離婚問題

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(19)ーこちらが専業主婦だと、どの程度不利になるのか?

2021.04.26更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.こちらが専業主婦だとどの程度不利になるのか?


(1)こちらが専業主婦だと、夫側は「収入がない人間だと、子供の生活費を払えないのだから、子供と暮らしていく権利がない」とか「自分の方がしっかりとした定職と収入があるので、子供の将来のことを考えると、自分が子供を育てたほうが子供の将来にとって絶対にメリットが大きい」と言ってくるケースもあります。
 このように言われてしまいますと、あなたとしても監護権を取れるのか不安に陥ってしまうと思います。
ただ、結論から申しますと、専業主婦であることは、監護者指定にあたって、そこまで重要な判断要素ではありません。

(2)重要なのは現在の収支が成り立っているかどうかという点
 監護者指定審判手続きでは、あなたの収支の状況も一判断要素として検討対象になります。
 そのため、最低限あなたの現状の収支バランス(例えば、月次の収支)が成り立っていることは必要になります。

 ただ、このような収支バランスを成り立たせる方法としては、一時実家に身を寄せて実家の支援を受けながら生活するとか、生活保護を受けながら生活するということでも構いません(現に、私が担当した事件でも、生活保護でも監護者に指定された事件はあります)

(3)現在あなたがお子様を育てているという状況は大きなアドバンテージになる。
もちろん、監護者指定審判手続きにはしっかり準備して臨む必要があります。
 ただ、あなた自身の勝率といった場合、あなたが現在お子様と一緒に住んでいるということが大きなアドバンテージになっています。
 現状の監護者指定手続きにおいては、「今誰がお子様を育てているのか」という点を最も重視するからです(法律用語的には「現状の監護状況」などと言ったりします)。
 そのため、あなたが専業主婦であるという事情よりも、「現状の監護」が重視されて判断されるのです。

 

 

3.重要な判断要素で拮抗していると重視されることもある

 


 

 前述の通り、あなたの経済状況は、本来重要な判断要素ではありません。ただ、「全く考慮されない」というわけでもないことには注意が必要です。

 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。

1)監護実績

2)連れ去りの違法性

3)現在の監護状況

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)面会交流の姿勢

 

 多くの事件では、上記の6個の重要判断要素を総合して検討し、有利な方が勝訴するということになります。

 ただ、ケースによっては、この6個の重要判断要素を総合検討しても、裁判官が判断に迷うというケースがあります(例えば、過去の監護実績という点では夫婦同等程度で、別居が奥さん側がかなり強引だった、現在のお子さんの様子を見るとそれほど不安定ではないが、別居がかなり強引だったので、登校面でも多少支障がある、しかも、奥さんは旦那側との面会交流を断固拒否しているというように、お互いに有利不利な点が数多くあるため、裁判官が判断に迷っているといったケースです)。

 そのような場合には、裁判官は上記の重要判断要素ではない、他の点で優劣を決する場合があります。その時に経済状況が重視されることもあるのです。

 

 

4.まとめ


・あなたが専業主婦であるということは監護者指定にあたってはそれほど重要な要素ではない。
・むしろあなたの現状の収支バランスがとれていることの方が重要である。
・あなたが現実にお子様を育てているという事情は監護者指定手続きで大きなアドバンテージになる。

・監護者指定の6個の重要判断要素で実力が拮抗している場合には、経済状況が考慮されることもあるので注意が必要である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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