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【絶対に離婚したくない(28)】相手からの離婚調停(3)―調停申立書の読み方

2024.07.15更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。
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1.まずは、調停申立書を取り出す。


 

 裁判所から送られてきた書類は何枚もの紙が入っており理解しにくいかと思います。そこの中からまずは、調停申立書を取り出す必要があります。

 右上の方に「夫婦関係等調整調停申立書 事件名(離婚)」と書いてある書類が入っていると思いますが、それがいわゆる離婚調停申立書になります。申立人本人か、申立人が雇った弁護士の(赤い)判子が押されている書類が離婚調停申立書です。

参考までに、最高裁判所ホームページ上の調停申立書記載例はこちらになりますので、必要に応じてご参照下さい(なお、こちらの最高裁のサイトは、離婚調停を申し立てる側からの記載方法の解説になりますので、ご留意下さい)。

 【裁判所書式】離婚調停申立書記載例

 

 

2.離婚調停申立書を読み解く


 離婚調停申立書に記載されている情報は限られているのですが、そこから読み取ることができる情報はありますので、読み取れる情報は全て読み取っておく必要があります。以下では、離婚調停申立書を読み解く上でのチェックポイントについて解説します。

 

(1)申立人が弁護士を雇っているかどうかのチェック

 調停申立書を見れば、申立人が現時点で弁護士を雇っているのか雇っていないのかを知ることができます。

 調停申立書1頁目の右上の方に(赤い)判子が押されている箇所があると思うのですが、①その判子が本人のものであれば、現時点で弁護士を雇っていない、②その判子が弁護士のものであれば、既に弁護士を雇っているということが分かります。

 相手が弁護士を雇っているという場合、こちらも弁護士を雇うことを考えた方が良いので、まず最初に確認しておきたい項目になります。

 

(2)申立人の住所欄

 配偶者が自身の居場所をこちらに秘密にしているケースですと、調停申立書の申立人の住所欄を見れば、その居場所を探ることができると考える方も多いのですが、残念ながらほとんどの場合、現在の居場所を書いていることはありません(もちろん、こちらにその居場所を明かしているケースでは、現住所を住所欄に記載することの方が多いです)。

 そのため、申立人住所欄を見ても、その住所は分からないことが多いです。

 

 実際上の記載方法としては、夫婦が一緒に住んでいたときの自宅住所(住民票上の住所)が記載されていることが多く、「虚偽記載」ではないかと思われる方もいると思いますが、裁判所の実務ではこのような便法が認められておりますので、この点を追求してもあまり効果がないのが実情と言えます。

 なお、申立人が希望すれば、申立書に現住所を記載しないという手法について、裁判所は特に綿密な審査等はせずに認める扱いですので、「妻の住所欄に現住所が書かれていない」イコール「裁判所が、妻の言い分をそのまま認めた」ということはありませんので、この点はご安心下さい。

 

(3)2頁目の「申立の趣旨」

 調停申立書の2頁目を開きますと、上から中央あたりまで縦線が一本伸びており、その右側に何箇所かチェックが入っていると思います。このチェック部分に書かれている項目が、申立人が調停の「議題」にしたいと考えている項目になります。合わせて、申立人のご意見もそこに書かれていますので、これを見れば、申立人の要望の概要をつかむことができます。

 

 以下詳しく各項目に対して解説していきます。

①離婚について

相手は今回の調停で離婚を求めていますので、その項目にチェックがついています。

 

なお、あなたが調停の席で一度でも「離婚も仕方ないと思います」と発言してしまうと、離婚することが前提で話がドンドン進んでいってしまいますので、この点の発言は慎重さが求められます。

また、あなたとして離婚に断固反対ということでしたら、調停の場では親権や養育費・財産分与の議論はしないというスタンスになります。親権や養育費・財産分与は、離婚する場合に決定すべき事項なのであって、離婚しない場合には決める必要がない項目になるからです。

 

②調停申立書の「申立の趣旨」「(1)」~「(3)」にはお子様のことが書かれています。

前述の通り、あなたは夫婦のヨリを戻したいと考えていますので、離婚することを前提として、親権や養育費等の議論をする必要はありませんし、するべきでもありません。

ただ、申立書を読むと現状の申立人の考え方が読み取れますので、読み取る際の注意点という観点から解説します。

 

申立人が親権獲得を希望しているのであれば、親権を獲得することを前提として、あなたに養育の支払いを求める内容になっていると思いますので、親権を申立人に渡してよいのか、養育費の金額は、あなたの収入から支払い可能な金額なのかどうか等については考えておいても良いかと思います。

なお、養育費に関しては「相当額」の覧にチェックが入っている場合がありますが、これは、「裁判所の実務で一般的に用いられる算定表の数字で構わない」と言う意味になりますので、あなたの方でもインターネット等にて算定表の数字を確認して、支払い可能な数字なのかを確認してみて下さい。

ちなみに、申立人側が積極的にお子様とあなたとの面会を希望していない場合には「(2)」の項目に何もチェックが入っていません。そのため、逆にあなたの希望としてお子様に会いたいという希望が強い場合には、調停の場などで強く面会交流を求めていくことになります。

 

③財産分与について

 財産分与とは、夫婦として同居生活を送っている間に蓄えた財産を折半するというものです。

 この点の申立人の要望は「申立の趣旨」の「(4)」に記入されます。ただ、この項目には「相当額」にチェックが入っていることが多いです。「相当額」の意味合いについては、通常「別居時の夫婦の財産を半分にして欲しい」という趣旨で用いられることが多いです。

 財産分与はお互いが財産状況を開示しないと正確な数字を算出できないため、「相当額」と記入することが多いのが実態です。

 

④慰謝料について

 慰謝料とは、夫婦として同居生活を送っている間に精神的苦痛を受けた場合、それを慰謝すべき金額として要求するものです。通常は、あなたが不倫をしたり、相手に暴力を振るったような場合にのみ発生するものになります。

 この点の申立人の要望は「申立の趣旨」の「(5)」に記入されます。

 この慰謝料額については、500万円だとか1000万円だとかの高額の金額が記入されていることもありますが、申立人側が感情的に金額を記載しているというケースも多くありますので、そのような場合、こちらとしてすぐに金策に走らなければいけないと言うことはありません。

 

⑤年金分割について

 年金分割とは、離婚するまでの婚姻期間中の年金加入記録を折半するというもので、実務的には0.5で折半することが定着しておりますので、「申立書の趣旨」の「(6)」にも「0.5」の覧にチェックが入っていることが通例かと思います。

 

(4)2頁目の「申立の理由」

①上段について

 「申立の理由」の上段には「同居を始めた日」と「別居をした日」の覧があります。これらの日付は今後の夫婦関係調整にあたっての重要な日付になることもありますので、申立人の記入に間違いがないかしっかりと確認して下さい。

 

②下段について

 ここに「申立ての動機」の動機がチェックされていますが、これらが「申立人が離婚したいと考えている理由」の部分になります。

 普段あまり聞き慣れないものとして「8 精神的に虐待する」という項目がありますが、これは、いわゆるモラハラ行為等を指しており、代表的なものは暴言や物を壊すといった行動になります。

 

 いずれにしましても、このチェック項目だけでは、申立人側の不満の概要は分かっても、いつのどのような行動が問題になっているのかといった具体的内容が何も分かりません。なぜこのような簡単な記入に限定しているのかというと、あまり詳しい内容を記載してしまうと、夫婦間の感情的対立が激化する危険性がありますので、簡略な記載に限定しているのです。

 あなたの方としては、調停期日当日には、各項目について詳しい説明を求められることもありますので、心当たりがある項目については、記憶喚起を図っておく必要があります。

 

 

3.まとめ


・調停申立書の1頁目の赤い判子が押されている箇所を見れば、申立人側が弁護士を雇ったか雇っていないかが分かる。

・調停申立書2頁目の「申立の趣旨」を見ると、申立人側が希望する離婚条件が分かる。

・調停申立書2頁目の「申立の動機」上段の同居開始時期と別居日は重要な日にちなのでしっかりと確認する必要がある。

・調停申立書2頁目の「申立の動機」下段に、申立人側が離婚を希望する理由が書かれているが、抽象的なので、詳しい内容は調停期日まで分からない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(27)】相手からの離婚調停(2)―そもそも、離婚調停って何だ?

2024.07.08更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。
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1.まず、「離婚調停」がどんな手続きか把握する


 あなたは突如家庭裁判所から封筒が届いて混乱していると思いますが、調停に臨むにあたっては、「離婚調停」というものがどのような手続きなのかを把握する必要があります。
 離婚調停とは、一般的には、ご夫婦間で直接のお話し合いが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れてご夫婦間の話し合いを円滑に行いお互いの合意を目指す手続などと言われたりします。

 調停手続きの大きなポイントは、①裁判所で手続きするけれども、裁判所から何らかの結論を強要される手続きではないということ、②あくまで話し合いの手続であるということになります。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて離婚調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に離婚調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.まずは、第1回期日対応の基本


 まず、調停手続きの概要の解説に入る前に、①そもそも、仕事の都合でどうしても第1回期日に参加できない場合どうすればよいか、②答弁書等の提出を要するかについてご説明します。
 仕事の都合で第1回調停期日に出席できない場合には、その旨を裁判所書記官に連絡するか、もしくは、進行に関する照会回答書が封書に同封されている場合には、同回答書に欠席である旨記載すれば問題ありません。
 次に、答弁書の提出ですが、こちらの基本的な考え方を示すことができますので、必ず提出するようにして下さい。

 それでは、以下にて調停手続きがどのような手続きなのかを解説していきます。

 

 

3.調停委員ってどんな人?


 離婚調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

4.離婚調停ってどこで行うの?


 離婚調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、ご夫婦の自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

5.離婚調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご夫婦の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

6.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

7.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦は別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に名前を呼ばれるので、その場(待合室内)で出席確認
        ↓
③申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(こちらは待合室で待機)
        ↓
④申立人が調停室を退室し、入れ替わりでこちら側が調停室に入室、こちら側のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑤相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑥申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑦次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をして、その日の調停は終了

 

 

8.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

9.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

10.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
そのため、例えば養育費をいくらだとか、財産分与をいくらと定めたのに、相手が約束を破った場合、強制執行をして強制的に取り立てることができるようになります。強制執行とは裁判所の手を借りて、相手の預金や給料からお金を取り立てることをいいます。
 そのため、調停での結論には強い効力が認められています。

 

 

11.まとめ


・調停手続きは、裁判所の中で行われる話し合いの席である
・調停委員は、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員である。
・調停は、家庭裁判所の中の調停室(会議室のような形)で行われる。
・調停は平日日中に行われる。
・調停は交互に話を聞かれる形で進行する。
・調停期日の間隔は1か月から1か月半程度である。
・調停が成立すると、その内容には確定判決と同様の効力がある。

 

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(26)】相手からの離婚調停(1)―まず何をすべきか

2024.07.01更新

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1.まずは気持ちを落ち着かせる


 

 相手から離婚の調停を起こされてしまい、家庭裁判所からの書類が届くと、あなたも驚き、動揺してしまうと思います。

 裁判所から直接書類が届くなどと言うことは一般の方からしますと「人生初めてのこと」という方も多いと思いますので、当然の感想だと思います。

 ただ、このように動揺したままでいますと、冷静な対応をすることができず、後で後悔することにもなりかねません。

 

 そのため、まずは「気持ちを落ち着かせる」ということをアドバイスさせて頂くことが多いです。

 その際には、「何もしていないと余計に落ち着かない」という方も多いので、インターネットで検索するという方も多いと思いますが、検索の際には、弁護士が直接執筆した記事か弁護士が直接監修した記事を中心に確認してみてください(残念ながら、弁護士執筆・監修でない場合、誤った情報が記載されていることがあります)。

 また、気持ちを落ち着かせるために、ご両親や兄弟姉妹など身内の方に相談するという方もいるようです。

 

 

2.まずは場合分け


 

 一口に「相手から調停を起こされた」と言いましても、①配偶者本人が調停を申し立てているケースと②配偶者が弁護士を雇って調停を申し立てているケースの2種類があります。

 この①と②のどちらなのかによって、対応の仕方も変わってまいりますので、場合分けして解説します。

 なお、裁判所から届いた調停申立書の1ページ目に押されている判子を見れば、弁護士が就いているかついていないかを判別できます。配偶者本人の判子が押されている場合には、まだ弁護士が就いていないということになりますし、逆に、弁護士の判子が押されている場合には、もう弁護士が就いているということになります。

 

 

3.【ケース①】配偶者本人が調停を申し立てている場合に、まず何をすべきか


 

(1)まずは本人へのコンタクト

 今あなたの置かれている状況として、配偶者に連絡することができないとか、好ましくないように思われる、と言うような状況があれば別ですが、そうでない場合には、本人に直接コンタクトをとるのが端的だと思います。

 まだ同居中であれば、配偶者と直接話をすることは比較的容易だと思いますし、仮に別居していたとしても、唐突に調停を起こされたような場合には、直接コンタクトをとって、相手の真意や希望を確認した方が良いと思います。

 

(2)直接本人にコンタクトを取ることが難しい場合には、両親等事情を知ってそうな人物にコンタクトする

 前述のように、これまでの経過等を踏まえて、あなたが直接配偶者に連絡を取ると悪影響を及ぼしそうな場合には、直接の連絡は控えた方が良いかもしれません。

 その場合には、相手の両親や兄弟姉妹など、相手が普段から仲良くしていて、事情を知ってそうな人物にコンタクトをとることを考えてみてください。

 そのような人物にコンタクトをとって事情を確認することで、相手本人の真意や希望などを確認できる可能性がありますし、その人物を通じて、間接的に配偶者本人と話をすることができるかもしれません。

 

(3)相手に調停を取り下げてもらう

 相手と直接話をしたり、相手の両親などを介して話ができるようでしたら、敢えて調停の席で議論する必要性がありません。

 そのため、相手と話をして、相手が調停を取り下げてくれるようであれば、取り下げてもらった方が良いです。調停が取り下げられれば、一旦、調停の手続きは終了しますので、あなたが、調停のために裁判所に足を運ぶ必要もなくなります。

 

 

4.【ケース②】配偶者が弁護士を雇って調停を申し立てている場合、まず何をすべきか


 

(1)まず夫婦関係修復に詳しい弁護士に相談する

 相手が弁護士を雇って調停を起こしている場合、その弁護士が調停を取り下げてくれるという可能性は極めて低いです。

 また、相手が弁護士を雇っている状況ですので、こちらも専門的な知識を得て対応していく必要があります。

 そのため、まずは、夫婦関係修復に詳しい弁護士に相談する必要があります。

 なお、注意点が二つありまして、①一つ目が「弁護士だったら誰に相談しても良い」というわけではないこと、②二つ目が、すぐに依頼するかは慎重に考えた方が良いという点です。

 

(2)「弁護士だったら誰に相談しても良い」というわけではない

 残念ながら弁護士の中には、「これまで全く夫婦関係修復の事例を扱ったことがない」とか「夫婦関係修復というのは法律家(弁護士)のする仕事ではないと思う」といった弁護士もかなりの数います。更に残念なことに、弁護士によっては、あなたが夫婦関係修復を強く希望していても、「相手が強く離婚を希望しているようなら、修復は無理だろうから、良い条件で離婚した方があなたの利益になります」ということを言ってくる弁護士もいます。

 そのため、相談する場合には、夫婦関係修復に詳しい弁護士に相談する必要があります。

 

(3)すぐに依頼するかは慎重に考えた方が良い

 既に調停になってしまっていますので、こちらも弁護士を立てて臨んだ方が良いとは思います。

 ただ、率直なことを言いますと、依頼者と弁護士との間には相性があると感じることが多く、相性が悪い弁護士にお願いしてしまった場合、途中で弁護士を変更するという事態が生じかねません。

 その場合、またイチから新しい弁護士に事情を説明しなければならなくなりますし、弁護士費用の重複して支払わなくてはならなくなります。

 そのため、私は、すぐに弁護士の契約をするのではなく、慎重に検討した上で契約した方が良い旨をお伝えすることが多いです。

 

(4)気持ちをしっかりと持つ

 次に、当職がアドバイスさせて頂くことが多いのは「気持ちをしっかりと持つ」ということです。

 相手が弁護士を立てて、しかも調停を起こしてきたと聞いてしまいますと、「もうヨリを戻すのは無理かも」と思ってしまうときがあると思います。

 しかし、あなたが希望する夫婦円満・家族円満がお子様も含めた家族全体にとって良いことなのであれば、簡単にあきらめず、気持ちを強く持って臨むことが肝要かと思います。

 

(5)第1回調停期日の日程キープ

 まだあなたのスケジュール上、第1回調停期日として指定された日時に裁判所に行くことが可能なようでしたら、その日程はキープしておいて下さい。

 離婚調停を起こされると、どのように対応した方が良いのかとか、調停がどんな手続きなのかといった点で頭がいっぱいになってしまって、日程をキープすることを忘れてしまうという方もいらっしゃいますので、早めに日程をキープしておくと安心だと思います。

 

 

5.インターネット検索の注意点


 

 あなたにとっても調停というのは重要な手続きなので、色々とインターネットで検索してしまうと思います。

 ただ、前述の通り、弁護士が直接執筆もしくは監修したものでない場合、誤った情報が記載されている可能性があります。そのため、弁護士が直接執筆もしくは監修した記事を見るようにして下さい。

 また、私の方からは「いろいろと調べ過ぎない」ということをアドバイスさせて頂くことが多いです。

 

 と言いますのは、弁護士はそれぞれの経験に基づいて弁護活動を行いますし、それをインターネット記事等に記載していますので、「弁護士によって微妙に言うことが違っている」という場合があります。

 そのため、あまり沢山のインターネット記事を見ると、A弁護士の記事にはこう書いてあったのに、B弁護士の記事にはこう書いてあったということで混乱してしまうということが起きるのです。

 

 

6.まとめ


・相手が調停を起こしてしまった場合、まずは気持ちを落ち着かせるということが大事である。

・もし、相手がまだ弁護士を立てていない場合には、相手本人へ直接コンタクトを取ることを考えてみると良い。

・もし、相手と直接話をすることができた場合には、調停を取り下げてもらうと良い。

・相手が弁護士を雇っている場合、調停を取り下げてもらうことは極めて困難である。

・相手が弁護士を雇っている場合、まずは夫婦関係修復に詳しい弁護士に相談すべきである。

・合わせて第1回調停期日の日程はキープしておく必要がある。

・インターネット検索し過ぎると逆に混乱することもあるので、ほどほどにした方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【夫から我が子への虐待(17)】離婚すべきか悩んだ末に「一旦別居」する場合に別居の合意書はどのように作成すべきか?

2024.06.24更新

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1.そもそも、合意書を作った方がよいのか?


 一旦別居する際に、夫と口約束ができた場合、それ以上に文書を作るということになると、堅苦しく感じるかもしれません。
 また、わざわざ書面を作成しなくても、メールやLINE、ショートメッセージなどでやり取りの履歴を残しておけば足りると考える方もいるかもしれません。
 ただ、別居の約束事について書面を残しておかないと、夫側は後から約束の存在自体を争ってきたり、自分に都合の良い解釈をする危険性があります。
 メールやLINE等でも、あなたが発言した内容はその通りだとしても、夫側はそれに了解していないとか、そこまで真剣に捉えていなかったなどと争ってくる可能性もありますので、必ずしも十分とは言えません。

 

 

2.合意書と言うと弁護士とかに作成を頼まないといけないの?


 結論から言いますと、「弁護士に作ってもらわないと法律上の効力が認められない」ということはありません。
 また、たまに私のところにご相談に来られた方の中には、「こういう約束事は公正証書にしないといけないんですよね?」と質問してこられる方もいますが、特に公正証書にする必然性はありません。
 ただ、インターネットで調べていると、別居の合意書のひな型なるものを掲載しているサイト等もありますが、これをあまり深く考えずにそのまま利用してしまうと、後で思っていた効力が認められないということになってしまうケースもありますので、以下の手順に従って、しっかりとあなたの実情に即した内容のものを作成して下さい。

 

 

3.合意書に書き込む内容をブロック分けすると


 合意書に書き込む内容を大まかにブロック分けすると、以下のような7個のブロックに分けることができます。
(1)最低限盛り込んでおいた方がよい事項
 ①別居の経緯
 ②別居期間
 ③別居中の生活費
 ④別居中の面会交流
(2)可能であれば盛り込んでおいた方が良い事項
 必須とまでは言えないけれども、合意書に盛り込んでおくのが望ましい事項としては以下のようなものがあります。
 ①別居中の誓約事項
 ②ペナルティーに関する事項
 ③別居中の荷物に関する事項
 以下ではそれぞれについて詳しく解説していきます。

 

 

4.【第1ブロック】別居の経緯に関する条項


 例えば「令和4年に入ったあたりから夫法律太郎が長男の次郎に対して激しく叱責するといった行動が何回かあり、長男が夫と離れて暮らしたいと強く希望することから、令和4年〇月〇日より妻法律花子と長男は自宅を出て実家で別居生活を送ることにした。」といった書き方をします。
 別居の経緯について、夫婦の共通認識を持つために、もっと具体的な内容を盛り込むケースもあります(例えば「令和4年〇月〇日夫が長男の頬を平手打ちにし、長男は翌日も顔が晴れているため学校を欠席した、令和4年〇月〇日も……といったことがあり、妻は、このような長男が虐待行為を受け続けることが耐えられなくなって令和4年〇月〇日より別居することとなった。」というような形です)。
 このような別居経緯について、沢山の事情を盛り込みたいとおっしゃる方もいますが、あまり事情を盛り込み過ぎますと、夫との対立が激しくなって合意書の締結そのものが危うくなりかねませんし、合意書全体のバランスが悪くなってしまいますので、この「第1ブロック」の内容が細かくなり過ぎないように注意して下さい(第1ブロックの分量としては通常は5,6行以内に収め、どんなに長文にしてもA4用紙1枚を超えることがないよう留意して下さい)。

 

 

5.【第2ブロック】別居期間に関する条項


 例えば「夫と妻とは、令和4年〇月〇日より1年程度別居する。」といった書き方をします。
 別居期間については「1年」とか「半年」と言い切ってしまってもよいですが、「1年程度」というような書き方にしておくと多少柔軟性を持たせることができます。
 別居期間については、夫側は極力短期間にしたがり、あなたの方はそこまで短期間にしたくないということで意見の対立が激しくなりやすいですが、「当分の間」とか「しばらくの間」という定め方にしてしまいますと、あいまいなため、後で争いの種になりやすいので、明確に期間を定めておいた方がよいと思います。

 

6.【第3ブロック】生活費に関する条項


 例えば「夫は、妻に対し、別居中の婚姻費用として、令和4年〇月から別居解消または離婚するまで月額○○万円を、毎月末日限り、妻名義の○○銀行○○支店の普通預金口座(口座番号○○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は夫の負担とする。なお、夫はこれとは別に、現在夫名義の口座から引き落としになっている妻及び長男の携帯電話利用料及び長男の給食費の引落を継続する。」といった書き方をします。
 生活費のことは法律用語では「婚姻費用」と表現しますので、合意書にもそのような表現を盛り込みます。
  なお、生活費としていくら請求するのかが分からないという場合には、裁判所の算定表のサイトをご覧になると参考になる数字が分かります(インターネットで「裁判所 婚姻費用算定表」と検索すると出てきますので、試してみて下さい)。

 

 

7.【第4ブロック】面会交流に関する条項


 例えば「妻は、夫に対し、夫が長男と週1回程度電話で通話する形で交流することを認める。夫は、長男の体調に配慮し当面直接交流を求めない。電話交流の具体的日時、場所、方法等については、その都度夫婦間で協議して定める。」といった定め方をします。
 面会交流というのは、夫がお子様と会うことについての約束事ということになります。
 別居の経緯が、夫のお子様に対する虐待行為だという経緯に鑑みて、すぐに直接会う形での面会交流は難しいとしても、何も交流させないというわけにもいかないと思いますので、一旦電話で話をする形を認める形の条項です。

 なお、電話の形にすると、夫側から「自由に電話させて欲しい」というリクエストがなされるケースもありますが、自由に電話する形になってしまいますと、際限なく電話してくる危険性もありますので「週1回程度」という形にしています。お子様の体調等を考慮して「2週間に1回程度」など頻度は実情に則して検討してみて下さい。
 もちろん、お子様が月1回会うくらいなら大きな負担ではないと考えているということでしたら、夫側と月1回直接会う形で合意書を作ることも可能です。
 この条項については、お子様の体調や意思を最大限尊重して取り決めるようにして下さい。

 

 

8.【第5ブロック】別居中の誓約事項


 例えば「夫は、飲酒して長男を叱責することが多かったことを真摯に反省し、別居期間中は飲酒を控えることを、妻に対して誓約する。」といった定め方をします。
 なお、この誓約事項の「第5ブロック」については、沢山の事項を盛り込みたいという話が出やすいブロックになりますが、あまり誓約事項を多くしてしまいますと、夫側が遵守し来てなくなりかねませんし、あなたがたくさん誓約事項をリクエストすると、夫側からも「そっちがそういうなら、こっちもこれを約束して欲しい」というように「誓約事項合戦」のようになってしまうことも多いので、あまり誓約事項が多くならないように注意して下さい。
 また、第4ブロックまで出来上がればひとまず合意書としての体裁は整っていますので、この「第5ブロック」のところで夫婦の意見対立が激しい場合には、第5ブロックは盛り込まないとか、最低限のものにとどめるという形で折り合うこともあります。

 

 

9.【第6ブロック】ペナルティー条項


 例えば「夫は前条の誓約事項に違反した場合、来月の小遣いを1万円減額することに合意する」といった定め方をします。
 ただ、このようなペナルティーを盛り込むことについては夫側が強く反発してくることも多いため、この第6ブロックは最初から盛り込まないことも多いです。

 

 

10.【第7ブロック】荷物に関する条項


 例えば「夫は、妻及び長男が残置した荷物を妻に無断で処分等しないことに合意する。」といった定め方をします。
 荷物の件は、第6ブロックまでの条項に比べると重要性がかなり低くなりますので、敢えて盛り込まなくてもよいケースが大半かと思います。

 

 

11.合意書にはお互いがサインと印鑑を押す。


 このようにして別居の合意書が出来上がりましたら、日付を記載し、夫婦がお互い住所と氏名を自署し、押印することで完成します。使用する印鑑は実印である必要はありませんが、厳粛さを持たせるという意味では実印を用いてもよいと思います。

 

 

12.まとめ


・別居中のトラブル防止の観点からは、合意書という書面を作成しておくと安心である。
・合意書は個人でも作成できるので、弁護士に作成を依頼する必要はない。
・但し、インターネットで掲載されているような「ひな型」をそのまま利用するのは禁物である。
・合意書には大きく以下の7個のブロックを盛り込むことが多い。
(1)最低限盛り込んでおいた方がよい事項
 ①別居の経緯
②別居期間
 ③別居中の生活費
 ④別居中の面会交流
(2)可能であれば盛り込んでおいた方が良い事項
 ①別居中の誓約事項
 ②ペナルティーに関する事項
 ③別居中の荷物に関する事項

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【夫から我が子への虐待(16)】離婚すべきか悩んだ末に「一旦別居」する場合に何を取り決めるべきか?

2024.06.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「どこよりも分かりやすい解説」を目指して詳しく解説していきます。
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1.なかなか離婚を決断できないケースも多い


 お子様が夫から虐待を受けているのに、離婚を決断できないという状況について、残念ながら、外の第三者から見ると、不可思議に見られてしまうこともあります。
 しかし、私のところにご相談に来られる方は、以下のようなことをおっしゃる方もかなりの数いらっしゃいます。
①私から見ると夫のしていることは虐待だけれども、子供も昨日叱られたことはすっかり忘れている様子で何もなかったかのように夫と接しているので悩んでしまう。
②夫は時折子供を激しく叱りつけるが、普段は子供と優しく接しているので、子供も懐いているから、子供と夫を離れ離れにすることが忍びない。
③夫の叱り方にも問題があるが、子供の側にも叱られる原因がある(お約束を守らなかったなど)ので、一概に夫だけを責められない。
④離婚が頭をよぎるが、夫の収入なしでは生活が立ち行かない。
⑤結婚を機に専業主婦になってかなり年数が経つので、すぐに働き始めるということが難しい(すぐに経済的に自立するということが難しい)。
⑥実家が遠方なので、実家を頼るということが難しい。
⑦子供と夫との仲はかなり険悪化してしまっているが、私と夫との関係がそこまで険悪化していない。

 

2.何を取り決めるべきか


 別居の話をする際に、夫と冷静な話し合いをすることができるようであれば、別居中の約束事を取り決めたほうが望ましいです。何も決めておかないと、混乱等が生じる危険性があるからです。
 具体的には何を取り決めた方が良いのでしょうか。

(1)最低限取り決めておいた方が良い事項
 最低限取り決めておいた方が良い事項としては以下のようなものがあります。
 ①別居期間
 ②別居中の生活費
 ③別居中の面会交流

(2)可能であれば取り決めておいた方が良い事項
 必須とまでは言えないけれども、取り決めておくのが望ましい事項としては以下のようなものがあります。
①別居中の誓約事項
 ②ペナルティーに関する事項
 ③別居中の荷物に関する事項

 以下、それぞれについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【最低限取り決めておいた方がよい事項1】別居期間


(1)別居期間は極力明確に取り決めておくべき
 夫婦の冷却期間としてどの程度の期間を置くのかについては夫婦の共通認識を持っておく必要があります。
 冷静に夫婦関係を見つめ直したいあなたにとっては、相当期間の別居期間を置きたいと考えるでしょうが、夫側は「そんなに長い期間別居するのは許容できない」と考える場合もあります。
 そのため、別居期間が長いと感じるか短いと感じるかは人によって異なりますので、認識の相違がないようにしておいた方が良いと思います。
 今回の別居の発端は、夫のお子様に対する虐待が原因ですから、あまり別居期間を短期間にすることは難しいと思います。現在のお子様の状況にもよりますが、最低、半年や1年程度に設定することが多いかと思います。
 なお、この別居期間は「何月何日まで」というところまでは取り決めず、「1年程度」というように含みを持たせた方が、多少柔軟性を持たせられます。

(2)「当分」とか「しばらく」という取り決め方はあまり望ましくない
 極力夫との話し合いを短く済ませたいということで、「当分の間別居」とか「しばらく別居」というように取り決めてしまうケースもありますが、そうすると、曖昧なので、別居後に夫側から「いつ戻ってくるんだ?」とか「当分というのはいつまでなんだ?」という問い合わせ等が何度もなされ、あなたも落ち着かないという事態に陥りかねません。
 そのため、「当分の間」というような曖昧な定め方は極力避けた方がよいと思います。

(3)「子供の不登校が治るまで」といった決め方は?
 現在、夫からの虐待が原因でお子様が不登校になってしまっている場合、不登校の状況が治るまで別居という約束をするケースも考えられます。
 ただ、このような決め方にしてしまいますと①どのような状況になったら不登校が治ったと言えるのか?という問題が生じますし(要するに、完全に毎日登校できる状況にまで改善したら「治った」と言えるのか、それとも1週間のうち3日間登校できるようになれば「治った」と言えるのかなど、評価があいまいになるという意味です)、②夫側から、不登校が改善したか確認したいから毎週担任教師に電話連絡をするなどと言い始めるなど、夫側から無用な詮索を受けるリスクもあります。
 そのため、お子様の現況を踏まえて、「恐らく今年中に不登校が大きく改善する可能性は低い」とか、ある程度の目処が立っているのであれば、別居期間については「今年の年末頃まで」といった取り決め方をした方がよいかと思います。

 

4.【最低限取り決めておいた方がよい事項2】生活費について


 通常は、夫側の方があなたよりも収入が高額かと思いますので、法律上、あなたは夫に対して生活費(法律用語では「婚姻費用」)を要求する権利があります。
 もちろん、夫との話し合いで「権利がある」という話し方をすると、夫が抵抗する危険性もありますので、「別居中の生活費のことを決めたい」という話し方をした方がよいと思います。
 具体的には、現在夫の口座から差し引かれているあなたやお子様の費用(携帯電話代とか学校の給食費とか)はそのまま支払ってもらい、それ以外に月々いくら払ってもらうということを取り決めることになります。
 なお、夫が賞与をもらう月は多めに貰うという形で調整するケースもありますが、通常は、毎月同じ金額をもらうという形にするケースが多いです(相手がもらった賞与の分はあきらめるということではなく、相手が毎年賞与をもらえるという前提で月々の生活費の金額を多少高めにするという意味です)。

 生活費としていくら請求するのかが分からないという場合には、裁判所の算定表のサイトをご覧になると参考になる数字が分かります(インターネットで「裁判所 婚姻費用算定表」と検索すると出てきますので、試してみて下さい)。
 このような生活費の支払期限は毎月月末とするケースが多いのですが、いずれにせよ支払期限は明確にしておいた方がよいです(月末にしないのであれば、毎月10日までとか、いずれにせよ日にちを確定しておくという意味です)。

 

 

5.【最低限取り決めておいた方がよい事項3】面会交流について


面会交流とは、別居中、夫側がお子様と会うこと(面会交流)について、どの頻度や方法などを定めておくことです。
 今回の別居の発端は、夫からお子様への虐待が原因ですから、当分の間、面会交流はナシにして、お子様が落ち着いてきてから、面会交流のことを話し合う、といった取り決め方の方がオーソドックスかと思います。
 何もお子様の状況が分からないと夫側が納得しないという場合には、お子様の学校の通知表や成績を伝えるとか、お子様が現在カウンセリングなどを受けている場合には、その経過等を共有するといった形で情報共有するという取り決め方をするケースもあります。
 また、今は直接会うことはできないけれども、オンライン通話や電話で話すくらいは構わないというときには、オンライン通話や電話に限定して、1週間に1回認めるといった取り決めをするパターンもあります。

 

6.【可能であれば取り決めておいた方が良い事項1】別居中の誓約事項に関する条項


 別居中相手に守って欲しい約束事を取り決めるというものです。
 例えば、夫は酒癖が悪く、お子様に虐待行為に及ぶのはいつも酒が入っているときだというような場合には、別居中酒を控えることを取り決めるといった具合になります。
 それよりも夫のアルコール依存が激しい場合には、アルコール依存専門外来の病院に行って治療することを取り決めるといったことも考えられます。
 このような約束事は、あなたにとっては必ず取り決めたい事項になると思いますが、夫側からすると、このような議論は避けたいと考えるでしょうから、このような約束事を取り決めることにこだわり過ぎると話し合いが進展しなくなってしまう危険性もあります。また、あなたの方から夫に対して誓約事項を提案すると、逆に夫の側からも「そっちもこういう約束をしろ」などと逆提案がなされるケースも多いです。
 そのため、お子様の状況に鑑みて、別居を早めたいという場合には、このような誓約事項は一旦保留にして、別居を先行させるということも考え得ると思います。

 

7.【可能であれば取り決めておいた方が良い事項2】ペナルティーに関する事項


 これは、前述の誓約事項について取り決めることができた時に、違反した場合のペナルティーを取り決めておくというものです。
 例えば、夫が別居中飲み過ぎた場合には、来月の小遣いを減らすとか、夫が別居中こちらに対して乱暴な言葉遣いをした場合には、その後1週間は連絡を取り合わない(連絡禁止)とするといった取り決めになります。
 このようなペナルティーの取り決めは、相手が誓約事項に合意することが前提になりますし、ペナルティーと聞くと夫側が強く反発してくる危険性も高いため、可能であれば取り決めておいた方がよい事項という扱いになります。

 

8.【可能であれば取り決めておいた方が良い事項3】別居中の荷物に関する条項


 今回の別居が冷却期間としての別居で、自宅に戻る可能性もあるということでしたら、普段の生活に必要ないものは自宅に残すケースが多いと思います。または、実家を別居先とした場合で、自宅と実家が近いという場合には、あまり大きな荷物は搬出しない(自宅に残したままにしておく)というケースもあると思います。
 そのような場合には、荷物の運び出しについて取り決めをしておくこともあります。
 例えば、夫側が、あなたが勝手に自宅に入ることに抵抗を示している場合には、荷物を取りに戻るのは夫が在宅の時に限るといった約束をするケースもあります。または、逆に、別居中あなたやお子様の大切なものや思い出の品を夫が勝手に処分等しないことを約束させるケースもあります。

 

 

9.まとめ


・別居の際、最低限取り決めておいた方が良い事項としては以下のようなものがある。
 ①別居期間
 ②別居中の生活費
 ③別居中の面会交流
・別居の際、必須とまでは言えないけれども、取り決めておくのが望ましい事項としては以下のようなものがある。
①別居中の誓約事項
 ②ペナルティーに関する事項
 ③別居中の荷物に関する事項

 

 

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【夫から我が子への虐待(15)】離婚すべきか悩んだ末に「一旦別居」する場合、事前に夫に知らせるべきか?

2024.06.10更新

弁護士秦

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1.なかなか離婚を決断できないケースも多い


 お子様が夫から虐待を受けているのに、離婚を決断できないという状況について、残念ながら、外の第三者から見ると、不可思議に見られてしまうこともあります。
 しかし、私のところにご相談に来られる方は、以下のようなことをおっしゃる方もかなりの数いらっしゃいます。
①私から見ると夫のしていることは虐待だけれども、子供も昨日叱られたことはすっかり忘れている様子で何もなかったかのように夫と接しているので悩んでしまう。
②夫は時折子供を激しく叱りつけるが、普段は子供と優しく接しているので、子供も懐いているから、子供と夫を離れ離れにすることが忍びない。
③夫の叱り方にも問題があるが、子供の側にも叱られる原因がある(お約束を守らなかったなど)ので、一概に夫だけを責められない。
④離婚が頭をよぎるが、夫の収入なしでは生活が立ち行かない。
⑤結婚を機に専業主婦になってかなり年数が経つので、すぐに働き始めるということが難しい(すぐに経済的に自立するということが難しい)。
⑥実家が遠方なので、実家を頼るということが難しい。
⑦子供と夫との仲はかなり険悪化してしまっているが、私と夫との関係がそこまで険悪化していない。

 

2.別居を事前に夫に話すか?


 たまに、私のところにご相談に来られた方で「夫は理屈っぽくてこちらを丸め込んでくるので、できれば事前に別居のことは伝えずに家を出たいと思っています」とおっしゃる方もいます。
 ただ、今回のように、あなた自身即離婚を希望しておらず、夫婦円満の可能性もゼロではないという場合、何も伝えずに別居すると、必要以上に夫側を刺激してしまうため、事前に夫側に別居する旨を伝えた方が良いと思います。
 なお、事前に何も伝えずに別居することにどのようなリスクがあるか解説していきます。

(1)【リスク1】夫婦の関係の亀裂悪化等
 何も伝えずに別居を開始してしまいますと、夫側の感情を逆なでしてしまうケースが多いと思います。
 あなたが別居を決断したということは、お子様への虐待だけではなく、夫婦の関係にも亀裂が入っているケースが多いので、今回の別居がそのような夫婦の亀裂を悪化させてしまう危険性が高いです。
 私が担当した事件では、事前の話し合いがなかったことに立腹して、夫側から離婚の申し出がなされてしまったというケースもありますので、注意が必要です。

(2)【リスク2】押しかけのリスク
 事前に何も話をしておかないと、混乱した夫があなたの実家やあなたの職場など、考えられる場所に押し掛けてくるリスクがあります。
 このような場合に、別居の際に置き手紙を残すといった方法が考えられますが、夫からするとあなたの別居を全く予測していなかったため、このような押しかけに及ぶ危険性があります。
 なお、お子様が学校や保育園を転校・転園していない場合、学校や保育園等に夫側が押し掛けてくることもあり得ますので、そうすると、お子様にも悪影響を与えるリスクがあります。

(3)【リスク3】お子様に混乱を生じさせるリスク
 前述のように、夫がお子様の学校や保育園に押し掛けて来たり、通学路等で待ち伏せをするリスクは否定できません。
 そのような際に、夫がお子様に対して、こちら側を混乱させるような話をしてきたりすると、お子様が戸惑ってしまうというケースもあります。

(4)【リスク4】生活費を渡さないなどと言い始めるリスク
 夫側は別居に納得していないと、「生活費を払わない」などと言い始めるケースもあります。
 そうなると、別居後のあなたの生活にも不安を生じさせるリスクがあります。
 もちろん、生活費(法律用語では「婚姻費用」などと言ったりします)は、婚姻費用分担調停などをすればしっかりと支払わせることができるのですが、調停をする労力等のことを考えると、別居当初から今後の生活費にあまり不安がない形の方が望ましいかと思います。

(5)以上のようなリスクがありますので、事前に夫側に別居する旨を伝えてから家を出た方が良いと思います。
 なお、以上の解説は、あなたが即離婚を希望しないケースの解説です。あなたが「即離婚したい」と考えている場合には、事前に何も話さずに別居した方が良いというケースもありますので、誤解等なきようお願い致します。

 

 

3.あなたが夫と1対1の場面で話さなくてはならないわけではない


 前述のように、事前に夫側に別居の旨を伝えた方が良いと思いますが、あなたが夫と1対1の場面で話さなくてはならないというわけではありません。
 例えば、あなたのご両親に間に入ってもらったり、手紙を書いて、事前に渡しておくなど、必ずしも1対1での話し合いにこだわる必要はありません。

 

 

4.緊急の場合などには、別居の後で話すケースも


 例えば、夫がお子様に暴力を振るって、そのことで警察に110番通報し、警察に逮捕してもらったというような場合ですと、夫が釈放される前に自宅を出なければならないというケースも多いです。
 そのような緊急性が高い場合には、事前に別居の話をするだけの時間的余裕がありませんので、事前に別居話をしていなくても致し方ないと思います。
 ただ、このような事態に陥ってもなおあなたの気持ちとして即離婚にするか悩んでいるという場合には、事後的に別居のことを夫側に伝えた方が良いと思います(伝え方については、前述の通り1対1で話し合うことは必須ではありません)。
 なお、刑事事件の件で夫が国選弁護人を立てる場合もあり、その場合には、ひとまず国選弁護人に対して当面別居する旨を伝えるという方法もあります。

 

 

5.まとめ
・あなたが即離婚を希望しない場合、別居の前に夫に話をした方が良い。
・事前に話をせずに別居してしまうと様々なリスクがある。
・別居話は必ずしも1対1で伝えなければならないわけではない。
・緊急の場合には、事前に別居話ができないケースもある。

 

 

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【夫から我が子への虐待(14)】離婚すべきか悩む場合、「一旦別居」はどう伝えればよいか?

2024.06.03更新

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1.なかなか離婚を決断できないケースも多い


 お子様が夫から虐待を受けているのに、離婚を決断できないという状況について、残念ながら、外の第三者から見ると、不可思議に見られてしまうこともあります。
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①私から見ると夫のしていることは虐待だけれども、子供も昨日叱られたことはすっかり忘れている様子で何もなかったかのように夫と接しているので悩んでしまう。
②夫は時折子供を激しく叱りつけるが、普段は子供と優しく接しているので、子供も懐いているから、子供と夫を離れ離れにすることが忍びない。
③夫の叱り方にも問題があるが、子供の側にも叱られる原因がある(お約束を守らなかったなど)ので、一概に夫だけを責められない。
④離婚が頭をよぎるが、夫の収入なしでは生活が立ち行かない。
⑤結婚を機に専業主婦になってかなり年数が経つので、すぐに働き始めるということが難しい(すぐに経済的に自立するということが難しい)。
⑥実家が遠方なので、実家を頼るということが難しい。
⑦子供と夫との仲はかなり険悪化してしまっているが、私と夫との関係がそこまで険悪化していない。

 

 

2.別居は誰から誰に伝えるか?


(1)妻から夫に伝えるんじゃないのか?
 「別居は誰から誰に伝えるのか?」と質問されれば、「妻から夫に伝えるんじゃないんですか?」という回答が返ってきそうですが、そう簡単ではないこともあります。
 例えば、①もう何年も家庭内別居の状態になっていて、ほとんど夫と直接話をしていないとか、②夫が子供を虐待している様子を見ていると怖いので、直接話さなくて良いなら直接話したくないとか、③夫はこちらの話をまともに聞こうともしないので私から伝えるのは難しいなど、様々な事情を抱えていることもあります。
 もちろん、あなた自身即離婚とすることは難しいと考えているということですので、夫婦円満の可能性もゼロではないということでしょうから、夫婦一対一で話ができるようでしたら、夫婦一対一で話をするのがベストです。
 ただ、それが難しい場合には、ご実家の両親にも来てもらって話をするとか、お互いの両親も同席して家族会議のような形にするという方法も検討してみて下さい。このような形にした方が、夫婦一対一で話をするよりも冷静に話をすることができる場合もあります。

(2)児童相談所を介して話をすることは?
 お子様の虐待が問題になっているので、児童相談所に間に入ってもらえませんか?と質問される方もいますが、児童相談所が間に入ることはできません。児童相談所は、お子様の福祉を守る立場ではあるものの、夫婦の問題については夫婦で直接話し合ってください、というのが基本スタンスだからです。

(3)弁護士や調停は?
 なかなか間に入ってくれる適任者がいないという場合には、弁護士に間に入ってもらって、別居の道筋をつけて欲しいと言われることもあります。
 ただ、あなた自身即離婚にできない事情がある場合、すぐに弁護士を雇うことはオススメしません。なぜなら、夫側からしてみれば、突如弁護士からの通知等が届くと、必要以上に反発してしまったり、警戒してしまったりするからです。
 また、調停についても、突如夫側に家庭裁判所からの呼出状が届くということになりますので、同様にあまりオススメしません。

 

 

3.どのように話すことを心がけるか?


(1)別居の理由を理解させることは難しいと考えた方が良い
 別居を切り出す際、夫に別居の理由を理解させるというスタンスで話をする方が非常に多いのですが、あまり得策ではないかもしれません。
 と言いますのは、夫からお子様への虐待の問題は、これまでにも長期間で続き、その都度あなたの方からも注意し続けてきたというケースが多いと思います。
 それでも、夫の態度が改善しないというのは、①かなり鈍感なのか、②ある程度は理解しているけれども自分を正当化しているのか、③自分の考えが絶対に正しいという人なので何を言っても聞かないのか、いずれにせよ、特別な事情があるのだと思います。
 そのため、いざ別居のタイミングであっても、夫にあなたの別居理由を理解させるということは、非常に難しいと思います。

(2)理解はしないまでも認識させるというスタンスが大事
 前述のように夫の側に別居理由を理解させることは難しいことが多いのですが、少なくとも、認識させることは重要です(要するに、別居のことなど聞いていないとか、別居の理由の説明もなかったという言い分が来ないようにするという意味です)。
 そのため、「どうせ理解しないのだから別居理由を伝えない」ということではなく、夫の側に認識させるために、別居理由をしっかりと伝える必要があります。
 また、一度話しても夫側は自分に都合の悪い話は忘れてしまうケースも多いので、①何度か伝える、②ある程度時間をかけて伝えるということも大事です。

 

 

4.まとめ


・様々な事情から即離婚と決断できない方も案外多い。
・一旦別居を妻から夫に直接伝えるのがベストだが、場合によっては両親等に同席してもらうといった方法もある。
・別居理由を夫に理解させることは難しいことが多いので、少なくとも別居理由を認識させるというスタンスが大事である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【夫から我が子への虐待(13)】離婚すべきか悩む場合、「一旦別居」という選択肢はありか?

2024.06.03更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「どこよりも分かりやすい解説」を目指して詳しく解説していきます。
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1.なかなか離婚を決断できないケースも多い


 お子様が夫から虐待を受けているのに、離婚を決断できないという状況について、残念ながら、外の第三者から見ると、不可思議に見られてしまうこともあります。
 しかし、私のところにご相談に来られる方は、以下のようなことをおっしゃる方もかなりの数いらっしゃいます。
①私から見ると夫のしていることは虐待だけれども、子供も昨日叱られたことはすっかり忘れている様子で何もなかったかのように夫と接しているので悩んでしまう。
②夫は時折子供を激しく叱りつけるが、普段は子供と優しく接しているので、子供も懐いているから、子供と夫を離れ離れにすることが忍びない。
③夫の叱り方にも問題があるが、子供の側にも叱られる原因がある(お約束を守らなかったなど)ので、一概に夫だけを責められない。
④離婚が頭をよぎるが、夫の収入なしでは生活が立ち行かない。
⑤結婚を機に専業主婦になってかなり年数が経つので、すぐに働き始めるということが難しい(すぐに経済的に自立するということが難しい)。
⑥実家が遠方なので、実家を頼るということが難しい。
⑦子供と夫との仲はかなり険悪化してしまっているが、私と夫との関係がそこまで険悪化していない。

 

 

2.そんなときのアドバイスは?


 前述のように離婚するかどうかを悩んでいるという方に対して、私は無理に離婚を勧めません。離婚するかどうかはあなた自身にとっても、今後の人生に関わる大切な話ですから、慎重に検討して欲しいと考えています。
 ただ、私の目から見て、夫からお子様への虐待内容が悪質な場合には、その旨は指摘させて頂きます(「奥様がすぐに離婚を決断できないとしても、今旦那様がお子様に対してやっていることは法律的には虐待になります。そのことは一つの考慮要素にして下さい」とか「奥様はそうおっしゃいますけれども、このような環境はお子様にとっては良くない環境だと思います」いったお話をさせて頂くのです)

 

 

3.「一旦別居」という選択肢はありか?


 あなたの気持ちとして、離婚を即決断できないということでしたら、一旦は別居するということももちろん選択肢としてはありです。
 ただ、その場合には、いくつか留意点があります。

(1)【ポイント1】夫に別居の理由をしっかりと伝える
 一つ目のポイントは、夫側に別居の理由をしっかりと伝えるというところです。
 お子様に対して虐待をする夫は、残念ながら、自分としては正しいことをしているという人も多いです(「子供が叱られるようなことをしているのだから仕方ない」とか、「きつく叱らないと治らない」というような言い方をするのです)。
 そのため、別居の理由はしっかりと伝えて、夫側が理解はしないまでも、最低限、認識はさせる必要があります。
 また、これまでの夫婦喧嘩の中で何度か伝えたことがあったとしても、夫の側にしっかりと伝わっていないことも多いので(夫婦喧嘩の時には、夫も感情的になっているため、しっかりと認識できていないということ)、別居のタイミングで、改めて別居の理由を伝えた方が良いと思います。

(2)【ポイント2】別居の位置付けを伝える
 次のポイントは、別居の位置付けを伝えるということです。
 夫の側は、別居と言われると、「もう離婚が避けられないのか?」と誤解してしまう人も多いので、「今すぐ離婚ということではなく、一旦は別居」という位置づけをしっかりと伝えるのです。
 また、あなたの心の中で、夫とやり直すための条件や改善して欲しい点などがあれば一緒に伝えた方が良いと思います。

(3)【ポイント3】場合によっては厳粛さを持たせる
 夫婦で話をしても、夫の側が軽く考えているとか、こちらの真意が伝わらないという場合には、あなたのご両親にも立ち会って話をするなど、一定の「厳粛さ」を持たせる工夫をすることもあります。
 折角別居をしても、夫の側から「あなたのわがまま」などと捉えられてしまいますと、別居の意義が半減してしまうと思いますので、必要に応じて話し合いの「厳粛さ」を持たせることも一つの方法かと思います。

(4)【ポイント4】可能であれば、ある程度時間をかけて話をする
 次のポイントは、ある程度時間をかける、という点です。
 夫は鈍感であったり、自分に不利なことには極力目を瞑りたいというタイプだと思いますので、一言二言話をしても、認識は深まらないと思います。
 そのため、少なくとも何回か同じ話をして、夫の側の理解を深めた方が良いと思います。
 ただ、夫とお子様との喧嘩が絶えないとか、警察沙汰になったことがある、というような場合には、お子様だけでも先に別居させた方が良いと思いますので、一旦、お子様だけ先に実家に避難してもらうという進め方をすることもあります。

(5)【ポイント5】可能であれば、別居中の約束事を決める
 夫があなたの別居に理解を示した場合には、別居中の約束事を決めた方が良いです。
 例えば、何も約束事を決めておかないと、毎週末夫がこちらの別居先まで来るので、これでは同居しているのと変わらなくなってしまったなど、失敗談もありますので、そのようなことにならないように約束事を決めるのです。
 ただ、夫側があなたの別居に渋々同意したという場合には、約束事を決めることまでは難しいかもしれませんので、「可能であれば」約束事を作るくらいのイメージでお考え下さい。

 

 

4.まとめ


・夫が子供に虐待をしていると思っても、様々な事情から即離婚は難しいと悩むケースは案外多い。
・そんな場合、私は無理に離婚を勧めない。
・一旦別居を選択する場合にも以下のようなポイントがある。
①【ポイント1】夫に別居の理由をしっかりと伝える
②【ポイント2】別居の位置付けを伝える
③【ポイント3】場合によっては厳粛さを持たせる
④【ポイント4】可能であれば、ある程度時間をかけて話をする
⑤【ポイント5】可能であれば、別居中の約束事を決める

 

 

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【弁護士秦の円満解決事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

2024.05.29更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.夫側に強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:30代後半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:5年ほど

現況:ご依頼時別居中

ご依頼内容:男性不妊で不妊治療を受けてきたのに、夫側の理解が不十分である。夫側の兄弟や両親が何かを口を出してくるが、その中で侮辱されることも多い。ただ、夫との日常生活に大きな不満があるわけではないので、円満とすべきか離婚とすべきかで悩んでいる。

 

 

3.当初は離婚で臨むことに決定した


 ご依頼者様のお話を聞いておりますと、不妊治療の件では夫側に不満があるものの、ご依頼者様の最大の不満は、夫側の親族との関わりのように感じられました。
 そのため、まずは、夫側の親族と距離を置くことで円満方向での話し合いも可能なのではないかとアドバイスし、一旦はご依頼者様ご本人で夫側と話をしてみてもらいました。

 数週間後、夫と話をした結果として、夫の不妊治療への理解は進んだものの、この間も夫側親族が口を出してきて、そのことを夫が強く止めなかったことに不満があるとのことでした。

 また、ご依頼者様もこの間抑うつ症状が悪化してきているとのお話もありましたので、離婚で話を進めることにしました。
 なお、一般的に当初円満希望のところを離婚に変更することはできるものの、離婚希望を円満に変更することは通常難しい旨を伝え、ご依頼者様にも納得してもらったうえで、進めることにしました。

 

 

4.私の方から夫側へ通知


 今回は詳しい離婚条件の提示までは行わず、まずは離婚希望とその理由等を記載した内容証明郵便を発送することにしました。
 当面は、奥様も貴重品等の引き取りを優先したいと話をしていたこと、詳しい離婚条件を提示することで、相手を不用意に刺激したくないため、このような記載ぶりにしました。

 

 

5.荷物引き取り時の様子


 その後、ご依頼者様の荷物の引き取りの件などもあって、いったん自宅に戻りましたところ、夫側から親族との縁を切っても構わないので、戻ってきて欲しいとの話がありました。
 奥様の方は、夫側からここまでの話が出ることは今までなかったので正直かなり悩んでいる様子でした。

 そこで、私の方からは、「旦那さんがお身内と縁を切ると言っても法律上正式に縁を切ることはできないから、お身内が今後夫婦関係に口を出さないという誓約書のようなものの提出ができるか打診してみて、旦那さん側の覚悟のほどを見てみるのもよいのではないか?」と提案させていただきました。
 奥様側も数日検討したうえで、夫側の身内の誓約書が揃うようであれば円満に切り替えて話を進めたいということでした。

 

 

6.夫婦円満での合意


 無事、夫側から身内の署名押印した誓約書の提出がありましたので、円満方向で話を進めていくことにしました。
 夫側はこれまでの行いを真摯に反省したいということで、こちらが提示する条件をすべて受け入れる形で円満協議書が出来上がりました。
 円満協議書の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② 妻側が別居を実行した経緯の確認と、それに対する夫側の謝罪表明
③ 不妊治療への理解を示す等の夫側の誓約事項
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示

 円満合意書のサインにはご夫婦が揃ってお見えになり、仲良く揃ってお帰りになったのが印象的でした。

 

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【弁護士秦の円満解決事例3◆妻側の事例◆】妻側からの夫婦円満調停申し立て-一旦は諦めたものの最終的に夫婦円満で解決したケース

2024.05.29更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.夫に対して強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:40代前半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:10年ほど

現況:別居中(夫側が勤め先の社員寮に住み始めてしまった)

ご依頼内容:夫の仕事が激務なのは頭では理解しているものの、あまりに夫婦としての時間が短じか過ぎるため、ここ2,3年前から不満を持ち始めていた。最近は、夫が仕事のストレスを家庭に持ってくるようになり、夫婦喧嘩が増えてしまっている。私としては夫への愛情がなくなったわけではないが、夫の方から「別れたほうが良いと感じている」といった話が出ており、どうすべきか悩んでいる。

 

 

3.間に入ってくれる適任者がいないかの検討


 ご依頼者様の方では、夫側と直接話をすると喧嘩になってしまい、結局は、夫側から「別れるしかない」という話しか出ない状況で困っているということでした。
 そのため、そのような場合には、私の方からは、身内の方でもよいので誰か間に入って話をしてくれる人物がいないかを検討してもらうことにしました。
 ただ、ご依頼者様の方で検討してもらいましたが、ご依頼者様のご両親も、夫側のご両親も実家が遠く、本件で顔を出してもらうことは難しい状況ということでした。
 そもそも、夫側は家庭の問題を身内を含めて家庭の外に話をすることを非常に嫌がる方ということで、誰かに間に入ってもらって話をしてもらうことは難しいということでした。

 

 

4.ご依頼者様の希望もあって調停を申し立てることにした


 そこで、私の方としては、私が弁護士として一度は旦那様と直接会って話をしてみたいということをご依頼者様にお伝えしました。
 ただ、ご依頼者様の方では、弁護士を雇ったと聞くと旦那様は逆上する可能性が高く、そうすると、夫婦円満の道が完全に閉ざされる恐れがあるので、調停を起こして欲しいと強く希望なさっていました。
 このように、ご依頼者様からの強い希望もありましたので、調停を申し立てることにしました。なお、調停を起こした際には、ご依頼者様が弁護士を立てたことは相手にも知られることはお伝えしたのですが、調停の手続きにのっとっていれば、相手も、下手なことはしないであろうという話でしたので、調停を進めることにしました。

 

 

5.離婚ではなく夫婦円満調停を申し立てた


 調停を起こすとなりますと、離婚という形で調停を申し立てるのか、夫婦円満で調停を申し立てるのかを予めしっかりと決定する必要があります。
 ご依頼者様の方でも、そこはかなり悩んでおり、夫側から別れたいと言われるようなら執着せずに別れてしまった方が良いのではないかという話もありました。

 ただ、ご依頼者様は、夫との愛情を失っているわけではないので、やはり夫婦円満で調停を申し立てて欲しいということでしたので、離婚ではなく夫婦円満調整の調停を申し立てました。
 なお、夫婦円満調停を申し立てる際には、調停委員によりますが、強く離婚を進めてくる調停委員も多いため、この点は予め了承してもらいたい旨は伝え、了承を得た上で、申立をしました。

 

 

6.調停期日2回目にして離婚やむなしとの意向伝達


 第1回調停期日においては、当方も夫婦円満の基本方針を維持しました。ただ、第1回調停期日において夫側は身勝手な言い分を並び立てており、ご依頼者様も、夫の身勝手さには付き合いきれないという表情を浮かべていました。
 ただ、ひとたび離婚と言ってしまいますと、離婚の方向で話が進んでしまいますので、夫婦円満を維持するか離婚にかじを切るかは第2回期日までに慎重に検討してきて欲しいということで、第1回期日では判断を保留にしておきました。

 結局、ご依頼者様の決断は第2回期日の1週間ほど前まで固まらなかったのですが、結論としては、①やはり第1は夫婦円満を目指したい、②但し、夫側がかなりの財産分与を支払ってくれるようであれば、その条件によっては離婚に応じてもよいという形で決断しました。
 第2回調停期日でも、調停委員に対して、そのように伝えましたところ、夫側は復縁は考えていないようで、財産分与の話を進めたいということでしたので、財産分与の対象財産の整理を進めていくことになりました。

 ただ、調停委員からは、夫側は口では、円満は考えていないということであったが、夫側から離婚裁判を起こすというように積極的に動く様子もないようで、多少真意が分からないという話もしていました。

 

 

7.財産分与の中での夫側の翻意


 財産分与を請求するにあたり、実は、当方では、相手の財産の所在はしっかりと事前に把握済みの状況でした。離婚の話になると、とかく夫側は自身の財産を隠そうとすることもありますので、事前にしっかりと把握しておいたのです。
 調停手続きの中で、こちらとしてしっかりと夫側の財産を把握している旨を伝え、その部分を一覧表に整理したうえで提示すると、夫側は調停委員に対して明らかに嫌な顔を浮かべたということでした。

 結局、夫側は離婚に当たってそんなにお金を払うくらいなら復縁の方向で話を進めて欲しいと言い始めました。
 このように夫側の優柔不断な様子が垣間見えたので、私の方からご依頼者様に対しては、このように相手が優柔不断だと今後の生活でも苦労が多いだろうということは伝えました。ただ、ご依頼者様としては、夫婦円満が第1希望だということは変わらないので、是非円満で調整して欲しいということでした。

 

 

8.夫婦円満で調停成立


 その後も夫婦円満のための条件作り等で話し合いを続け、最終的に夫婦円満にて調停成立にこぎつけることが出来ました。
 調停で約束した内容の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② お互いに嘘を言わずコミュニケーション促進に努める
③ 夫婦共有の財産の処分は事前に相手と相談したうえで行う。
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示
⑤ 妻側で④の生活費以上の支出を要する場合には、別途夫婦で協議を行う。

 

 

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