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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(2)】結局「離婚後も共同親権」ってどういう意味なのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.一緒に住んでいるときの「共同親権」はイメージしやすいけれども…


 夫婦仲が良く一緒に住んでいるときの「共同親権」というのは、夫婦がともにお子さんに対して権利を持つとともに責任を負うという意味で、イメージがつきやすいと思います。

 しかし、離婚してしまった後も共同親権と言われても、そのイメージがつきにくいという方も多いのではないでしょうか。

 そのような方に向けて、離婚した後も「共同親権」になるというのが、どういう意味合いなのかについて解説していきます。

 

 

4.改正法でも「共同親権が原則」というわけではない。


 離婚後の共同親権を認める民法改正の報道などを見て、離婚後も「原則的に共同親権になってしまう」と誤解なさっている方もいますが、そうではありません。

 今回の民法改正では、以前のように離婚後単独親権だけしか選択できなかったものを、「共同親権も選択可能にする」というものでして、離婚した後「単独親権」と「共同親権」どちらにするかはご夫婦の選択に委ねられています(どちらが原則という関係性はありません)。モラハラ夫は自分に有利になるように「離婚した後も共同親権にしなければならなくなった」とか「基本は共同親権だ」などと言い放ってくる可能性がありますが、そのようなことはありません。この点は十分ご留意下さい。

 

 

5.共同親権を選ぶと夫婦一緒に生活しないといけないのか?


 「共同親権」というと夫婦で一緒にお子さんのことを決めなくてはならず、離婚後も夫婦で共同生活を営まなければいけないようなイメージを持ってしまいそうですが、そうではありません。

離婚する場合、通常、ご夫婦の関係性が悪く、夫婦としてやっていくことが難しいから離婚するのでしょうから、その後も同居しなければならないというのは大きな矛盾となります。改正法も、離婚後はご夫婦が別々に暮らすことを前提に、共同親権を位置付けています。

 なお、離婚した後も「共同親権」を選ぶと、お子さんをご夫婦の間で行ったり来たりさせないといけないと誤解なさっている方もいますが(例えば、月曜から木曜は妻側、金曜から日曜は夫側でお子さんの面倒を見るといった形)、それも間違いです。詳しくは後述しますが、「共同親権」は、夫婦が同等にお子さんに関わるということを意味するわけでもありません。

 この点も、モラハラ夫は、「共同親権」の間違った解釈で、あなたに行動を求めてくる危険性がありますが、間違っているものは間違っているとしっかりと指摘することが大事です。

 

 

6.結局、共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

前述の通り、仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

7.モラハラ夫との「共同親権」を選択することはかなり慎重に検討した方が良い


 詳しくは別のブログで解説しますが、改正民法が施行された後、モラハラ夫は同居中ほとんどお子さんの世話などしてこなかったにもかかわらず、いざ離婚になると「共同親権が良い」と主張してくることが予想されます。

 しかし、一度モラハラ夫との共同親権になってしまいますと、モラハラ夫は様々な場面であなたの生活に干渉してくるリスクがありますので、極力あなたの単独親権にする方が望ましいと思います。

 

 

8.まとめ


・改正法は、離婚した後も共同親権・単独親権どちらも選べるという制度であって、共同親権が原則系ではない。

・離婚した後共同親権だからと言って夫婦一緒に住まなければいけないわけではない。

・同様に離婚した後共同親権にしたとしても、お子さんを夫婦の家に半々行き来させないといけないというわけでもない。

・結局、離婚後共同親権というのは、以下のようなお子さんにとって重要な事項を夫婦一緒に話し合って決めるという制度である。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

・前述のように夫婦一緒に決めなければならない事項でも、緊急時には例外扱いが認められている。

・モラハラ夫と離婚する場合には、あなたの単独親権を選択した方が望ましいことが多いと思われる。

 

 

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>【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(3)】親権の問題を後回しにして早期に離婚すべきか?

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(1)】改正民法で離婚のハードルは何か変わったのか?

2026.03.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚のハードルには何か影響があるのか?


 モラハラ離婚したいと希望するあなたにとっては、改正民法施行によって、離婚のハードルが下がるのかどうかが非常に気になるところだと思います。

 結論から言いますと、今回の改正で、離婚理由についての法律の定めには何も変更が加えられませんでした。

 そのため、離婚のハードルについては、「今までと変化がない」というのが結論になります(親権や面会交流といったお子様に関わる話題については、大きな変化があったのですが、「離婚しやすさ」に限って言うと、変化がないという意味です)。

 

 このように改正民法施行でモラハラ離婚のハードルには変わりがないのですが、折角ですので、モラハラが離婚理由になるのかどうかについて、(以前から考えに変わりはないのですが)改めて解説いたします。

 

 

3.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 これだけではなかなかピンと来ないと思いますので、ある程度類型化して整理しますと、以下のようにまとめられると思います。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

 

夫婦で生活していると一度や二度は、夫側からこのような発言や行動が出たことがあるかもしれませんが、これらのことが「継続している」ということが重要な要素になります。

 

 

4.モラハラは離婚理由になるか?


 「離婚理由」という場合、大きく分けて二つの意味があります。一つめは、相手に離婚を切り出す理由になるかという意味、二つめは、裁判で勝てるだけの理由になるかという意味です。

 

 まず、一つめの離婚理由という意味で言いますと、モラハラは立派な離婚理由になります。ただし、実際に相手に離婚を切り出すとなると、具体的にどのようなモラハラ被害を受けてきたのか、という点をしっかりと整理して旦那側に話す必要が出てくると思います。また、親権に離婚したいと考えている場合には、こちらが本気だということが相手にも伝わるように話をする必要があります。

 

 次に、「裁判で勝訴できるだけの理由」という意味での離婚理由になるかというと再度詳しく検討していく必要があります。

 と言いますのは、裁判で認められる離婚理由は法律で厳しく限定されているため、モラハラの内容や程度によっては、「裁判で勝てるだけの理由とは言えない」と言われてしまうリスクがあるからです。離婚裁判ですと、裁判所が強制的に離婚を命じることができるのですが、本来離婚するかどうかは当人同士の意思に委ねるべき話ですから、「裁判で勝てるだけの離婚理由」というのは法律で制限されているのです。

 

 

5.別に裁判をしたいわけではないんだけれど…


 モラハラ夫の特徴としては、こちらから離婚を突きつけると、これに反発してくるケースが非常に多いです。モラハラ夫はあなたのことを下に見ているケースが多いため、「生意気だ」といった感情を持つのです。または、全く逆に、こちらが別居を開始した時などは、旦那側が謝ってくるということもあります。自分に不利にならないようにという心理が働いて、体裁を整えてくるのです。

 実際上、私の経験ではモラハラ離婚のケースで裁判にまで行かずに調停または協議で解決することの方が多いです。

 

 しかし、少数ですが相手の反発が大きく裁判を避けられないと言うこともありますので、事前に裁判になることを考えながら準備を進めていく必要があるのです。「備えあれば憂いなし」ということです。

 

 

6.モラハラが「裁判で勝てるだけの離婚理由」と言えるために


 このように離婚裁判もある程度意識して準備を進めていくという場合、まず最も重要になりますのは裁判で戦えるだけの証拠があるのかどうかということになります。夫が自身のモラハラ発言やモラハラ行動をすんなり認めてくれればいいのですが、実際には「そんなことは言っていない」とか「そんなことはしていない」といった反論が返ってくることが多いです。

 夫婦の言い分が食い違っている場合、裁判官は何が真実か分からなくなってしまうので、証拠が必要になるのです。具体的にどのようなものが証拠になるのか概要を解説します。

 

 まず第1に、モラハラの言動について録音データがあると非常に心強いです。録音だと夫のモラハラ発言を正確に記録できますし、当時の臨場感をそのまま再生できるからです。

 そして、このような録音データは数が多ければ多いほどよいです。裁判でその全てを証拠にするわけではありませんが、数が多ければ、その分攻め手が増えるとイメージして下さい。

 

 第2に、相手がラインやメールでモラハラ発言に及んだという場合には、そのラインやメールも証拠になります。

 

 第3に、あなたがモラハラ被害を受けている最中に身内や友人に相談していたという場合、身内や友人に対して送ったラインやメールも証拠になり得ます。なお、その内容はある程度詳しい被害内容が書かれていないと裁判の証拠としては不十分になる可能性がありますのと、表現に誇張がないかという点に注意が必要になります。

 

 第4に、あなたがブログその他のSNSに旦那のモラハラ発言等をアップしてきたという場合、その内容によっては証拠になり得ます。

 このような証拠の整理は最初に行う必要があります。

 私が担当した事件について申し上げますと、暴言については全くといって良いほど証拠がないというケースもあります。ただ、その場合でも、離婚に向けての対処方法はありますので、諦めずに、ご相談にいらして下さい。

 

 

7.モラハラ内容の整理


 上記のようなモラハラの証拠の有無の整理がつきましたら、次に、あなたが受けたモラハラ被害の内容を整理していく必要があります。

モラハラの証拠がある場合でも、あなたが受けた被害の全てに関して証拠があるというケースは稀なので、あなたの体験そのものを書き出していくのです。

 

 私のところにご相談に来られる方のうち90%以上の方は、「夫のモラハラがひどいんです。だから離婚したいんです」とおっしゃるのですが、上記の通り「モラハラ」には色々な態様がありますので、あなたのケースでは具体的にどのようなモラハラがあったのかをきちんと整理しておく必要があります。

 

 まずは、前述したモラハラの項目にいくつ該当するのかを検討してみて下さい。

 

 次に、そのモラハラの具体的な内容を思い出してみて下さい。要するにモラハラ夫の詳しいセリフや行動を思い出す作業になります。

 

 最後に、そのモラハラがどの程度の頻度あったのか、いつ頃まであったのかを検討して下さい。

 

 あなたにとって思い出したくない事情を思い出す作業になりますので、非常に苦しく気の重い作業になると思いますが、離婚に向けて必要な作業だと考えて頑張ってみて下さい。1人で悶々と考えていると気が滅入ると言うことも多いと思いますので、身内の方と話ながら思い出していくとか、弁護士との打合せで整理するという方法もありますので検討してみて下さい。

 

 

8.モラハラは「白か黒か」ではない


 私が相談に乗っておりますと、「私のケースはモラハラですか?」という質問を受けることが非常に多いです。ご質問の趣旨としては、白か黒(完全悪)かをしっかりと見極めて欲しいというものです。
 しかし、残念なことに日本の法律はモラハラについての法整備が出来ておらず、法律で「モラハラ」とか「モラルハラスメント」という用語は出てきません。
 そのため、法律の線引きがない状態のため、「黒(完全悪)」とは言いづらいというのが実情です。

 もちろん、法律の線引きがなければ何でも許されるというわけではありませんし、モラハラの深刻さについて、私の方からは「モラハラは基本的に白か黒かではなく、グレーという位置づけになります」「モラハラの深刻さに応じてグレーの中にもグラデーションがあって、深刻なモラハラは黒に近付いていきますし、軽度のモラハラは白に近付いていきます」とご説明することが多いのです。
 このようなことも「モラハラ」の理解の参考にして頂ければと思います。

 

 

9.まとめ


・改正民法施行で、モラハラ離婚の離婚しやすさには何も変化はない。

・モラハラの詳しい意味については理解不足の方も多いので、まずはモラハラのきちんとした意味を理解する。

・モラハラは離婚を切り出すに当たっては十分な理由になる。

・離婚の話がもめそうだという場合、モラハラの証拠をきちんと準備しておいた方が良い。

・モラハラの証拠と一緒に、あなたのモラハラ体験も整理しておく必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(6)】熟年離婚:夫は自分のことばかりなので嫌気がさして離婚を決意したケース

2026.02.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Fさん」の概況


①60代女性

②結婚40年

③お子様:既に成人し自立して生活

④離婚を決意した後の別居先:新天地

 

 

2.違和感を持ち始めたきっかけ


 夫は昭和な考えが全く抜けていない人だったようで、妻は夫を立てろ、俺の言うことに従えという気質の人でした。

 Fさんも、そのような生活が普通のことで、長年そのことに慣れてしまっていたので、全く違和感を持っていなかったということでした。

 そんな中、Fさんは3年ほど前に体調を崩して入院したところ、入院準備中に夫から「俺の食事の支度は誰がしてくれるのか?」と質問されたそうです。Fさんも1か月入院しなければならない状態でしたので、入院中食事の支度はできないと伝えたそうですが、夫は不満そうにしていたということでした。

 

 入院中、夫からは、Fさんを心配する言葉よりも、「毎日弁当ばかりの生活がツライ」というようなメールばかりが届いていたということでした。

 Fさんとしては、いつものことなのであまり気に留めていなかったようですが、見舞いに来たお子さんと世間話的に夫の様子を伝えたところ、お子さんの方から「それってモラハラだよ」と言われたそうです。

 入院中特にすることもないので、Fさんは携帯電話でモラハラについて調べていくと、夫に当てはまることばかりだと気付いたそうです。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 ようやく退院して自宅に戻ると、夫からは開口一番「今日の晩飯は何だ?」と聞かれ、Fさんは唖然としたということでした。

 このままでは夫の老後の世話までずっとさせられると感じたFさんは離婚を決意したそうです。

 ただ、退院してからも体調があまり思わしくなく、また、多少でもパート勤務を始めて収入を得られるようになってから別居を始めたいと考えていたので、実際の別居までに3年ほどかかってしまいました。

 

 

4.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Fさんの夫のモラハラタイプは、①昭和の気質が非常に強く、妻は夫を立てるもの、夫の言うことは絶対という古風な考えの人でした。また、②Fさんが生返事をしたり、夫の話を聞いていないと声を荒げることも多かったようです。

 Fさんも、私に対して、「昔はこんなの普通だったんだけれども、今は時代が変わったね」などと話していましたが、正にその通りでして、夫のやっていることはモラハラでしかありません。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)熟年の方だと昭和気質の方は案外多い

 今回のFさんのケースのように熟年の方ですと、昭和気質のままという仮定は案外多い印象です。

 そして、夫が昭和気質だと、Fさんのように妻側もそれが「普通」と思ってしまい、疑問を持たずに生活を続けてしまう方も多くします。

 しかし、昭和気質の考えは、要するに夫は家長で、家庭の中で最も地位が高いという考えに根差していますので、夫婦の立場が対等だという基本的な考え方と抵触しています。

 今の令和の時代に、「昔はこれが普通だった」という考えは通用しません。

 

(2)熟年離婚は増加傾向だと感じる

 これは私の主観ですが、今回のFさん同様、このまま夫の世話で人生を終えるのは納得がいかないということで熟年離婚を考える方は増加傾向のように感じます。

 夫は、定年を迎える前までは、夫は外に出て働くもの、妻は家庭に入って家庭を守るものという考えなのですが、定年退職すると、夫はずっと自宅でゴロゴロしているだけのことも多く、奥様の不満は高じやすいようです。

 

 

6.顛末


 Fさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をし、調停までもつれましたが、別居から離婚調停成立まで8か月ほどでの決着でした。

 

 

7.まとめ


・Fさんは、入院前までは、夫が昭和気質であることに疑問も抱かずに生活していた。

・入院中の子供からの言葉でモラハラだとの認識を持ち、違和感を覚えるようになった。

・退院後の夫の言動をきっかけに、このまま夫の世話で人生を終えたくないと考えて、離婚を固く決意した。

・熟年の方だと今も昭和気質の方は案外多い。

・熟年離婚を考える方は増加傾向だと感じる。

 

 

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・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(5)】別居後の夫の態度を見て離婚を決意したケース

2026.02.16更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Eさん」の概況


①30代女性

②結婚3年

③お子様:まだ赤ん坊のお子さん1人

④離婚を決意した後の別居先:実家

 

 

2.違和感を持ち始めたきっかけ


 仕事が忙しい時や仕事が順調に行っていない時に不機嫌なことが多く、Eさんから話しかけてもまともな返事が返ってこないことが多いということです。

 これだけなら良いのですが、少しでも夫への感謝を疑う言葉、感謝が足りないと感じることがあったときに激怒し、怒鳴りつけくるそうです。例えば、深夜遅くに帰って来た翌日に「昨日は仕事大変だったね」といった言葉をかけないと、夫から「何か言うことはないの?」とか「お茶汲みのうちの事務より使えない」などと吐き捨てるように言われたとのことです。

 仕事の状況によって家庭の雰囲気がガラッと変わるのでEさんも困っていたということです。

 

 しかも、モラハラ夫は、不機嫌になると「もう別居だな」とか「離婚しかない」などと別居や離婚を脅し文句として使うことが多かったということです。

 夫が激怒した後は、急に上機嫌になったり、逆に不機嫌な状況が1週間ほど続き、その間は無視され続けていたということです。

このような出来事が断続的にあったようで、Eさんは普段の生活の中でも小さな違和感を感じ続けていたということでした。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 Eさんは離婚の覚悟を決めて別居を始めたというよりは、むしろ、一時家出をするつもりで別居を始めたそうです。

 つまり、別居の日も夫が不機嫌になってEさんを怒鳴りつけていたのですが、Eさんはまだ赤ん坊のお子さんを抱いている状態で怒鳴られ続けたようです。途中で赤ん坊は泣きだしてしまったのですが、夫の怒鳴り声はやむどころか、余計に悪化してしまったとのことでした。

 Eさんは、子供が怖がっても怒鳴り続けることをやめない夫のことが怖くなり、また、ひとしきり泣いた後の赤ん坊も手を震わせていたので、一時実家に避難することにしました。

 当初、Eさんは一時的に家出をするつもりで、ずっと別居するつもりはありませんでした。

 

 しかし、別居後の夫とのやり取りの中で、夫は何もなかったかのように気軽に話しかけてくる様子を見て、Eさんは、夫が自身の暴言を向き合えているように思えませんでした。

 そのため、思い切って暴言を控えてほしい旨メッセージを送ったところ、夫側から「迷惑しているのはこっちの方です。わがままもいい加減にしてさっさと帰ってきてください」という返事が返ってきました。

 これを読んでEさんは、離婚するしかないと決意しました。

 結局、Eさんは、実家に一時避難した後、一度も自宅に帰ることはなく、実家で暮らし続けました。

 

 

.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Eさんの夫のモラハラタイプは、①仕事のストレスのはけ口として家庭内で暴言を浴びせてくる、②離婚や別居を脅し文句として使うが、Eさんが離婚の意思を示すと、「離婚したくない」ということを言うタイプでした。また、③不機嫌な状態が長引くと1週間ほどEさんを無視し続けるということもあったようです。

 特に仕事がらみの暴言では、夫の職場には出来が悪い部下がいるようで、Eさんに対して(その出来の悪い部下と比較して)「○○みたいに使えないな」とか「○○でもこのくらいのことはできる」と言われることも多く、Eさんにとっては、それがとても嫌だったということでした。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)Eさんの夫は、職場で「良い人」を演じ、そのストレスを家庭で吐き出すタイプのモラハラ夫

 Eさんのお話を聞いていると、Eさんの夫は、部下からの信頼も厚く、上司にも評価されているようでした。

 逆に、Eさんの夫は、部下から信頼されるよう「良い上司」を演じ、上司に対しては「良い部下」を演じていることで、職場でのストレスは非常に高かったようです。

そのため、夫は職場で直接不満を述べることができず、家庭内でストレスを発散していたようでした。

 このようなタイプのモラハラ夫も案外多くいます。

 

(2)こちらからの離婚要求は拒否してくるというパターンは非常に多い

 前述のように、モラハラ夫は同居中に自分からEさんに「別居」とか「離婚」をよく口にするくせに、いざこちらから離婚と言うと、離婚に反対してきました。

 私が相談を受けるケースでも、このようなケースは非常に多いです。

 Eさんのようなケースでよく見かけるのは「夫がよく『でてけ』と言うので、言う通りに出てきました」とおっしゃる奥様もいるのですが、いざ私がモラハラ夫と直接話をすると、モラハラ夫は激怒しているのです。モラハラ夫のよくある言い分は「そんなことは言ったことがない」とか「冗談のつもりで言ったので、真に受けないで欲しい」というものです。

 いずれにしましても、同居中、夫が別居や離婚をよく口にしていても、こちらから離婚と言った時にはすんなり応じてくれないことも多いということは十分注意した方が良いです。

 

(3)そのまま自宅に戻らなかったという決断は非常に良い決断だった

 今回のEさんの決断で非常に良かったと感じましたのは、最初は家出だったつもりでも、自宅に戻らずに別居を続けたことです。

 なかなか覚悟が必要な決断なのですが、一度自宅に戻ってしまいますと、元の生活に戻ってしまって余計に苦しむことになるということも多いので、Eさんのこの決断は非常に良い決断だったと感じました。

 

 

6.顛末


 Eさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をし、何とか協議離婚で決着させることができました。別居から離婚協議書の締結まで5か月ほどでの決着でした。

 

 

7.まとめ


・Eさんは、仕事の状況でガラッと雰囲気が変わる夫の態度に左右され続けて生活していたので、小さな違和感を感じながら生活していた。

・別居後のモラハラ夫からの一言で、離婚を固く決意した。

・職場で良い人を演じている人ほどストレスを抱えやすい傾向がある。

・同居中「別居」や「離婚」を口にしていたのに、こちらからの離婚には反対してくる夫も多い。

・今回の要に家出をして、そのまま自宅に戻らなかったのは良い決断だったと言える。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(3)】粘着質で子供達に小言ばかりを言う夫との生活にもう耐えられないと思ったケース

2026.01.26更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ開設を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Cさん」の概況


①50代女性

②結婚15年

③お子様:中学生のお子さんと小学校高学年のお子さんの合計二名

④離婚を決意した後の別居先:実家

 

 

2.違和感を持ち始めたきっかけ


 子供達は二人ともサッカーを習っていたが、夫のサッカーの応援がどんどんと度を越していき、執拗な小言が増えていったそうです。

 サッカーのことは夫に任せており、また、夫の小言はサッカーの送迎時等を中心としていたため、上の子が小学校高学年になる頃まで、Cさんは小言の問題にあまり気付いていなかったそうです。

 上の子が小学5年生のサッカーの練習中、大きな怪我をしてしまい、数か月サッカーができなくなってしまったが、それ以降、夫は家庭内でも小言を繰り返すようになったそうです。Cさんが異常に気付いて確認すると、子供達二人共夫からの小言に非常に悩んでいるという話だったそうです。

 それ以降、夫の小言が始まった際には、Cさんから夫に注意していたが、夫からは逆に、夕食が定刻にできていないとか、入浴時刻が遅いので定刻に寝られないなど、Cさんの家事等についても小言を言うようになり、Cさんも段々と疲弊していったそうです。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 上の子が中学校に上がる頃には、Cさんはすでに夫との生活に限界を強く感じていたそうです。

 夫のモラハラは怒鳴りつけるとか暴力を振るうというようなわかりやすいモラハラではなかったのですが、家庭内で子供達への小言を延々と聞かされるのはCさんにとっても非常に苦痛だったということです。

 上の子は、夫からの小言に対して、相槌を打ったり、「はい」とか「うん」という返事を繰り返していました。後で聞いてみると、余計なことを言うと、話が長くなるので、「はい」とか「うん」という返事を繰り返してやり過ごしているということでした。下の子は、上の子ほど器用に立ち回ることができず、夫の言われていることに必死に応えようと努力していました。

 

 Cさんは、子供たちの意識改革をしようと考えたこともあったそうですが、子供達二人共、夫を前にすると自分からは不満などを言えない、怖いということでしたので、もはや父子の関係をCさん自身の努力で変えることは不可能だと感じたということでした。

 この時点で、Cさんはもう夫とは離婚するしかないと決意していたということです。

 ただ、Cさんは当時専業主婦で、収入がなかったため、別居して、今後子供達を育てていけるのか強い不安があったとのことです。

 実家がそれほど遠くない場所にあったのですが、実家の両親も年金暮らしのため、子供たちの教育費用や食費等のことを考えると、すぐに別居を開始するのは現実的ではなく、一旦は、パートで仕事を始め、多少慣れたところで別居を始めることにしました(離婚を決意してから実際に別居するまでに1年ほどを要しました)。

 

 

4.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Cさんの夫のモラハラタイプは、Cさんへの小言もそれなりにあったのですが、それ以上に、お子さん達への小言がメインでした。より具体的には、①お子さん達がサッカーの練習試合等で十分に実力を発揮できなかったり、他の子よりも活躍できないと、どこがどのように悪かったのかを事細かく指摘し続ける、②話が非常に長く、延々と夫の意見を述べ続ける、③お子さん達が似たようなミスをすると数か月前や数年前のミスの話を持ち出して来て、その絡みでも延々と小言を言い続ける、④時折「落ちこぼれ」「バカ」といった誹謗中傷表現も混ざっているというものでした。

 モラハラ夫は気弱な性格なので、声を荒げたり、怒鳴りつけたりするということはなかったそうですが、小言が2,3時間続くことも多かったようで、Cさんも週末は、子供たちを連れて実家に帰るなど、モラハラ夫と物理的距離を取るようにしていたということです。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)子供への期待がモラハラになってしまうケースは案外多い

 このCさんのケースもそうですが、モラハラ夫は、上の子のサッカーでの活躍を見て、今後のクラブチームでの活躍にも強く期待したようです。最初のうちは子供たちを応援してくれているようでCさんも心強かったようですが、モラハラ夫の期待値が高過ぎて、期待を外れた時に、その不満が執拗な小言という形に変わっていってしまったようです。

 このCさんの夫に、私も直接会って話をしましたが、自分の不安ばかりを延々と口にしていて、本当に話が長いしくどいと感じました。

 

(2)暴言ではないということでCさんの判断を鈍らせてしまった

 結局、モラハラ夫はお子さん達に対して、「落ちこぼれ」「バカ」といった誹謗中傷表現を使っていましたので、私は暴言と言って良いと感じました。しかし、Cさんとしては、大声を上げたり、怒鳴りつけていたわけではないので、「暴言とは言えない」と感じてしまっていたということでした。

 そのようなこともあって、Cさんは、小言に気付いた最初のうちは、自分や子供達が我慢すればよい事だと勘違いしてしまっていたそうです。

 ただ、このケースのような執拗な小言にお子さんが巻き込まれ続けると、自信の喪失、自己決定力の低下といった悪影響も懸念されますので、もう少し早く別居を開始できると、より良かったと感じているところです。

 

 

6.顛末


 Cさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をしたのですが、話はかなり難航し、結局、離婚調停を起こして、最終解決までに別居から2年半ほどかかりました。このケースは、財産分与の対象財産が多かったこと、それぞれの財産に関して、夫側が非常に細かな点を含めて突っ込んできましたので、かなり難航しまして、決着までに非常に時間がかかってしまいました。

 

 

7.まとめ


・Cさんは、夫の子供たちへの小言がくどいことで違和感を感じたのがきっかけである。

・その後、夫からの小言は悪化していき、同居生活に限界を感じて離婚を決意した。

・離婚を決意してから別居までには1年ほどかかってしまった。

・Cさんの夫のように執拗に小言を繰り返すモラハラ夫も案外多い。

・怒鳴りつけ等の分かりやすいモラハラでないと、別居を躊躇してしまう方もいるが、早めに決断した方が子の利益に叶うことが多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(2)】夫からの暴言に子供達がもう耐えられないと思ったケース

2026.01.12更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Bさん」の概況


①40代女性

②結婚10年

③お子様:小学校低学年のお子さんと保育園年長のお子さんの合計二名

④離婚を決意した後の別居先:夫側が全く知らない新天地

 

 

2.違和感を持ち始めたきっかけ


 子供たちは二人とも気が弱く、保育園や学校の集団生活で自分の意見などをキチンと言えるか不安は強かったようです(実際、登校や登園には大きな問題なし)。

 上の子が小学校に上がる前までの夫の声掛けは、激励なども多かったのですが、小学校に上がるあたりから、声掛けというよりは虐待のような暴言が増えていき、違和感を強めていったそうです。

 Bさんも気付いた時には夫を注意していたが、注意すると夫婦喧嘩に発展したり、夫は不貞腐れて自室にいなくなってしまい、一向に改善しなかったそうです。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 子供達の気が弱いところ、具体的には、自分のおもちゃを友達にとられても何も言えない、習い事で嫌なことがあると次回から欠席し、習い事の再開に時間がかかる、夜トイレに一人で行けないなど、は改善しなかったのですが、それを見るにつけて、モラハラ夫の暴言がエスカレートしていくため、子供たちはそれに怯えてしまい、余計に勇気を出せないように見えました。

 Bさんも、モラハラ夫が強く言うから、余計に子供達が怖がっていることを伝えたのですが、モラハラ夫は、このくらいで怖がっているようではダメだという言い方で、話は平行線でした。

 

 そんな状況が2年ほど続き、ある日上の子がBさんに対して謝ってきたそうです。特にその日上の子が怒られるようなことをしたわけではないのですが、「ボクが何にもできなくてパパを怒らせちゃってごめんなさい」と言ってきたそうです。

 涙を流しながら、このような発言をした上の子の様子があまりにも不憫で、Bさんは離婚を決意したそうです。

 Bさんがショックだったのは、上の子が自分の責任だと感じてしまっていることはもちろんなのですが、夫が発言している内容を上の子が真に受けてしまっていると強く感じたからでした。つまり、夫はよく、上の子が気弱な発言をすると「またそんなこと言ってんのか。俺をこれ以上怒らせんなよ」とか「俺を怒らせんのはお前が悪いんだからな」いった暴言を何度も繰り返していました。

 

 これ以上、上の子が自信を無くしていくことは耐えられないと思い、2か月ほどで別居の準備をして家を出ました。

 Bさんの実家の場所は、モラハラ夫も知っており、実家を別居先にすると、実家に迷惑がかかる可能性が高いと考えて、新天地で別居生活を始めました。

 

 

4.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Bさんの夫のモラハラタイプは、Bさんへの暴言というよりも、お子さんに向けての暴言がメインでした。より具体的には、①お子さん達がミスをしたり気弱なことをすると、大声で怒鳴りつける、②神経質なため、些細なことでも怒り始める、③一度スイッチが入ると「クズ」だとか(小学校の上の子に対して)「幼稚園生でもできる」などの人格否定の言葉もよく使うというものでした。

 Bさんも、モラハラ夫の暴言が始まると止めようとしていたのですが、暴言が始めると上の子も下の子も泣き始めてしまうため、Bさんも両方の子を同時に助けるということが難しく、対応に苦労していたということです。

 Bさんの方からモラハラ夫に対しては、子供たちへの怒り方が普通ではないので、心療内科などに受診して欲しいと頼んだそうなのですが、夫側は受診を拒否し続けて来たそうです。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)弱い攻撃対象を攻撃するというモラハラ夫は案外多い

 このBさんのケースもそうですが、妻に対してはあまり強く言わず、子供に対してだけ暴言を吐くというモラハラ夫は案外多いです。

 妻に暴言を吐いても、反論されてしまうため、反論などもできない子供達をターゲットにするのです。

 このBさんの夫に、私も直接会って話をしましたが、普通に話をする限りは、「気が弱そうな旦那さん」というイメージで、とても人格否定の暴言を吐くような人物には見えません。

ただ、このケースでは、Bさんがモラハラ夫のお子様達への暴言を録音しており、聞かせてもらいますと、かなりひどい内容の暴言が入っていました。

 

(2)お子さんの健全な成長のためには、早期別居もやむを得ない

 今回のBさんのケースもそうですが、お子様達が本来愛されるべき父親から虐待を受けると、人格形成に大きな悪影響を及ぼすと言われることが多いです。

 もちろん、躾の範囲で多少叱責するということは、この教育上やむを得ないものですが、今回のBさんのような場合には、明らかに度を越していて、上の子の発言を見ていても、Bさん同様、私もあまりにお子さんが不憫な気持ちになりました。

 このような場合には、お子様達が余計に自信を無くしてしまわないよう、早期別居もやむを得ないと思います。

 

 

6.顛末


 Bさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をしたのですが、話はかなり難航し、結局、離婚調停を起こして、最終解決までに別居から2年ほどかかりました。このケースは、お子さんとモラハラ夫との面会交流をどうするのかという点でかなり難航しまして、決着までにかなり時間がかかりました。

 

 

7.まとめ


・Bさんは、夫の子供たちへの激励が度を越し始めたことで違和感を感じたのがきっかけである。

・その後、夫からの暴言は悪化していき、上の子の発言をきっかけに離婚を決意した。

・離婚を決意してからは2か月ほどで別居の準備を済ませた。

・Bさんの夫のように弱い者(子供達)を攻撃のターゲットに選ぶモラハラ夫も多い。

・子への虐待が疑われるケースだと、早期別居もやむを得ないことが多い。

 

 

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・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(1)】友人の何気ない発言がきっかけになったケース

2026.01.05更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Aさん」の概況


①30代女性

②結婚4年

③お子様:なし

④離婚を決意した後の別居先:実家

 

 

2.違和感を持ち始めた最初のきっかけ


 Aさんが最初に違和感を持ち始めたのは、職場の元先輩の何気ない一言だったということです。

 話は少し遡りますが、Aさんは、久しぶりに友人とランチに行った際、友人から「あれっ?少し痩せた?」と言われたそうです。久しぶりに会ったので、雰囲気が少し違って見えたのかなと思い、Aさんは気にも留めませんでした。

 しかし、翌日、仕事の関係で、久しぶりに元先輩と話をする機会があり、その元先輩からも「少し痩せたんじゃない?」と全く同じようなことを言われました。

 2日続けて、同じようなことを言われたので、Aさんの中でも、ちょっとした違和感として認識するようになりました。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 前述のように痩せたと言われたAさんが実行したのは、もっと明るいメイクにした方が良いかもしれないということで、メイク方法をインターネットで調べたり、食生活の改善についてネット検索するといったことでした。

 そのようにして色々とネット検索をしていると、誤って他のサイトをクリックしてしまいました。

 そのサイトに出ていたのが、最近はモラハラで離婚になる夫婦が増加傾向にあるという記事でした。

 Aさんは、最初は、「うちに限って全く関係ない話」と思っており、「よそはどんな不幸な家庭があるのだろう?」という気持ちで興味本位で読み進めていくと、いくつも自身の夫が当てはまる項目が出てきてしまいました。

 Aさんは、すぐには受け入れられず、一旦はネット記事を閉じたと言います。

 

 数日後に、改めてモラハラについてネット検索すると、いくつものサイトで、自身の夫と似たような言動が書かれた事例が挙がってきました。Aさん自身が、モラハラ被害を受け続けてきたことを確信した瞬間でした。

 その後半年ほど、Aさんは、モラハラ夫との生活を続けましたが、精神的につらくなってしまい、離婚を決意して別居を開始しました。

 別居にあたって、実家の母親に相談してみると「いつも元気がないから、そんなことじゃないかと思った」と言われたということでした。友人や職場の元先輩の何気ない発言は、的を射た発言だったのです。

 

 

4.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Aさんの夫のモラハラタイプは①突然怒り始めるので、怒り始める理由が分からない、②一度スイッチが入ると話が30分でも1時間でも止まらないというものでした。

 Aさんは、どんなことでモラハラ夫のスイッチが入るのかはまだ分からないところがあったものの、スイッチが入った後の異変はすぐにわかるので、スイッチが入った後は、ともかく謝る、機嫌が直るまで夫の言うことに不満や異議は述べないようにする、という対応をしていたようです。

 このような対応を心がけていたため、最近は、モラハラ夫がキレ始めても、それほど話が長くなることはなかったそうです。

 ただ、これがモラハラなんだということに気付いた後は、心から謝れなくなったり、不満そうな顔をしてしまうこともあって、モラハラ夫の説教が長くなったり、怒鳴りつけられるという頻度が増えて、気持ち的にしんどくなったということでした。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)自分がモラハラ被害を受けているということに気付いていない奥様はかなり多い

 今回のAさんがそうですが、自分がモラハラ被害を受けていることに気付いていない奥様の数はかなり多いです。

 これはモラハラの構造的問題でもあるのですが、Aさんのように、モラハラ被害を受け続ける生活が「普通の生活」になってしまっているため、モラハラに気付けないことが多いのです。また、モラハラ夫は「自分の考えが絶対に正しい」と考えていることが多く、そのような相手と普通に会話をしていると「自分の方が間違っているのかも」と思ってしまう奥様が多いのです。

 そのため、実際には自分の心の中が擦り減ってしまったり、疲弊してしまっているのに、それがモラハラ夫のせいであるとか、モラハラ被害のせいであるということに気付けないのです。

 幸いAさんは。友人の何気ない発言で違和感を覚え、その後ミスタッチの結果ではありますが、モラハラという情報に辿り着きましたので、そのことで別居に進むことができて本当に良かったと思います。

 

(2)モラハラの悪循環がどんどん悪化してしまっているケースも同様に多い

 今回のAさんのケースが正に、モラハラの悪化のケースと言えますが、Aさんは、不機嫌な夫を前に、ひたすら謝る、夫の発言を受け入れるという対応を取ってしまっています。

 もちろん、そうすることで、夫の不機嫌な状態や不平不満を述べる時間を短縮することにはつながりますが、このような対応を取ると、夫は余計に増長し、状況は悪化の一途をたどってしまいます。

 Aさんのケースでも、これ以上夫のモラハラ言動が悪化する前に別居を開始できたからよかったものの、この状態が長引いてしまいますと、Aさんは心の病を患ってしまう恐れもありましたので、別居するタイミングとしてはギリギリの状態だったと言えます。

 

 

6.顛末


 Aさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をしたのですが、話は多少難航し、結局、離婚調停を起こして、最終解決までに別居から1年ほどかかりました。

 

 

7.まとめ


・Aさんは、友人からの何気ない「痩せた?」という話で少し違和感を感じたのが最初のきっかけである。

・その後、ネット記事などを読んで、自分がモラハラ被害者であると確信した。

・自分がモラハラ被害者だと気付いた後の生活は半年しか持たなかった。

・Aさんのように自分がモラハラ被害者だと気付いていない奥様も多い。

・Aさんのように謝って済ませてしまい、モラハラの悪循環に陥っているケースも多い。

 

 

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・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対に離婚できない(40)】夫婦同居調停って何だ?

2025.12.22更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.夫婦同居調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦同居調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦同居調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦同居調停とは、一般的には、夫婦が当人同士で話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦の同居に導くための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦同居調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦同居調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に別居を開始してしまったという場合に、夫婦の同居義務(民法752条)の遵守を求めていくという手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、夫婦・家族同居に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 ただ、こちらとしては夫婦同居を求めて調停を起こしても、相手が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、話し合いが決裂してしまうリスクはあります。

 

 

3.夫婦円満調停との違いは?


 私は、夫婦同居調停のことを聞かれた場合には、夫婦円満調停を、より強力にした調停ですよ、と説明することが多いのですが、大きな違いは以下の3点になります。

①夫婦円満調停だと、ひとまず当面は別居(すぐに同居までは求めない)という選択肢もあるが、夫婦同居調停はあくまで同居を求める手続きである

②相手の「同居義務違反」をより際立たせた手続である

③調停が不成立になった場合には、審判という手続きに移行する

 

 以下詳しく解説していきます。

(1)あくまで同居を求める手続きである

 夫婦関係円満調停ですと、相手の意向を考慮して、一旦暫くは別居状態を続けるという形の解決も選択肢の一つではあります。

 しかし、夫婦同居調停は、あくまで同居を求めていく調停なので、暫く別居ということは基本的に視野に入れていません。

 

(2)同居義務違反を際立たせている

 同居調停は、夫婦の間に同居義務があることを前提として、その同居義務を守らせようとするものですから、夫婦円満調停以上に「同居義務違反」を際立たせた手続と言えます。

 

(3)調停不成立になると審判手続きに移行する

 夫婦円満調停は話し合いが決裂すると、調停手続きは終了してしまい、「調停がなかった時の状態」に戻ります。

 これに対して、夫婦同居調停は、話し合いが決裂すると、調停手続きは審判手続きに移行し、裁判官が結論を出してくれます。

 

(4)弁護士としては、同居調停はあまりオススメしない

 前述の通り、同居調停は、結論を「同居一本」に絞っているため、あなたとしても強く同居を求める姿勢だという決意を示すことはできます。

 ただ、同居調停は、元々、相手の同居義務違反を「責める」ことを前提にしていますので、そのことで相手の心情を害するリスクがあります。

 また、相手が悪質な背信行為に及んでいるような場合は別ですが、そうでない場合、同居調停が審判移行しても、裁判官が「同居せよ」という結論を出すことは基本的にありません(そのため、審判移行前に裁判官の方から「調停を取り下げて欲しい」と打診されるのが一般的です)。

 

 

4.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)相手に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は事前に夫婦同居調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

 

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、相手が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦同居を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

 

 

5.調停委員ってどんな人?


 夫婦同居調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

6.夫婦同居調停ってどこで行うの?


 夫婦同居調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

7.夫婦同居調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

 

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

11.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

12.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

13.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦同居調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 

 

14.まとめ


・夫婦同居調停は、夫婦同居を目指す手続である。
・夫婦同居調停は、夫婦円満調停を強力にした手続と捉えると理解しやすい

・弁護士としては、夫婦同居調停はあまりオススメしない

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦同居調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦同居調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

 

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例1◆夫側の事例◆】婚姻費用分担調停と並行して協議し、夫婦円満で決着したケース

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対に離婚できない(39)】相手の方が有責なのにひどくないですか?

2025.12.08更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

  神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.「有責」とは?


 離婚問題における「有責」とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味します。

 私のところにご相談に来られる方の中には、「確かに口喧嘩になることは多かったけれども、いつも妻の方が挑発してきて口喧嘩になっていたので、妻の方が『有責配偶者』だと思います」とか、「お互い口をきかなくなって2年ほどが経ちますが、元はと言えば、夫がこちらを無視してきたことから始まったことなので、夫の方が悪いと思います」といったお話をなさることも多いです。

 ただ、前述の「有責」とは、「どちらかというと妻・夫の方が悪い」と言うだけでは不十分で、例えば、相手が浮気をしたとか、こちらに暴力をふるってきて怪我をさせられたといったような「背信行為」と言えるような事情があることを意味します。

 

 

2.まずは証拠の確認


 前述のように相手が有責と言えるためには、単に「どちらかというと相手の方が悪い」というのでは不十分で、浮気をしたとか暴力をふるってこちらに怪我をさせたというような重大な出来事が必要になります。

 ただ、このことに関して、裏付け証拠がないと、相手は、浮気や暴力を否定してくることが多いです。

 そのため、まずは、相手に有責性を突き付けられるだけの証拠がどのくらいあるのかを精査する作業が必要になります。ご自分では「十分な証拠があると言えるか分からない」という場合には、証拠を持参して弁護士に相談してみると、見込みが立てられると思います。

 なお、証拠の確認をしてみて、十分な証拠がないという場合には、残念ですが、あまり相手の有責性をクローズアップしない方が良いことが多いです。

 以下は、相手の有責性についての証拠があることを前提として解説していきます。

 

 

3.攻め方は大きく二つの方向性がある


 相手の有責性の証拠がある場合、攻め方には大きく二つの方向性があります。

 具体的には、相手の有責行為をしっかりと追及して責めていく攻め方と、自分にも至らないところはあったので、そこを反省するという攻め方の二つになります。

 以下で詳しく解説していきます。

 

(1)【攻め方①】相手の有責行為をしっかりと追及していく

 この攻め方は、要するに「悪いことをした方の人間が離婚したいなんて言うのは虫が良すぎる」とか「そんなに世の中は甘くないから、そんな身勝手なことは認めない」というような形で、相手を攻めて、離婚を防止するという進め方です。

 あなたは被害者の側なのですから、相手を攻めたいと思うのは当然の感情だと思いますので、そのような心情をストレートに反映した攻め方と言えます。

 

(2)【攻め方②】自分としても反省すべき点は反省していく

 前述の攻め方は、相手の方が悪いことをしているのですから、当然の進め方と言えばそうなのですが、違う視点で考えると、夫婦喧嘩になってしまうだけで、夫婦関係が修復に向かうのかというと難しいかもしれません。

 そのため、あなた自身にも一定の落ち度があったという場合に、そのことを反省しているといったことを伝えて、あくまで関係修復を目指すという攻め方が二つ目の攻め方になります。

 

(3)どちらの攻め方の方が良いか?

 結論から言いますと、どちらも一長一短ですので、以下のような要素も総合してあなた自身で決めてもらうしかありません。

①相手が普段から全く反省していないような場合

 そのような場合には、「攻め方①」の方が良いことが多いです。「攻め方②」の攻め方をしますと、相手は余計に図に乗ってしまい、仮に夫婦関係が修復したとしても、あなたは縮こまって生活しなければならず、それがあなたの幸せにつながるとは思えないからです。

 

②相手が普段はこのようなことはしない場合

 相手が普段はこのようなことはしないというような場合には、あまりそのことを責め立てると、相手はこちらへの不信感を強めかねません。そのため、「攻め方②」の方が良いケースが多いかと思います。

 

③あなた自身の「落ち度」の内容や程度にもよる

 例えば、最近夫が浮気をしたとしても、実は、7年ほど前にあなたの方が浮気をしたことがあって、その時はあなたが謝って旦那に許してもらったというような場合には、直近の夫の浮気ばかりを責め立てて良いのか、という問題があろうかと思います。

 他方、夫が言うように多少家事に不行き届きがあったとは言っても、暴力をふるわれるような落ち度ではないというような場合には、相手の暴力をしっかりと追及した方が良いかと思われます。

 

④お子さんの様子を考慮すべき場合もある

 例えば不倫といった問題は、お子さんの年齢からすると、あまり直接お子さんに伝えない方が良いという場合もあります(お子さんの健全な成長の妨げになってしまう場合も多いと思います)。

 そうしますと、お子さんにとっては全く事情が分からないところで、父親又は母親が出て行ってしまったということで混乱してしまっているというような場合もあると思います。

 そのような場合には、相手の有責行為をしっかりと責め立てて短期決戦を仕掛けるという場合もあり得ますし、逆に、相手を余計に刺激しないようにと言うことで、慎重に進めるという場合もあり得ると思います。

 

 以上は、今後の攻め方の参考事情でして、最終的には、「あなたがどうしたいのか」というお気持ちを一番大事にして進め方を決めた方が良いと思います。

 

 

4.相手が不倫をしている場合で、不倫相手が分かっている場合


 夫の不倫相手の女性が分かっている場合、その「不倫相手」を相手に慰謝料請求などのアクションを起こす場合もあります。

 この方法がうまく行けば、夫も不倫相手との関係が切れて夫婦関係が元に戻るということもあり得ます。

 ただ、この方法は余計に相手の反発を招いて夫婦関係が余計に悪化するというパターンもありますので、慎重に検討した方が良いことが多いです。

 

 

5.まとめ


・有責性とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味する。そのため、夫婦のどちらかというと相手の方が悪い、というようなケースは含まない。

・相手の有責を主張する場合、その裏付け証拠がどの程度あるのかをしっかりと確認する必要がある。

・有責の証拠がある場合の攻め方は、相手の有責行為をしっかりと追及していく攻め方と、そうではなく、あなた自身の反省点を反省していくという攻め方の大きく二つの攻め方がある。

・どちらの攻め方に寄るかは、最終的にはあなたの心情を持って決めるしかない

・不倫相手が誰なのか分かっている場合には、その不倫相手への慰謝料請求からスタートする場合もある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対に離婚できない(38)】どうしてお互いの言い分がこんなにも食い違うのでしょうか?

2025.12.01更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

  神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.離婚で争っている場合には、言い分が食い違うケースは非常に多い


 相手の弁護士の書面や離婚調停での相手の言い分など、離婚したい理由が示される場面はいくつかありますが、あなたの認識と大きく食い違っていることも多いです。

 実際に起きた過去の事実は同じなのに、夫婦の間でこれだけ言い分が食い違うのも奇異な話なのですが、実際に離婚調停などでは、「言い分が全く正反対」ということも多々あります。

 あなたとしては、「相手が嘘ばかりを言っている」と感じる事でしょうが、このように言い分が全く食い違うことにも理由や経緯があります。

 以下では、どうしてこのような言い分の食い違いが生じるのかについて、詳しく解説していきます。

 

 

2.相手の言い分が事実と異なる原因


 実際に私が担当した事件で、どうして言い分がここまで食い違うのか、その理由を探ってみましたので、詳しく解説していきます。

 

(1)【食い違う理由①】特に離婚したい理由に特化して言い分をまとめるから

 相手は離婚したい以上、離婚したい理由だけを述べて、離婚しなくても良い理由は一切述べません。そのため、例え夫婦生活の9割がた円満でも、残りの険悪なときの状況や場面、言動のみを切り取って、あの時こういった、あの時こうされた、という形で言い分をまとめてきますので、実態とは印象が大きく異なる言い分になるのです。

 

(2)【食い違う理由②】経緯や状況が異なっている

 最も分かりやすい例が、実際には夫婦喧嘩での言い合いなのに、相手は、自分の言葉を全てきり捨てて、あなたの酷い発言だけをピックアップして主張してくるケースです。

 夫婦ですので、時に口喧嘩になることもあると思いますし、その時には、きれいな言葉を発することなど難しいと思います。

 ただ、実際には売り言葉に買い言葉なのに、相手が、「自分がこう言われた」という言われた言葉だけを取り上げたらどうでしょうか。当然あなたの一方的な暴言のように捉えられてしまいます。

 これは極端な例ですが、これ以外にも、実際の経緯やシチュエーションが全く異なるということもあります。

 このようなことでお互いの言い分が全く異なるというケースもあります。

 

(3)【食い違う理由③】色々と調べるうちに記憶が混同してしまっている

 今は、インターネットで必要な情報を簡単に検索できる時代です。

 そのため、似たような境遇で困った経験がある人がいないかとか、似たような言動で苦しんできた人がいないかということで、インターネット上で検索すると様々な情報に接することが可能です。

 このように色々と調べている中で、「そういえば、私もこのように言われたことがあるかも」とか「よく思い出してみるとこのような発言に苦しめられていた気がする」などと記憶が混同して行ってしまうこともあるようです。

 

(4)【食い違う理由④】相手弁護士の表現方法の問題

 相手が弁護士を雇っている場合、離婚理由などについても、相手の弁護士が書面などをまとめて主張してきます。

 そうしますと、弁護士は、有利に立てるような事情などをピックアップ、強調して主張してきますので、実態と異なる書面が出来上がっていくというケースも多いです。

 例えば、何年も前の出来事とか、もうかなり前に夫婦の間では解決している問題であっても、それが、離婚にあたって有利になるような事情であれば、強調して主張してくるのです。

 

(5)【食い違う理由⑤】相手は離婚するために必死なので、一定範囲で虚偽や誇張を含んでしまう。

 相手は離婚したいという思いがあって弁護士を雇ったり、離婚調停を起こしているわけですから、有利に離婚を勧めようという心理が強く働きます。

 そのような中で、実際の過去の事実よりもオーバーに表現したり、過去の実際の事実に関連する事情などとして虚偽を織り交ぜてくるということも往々にしてあります。

 

 

3.嘘をついても罰せられないのか?


 離婚調停で問題になるのは、これまでの夫婦の関係性や出来事のことですから、相手が言っていることが事実なのか虚偽なのかは、あなた自身がよく分かっているということになります。

 そのため、相手の主張を見て、「こんなに嘘ばっかり言って良いんですか?」「何か罰せられたりしないんですか?」というご質問を受けることも多いです。

 しかしながら、法律上、離婚紛争中に相手が虚偽を述べたことをもって処罰するような規定等はありませんので、「処罰する法律はないんです」というご回答になります。

 そもそも、あなたの記憶としては、相手の言っていることが「全くの嘘だ」という場合でも、それを証明することは難しいことが多いです(それこそ録音でもしておかないと証明ができない)。

 

 

4.それでは「言ったもん勝ち」にならないか?


 上記の解説をご覧になった方の中には「それでは言ったもん勝ちじゃないのか?」とか「嘘をついた方が得をするようなもので、おかしくないか?」とお感じになったかもしれません。

 実際の離婚調停と離婚裁判でどのように取り扱われるのかについて以下で解説していきます。

 

(1)離婚調停の場合

 まず、離婚調停の場合、調停委員も、両当事者の意見が食い違うというケースをかなりの数扱っていますので、どちらが言っていることが正しいと断定的に決め付けるようなことは基本的にしません。

 そのため、相手が様々な主張をしても、調停委員はそれを鵜呑みにはしません。

 ただ、相手から裏付け証拠が提出された場合には、調停委員は、裏付け証拠の範囲で相手方の言い分を認めるということはあります。

 

(2)離婚裁判の場合

 離婚裁判の場合、より一層、裏付け証拠の有無、内容が重要視されます。

 何の裏付けもなく相手が主張していたとしても、裁判官は、その内容を信用することは基本的にありません。

 そのため、私の方からも、「離婚裁判は裏付け勝負になりますよ」とお話することが多いです。

 

 

5.安易な方針転換は禁物である


 もちろん、私は、あなたが夫婦関係の修復を希望する限り、全力でそれを応援します。

 ただ、相手が嘘ばかりついている様子を見て、「こんなことならもう離婚したい」という考えが頭をよぎってしまう方もいらっしゃいます。

 今後のことは、あなたの人生にとってとても大切な決断になりますので、もし多少離婚が頭をよぎったとしても、離婚に切り替えるかどうかは慎重に検討した方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・お互いの言い分が食い違う原因としては以下のようなものが考えられる。

  • 特に離婚したい理由に特化して事情をまとめているため
  • 経緯や状況が異なっている
  • 色々と調べているうちに記憶が混同してしまっている
  • 相手が雇った弁護士の表現方法の問題である
  • 離婚するために必死なので虚偽や誇張が含まれる

・調停などで虚偽を述べても、そのことを罰する法律はない

・調停でも裁判でも、裁判所側は相手の言い分をそのまま鵜呑みにはしないため「言ったもん勝ち」にはならない。

 

 

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