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【弁護士秦の円満解決事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

2020.05.27更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.夫側に強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:30代後半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:5年ほど

現況:ご依頼時別居中

ご依頼内容:男性不妊で不妊治療を受けてきたのに、夫側の理解が不十分である。夫側の兄弟や両親が何かを口を出してくるが、その中で侮辱されることも多い。ただ、夫との日常生活に大きな不満があるわけではないので、円満とすべきか離婚とすべきかで悩んでいる。

 

 

3.当初は離婚で臨むことに決定した


 ご依頼者様のお話を聞いておりますと、不妊治療の件では夫側に不満があるものの、ご依頼者様の最大の不満は、夫側の親族との関わりのように感じられました。
 そのため、まずは、夫側の親族と距離を置くことで円満方向での話し合いも可能なのではないかとアドバイスし、一旦はご依頼者様ご本人で夫側と話をしてみてもらいました。

 数週間後、夫と話をした結果として、夫の不妊治療への理解は進んだものの、この間も夫側親族が口を出してきて、そのことを夫が強く止めなかったことに不満があるとのことでした。

 また、ご依頼者様もこの間抑うつ症状が悪化してきているとのお話もありましたので、離婚で話を進めることにしました。
 なお、一般的に当初円満希望のところを離婚に変更することはできるものの、離婚希望を円満に変更することは通常難しい旨を伝え、ご依頼者様にも納得してもらったうえで、進めることにしました。

 

 

4.私の方から夫側へ通知


 今回は詳しい離婚条件の提示までは行わず、まずは離婚希望とその理由等を記載した内容証明郵便を発送することにしました。
 当面は、奥様も貴重品等の引き取りを優先したいと話をしていたこと、詳しい離婚条件を提示することで、相手を不用意に刺激したくないため、このような記載ぶりにしました。

 

 

5.荷物引き取り時の様子


 その後、ご依頼者様の荷物の引き取りの件などもあって、いったん自宅に戻りましたところ、夫側から親族との縁を切っても構わないので、戻ってきて欲しいとの話がありました。
 奥様の方は、夫側からここまでの話が出ることは今までなかったので正直かなり悩んでいる様子でした。

 そこで、私の方からは、「旦那さんがお身内と縁を切ると言っても法律上正式に縁を切ることはできないから、お身内が今後夫婦関係に口を出さないという誓約書のようなものの提出ができるか打診してみて、旦那さん側の覚悟のほどを見てみるのもよいのではないか?」と提案させていただきました。
 奥様側も数日検討したうえで、夫側の身内の誓約書が揃うようであれば円満に切り替えて話を進めたいということでした。

 

 

6.夫婦円満での合意


 無事、夫側から身内の署名押印した誓約書の提出がありましたので、円満方向で話を進めていくことにしました。
 夫側はこれまでの行いを真摯に反省したいということで、こちらが提示する条件をすべて受け入れる形で円満協議書が出来上がりました。
 円満協議書の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② 妻側が別居を実行した経緯の確認と、それに対する夫側の謝罪表明
③ 不妊治療への理解を示す等の夫側の誓約事項
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示

 円満合意書のサインにはご夫婦が揃ってお見えになり、仲良く揃ってお帰りになったのが印象的でした。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士秦の円満解決事例3◆妻側の事例◆】妻側からの夫婦円満調停申し立て-一旦は諦めたものの最終的に夫婦円満で解決したケース

2020.05.27更新

弁護士秦

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1.夫に対して強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:40代前半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:10年ほど

現況:別居中(夫側が勤め先の社員寮に住み始めてしまった)

ご依頼内容:夫の仕事が激務なのは頭では理解しているものの、あまりに夫婦としての時間が短じか過ぎるため、ここ2,3年前から不満を持ち始めていた。最近は、夫が仕事のストレスを家庭に持ってくるようになり、夫婦喧嘩が増えてしまっている。私としては夫への愛情がなくなったわけではないが、夫の方から「別れたほうが良いと感じている」といった話が出ており、どうすべきか悩んでいる。

 

 

3.間に入ってくれる適任者がいないかの検討


 ご依頼者様の方では、夫側と直接話をすると喧嘩になってしまい、結局は、夫側から「別れるしかない」という話しか出ない状況で困っているということでした。
 そのため、そのような場合には、私の方からは、身内の方でもよいので誰か間に入って話をしてくれる人物がいないかを検討してもらうことにしました。
 ただ、ご依頼者様の方で検討してもらいましたが、ご依頼者様のご両親も、夫側のご両親も実家が遠く、本件で顔を出してもらうことは難しい状況ということでした。
 そもそも、夫側は家庭の問題を身内を含めて家庭の外に話をすることを非常に嫌がる方ということで、誰かに間に入ってもらって話をしてもらうことは難しいということでした。

 

 

4.ご依頼者様の希望もあって調停を申し立てることにした


 そこで、私の方としては、私が弁護士として一度は旦那様と直接会って話をしてみたいということをご依頼者様にお伝えしました。
 ただ、ご依頼者様の方では、弁護士を雇ったと聞くと旦那様は逆上する可能性が高く、そうすると、夫婦円満の道が完全に閉ざされる恐れがあるので、調停を起こして欲しいと強く希望なさっていました。
 このように、ご依頼者様からの強い希望もありましたので、調停を申し立てることにしました。なお、調停を起こした際には、ご依頼者様が弁護士を立てたことは相手にも知られることはお伝えしたのですが、調停の手続きにのっとっていれば、相手も、下手なことはしないであろうという話でしたので、調停を進めることにしました。

 

 

5.離婚ではなく夫婦円満調停を申し立てた


 調停を起こすとなりますと、離婚という形で調停を申し立てるのか、夫婦円満で調停を申し立てるのかを予めしっかりと決定する必要があります。
 ご依頼者様の方でも、そこはかなり悩んでおり、夫側から別れたいと言われるようなら執着せずに別れてしまった方が良いのではないかという話もありました。

 ただ、ご依頼者様は、夫との愛情を失っているわけではないので、やはり夫婦円満で調停を申し立てて欲しいということでしたので、離婚ではなく夫婦円満調整の調停を申し立てました。
 なお、夫婦円満調停を申し立てる際には、調停委員によりますが、強く離婚を進めてくる調停委員も多いため、この点は予め了承してもらいたい旨は伝え、了承を得た上で、申立をしました。

 

 

6.調停期日2回目にして離婚やむなしとの意向伝達


 第1回調停期日においては、当方も夫婦円満の基本方針を維持しました。ただ、第1回調停期日において夫側は身勝手な言い分を並び立てており、ご依頼者様も、夫の身勝手さには付き合いきれないという表情を浮かべていました。
 ただ、ひとたび離婚と言ってしまいますと、離婚の方向で話が進んでしまいますので、夫婦円満を維持するか離婚にかじを切るかは第2回期日までに慎重に検討してきて欲しいということで、第1回期日では判断を保留にしておきました。

 結局、ご依頼者様の決断は第2回期日の1週間ほど前まで固まらなかったのですが、結論としては、①やはり第1は夫婦円満を目指したい、②但し、夫側がかなりの財産分与を支払ってくれるようであれば、その条件によっては離婚に応じてもよいという形で決断しました。
 第2回調停期日でも、調停委員に対して、そのように伝えましたところ、夫側は復縁は考えていないようで、財産分与の話を進めたいということでしたので、財産分与の対象財産の整理を進めていくことになりました。

 ただ、調停委員からは、夫側は口では、円満は考えていないということであったが、夫側から離婚裁判を起こすというように積極的に動く様子もないようで、多少真意が分からないという話もしていました。

 

 

7.財産分与の中での夫側の翻意


 財産分与を請求するにあたり、実は、当方では、相手の財産の所在はしっかりと事前に把握済みの状況でした。離婚の話になると、とかく夫側は自身の財産を隠そうとすることもありますので、事前にしっかりと把握しておいたのです。
 調停手続きの中で、こちらとしてしっかりと夫側の財産を把握している旨を伝え、その部分を一覧表に整理したうえで提示すると、夫側は調停委員に対して明らかに嫌な顔を浮かべたということでした。

 結局、夫側は離婚に当たってそんなにお金を払うくらいなら復縁の方向で話を進めて欲しいと言い始めました。
 このように夫側の優柔不断な様子が垣間見えたので、私の方からご依頼者様に対しては、このように相手が優柔不断だと今後の生活でも苦労が多いだろうということは伝えました。ただ、ご依頼者様としては、夫婦円満が第1希望だということは変わらないので、是非円満で調整して欲しいということでした。

 

 

8.夫婦円満で調停成立


 その後も夫婦円満のための条件作り等で話し合いを続け、最終的に夫婦円満にて調停成立にこぎつけることが出来ました。
 調停で約束した内容の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② お互いに嘘を言わずコミュニケーション促進に努める
③ 夫婦共有の財産の処分は事前に相手と相談したうえで行う。
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示
⑤ 妻側で④の生活費以上の支出を要する場合には、別途夫婦で協議を行う。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士秦の円満解決事例2◆夫側の事例◆】妻から申し立てられた夫婦円満調停で、無事円満成立したケース

2020.05.27更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.お子様のことを考えると、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 お子様がいらっしゃらず、夫婦のみの話の場合、離婚になるであろうというケースでも、お子様のことを考えると、円満で協議したほうが良いかもしれないというケースは多くあります。
 特に、お子様のあなたへの愛着関係が強い場合には、お子様に不憫な思いをさせたくないと考えることはごく自然なことです。
 ただ、そのことで、あなたが奥様とのぎくしゃくした関係を今後も継続しなければならないのかという点にはしっかりと向き合う必要があります。
 最終的には、あなたにとって何が一番大切なのかをしっかりと見つめてもらい、その中で夫婦円満が良いのか離婚が良いのかを最終判断していくしかないと思います。

 

2.夫側での復縁の可能性


 詳しくは、これから解説していきますが、今回のケースでは無事夫婦円満という形で事件を終了させることが出来ました。
 しかし、実際に私が旦那様側で事件を担当するケースで、実際に夫婦円満で解決できたケースはほんの一握りというのが現実です。
 特に、私が担当するケースは、既に奥様の側が弁護士をつけて離婚調停の申し立てまでしてしまっているというケースが多いため、それだけ復縁の難易度は上がってしまっていることが多いです。
 そのため、以下の私の担当ケースも、ほんの一握りのケースとご理解の上、ご覧頂ければと思います。

 

 

3.私が担当した事件


ご依頼者様:40代後半の男性
相手方:40代後半の妻

お子様:中学生のご長女お一人
婚姻期間:20年ほど

現況:同居中
ご依頼内容:長女の反抗期もあって、妻と長女との喧嘩が絶えない。長女の言い分が正しいと思えるところは、妻にも言って聞かせているのだが、妻側は、私の対応が不公平だということで、攻撃の矛先がこちらに向くこともあって困っている。妻は離婚するかかなり悩んだようだが、弁護士を立てて夫婦円満調停を申し立ててきたので、円満に向けて話を進めるにあたり、助力をいただきたい。

 

 

4.ご依頼者様の意思確認


 ご依頼者様の方では夫婦円満で話を進めて欲しいというところは、決意が固まっている様子でしたが、奥様の方から調停が起こされている以上、夫婦として何等かのわだかまりが大きいことは間違いないと思いますので、どのようなところが夫婦の対立点になっているのかといった点を丁寧に確認しました。
 そのような確認作業の中では、夫婦の間、家庭の中での様々な問題があることが分かったので、そのことを踏まえても夫婦円満を希望しているのかを再度確認しました。
 すると、ご依頼者様の方では円満を希望したいと即答されましたので、円満の方針で調停に臨むことにしました。

 

 

5.第1回調停期日での調停委員からの意思確認


 調停が申し立てられている場合には、第1回調停期日の前までに答弁書を提出しておく必要がありますので、当方としましては、答弁書に手円満希望であることを明記して裁判所にも提出しておきました。
 このように事前に書面でご依頼者様の意向は裁判所に伝えていたのですが、第1回調停期日に臨みますと、調停委員からは「このようなご夫婦の問題はお互いの気持ちが同じ方向を向いていないと、話がうまく進まないものですから、まずは旦那さんの方の意向を確認させてください」ということを、ややもったいぶった言い方で伝えられました。

 要するに、本当に夫婦円満でいいのか、離婚ということでも構わないということを聞かれたわけです。
 これに対して、当方からは円満を希望する旨の話をしましたところ、調停委員も、夫婦がお互いに円満を希望するのであれば、円満に向けての話し合いをしようということになりました。

 

 

6.一番苦労したのは奥様側からの多種多様な要望を、穏便に返答していく作業


 今回の調停で一番苦労しましたのは、奥様側から多種多様な要望が投げかけられたことでした。
 特に、奥様側はこの時にこう言ったことを認めて欲しい、あの時にこういう行動を取ったことを認めたうえで、今後同様の行為をしないことを誓約して欲しいなどと多種多様な要望が噴出しました。

 こちらとしても、非がある部分はもちろん認めますが、その全部を調停条項に盛り込むと、調停条項が長大になってしまいますし、今後の夫婦関係が窮屈になることは明らかでした。
 調停委員もその点は理解してくれて、あまり細々と定めない方がお互いにとって良いという話はしてくれたのですが、奥様側からは、これが入れられないならあれを入れてくれという話が延々と続きました。

 このような細かな話は1回の調停期日の中では収まりきらず、期日間にも相手弁護士からいろいろと要望が寄せられました。
 これに対しては、あまり相手を刺激しないような返答に努めつつ、他方で、あまり相手の要望を受け入れ過ぎずという返答を繰り返しました。

 

 

7.この間も家族の関係は改善していった


 このように調停期日や弁護士間のやり取りをしていると、夫婦の関係も険悪化してしまうというケースも多いのですが、ご依頼者様のご家庭は、良好な関係に改善していきました。
 と言いますのも、奥様側が家庭ではなかなか面と向かってご依頼者様に対して不満を言いにくいけれども、調停の場でしっかりと不満を言うことが出来て、それでストレス発散している様子がありました。
 こちらは、奥様の不満をそのまま受け入れてはいないのですが、極力奥様を刺激しないように対応したことが功を奏したようです。

 

 

8.約8か月の調停を経て調停成立


 奥様からの要望がだんだんと収斂していったのですが、いざ調停条項にどのように書き込むのかという点で、どういう表現にするのが良いのかという点でも随分と調整を重ねました。
このようにして調整を繰り返し調停で約束した内容の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② お互いにコミュニケーション促進に努める
③ お互いに嘘を言わない。
④ 長女の成績についてはお互いに認識を共有する。
⑤ 長女の教育方針については都度お互いに協議を行う。
⑥ お互いの資産状況の透明化
⑦ 奥様側に渡す月々の生活費の額の明示

 

 

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1.お子様のことを考えると、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 お子様がいらっしゃらず、夫婦のみの話の場合、離婚になるであろうというケースでも、お子様のことを考えると、円満で協議したほうが良いかもしれないというケースは多くあります。
 特に、お子様のあなたへの愛着関係が強い場合には、お子様に不憫な思いをさせたくないと考えることはごく自然なことです。
 ただ、そのことで、あなたが奥様とのぎくしゃくした関係を今後も継続しなければならないのかという点にはしっかりと向き合う必要があります。
 最終的には、あなたにとって何が一番大切なのかをしっかりと見つめてもらい、その中で夫婦円満が良いのか離婚が良いのかを最終判断していくしかないと思います。

 

 

2.夫側での復縁の可能性


 詳しくは、これから解説していきますが、今回のケースでは無事夫婦円満という形で事件を終了させることが出来ました。
 しかし、実際に私が旦那様側で事件を担当するケースで、実際に夫婦円満で解決できたケースはほんの一握りというのが現実です。
 特に、私が担当するケースは、既に奥様の側が弁護士をつけて離婚調停の申し立てまでしてしまっているというケースが多いため、それだけ復縁の難易度は上がってしまっていることが多いです。
 そのため、以下の私の担当ケースも、ほんの一握りのケースとご理解の上、ご覧頂ければと思います。

 

3.今回のケースの概要


ご依頼者様:40代後半の男性

相手方:40代前半の妻

お子様:小学校高学年のご長男お一人

婚姻期間:15年ほど

現況:別居中(奥様がお子様を連れて実家に無断別居してしまった)

ご依頼内容:長男との関係は良好で、中学受験に向けて熱心に受験指導も行ってきたつもりですが、どうしても、その中で長男を叱りつける場面が増えてしまっていました。私としては、理由があって叱っていたのですが、家内の方は、納得していない様子で、そのような言い方はやめるよう言われることも多くなっていました。つい先日妻が無断別居を始めてしまい、婚姻費用の調停を起こすというので、どうすればよいか分からなくなって相談に来ました。

 

 

4.ご依頼者様の意思確認


 最愛の妻の無断別居に加え、裁判所から呼び出される立場になったということで、ご依頼者様はかなり憔悴している様子が見えました。
 そこで、このような状態では、現状冷静な判断はできないだろうからということで、少し気持ちを落ち着かせる期間を置いて、その後に離婚するか夫婦円満で話を進めるかを慎重に検討して欲しいという話をしました。

 ただ、少なくとも、先方からは婚姻費用の調停が起こされている以上、これに対しては真摯に回答しておいた方が良いということで、算定表で定める程度の生活費は支払っていくという方向性で一致しました。

>>算定表はこちら

 

 

5.並行してカウンターで面会交流調停の申し立て


 今回のケースでは、ひとまず先方からは婚姻費用分担調停の申し立てしかなかったのですが、これでは、お子様との面会交流がいつ実現するか未知数でしたので、面会交流の調停を起こしました。
 ただ、突如こちらから調停を起こすと、先方を刺激する危険性もありますので、事前に調停を起こす旨をアナウンスしたうえで、調停を起こしました。

 

 

6.相手弁護士へ奥様の意向確認


 当職の方から相手弁護士に電話連絡を入れ、奥様から夫婦関係についての調停申し立てがないが、どのように考えているのかの確認を行いました。
 すると、相手弁護士の口からは「奥様としてはすぐに離婚だと言ったつもりはないようです」という言葉が出ました。

 一見、この回答は喜ぶべき様にも見えますが、残念ながら、そうとは限りません。
 と言いますのは、奥様としては婚姻費用を取れるだけ取ったうえで離婚したいと考えている場合もあり、「今は離婚するつもりはない」ということが「今は離婚するつもりはないが、近い将来離婚することは確実である」ということを意味する可能性が捨てきれないからです。
 そのため、私からご依頼者様にも、上記の可能性も伝えた上で、今後どのように対応するかを慎重に検討して欲しい旨を伝えました。

 

 

7.当人同士の直接の話し合いの実現


 これは、ご依頼者様からの希望でもあったのですが、奥様と直接会って話をしたいということでした。
 当事者双方に弁護士が付いている場合には、ご夫婦が当人同士で話をすることは非常にハードルが高いのが実情です。そのため、私の方からご依頼者様にも事前にその旨は伝えたうえで、相手弁護士に打診をしてみました。

 当初は、相手弁護士もかなり難色を示していましたが、婚姻費用の話でもこちらがかなり積極的に支払いたい旨を伝えたことを好印象と考えたのか、第2回調停期日が終了した頃には、とりあえずお互いの弁護士同席のもとであれば直接会って話をすることでも構わないという話になりました。
 結局、弁護士同席の話し合いは30分ほどの短時間で終わったのですが、その後は、後述のアンガーマネジメントの受講後に、お互いのLINEのやり取りが少しずつ復活していくようになったのです。

 

 

8.決定打はアンガーマネジメントのクリニック受診を開始していたこと


 当方としては、多少ご長男を叱責したことは認めていましたが、DVなどの極端な対応をしたつもりもありませんでした。
 弁護士が同席した上での当人同士の話し合いの際にも、奥様側からはプログラム受講の話が出ましたが、こちらも即答は避けました。
 そこで、私の方からは、DV専門のプログラムではなく、アンガーマネジメント要するに感情コントロールのプログラム受講であればよいのではないかとアドバイスをし、ご依頼者様の方でも受講していくことにしました。

 ご依頼者様の方では、DV専門プログラムであると、DV加害者としてレッテルを張られるようで絶対に納得できないとおっしゃっていて、当初は、アンガーマネジメントについてもプライドが許さないというようなことをおっしゃっていました。
 ただ、お子様を含めた家族への取り組み方の一環としてどうだろうかという話をしましたところ、受講を決断なさいました。

 このことについては、奥様の方もかなり好印象に感じたようで、このことが上記の直接のLINE復活の大きなきっかけになりました。
 また、ご依頼者様の方も実際に受講してみると、社会人生活を送るに当たってのヒントになるような話も多いということでした。

 

 

9.最終的にオーソドックスな内容で婚姻費用と面会交流調停をまとめたうえで調停は終了


 最終的に、調停としては夫婦関係についての調停は起こさずに、婚姻費用については月々に支払う生活費の金額を定め、面会交流については月1回程度面会交流させるというシンプルな条項にしたうえで調停を成立させました。
 ご依頼者様もおっしゃっていたのですが、奥様の方も調停に足を運ぶということ自体が心理的負担になっている様子があるということでしたので、敢えて夫婦円満調停の申し立て等は控え、今後の夫婦関係についての条件等は定めずに調停を終了させることにしたのです。
 この点は、奥様の方から夫婦円満に向けての条件提示等もあるかと思ったのですが、ご依頼者様がアンガーマネジメントの受講を継続している限りは安心だと感じたのか、条件提示等はありませんでした。

 

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弁護士から見た夫婦立て直しの「秘訣」とは?

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1.なぜ弁護士が夫婦円満の秘訣の話をするのか?


 私は、様々な夫婦問題のケースを担当し、一握りではありますが、夫婦円満という形で事件を決着させられたケースもあります。

 夫婦円満のためには、コミュニケーションを増やした方が良い、旦那の前でも美しさを保った方が良いとか、こういうことをすると夫は興ざめするだとかいろいろなサイトを見かけますが、いずれも抽象的過ぎる気がしますし、ご家庭の状況は皆様様々なので、型にはまったやり方だとうまくいかないことも多いと思います。

 

 そのため、今回は、私が無事円満に導くことが出来たケースをもとに、一度は離婚に瀕した家庭で何が一番大事なのか、どのようなことに特に注意しなければいけないのかといったお話をさせて頂きます。

 

 

2.【ポイント1】必殺技や奥の手はない


 私のところに夫婦円満を目指してご相談に来られる方の中には、私が夫婦円満のための必殺技や奥の手を知っていると誤解されていらっしゃる方もいます。
 そのため、最初にお話しておきますが、私の経験上、夫婦円満のための必殺技や奥の手はありません。
 ご相談に来られた方には、奥の手はないので、地道に信頼回復に努めていきましょうというお話をすることが多いです。

 

 

3.【ポイント2】状況に応じた対応の場合分け


 詳しくは>>【弁護士が解説】ケース別復縁難易度<<のブログをご覧いただきたいのですが、あなたが置かれている状況によって深刻度が異なります。ケース別復縁難易度はあくまで対応の目安となりますので、絶対の指標ではないのですが、あなたが今置かれている状況の深刻度を考える一つの目安になると思います。
 もちろん、深刻度が高いケースですと、より一層慎重な対応が必要になります。

 

 

4.【ポイント3】反省と謝罪


 このブログをご覧になられている方は、奥様(旦那様)から離婚の話を切り出されたり、別居されてしまったという方が大半かと思います。
 そのような場合には、相手から離婚を切り出される引き金となった出来事、別居の引き金となった出来事があると思います。
 ご夫婦なので様々な経緯があってのことだとは思いますが、相手にそこまでの決意をさせたということは変わりありませんので、まずは、反省と謝罪の気持ちを示すことが重要なケースが多いです。

 

 

5.【ポイント4】感謝


 前述のように、相手の行動の直接の引き金があるのであれば、そのことへの反省と謝罪の気持ちを示すことが一番大切になります。
 そのことと合わせて、普段の相手の仕事ぶり、家事・育児などへの感謝の気持ちを示すことも、同様に大切なことになります。
 夫婦喧嘩中ですと、感謝の気持ちを示すことに抵抗感を持つ方も多いのですが、意固地になっていますと状況は悪化していく一方というケースも多いので、感謝の気持ちは早めに示しておいた方が良いケースが多いです。

 特に、相手が弁護士を立ててしまいますと、相手と直接話をする機会すら奪われてしまうことも多いです。そのようなケースですと、せめて直接会って反省の気持ち・感謝の気持ちを伝えたいと願っても、それすらかなわないということになりかねません。

 

 

6.【ポイント5】間に誰かをはさむ


 夫婦が直接話をすると冷静な話し合いができない、余計にこじれそうだというような場合には、あなたのご両親や身内の方、仲人の方その他友人・知人の方などに間に入ってもらって話をするということが有益です。
 なお、間に入ってくれそうな適任者がいないというときには、弁護士に間に入ってほしいとおっしゃる方も多いのですが、夫婦円満を目指す場合には、安易に弁護士に依頼せず、極力ご本人同士の話し合いかどなたかを挟んだ話し合いを強くオススメすることが多いです。

 

 

7.【ポイント6】簡単に諦めない


 私のところにご相談に来られる方は、「実際夫婦円満で解決したケースはどのくらいあるのでしょうか?」と聞いてくることも多いです。
 これに対する私の回答は「残念ですが私が担当したケースでも一握りしかありません」ということになります。
 特に、相手が弁護士をつけていたり、調停を申し立てているケースですと難易度はグッと上がるとイメージしてください。

 ただ、難易度が高いことと復縁を諦めることとはイコールではありません。
 あなた自身の今後の人生、お子様の今後の人生のことも考えて、復縁こそがベストな選択肢だと考えるのであれば、簡単に諦めずに突き進んだ方が良いケースが多いと思います。

 

 

8.まとめ


・【夫婦円満のポイント1】必殺技や奥の手はない
・【夫婦円満のポイント2】状況に応じて対応を場合分けしてみるとよい
・【夫婦円満のポイント3】直前の出来事への反省と謝罪の気持ちを示す
・【夫婦円満のポイント4】感謝の気持ちを示す
・【夫婦円満のポイント5】直接当人同士の話し合いが望ましくない場合には、誰かに間に入ってもらうことを考えてもよい。
・【夫婦円満のポイント6】簡単に復縁を諦めない

 

 

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>【弁護士秦の円満解決事例1◆夫側の事例◆】婚姻費用分担調停と並行して協議し、夫婦円満で決着したケース

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>突如離婚調停の相手方にされてしまった方へー【調停テクニック1】調停申立書の読み方

>夫婦円満調停ってなんだ?

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(15)】夫婦円満調停を申し立てるかどうかの9個のポイント

2020.05.27更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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1.そもそも、夫婦関係円満調整調停って何だ?


 夫婦関係円満調整調停とは、一般的には、夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。
 調停は、裁判所庁舎内の調停室(会議室のような部屋)で行われます。
 なお、調停は夫婦同席ではなく、基本的にご夫婦が別々に調停室に入室する形で行われます(一方が話をしている間は、他方が待合室で待機している形を取ります)

 

2.夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイントって?


 

 上記の通り、夫婦円満調停は、夫婦の話し合いを多数取り扱う調停委員が間に入ってくれますので、一面では大変便利な制度と言えます。弁護士を雇うよりも、調停を申し立てたほうが費用面からも非常に安価で済みます。
 他方で、裁判所を利用した手続きになりますので、呼び出しを受けた相手を無用に刺激してしまうというリスクなどもあります。
 そのため、今回は夫婦円満調停を申し立てるべきかの9個のポイントを整理し、解説していきます。

 

 

3.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント1】極力直接の話し合いに努めるべき


 この点は、私が一番よくご相談者様にお話させていただく内容です。
 上記の通り、夫婦円満調停は便利な制度としての側面を有しますが、本来夫婦円満を目指すのであれば、最低限夫婦で直接コミュニケーションが取れる状況にまで回復させることを目標とすべきです。
 今後もご夫婦として仲睦まじい家庭を目指すのであれば、直接話し合いをして問題を解決できれば、それに越したことはないでしょう。

 

 ただ、夫婦円満調停が頭に浮かんだということは、ご夫婦同士で直接の話し合いが難しい状況にあるということでしょう。例えば、相手配偶者がこちらの話を一切無視するとか、勝手に出て行って連絡も取りにくくなったといったケースも考えられます。
 このように直接の話し合いが難しいケースでも、すぐに話し合いを諦めるのではなく、ご両親や兄弟姉妹といったお身内の方や、仲人、友人、職場の上司、大学時代の先輩その他知人関係の方で間に入ってくれる方や、夫婦の話し合いに同席してくれそうな適任者を探してみてください。
 そのような方を間に入れることで、夫婦の本音を聞けるというケースもあります。

 

 このように話し合いの方法などを工夫しても話し合いがうまくいかないという場合には、いよいよ夫婦円満調停も視野に入ってきます。
ただ、そのような場合でもいきなり調停を申し立てるのではなく、事前に相手に予告したうえで調停を申し立てるようにしてください。相手としても調停まではしたくないという場合には、直接の話し合いに応じるケースもあるからです。

 

 

4.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント2】いわゆる「脅し」として活用するのはNG


 

 たまに私のところに相談に来られる方の中には、夫婦円満調停を、いわば「脅し」と言いますか「自分が優位に立つ道具として利用しよう」としている方もいます。

 要するに、夫婦円満調停を起こすと、裁判所から相手に対して呼出状が届きますので、そのことで相手をびっくりさせて優位に立とうとするのです。

 確かに、相手の言動や行動、やり方が気に入らないというときに、相手を牽制するために夫婦円満調停を起こしたいという気持ちは分からなくはないのですが、相手を驚かせようという姿勢は、かえって夫婦関係修復を遠のかせてしまうと思います。

 また、夫婦円満調停は他の「ポイント」で指摘しております通り、様々な検討要素がありますので、少なくとも安易に「脅し」のような目的で申し立てることは控えるべきだと思います。

 

 

5.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント3】調停委員は残念ながら夫婦円満方向に熱心ではないことも多い


 調停委員はあくまで中立な立場からご夫婦のお互いの話を聞いてくれます。
 しかしながら、現在家庭裁判所で取り扱う調停事件の大半は離婚調停事件でして、夫婦関係の離婚で調停が解決するケースが圧倒的多数です。
 このように離婚で事件を処理している関係で、調停委員は、残念ながら夫婦円満での話し合いには熱心ではないことが多いです。

 調停委員が良く口にしますのが「夫婦円満での方向で相手も意見が一致していれば良いのですが、意見が一致しませんと、これ以上話を進めることが出来ないんです」といったフレーズです。
 そのため、相手の夫側(妻側)があくまで離婚を声高に主張しますと、例えば、2回目の調停期日にて、調停を取り下げるか、離婚の方向で考えてみてくださいといったことを真剣に考えなければならなくなるケースすらあります。

 

 

6.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント4】離婚調停に衣替えされるリスク


 前述のように、相手があくまで離婚を声高に主張しますと、実際の調停の場での話し合いが、離婚に向けての話し合いに変容してしまうリスクがあります。
 特に、調停委員から調停取り下げか、離婚に向けての話し合いを要求されてしまいますと、円満のために調停を申し立てたのに、離婚条件の話し合いに来ているようだと感じてしまうことも多々あります。
 このような方向での話し合いになってしまいますと、相手側からの離婚ペースに載せられる危険性があり、残念ながら、離婚に向けての手続きが促進してしまうリスクがあります。

 

 

7.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント5】こちらの本気度を示すことが出来る


 特に相手が、自分がこうだと思ったらこうなんだと決めつけて行動するようなキャラクターの場合、こちらがいくらやり直したいと伝えても聞く耳を持たないケースも往々にしてあります。
 そのような場合には、本気で夫婦関係を良くしていきたいという本気度を示すために調停という手段を取ることはあり得ます。
 ただ、相手からしますと、急に裁判所から呼び出しを受ける形になりますと驚くことが多いと思いますので、調停がどのような手続きなのかといった点は事前に伝えておいた方が良いと思います。

 

 

8.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント6】外面が良い相手への対策


 特に、相手が外面を気にかけるようなキャラクターの場合、調停の席では紳士(淑女)的にふるまおうとする結果、離婚というフレーズを調停の場では封印するという人もいます。
 そのようなことを狙ったうえで、調停を申し立てるという方法もあり得なくはありません。
 ただ、そのような場合には、相手側はそもそも調停に参加しないという対応をするケースも少なからずありますので、この点には予め留意する必要があります。

 

 また、相手が自身の体面を非常に気にするようなキャラクターの場合、逆に、あなたの話している内容をほとんど否定してくる可能性もあります。なぜなら、あなたは夫婦円満のために、その前提として相手配偶者の問題点や言動・行動の問題を指摘しなくてはいけませんが、相手からすると体面を害されたと感じる可能性があるからです。

 そうなってしまいますと、調停の場が夫婦が言い争う場になってしまい、夫婦関係の修復ではなく、決裂の話し合いになってしまうリスクがあるのです。

 

 

9.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント7】調停という手続き独自の制約


 

 調停には、手続きとしていくつか制約もありますので、この点は予め考慮に入れておく必要があります。

①期日が早くとも1か月おきに設定されること
 調停期日は一般的に1か月おきくらいの頻度で開催されます。そのため、どうしてもテンポよく話し合いをするということが出来ません。
 お互い冷却期間を置くという意味で、焦らずに進めたいという場合には良いのですが、やや手続きが間延びしてしまう感は否定できません。

②相手に「調停の場で話そう」と誤魔化されるリスク
 こちらから調停を起こしている手前、直接話をしようとすると、相手から「そっちが調停を起こしているのだから、調停の場で話をしよう」と返答されてしまいますと、なかなか調停の外での話し合いの場をセッティングしにくくなる面があります。

 

③平日の日中しか調停期日をセッティングできない

 調停期日は、平日の日中にしか開催できません。そのため、調停を起こすと仕事をしている方は、仕事を休むか早退するなどして対応する必要がありますが、例えば、相手が普段から仕事が忙しいというような場合には、「どうしてわざわざ平日休みを取ってまで調停に行かなければならないんだ!?」と思ってしまうリスクがあります。

 

 

10.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント8】お互いが円満方向で話ができるのであれば調停委員は非常に心強い


 前述のように、相手方が、あくまで離婚にこだわるという場合には、夫婦円満での調整は難航してしまいますが、他方で、相手も円満方向での話し合いを了解した場合、調停委員は心強い味方になってくれることが多いです。
 夫婦がお互いに円満な家庭を目指すというのであれば、調停委員も夫婦円満に向けてしっかりと協力してくれるからです。
 その場合には、調停委員が専門知識を用いて、夫婦としてどのような点を改善していけばよいのか、どのように生活を営んでいくのが良いのかといった点をいろいろとアドバイスしてくれますので、非常に心強いです。

 

 

11.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント9】相手が離婚調停を起こしてきているときの有益性


 よく、相手から離婚調停を申し立てられた際に、「これに対抗して、こちらから円満調停を申し立てたいと思うのですがどうでしょうか?」というご相談を受けることがあるのですが、結論から言いますと、ほとんど意味はありません。
 なぜなら、離婚調停の手続きの中で円満に向けての話を持ち掛けることはできますので、円満調停を起こす意味合いがないからです。
 このような技術的なところに目を向けるのではなく、夫婦関係を修復させるためにあなたはどのようなことをして行けるのかといった改善点の集約に全力を注いだほうが良いと思います。

 

 

11.まとめ


・【ポイント1】まずは、極力直接の話し合いに努めるべき

・【ポイント2】いわゆる「脅し」として利用することはNG

・【ポイント3】調停委員は残念ながら夫婦円満方向に熱心ではないことも多い
・【ポイント4】離婚調停に衣替えされるリスクがある
・【ポイント5】調停を申し立てることで、こちらの円満に向けての本気度を示すことが出来る
・【ポイント6】相手が、外面が良いと紳士的に対応してくる可能性もある
・【ポイント7】調停手続きである以上、調停の席でしか話ができないとか、期日が間延びするといった制約がある。
・【ポイント8】お互いが円満方向で話ができるのであれが調停委員は非常に心強い

・【ポイント9】相手から離婚調停を起こされている場合、敢えてこちらから円満調停を起こす有益性は低い

 

 

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【絶対に離婚したくない(14)】夫婦円満調停ってなんだ?

2020.05.27更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

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1.夫婦関係円満調整調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦円満調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦円満調整調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦関係円満調整調停とは、一般的には、夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦関係円満調整調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦関係円満調整調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に態度を豹変させたとか、連絡が取れなくなってしまった、別居を開始してしまったという場合に、相手の真意を確認したり、夫婦間のとげを取り除いてやり直すために行われる手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、円満な状態に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 夫婦円満調停を成立させる場合には、ご夫婦が円満に過ごせるような条件を取り決めるようにしますので、そのような円満の条件決めを目指す手続きとも言えます(但し、条件が厳しすぎますと、逆に夫婦関係がぎくしゃくしてしまうというリスクもありますので、どの程度の条件とするかは、相手の言い分なども考慮しながら決めていくことになります)

 ただ、こちらとしては夫婦円満を求めて調停を起こしても、相手が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、離婚に向かって話が進んでしまうリスクはあります。

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)相手に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は事前に夫婦関係円満調整調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、相手が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦円満を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

4.調停委員ってどんな人?


 夫婦関係円満調整調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

5.夫婦関係円満調整調停ってどこで行うの?


 夫婦関係円満調整調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

6.夫婦関係円満調整調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

8.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

9.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

10.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

11.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦関係円満調整調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

13.まとめ


・夫婦関係円満調整調停は、夫婦の関係が円満な形を取り戻すことを目指す手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦関係円満調整調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦円満調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

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【モラハラ夫の深刻度チェック1】暴言を浴びせてくるケース

2020.05.18更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「暴言」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような暴言に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。

 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「暴言」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの暴言としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.暴言の深刻度を測る指標


 

 私がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、暴言の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①暴言の経緯(どのようなタイミングで暴言が発せられるのか)

②暴言の内容(行動の命令・強要を伴うか、誹謗中傷の度合い等)

③態様の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④暴言の頻度・回数

⑤暴言を発してきた距離

⑥声の大きさ

⑦暴言を発してくる時間帯

⑧長時間の暴言かどうか

⑨それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

 要するにこれらの①から⑨までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベル・中度レベルの暴言って?


 

 前述の通り、どのような指標で暴言の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

(重度のケース1)飲酒すると多弁になるが、こちらが話を聞いてないと感じると、突如骨董品の刀を振り回す、顔の目の前までかざしながら「俺の話を聞いてんのか」と威嚇してくる(頻度が多かったりすると深刻レベルに近い)

(重度のケース2)携帯電話を操作していると、携帯電話を見せるよう命令してきたが、こちらが拒絶すると、ベルトを鞭のように振り回し、威嚇してくる「俺の言うことを聞かないとこうだぞ」

(重度のケース3)深夜に酔って帰宅してきた際に、こちらが起きていないと突如激怒し始め、ゴルフクラブを床にたたきつけながら「お前といるとむしゃくしゃすんだよ」と叫ぶ。

(重度のケース4)些細な口論から急に激怒し、殴りかかってくるが寸止めしたうえで「次に同じことをしたらこうだからな」と威嚇してくる。

(重度のケース5)よく聞き取れなかったので聞き返しただけなのに、「さっさと死んでくれりゃーいいのによー」と大声で怒鳴りつけてくる。

(重度のケース6)用意した料理が薄味だったという理由だけで「俺の気が済むまで土下座を続けろ」と言って長時間の土下座を強要してくる。

(重度のケース7)過去そんなことは言ったことがないのにでっち上げてくるため、「そんなことは言ってないよ」と意見しただけなのに「発達障害のくせに意見してくんじゃねーよ」(奥様側は全く発達障害ではないので言われのない中傷)と大声で怒鳴りつけてくる。

(重度のケース8)子供が3歳になっても未だ一度も実家に連れていけていなかったので連れて行こうとしたところ、「お前の実家は程度が低いんだから、子供を連れてくんじゃねーよ。連れてったら即離婚だからな」と怒鳴りつけてくる。

(重度のケース9)仕事がうまく行っていないとこちらに当たり散らすことが多いが、特にエスカレートすると「死ね」とか「出て行け」といった言葉を大声で連呼してくる

 

(中度のケース1)役立たず、能無しといった暴言を吐くことがある

(中度のケース2)友人が集まるパーティーにて、私の失敗談を声高に話すことが何度もある

(中度のケース3)たまに、こちらの容姿を中傷してくることがある。

 

 

5.「言い合い」の場合、深刻度は下がってしまう


 前述のようなモラハラ夫からの暴言がある場合でも、あなた自身もかなり言い返してしまっているようなケースですと、どうしても深刻度は下がってしまいます。

 例えば、夫側から何度も「死ね」と言われていたとしても、逆にこちらの方からも「うざい。絶対いつか殺してやる」といったことを言い返してしまっていた場合、夫側の言葉だけを捉えて、重度の暴言被害を受けていたと評価することは難しいです。

 特に、夫からの暴言がメールやLINEで残っているケースですと、あなたの方からの返答や回答も活字で残っていることが多く、全体として「言い合い」と評価されるような場合には、どうしても深刻度が下がってしまいます。

 

 なお、ここで問題になるのは「言い合い」でして、多少こちらが言ってしまったとしても、モラハラ夫が過剰反応しているような場合には、全体として重度のモラハラと言えるケースもあります。例えば、夫が何度言っても片付けをしない場合、こちらから「いい加減片付けてよ」と軽く声掛けをしたところ、夫から「今からやろうとしてるだろうが、死ねよおまえは」などと暴言を浴びせてくるようなケースですと、「言い合い」とは言えませんので、特に深刻度が大きく下がってしまうことはありません。

 

 

 6.前述の例はほんの一例に過ぎない


 今回は、「暴言」というテーマに絞った上で、私が実際に担当した事件での夫の具体的なフレーズをご紹介しました。

 ただ、これはあくまで一例ですので、「これと同じ内容でなければいけない」というものではありません。前述のような具体例をご覧になって「重度の暴言とはこのようなものなのか」といったイメージ作りの参考にしてもらえればと思います。

 ご自身が受けている暴言の「フレーズと違っている」とか、「シチュエーションが違う」ということで、「深刻度が分からない」とおっしゃる方も多くいらっしゃいますが、それは直接ご相談なさるなどして解決して頂ければと思います。

 

 

7.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常にご心配になっている方も多くいらっしゃいます。

 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。

 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

8.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「暴言」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

・夫婦での「言い合い」の場合、どうしても深刻度は下がってしまう。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

突如調停の相手方にされてしまった方へ-【調停テクニック9】改善策の組み立て方

2020.05.11更新

弁護士秦 

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1.夫婦円満を希望している場合には、改善策は早めに示した方が良い


 既に調停書類があなたの手元に届いていると言うことは、タイミングとしては遅いという感は否定できないのですが、今からでも夫婦円満を希望するのであれば、早めに改善案を示した方が良いです。

 早めに対応しませんと、奥様の気持ちは一層離れていく危険性が高いからです。

 

 

2.大きな枠組みとしては当面別居前提の方が良い


 

 あなたとしては一刻も早く自宅に戻ってきて欲しいと思うかもしれませんが、そのような気持ちを正面からぶつけすぎてしまいますと、奥様から見て「覚悟を持って別居をしたのに理解していない」とか「軽く見ている」と感じてしまうリスクがあります。

 そのため、改善案を示すにあたっても、まずは、当面別居でも致し方ないという姿勢で記載した方が良いです。

 

 

3.改善策の大きな視点は「感謝」と「反省」


 

 改善策を作成するに当たって私がよくアドバイスさせていただくのは「感謝」と「反省」というキーワードです。

 感謝というのは、同居中奥様がいることで感謝すべきこと、感謝の気持ちを素直に伝えてこなかったこと等を記載することになります。他方、反省については、特に奥様の側が離婚を思い立った事情に関しての反省を主に記載していくことになります。

 

 

4.「感謝」を視点にした改善策


 

 以下は一つの例ですので、実際に改善策を示すに当たっては、ご自身の同居中の生活での出来事をしっかりと振り返った上で検討していただいた方が良いです。

 

 例えば、普段の奥様の家事・育児への感謝を視点にした場合、以下のような改善策が考えられます。

①週末も自宅でごろごろしており家事の手伝いが疎かになっていたという場合には、今後しっかりと家事の手伝いをすることを記載したりします。

②また、仕事が忙しく家庭にいられる時間が少なかったという場合には、業務量が少ない部署への異動届を出したとか、昨今の働き方改革の影響で残業が減ったので家族との時間を共有できるようになった旨を記載したります。

 

 また、週末も含めて奥様が家事で多忙で自分の時間を作ることができなかったような場合には以下のような改善策が考えられます。

①月1回は奥様が友人との会食等ができるよう時間を作る。

②奥様が以前習っていた習い事、今後始めたいような趣味がある場合には、それを応援する。

 他にも、こちらの家事のスキルを磨くために料理教室に通うようになったと言った点を記載することもあります。

 

 

5.反省を視点にした改善策


 

(1)推測しつつ改善策を提案する

 前述したとおり、改善策は出来る限り早めに提示した方が良いため、奥さん側から離婚理由等を尋ねる前に提示した方が良いと言うことになります。

そのため、奥様が期待する改善策とずれる可能性はあるのですが、奥様が考える離婚理由をある程度推測しながら、改善策を提示していくことになります。

 なお、このような推測に当たっては夫婦喧嘩の際に言われたこと、対立することが多かった点灯を思い出しつつ、時には奥様とのLINEのやり取り等を振り返りつつ推測していくことになります。

 

(2)思い切ってクリニックに受診することも考えて良い

 このような反省を視点にした改善策としては、これまでに奥様から心療内科に受診して欲しいと行った要望が出ていた場合には、クリニックに受診してしまうというのが端的な改善策と言えます。クリニックを受診して、明確な精神疾患等ではないとのお墨付きを得られるようであれば、こちらにとっても有利な材料にもなります。

 

 なお補足しますと、クリニック受診については以下のような言い分を奥様がおっしゃっていることがあります。

①同居中DVやモラハラ発言等があったので、DV加害者プログラムを受講して欲しい

②感情の起伏が激しいので、アンガーマネジメントのプログラムを受講して欲しい

③性欲が旺盛であったりセクハラ発言が多かったので、セックス依存症等のおそれがあるので、受診して欲しい

④飲酒すると豹変するのでアルコール依存症の治療を受けて欲しい

 もちろん、クリニックに受診するから、奥様の言い分を鵜呑みにするというのとは異なります。奥様の言い分を真摯に受けとめつつ、医学的に客観的な診断を受け、ある意味「無実を証明する」ために受診するという視点で臨んだ方が良いと思います。

 

 また、何らかの加害者プログラムにすぐに受講するというのではなく、まずは、アンガーマネジメントのカウンセリングから受け始めるということでも良いと思います。

 まずは、行動を開始するということが重要だと思います。

 

(3)クリニックに行くと不利にならないか?

 クリニックに行くという話をしますと、「自分の非を認めることになって不利になりませんか?」という質問を受けることが多いです。

 ただ、例えば、一度や二度手を挙げてしまったことを認める前提であったり、多少声を荒げてしまったことを認める前提であれば、クリニックに行くこと自体が不利になる可能性は低いと思います。

 なお、奥様のキャラクターとして、こちらがクリニックに行ったことについて執拗に揚げ足取りしてくるような方のような場合には慎重な対応をした方が良いこともあります。

 

(4)その他飲酒トラブルの場合には、禁酒する、暴言等の関係であれば、今後二度と同じようなことがしない旨の誓約書を提出するといった方法も考えられます。

 

 

6.どんな形で伝えるか


 

 あなた自身の気持ちを伝える方法としては、直筆の手紙をしたためて渡すという方法が一番効果的だと思います(現実的には、お互いに弁護士を立てているという場合には弁護士経由で渡すという形になります)。

 なお、奥様側が手紙を受け取らない、手紙を受け取っても、弁護士預かりのままになるというケースもあります。

 そのような場合には、離婚調停の答弁書に概要を示すなどの方法も試していくことになります。

 

 

7.あまり長文にし過ぎないこと


 

 手紙の方法で渡すとなると、あなたの思いが溢れてきて、ついつい長文になってしまうことがあります。

 ただ、あまり長文にしますと、あなた自身の気持ちを押しつけてしまう危険性がありますので、あまり長文にすることは望ましくありません。

 そのため、どんなに長くても手紙の分量としては、2,3枚程度にとどめるのがベターかと思います。

 

 

8.まとめ


・改善策はできるだけ早めに提示する方が良い。

・基本的な視点は当面別居前提の方が良い。

・改善策は「感謝」と「反省」を視点にすると良い。

・改善策は手紙にしたためて示すことが多い。

・手紙は長文にし過ぎないこと

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

モラハラ夫から突如起こされた監護者指定審判で勝訴したケース

2020.04.22更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.そもそも「監護者」って何だ?


 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 親権とひとくくりに申しましても、親権には①身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)だけではなく、②お子様の財産管理権、③身分行為の代理権も含むとされています。
わかりやすく言いますと、監護権は、このような①から③の権利のうち、①だけを切り出した権利ということになります。

 

2.私が担当した事件         


① ご依頼者様 : 30代前半の女性(Aさんとします。)

② ご依頼内容 : 旦那様からの暴言・暴力に耐えかねて実家に避難したのですが、突如、夫側が監護者指定事件を起こしたということで裁判所からの連絡が来てしまいましたので、どう対応してよいか分からず相談に来ました。娘を夫に渡すことは絶対にできませんので対応をお願いします。

③ 関係者の概要等
この事件の相手方 : 30代後半の旦那様
お子様 : 小学校低学年の娘様お一人
婚姻期間 : およそ10年
家庭環境 : ご依頼時別居中

④ モラハラ・DVの概要
モラハラ)ほぼ毎日の様にこちらを侮辱する様な暴言、こちらを見下すような暴言も多い、娘に対する叱りつけ方が異常である等々
DV)一度首を絞められたことがあるほか、小物等を投げつけられたことが何回かある。

 

以下では、この事件に対して私が行った弁護活動の内容を解説していきます。

 

 

3.監護者指定事件はスピード勝負


 

 今回のケースもそうですが、監護者指定事件では、一般的に保全処分も同時に申し立てられます。保全処分とは、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請ということです。
このような保全処分がありますと、手続きは、いわば「緊急事案」としてかなりスピーディーに進められます。

 

 そのため、こちらも迅速に資料の準備を進めていく必要があります。
 今回のケースでも、お子様の小学校の連絡帳、母子手帳といった最低限の資料準備はもちろん、「子の監護に関する陳述書」の準備に取り掛かりました。

 

 

4.第1回審判期日に調査命令が発令され、調査官の調査が開始


 

 事前にしっかりとした資料等を提出しておりましたので、第1回審判期日では、裁判官からの追加質問等も少なく、円滑に調査命令の発令がなされました。
 調査命令の対象事項は、①現在の監護状況と②子の意向調査ということになりました。
 なお、保全処分の申し立てもなされていましたので、今回のケースでも、担当調査官は3名の調査官が指名され、調査官も作業分担をしながら調査を進めました。

 

 

5.調査スケジュール


 今回のケースでは以下のようなスケジュールで調査が行われました。

① まず、東京家庭裁判所において夫側が調査官との面接

② 次に、(①とは別日に)東京家庭裁判所において、こちら側が調査官と面接(当職も同席)

③ その後、家庭裁判所調査官が娘様の通う小学校を訪問し、小学校での様子等を確認

④ こちら側の家への家庭訪問実施

⑤ ご依頼者様において娘様を東京家庭裁判所に連れてきてもらって、娘様と調査官のみで面接実施

 

 

6.調査に当たっての準備


(1)調査官面接への対応
①こちらの監護実績についてのしっかりとしたアピール
 調査官面接の前は、特に夫側からの主張に目が行きがちで、それに対する反論ばかりに気を取られがちですが、反論に終始してしまうのは危険です。
 調査官は、事前に提出された「子の監護に関する陳述書」の内容が実態に沿うものであるかをしっかりと確認したがりますので、まずは、こちら側の監護実績に偽りがないという点をしっかりと強調するようにしました。

②次いで、夫側の主張への反論
 今回、夫側からは大きなポイントとして、①娘様は体が弱いので、元気にしているかが心配である、②こちら側(奥様側)が育児や家事で憔悴しており、十分娘様の世話をできているか心配が強いというところでしたので、これらの点を重点的に反論準備しました。
 今回の夫側からの主張は、同居中奥様に対して発生ていた発言とは大きく矛盾するものでしたので、ご夫婦のLINEのやり取りなどを積極的に証拠提出して、夫側の主張を封じるようにしておりました。
 調査官面接でも、これらの点をしっかりと説明し、調査官の理解を得るように努めました。

(2)家庭訪問への準備
 家庭訪問を言いますと、皆さま室内の掃除・片づけはしっかりとしてくださるのですが、調査官は、お子様の身だしなみや躾が行き届いているのかといった点もしっかりと見極めようとしますので、あらかじめ注意すべき点などを洗い出して、家庭訪問に備えました。

 

 

7.奥様側を監護者にすべきとする調査報告(こちらの全面勝利)


 事前に入念に準備した甲斐があって、調査報告書の結果は、こちら側が娘様の監護者として相当であるという意見が付されていました。
 これを受けて、裁判官は、夫側に対して、事件申立の取下げを示唆していましたが、夫側は取り下げませんでしたので、最終的にはこちらが勝訴の審判が下りました。

 

 

8.面会交流について


娘様の調査官面接の際、娘様が父親である相手方との面会交流を希望したというところもありましたので、こちらも第三者機関を通じての面会交流に応じることにしました。

 

 

9.離婚調停等について


 この事件は、監護者指定事件と並行して、こちらから離婚調停と婚姻費用分担調停を申し立てていましたが、調停は夫側が復縁を強く希望したため難航しました。
 ただ、婚姻費用を支払い続けることの負担が大きいと感じたのか、最終的には夫側も離婚に応じたため、調停で離婚を成立させることが出来ました。

 

 

10.弁護士選びの注意点


 

 弁護士によっては、離婚問題は取り扱ったことがあるけれども、監護者指定事件の経験はほとんどないという弁護士も相当数います。

 特に監護者指定事件は、事件特有の特殊性もありますので、弁護士に依頼なさる際には、監護者指定事件に精通している弁護士を探すようにしてください。

 

 

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