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夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(11)ー面会交流は避けられないのか

2020.08.31更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

 

2.監護権と面会交流って関係あるの?


 上記のような監護権の定義を見ますと、面会交流(お子様を旦那様に会わせることを法律用語としては「面会交流」といいます)とは全く無関係のようにも見えます。
 そもそも、面会交流の問題と監護権とはどのようにかかわってくるのでしょうか。

 フレンドリー・ペアレント・ルールという言葉を聞いたことがありますでしょうか。これは欧州では明確な基準として確立している国もあるのですが、同居していない親と子との関係について友好的・寛容な親を監護者・親権者として優先的に扱うというルールです。

 日本では、このフレンドリー・ペアレント・ルールは直接採用されてはいませんが、現在の実務では、裁判所も面会交流を積極的に推奨しておりますので、面会交流の協力姿勢も監護者指定にあたって重視される項目の一つになっているのです。
 即ち、特別な事情がない限り、旦那様とお子様とが触れ合うことで、お子様にとってもよい効果があることが多い(よく言われますのは、両親の愛情を感じることで安心や自信を得られる、自分のルーツを知ることで人間関係の多様化を図れるといったところです)というのが裁判所の基本的スタンスですので、このような面会交流への協力姿勢の有無というのも監護者指定の審査項目の一つとなっているのです。

 

 

3.面会交流を拒否することはできないのか


 旦那様からの監護者指定審判は、あなたが別居して間もないころに提起されることが多く、あなたとしては「そんなこと言われても気持ちが追い付かない」とか「まだ別居したばかりで落ち着かないので、子供を不安にさせないか心配である」「同居中と同じように暴言を吐きそうで不安」など不安を覚えることも多いでしょう。

(1)面会交流を拒否することのダメージの大きさは?
 面会交流に協力的かどうかが審査項目の一つだとしても、さほど重要な審査項目ではないということなら、拒否することも選択肢の一つになりそうです。
 監護者指定の審査項目で特に重視されますのは、①これまでの監護実績(要するにお子様と同居中のお子様の世話をどの程度見てきたか)、②別居の経緯(要するにお子様の了解をどこまで得ての別居だったのか、別居が穏当な形で行われたのかといった点)、③(お子様が10歳以上という場合)お子様の意思になります。ただ、前述の通り裁判所は面会交流を積極的に推奨する立場ですので、この点は軽視できないというのが現状です。
 そのため、上記①から③が非常に重要だけれども、その次ぐらい面会交流への姿勢も重要だとお考えいただいた方が良いです。

(2)肝心なのは証拠
 裁判官が納得できるような理由もなく面会交流を拒否しますと、裁判官の印象もかなり悪くなってしまいますので、最低限拒否する理由をしっかりと示していく必要があります。
 ただ、何の証拠もなく拒否しますと、簡単に裁判官もその内容を信用してくれないリスクがありますので、肝心なのは拒否理由についてのしっかりとした証拠があるかどうかという点になります。
 旦那様の側に父親として非常に不適切な行動等があったこと(例えば、暴力をふるってお子様をケガさせたとか、娘様に卑猥な行動をとったことがあるなど)の証明ができれば、面会交流を拒否することで不利な扱いを受けることはほとんどないと思います。

(3)連れ去り等の不安がある場合には第三者機関の利用が現実的
 前述のような旦那様側の不適切な行動の証拠があればよいのですが、それがない場合には、簡単に面会交流を拒否しますと、こちらに不利になるリスクがあります。
 そのため、旦那様による連れ去り等の危険性があるという場合には、「面会交流させない」というのではなく「第三者機関での面会交流には応じる」という姿勢の方が良いでしょう。

 

 

4.まとめ


・監護者とは、お子様の身の回りの世話や教育を決定する権利を意味すると考えると理解しやすい。
・裁判所は特段の理由がない限り、旦那様とお子様が接することでお子様にとって良い影響があると考えているため、面会交流の問題は監護者指定にも影響する。
・同居中旦那様のお子様に対する不適切な行動の証拠があれば面会交流を拒否するということも不利にはならない。
・そのような証拠がない場合には、「面会交流させない」ではなく「第三者機関を利用するなら面会交流してもよい」という形の方が不利になりにくい。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

突如調停の相手方にされてしまった方へ-【調停テクニック11】面会交流への力のいれ具合

2020.08.17更新

弁護士秦 

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1.面会交流のトピックスの重み


 

 例えば、奥様が突如お子様を連れて別居を開始し、お子様と自由に会うこともできなくなったとした場合、あなたとしては今すぐにでもお子様の元気な姿を確認したいと思うかもしれません。

 このようにあなたにとってお子様のことが非常に大事だとしても、奥様が離婚の調停を起こしたようなケースでは、面会交流は離婚の一つの条件としてしか議論されなくなってしまいます。

 他方で、面会交流の議論にばかり時間を割いてしまうと離婚するかどうかという問題の議論が疎かになりかねません。

 そこで、今回は、あなたが離婚に応じても良いというケースと離婚には応じられないというケースで場合分けした上で、面会交流の問題への取り組み方について解説します。

 

 

2.離婚に応じる意向の場合


 

(1)まずは離婚に応じて良いか慎重に検討すること

 まず、離婚に応じるかどうかはあなたの人生にとっても大変大事な話題ですので、離婚に応じて良いかはじっくりと検討してみて下さい。

 このようにじっくり検討してみた結果、離婚に応じても良いという場合で、お子様と定期的にしっかりと会っていきたいという場合には、面会交流の問題については早急に議論の対象とした上で協議を行っていくべきです。

 

(2)こちらから面会交流の調停を起こす

 離婚の調停がスタートしても、まずは、奥様の生活費である婚姻費用の議論は避けられませんし、離婚に関係して親権や養育費、財産分与等の他の関連する問題の整理も必要になります。

 そのため、こちらが離婚に応じて良いとしても、すぐにお子様に会えるかどうかは別問題です。

 

 もちろん相手が当初から面会交流に応じる姿勢の場合には敢えて面会交流調停を申し立てるメリットは大きくないかもしれませんが、相手が拒否姿勢の場合には、早急に面会交流調停を起こすことを推奨しています。

 このように調停を起こすと、調停手続の中に「面会交流」という大きなテーマを打ち立てることができますので、今後の調停の流れに大きな影響を与えます。また、面会交流調停を起こすと、当初から調査官が調停手続に参加してくれることも多く、調査官が面会交流実現のために奥様を説得してくれることもあります。

 

(3)面会交流しなくて良いから養育費を払わないと言うことは難しい

 たまに私のところにご相談に来られる方の中には、「今後向こうにも新しい生活があるだろうから、子供とは会わなくて良いので、養育費も支払わない」とおっしゃる方もいます。

 しかし、例え離婚しても、父子関係がなくなるわけではありませんから、養育費を払う責任を免れることは難しいです。また、養育費の問題と面会交流の問題は別問題ですので、会わなくて良いから払わなくて良いと言うことにはなりません。

 

 

3.夫婦円満を目指す場合(離婚に応じない場合)


 

 夫婦円満を目指すケースでも、面会交流を強く希望する場合には、面会交流調停を起こすことを私は推奨しています。

 但し、夫婦円満を最終ゴールとする場合には一定の配慮が必要です。

 

(1)【配慮1】奥様を置き去りにしないこと

 お子様に会いたいという気持ちが逸ることは致し方ないと思いますが、そのことばかりを話題にしてしまいますと奥様が置き去りになってしまいます。そうしますと、当然、奥様からも、夫婦円満の真剣度を疑われることになってしまいます。

 そのため、まずは、奥様と子供達が自宅に戻ってきてもらうこと、元の生活に戻ってきてもらうことを強く希望していることをしっかりと伝え、奥様が今すぐ戻ることが難しいという場合には、まずお子様だけでも会わせて欲しいという伝え方をするのがベターです。

 要するに、夫婦円満を第一目標にしていると言うことを言葉でしっかりと調停委員や奥様に向けて表明しておくことが重要です。

 

(2)【配慮2】調停を起こす前に奥様側の意向・事情を確認しておく

 こちらから面会交流調停を起こす場合には、事前に奥様側の意向を確認した方が望ましいのは当然ですが、そのことに加え、仮に今会わせたくないという場合には、会わせたくない理由も合わせて確認しておくのがベターです。

 そもそも、先方が面会交流について拒否姿勢ではない場合、敢えてこちらから調停を起こす必要性は薄まりますし、また、いきなり調停を起こすと相手も反発してくる危険性もありますので、これらの確認をしておいた方が良いです。

 

(3)【配慮3】面会交流頻度

 ケースによっては毎週末面会交流するというケースもなくはないのですが、限られた例外的なケースです。一般的には面会交流頻度は月1回程度というのがオーソドックスですので、当初はこれ以上の頻回を求めない方が、相手の生活に配慮している姿勢を示すことができて良いことが多いです。

 もちろん、奥様によっては、お子様をこちらに預ける方が自由な時間ができて都合がよいと考える方もいますので、そのような場合には、出来る限り面会交流に応じた方が良いと言うこともあります。

 

 

4.まとめ


・離婚に応じるかどうかを問わず、離婚調停を申し立てられているケースではこちらも面会交流調停を起こした方が良いケースが多い。

・但し、夫婦円満を目指す場合には、以下の点に配慮した方が良い。

 1)夫婦円満が第一目標であることをしっかりと調停の場で示すこと

 2)事前に相手の意向をしっかりと確認すること

 3)あまり頻回を求めないこと

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

突如調停の相手方にされてしまった方へ-【調停テクニック10】婚姻費用を支払うべきか

2020.08.10更新

弁護士秦

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1.法律上支払義務がある


 

 民法760条は、婚姻中の生活費の支払義務を明確に定めておりまして、これを婚姻費用分担と言ったりします。

 このように法律上は、明確に収入の多い方(通常は旦那様)に奥様の生活費を負担すべきと言うことが決めっています。

 

 

2.それでも心情的に生活費を支払いたくないんだが…


 

 このように法律上は婚姻費用の支払義務があると分かってはいても、生活費を支払うことに割り切れないと考える旦那様もいると思います。

 奥様が別居を開始する前に夫婦でしっかりとした話し合いがなされていればまだしも、しっかりとした話し合いがなされていないとすると、「勝手に出て行っておきながら生活費を要求してくるのには納得が行かない」とか「離婚を口にするなら、しっかりと自分の収入だけで暮らしていくだけの覚悟を持つべきだ」と考える方もいます。

 また、そもそも、こちらも離婚に応じるという姿勢の場合、お互いに離婚という結論が一致している以上、婚姻費用を支払う必要性を感じないという方もいると思います。

 

 

3.婚姻費用を支払わなくて良いという判例があると聞いたが?


 

 たまに私のところにご相談に来られる方の中には、「婚姻費用を支払わなくて良いと判断した判例があるようなので、私も婚姻費用は支払いたくありません」とおっしゃる方もいます。

 確かに、そのような判例もありますが、奥様が浮気をして家庭を棄てた上で、浮気相手と一緒に生活しているような極めて特殊なケースですので、特殊な事情がない限り、婚姻費用の支払義務を免れることはないと考えてもらった方が良いと思います。

 

 

4.現実問題払った方が良いのか


 

 結論から申しますと支払った方が良いです。

(1)離婚するケース

 まず、離婚するケースですが、婚姻費用を出し渋りますと、奥様側は、離婚した後の養育費の支払いを強く危惧することが多いです。

 そのため、今後の生活のことを考え、財産分与や慰謝料でまとまった金額を得ようとする傾向が強まり、離婚の条件でもめる要因になりかねません。

 そのため、婚姻費用を支払った方が円滑な離婚に結びつきやすいです。

 

(2)夫婦円満を希望するケース

 夫婦円満を希望する場合、婚姻費用を出し渋りますと、奥様側の態度をより一層硬化させかねないため、一定額を支払った方が良いでしょう。

 確かに、奥様側が勝手に出ていき、例えばお子様の面会交流も否定的という場合には、直ちに婚姻費用を支払うことに納得行かないというのも分からなくはないですが、相手との信頼関係を築いていかないと、夫婦円満の道は閉ざされてしまいますので、ある程度懐の広さを見せた方が良いケースが多いです。

 

 

5.いくら払うか


 

(1)(改定)算定表が一つの目安

 裁判所の実務で一般的に用いられている算定表が令和元年12月23日に改定されたことをご存じの方は多いと思いますが、今後の調停等での婚姻費用の支払いについては、この改定後の算定表を目安として話し合いをすることが主流になると強く見込まれます。

そのため改定表での数字が一つの交渉の目安になるとお考え下さい。

>>改定表はこちら<<

 

(2)実際の支払額は応相談

 このように改定表の数字が一つの目安であることは事実ですが、だからといって、その額を支払わなければならないと言うことではありません。

 相手の生活もあることなので、一切支払わないというのは対応方法として強硬すぎるとしても、手放しで満額を支払うことは慎重にしても良いと思います。

 即ち、例えば、相手が面会交流を強行に拒否姿勢であるとか交渉の糸口を探るためにも、満額は支払わないと言うことも考えられます。そのような場合には、例えば、①養育費の算定表の数字のみを支払うとか、②同居生活中に渡していた小遣いの金額のみ払うと言った方法も考えられます。

 ただ、このように現状満額の支払いを拒否したとしても、実際婚姻費用分担審判になった際には、満額の支払いを命じられる可能性が高いですし、未払分についての精算を求められることが多いと言うことには注意が必要です。

 

(3)口座引落分は差し引いて良い

 別居後も、あなたの口座から奥様の携帯電話代や保険料、お子様の給食費や習い事代等が引き続き自動引落になっている場合、それらの金額は、本来奥様の方で婚姻費用の中でやり繰りすべきお金になりますので、当該引落額は差し引いて問題ありません。

 

 

6.いつの分から支払うか


 相手もしっかりと生活費を要求したい場合には、早期に婚姻費用分担調停を申し立ててきますので、その申立月以降の分を支払うのが一つの目安と言えます。要するに、例えば、別居を開始したのが令和元年7月、婚姻費用分担調停を申し立てたのが令和元年8月、調停の書類がこちらに届いたのが令和元年9月だとすると、調停申立月である令和元年8月分以降の生活費を支払うと言うことになります。

 ただし、調停を申し立てる前に正式な書面等にて明確な数字を明記した上で婚姻費用の支払いを請求しているような場合には、その月の分から支払うべき場合もあります。

 

 

7.お子様の学費負担


 お子様の学費については、お子様が公立校に通っている場合には、婚姻費用の中に含まれていますので、別途負担の問題は基本的に発生しません。

 他方、私立校の学費については、通常婚姻費用でカバーされている額を超えていますので、別途負担の問題が生じます。

 一般的には、公立校でかかる学費分を差し引いた額について、お互いの収入額で按分計算することがオーソドックスですが、学費の支払いについては通常の月々の婚姻費用とは別途協議を行うことが多いです。

 なお、同居中から、お子様の私立校への進学に反対していたことが明確に証明できる場合には、学費負担をゼロとすべきケースもあります。

 

 

8.まとめ


・婚姻費用の支払いは法律上の義務である。

・無断別居などのケースでは納得しにくいのは分かるが、婚姻費用は支払った方が良い。

・支払額は(改定)算定表が目安になる。

・ただ、今後の調停の進行を見極めながら、一部支払いにとどめるケースもある。

・婚姻費用は調停申立時以降の分を支払うケースが多い。

・学費の負担については別途協議事項である。

 

 

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【モラハラ夫の深刻度チェック8】その他

2020.07.27更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。
 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半です。
今回はこれまで解説してきた代表的なモラハラ行為に含まれないものでどのようなものがあるのかを概括的に解説していきます。

 

 なお、「その他」などと表現してしまいますと、他のモラハラよりも深刻性が低いものという印象を与えかねませんが、そのようなことはありません。そのモラハラ行為の深刻性は、あくまでその行為の内容等次第ということになります。

 

 

3.具体例


 

(1)具体例

例えば、これまで解説してきたもののほかに以下のようなものがあります(以下が全てではありません)。

 

① 脅迫行為(凶器等を用いる場合もあり)

② ダブルスタンダード(同じことをしても夫自身の行動は許されるのに、こちらが同じことをするのは許されない)

③ 態度豹変(何の前触れもなく急に態度が豹変する)

④ 優柔不断・振り回し(優柔不断で態度がよく変わるため、こちらが結局振り回される)

⑤ 逆ギレ

⑥ 被害妄想発言・誇張発言

⑦ 虚言癖

⑧ 侮辱発言

⑨ 他のモラハラ行為を示唆する言動

⑩ 夫の収入や立場・学歴の誇示(逆に奥様の立場等への侮蔑)

⑪ SNS等での誹謗中傷の拡散

⑫ こちらが大切にしている物の隠匿や処分・破棄

⑬ 意図的にこちらを無視してくる

⑭ 舌打ちやため息

 

(2)深刻性のチェックポイント

これらの行為について一概にどの行為が重度とは言い切れないのですが、以下のような点を総合的に考慮して深刻度を判断することが多いです。そして、特にあなたへの生命身体に危害が及び危険性が高いほど深刻さのレベルは上がる傾向にあります。

①当該行動開始の経緯

②当該行動の内容

③当該行動の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④当該行動等の頻度・回数

⑤当該行動等の時間帯

⑥それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)

 

(3)端的にあなたの身体・声明に危害を及ぼすような行動や言動は「重度」になりやすい。

 例えば、包丁等の凶器を用いて脅迫してくるとか、あなたを傷つけるような言動に及ぶ場合には、重度のモラハラと捉えられやすい傾向にあります。

 あなたが受けている被害の深刻度を確認したいような場合には、直接ご相談になって確認なさるようにして下さい。

 

 

4.モラハラは多様なものがある


 前述のように、モラハラとは、あなたのの人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為を広く含みますので、前述の具体例に該当しないものも複数あります。私自身、新しい案件を処理している中で、これまでであったことがないようなモラハラ被害を見かけることもあり、つくづくモラハラ被害の多様性を痛感しています。

 あくまで前述の具体例は、「一例」だと捉えて頂いた方が良いと思います。

 あなた自身の精神的苦痛が大きく、日常生活の中で違和感を覚えるような場合、それはモラハラ被害かもしれませんので、是非弁護士に相談してみてください。

 

 

5.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

6.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・これまでに7つの代表的なモラハラ行動を解説してきたが、他にもいくつもモラハラと呼べる行動はある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ夫の深刻度チェック7】性的異常行動等があるケース

2020.07.20更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「性的異常行動等」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような性的異常行動に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。
 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「性的異常行動」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの性的異常行動等としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.性的異常行動の深刻度を測る指標


 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、性的異常行動の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①性的異常行動開始の経緯

②性的異常行動の内容

③性的異常行動の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④性的異常行動等の頻度・回数

⑤性的異常行動等の時間帯

⑥それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

要するにこれらの①から⑥までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 なお、性的異常行動等については、奥様への強要では満足できず、不倫し、不倫相手の女性にも異常な行動を求める夫もいて、その場合には、「不倫」がより一層明確な離婚原因となることが多いです(当然、通常の性的異常行動よりも格段に悪質という扱いになります)。

 

 

4.重度レベルの性的異常行動って?


 

 前述の通り、どのような指標で性的異常行動の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

(重度のケース1)こちらが嫌がっているのに無理やり性交してくる。

(重度のケース2)夫との性交渉の様子を録画することを何度も強要され、その録画を鑑賞した感想などを述べてくる。

(重度のケース3)いわゆるSMプレイのような性交渉を強要してくる。

(重度のケース4)性交渉中、(私に対して)恥辱的な行為・言動をするよう何度も強要してくる。

(重度のケース5)性交渉中、(夫の行動・発言として)恥辱的な行為・言動を繰り返す。

(重度のケース6)自分の快楽を優先させて避妊してくれないため、こちらの方が体内に避妊器具を手術する羽目になった。

(重度のケース7)自分の快楽を優先させて避妊してくれないため、妊娠した子供を中絶することになった。

 

 

5.性的異常行動がある場合、その他のモラハラ行為が複数存在するケースが多い


 性的異常行動があるケースですと、それだけというケースは非常に少なく、普段の生活でもかなり抑圧されていたり、酷い暴言を浴びせられているというケースの方が多い気がします。

 普段の生活での抑圧や暴言等の延長として、夜の性生活の中でも無理な要求等がなされるようになるのです。

 そのため、モラハラでの離婚を主張していく場合には、性的異常行動を前面に取り上げるというよりも、普段のモラハラ発言やモラハラ行動の方をピックアップして訴えていくという戦略を取ることの方が多いと思います(実際問題として、性的異常行動については、プライベートな内容を多分に含みますので、そのような配慮から他のモラハラを強く主張することも多いです)。

 

 

6.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

7.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「性的異常行動」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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>【モラハラ夫の深刻度チェック1】暴言を浴びせてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック3】経済的制限をかけてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック6】行動監視をしてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック8】その他

>【弁護士が解説】これってモラハラ?(夫婦の間でどこまでが許されるか?)

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ夫の深刻度チェック6】行動監視をしてくるケース

2020.07.06更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「行動監視」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような行動監視に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。
 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「行動監視」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの「行動監視」としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.行動監視の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、行動監視の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

 

①行動監視開始の経緯

②行動監視の内容

③監視行為の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④監視の頻度・回数

⑤監視行為の時間帯

⑥監視行為の秘匿性

⑦それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)

要するにこれらの①から⑦までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの行動監視って?


 

 前述の通り、どのような指標で行動監視の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 なお、行動監視については、そのことがあなたのプライバシーを強く侵害する場合は別として、行動監視だけで重度のレベルになるケースはあまりありません。但し、その頻度によっては重度と評価すべきものもありますし、他のモラハラ行為と合わさって重度と評価すべきケースもあります。

また、全体的に嫉妬心から行動規制につながるケースが多い傾向にあります。

 

重度のケース1)こちらに無断でリビングに監視カメラを取り付け、2,3か月以上こちらの行動を監視し続けてきた。

重度のケース2)こちらの携帯電話にGPSアプリの導入を強要され、夫の携帯電話から位置情報を把握されるという状態がもう何年も続いている。

 

中度のケース1)週末一人で出かけると2時間経過した頃に決まって、どこにいて何をしているのか確認する電話がかかってくる。

中度のケース2)複数人での飲み会に出かけると、必ずだれが出席したのか、どんな知り合いなのかを詮索される。

中度のケース3)こちらが携帯電話を操作していると、必ず覗き込んできて、何をしているのかを把握してくる。

中度のケース4)たまに、こちらの財布、手帳や携帯電話を見せるよう指示され、夫が不審に感じた点の追及を受ける。

 

 

5.経緯や状況等によって、深刻度は下がってしまう


 行動監視につきましては、前述のような監視が、何の脈絡も経緯もなくやられると明らかなモラハラ行為と言えますが、一定の経緯があったり、残念ながら「お互い様」というようなケースもあります。

(1)経緯があるケース

 例えば、あなたが他の男性と不倫してしまい、そのことが原因でGPSアプリを入れることになったという場合には、GPSアプリを入れられたということのみを切り取って、「行動監視」だと言うことは難しいかもしれません。

 もちろん、不倫というのがモラハラ夫側の誤解であり、しかも、GPSでの監視が長期間に及ぶ場合には、モラハラ行為と言えますが、行動監視との関係では、監視がスタートした経緯が問題になるケースが多いです。そして、監視スタートの経緯によっては、深刻度が大きく下がってしまうケースもあります。

 

(2)お互い様に近いケース

 例えば、GPSアプリを夫婦で話し合ってお互いの携帯電話に入れているという場合には、あなたの行動が監視されていると言える反面で、あなた自身も夫の行動を監視しているという側面が否定できませんので、直ちに「行動監視」と言うことは難しいと思います。

 もちろん、お互いがGPSを入れていると言っても、あなたが夫側の位置情報を確認することは制限されているとか、夫側は位置情報の共有を拒否してくることが多いといった場合には、実際には夫側からの監視の色彩が濃く、深刻度は軽視できないかもしれません。

 そのため、一口に「お互い様」と言っても程度の差などがある場合には、モラハラ夫側の監視と言えるケースもあります。

 

 

6.前述の例はほんの一例に過ぎない


 今回は、「行動監視」というテーマに絞った上で、私が実際に担当した事件での夫の具体的なフレーズをご紹介しました。

 ただ、これはあくまで一例ですので、「これと同じ内容でなければいけない」というものではありません。前述のような具体例をご覧になって「重度・中度の行動監視とはこのようなものなのか」といったイメージ作りの参考にしてもらえればと思います。

 ご自身が受けている行動監視の内容と違っているとか、シチュエーションが違うということで、「深刻度が分からない」とおっしゃる方も多くいらっしゃいますが、それは直接ご相談なさるなどして解決して頂ければと思います。

 

 

 

7.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

8.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「行動監視」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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【モラハラ夫の深刻度チェック5】行動規制をかけてくるケース

2020.06.29更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「行動規制」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような行動規制に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。
 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「行動規制」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの「行動規制」としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.行動規制の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、行動規制の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

 

①行動規制開始の経緯

②行動規制の内容

③規制の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④規制の頻度・回数

⑤それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)

要するにこれらの①から⑤までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの行動規制って?


 

 前述の通り、どのような指標行動規制言の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

 なお、行動規制については、そのことがあなたの健康に相当な悪影響を与える場合は別として、行動規制だけで重度のレベルになるケースは少ないです。但し、その頻度によっては重度と考えられるものもありますし、他のモラハラ行為と合わさって重度と評価すべきケースもあります。

重度のケース1)食費がもったいないということで、どこから持ち帰ってきたのか半分腐ったような食事しか食べさせてくれないため、医師から栄養失調という診断をもらってしまった。

重度のケース2)真夏の炎天下ですらエアコンを使わせてもらえないため熱中症になってしまったことが何度もある

 

中度のケース1)携帯電話に登録されている男性名の登録をすべて削除され、男性名の相手との通話等を制限される。(但し、男性友達との通話中に怒鳴られる、暴力を振るわれるといったケースは、重度又は深刻度レベル)

中度のケース2)実家に帰ること、実家の両親と電話で話をすることを制限される。

中度のケース3)(夫婦共働きのケース)自分が平日休みなのにすることがないというだけの理由で、こちらが出勤することを制限してくる

中度のケース4)家計が苦しいのに、外に働きに出ることを認めてくれない。(そのことで日常生活上の制限が多数生じているような場合には、重度レベルのケースもあり)

中度のケース5)水道代がもったいないという理由で数日間入浴を禁止される。

中度のケース6)こちらが着る洋服をあまり購入してくれないため、着る服は古着が多い。

中度のケース7)自分の晩酌のためのアルコールは購入するのに、食材の購入を渋られる。

中度のケース8)子供のおもちゃは無駄使いだとして誕生日プレゼントすら買ってくれない。

中度のケース9)夫と出かける際には、夫が選んだ洋服を着るように要求される

中度のケース10)門限が22時と決まっており、それ以降の外出を禁じられる。

 

 

5.前述の例はほんの一例に過ぎない


 今回は、「行動規制」というテーマに絞った上で、私が実際に担当した事件での具体的例をご紹介しました。

 ただ、これはあくまで一例ですので、「これと同じ内容でなければいけない」というものではありません。前述のような具体例をご覧になって「重度の行動規制とはこのようなものなのか」といったイメージ作りの参考にしてもらえればと思います。

 ご自身が受けている行動規制の内容と違っているとか、シチュエーションが違うということで、「深刻度が分からない」とおっしゃる方も多くいらっしゃいますが、それは直接ご相談なさるなどして解決して頂ければと思います。

 

 

6.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

7.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「行動規制」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ夫の深刻度チェック4】一定行為の強要

2020.06.22更新

 

弁護士秦

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「一定行為の強要」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような行為強要に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。

 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「一定行為の強要」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの行為強要としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.「一定行為の強要」の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、「一定行為の強要」の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①強要開始の経緯

②強要の内容

③強要の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④強要の頻度・回数

⑤強要の時間帯

⑥それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

 

要するにこれらの①から⑥までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの行為強要って?


 

 前述の通り、どのような指標で「一定行為の強要」の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

重度のケース1)理不尽な理由で土下座を強要され、土下座しているのに、頭を地面につけて謝るよう罵られる。

重度のケース2)性交渉時に恥辱的な行為・言動をするよう強要される(この点は、別の観点からのモラハラである「性的異常行動等」とも共通)

重度のケース3)突如家を出るよう指示され、そのまま家を追い出され何日も家に入れてもらえない状態が続く。

重度のケース4)深夜に突然起こされ、長々と説教を聞かされるのだが、その際には常に正座で聞くよう強要される(この点は、別の観点からのモラハラである「暴言」の部分もあり)

 

中度のケース1)夫が起こした近隣トラブルについて、謝罪に行くよう指示される。

中度のケース2)夕食のメニューは、夫がその日の夕方に電話してきて、そのメニューを作ることを強要してくる。

中度のケース3)家計簿をつけるよう強要され、領収書の不備等を追及される。

中度のケース4)夫の帰宅時には、玄関までやってきて「おかえりなさい」と言うことを強要してくる。

中度のケース5)夫の出勤時には、夫の着る服はすべて私が着させなければいけない。

中度のケース6)子供のプレ保育の状況についてレポートを作成して報告するよう強要してくる。

中度のケース7)家事の進め方・育児の進め方について、夫が認める方法でない限り認めない(特異な例としては、子供用おむつを使う前に一つ一つアイロンをかけさせる、食器を洗う前に、クレンザーに2時間以上漬け置きすることを強要してくる、皿が少しかけただけでも即刻廃棄することを命じてくる等)

 

 

5.お互い相手に指示しているような場合、深刻度は下がってしまう


 前述のようなモラハラ夫からの強要がある場合でも、あなた自身も夫側に指示等しているようなケースですと、どうしても深刻度は下がってしまいます。

 例えば、夫側から細かく家計簿をつけるよう強要されているケースでも、逆に、あなたの方からも夫に対して飲み会に行く回数や行く相手の制限等をかけているような場合、夫側からの強要だけを捉えて、中度の行為強要を受けていたと評価することは難しいです。

 

 なお、ここで問題になるのはお互いが指示を出しているようなケースでして、多少こちらが言ってしまったとしても、モラハラ夫が全く聞き流しているとか、聞き入れないような場合には、深刻度が大きく下がってしまう可能性は低いです。

 

 

6.前述の例はほんの一例に過ぎない


 今回は、「行為強要」というテーマに絞った上で、私が実際に担当した事件での具体的例をご紹介しました。

 ただ、これはあくまで一例ですので、「これと同じ内容でなければいけない」というものではありません。前述のような具体例をご覧になって「重度の行為強要とはこのようなものなのか」といったイメージ作りの参考にしてもらえればと思います。

 ご自身が受けている強要の内容が違っているとか、シチュエーションが違うということで、「深刻度が分からない」とおっしゃる方も多くいらっしゃいますが、それは直接ご相談なさるなどして解決して頂ければと思います。

 

 

 

7.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

8.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「一定行為の強要」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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>【弁護士が解説】これってモラハラ?(夫婦の間でどこまでが許されるか?)

>ズバリ!弁護士から見たモラハラ夫の共通点

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ夫の深刻度チェック3】経済的制限をかけてくるケース

2020.06.08更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「経済的制限」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような経済的制限に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。

 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「経済的制限」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの経済的制限としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.経済的制限の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、経済的制限の深刻度を測る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①経済的制限開始の経緯

②制限の内容

③制限の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④制限の頻度・回数

⑤それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

要するにこれらの①から⑤までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの経済的制限って?


 

 前述の通り、どのような指標で経済的制限の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

(重度のケース1)生活費を一切渡されず、食事も1日一回しかとらせてもらえない。

(重度のケース2)病院に払うお金がもったいないということで、1週間寝込むような病気にかかったときですら病院に行かせてもらえなかった。

(重度のケース3)稼ぎが少ないのに、アルコールばかり買ってくるため、食材を買うお金すらままならないのに、こちらが調理した食事の量が少ないと激怒し始める(理不尽な暴言とミックスしている例)

(重度のケース4)子供の学費が支払えないため、パートでよいから働きに出たいと話しているのに、全く聞き入れられない。そのくせ、学費の支払いについては「お前の方で何とかしろ」しか言わず、借金して学費を支払わざるを得なくなっている(行動規制とミックスしている例)

(重度のケース5)自分は毎日パチンコに行って散財しているのに、子供の文房具一つ買うのにも「この前買っただろう」と言って買わせてくれない。

(中度のケース1)子供の祝い金としてもらった5万円をアルコール代などとして散財してしまう。

(中度のケース2)月始は食べきれないような量の食材を購入してくるため、結局月末は質素な食事しか食べられなくなる。

 

 

5.前述は一例であって、当てはまらないから許されるということではない


 前述は、私が直接担当したケースで、重度又は中度と思われる経済的制限の実際の事例を挙げたものです。

 あくまで一例ですので、これと全く同じでないといけないということではありませんし、これに当てはまらないと「モラハラではない」というわけでもありません。具体例があった方がイメージがわきやすいと思って挙げたものです。

 実際にあなたが受けてきた経済的不利益な取り扱いの詳細を聞かせて頂ければ、どの程度の制限と言えるのか判断することができると思いますので、遠慮なくご相談頂ければと思います。 

 

 

6.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。

 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

6.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「経済的制限」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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>【モラハラ夫の深刻度チェック1】暴言を浴びせてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック2】物への八つ当たりをするケース

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【モラハラ夫の深刻度チェック2】物への八つ当たりをするケース

2020.06.01更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「物への八つ当たり」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような「物への八つ当たり」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。
 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「物への八つ当たり」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの「物への八つ当たり」としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.「物への八つ当たり」の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、「物への八つ当たり」の深刻度を図る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①八つ当たりの経緯

②八つ当たりの内容

③態様の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④八つ当たりの頻度・回数

⑤八つ当たりをしてきた距離

⑥物の破損状況

⑦破損中の音の大きさ

⑧八つ当たり行為の時間帯

⑨長時間の行為かどうか

⑩それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

要するにこれらの①から⑩までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの「物への八つ当たり」って?


 

 前述の通り、どのような指標で「物への八つ当たり」の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

(重度のケース1)子供たちが自分の話を聞いてくれなかったと誤解したうえで、子供たちのプラスチック製衣装ケースを粉々になるまで蹴りつけて破壊する。

(重度のケース2)携帯電話で誰と連絡を取っていたか随時伝えているのに納得せず、私の目の前で携帯電話を真っ二つに、へし折られてしまったことがある。これも1回ではなく、3回以上へし折られている。

(重度のケース3)口論になり、突如壁に頭突きして壁に大穴を開けた。

(重度のケース4)子供が約束した勉強時間に勉強に取り掛かれなかったという理由だけで、子供のおもちゃ箱を勝手口から外に投げ捨てておもちゃを破損させた。

(重度のケース5)母の形見の指輪を「汚れている」と言い放って投げ捨てられてしまう。

 

 

5.「物の投げ合い」といったケースだと、どうしても深刻度は下がる


 私が奥様からお話を聞いておりますと、確かに、夫が奥様の携帯電話を投げつけてしまっているのですが、奥様の方が先に夫の携帯電話を投げつけていて、お互いに「投げ合い」のようになっているケースもあります。

 このようにお互いが物を投げていて、物が飛び交っているようなケースですと、夫側の行為のみを取り上げて、重度のモラハラと主張することは難しいです。

 もちろん、「物の投げ合い」といっても、どちらがどのようなものを投げて来たのかとか、その経緯等も重要ですので、実際の深刻度はご相談にお越しになって確認して頂ければと思います。

 

 

6.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。
 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

7.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「物への八つ当たり」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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>【モラハラ夫の深刻度チェック1】暴言を浴びせてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック3】経済的制限をかけてくるケース

>【モラハラ夫の深刻度チェック4】一定行為の強要

>【弁護士が解説】これってモラハラ?(夫婦の間でどこまでが許されるか?)

>ズバリ!弁護士から見たモラハラ夫の共通点

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