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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(11)】親権に関して、今後モラハラ夫とどのように戦っていくことになるのか?

2026.03.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 以下では、①離婚協議の段階、②家庭裁判所の調停の段階、③家庭裁判所の裁判の段階に場合分けして、それぞれの親権についての戦い方、戦略等について解説していきます。

 

 

3.離婚協議の段階


(1)まずは、「離婚しない」と言い始めるモラハラ夫が非常に多い

 まず、私がモラハラ夫と話をしていて切実に感じるのですが、モラハラ夫はすんなりと離婚に応じないケースが非常に多いです。

 私が話しをしようとしても「妻と直接話をしたい」とか「急に弁護士が出てこられたけれど、これまで妻とは別居や離婚について十分話ができていない」という反応が多く、「親権以前に」離婚の話が進まないというケースが多いのです。

 同居中は、モラハラ夫の方から「離婚してくれ」とか「出て行ってくれ」といっていたのに、いざあなたが別居を始めると、離婚したくないと態度を変えてくるモラハラ夫が多いのです。

 モラハラ夫が離婚したくないという意思が固い場合には、交渉を長く続ける必要性も乏しいので、早めに離婚調停を申し立てるというケースが多いです。

 

(2)仮に離婚に応じても、親権で争いになることが懸念される

ア 離婚に応じたんだから…

 仮にモラハラ夫が離婚に応じたとしても、「そちらの言う通りに離婚に応じるんだから、せめて親権は渡して欲しい」とか「最低限でも離婚後共同親権にする必要がある」などと主張してくる懸念もあります。

 このような場合、結局、モラハラ夫は、親権でこちらの譲歩を引き出すために、離婚に応じると言っているに過ぎませんので、この場合にも、離婚・親権セットで離婚調停手続きの中で話し合うことになるケースが多いと思います。

イ すんなりモラハラ夫が離婚に応じるといった場合は?

 モラハラ夫もあなたとの不仲については認識しており、離婚そのものは構わないけれども、親権は譲らないと主張してくる場合もあります(実際には離婚を認めないケースの方が多いので、離婚に応じてくる確率は稀だとは思います)。

 その場合には、離婚だけ先に成立させるのかという点を検討すべきことになります。

 即ち、改正民法の下では、親権者を決めなくても、以下の二つの条件を満たす限り、離婚届が受理される扱いになりました。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 

 そのため、親権の話を後回しにして、モラハラ夫との離婚だけを先に決着するのかどうかを考えることになります。離婚だけ解決するメリットとデメリットとしては以下のようなものが考えられます。

(ア)メリット

①離婚という区切りができて気持ちの整理が付く

②旧姓に戻した生活をいち早く開始できる

③世間・周りの人に対して説明がしやすい

④子供達にも説明しやすい

⑤シングルマザーの公的支援を受けられる

⑥再婚に向けた活動が可能になる

⑦モラハラ夫が翻意する危険性を避けられる

 

(イ)デメリット

①婚姻費用を得られなくなる(養育費分のみになる)

②モラハラ夫側の(費用支払い等の)モチベーションが下がりやすい

③親権についての紛争を調停にすることが必須になってしまう

④見返りを求められて話が複雑化するリスクがある

⑤最終決着までの期間はさほど変わらないというケースも十分考えられる

⑥年金分割で不利になる

 

以上のようなメリットとデメリットをよく検討していくことになると思いますが、通常は、モラハラ夫が相手だということもあって、離婚を切り離すのではなく、離婚もセットで調停に進むケースの方が多くなるとは思います。

 

(3)共同親権には応じない方が良いのか?

 モラハラ夫は、共同親権にしてくれるのであれば、親権もこれ以上争わないと主張してくることも考えられます。しかし、離婚後共同親権というのは、以下のようなお子さんにとって重要な事項を夫婦一緒に話し合って決めるという制度です。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

これらの事項についてモラハラ夫と今後冷静な話し合いができるのかというと難しいことが多いかと思います。

また、モラハラ夫の性格上、上記のような重要事項だけに口を挟んでくるのかというと、自分の勝手な解釈であなたやお子さんの生活について色々と干渉してくるリスクも高いです。

 そのため、モラハラ夫との共同親権には応じられないというスタンスで臨んでいくことになると思います。

 

 

4.離婚調停の段階


(1)調停が話合いであることの限界

 前述のように離婚調停になるケースとしては、①モラハラ夫が離婚そのものを争ってきた場合と②モラハラ夫が離婚には応じる姿勢を示しているが、親権は譲らないと主張してきている場合に大別できます。

 いずれにしましても、調停は家庭裁判所での手続きではありますが、調停委員を間に挟んでの話し合いの席ですので(但し、基本的に夫婦は直接顔を合わせません)、裁判所から何かの結論を強制されることはありません。

 そのため、離婚についても、親権についてもモラハラ夫の拒否姿勢が強い場合には、調停での話し合いが早期に打ち切られてしまうケースもあります。

 

(2)話合い促進のための工夫

 前述のように真正面から離婚する・しない、親権者を妻にする・夫にするという話だけを議論していても、議論は平行線にしかなりません。

 そのため、状況に応じて、以下のような工夫をすることもあります。

ア)夫のモラハラの証拠を突き付ける

 モラハラ夫は、家庭内での自分の言動が外部に漏れることをひどく嫌がる傾向があります。そのため、あなたの方でモラハラ発言の録音を持っているとか、モラハラ発言のLINEがあるというような場合には、その証拠を突き付けて、モラハラを否定できなくするという方法を取ることもあります。

 そうすることで、モラハラ夫が「この場で話を続けることが得策ではない」と考え、離婚や親権について考えを軟化させてくるケースもあります。

 

イ)早めに婚姻費用の支払いを開始させる

 モラハラ夫はケチなこともあります。そのため、離婚しないと婚姻費用の支払期間が延びるだけだと考えると、早めに決着させて支払いを減らしていきたいと考えてくる場合があります。

 そうすることで、モラハラ夫が、離婚や親権について考えを軟化させてくるケースもあります。

 

(3)調停の場でも親権について詳しく主張していくことになるのか?

 親権者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の8つの点に集約できると思います。
1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流の姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ

それでは、離婚調停の場で、これらの事情について事細かに事情を話していくのかと言いますと、そのような進行は取らないことが多いです。

 前述のように調停は話し合いの場ですから、仮に詳しい事情を述べたとしても、夫婦の意見対立が激しくなるだけで、調停が成立する機運は生まれにくいですし、本格的な調査等が必要な場合には、離婚裁判の中で実施する方が良いからです。

 

 

5.離婚裁判の段階


(1)親権についての重要項目

 離婚裁判は、家庭裁判所の裁判官が、離婚すべきかどうか、親権をどのようにするのが良いかという点について明確に結論を下す手続きになります。

 そのため、親権に関しても、下記の重要項目について、しっかりと主張を展開していくことになります。

1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流の姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ)

なお、離婚裁判になりますと、「言いたいことが沢山ある」とか「裁判官によく分かってもらうために沢山文章を書きたい」とおっしゃる方が非常に多いのですが、私の方からは「しっかりと言い分を述べることも大事ですが、それ以上に裏付けが大事ですよ」とお話することが多いです。私の方からは「裁判は裏付け勝負です」とお話することも多いのですが、親権に関しても、こちらに有利な証拠をどれだけ積み上げられるのかが重要になります。

 

(2)共同親権を回避するための活動

 前述の通り、モラハラ夫と離婚後も共同親権になることはかなりのリスクです。

 また、今後は、モラハラ夫は、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権という主張を展開してくることが強く予想されます。

 そのため、モラハラ夫の第1希望も第2希望も両方とも実現しないように活動する必要が出てきます。

 即ち、改正法819条7項が定める必要的単独親権事由が存在する場合、共同親権を選択することができません(必ず、単独親権にしないといけない)ので、この「必要的単独親権事由」があることを主張・立証していくことになります。

必要的単独親権事由とされていますのは、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合(後述の児童虐待の虞がある場合が代表例)、②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合(夫婦の一方が相手に対して身体的暴力を振るう虞がある場合が代表例)になります。

 これらの点についての裏付け証拠も積極的に提出していくことになります。

 

 

6.まとめ


・離婚のステップに応じて戦い方・戦略等が変わってくるので場合分けが必要である。

・協議離婚の段階であると、仮にモラハラ夫が離婚だけには応じると言ってきた場合、離婚だけ切り離して決着させるべきかを検討すべきことになる。

・協議離婚であろうと調停離婚であろうと、モラハラ夫との共同親権の形にするのはお勧めしない。

・離婚調停はあくまで話し合いなので、モラハラ夫が離婚や親権について譲歩姿勢を示さない場合には、早めに調停打ち切りになってしまうケースは多い。

・そのような場合には、モラハラの証拠を突き付けるなどして話し合いを促進させる場合もある。

・離婚裁判においては、自身に有利な判決を得られるようしっかりと証拠を提出していくことになる。

 

 

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