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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(3)ー夫はどういうつもりでこんな手続きを取ってきたのか?

2021.02.11更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.夫はどういうつもりで監護者指定審判手続きを起こしてきたのか?


 もちろん、夫として心底お子様と一緒に生活したいと考えて手続きを取ったというケースもあると思います。
 ただ、実際の夫側の普段の生活を見ると、仕事が忙しく帰宅時間が深夜になることも多いとか、出張が多い仕事で月の半分は海外出張しているというようなケースだと、「本気で手続きを取っているのか?」「実際の夫の目的がよく分からない」ということも往々にしてあります。

 実際、私が担当した事件では、以下のようなケースがありましたので、ご紹介します。

(1)こちらの様子の確認を目的としていたケース
 特に、こちらがシェルターに避難したり、そうでなくとも、こちらの所在を秘密にしているような場合、旦那様としては、こちらの暮らしぶりやお子様が元気にしているのかを確認したくて手続きを取っているというケースもあります。

 どういうことかと申しますと、監護者指定審判手続きを進めていきますと、こちらも「この監護に関する陳述書」という書面を作成し、その中で、現状のお子様の様子について記載する必要が出てきます。また、通常、監護者指定審判手続きでは、あなたのご自宅の家庭訪問を実施しますので、家庭訪問を通じて、こちらの生活状況やお子様の様子等を確認したいと考えて、夫側は手続を申し立ててきているのです。

 このようなケースですと、こちらの生活ぶりやお子様の様子が分かった段階で、夫側が申立を取り下げて来たりすることもあります。

(2)面会交流実施を目的としていたケース
 監護者指定審判手続きは、現状のお子様の育児等に問題がないかという点、これまでのお子様の育児を夫婦どちらが担ってきたのかといった点が重視されて手続きが進みます。
 ただ、この手続きの中では、夫との面会交流についてどう考えているのかという点も一つの考慮要素とされることが多いです。
 裁判所の基本的な考え方は、たとえ夫婦が別居や離婚になったとしても、父親と子供との関係は今後も続いていくので、お子様が父親からの愛情を受ける機会として極力面会交流を推奨すべきと考えているからです。

 そのようなこともあって、夫側としては「監護者になること」が本命ではなく、「早期にお子様と面会交流していくこと」を本命にしているケースもあるのです。

 このようなお話を致しますと、「そんなに早く面会交流したいなら、すぐに面会交流調停を起こせばいいんじゃ?」と疑問に思うかもしれません。確かに、面会交流の問題を直接取り扱うのは、面会交流調停の手続きだからです。
 しかしながら、面会交流調停は当人同士の話し合いを基本にする手続きですので、「早期の面会交流実現」という観点からは、即効性に乏しいというデメリットがあります。
 むしろ、監護者指定審判手続きですと、これと同時に保全処分の申し立てをすることが多いため、手続きの迅速化を目指すことが可能になります。
 そのような意図から、監護者指定審判手続きを利用しているのです。

(3)嫌がらせとしか思えなかったケース
 例えば、こちらの別居先は実家で、特にこちらの所在を夫側に秘密にしているわけではないとか、そもそも、夫側がお子様に会いたいと思っていると感じられないというケースもあります。
 むしろ、同居中も、夫にとって気に入らないことがあると、あの手この手を使って嫌がらせをしてきたという場合には、今回の監護者指定審判手続き自体が嫌がらせ目的ということもあります。

 前述の通り、監護者指定審判手続きを申し立てる場合には、通常同時に保全処分の申立もしますので、こちらもスピーディーに準備を整えていかなくてはいけません。
 そのようなことも考慮して、先方として嫌がらせを仕掛けているということなのです。

 

(4)そうは言っても、「寂しい」「孤立したくない」というケースもある

上記の通り、主たる3パターンをご紹介しましたが、例えば奥様がお子様と突如別居を開始し、そのことで寂しさを募らせているとか、孤立したくないという方がいるのも事実です。

奥様やお子様がいると家庭内もある程度活気があるのですが、旦那様一人だけの生活だと「味気ない」とか「寂しい」と感じてしまうというところです。 

 

 

3.夫側の思惑は思惑として、こちらはしっかりと準備を整えること


 私が実際に担当したケースでの夫側の思惑について解説しましたが、夫側の思惑がどうであろうと、こちらとしては、お子様のためにも監護者指定審判手続きで敗訴することはできません。
 そのため、こちらとしては、しっかりと準備をして、しっかりと勝って行く必要があります。

 

 

4.まとめ


・夫側の監護者指定審判申し立ての思惑
① 心底お子様との生活を希望して申し立てている。
② あなたの生活やお子様の生活の確認がしたい
③ 本命は面会交流狙いである
④ ただの嫌がらせ目的である
・夫側の思惑がどうであろうと、こちらはしっかりと準備してしっかりと勝って行く必要がある。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

試行面会(試行的面会交流)って何だ?

2021.02.01更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.試行面会(試行的面会交流)とは?


 試行面会(試行的面会交流)は、広い意味では、試しに面会交流をさせることを指します。例えば、日時を決めてファミリーレストランで30分ほど軽食を取りながらお子様との面会交流を認めるといったことを試しに実施することなどを含みます。

 他方、試行面会という用語を狭い意味で用いることも多く、そのような場合には、家庭裁判所内の児童室にて試験的に面会交流を行うことを意味します。
 今回は、この狭い意味での試行面会について解説していきます。
 調停などを続けていく際に、調査官などから「試行面会」といった用語が出ることもありますが、通常は上記の「狭い意味」での試行面会を指すことが多いです。

 

 

2.試行面会(試行的面会交流)って結局何なの?


 当日、実際にどのようなことを行うのかといったことについては、詳しく後述しますが、イメージを持ちやすいようにご説明すると以下のようなものになります。

 端的に言いますと、試行面会とは、家庭裁判所の中にある児童室という場所で父親とお子様とを試験的に面会交流させ、その様子を確認する手続きになります。

 父親側には、「お子様と接することに問題がないかの試験ですよ」とご説明することが多いです。母親側にご説明する際には「面会交流させるべきかどうかを見極める場ですよ」とか(面会交流の方法が問題となるケースですと)「こちらが提案する面会交流方法がベストと言えるかを見極める場ですよ」などとご説明することが多いです。

 

 

3.試行面会(試行的面会交流)って何のために行うの?


(1)今後面会交流を実施していった方が良いかどうかの見極めをする
 特に面会交流させるべきかどうかについてご夫婦の間での対立が激しい場合(要するに奥様側が面会交流断固拒否姿勢なのに対し、旦那様側が面会交流実施を強く求めているようなケースです)、面会交流を実施することがお子様の福祉にとって望ましいかどうかを見極めることを大きな目的として実施します。
 試行面会の際には、家庭裁判所調査官が立ち会いますので、面会交流の際のお子さまの様子や父親の様子、交流時の雰囲気等を常に観察していることになりますから、このような観察を通じて、調査官が、面会交流の適否を判断することになります。

(2)面会交流の方法についての見極めをする
 よく問題になりますのが、①奥様が立ち会う形を認めるかどうか、②奥様のご親族が立ち会う形を認めるかどうか、③第三者機関の利用に耐えうるかといった点で争いがあるときに、どちらが良いのかを見極めるために行います。

①の場合には、奥様が立ち会う形での交流を実施し、その後、旦那様のみとの交流に移行して様子を見るといった方法を、②の場合には、最初のうちは親族が立ち会い、その後、旦那様のみとの交流に移行するといった手順を取ることが多いかと思います。
上記の③については、調査官という、お子様にとっては他人と接した時の反応等からお子様が人見知りをする子なのかとか、環境適応能力がどの程度あるのかといった点を見極め、第三者機関の利用に耐えられるかどうかを見極めることが多いです。

なお、第三者機関との関係では、奥様側が第三者機関の利用を要求し、旦那様側が拒否する場合に、第三者機関を利用したほうが良いかどうかの見極めをするケースも多いです。

(3)今後の面会交流に当たっての課題の整理
 上記のような面会交流の適否、方法の整理に加え、今後面会交流を実施していくに当たっての課題整理の場として試行面会を行うことが多いです。
 例えば、試行面会の際にお子様が元気いっぱいに走り回っているというような場合には、今後の面会交流場所としてはファミレス等ではなく、体を動かせる場所等が良いのではないかという話になります。

 また、試行面会の際に旦那様から不用意な発言がなされるようであれば、あらかじめ禁止ワードを取り決めたうえで面会交流を実施すべきとなることも多いです。
 さらに、試行面会の際にお子様が旦那様のことを極度に怖がっている様子があれば、早急に面会交流実施ではなく、しばらく時間をかけて面会交流実施に向けての環境を整えていくというケースもあります。

 

 

4.試行面会(試行的面会交流)当日の具体的流れは?


(1)通常は事前に調査官がペーパーをくれる
 当日の具体的流れに誤解があると円滑な試行面会は実施できませんので、調査官が「当日の流れ」といったペーパーを事前に用意していることが多く、これに沿った形で試行面会が実施されます。
 また、きめ細かな調査官ですと、試行面会実施に当たっての留意点等をきめ細かく説明してくれたり、児童室内の様子を撮影した写真を見せてくれたりすることもあります。

(2)試行面会の時間は?
 お子様と旦那様が交流している時間は30分程度とすることが多いかと思います。ただ、その前に場慣れやお子様に調査官と慣れてもらうとか、奥様とお子様とで遊んでお子様にリラックスしてもらうといったことも多いので、全体では1時間から1時間30分程度かかることが多いと思います。

(3)調査官が立ち会って交流する
 前述の通り、試行面会は、お子様と旦那様とが接する様子を直接調査官が確認するための手続きですから、試行面会には調査官も児童室に入室し、終始その様子を観察しています。

(4)玩具等はどうする
 玩具の持ち込みを不可とするかは裁判所によって取り扱いが異なります(少なくとも東京家庭裁判所では持ち込み不可とされるケースが多いです)。
 児童室内には絵本や玩具等が一通りありますので、児童室内の玩具等を利用して面会交流をしても、試行面会中お子さまが退屈するケースは少ないように思います。

 

 

5.児童室って?


 児童室と言われてもイメージが付きにくいかと思いますので概要を解説します。

(1)広さはまちまち
 オーソドックスな児童室は調停室と同程度の広さのところが多いかと思いますが、裁判所によっては、その2倍程度の広さのところもあります。
 ちなみに、東京家庭裁判所には児童室が複数あり、広めの部屋とオーソドックスな広さの部屋等複数の広さの部屋があります。

(2)お子様の緊張を和らげる工夫をしているところが多い
 児童室に入室することでお子様が緊張してしまいますと、試行面会を円滑に実施することは難しくなります。
 そのため、壁紙をクリーム色にして落ち着きやすくするとか、落ち着いた色のカーペットを敷いてあるとか、裁判所によっては、大きめのガラスがあって外の眺望が見えるようになっているといった児童室もあります。
 このように多少なりともお子さまの緊張が和らぐような工夫をしていることが多いです。

(3)監視カメラ付き
 児童室には監視カメラが付いています。調査官が後から交流の様子を振り返ったり、確認したりする際に活用します。
 また、面会交流中の様子を奥様や弁護士が確認したいということも多いため、そのような場合には、監視カメラの画像をモニターで見ながら試行面会を実施することもあります。

(4)絵本や玩具は一通りのものがある
 絵本や玩具は児童室に備え付けられています。
 通常、男児向け・女児向け、かつ、年齢層に応じて興味を持ちそうな玩具を揃えているところが多いです。

 

 

6.試行面会(試行的面会交流)の様子は調査報告書にまとめられる


 試行面会の様子は実際に立ち会った調査官が調査報告書にまとめます。
 この調査報告書を読みますと、当時のお子さまの様子や調査官が気になった点などが分かります。
 また、この調査報告書には今後の面会交流の方向性が示されることが多いため、そのような方向性に沿って今後の調停や審判が進められていくことになります。

 

 

7.試行面会(試行的面会交流)に応じるべきか


 正直に言いますと試行面会を実施するという場合、今後面会交流を実施していくことを前提に、その方法等を見極めるために実施することの方が多いです。(児童虐待等がある場合には、そもそも試行面会を実施すべきではないということになるため)
 ただ、面会交流を拒否したい場合に、試行面会を拒否するかというと、これを拒否すると裁判所の印象が非常に悪いのも事実です。
 そのため、調停中に実施する試行面会はともかく、審判中に実施する試行面会には応じざるを得ないかと思います。

 

 

8.試行面会(試行的面会交流)は通常何度も実施するものではない


 たまに、安心して面会交流させたいということで、児童室で面会交流を実施したいとおっしゃる方もいます。
 しかし、試行面会は前述の通り、「面会交流の試験」という位置づけですので、普段の面会交流を行う場所として利用することは想定していません。

 そのため、普段の面会交流実施については、外で会わせることに不安がある場合には、第三者機関を利用するということが多いです。
 また、試行面会は、お子様にとっても負担になることが多いため、試行面会を何度も実施するケースは極めて稀で、1回限りとするケースが大半です(もちろん、お子様が体調を崩してほとんど試行が出来なかったというようなときは別日に再設定することはありますが)。

 

 

9.まとめ


・試行面会とは狭義には、家庭裁判所内の児童室にて試験的に面会交流を行うことを意味する。
・試行面会は、面会交流を実施すべきか、その方法等について試験するために行う。
・試行面会の当日の流れは、事前に調査官がペーパーで教えてくれることが多い。
・児童室は、お子様が緊張しないような工夫がされていることが多い。
・試行面会の様子は調査報告書にまとめられる。
・裁判所の印象を悪くしないために、少なくとも審判手続きの中での試行面会には応じたほうが良い。
・試行面会は1回きりにすることが多い。

 

 

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面会交流何が不安?【奥様達が抱く不安8選と対処法】

2021.01.25更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.心情的に夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したいという方は多い


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
 特に、「夫は子にほとんど関心を持っていなかったので、今更会いたいという理由が分からない、嫌がらせとしか考えられない」とか「こちらの生活リズムが崩れるので、会わせたくない」といった話はよく伺います。

 

 では、このような心情的な理由だけで面会交流を拒否できるかというと、説得力を持たせることは難しいことが多いです。
そのため、面会交流を拒否するという場合、より具体的な不安をもって拒否したいという必要がありますし、どうしてそのような不安を持つのかについての説得力のある説明があった方が良いです。

 そこで、今回は、どのような不安を持たれるのかといったことについて解説していきます。
 以下では、奥様が抱かれる不安に対して、面会交流の方法を工夫することによって解決する方法をご紹介していますが、極力面会交流させたくないと強く希望するのであれば、できる限り拒否を継続するという対応を取ることもあります。以下の解決方法は解決方法の一例と考えてご覧ください。

 

 

2.【面会させることの不安1】連れ去りの危険性


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合や、お子様を溺愛しており、何をするか分からないといった場合、まず真っ先に不安に感じるのは連れ去りの危険性ではないかと思います。
 夫側がお子様を連れ去る具体的な危険性があるような場合には、面会交流拒否事由に該当し得ます。例えば、別居後何度かお子様を連れ去られそうになったことがある場合には、面会交流を拒否できるケースが多いかと思います。

 なお、旦那側の連れ去りについては、誘拐罪など刑事処罰できないかと質問されることも多いのですが、既に離婚が成立してあなたが親権者になっている場合は別として、離婚が成立していないケースですと、誘拐罪にすることは難しいです。なぜなら、離婚前ですと夫婦お互いに親権が認められるため、連れ去りを刑法で処罰することは難しいのです。

 

 

3.【面会させることの不安2】お子様への暴力や暴言


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合、面会交流中に同様の行為が繰り返されるのではないかと不安に感じることは当然のことかと思います。
 なお、夫側が面会交流の際に実際にお子様に手を挙げた場合、暴行罪や傷害罪として処罰することは可能です。ただ、暴行や傷害の場合、現行犯として捜査に着手してもらうことが重要になりますし、また、被害者であるお子さまがきちんと警察官等の前で被害の内容を話すことが出来るかという点も重要になります。

 そのため、実際の処罰に当たってはハードルが高いのですが、このようなことがあった場合には、即警察に通報又は相談し、このような事実があったことを警察の記録としても残しておくことが非常に重要になります。合わせてお子様がお怪我をされた場合には、病院に行き怪我の内容をしっかりと診断してもらうことも重要です。

 そもそも、お子様が怪我をするという事態は絶対に避けなければなりませんので、暴力被害の具体的危険性があるという場合には、面会交流そのものを断固拒否すべきケースが多いと思います。
 このようにして面会交流を拒否するためには、同居中に夫がお子様を怪我させたことがあるといった事情の有無・その証拠としてどの程度の証拠があるのかといった点は非常に重要になります。

 

 

4.【面会させることの不安3】こちらの生活が脅かされる不安


 特に、別居後こちらの住所を相手に教えていないような場合、面会交流をきっかけとしてこちらの居場所が発覚してしまうことには強い不安を持つことが多いかと思います。

 より具体的には以下のようなご不安を持たれることが多いので、それぞれ解説していきます。

(1)尾行の危険性
 前述のように別居後こちらの住所を夫側に伝えておらず、かつ、今後も隠しておきたいというような場合には、面会交流の後、夫側がこちらを尾行してくることは最大の不安事と言えます。
 もちろん、夫婦の間でも夫側がこちらに付きまとう場合には、ストーカー規制法で対処し得るのですが、こちらの住所を知られないに越したことはありません。

(2)夫がお子様に直接質問する危険性
 お子様が小学校に通うような年齢になっている場合、夫側との通常の会話が成り立つため、面会交流の際に、夫側が、こちらの生活場所や通う小学校のことなどについて質問してくる危険性があります。
 特に小学校名や学童名などについては、お子様がうっかり話してしまうリスクもありますので、このような夫との会話の中でのリスクは拭えません。

(3)面会交流を拒否し得るだけの理由となるかは、その危険性の程度次第
 実際にこちらの居場所を夫側が把握したとしても、こちらに押し掛けてくるリスクが非常に低いというような場合、そのことのみで面会交流を拒否することは難しいケースが多いかと思います。
 前述の暴力・暴言ではないですが、夫側が粗暴な性格で、こちらの自宅に押し掛けてくる危険性が高いといったケースでは、面会交流拒否事由に該当するケースもあります。

 

 

5.【面会させることの不安4】お子様が心理的に傷つくことへの不安


 前述のような暴力や暴言とまではいかなくとも、面会交流によってお子様が傷つく事態は避けなければなりません。

(1)不用意にお子様を傷つけるような発言をする危険性
 夫側の性格からして、お子様の心情への配慮が足りず、不用意にお子様を傷つけてしまうというケースはあります。

(2)あなたの悪口や非難を口にする危険性
 特に夫側が、こちらの別居を快く思っていないような場合には、面会交流の際に、お子様の前であなたへの悪口や非難の言葉を発するリスクがあります。

(3)これらの事情は、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、お子様を傷つけるような発言をしないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。
 もちろん、同居中の夫側の発言がもはや暴言というべきケースですと、それを理由に面会交流拒否を主張すべきケースもあろうかと思います。

 

 

6.【面会させることの不安5】今後の離婚や夫婦関係に関わる発言


 特に夫側が離婚に反対姿勢の場合、お子様を介して自分の気持ちを伝えようとして来たり、お子様を自分の味方につけようとしてくることもあります。
 そうでなくとも、自分の父親から「離婚のことについてどう思う?」とか「今お父さんとお母さんは離婚の裁判をしているところなんだ」といった発言があると、お子様は当惑してしまいます。
このような場合も、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、夫婦に関わる話題は面会交流の際に話さないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。

 

 

7.【面会させることの不安6】こちらの生活リズムが崩される不安


 特にお子様が乳児というような場合には、お昼寝の時間があるので、その時間を避けたいが、この時間帯を避けるために午前中の面会交流にすると、お子様の体調等によっては目覚めたばかりで機嫌が悪いといったように、タイミングを見計らうことが難しいというケースもあります。
 お子様が小さい年齢ではなくとも、1回の面会交流時間が長くなったり、夕方以降の時間帯になるような場合には翌日のお子さまの予定に影響が出る可能性もあります。

 こちらからすると、本来実施したくもない面会交流のために、お子様の生活スケジュールが崩されることは全く納得がいかないということだと思いますが、これらの事情だけで面会交流を一切拒否することは難しいことが多いです。
 そのため、これらの事情のみの場合には、面会交流時刻を工夫したり、面会交流時間が長くならないようにするといった配慮をすることで不安を解消するケースも多いです。

 

 

8.【面会させることの不安7】直接顔を合わせることの不安


 お子様が乳幼児というような場合には、面会交流のためにお子様の受け渡しをする際、あなた自身が受け渡しせざるを得ないとか、面会交流中の様子を確認したいということで面会交流に立ち会うといったケースも多くあります。
 こちらからしてみれば、夫とは即離婚したいくらいの気持ちなので、直接顔を合わせることの心理的負担は大きいことが多いです。
 このような場合には、あなた自身が立ち会うのではなく、あなたのご両親その他の親族が立ち会う形にするといった形で不安を解消するケースもあります。

 

 

9.【面会させることの不安8】夫の行きたい場所に振り回される危険性


 例えば、夫が子供と会いたいというよりも、夫の実家との関係で盆と正月は子供と一緒に実家に挨拶に行きたいとか、親族の集まりには子供を参加させたいといったように、子供の意思と関係なく、主に夫側の事情で振り回される危険性があるというケースもあります。
 また、何度か面会交流をしていくと、夫側がお子様に対して「次ここに一緒に来てくれたらあれを買ってあげよう」といったように何かで釣って、自分の行きたいところに連れていくケースなどもあります。
 このような場合には、予めお子さまの希望を聞き、その希望のところを面会交流場所にするといった形で面会交流を進めるケースが多いです。

 

 

10.まとめ


・連れ去りの具体的危険性がある場合には、面会交流は拒否したほうが良い
・お子様への暴力や暴言の具体的危険性がある場合にも、面会交流は拒否したほうが良いケースは多い。
・こちらの生活が脅かされる具体的危険性がある場合にも、面会交流を拒否したほうが良いケースは多い。
・お子様が心理的に傷つくことへの不安があるときには、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・今後の離婚や夫婦関係に関わる発言が出る不安があるときも、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・こちらの生活リズムが崩される不安があるときは、面会交流時間を工夫するなどして対応するケースが多い。
・受け渡し時に直接顔を合わせることの不安がある場合、他の親族に受け渡しをお願いするケースが多い。
・夫の行きたい場所に振り回される危険性がある場合、事前にあらかじめ面会交流場所をしっかり指定したうえで実施するケースが多い。

 

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夫(元夫)との面会交流を拒否したい気持ちを裁判所はどこまで理解してくれるか?

2021.01.11更新

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1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。
 もちろん、後述の通り、児童虐待の場合等例外的なケースはあります。ただ、児童虐待等がない場合、裁判所側は面会交流に積極姿勢のことが多いです。
 そのため、裁判所側の積極姿勢を突き崩すだけの事情が必要になることが多いです。詳しくは後述します。

 

 

3.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。

(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。

 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親から言わされている様子があるという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

4.それでは児童虐待等でない場合、面会交流を認めなくてはいけないのか?


 

 面会交流を認めるかどうかは、実際にお子様の面倒を見ているあなた自身が決めることですので、誰かに面会を強制される話ではありません。
 ただ、上記のような理由のみで面会交流を拒否し続けられるかと言いますと、裁判所側は快く思わないのも事実です。

 そのため、実際の調停では、以下のような理由を根拠に面会交流拒否の姿勢を貫くことが多いです。

(1)お子さんの体調不安定等
 例えば、別居後に偶然お子さまが夫と遭遇したといったケースで、その翌日などに以下のような悪影響が出ることがあります。
①急に朝起きられなくなって登園を渋り始めた
②発熱したので病院に連れて行ったが明確な病名が分からなかった
③ふと涙を流して、どうしたのかと尋ねると、「ママと離れ離れになっちゃう」と子供が言った
④子が保育園で今までにないような暴力的な発言をしてしまった

 このような悪影響が短期間で済めばいいのですが、長期に及ぶケースもあります。

 悪影響の程度が大きかったり、長期に及ぶような場合には、そのような具体的な事情を説明して面会交流を拒否するというケースもあります。

 

(2)【お子様が乳幼児の場合】あなた自身の体調悪化等
 例えば、裁判所の勧めで致し方なく試験的に面会交流を実施したとします。お子様が乳幼児の場合、夫側にお子様を託すのは不安ですから、あなたが立ち会うというケースも多くあります。
 そのような場合に、あなた自身が体調を大きく崩したというようなケースですと、それを理由に面会交流を拒否するというケースもあります。

 特に、お子様が乳児で、あなたとの愛着が非常に強い場合には、あなたが離れた席での面会交流が困難ということになりますので、あなたの体調悪化も面会交流拒否の大きな理由になり得ます。

 ただ、抽象的に体調が悪化したというだけではなく、内科や心療内科を受診するなどして診断書が発行されていると、一層面会交流を拒否しやすくなります。

 ちなみに、診断書等を持って行き面会交流拒否姿勢を示したとしましても、裁判所によっては第三者機関を通じた面会交流を勧めてくることもありますので、そのような場合の対応について慎重に検討すべき場合もあります。

 以上のお話は、お子様が乳幼児の場合のケースでして、例えばお子さまが小学生以上の年齢になりますと、あなた自身の体調不良を理由に面会交流を拒否することは難しいです。

 

 

5.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

6.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・夫側と接触した後にお子様が体調を崩したとか、お子様が乳幼児のケースであなた自身が体調を崩してしまったというような場合には、面会交流を拒否できるケースもある。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

 

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>【弁護士が徹底解説】面会交流で問題となる全事項

>面会交流を一切拒否することは親権獲得にどの程度不利になるの?

 

 

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夫(元夫)との面会交流を一切拒否することはできないのか?

2021.01.04更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。

 

 

3.うちの夫に限っては「当てはまらない」と証明できれば良いのか?


 

 このようなご説明をしますと、「うちの夫に限っては当てはまりません」との声が聞こえてきそうです。
 一面では正しいと思うのですが、そのような事実があるのでしたら、そのことをしっかりとこちらから証明する必要があります。
 ただ、うちの旦那に限っては、子と接することが子にとってプラスになりませんということをしっかりと証明することは難しいケースが多いと思います。

 

 

4.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。

(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。

 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親の意向を酌んでいる側面が強いという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

5.一度約束している場合は?


 

 既に離婚は成立していて、離婚協議書、離婚調停調書等の文書で、面会交流を行うことが明記されているような場合、その後よほど大きな変化等がない限り、面会交流を拒否することは一層難しくなるケースが多いです。
 逆に、口頭での約束にとどまるようなケースですと、状況等によっては面会交流を拒否できるようなケースもあります。

 

 

6.どこまで争うべきか


 

 面会交流の話し合いは、離婚の話をしているような場合には、離婚の話し合いとセットで協議することが多いです。逆に、既に離婚が成立しているような場合には、面会交流だけを議論することも多いです。

 当人同士の話し合い、弁護士が間に入っての話し合い等がうまくいかない場合には、通常調停手続きを踏むことが多く、調停でも折り合いがつかないような場合には審判に手続きは移行します。
 それでは、①話し合い→②調停→③審判という流れの中で、どこまで争うべきなのでしょうか。

 前述のように児童虐待等があって、面会交流がお子様の不利益だというケースの場合には、審判等までしっかりと争ったほうが良いと思います。
 また、児童虐待等とまでは言えなくとも、しっかりとした理由があって面会交流を拒否したいという場合には、安易に妥協しない方が良いと思います。

 ただ、お子様自身は父親に会いたがっているというような場合には、無理に面会を拒絶することはお子様にとっても良くないことかもしれません。

 そのため、まずは、お子様の意思をしっかりと確認する必要があります。
 もちろん、お子様がまだ自分で判断することが難しい年齢だとか、これまでの児童虐待のことをしっかりと記憶していないという場合には、お子様の意思に反してでも面会交流を拒否すべき場合はあります。ただ、お子様が面会交流について示した意思については、単純に「賛成」「反対」の結論だけではなく、どうしてそのように考えるのかについても掘り下げたうえで、どのように対応すべきか検討すべきことが多いです。

 前述の通り、児童虐待等があるケースですと、しっかりと審判まで争っていくべきケースの方が多いと思いますが、そうでない場合には、可能な限り調停で話をまとめてしまった方が良いケースの方が良いかと思います。調停で議論したほうが面会交流の条件等について審判よりも柔軟な解決が可能だからです。

 

 

7.裁判所が第三者機関を勧めてくるケースも多い


 こちらが面会交流を断固拒否していても、こちらの不安を払拭すべく、裁判所側から第三者機関の利用を勧めてくることも多いです。
 ただ、いざ第三者機関の利用を開始し、何回か利用したうえで問題がないと、ステップを踏んで直接交流させるという方向で議論が進むリスクも高いので、第三者機関の利用については慎重に検討したほうが良いです。

 

 

8.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

8.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・面会交流を争う場合には、極力調停で話をまとめてしまった方が良い。
・裁判所が第三者機関の利用を勧めてきた場合でも、慎重に検討したほうが良い。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

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【面会交流調停の相手方にされてしまった方へ(主に女性側)】面会交流調停って何だ?

2020.12.21更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

今回は、面会交流調停の相手方にされてしまった方を対象にして、面会交流調停がどのような手続きなのかを解説していきます。

 

 

1.面会交流調停って何だ?


 面会交流調停とは、一般的には、夫婦(元夫婦)が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて面会交流の当否、条件等について話し合いをする手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていてイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に面会交流調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、夫(元夫)側が面会交流の頻度や条件に不満を持っているときに、その条件を拡張すべく申立を行うことが多いです。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、面会交流の条件等を調えていくことになります。

 

 

3.そもそも調停に参加しなくてはいけないのか


(1)調停が不成立になると審判になってしまう
 このような調停は夫(元夫)側から突如として起こされるケースも多く、奥様の側としては調停に参加することに強い抵抗感を持つことも多いと思います。
 ただ、そのような反発心等から調停に欠席してしまいますと、調停自体は不成立で終了し、審判手続きに移行してしまう危険性が高いです。調停は裁判所で行うとは言いましても話し合いの手続きなのですが、審判では裁判官の判断で面会交流を強制される事態にもなりかねません。
 そのため不本意かもしれませんが、調停には参加したほうが良いと思います。

 

(2)答弁書等を提出すれば、第1回調停期日は欠席できる
 前述のように調停を全て欠席するということは得策ではありません。
 他方で、第1回調停期日に限って言いますと、こちらの都合を聞かずに設定された期日ですから、仕事の都合やお子様の行事の都合等で出席できないときには、第1回調停期日に限り、欠席しても問題ありません。
 ただ、事前に何も断らずに欠席してしまいますと、調停そのものをボイコットしていると評価されてしまう危険性がありますので、必ず第1回期日の1週間前までには、答弁書と進行照会回答書等を裁判所に提出するようにしておいてください。

4.結局会わせなくてはいけないのか?


 

調停は話し合いの手続きですので、その手続きの中で何かの結論を強制されるということはありません。
 ただ、裁判所は基本邸に面会交流に対して積極姿勢ですので、こちらから面会交流を拒否するだけの十分な理由を述べないと、面会交流実施に向けて話が進んでいくケースは多いです。

 そのため、あなたが、面会交流実施に強い不安を持っているようでしたら、事前に面会交流を拒否すべきとする理由をしっかりとまとめ、調停の場で意見表明していく必要があります。

 なお、離婚の際に面会交流の条件について一旦合意している場合、その条件を事後的に変更していくことは難しいケースが多いです。例えば、離婚のときには月1回会わせると約束したけれども、その後あなたの仕事が忙しくなり対応が難しくなったといったケースでは、一度約束してしまっていますので、月1回という頻度で面会交流調停が進んでいくケースが多いです(離婚の際の約束が口約束だという場合には、別の対応があり得ますが)。

 

5.調停委員ってどんな人?


 面会交流調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。また、これは裁判官の裁量によりますが、家庭裁判所調査官が調停の席に加わって手続を進めるケースもあります(本格的な調査実施前までには必ず調査官が立ち会うのですが、初回や2回目から調査官が立ち会うかは裁判官の裁量・調査官の都合(要するに調査官が抱える別事件の期日出頭の必要があるかどうか)によって決められます)。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

6.面会交流調停ってどこで行うの?


 面会交流調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

7.面会交流調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。
①夫婦(元夫婦)はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお兄様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その点では安心です。

 

11.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
ただ、面会交流については、法律的に強制することに馴染みませんので、ルールが守られなかったりしたとしても、強制執行等は難しいことが多いです(そのような場合には履行勧告等でルールに沿った面会交流を実現していくことになります)。

 

 もちろん、強制執行等が難しいとは言っても、一度調停で約束した内容を反故にしますと、今後の別の手続き等に大きな悪影響を及ぼす危険性がありますので、調停内容はしっかりと順守していくべきことになります。

13.まとめ


・面会交流調停は、面会交流の条件等を取り決めるための手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・面会交流調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められる。

 

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面会交流審判って何だ?

2020.12.14更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。 

 

1.いきなり面会交流審判を起こしても、調停に戻されるケースが大半である。


 離婚について調べていると、手続のステップは、①協議→②調停→③裁判の3つ手続きを経るという記事を見かけることもあるのではないでしょうか。
 そして、離婚の場合、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります(これを「調停前置主義」と呼びます)。

 これに対して、面会交流事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 それでは、いきなり面会交流審判を起こした場合、裁判所はどのように対応するのでしょうか。
 面会交流の事件は、これまでのご夫婦のお子様に対する関わり方なども問題になりますし、実際に面会交流を実施するにあたっても、今後トラブルが発生しないように慎重に進めるべき場合もあります。
 そのため、裁判所としては、いきなり審判で強制的に行わせるよりも、まずは裁判所での話し合いをすべきとして、調停に戻して話し合うよう要求されるケースが大半です。

 結局、法律上はいきなり審判を申し立てられるとしても、実際の裁判所の運用上、調停を経ずにいきなり審判を行うということは難しいのが実態です。

 いずれにせよ、面会交流調停を経ても話し合いがうまくいかない場合には、手続きは審判手続きに移行しますので、この「審判」という手続がどのようなものなのか、調停と比較しながら解説していきます。

 

2.審判と調停の違い


 審判と調停との間にはいくつもの違いがあるのですが、大きな違いとしては以下のような点が挙げられます。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(会議室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要な場合もありますが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 それぞれについて具体的に説明して行きます。

 

(1)審判手続は審判を目指す
 冒頭でも説明しましたとおり、審判手続は審判を得ることを目的としており、審判が言い渡されて、その内容が確定すると、不満のある当事者も審判の内容に従わざるを得なくなります(そのため、イメージとしては「判決」に近いです)。
 調停の場合には、相手の提案に納得が行かない場合には、納得いかない旨を述べれば調停は成立しませんので、相手の言い分を強要されることはありませんので、この点が審判と調停の一番大きな違いと言えます。

(2)審判は原則法廷で行われる
 調停は調停室という会議室のような部屋で行われるのですが、審判は原則として法廷(テレビドラマなどに出てくるのは通常この「法廷」になります)で行われます。
 そのため、調停室(イメージとしては打合室に近いです)よりも厳粛なムードで行われます。

(3)審判に対しては即時抗告という不服申立ができる
 審判手続の結論として審判が言い渡された場合でも、その審判内容に不満がある当事者は、即時抗告をして、その内容を争うことができます。
 これに対して、調停が成立した場合、後で気持ちが変わったとしても調停の内容を覆すことはできません(不服申立手段がありません)。
 なお、審判手続の中で当事者間の話し合いが上手くいった場合には、裁判官が審判手続きを調停手続に変更した上で、調停が成立することがありますが、この調停に対しても不服申立ができませんので、注意が必要です。

(4)審判では書類のやり取りが中心になる
 審判では、最終的には裁判官が審判を書くことになりますので、当事者の言い分が不正確にならないように、お互いの言い分は主張書面といった書面に書き起こして主張してゆくことになります。
 面会交流調停の場合には、特に調停委員が希望する場合を除いて、言い分は調停室内で口頭にて述べられますので、この点も審判との違いになります。
 このように審判では本人の言い分が裁判官にきちんと届くように書面をまとめることが非常に重要になりますので、審判期日当日というよりも当日よりも前の主張書面の準備が重要になります。

 なお、面会交流審判事件では、最終的には調査官の調査報告書が作成されますので、書面提出のみではなく、調査報告書の内容、調査報告作成に当たって調査官が確認した内容も重要なポイントになります。
 ただ、このような調査官調査に入る前に、しっかりとこちらの言い分を裁判官や調査官にぶつけ、必要な裏付け資料は全て提出しておくことが最重要になりますので、いずれにしましても、口頭のやり取りではなく、書類のやり取り、特に裏付けのやり取りが重要であるという点は調停との大きな違いです。

(5)審判には本人は出席しなくて良い場合もあります
 調停手続の場合、仮に弁護士が代理人に就いたとしても、本人が調停手続に出席する必要があります(弁護士も同席します)。
 これに対して、面会交流審判の場合も、本人の出席が必要なときもありますが、不要とされるケースもあります(ただ、面会交流審判のケースですと、実際のところは、審問を行うなどの理由から、裁判所から、本人の出席を求められるケースも多いです)。

3.審判の具体的イメージは?


 審判というと、よくドラマでやる様な相手を証言台に立たせて尋問することをイメージする方も多いと思いますが、実際の審判は大きく異なります。
 面会交流審判においては、家庭裁判所調査官の調査結果が、重要な意味を持ちますので、こちらに有利な調査報告を得られるように、お互いのが書面や資料を提出するという形が多いです。
 また、裁判官が必要な審問(当事者に直接質問をする手続き)を行う場合もありますが、一般の証人尋問のように代理人弁護士には質問権がありません。

 

 

4.まとめ


・審判手続は調停と比較してみてみると分かりやすい。

・比較の結果の大きな相違点は以下のようなものである。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(打ち合わせ室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要とされるケースもあるのに対し、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【これから調停を申し立てようと考えている方へ(主に男性側)】面会交流調停って何だ?

2020.11.30更新

弁護士秦
 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 今回は、これから面会交流調停を申し立てようと考えている方を対象に、面会交流調停というものがどのような手続きなのかを解説していきます。

 

1.面会交流調停って何だ?


 面会交流調停とは、一般的には、夫婦(元夫婦)が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて面会交流の当否、条件等について話し合いをする手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていてイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に面会交流調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、これまではお子様と会うことが出来ていたのに突如家内が会わせたくないと言ってきたとか、離婚した途端会えなくなったといった場合に、お子様との面会を求めるとともに、その条件について話し合いをする手続になります。

 調停の席での話し合いが順調に進めば、面会交流の条件等を調えることができます。
 ただ、相手が頑なに面会交流を拒否するような場合、調停では解決しないという場合はあります。

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)できる限り相手との交渉努力をする
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、まずは、お子様と会えないことに不満があること、どうして急に会えなくなったのかといった点を相手に尋ねて、話し合いの努力をした方が良いです。

 仮に、どうしても話し合いがうまくいかない場合には、当人同士ではなくお互いの両親を交えて話をするなど、交渉スタイルを変えてみることも検討してみてください。
 そのような交渉スタイルの変更をしても話し合いがつかない場合でも、可能な限り、相手への最後通告を行ったほうが良いです。そうすることによって、相手が話し合いに応じてくる可能性があるからです。

(2)調停を起こすタイミングを見計らう
 前述のような交渉努力をしても相手が頑なに面会交流を拒否してくるような場合には、いよいよ調停申し立ても検討していかなければいけなくなります。
 基本的に裁判所は面会交流の実施について積極的ではありますが、調停はあくまで話し合いの手続きですので、実際の面会交流実現までに時間がかかってしまうケースが多いです。そのため、実際に調停を申し立てる際には、これから相当期間の面会交流調停手続きを経ていく必要があるという覚悟を決める必要があります。

 また、お子様の進学時期など、タイミングが悪い時期に調停を起こすと相手の反発が一層高まる危険性があります。そのため、お子様の行事等から、必要以上に相手を刺激しないタイミングで調停を起こした方が無難かもしれません。

4.調停委員ってどんな人?


 面会交流調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。また、これは裁判官の裁量によりますが、家庭裁判所調査官が調停の席に加わって手続を進めるケースもあります(本格的な調査実施前までには必ず調査官が立ち会うのですが、初回や2回目から調査官が立ち会うかは裁判官の裁量・調査官の都合(要するに調査官が抱える別事件の期日出頭の必要があるかどうか)によって決められます)。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

5.面会交流調停ってどこで行うの?


 面会交流調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

6.面会交流調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

8.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。
①夫婦(元夫婦)はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお兄様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その点では安心です。

 

10.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

11.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
ただ、面会交流については、法律的に強制することに馴染みませんので、ルールが守られなかったりしたとしても、強制執行等は難しいことが多いです(そのような場合には履行勧告等でルールに沿った面会交流を実現していくことになります)。

 

13.まとめ


・面会交流調停は、面会交流の条件等を取り決めるための手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・面会交流調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められる。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

家内がコロナ離婚を叫びだした場合の対処法-復縁に向けての対応方法

2020.11.23更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

今回コロナ離婚に関わる問題として解説していきますが、令和2年6月現在、当職の担当事件で直接コロナ離婚を扱っている事件はごく少数です。おそらく、今は、緊急事態宣言発令が解除したばかりで、外出を自粛しているという事情もあって、別居や離婚という大きなアクションを起こしていないからではないかと思います。
ただ、当職は長くモラハラ離婚をはじめとして様々な離婚のケースを取り扱ってまいりましたので、そのような経験から予測できるところを踏まえ、解説していく次第です。

 

 

1.家内が「コロナ離婚」という言葉を使い始めた


 最近、報道でもコロナ離婚というフレーズが使われる頻度も増えてきていますので、奥様が軽率にそのフレーズを使った可能性も十分にあります。
 ただ、奥様がその様な言葉を発し始めたときの対応を誤ってしまいますと、離婚に向かって大きく話が進み始めてしまうリスクがありますので、この点は十分に注意する必要があります。
 そこで、奥様がコロナ離婚というフレーズを使い始めた場合の対処方法について以下で解説していきます。

 

2.初期の段階の対応


 奥様がコロナ離婚という言葉を口にし始めた初期の段階では、通常の夫婦の間で生じるような多少の行き違い等の話の可能性もあり、そうであれば、奥様の話を聞くだけで奥様も気持ちが晴れるということもあると思います。

 ただ、奥様がこのように言い始めることには何らかの発端があるのが通常ですから、奥様の話をないがしろにすることは厳禁です。
 「在宅勤務で業務中なのが見て分からないのか」
 「こっちも家事を手伝っているのになんなんだ」
 「そんなことを言っている暇があったら、ちゃんと子供の面倒を見ろ」
 といった返答は避けた方が良いでしょう。

まずは、奥様がそのような話を始めたシチュエーションや状況、話しぶり等から、どこまで本気なのかといった点を推測してみたほうが良いと思います。

 また、奥様とのコミュニケーションが円滑に取れているケースで、奥様の言い分がもっともだという場合には、あなたも多少の範囲で改善等をする必要も出てくると思います。
 確かに、あなたとしては、コロナウイルスの関係で不仲になったのは一過性の問題なのに、納得できないという面もあると思いますが、感情的になってしまうことは得策ではありません。

3.家内が離婚を強く要求してきた


 これまで奥様が離婚と言った言葉を口にしてきたことはないのに、急に「別居したい」「別れたい」「離婚したい」といった言葉を口にし始めた場合、あなたもしっかりと対応していく必要があります。

(1)基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応すること
 奥様がどのようにしてコロナ離婚などと言い始めたのかは分かりませんが、コロナの問題で強い閉塞感を感じている可能性もありますハラ被害者であるということで気持ちが盛り上がってしまっている場合があります。
 これに対して過剰に反応してしまいますと、夫婦関係はぎくしゃくしていき、いずれは離婚という方向に話が進んでしまいます。

 他方で、相手が理不尽な要求をしてきたのに、その全てに付き合ってもいられません。
 そこで、奥様からの離婚要求に対する基本的な姿勢は、「冷静にメリハリを付けて対応すること」ではないかと思います。あなたが奥様よりも一歩大人になって、冷静に対応するというのが夫婦円満の秘訣ではないかと思います。具体的には以下の通りになりますので、参考になさって下さい。

(2)まずは、奥様の言い分をしっかりと聞く
 奥様が離婚したいがために、事実と異なる話や事実を誇張した話をしてくることがあります。
 その様な場合、あなたとしてはすぐさま反論したくなると思いますが、すぐには反論せず、まずはしっかりと奥様の話を聞くようにして下さい。
 奥様の言い分が複数に上るような場合には、こちらもメモを取るなどした方が良いでしょう。

 何故、先に奥様に一通り話をさせるのかというと、後から奥様に以下のように言われることを防止するためです。
 ①夫が最初から喧嘩腰だったのでほとんど話をできなかった。
 ②少し話し始めた途端、夫が長々と言い訳を始めたので、「この人には何を言っても無駄」だと思って、話すのをやめた。
 ③こちらが真剣に相談しているのに、夫に怒鳴りつけられて、もう離婚するしかないと決断した

 もちろん、「奥様の話を一通り聞く」ということは、あなたが反論してはいけないと言うことでは決してありません。一通り聞いた後に、あなたの方で必要な反論をするようにして下さい。奥様が誤った認識を持っている場合には、しっかりと誤解を解く必要があります。但し、その際にもあまり感情的にならずに、冷静に話をするように努めて下さい。

(3)奥様が隠し録音をしているかもしれないということに注意
 最近はスマートフォンの性能が良いため、簡単にスマートフォンで夫婦間の会話を録音することができます。
 奥様が真剣に離婚を決意している場合には、あなたとの会話を録音している可能性もあります。

 そのため、録音されている可能性も考慮して以下の点には最低限注意して下さい。
 ①感情的になって話をしないこと(怒鳴ったり、大声を出すことは厳禁)
 ②相手が言う離婚理由を安易に認めないこと(後で、奥様から「あの時の会話で夫は認めていた」と揚げ足を取ってくる危険性があります)
 ③こちらが離婚に応じても良いというような発言は控えること

(4)あなたとしても非があるようなら、その点だけは改善する
 奥様の言い分のうち、虚偽や誇張に関しては、あまり真剣に取り合う必要もないと思いますが、事実としてあなたが反省すべき点があるようなら、時には謝罪し、時には改善していく必要もあると思います。
 奥様の方も、あなたが誠実に対応するようならば、離婚に突き進むのではなく、考え直す可能性もあるのではないでしょうか。

(5)改善が難しい点はその旨を伝える
 残念ながら、コロナウイルス感染拡大で、奥様が強い閉塞感を感じ、感情に走って、何でもかんでも直せと要求してくることも考えられます。

 そこで、あなたの仕事の関係上応じることが難しい事項等については、しっかりと「改善できない」と相手に伝える必要があります。
 なお、奥様からの要求が理不尽なもののため、ついあなたも感情的になってしまいそうですが、冷静になって落ち着いた口調で話をした方が良いと思います。

(6)奥様が離婚話に固執し冷静な話し合いができない場合
 奥様が感情的になって、離婚以外の選択肢がないような発言を繰り返す場合、夫婦2者間での話し合いには限界があるかもしれません。
 その様な場合には、奥様も冷静になって話ができるような身内の方や友人の方を間に入れる方法を検討してみて下さい。

 

4.夫婦なので「お互い様」が基本的な考え方


 夫婦関係には通常波がありますので、関係が非常に良好なときもあれば、多少険悪化してしまうときもあります。ただ、険悪化した原因が全てあなたにあるのかというと、通常は様々な経緯や状況・環境があってのことだと思います。
 特に現在はコロナウイルスの影響で、常にお子様がいる、夫婦が顔を合わせる機会が増える、旅行やレジャーに出かけることも難しいため家族で楽しむイベントを企画しにくいなど、夫婦関係・家族関係に悪影響を及ぼす環境が揃ってしまっています。
 そのため、お互いにギスギスしてしまうのも無理はないのですが、このことは夫婦どちらかの問題というよりも環境の問題という側面が強く、夫婦関係としては「お互い様」ということが多いと思います。

 ただ、あなたが一方的に悪者扱いされていることに対して感情的に対立してしまっては、円満な夫婦生活を送っていくことは難しくなります。
 そこで、前述のように、冷静にメリハリを付けて対応することが肝要かと思われます。

 

5.まとめ


・奥様が「コロナ離婚」と叫んでも、その時のシチュエーション等を考慮して対応する必要がある。
・奥様が強く離婚を切り出し始めたような場合には慎重な対応が必要になる。
・基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応する姿勢が大事
・まずは、奥様の言い分をしっかりと聞くこと
・あなたに非がある部分は改善し、対応困難な点は対応できないとしっかりと伝えること
・冷静な話し合いが難しい場合には、身内や友人を間に入れることも検討する。

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コロナ離婚対応)突如調停の相手方にされてしまった方へ【答弁書の書き方】

2020.11.09更新

弁護士秦
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1.まずは調停申立書を読み解くこと


 調停申立書は簡単に目を通しただけでは見落としてしまうような項目も複数ありますので、しっかりと読み解く必要があります。
 この調停申立書をしっかりと読み解くことが答弁書等作成の大前提になるからです。

2.まず何を裁判所に提出すればよいかを把握する


 裁判所から送られた書類には色々な書類が入っているため、整理する必要があるのですが、あなたが提出しなければいけないのは、①答弁書(夫婦関係調整)、②進行に関する照会回答書(相手方用)、③連絡先等の届出書の3つになります。

 それぞれの書類の意味合いについて概説しますと以下の通りになります。
 まず、答弁書は、奥様からの離婚調停申立に対してどのように考えるかを記載する書類になりまして、あなたが提出する書類の中で一番重要な書類になります。

 「進行に関する照会回答書」は、今後の調停事件の進め方について、あなたの意見を記載する書面になります。裁判所としては、あなたに裁判所に出席してもらわないことには調停を進められないわけですから、あなたが調停に出席できるか、出席できない場合、いつなら出席できるのか等について、あなたの意見を求めているのです。

 最後に「連絡先等の届出書」は、裁判所からの今後のあなたへの連絡方法を記入する書類になります。
 このように「進行に関する照会回答書」と「連絡先等の届出書」は、事務連絡文書ですので、そこまで重要な書類ではありません。ただ、裁判所としても事件の整理にあたって必要な書類ですので、必ず調停期日の1週間前までには提出するようにして下さい。

3.答弁書の書き方


(1)そもそも答弁書は出した方が良いのか
 たまに私が質問を受ける中には「調停の日に裁判所に行って話をすればいいから、こんなもの出す必要ありますか?」とか「相手は弁護士を付けているから素人が書面を書くと揚げ足を取られそうだから、出さない方が良いんじゃないですか?」とか、「そもそも、調停は家内の我が儘で始まったことなので、調停の日に行く必要はないし答弁書なんか出す必要もないですよね?」といった意見を聴くことがあります。

 ただ、弁護士としては「極力答弁書は提出した方が良いですよ」という返答になります。と言いますのは、答弁書を提出しないと、調停委員は、あなたがどのように考えているのかがさっぱり分からないということになってしまいますし、裁判所としては、1週間前までに答弁書を提出して欲しいと要請しているわけですから、答弁書を提出しないという行動は、「裁判所の要請には従えない」という誤ったメッセージを送ることになりかねません。当然調停委員の印象も悪くなってしまいます。

 なお、調停手続に一切欠席すると言う人もいるようですが、調停の席に着かないと、相手の言い分が分からなくなってしまいますし、奥様は蔑ろにされたと感じてしまいますので、得策とは思えません。
 いずれにせよ、答弁書を提出しないと言うことにはデメリットしかないので、必ず事前に裁判所に提出するようにして下さい。

(2)答弁書を書き始める前に
 あなたの人生にとって裁判所から書類が届くという事態は稀な経験だと思いますので、調停申立書を受け取った瞬間に、焦ってしまう、何も考えられなくなってしまうだとか、逆に奥様に対する怒りの感情を抑えられないと感じてしまうなど、冷静でいられなくなってしまうことは普通のことです。
 ただ、だからといって、そのときの感情にまかせて答弁書を記載しては絶対にいけません。
 答弁書は裁判所に提出する書類で、奥様側も目にする可能性が高い書類ですので、慎重に記載する必要があるのです。

 そして、離婚はあなたの人生にとって1回や2回しかない重要な出来事ですので、答弁書を書き始める前に、冷静になってじっくりと離婚した方が良いのか、復縁した方が良いのかを考えてみて下さい。
 そのときには奥様への愛情がどのくらい残っているのか、これまでの夫婦の接し方、家族行事の様子、お子様との関係性等に色々と考えを巡らせた上で、結論を出して下さい。
 そして、その結論が出てから、答弁書を書き始めて下さい。ただ、いつまでも結論が出ないからといって答弁書を裁判所に提出しないわけには行きませんので、どうしても結論が出ない場合でも答弁書は提出して下さい。その場合の書き方についても後述します。

(3)答弁書の書き方
 1)まずは、離婚するかどうかにチェックを入れる。
  離婚で構わないと考えるか、離婚したくないと考えるかについては慎重に検討してもらうとして、その結論が出た場合には、答弁書の最初の項目である「円満に調整してほしい」「離婚したい」「検討中」のいずれかのチェックボックスにチェックを入れる必要があります。
  なお、離婚するか迷っている場合には、絶対に「離婚したい」にチェックは入れないで下さい。たまに、家内がここまで強く離婚を求めてくるなら「仕方ないかな」と諦めてしまって、「離婚したい」にチェックしてしまう人もいるのですが、そうすると、調停手続は、離婚の条件を決めるだけの手続になってしまいます。
  迷っていて結論が出ていないという場合には、最低限「検討中」にチェックして下さい。

 2)意見覧の記載
 「円満に調整してほしい」「離婚したい」「検討中」のチェックボックスのすぐ下に「意見」の覧があります。1行だけしか記載できない仕様になっていますが、あなたの意見があれば記載して下さい。
 例えば、円満に調整してほしい場合「コロナウイルス感染拡大の影響で、私も在宅勤務になりましたが家内への配慮が足りなかったと思いますので、改善して円満な家庭を築いていきたいです」や「コロナの関係でギスギスしていましたので、当分はこのまま別居で構いませんが、コロナの問題が収まった後は一緒に生活していきたいと思います」といった形で簡潔に記載します。

 なお、調停委員に伝えたい項目が沢山ある場合には、答弁書に「別紙」を設けて、円満調整に向けての意見等を記載する方法や、答弁書とは別に陳述書を作成するといった方法もあります。ただ、あまり詳しい事情を記載してしまいますと、逆に奥様を刺激するという危険性もありますので、別紙を作成するにしても1,2ページ程度にとどめるべきでしょう。記載に当たりましては、長々とコロナの影響ばかりを記載してしまいますと、逆効果になりかねませんので(奥様はそれ以前から夫婦仲は良くなかったと言ってきそうなので)、その点には留意してください。

 3)円満に調整してほしい場合
  この場合、「(付随申立について)」と書かれている以降の(1)から(7)については特に記載せず、大きく斜線を引いてもらう形で結構です。
  親権や養育費等は、離婚することが決まった場合に決定する事項ですので、あなたが離婚を希望しないのに親権等について意見を述べるというのは行動として矛盾してしまいます。ですので、(1)から(7)の箇所には斜線を引いておくのです(なお、空欄で提出してしまうと、裁判所の方から「書き漏れですか?」という問い合わせが来てしまうことがありますので、斜線を引いておいた方が良いでしょう)

 4)こちらも離婚に応じる場合
  この場合、「(付随申立について)」と書かれている以降の(1)から(7)についてもしっかりと記載する必要があります。
  奥様がお子様を育てていくことに不安がある場合には、あなた自身が親権者になるという意見を出すべきかもしれませんし、お子様と会えていない場合には、面会交流についての意見等も述べる必要があります。

  ただ、考えなければいけない項目が多すぎて整理が付かないという場合には、「検討中」にチェックを入れて、とりあえずは調停の席で話を聞きながら考えると言うことでも良いと思います。
  一番大事なのは、離婚の条件もあなたの人生にとって非常に重要な事項ですので、安易に妥協せず、投げやりにもならず、今後あなたが後悔しない選択をすべきということです。

 5)離婚するかどうか「検討中」の場合
  この場合、円満に調整してほしいという気持ちの方が優勢の場合、現時点では「検討中」にチェックせず「円満に調整してほしい」にチェックを入れた方が良いと思います。
  「検討中」としてしまうと、「条件次第では離婚も考える」と読めてしまいますので、円満に調整してほしいという気持ちがどちらかというと強いという場合「円満に調整してほしい」にチェックした方が、あなたの心境により近い表現になるからです。

  逆に、離婚の気持ちの方が優勢という場合でも、離婚という決断を決めかねているという場合には、現時点では「検討中」と記載して下さい。
  先ほども説明しましたように、現時点で「離婚したい」にチェックしてしまいますと、調停の場では離婚の付随条件を決めていくという流れになってしまうからです。離婚の気持ちが優勢だとしても決めかねているという場合には「検討中」にチェックするのがあなたの心境により近い表現になると思います。

 6)「2 申立書の『申立ての理由』について」の覧
  まず、同居日と別居日は、離婚原因や財産分与にも絡む重要な日付ですので、奥様が記載してきた同居日と別居日の記載に誤りがないかしっかりと確認して下さい。
  皆さん離婚するかどうかや離婚の付随条件にばかり頭がいってしまい同居日と別居日については「だいたいこんなもんでしょ」と簡単に回答してしまうこともあるのですが、重要な日付ですのでしっかりと確認する必要があります。

  次に「申立の動機」に対する意見については、奥様の主張が事実無根だという場合には、簡潔にあなたの意見を記載して下さい。例えば、暴力を振るったことがないのに調停申立書に「暴力を振るう」とチェックされている場合には、そのような事実がないことを記載することになります。
  なお、あなたの希望として夫婦円満を希望する場合、あまり奥様の申立動機に対して詳しい反論をしてしまいますと、そのことが夫婦不和の原因にもなりかねませんので、いわゆる「書き過ぎ」には注意して下さい。

 7)「3 その他」の覧について
  ここには、これまで記載した中で記載しきれなかった事項について記載することになります。
  よくありますのは、夫婦として円満を希望しているけれども、お子様と面会できていないことだけは不満があるので、お子様との面会について協議させてほしいとか、お子様の登校や学業成績について心配しているので、確認したい、といった要望を記載することになります。

(4)「進行に関する照会回答書」の書き方
 1)「1 別紙期日通知書の期日に出席できますか」
  まず、期日通知書の日時に出席できるか、あなたの日程を確認して記入して下さい。
  なお、「第1回期日には出席した方が良いですか?」という質問をよく受けますが、あなたの方でも弁護士を立てる予定で、弁護士の都合がつかないような場合には、第1回期日は欠席にして下さい(弁護士だけ欠席で、あなた本人のみは出席ということは通常せず、あなたも弁護士も欠席することになります)。
  逆に、あなたの仕事の都合がつき、調停期日にはあなた自身でまずは対応してみたいと考えているような場合、第1回期日は出席するようにして下さい。

 2)「2 最初の期日に欠席する場合、その後の期日について希望曜日をお書き下さい」
  あなたが第1回期日に出席できる場合、この「2」は空欄のままで大丈夫です。
  あなたが第1回期日に出席できない場合には、なるべく沢山候補日を記入して下さい。なお、調停の時間は、午前中は午前10時(但し、相手方は10時30分集合の場合あり)から12時頃まで(延長の可能性あり)、午後は午後1時30分(但し、相手方は2時00分集合の場合あり)から3時30分頃まで(延長の可能性あり)になりますので、その時間帯を視野に、出席できる日付を複数記入して下さい。

 3)「調停での話合いは円滑に進められると思いますか」
  この覧は参考程度の記載項目ですので、あまり神経質にならずに記載してもらって大丈夫かと思います。
  なお、離婚するかどうかや、その付随条件で意見対立が激しいようであれば「進められないと思う」にチェックして下さい。
  奥様の言い分が今一はっきりしない場合には「分からない」にチェックする形で問題ありません。

 4)「4 申立人の暴力等がある場合には、記入して下さい」
  あなた自身が奥様から暴力を受けた経験がある場合には記入して下さい。夫婦喧嘩がヒートアップして多少お互いに手を出し合う形になったというような話であれば、とりたてて記載しなくてもよいと思います。
  この記載項目は、例えば妻側が凶器を持参してくる危険性等もあるという場合には、調停委員も身の安全を考えなければならないといった問題もありますし、あなた自身に危害が加わらないような配慮も検討しなければならないので、設けられている項目だからです。

 5)「5 裁判所に配慮を求めることがあれば、その内容をお書き下さい」
  これは、前述の「4」の延長なのですが、相手からの暴力を受ける危険性等がある場合に、集合時間を相手とずらすなどの配慮を求めるといった記載をします。

(5)「連絡先等の届出書」の書き方
 あなたが裁判所からの書類を受け取りたい場所と、電話番号を記載する書類になります。
 通常は「申立書記載の住所のとおり」にチェックを入れ、あなたの携帯電話番号を記入することになると思います。

4.まとめ


・答弁書を書き始める前に、まず調停申立書を読み解く必要がある。
・答弁書を書き始める前に、「あなたにとって」離婚した方が良いかをしっかりと考える必要がある。
・答弁書には、離婚で後悔しないと決断しきっている場合以外には「離婚したい」とは記載しない。
・離婚したい場合と夫婦円満を目指す場合とで答弁書の書き方は異なるので注意しながら記載する必要がある。
・「同居日」と「別居日」の覧は軽視されがちだが、重要な日付なのでしっかりと確認して記載する必要がある。
・調停期日の1週間前までに届くように、答弁書、「進行に関する照会回答書」、「連絡先等の届出書」を提出する必要がある。

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