」と言えるために


 このように離婚裁判もある程度意識して準備を進めていくという場合、まず最も重要になりますのは裁判で戦えるだけの証拠があるのかどうかということになります。夫が自身のモラハラ発言やモラハラ行動をすんなり認めてくれればいいのですが、実際には「そんなことは言っていない」とか「そんなことはしていない」といった反論が返ってくることが多いです。

 夫婦の言い分が食い違っている場合、裁判官は何が真実か分からなくなってしまうので、証拠が必要になるのです。具体的にどのようなものが証拠になるのか概要を解説します。

 

 まず第1に、モラハラの言動について録音データがあると非常に心強いです。録音だと夫のモラハラ発言を正確に記録できますし、当時の臨場感をそのまま再生できるからです。

 そして、このような録音データは数が多ければ多いほどよいです。裁判でその全てを証拠にするわけではありませんが、数が多ければ、その分攻め手が増えるとイメージして下さい。

 

 第2に、相手がラインやメールでモラハラ発言に及んだという場合には、そのラインやメールも証拠になります。

 

 第3に、あなたがモラハラ被害を受けている最中に身内や友人に相談していたという場合、身内や友人に対して送ったラインやメールも証拠になり得ます。なお、その内容はある程度詳しい被害内容が書かれていないと裁判の証拠としては不十分になる可能性がありますのと、表現に誇張がないかという点に注意が必要になります。

 

 第4に、あなたがブログその他のSNSに旦那のモラハラ発言等をアップしてきたという場合、その内容によっては証拠になり得ます。

 このような証拠の整理は最初に行う必要があります。

 私が担当した事件について申し上げますと、暴言については全くといって良いほど証拠がないというケースもあります。ただ、その場合でも、離婚に向けての対処方法はありますので、諦めずに、ご相談にいらして下さい。

 

 

7.モラハラ内容の整理


 上記のようなモラハラの証拠の有無の整理がつきましたら、次に、あなたが受けたモラハラ被害の内容を整理していく必要があります。

モラハラの証拠がある場合でも、あなたが受けた被害の全てに関して証拠があるというケースは稀なので、あなたの体験そのものを書き出していくのです。

 

 私のところにご相談に来られる方のうち90%以上の方は、「夫のモラハラがひどいんです。だから離婚したいんです」とおっしゃるのですが、上記の通り「モラハラ」には色々な態様がありますので、あなたのケースでは具体的にどのようなモラハラがあったのかをきちんと整理しておく必要があります。

 

 まずは、前述したモラハラの項目にいくつ該当するのかを検討してみて下さい。

 

 次に、そのモラハラの具体的な内容を思い出してみて下さい。要するにモラハラ夫の詳しいセリフや行動を思い出す作業になります。

 

 最後に、そのモラハラがどの程度の頻度あったのか、いつ頃まであったのかを検討して下さい。

 

 あなたにとって思い出したくない事情を思い出す作業になりますので、非常に苦しく気の重い作業になると思いますが、離婚に向けて必要な作業だと考えて頑張ってみて下さい。1人で悶々と考えていると気が滅入ると言うことも多いと思いますので、身内の方と話ながら思い出していくとか、弁護士との打合せで整理するという方法もありますので検討してみて下さい。

 

 

8.モラハラは「白か黒か」ではない


 私が相談に乗っておりますと、「私のケースはモラハラですか?」という質問を受けることが非常に多いです。ご質問の趣旨としては、白か黒(完全悪)かをしっかりと見極めて欲しいというものです。
 しかし、残念なことに日本の法律はモラハラについての法整備が出来ておらず、法律で「モラハラ」とか「モラルハラスメント」という用語は出てきません。
 そのため、法律の線引きがない状態のため、「黒(完全悪)」とは言いづらいというのが実情です。

 もちろん、法律の線引きがなければ何でも許されるというわけではありませんし、モラハラの深刻さについて、私の方からは「モラハラは基本的に白か黒かではなく、グレーという位置づけになります」「モラハラの深刻さに応じてグレーの中にもグラデーションがあって、深刻なモラハラは黒に近付いていきますし、軽度のモラハラは白に近付いていきます」とご説明することが多いのです。
 このようなことも「モラハラ」の理解の参考にして頂ければと思います。

 

 

9.まとめ


・改正民法施行で、モラハラ離婚の離婚しやすさには何も変化はない。

・モラハラの詳しい意味については理解不足の方も多いので、まずはモラハラのきちんとした意味を理解する。

・モラハラは離婚を切り出すに当たっては十分な理由になる。

・離婚の話がもめそうだという場合、モラハラの証拠をきちんと準備しておいた方が良い。

・モラハラの証拠と一緒に、あなたのモラハラ体験も整理しておく必要がある。

 

 

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