離婚問題

【奥様側】監護者指定審判で敗訴してしまったー即時抗告すべきか?

2021.06.07更新

弁護士秦

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1.今回の解説は「奥様側」の視点での検討


 

 即時抗告とは、第1審の結論が出た後に、その審判内容が正しいのかどうかを改めて高等裁判所に検討してもらう手続きになります。分かりやすく、第1審の手続を「第1ラウンド」とすると、即時抗告は「第2ラウンド」だと説明することもあります。
 監護者指定審判事件の第1審で敗訴した場合に、即時抗告すべきか否かは、旦那様側と奥様側とで検討要素等が異なります。
 今回は、「奥様側」の視点から検討します(「旦那様側」の視点は、別途ブログを準備しますので、そちらをご覧ください)

 

 

2.敗訴の意味をまずは理解する


 即時抗告すべきかどうかの検討に入る前に、第1審での敗訴の意味合いを解説します。

(1)旦那様の側が正式な監護者と指定されてしまったということ
 監護者指定審判事件で敗訴するということは、あなたが監護権を取得できず、旦那様が監護権を取得してしまったということになります。実質的には、あなたがお子様を育てていくよりも、旦那様が育てていく方が適任だと判断されたということを意味してしまいます。

 即ち、親権には大きく以下の権利を総称した権利と言われますが、そのうちの身上監護権を旦那様だけが持つ形になったという意味になります。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)
 従って、旦那様の方でお子様の居所指定権も持つことになりますので、こちらの方にお子様を引き渡すよう求めることはできなくなります。

(2)親権争いへの影響
 親権の判断要素と監護権の判断要素はほぼ同一ですので、監護権で敗訴した状態になってしまいますと、今後の離婚紛争の中で親権争い上圧倒的に不利になることは否めません。
 もちろん、旦那様が離婚を急いでおらず(もしくは、離婚そのものを希望しておらず)すぐに親権争いの問題が浮上しないということでしたら良いのですが、矢継ぎ早に離婚・親権の問題に直面しなければならないという場合には、監護者指定がなされたことは重要な判断要素になってしまいます。

(3)家庭裁判所が判断を下したことの重み
 監護者指定審判は、裁判官が必要だと考える調査等を実施した上で、適切だという判断を下しているのですから、やはりそれなりの重みをもつことになります。
 要するに審判手続きの途中の状態ですと、裁判所の正式な判断が下されていない状態ですので、当事者のお互いの立場は優劣がない状態となりますが、既に判断が下されてしまっていますので、こちらが即時抗告をするにしても劣勢からのスタートという位置づけになってしまうのです。

 

 

3.【奥様側から見た】即時抗告すべきかの判断ポイント


 

 奥様側から検討した場合の即時抗告すべきか否かの判断ポイントとしては主に以下のようなものがあります。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担

 以下詳しく解説していきます。

 

(1)お子様のことを考えた場合の理想は何か
 まず、一番大事な視点は、お子様のことを考えた場合の理想的な生活は何かという点です。
 まがいなりにも、第1審の裁判官が、旦那様と暮らす方がお子様のためになると判断しているのですから、それなりの事情があっての判断だと思います。
 普段のお子様の様子や気持ちなどは身近にいるあなたが一番よく分かっていると思いますので、お子様にとって何が一番理想と言えるのかという視点が大事だと思います。
 そのような視点からしっかりと検討した結果、やはりあなた自身が育てていく方がお子様にとっては理想だと断定できるのであれば、即時抗告を躊躇すべきではないと思います。

 

(2)第1審での敗因の分析
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢
 あなたの事件での敗因は、上記の6個の要素の複数の項目であなたが奥様よりも不利であるということにあると思います。
 第1審の調査報告書も改めて見返したうえで、何が敗因だったのかをしっかりと分析し、その敗因をリカバーできるだけの要素があるのか、敗因を逆転できるような証拠等があるのかを慎重に分析する必要があります。

(3)即時抗告での手続きの負担
 監護者指定事件は、旦那様側から奥様宛てに起こされるケースが大半でして、奥様からしてみると、そもそも、あまりこのような手続きに関わることは消極姿勢であるということも多いと思います。
 特に、監護者指定審判事件では、旦那側から、奥様の育児の不備等について色々と指摘がなされますので、旦那様側の書面を見るにつけて嫌悪感を抱くというケースも多いと思います。
 即時抗告を申し立てるということは、このような負担がさらに長引いていくことを意味しますので、その心理的負担は避けられません。
 また、即時抗告をする場合には弁護士抜きでは戦えないでしょうから、手続きを取るための弁護士費用などもかかってきます。このような経済的負担も考慮しなければいけません。

 

 

4.どの弁護士に依頼するのか


(1)即時抗告すべきか否か迷ったときにはセカンドオピニオンを取ってみるのも良い
 前述の通り、即時抗告すべきか否か判断するにあたっては、第1審の審判で示されたこちらの敗因をしっかりと分析する必要があります。
 基本的には、これまで依頼していた弁護士に意見を聴くことになりますが、その弁護士の言動等に不安を覚えるようであれば、他の弁護士の意見を聞いてみるという方法もあり得ます(いわゆるセカンドオピニオン)。

 

(2)弁護士を変更すべきか
 それでは、即時抗告をしていくという方向になった場合に、弁護士を維持するのかという問題があります。
 結果的には、第1審で敗訴していますので、即時抗告というタイミングで弁護士を変更すべきかを検討するのです。
 率直に言いますと、第1審の結論だけから弁護士を変更することはオススメしません。

 第1審の手続を戦っている間、その弁護士の弁護活動にそれなりに満足して手続を進めることができていたということであれば、無理に弁護士を変えて臨むよりも、弁護士はそのまま戦ったほうが十分な準備ができると思います。
 特に即時抗告にあたっては、審判書を受領してから2週間以内に即時抗告を申し立て、その更に2週間以内に抗告理由書を提出しなければなりません。これらの書類は即時抗告にあたって、いわゆる「即時抗告の顔」となるような重要な書類ですので、しっかりと準備する必要があります。
 新しい弁護士を探し、その弁護士に第1審の記録を精査してもらい、十分な準備を整えるという場合、上記の期間的制限があると、かなり活動が制限されてしまうのです。

 

5.まとめ


・監護者指定審判事件での敗訴の意味合いをしっかりと把握する
・奥様側から即時抗告すべきか判断するにあたっては、以下のような要素を検討する。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担
・即時抗告するか迷った場合にはセカンドオピニオンをとっても良いが、弁護士の変更はあまりオススメではない。

 

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