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面会交流ってどのくらいの頻度で会わせなければならないのか?

2021.03.08更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.夫(元夫)が面会交流を強く求めてきた場合には?


 こちらが面会交流を拒否したい理由をしっかりと説明しても、夫(元夫)側が面会交流を強く求めてきた場合、残念ながら、裁判所からは面会交流させるべきと言われてしまうケースが多いです(児童虐待等明らかにお子様に有害なケースは別です)。
 それでは、こちらとして譲歩して面会交流を認めるにしても、頻度についてはどのように考えておけば良いのでしょうか
 一般的には「1か月に1回程度」というのがオーソドックスな頻度と言えます。

 

 

3.「1か月に1回程度(……)」って?


 「1か月に1回」という断定的な表現ではなく、「程度」を加えていますのは、お子様の体調等からして1か月に1回必ずとすると硬直的なので、事情によっては面会交流できない月が生じることも許容するという意味です。
 ただ、「1か月に1回程度」としていても、夫(元夫)側は、ほとんどの人が1か月に1回は必ず会えると考えている人が多いので、「程度」の表現にあまり期待を込め過ぎない方が良いと思います。

 そのため「程度」はやむにやまれぬ事情があって致し方なく面会交流できない月が発生する余地を残していますが、本当にやむを得ない事情がある場合のみというように理解しておいた方が良いと思います。
 なお、これに関連して、面会交流実施については「子の福祉に最大限配慮しながら」とか「子の福祉に慎重に配慮しながら」といった表現を加えることも多いのですが、やむを得ない事情がない限り面会交流の回数を減らすことが出来るケースは稀ではないかと思います。

 

 

4.面会交流実施への不安が強い場合には、当初は拒否するほうが良いケースもある。


 上記の通り、面会交流のオーソドックスな頻度は1か月に1回程度ですので、こちらが面会交流に応じても良いという話をしますと、1か月に1回面会交流させるという方向で一気に議論が進んでしまうリスクが高いです。
 そのため、面会交流実施への不安が強いという場合には、ひとまず、そのような不安が解消できるまでは面会交流させられないというスタンスで対応するというケースもあります。

 面会交流の話し合いは、協議もしくは調停からスタートすることが多いのですが、調停は、裁判所を利用するものの、あくまで話し合いの場なので、裁判所から何かを強制されることはありません。
 そのため、あなたの不安が強いのであれば、それを理由に面会交流を拒否するという対応もあり得るのです。

 

 

5.まとめ


・面会交流の頻度は1か月に1回程度とすることがオーソドックスである。
・1か月に1回「程度」とされていても、実際にはほぼ毎月面会交流させなければならないと考えておいた方が良い。
・今後の面会交流に不安があるようであれば、当初は面会交流を拒否することも考えてよい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(2)ー妻側の勝率は?

2021.02.11更新

弁護士秦

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.妻側の勝率は?


(1)実際の勝率は?
 突如旦那様側から審判を起こされてしまうと、一番心配になるのは、「この審判で勝てるのか?」「万が一負けてしまって夫が監護者に指定されてしまったらどうしよう」というところかと思います。
 以下は、あなた自身が現在お子様と暮らしており、お子様自身もその暮らしに大きな不満を持っていないという前提でのお話になりますが、①から③の点をしっかりと準備しておけば、勝訴の可能性はかなり高いと考えてよいと思います。

① しっかりと陳述書の準備を整える
② しっかりと家庭訪問に備える
③ 学校・保育園への調査に備える

④旦那側の言い分に対する反論をしっかりと実行する

(2)しっかり準備することが前提だとしても、どうして「勝訴の可能性が高い」のか?
 結論から申しますと、あなたが現在お子様と一緒に住んでいるということが大きなアドバンテージになっているからです。
 現状の監護者指定手続きにおいては、「今誰がお子様を育てているのか」という点を最も重視します(法律用語的には「現状の監護状況」などと言ったりします)。
 そのため、今現在あなたがお子様を育てているという事情がかなり有利に働くのです。

 

 

3.勝訴を確実にするためにどのような準備をすべきか?


 前述の通り、あなたの方が有利だとしても、審判手続きには万全の態勢で臨む必要があります。
 監護者指定審判手続きは専門性が高いため、弁護士に依頼することを強くオススメしますが、準備の要点について解説いたします。具体的には前述の①から③の準備を滞りなく進めるということになります。

1)要点①)しっかりと陳述書の準備を整える
 正式名称は「子の監護に関する陳述書」という書類になるのですが、監護者指定手続きにおいて準備すべき書類の中でも、一番大事な書類がこの「子の監護に関する陳述書」になります。

 「子の監護に関する陳述書」には主に以下のような記載が必要になります。どの記載項目も大切ですので、しっかりと記載する必要があるのですが、その中でも特に「これまでのお子様とのかかわり方」の記載が非常に重要になりますので、しっかりと詳細に記載する必要があります。
 ・あなたの生活状況(学歴・職歴、現在の仕事の状況、経済状況、健康状態)
 ・お子さんの生活状況(生活歴、これまでのお子様とのかかわり方、生活スケジュール、健康状態、通園・通学状況)
 ・監護補助者(どのような方がサポートしてくれるのか)
 ・今後の監護計画(今後お子様をどのように育てていくのか)

(2)要点②)しっかりと家庭訪問に備える
 監護者指定審判手続き内での「家庭訪問」というのは、家庭裁判所調査官が直接あなたの自宅を訪問し、ご家庭内の様子やお子様の様子等を直接確認することを指します。
 大半の監護者指定審判手続きでは、家庭訪問が実施されるのですが、家庭訪問の日時はこちらの都合も踏まえて日程調整しますので(抜き打ちで家庭訪問が行われることはないという意味です)、家庭訪問に向けては事前にしっかりと準備しておく必要があります。

 実際の準備のポイントは、前述の「子の監護に関する陳述書」の内容を踏まえて、こちらにとって有利な点をしっかりとアピールし、こちらに不利になりそうな点をしっかりとカバーするという準備が必要になります。
 なお、家庭訪問の際には、監護補助者とも直接会って話をしたいと要望してくることもありますので、必要に応じてその準備も必要になります。

 

(3)要点③)学校・保育園への調査に備える
 特にお子様が小学校低学年よりも小さいご年齢の場合、小学校や保育園の調査が行われるケースが多いです。
 このような調査は、受け入れる小学校・保育園側の受け入れ体制にもよるのですが、通常は家庭裁判所調査官が直接小学校や保育園に足を運んで、担任教師・保育士や校長・園長から話を直接聞きたいという話になるケースが多いです。

 お子様が元気に登校・登園しており、小学校・保育園での様子にも特に大きな問題がないということでしたら、不安はないのですが、不登校・不登園、もしくは登校しぶり等がある場合には、事前に担任教師や担任保育士とも相談等をしておく必要があります。

 

(4)要点④)旦那側の言い分にしっかりと反論する

 上記の要点①から③の準備をしっかりとしておけば、基本的にはあなたの方が有利だと考えて大丈夫だと思います。

 ただ、同居中の家庭での状況や奥様のご体調、お子様の特性等、事件によっては、旦那側が主張した言い分が事件のカギを握るというケースも少なからずあります。

 そのため、上記の要点①から③をしっかりと押さえたから、それで準備完了ということではなく、相手の言い分に対する反論準備もしっかりと行う必要があります。 

 

 

3.まとめ


・あなたがお子様と一緒に暮らしているのであれば、以下の準備をしっかりとしておけば勝訴の可能性はかなり高い。
① しっかりと陳述書の準備を整える
② しっかりと家庭訪問に備える
③ 学校・保育園への調査に備える

④旦那側の言い分にしっかり反論する

 

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>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(1)ーまず何をすべきか

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(3)ー夫はどういうつもりでこのような手続きを取ってきたのか?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(5)ー監護者として指定されるための6個のポイント

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(6)ー子の監護者指定審判の手続きの特徴は?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(7)ー監護者指定手続きでの「審判」って何だ?

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(3)ー夫はどういうつもりでこんな手続きを取ってきたのか?

2021.02.11更新

弁護士秦

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.夫はどういうつもりで監護者指定審判手続きを起こしてきたのか?


 もちろん、夫として心底お子様と一緒に生活したいと考えて手続きを取ったというケースもあると思います。
 ただ、実際の夫側の普段の生活を見ると、仕事が忙しく帰宅時間が深夜になることも多いとか、出張が多い仕事で月の半分は海外出張しているというようなケースだと、「本気で手続きを取っているのか?」「実際の夫の目的がよく分からない」ということも往々にしてあります。

 実際、私が担当した事件では、以下のようなケースがありましたので、ご紹介します。

(1)こちらの様子の確認を目的としていたケース
 特に、こちらがシェルターに避難したり、そうでなくとも、こちらの所在を秘密にしているような場合、旦那様としては、こちらの暮らしぶりやお子様が元気にしているのかを確認したくて手続きを取っているというケースもあります。

 どういうことかと申しますと、監護者指定審判手続きを進めていきますと、こちらも「この監護に関する陳述書」という書面を作成し、その中で、現状のお子様の様子について記載する必要が出てきます。また、通常、監護者指定審判手続きでは、あなたのご自宅の家庭訪問を実施しますので、家庭訪問を通じて、こちらの生活状況やお子様の様子等を確認したいと考えて、夫側は手続を申し立ててきているのです。

 このようなケースですと、こちらの生活ぶりやお子様の様子が分かった段階で、夫側が申立を取り下げて来たりすることもあります。

(2)面会交流実施を目的としていたケース
 監護者指定審判手続きは、現状のお子様の育児等に問題がないかという点、これまでのお子様の育児を夫婦どちらが担ってきたのかといった点が重視されて手続きが進みます。
 ただ、この手続きの中では、夫との面会交流についてどう考えているのかという点も一つの考慮要素とされることが多いです。
 裁判所の基本的な考え方は、たとえ夫婦が別居や離婚になったとしても、父親と子供との関係は今後も続いていくので、お子様が父親からの愛情を受ける機会として極力面会交流を推奨すべきと考えているからです。

 そのようなこともあって、夫側としては「監護者になること」が本命ではなく、「早期にお子様と面会交流していくこと」を本命にしているケースもあるのです。

 このようなお話を致しますと、「そんなに早く面会交流したいなら、すぐに面会交流調停を起こせばいいんじゃ?」と疑問に思うかもしれません。確かに、面会交流の問題を直接取り扱うのは、面会交流調停の手続きだからです。
 しかしながら、面会交流調停は当人同士の話し合いを基本にする手続きですので、「早期の面会交流実現」という観点からは、即効性に乏しいというデメリットがあります。
 むしろ、監護者指定審判手続きですと、これと同時に保全処分の申し立てをすることが多いため、手続きの迅速化を目指すことが可能になります。
 そのような意図から、監護者指定審判手続きを利用しているのです。

(3)嫌がらせとしか思えなかったケース
 例えば、こちらの別居先は実家で、特にこちらの所在を夫側に秘密にしているわけではないとか、そもそも、夫側がお子様に会いたいと思っていると感じられないというケースもあります。
 むしろ、同居中も、夫にとって気に入らないことがあると、あの手この手を使って嫌がらせをしてきたという場合には、今回の監護者指定審判手続き自体が嫌がらせ目的ということもあります。

 前述の通り、監護者指定審判手続きを申し立てる場合には、通常同時に保全処分の申立もしますので、こちらもスピーディーに準備を整えていかなくてはいけません。
 そのようなことも考慮して、先方として嫌がらせを仕掛けているということなのです。

 

(4)そうは言っても、「寂しい」「孤立したくない」というケースもある

上記の通り、主たる3パターンをご紹介しましたが、例えば奥様がお子様と突如別居を開始し、そのことで寂しさを募らせているとか、孤立したくないという方がいるのも事実です。

奥様やお子様がいると家庭内もある程度活気があるのですが、旦那様一人だけの生活だと「味気ない」とか「寂しい」と感じてしまうというところです。 

 

 

3.夫側の思惑は思惑として、こちらはしっかりと準備を整えること


 私が実際に担当したケースでの夫側の思惑について解説しましたが、夫側の思惑がどうであろうと、こちらとしては、お子様のためにも監護者指定審判手続きで敗訴することはできません。
 そのため、こちらとしては、しっかりと準備をして、しっかりと勝って行く必要があります。

 

 

4.まとめ


・夫側の監護者指定審判申し立ての思惑
① 心底お子様との生活を希望して申し立てている。
② あなたの生活やお子様の生活の確認がしたい
③ 本命は面会交流狙いである
④ ただの嫌がらせ目的である
・夫側の思惑がどうであろうと、こちらはしっかりと準備してしっかりと勝って行く必要がある。

 

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試行面会(試行的面会交流)って何だ?

2021.02.01更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.試行面会(試行的面会交流)とは?


 試行面会(試行的面会交流)は、広い意味では、試しに面会交流をさせることを指します。例えば、日時を決めてファミリーレストランで30分ほど軽食を取りながらお子様との面会交流を認めるといったことを試しに実施することなどを含みます。

 他方、試行面会という用語を狭い意味で用いることも多く、そのような場合には、家庭裁判所内の児童室にて試験的に面会交流を行うことを意味します。
 今回は、この狭い意味での試行面会について解説していきます。
 調停などを続けていく際に、調査官などから「試行面会」といった用語が出ることもありますが、通常は上記の「狭い意味」での試行面会を指すことが多いです。

 

 

2.試行面会(試行的面会交流)って結局何なの?


 当日、実際にどのようなことを行うのかといったことについては、詳しく後述しますが、イメージを持ちやすいようにご説明すると以下のようなものになります。

 端的に言いますと、試行面会とは、家庭裁判所の中にある児童室という場所で父親とお子様とを試験的に面会交流させ、その様子を確認する手続きになります。

 父親側には、「お子様と接することに問題がないかの試験ですよ」とご説明することが多いです。母親側にご説明する際には「面会交流させるべきかどうかを見極める場ですよ」とか(面会交流の方法が問題となるケースですと)「こちらが提案する面会交流方法がベストと言えるかを見極める場ですよ」などとご説明することが多いです。

 

 

3.試行面会(試行的面会交流)って何のために行うの?


(1)今後面会交流を実施していった方が良いかどうかの見極めをする
 特に面会交流させるべきかどうかについてご夫婦の間での対立が激しい場合(要するに奥様側が面会交流断固拒否姿勢なのに対し、旦那様側が面会交流実施を強く求めているようなケースです)、面会交流を実施することがお子様の福祉にとって望ましいかどうかを見極めることを大きな目的として実施します。
 試行面会の際には、家庭裁判所調査官が立ち会いますので、面会交流の際のお子さまの様子や父親の様子、交流時の雰囲気等を常に観察していることになりますから、このような観察を通じて、調査官が、面会交流の適否を判断することになります。

(2)面会交流の方法についての見極めをする
 よく問題になりますのが、①奥様が立ち会う形を認めるかどうか、②奥様のご親族が立ち会う形を認めるかどうか、③第三者機関の利用に耐えうるかといった点で争いがあるときに、どちらが良いのかを見極めるために行います。

①の場合には、奥様が立ち会う形での交流を実施し、その後、旦那様のみとの交流に移行して様子を見るといった方法を、②の場合には、最初のうちは親族が立ち会い、その後、旦那様のみとの交流に移行するといった手順を取ることが多いかと思います。
上記の③については、調査官という、お子様にとっては他人と接した時の反応等からお子様が人見知りをする子なのかとか、環境適応能力がどの程度あるのかといった点を見極め、第三者機関の利用に耐えられるかどうかを見極めることが多いです。

なお、第三者機関との関係では、奥様側が第三者機関の利用を要求し、旦那様側が拒否する場合に、第三者機関を利用したほうが良いかどうかの見極めをするケースも多いです。

(3)今後の面会交流に当たっての課題の整理
 上記のような面会交流の適否、方法の整理に加え、今後面会交流を実施していくに当たっての課題整理の場として試行面会を行うことが多いです。
 例えば、試行面会の際にお子様が元気いっぱいに走り回っているというような場合には、今後の面会交流場所としてはファミレス等ではなく、体を動かせる場所等が良いのではないかという話になります。

 また、試行面会の際に旦那様から不用意な発言がなされるようであれば、あらかじめ禁止ワードを取り決めたうえで面会交流を実施すべきとなることも多いです。
 さらに、試行面会の際にお子様が旦那様のことを極度に怖がっている様子があれば、早急に面会交流実施ではなく、しばらく時間をかけて面会交流実施に向けての環境を整えていくというケースもあります。

 

 

4.試行面会(試行的面会交流)当日の具体的流れは?


(1)通常は事前に調査官がペーパーをくれる
 当日の具体的流れに誤解があると円滑な試行面会は実施できませんので、調査官が「当日の流れ」といったペーパーを事前に用意していることが多く、これに沿った形で試行面会が実施されます。
 また、きめ細かな調査官ですと、試行面会実施に当たっての留意点等をきめ細かく説明してくれたり、児童室内の様子を撮影した写真を見せてくれたりすることもあります。

(2)試行面会の時間は?
 お子様と旦那様が交流している時間は30分程度とすることが多いかと思います。ただ、その前に場慣れやお子様に調査官と慣れてもらうとか、奥様とお子様とで遊んでお子様にリラックスしてもらうといったことも多いので、全体では1時間から1時間30分程度かかることが多いと思います。

(3)調査官が立ち会って交流する
 前述の通り、試行面会は、お子様と旦那様とが接する様子を直接調査官が確認するための手続きですから、試行面会には調査官も児童室に入室し、終始その様子を観察しています。

(4)玩具等はどうする
 玩具の持ち込みを不可とするかは裁判所によって取り扱いが異なります(少なくとも東京家庭裁判所では持ち込み不可とされるケースが多いです)。
 児童室内には絵本や玩具等が一通りありますので、児童室内の玩具等を利用して面会交流をしても、試行面会中お子さまが退屈するケースは少ないように思います。

 

 

5.児童室って?


 児童室と言われてもイメージが付きにくいかと思いますので概要を解説します。

(1)広さはまちまち
 オーソドックスな児童室は調停室と同程度の広さのところが多いかと思いますが、裁判所によっては、その2倍程度の広さのところもあります。
 ちなみに、東京家庭裁判所には児童室が複数あり、広めの部屋とオーソドックスな広さの部屋等複数の広さの部屋があります。

(2)お子様の緊張を和らげる工夫をしているところが多い
 児童室に入室することでお子様が緊張してしまいますと、試行面会を円滑に実施することは難しくなります。
 そのため、壁紙をクリーム色にして落ち着きやすくするとか、落ち着いた色のカーペットを敷いてあるとか、裁判所によっては、大きめのガラスがあって外の眺望が見えるようになっているといった児童室もあります。
 このように多少なりともお子さまの緊張が和らぐような工夫をしていることが多いです。

(3)監視カメラ付き
 児童室には監視カメラが付いています。調査官が後から交流の様子を振り返ったり、確認したりする際に活用します。
 また、面会交流中の様子を奥様や弁護士が確認したいということも多いため、そのような場合には、監視カメラの画像をモニターで見ながら試行面会を実施することもあります。

(4)絵本や玩具は一通りのものがある
 絵本や玩具は児童室に備え付けられています。
 通常、男児向け・女児向け、かつ、年齢層に応じて興味を持ちそうな玩具を揃えているところが多いです。

 

 

6.試行面会(試行的面会交流)の様子は調査報告書にまとめられる


 試行面会の様子は実際に立ち会った調査官が調査報告書にまとめます。
 この調査報告書を読みますと、当時のお子さまの様子や調査官が気になった点などが分かります。
 また、この調査報告書には今後の面会交流の方向性が示されることが多いため、そのような方向性に沿って今後の調停や審判が進められていくことになります。

 

 

7.試行面会(試行的面会交流)に応じるべきか


 正直に言いますと試行面会を実施するという場合、今後面会交流を実施していくことを前提に、その方法等を見極めるために実施することの方が多いです。(児童虐待等がある場合には、そもそも試行面会を実施すべきではないということになるため)
 ただ、面会交流を拒否したい場合に、試行面会を拒否するかというと、これを拒否すると裁判所の印象が非常に悪いのも事実です。
 そのため、調停中に実施する試行面会はともかく、審判中に実施する試行面会には応じざるを得ないかと思います。

 

 

8.試行面会(試行的面会交流)は通常何度も実施するものではない


 たまに、安心して面会交流させたいということで、児童室で面会交流を実施したいとおっしゃる方もいます。
 しかし、試行面会は前述の通り、「面会交流の試験」という位置づけですので、普段の面会交流を行う場所として利用することは想定していません。

 そのため、普段の面会交流実施については、外で会わせることに不安がある場合には、第三者機関を利用するということが多いです。
 また、試行面会は、お子様にとっても負担になることが多いため、試行面会を何度も実施するケースは極めて稀で、1回限りとするケースが大半です(もちろん、お子様が体調を崩してほとんど試行が出来なかったというようなときは別日に再設定することはありますが)。

 

 

9.まとめ


・試行面会とは狭義には、家庭裁判所内の児童室にて試験的に面会交流を行うことを意味する。
・試行面会は、面会交流を実施すべきか、その方法等について試験するために行う。
・試行面会の当日の流れは、事前に調査官がペーパーで教えてくれることが多い。
・児童室は、お子様が緊張しないような工夫がされていることが多い。
・試行面会の様子は調査報告書にまとめられる。
・裁判所の印象を悪くしないために、少なくとも審判手続きの中での試行面会には応じたほうが良い。
・試行面会は1回きりにすることが多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

面会交流何が不安?【奥様達が抱く不安8選と対処法】

2021.01.25更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.心情的に夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したいという方は多い


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
 特に、「夫は子にほとんど関心を持っていなかったので、今更会いたいという理由が分からない、嫌がらせとしか考えられない」とか「こちらの生活リズムが崩れるので、会わせたくない」といった話はよく伺います。

 

 では、このような心情的な理由だけで面会交流を拒否できるかというと、説得力を持たせることは難しいことが多いです。
そのため、面会交流を拒否するという場合、より具体的な不安をもって拒否したいという必要がありますし、どうしてそのような不安を持つのかについての説得力のある説明があった方が良いです。

 そこで、今回は、どのような不安を持たれるのかといったことについて解説していきます。
 以下では、奥様が抱かれる不安に対して、面会交流の方法を工夫することによって解決する方法をご紹介していますが、極力面会交流させたくないと強く希望するのであれば、できる限り拒否を継続するという対応を取ることもあります。以下の解決方法は解決方法の一例と考えてご覧ください。

 

 

2.【面会させることの不安1】連れ去りの危険性


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合や、お子様を溺愛しており、何をするか分からないといった場合、まず真っ先に不安に感じるのは連れ去りの危険性ではないかと思います。
 夫側がお子様を連れ去る具体的な危険性があるような場合には、面会交流拒否事由に該当し得ます。例えば、別居後何度かお子様を連れ去られそうになったことがある場合には、面会交流を拒否できるケースが多いかと思います。

 なお、旦那側の連れ去りについては、誘拐罪など刑事処罰できないかと質問されることも多いのですが、既に離婚が成立してあなたが親権者になっている場合は別として、離婚が成立していないケースですと、誘拐罪にすることは難しいです。なぜなら、離婚前ですと夫婦お互いに親権が認められるため、連れ去りを刑法で処罰することは難しいのです。

 

 

3.【面会させることの不安2】お子様への暴力や暴言


 同居中、夫側が暴力をふるっていたとか、暴言を頻繁に吐いていたといった場合、面会交流中に同様の行為が繰り返されるのではないかと不安に感じることは当然のことかと思います。
 なお、夫側が面会交流の際に実際にお子様に手を挙げた場合、暴行罪や傷害罪として処罰することは可能です。ただ、暴行や傷害の場合、現行犯として捜査に着手してもらうことが重要になりますし、また、被害者であるお子さまがきちんと警察官等の前で被害の内容を話すことが出来るかという点も重要になります。

 そのため、実際の処罰に当たってはハードルが高いのですが、このようなことがあった場合には、即警察に通報又は相談し、このような事実があったことを警察の記録としても残しておくことが非常に重要になります。合わせてお子様がお怪我をされた場合には、病院に行き怪我の内容をしっかりと診断してもらうことも重要です。

 そもそも、お子様が怪我をするという事態は絶対に避けなければなりませんので、暴力被害の具体的危険性があるという場合には、面会交流そのものを断固拒否すべきケースが多いと思います。
 このようにして面会交流を拒否するためには、同居中に夫がお子様を怪我させたことがあるといった事情の有無・その証拠としてどの程度の証拠があるのかといった点は非常に重要になります。

 

 

4.【面会させることの不安3】こちらの生活が脅かされる不安


 特に、別居後こちらの住所を相手に教えていないような場合、面会交流をきっかけとしてこちらの居場所が発覚してしまうことには強い不安を持つことが多いかと思います。

 より具体的には以下のようなご不安を持たれることが多いので、それぞれ解説していきます。

(1)尾行の危険性
 前述のように別居後こちらの住所を夫側に伝えておらず、かつ、今後も隠しておきたいというような場合には、面会交流の後、夫側がこちらを尾行してくることは最大の不安事と言えます。
 もちろん、夫婦の間でも夫側がこちらに付きまとう場合には、ストーカー規制法で対処し得るのですが、こちらの住所を知られないに越したことはありません。

(2)夫がお子様に直接質問する危険性
 お子様が小学校に通うような年齢になっている場合、夫側との通常の会話が成り立つため、面会交流の際に、夫側が、こちらの生活場所や通う小学校のことなどについて質問してくる危険性があります。
 特に小学校名や学童名などについては、お子様がうっかり話してしまうリスクもありますので、このような夫との会話の中でのリスクは拭えません。

(3)面会交流を拒否し得るだけの理由となるかは、その危険性の程度次第
 実際にこちらの居場所を夫側が把握したとしても、こちらに押し掛けてくるリスクが非常に低いというような場合、そのことのみで面会交流を拒否することは難しいケースが多いかと思います。
 前述の暴力・暴言ではないですが、夫側が粗暴な性格で、こちらの自宅に押し掛けてくる危険性が高いといったケースでは、面会交流拒否事由に該当するケースもあります。

 

 

5.【面会させることの不安4】お子様が心理的に傷つくことへの不安


 前述のような暴力や暴言とまではいかなくとも、面会交流によってお子様が傷つく事態は避けなければなりません。

(1)不用意にお子様を傷つけるような発言をする危険性
 夫側の性格からして、お子様の心情への配慮が足りず、不用意にお子様を傷つけてしまうというケースはあります。

(2)あなたの悪口や非難を口にする危険性
 特に夫側が、こちらの別居を快く思っていないような場合には、面会交流の際に、お子様の前であなたへの悪口や非難の言葉を発するリスクがあります。

(3)これらの事情は、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、お子様を傷つけるような発言をしないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。
 もちろん、同居中の夫側の発言がもはや暴言というべきケースですと、それを理由に面会交流拒否を主張すべきケースもあろうかと思います。

 

 

6.【面会させることの不安5】今後の離婚や夫婦関係に関わる発言


 特に夫側が離婚に反対姿勢の場合、お子様を介して自分の気持ちを伝えようとして来たり、お子様を自分の味方につけようとしてくることもあります。
 そうでなくとも、自分の父親から「離婚のことについてどう思う?」とか「今お父さんとお母さんは離婚の裁判をしているところなんだ」といった発言があると、お子様は当惑してしまいます。
このような場合も、直ちに面会交流を拒否すべきというよりも、面会交流の方法について工夫すべき事情となることが多いです。
 例えば、夫婦に関わる話題は面会交流の際に話さないことを夫側に事前に約束させた上で面会交流を実施するといった方法が考えられます。

 

 

7.【面会させることの不安6】こちらの生活リズムが崩される不安


 特にお子様が乳児というような場合には、お昼寝の時間があるので、その時間を避けたいが、この時間帯を避けるために午前中の面会交流にすると、お子様の体調等によっては目覚めたばかりで機嫌が悪いといったように、タイミングを見計らうことが難しいというケースもあります。
 お子様が小さい年齢ではなくとも、1回の面会交流時間が長くなったり、夕方以降の時間帯になるような場合には翌日のお子さまの予定に影響が出る可能性もあります。

 こちらからすると、本来実施したくもない面会交流のために、お子様の生活スケジュールが崩されることは全く納得がいかないということだと思いますが、これらの事情だけで面会交流を一切拒否することは難しいことが多いです。
 そのため、これらの事情のみの場合には、面会交流時刻を工夫したり、面会交流時間が長くならないようにするといった配慮をすることで不安を解消するケースも多いです。

 

 

8.【面会させることの不安7】直接顔を合わせることの不安


 お子様が乳幼児というような場合には、面会交流のためにお子様の受け渡しをする際、あなた自身が受け渡しせざるを得ないとか、面会交流中の様子を確認したいということで面会交流に立ち会うといったケースも多くあります。
 こちらからしてみれば、夫とは即離婚したいくらいの気持ちなので、直接顔を合わせることの心理的負担は大きいことが多いです。
 このような場合には、あなた自身が立ち会うのではなく、あなたのご両親その他の親族が立ち会う形にするといった形で不安を解消するケースもあります。

 

 

9.【面会させることの不安8】夫の行きたい場所に振り回される危険性


 例えば、夫が子供と会いたいというよりも、夫の実家との関係で盆と正月は子供と一緒に実家に挨拶に行きたいとか、親族の集まりには子供を参加させたいといったように、子供の意思と関係なく、主に夫側の事情で振り回される危険性があるというケースもあります。
 また、何度か面会交流をしていくと、夫側がお子様に対して「次ここに一緒に来てくれたらあれを買ってあげよう」といったように何かで釣って、自分の行きたいところに連れていくケースなどもあります。
 このような場合には、予めお子さまの希望を聞き、その希望のところを面会交流場所にするといった形で面会交流を進めるケースが多いです。

 

 

10.まとめ


・連れ去りの具体的危険性がある場合には、面会交流は拒否したほうが良い
・お子様への暴力や暴言の具体的危険性がある場合にも、面会交流は拒否したほうが良いケースは多い。
・こちらの生活が脅かされる具体的危険性がある場合にも、面会交流を拒否したほうが良いケースは多い。
・お子様が心理的に傷つくことへの不安があるときには、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・今後の離婚や夫婦関係に関わる発言が出る不安があるときも、夫側に事前に約束させたうえで面会交流するケースが多い。
・こちらの生活リズムが崩される不安があるときは、面会交流時間を工夫するなどして対応するケースが多い。
・受け渡し時に直接顔を合わせることの不安がある場合、他の親族に受け渡しをお願いするケースが多い。
・夫の行きたい場所に振り回される危険性がある場合、事前にあらかじめ面会交流場所をしっかり指定したうえで実施するケースが多い。

 

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夫(元夫)との面会交流を拒否したい気持ちを裁判所はどこまで理解してくれるか?

2021.01.11更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。
 もちろん、後述の通り、児童虐待の場合等例外的なケースはあります。ただ、児童虐待等がない場合、裁判所側は面会交流に積極姿勢のことが多いです。
 そのため、裁判所側の積極姿勢を突き崩すだけの事情が必要になることが多いです。詳しくは後述します。

 

 

3.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。

(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。

 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親から言わされている様子があるという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

4.それでは児童虐待等でない場合、面会交流を認めなくてはいけないのか?


 

 面会交流を認めるかどうかは、実際にお子様の面倒を見ているあなた自身が決めることですので、誰かに面会を強制される話ではありません。
 ただ、上記のような理由のみで面会交流を拒否し続けられるかと言いますと、裁判所側は快く思わないのも事実です。

 そのため、実際の調停では、以下のような理由を根拠に面会交流拒否の姿勢を貫くことが多いです。

(1)お子さんの体調不安定等
 例えば、別居後に偶然お子さまが夫と遭遇したといったケースで、その翌日などに以下のような悪影響が出ることがあります。
①急に朝起きられなくなって登園を渋り始めた
②発熱したので病院に連れて行ったが明確な病名が分からなかった
③ふと涙を流して、どうしたのかと尋ねると、「ママと離れ離れになっちゃう」と子供が言った
④子が保育園で今までにないような暴力的な発言をしてしまった

 このような悪影響が短期間で済めばいいのですが、長期に及ぶケースもあります。

 悪影響の程度が大きかったり、長期に及ぶような場合には、そのような具体的な事情を説明して面会交流を拒否するというケースもあります。

 

(2)【お子様が乳幼児の場合】あなた自身の体調悪化等
 例えば、裁判所の勧めで致し方なく試験的に面会交流を実施したとします。お子様が乳幼児の場合、夫側にお子様を託すのは不安ですから、あなたが立ち会うというケースも多くあります。
 そのような場合に、あなた自身が体調を大きく崩したというようなケースですと、それを理由に面会交流を拒否するというケースもあります。

 特に、お子様が乳児で、あなたとの愛着が非常に強い場合には、あなたが離れた席での面会交流が困難ということになりますので、あなたの体調悪化も面会交流拒否の大きな理由になり得ます。

 ただ、抽象的に体調が悪化したというだけではなく、内科や心療内科を受診するなどして診断書が発行されていると、一層面会交流を拒否しやすくなります。

 ちなみに、診断書等を持って行き面会交流拒否姿勢を示したとしましても、裁判所によっては第三者機関を通じた面会交流を勧めてくることもありますので、そのような場合の対応について慎重に検討すべき場合もあります。

 以上のお話は、お子様が乳幼児の場合のケースでして、例えばお子さまが小学生以上の年齢になりますと、あなた自身の体調不良を理由に面会交流を拒否することは難しいです。

 

 

5.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

6.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・夫側と接触した後にお子様が体調を崩したとか、お子様が乳幼児のケースであなた自身が体調を崩してしまったというような場合には、面会交流を拒否できるケースもある。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

 

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夫(元夫)との面会交流を一切拒否することはできないのか?

2021.01.04更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.夫(元夫)からの面会交流要求は断固拒否したい


 

 離婚前、離婚後を問わず、奥様の方から、旦那様にお子様を触らせたくない、触れ合ってほしくないというお話を聞くことは多いです。

 

 確かに、奥様からしますと、仕事をしながら、一人でお子様を育ててらっしゃる方も多く、そんな中、以下のような理由から夫に会わせたくないとお感じになるのももっともかと思います。
・「夫のために貴重な週末の時間を割きたくない」
・「こちらは必死に子育てをしているのに、何もしないくせに良いとこどりをすることは許せない」
・「子供は父親よりも友達と遊んでいる方が楽しいと感じている」
・「そもそも、夫は同居中も子供に対して無関心だったから、今更会いたいという理由が分からない」

 

 

2.裁判所の基本的な考え方


 

 それでは、上記のような理由から、面会交流を一切拒否することはできるのでしょうか。

 残念ながら、裁判所は、面会交流一切拒否は認めてくれないことの方が多いです。

 

 最近の裁判所が面会交流に積極的に取り組む根拠は以下のようなものです。
①父親と実際に接することで父親からの愛情を実感し、安心感・自信を持つことにつながる。
②自分のルーツ(根っこ)を知ることで多面的な成長が期待できる。

 

 

3.うちの夫に限っては「当てはまらない」と証明できれば良いのか?


 

 このようなご説明をしますと、「うちの夫に限っては当てはまりません」との声が聞こえてきそうです。
 一面では正しいと思うのですが、そのような事実があるのでしたら、そのことをしっかりとこちらから証明する必要があります。
 ただ、うちの旦那に限っては、子と接することが子にとってプラスになりませんということをしっかりと証明することは難しいケースが多いと思います。

 

 

4.例外的なケース


 

(1)児童虐待のケース
 前述の通り、裁判所が面会交流を積極的に進めるのは、別に夫側の肩を持っているからではなく、そのことがお子様の件残な成長にとって良いと考えているからです。
 そのため、同居中、夫側がお子様を殴ったり蹴ったりするなどの児童虐待のケースですと、面会交流を実施することはお子様にとって利益にはなりません。
 そのため、児童虐待のようなケースですと、そのことで面会交流を禁止させられるというケースもあります。

(2)理由があってお子様がしっかりと拒否の意思を示しているケース
 前述のような虐待とまでは言えなくとも、夫からの暴言にお子様が悩まされていたとか、夫からの性的言動や行動に悩まされていたというような経緯があり、それを踏まえ、お子様が面会交流を強く拒否しているようなケースですと、面会交流を禁止させられるケースもあります。
 なお、お子様の意思確認は、お子様自身がしっかりと面会交流の意味等について理解して自分の気持ちを表現する必要がありますので、あまり幼いお子様の意見を確認しようとしても難しいです。そのため、10歳前後以上というのがお子様の意思確認の一つの目安とされることが多いです(少なくとも15歳以上の場合には裁判所は必ずお子さまの意向を確認します)。

 ちなみに、お子様が父親と会いたくないと表面的に発言していても、その理由があいまいであったり、母親の意向を酌んでいる側面が強いという場合には、面会交流させるべきという結論になることもあります。

 

 

5.一度約束している場合は?


 

 既に離婚は成立していて、離婚協議書、離婚調停調書等の文書で、面会交流を行うことが明記されているような場合、その後よほど大きな変化等がない限り、面会交流を拒否することは一層難しくなるケースが多いです。
 逆に、口頭での約束にとどまるようなケースですと、状況等によっては面会交流を拒否できるようなケースもあります。

 

 

6.どこまで争うべきか


 

 面会交流の話し合いは、離婚の話をしているような場合には、離婚の話し合いとセットで協議することが多いです。逆に、既に離婚が成立しているような場合には、面会交流だけを議論することも多いです。

 当人同士の話し合い、弁護士が間に入っての話し合い等がうまくいかない場合には、通常調停手続きを踏むことが多く、調停でも折り合いがつかないような場合には審判に手続きは移行します。
 それでは、①話し合い→②調停→③審判という流れの中で、どこまで争うべきなのでしょうか。

 前述のように児童虐待等があって、面会交流がお子様の不利益だというケースの場合には、審判等までしっかりと争ったほうが良いと思います。
 また、児童虐待等とまでは言えなくとも、しっかりとした理由があって面会交流を拒否したいという場合には、安易に妥協しない方が良いと思います。

 ただ、お子様自身は父親に会いたがっているというような場合には、無理に面会を拒絶することはお子様にとっても良くないことかもしれません。

 そのため、まずは、お子様の意思をしっかりと確認する必要があります。
 もちろん、お子様がまだ自分で判断することが難しい年齢だとか、これまでの児童虐待のことをしっかりと記憶していないという場合には、お子様の意思に反してでも面会交流を拒否すべき場合はあります。ただ、お子様が面会交流について示した意思については、単純に「賛成」「反対」の結論だけではなく、どうしてそのように考えるのかについても掘り下げたうえで、どのように対応すべきか検討すべきことが多いです。

 前述の通り、児童虐待等があるケースですと、しっかりと審判まで争っていくべきケースの方が多いと思いますが、そうでない場合には、可能な限り調停で話をまとめてしまった方が良いケースの方が良いかと思います。調停で議論したほうが面会交流の条件等について審判よりも柔軟な解決が可能だからです。

 

 

7.裁判所が第三者機関を勧めてくるケースも多い


 こちらが面会交流を断固拒否していても、こちらの不安を払拭すべく、裁判所側から第三者機関の利用を勧めてくることも多いです。
 ただ、いざ第三者機関の利用を開始し、何回か利用したうえで問題がないと、ステップを踏んで直接交流させるという方向で議論が進むリスクも高いので、第三者機関の利用については慎重に検討したほうが良いです。

 

 

8.婚姻費用や養育費との関係


 

 面会交流の問題と生活費の問題は全く別の問題です。
 しかし、こちらが面会交流を拒否しますと、夫側は「それならお金は渡さない」という対応をすることも多いです。
 もちろん、夫のこのような態度に怯んではいけないのですが、他方で、生活費の支払いが一切ないと生活に困るという事態にもなりかねませんので、相手が生活費の問題を絡めてきた場合には、慎重な対応を要するケースも多いです。

 

 

8.まとめ


・面会交流を断固拒否したいというニーズは案外多い
・しかし、裁判所は基本的に面会交流に積極姿勢なことが多い。
・児童虐待のようなケースでは、面会交流を拒否できる場合もある。
・理由があってお子様が面会交流を拒否する意思が明確な場合には、面会交流を拒否できる場合がある。
・面会交流を争う場合には、極力調停で話をまとめてしまった方が良い。
・裁判所が第三者機関の利用を勧めてきた場合でも、慎重に検討したほうが良い。
・夫側が生活費の問題と絡めるような場合には、慎重な対応が必要になるケースもある。

 

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【面会交流調停の相手方にされてしまった方へ(主に女性側)】面会交流調停って何だ?

2020.12.21更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

今回は、面会交流調停の相手方にされてしまった方を対象にして、面会交流調停がどのような手続きなのかを解説していきます。

 

 

1.面会交流調停って何だ?


 面会交流調停とは、一般的には、夫婦(元夫婦)が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて面会交流の当否、条件等について話し合いをする手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていてイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に面会交流調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、夫(元夫)側が面会交流の頻度や条件に不満を持っているときに、その条件を拡張すべく申立を行うことが多いです。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、面会交流の条件等を調えていくことになります。

 

 

3.そもそも調停に参加しなくてはいけないのか


(1)調停が不成立になると審判になってしまう
 このような調停は夫(元夫)側から突如として起こされるケースも多く、奥様の側としては調停に参加することに強い抵抗感を持つことも多いと思います。
 ただ、そのような反発心等から調停に欠席してしまいますと、調停自体は不成立で終了し、審判手続きに移行してしまう危険性が高いです。調停は裁判所で行うとは言いましても話し合いの手続きなのですが、審判では裁判官の判断で面会交流を強制される事態にもなりかねません。
 そのため不本意かもしれませんが、調停には参加したほうが良いと思います。

 

(2)答弁書等を提出すれば、第1回調停期日は欠席できる
 前述のように調停を全て欠席するということは得策ではありません。
 他方で、第1回調停期日に限って言いますと、こちらの都合を聞かずに設定された期日ですから、仕事の都合やお子様の行事の都合等で出席できないときには、第1回調停期日に限り、欠席しても問題ありません。
 ただ、事前に何も断らずに欠席してしまいますと、調停そのものをボイコットしていると評価されてしまう危険性がありますので、必ず第1回期日の1週間前までには、答弁書と進行照会回答書等を裁判所に提出するようにしておいてください。

4.結局会わせなくてはいけないのか?


 

調停は話し合いの手続きですので、その手続きの中で何かの結論を強制されるということはありません。
 ただ、裁判所は基本邸に面会交流に対して積極姿勢ですので、こちらから面会交流を拒否するだけの十分な理由を述べないと、面会交流実施に向けて話が進んでいくケースは多いです。

 そのため、あなたが、面会交流実施に強い不安を持っているようでしたら、事前に面会交流を拒否すべきとする理由をしっかりとまとめ、調停の場で意見表明していく必要があります。

 なお、離婚の際に面会交流の条件について一旦合意している場合、その条件を事後的に変更していくことは難しいケースが多いです。例えば、離婚のときには月1回会わせると約束したけれども、その後あなたの仕事が忙しくなり対応が難しくなったといったケースでは、一度約束してしまっていますので、月1回という頻度で面会交流調停が進んでいくケースが多いです(離婚の際の約束が口約束だという場合には、別の対応があり得ますが)。

 

5.調停委員ってどんな人?


 面会交流調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。また、これは裁判官の裁量によりますが、家庭裁判所調査官が調停の席に加わって手続を進めるケースもあります(本格的な調査実施前までには必ず調査官が立ち会うのですが、初回や2回目から調査官が立ち会うかは裁判官の裁量・調査官の都合(要するに調査官が抱える別事件の期日出頭の必要があるかどうか)によって決められます)。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

6.面会交流調停ってどこで行うの?


 面会交流調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

7.面会交流調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。
①夫婦(元夫婦)はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお兄様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その点では安心です。

 

11.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
ただ、面会交流については、法律的に強制することに馴染みませんので、ルールが守られなかったりしたとしても、強制執行等は難しいことが多いです(そのような場合には履行勧告等でルールに沿った面会交流を実現していくことになります)。

 

 もちろん、強制執行等が難しいとは言っても、一度調停で約束した内容を反故にしますと、今後の別の手続き等に大きな悪影響を及ぼす危険性がありますので、調停内容はしっかりと順守していくべきことになります。

13.まとめ


・面会交流調停は、面会交流の条件等を取り決めるための手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・面会交流調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められる。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

面会交流審判って何だ?

2020.12.14更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.いきなり面会交流審判を起こしても、調停に戻されるケースが大半である。


 離婚について調べていると、手続のステップは、①協議→②調停→③裁判の3つ手続きを経るという記事を見かけることもあるのではないでしょうか。
 そして、離婚の場合、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります(これを「調停前置主義」と呼びます)。

 これに対して、面会交流事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 それでは、いきなり面会交流審判を起こした場合、裁判所はどのように対応するのでしょうか。
 面会交流の事件は、これまでのご夫婦のお子様に対する関わり方なども問題になりますし、実際に面会交流を実施するにあたっても、今後トラブルが発生しないように慎重に進めるべき場合もあります。
 そのため、裁判所としては、いきなり審判で強制的に行わせるよりも、まずは裁判所での話し合いをすべきとして、調停に戻して話し合うよう要求されるケースが大半です。

 結局、法律上はいきなり審判を申し立てられるとしても、実際の裁判所の運用上、調停を経ずにいきなり審判を行うということは難しいのが実態です。

 いずれにせよ、面会交流調停を経ても話し合いがうまくいかない場合には、手続きは審判手続きに移行しますので、この「審判」という手続がどのようなものなのか、調停と比較しながら解説していきます。

 

2.審判と調停の違い


 審判と調停との間にはいくつもの違いがあるのですが、大きな違いとしては以下のような点が挙げられます。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(会議室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要な場合もありますが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 それぞれについて具体的に説明して行きます。

 

(1)審判手続は審判を目指す
 冒頭でも説明しましたとおり、審判手続は審判を得ることを目的としており、審判が言い渡されて、その内容が確定すると、不満のある当事者も審判の内容に従わざるを得なくなります(そのため、イメージとしては「判決」に近いです)。
 調停の場合には、相手の提案に納得が行かない場合には、納得いかない旨を述べれば調停は成立しませんので、相手の言い分を強要されることはありませんので、この点が審判と調停の一番大きな違いと言えます。

(2)審判は原則法廷で行われる
 調停は調停室という会議室のような部屋で行われるのですが、審判は原則として法廷(テレビドラマなどに出てくるのは通常この「法廷」になります)で行われます。
 そのため、調停室(イメージとしては打合室に近いです)よりも厳粛なムードで行われます。

(3)審判に対しては即時抗告という不服申立ができる
 審判手続の結論として審判が言い渡された場合でも、その審判内容に不満がある当事者は、即時抗告をして、その内容を争うことができます。
 これに対して、調停が成立した場合、後で気持ちが変わったとしても調停の内容を覆すことはできません(不服申立手段がありません)。
 なお、審判手続の中で当事者間の話し合いが上手くいった場合には、裁判官が審判手続きを調停手続に変更した上で、調停が成立することがありますが、この調停に対しても不服申立ができませんので、注意が必要です。

(4)審判では書類のやり取りが中心になる
 審判では、最終的には裁判官が審判を書くことになりますので、当事者の言い分が不正確にならないように、お互いの言い分は主張書面といった書面に書き起こして主張してゆくことになります。
 面会交流調停の場合には、特に調停委員が希望する場合を除いて、言い分は調停室内で口頭にて述べられますので、この点も審判との違いになります。
 このように審判では本人の言い分が裁判官にきちんと届くように書面をまとめることが非常に重要になりますので、審判期日当日というよりも当日よりも前の主張書面の準備が重要になります。

 なお、面会交流審判事件では、最終的には調査官の調査報告書が作成されますので、書面提出のみではなく、調査報告書の内容、調査報告作成に当たって調査官が確認した内容も重要なポイントになります。
 ただ、このような調査官調査に入る前に、しっかりとこちらの言い分を裁判官や調査官にぶつけ、必要な裏付け資料は全て提出しておくことが最重要になりますので、いずれにしましても、口頭のやり取りではなく、書類のやり取り、特に裏付けのやり取りが重要であるという点は調停との大きな違いです。

(5)審判には本人は出席しなくて良い場合もあります
 調停手続の場合、仮に弁護士が代理人に就いたとしても、本人が調停手続に出席する必要があります(弁護士も同席します)。
 これに対して、面会交流審判の場合も、本人の出席が必要なときもありますが、不要とされるケースもあります(ただ、面会交流審判のケースですと、実際のところは、審問を行うなどの理由から、裁判所から、本人の出席を求められるケースも多いです)。

3.審判の具体的イメージは?


 審判というと、よくドラマでやる様な相手を証言台に立たせて尋問することをイメージする方も多いと思いますが、実際の審判は大きく異なります。
 面会交流審判においては、家庭裁判所調査官の調査結果が、重要な意味を持ちますので、こちらに有利な調査報告を得られるように、お互いのが書面や資料を提出するという形が多いです。
 また、裁判官が必要な審問(当事者に直接質問をする手続き)を行う場合もありますが、一般の証人尋問のように代理人弁護士には質問権がありません。

 

 

4.まとめ


・審判手続は調停と比較してみてみると分かりやすい。

・比較の結果の大きな相違点は以下のようなものである。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(打ち合わせ室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要とされるケースもあるのに対し、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

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【これから調停を申し立てようと考えている方へ(主に男性側)】面会交流調停って何だ?

2020.11.30更新

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 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

 神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 今回は、これから面会交流調停を申し立てようと考えている方を対象に、面会交流調停というものがどのような手続きなのかを解説していきます。

 

1.面会交流調停って何だ?


 面会交流調停とは、一般的には、夫婦(元夫婦)が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて面会交流の当否、条件等について話し合いをする手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていてイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に面会交流調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、これまではお子様と会うことが出来ていたのに突如家内が会わせたくないと言ってきたとか、離婚した途端会えなくなったといった場合に、お子様との面会を求めるとともに、その条件について話し合いをする手続になります。

 調停の席での話し合いが順調に進めば、面会交流の条件等を調えることができます。
 ただ、相手が頑なに面会交流を拒否するような場合、調停では解決しないという場合はあります。

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)できる限り相手との交渉努力をする
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、まずは、お子様と会えないことに不満があること、どうして急に会えなくなったのかといった点を相手に尋ねて、話し合いの努力をした方が良いです。

 仮に、どうしても話し合いがうまくいかない場合には、当人同士ではなくお互いの両親を交えて話をするなど、交渉スタイルを変えてみることも検討してみてください。
 そのような交渉スタイルの変更をしても話し合いがつかない場合でも、可能な限り、相手への最後通告を行ったほうが良いです。そうすることによって、相手が話し合いに応じてくる可能性があるからです。

(2)調停を起こすタイミングを見計らう
 前述のような交渉努力をしても相手が頑なに面会交流を拒否してくるような場合には、いよいよ調停申し立ても検討していかなければいけなくなります。
 基本的に裁判所は面会交流の実施について積極的ではありますが、調停はあくまで話し合いの手続きですので、実際の面会交流実現までに時間がかかってしまうケースが多いです。そのため、実際に調停を申し立てる際には、これから相当期間の面会交流調停手続きを経ていく必要があるという覚悟を決める必要があります。

 また、お子様の進学時期など、タイミングが悪い時期に調停を起こすと相手の反発が一層高まる危険性があります。そのため、お子様の行事等から、必要以上に相手を刺激しないタイミングで調停を起こした方が無難かもしれません。

4.調停委員ってどんな人?


 面会交流調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。また、これは裁判官の裁量によりますが、家庭裁判所調査官が調停の席に加わって手続を進めるケースもあります(本格的な調査実施前までには必ず調査官が立ち会うのですが、初回や2回目から調査官が立ち会うかは裁判官の裁量・調査官の都合(要するに調査官が抱える別事件の期日出頭の必要があるかどうか)によって決められます)。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

5.面会交流調停ってどこで行うの?


 面会交流調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

6.面会交流調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

8.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。
①夫婦(元夫婦)はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお兄様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その点では安心です。

 

10.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

11.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
ただ、面会交流については、法律的に強制することに馴染みませんので、ルールが守られなかったりしたとしても、強制執行等は難しいことが多いです(そのような場合には履行勧告等でルールに沿った面会交流を実現していくことになります)。

 

13.まとめ


・面会交流調停は、面会交流の条件等を取り決めるための手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・面会交流調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められる。

 

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