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【まとめサイト・パートⅡ】夫が突然監護者指定審判を申し立ててきたー記事総覧

2025.02.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

夫から突然監護者指定申立を受けたケースを想定して、詳細な分析記事を執筆してきたのですが、既に記事全体もかなりのボリュームに達しました。そのため、「一覧で秦弁護士のブログを読みたい」というご要望もございましたので、以下にまとめさせて頂きました。(記事数が多いため、第1弾から第40弾までをパートⅠ、第41弾以降をパートⅡに割り振りました)

まとめ記事パートⅠは以下のリンクからご覧下さい。

>>まとめ記事パートⅠ<<

 

㊶夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(41)ー夫側は「子供は妻に洗脳されている」と言い出しそうだが、大丈夫か?

㊷夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(42)ー最近夫の子どもへのご機嫌取りがすごかったが、大丈夫か?

㊸夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(43)ー子供の学校は転校した方が良いのか?

㊹夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(44)ーこちら(妻)の飲酒や喫煙を指摘してきそうだが、大丈夫か?

㊺夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(45)ー子供が「パパとママ3人で暮らしたい」と言いそうだが、大丈夫か?

㊻夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(46)ー子供に手をあげてしまったのだが、敗訴確定なのか?

㊼夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(47)ー手続き中どこまで普段の生活で神経を遣うべきか?

㊽夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(48)ー別居先が実家の場合、夫側にもその旨は伝えたほうが良いのか?

㊾夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(49)ー児童相談所との関わり方

㊿夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(50)ー警察との関わり方

51夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(51)ー旦那側は、裁判官から保全を取り下げるよう言われたようだが、有利な状況なのか?

52夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(52)ー職業は影響するか?

53夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(53)ー精神疾患はどこまで手続に影響するか?

54夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(54)ー最近夫は完全在宅勤務になっているが、こちらに不利になるのか?

55夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(55)ー夫による連れ去り事案なのでこちらに有利に働くか?

56夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(56)ー夫は同居中些細なことでも録音を録ったり証拠集めをしていたが大丈夫か?

57夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(57)ー夫側から「妻はひどい叱り方をする」と指摘されたが、大丈夫か?

58夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(58)ー保育園・幼稚園の連絡帳の位置付け

59夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(59)ー手続き中、子どもの友達付き合い等について注意すべき点はあるか?

60夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(60)ー夫側がやたら細かい事ばかり追求してきているが、どこまで対抗すべきなのか

61夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(61)ー子供の勉強は主に夫側が見ていたが夫に有利に働くか?

62夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(62)ー特に子供の遊びの面等では夫の方が熱心に対応していたという場合、夫に有利に働くか?

63夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(63)ー特に子供の習い事に関しては夫の方が熱心に対応していたという場合、夫に有利に働くか?

64夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(64)ー夫はどうして「離婚したくない」などと主張するのか?

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑯】皆さん別居直後の心境はどのような感じなのでしょうか?

2025.02.17更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さん別居直後の心境はどのような感じなのでしょうか?


 私が実際に担当したケースですと、やはり、別居直後は不安にお感じになっている方が多いです。一番のご不安は、別居先がモラハラ夫にバレてしまうのではないか、モラハラ夫がこっちに押し掛けてきてしまうのではないか、という不安になります。

 ただ、不安ばかりなのかと言いますと、「夫と一緒に生活していた際には、夫が帰宅時にドアを開けるだけで緊張感が走っていたが、今は、そのように緊張することも少なくなった」とか「同居中は、いつも夫にお伺いを立てながら生活していたが、その必要がなくなった」など負担の軽減を口になさる方も多いです。

 

 

3.お子さんの方が先に別居先の環境に馴染むケースも多い


 あなた自身のご不安もあるでしょうが、お子さんが別居先の環境に馴染めるのか、ということについても同様に不安かと思います。

 ただ、実際には、「新しい小学校にも早く馴染んでくれて、安心した」とか「数回保育園に行きたがらないことがあったが、慣れてしまうと、逆に『あまり早く迎えに来ないで』と言われてしまった」と言ったお話を聞くことも多いです。

 そのため、奥様の方からは「むしろ子供の方が私よりも新しい環境に慣れてしまって、驚いています」といったお話をお聞きすることも多いです。

 

 

4.皆さん別居直後の不安をどのように軽減しているのか?


 前述のように、別居直後は不安を抱えながら生活するという方が多いのですが、そのような中で不安をどのように軽減しているのかについて解説します。

 

(1)【不安軽減策①】実家に避難する

 モラハラ夫も、あなたの実家には頭が上がらないとか、目上の人間に対しては強く出ることができない、というような場合には、実家に避難することで、モラハラ夫が急に来てしまうことを防止するということもあります。

 特にお子様がいるような場合には、ご実家にも育児の一部を分担してもらうというメリットを述べられる方も多いです。

 

(2)【不安軽減策②】モラハラ夫が全く知らない新天地を別居先にする

 前述とは、逆で、元の自宅が実家と近い場合や、実家だろうとこちらの居場所が分かっているとモラハラ夫が来てしまいそうだというような場合には、モラハラ夫が全く知らない新天地を別居先にする場合もあります。

 夫もさすがに見当もつかないだろうということで、安心感を得られることもあります。

 

(3)【不安軽減策③】事前に警察に相談しておいて、何かあったときにはすぐ来てもらえるようにしておく

 夫がこちらの居場所を探し回りそうだとか、万が一来てしまった時にすぐに警察に来てもらえるようにしておいた方が良いというような場合には、別居前に、警察に相談しておくこともあります。

 事前に事情が分かっていると、警察にもすぐ臨場してもらえるので安心です。

 

(4)【不安軽減策④】区役所に継続して相談する

 最近では、区役所内で、女性被害のことを相談できる部署が配置されています。

 そのため、何か困ったことがあった際に気軽に相談できる場所として、予め区役所に相談しておくという方もいます。

 

(5)【不安軽減策⑤】信頼できる弁護士を雇う

 前述のように、別居直後は、モラハラ夫が来てしまうのではないかという不安を感じる方も多いので、別居と同時に弁護士に間に入ってもらうことを希望する方もいます。

 このようにすると、弁護士をモラハラ夫との交渉窓口にすることができますので、あなたが直接モラハラ夫と話をする必要がなくなります。

 

 

5.まとめ


・別居直後は不安もあるが、モラハラ夫と一緒に生活しなくて良いという「安心」を口にする方も多い。

・お子様の方が別居先の生活に馴染んでしまうということも多い。

・別居直後の不安軽減策としては以下のようなものがある。

 ①実家に避難する

 ②全くの新天地を別居先にする

 ③早めに警察に相談しておく

 ④区役所に相談しておく

 ⑤信頼できる弁護士を雇う

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑮】夫は、こちらの主張する離婚理由をどこまで理解するのでしょうか?

2025.02.03更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.できれば「謝罪して欲しい」というのが本心


 私のところに相談にいらっしゃる方の中にも、「同居中これだけのことをされたので、せめて最後に一言謝って欲しい」とおっしゃる方も多いです。

 モラハラの被害は長期にわたることも多いので、このように謝罪を希望するのも、当然の発想だと思います。

 ただ、法律上、相手に謝罪を要求できるのかと言いますと、厳密には、謝罪を要求することはできません。名誉棄損のように外部に向けてあなたの社会的地位を貶めるような言動をした場合(例えば、SNSなどであなたの名誉を害するような投稿などをした場合とか)は、法律上謝罪を求める権利が与えられることもあるのですが、そうでない場合、法律で明確に謝罪を要求する権利を定める規定はないのです。

 そのため、私の方からも「お気持ちは痛いほどよく分かりますが、相手に謝罪させる法律上の根拠がないので難しいんです」とご説明しています。

 

 

3.謝罪が無理でも、少しでもこちらの気持ちを理解してもらえないものか?


 前述のように謝罪が難しいとしても、少しでもこちらの気持ち・苦しみを理解して欲しいとおっしゃる方は多いです。

 特に、調停などが進んでいくと、こちらの方からモラハラ被害の全容を書面でまとめたり、または、何度か調停委員に対してモラハラ被害の状況を伝えていますので、「流石にこれだけ伝えれば、相手も理解はするだろう」と感じるのです。

 しかし、残念ながら、モラハラ夫の反応は、以下のように、とてもこちらの苦しみを理解しているとは思えない反応のことが多いです。

 ・言い合いの中でそのような発言をしてしまったことはあるが、言い合いの中でのことなのでお互い様である。

 ・妻は私のことが怖かったとか言っているが、実際には一緒に出掛けて楽しく過ごしていることの方が多かった。

 ・多少怒ってしまったことはあるが、原因があってのことなので、原因を作った妻の方が悪い。

 ・妻があまりに家事が苦手なので、注意はしたが、そんなキツイ言い方はしていない。

 ・妻が何度言っても基本的な家事すらもできないので、キツイ言い方をしないと改善しないと思ったので仕方がないことである。

 ・(ひどいケースだと)妻の言い分は全て言いがかりで、どうしてこんなことを言われないといけないのか分からない。

 ・(ひどいケースだと)妻は以前から記憶がすり替わったりすることもあったので、今の妻の言い分もすり替わりの結果である。

 

 

4.証拠を突き付けた時の反応は?


 例え、こちらからこのようなモラハラ被害を受けたと主張したとしても、モラハラの証拠がなければ、前述のように、モラハラ夫は、否定したり、お互い様と述べてくるとしても、証拠があった場合はどうなのでしょうか。

 証拠を提出した場合には、さすがにモラハラ夫も言い逃れができないとして、認める人もいますが、証拠があっても認めない人もいます。

 モラハラ夫がどのように言い逃れしてくるのかと言いますと、①俺ははめられた、録音には私だけがひどいことを言っているように記録されているが、その前に妻が散々挑発したからこうなったんだ、②妻は怪我をさせられたと言っているが、写真だけだと転んだ傷かもしれないし、私が暴力をふるった証拠にはならないといったことを言ってくる人もいるのです。

 

 

5.結局は早めに縁を切った方が良いという結論に至ることが多い


 前述のように、モラハラの証拠を突き付けても、モラハラ夫はモラハラを否定してくることさえあります。

 そのため、モラハラ夫に「モラハラを認めさせる」ということにこだわりますと、そのことだけで解決に時間がかかってしまうということも多いです。

 結局は、「モラハラ夫が理解することに期待はできないから、早く縁を切った方が良いかもしれませんね」とアドバイスさせて頂くことが非常に多いのが実情です。

 

 

6.まとめ


・法律上モラハラ夫に謝罪を要求することは難しい

・モラハラ夫が自身のモラハラを認めることは珍しい。

・モラハラの証拠を突き付けても、モラハラを否定するモラハラ夫もいる。

・結局は、早めに縁を切った方が良いという結論に至ることが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑭】Xデーまでの過ごし方

2025.01.27更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.Xデーまでの過ごし方


 Xデーつまり別居開始日までの過ごし方は、①別居についてモラハラ夫との合意を得ている場合と、②モラハラ夫に伝えず、もしくは、一度は反対された状態で別居する場合とで異なりますので、場合分けした上で解説していきます。

 なお、モラハラ夫のモラハラ等がひどい場合には、事前に何も伝えずに別居を始めることもやむを得ないとは思いますが、そうでない場合には、極力事前に夫側に話をすることを私は推奨しています。

 

 

3.【Xデーまでの過ごし方①】別居についてモラハラ夫側の同意を得ている場合


(1)モラハラ夫の気分が変わらないような配慮

 モラハラ夫は、意見が変わることも多いため、そのようにならない配慮が必要になることが多いです。

 具体的には、別居開始を早めることが可能なのでしたら、モラハラ夫の気が変わる前に別居を開始できると安心です。

 お子様の都合などで、別居開始を早めることが難しいという場合、モラハラ夫が意見を変えないよう必要以上に刺激しないよう注意する方が良いです。

 

(2)モラハラ夫の両親など説得してもらえる体制を確保しておく

 前述のように、モラハラ夫は、一度は別居に同意しても、時間が経つと意見を変えてくるリスクがあります。

 そのため、もし意見が変わっても、モラハラ夫の両親から説得してもらえるように予め準備しておくなどすると安心です。

 説得してくれる適任者がいないという場合には、この準備は難しいのですが、モラハラ夫の両親だけではなく、モラハラ夫の先輩や上司など、説得してくれそうな人物がいる場合には、予め話をしておくと安心です(ただ、モラハラ夫に事前に話をせずに先輩や上司に話をすると、余計にモラハラ夫が怒り始めることも多いので、進め方には慎重に留意してください)

 

(3)お子様への説明

 別居についてモラハラ夫の了解を得られている場合、お子様への説明についても、夫側と調整して話ができることが多いと思います。

 例えば、あなたの実家に別居するという場合には「おばあちゃんの体調があまり良くないから、一緒におばあちゃんを元気づけに行こうね」とか、夫側が一時自宅を離れるパターンの別居の場合「パパは暫くお仕事でおうちには帰れないからね」とかの説明をすることになります。

 

 

4.【Xデーまでの過ごし方②】別居についてモラハラ夫側の同意を得ていない場合


 「別居についてモラハラ夫側の同意を得ていない場合」というのは、そもそも別居のことを一言も伝えていないケースと、一旦別居の話をしたがモラハラ夫側から断られ、しばらくした後に再度話をせずに別居を実行するケースとがあります。

 

(1)絶対にこちらの動きを察知されないこと

 Xデーまでの過ごし方の中で一番重要になるのが、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることです。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

(2)親族・友人等の支援体制を整えること

 別居後にモラハラ夫が、あなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

(3)お子様への説明

 お子様のご年齢にもよりますが、お子様に別居のことを伝えると、お子様がモラハラ夫にそのことを話してしまうリスクがあります。

 そのようなリスクが高い場合には、別居直前までお子様には伝えられないというケースもあります。

 他方で、お子様自身がモラハラ夫と早く別居したいと考えているような場合には、お子様を安心させるために、多少早めに別居のことを伝えてしまうケースもあります。

 いずれにせよ、モラハラ夫側にこちらの別居計画が知られないように慎重にタイミングや伝え方を検討する必要があります。

 

(4)別居時の持ち物リスト

別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

(5)置き手紙の活用

 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

5.まとめ


・Xデー(別居開始日)までの過ごし方は、事前に夫の同意を得ているかそうでないかで異なる。

・事前にモラハラ夫の同意を得ている場合の過ごし方

  • モラハラ夫の気が変わらないように、可能な限り早く別居をスタートしてしまう
  • もしモラハラ夫の気が変わっても説得してくれる人に事情を話しておく
  • お子様への説明方法などを夫と相談して決める

・事前にモラハラ夫の同意を得ていない場合の過ごし方

  • モラハラ夫に別居計画が知られないように注意する
  • 親族や友人の支援体制を整えておく
  • お子様への説明のタイミングや説明方法を慎重に検討する
  • 慎重に持ち出す荷物の準備も進めておく
  • 置手紙の準備をしておく

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑬】皆さんXデーはいつ頃に設定しているのでしょうか?

2025.01.13更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さんXデー(別居開始日)をいつ頃に設定しているのでしょうか?


 私のところにご相談に来られる方を見ておりますと、Xデー(ここでは「モラハラ夫に別居などを切り出す日付」ではなく「別居開始日」という意味でXデーという言葉を使っています)について、大きく分けると2パターンがあります。

 一つ目は、既におおよそのXデーを決めてしまっているパターンがあります。

もう一つは、状況等に応じて決めるので、現時点ではいつになるのか定かではないというパターンです。

それぞれについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【パターン①】既におおよそのXデーを決めてしまっているパターン


 このパターンは、すでに私のところに相談に来る前に別居先も確保し、ほとんど準備が整っているという場合か、まだそこまで準備が整ってはいないものの、子どもの都合を考慮して既にXデーの目星をつけているパターンとがあります。

(1)ほとんど準備が整っているという場合

 既にほとんど準備が整っていますので、あとは準備の詰めをすればいつでも家を出られるというパターンです。

 この場合は、私に相談に来られてから、2週間とか1か月とか、あまり間を置かずにXデーが設定されていることが多いです。

 

(2)子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけている場合

 子供の都合を考慮して目星をつけている場合というのは、あと3か月もすれば、子どもが夏休みに入って動きやすくなるので、そのタイミングで別居を考えているとか、年度の途中で転校するよりは、年度の切り替えのタイミングで別居した方が良いということで、3月下旬とかに別居すると決めているようなパターンが多いです。

 あとは、今あなたが働いているパート先の都合や別居先でのパート先候補の都合などで、既に何か月後に別居を始めることを決めているというパターンもあります。

 

(3)実際には「ほとんど準備が整っているケース」と「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」のどちらの方が多いのか?

 私のところにご相談に来られる方は、「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」の方が多い印象です。

 と言いますのは、別居の準備にあたって私のところにご相談に来られる方は、これからの別居の準備にあたって不安や疑問を抱えている方が多く、しっかりと準備した上で別居を始めたいという方が多いからです。

 そのため、夏休みとか進級など、数か月間を空けて、十分な準備期間を確保しているという方が多いのです。

 

 

4.【パターン②】具体的目処を立てていないケース


 このケースで最も多いのは、「一旦モラハラ夫に直接話をしてみるので、その様子によっていつ頃になるのかがまだ見通せない」というパターンです。

モラハラ夫が完全に納得することはないだろうけれども、ある程度は納得させてから別居したいという場合などでは、何度か話し合いをしなければならないので、いつ頃になるのかが見通せないということです。

 あとは、財産分与も考慮した場合、夫側の財産の所在がまだ十分に分かっていないため、その確認などに一定の期間を要するということで、特に目処を設けずに準備するというパターンもあります。

 

 

5.弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しい。


 あなたとしては、モラハラ夫との別居を決意したのですから、あまり期間を置かずに家を出たいと考えると思います。

 ただ、一度別居してしまいますと、あなたの私物を取りに戻ろうとしても、妨害されてしまうということもありますし、モラハラの証拠を自宅に置いて出てしまいますと、取りに戻ることも難しいケースもあります。

 そのため、「早く別居したい」というお気持ちは分かりますが、「一度家を出てしまいますと、また戻って自宅内を確認するということは難しいので、慎重に準備しましょう」とお話させて頂くことが多いです。

 

 

6.まとめ


・Xデー(別居開始日)については、予め目処を立てている場合と目処を立てていない場合とがある。

・目処を立てている場合とは、既に予め準備がほぼ整っているとか、お子様の都合などで目星をつけている場合などが主なケースである。

・目処を立てていない場合とは、モラハラ夫側と話をしてみるので、その話の行く末によって状況が変わるかもしれないというのが主なケースである。

・弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しいという話をすることが多い。

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑫】別居先は遠方にするか近場にするか?

2025.01.06更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.別居先選び


 モラハラ夫との生活に強い恐怖感・不快感や倦怠感を持つようになった場合、別居や離婚が頭によぎるようになると思います。

 夫側に改善を要求したものの、一時的にしか改善されない、もしくは、改善すらされない、酷いケースですと、改善しないばかりか、これまでの被害が余計に悪化していくというケースすらあります。

 このような状況ですと、あなたは夫との生活を断念し、離婚の前提として別居を真剣に考えていくことになると思います。別居先の検討要素等について、以下の通り詳しく解説していきます。

 

 

3.別居先は近くがよいのか遠くがよいのか?


 別居といった場合にまず考えなければならないのは、別居先の問題だと思います。

 具体的な細かい場所はともかく、別居先選びにあたって大きな視点で、今の自宅の近くが良いのか、遠い場所の方が良いのかという点を検討する必要があります。

 

 別居先を近場とするのがよいのか遠隔地にするのがよいのかは、詳しくは、以下のような要素を総合して検討してみてください。

 

①同居中の夫の行動や言動等

 もちろん、同居中の夫からの暴力が日常的であったような場合には、できる限り遠隔地に転居した方が安全でしょうし、他方、夫のモラハラは無視が主体的であったという場合には、さほど遠隔地にまで転居しなくて良いかもしれません。

 夫の危険性とも言えますが、危険度の高低によって、別居先選択は大きく影響すると思います。

 また、モラハラ夫があなたにどのくらい執着しそうなのかによっても別居先選択の方向性は大きく影響します。この点は、同居中のあなたに対する監視や行動制限がどの程度のものだったのかによって見極めることができます。

 

②経済的問題

 仮に、夫の側から婚姻費用として生活費をもらうことを意図していたとしても、残念ながら、DV・モラハラ夫から生活費を回収するためには時間がかかってしまうこともあります。

 そのため、あなた自身の現在の収入に不安がある場合には、まずは実家に避難して、経済的な不利をカバーするというケースも多くあります。

 いずれにしましても、経済面は、今後のあなたの生活にとって非常に重要な要素なので、今後のあなたの生活が経済的に立ちゆかなくならないよう慎重に別居先を選ぶ必要があります。

 

③お子様の意見や教育面

 お子様が小学校高学年以上になると、小学校での友人が重要な存在になるというケースも多くあります。また、離婚や別居でただでさえお子様に心理的影響を与えるので、せめて教育環境は変化させたくないと考えることは、あり得ることかと思います。同じ学区内で引っ越すとなるとどうしても近場に引っ越す形になってしまうと思います。

 そのため、お子様の意見や教育面も、別居先選びの検討要素になります。

 ただ、最初は転校を嫌がっていたけれども、実際転校してみるとスムーズに馴染むことができたということも多いようです。

 

 

4.実際皆さんは近場と遠隔地どっちに転居したのか?


 私が担当している事件を見ておりますと、比較的自宅近くに別居した方もいれば遠隔地に別居した方もいます。別居先をどのように決めたのかについては、色々なご意見がありましたので、以下で説明を交えながら、詳しくご紹介いたします。

 

(1)夫が暴力を振るうので、シェルターに避難した。

 夫がモラハラにとどまらず、直接あなたに対して暴力を振るうようなケースですと、あなたの居場所が知られることそのものが身の危険を生じさせることになります。

 シェルターに避難することができれば、あなたが住んでいる場所を知られるリスクはほとんどなくなりますので、夫が暴力を振るうようなケースでは、シェルターに避難するケースも多いです。なお、シェルターにいられる期間は限られていますので、その方は、シェルター退所後は母子寮に転居して暮らしています。

 

(2)夫が暴力を振るうので、遠隔地を別居先にした。

 様々な事情からシェルターでの生活を選択しなかった場合や、一時はシェルターに避難した場合でも、通常シェルターにいられる期間は限られていますので、その後に、全く夫が知らない場所に引っ越す(前述の母子寮だけでなく、都営住宅等に転居なさる方などもいます)というケースなどです。

 夫が暴力を振るうようなケースでは、前述同様相手にこちらの居場所を知られないようにする必要がありますので、夫が居場所を探っても分からない場所に別居するのです。

 夫に居場所を推測されないようにする必要がありますので、あなたの実家や親戚の家の近く等は避けることが多いです。

 

(3)夫が暴力を振るうので、遠くの親戚の家に仮住まいさせてもらうことにした。

 これまでの説明同様夫が暴力を振るうため、どこか遠くに別居する必要があるけれども、通常の借家だと家賃が高いという場合などに、遠くの親戚の家に住まわせてもらうということもあります。

 ただ、親戚の家の所在を夫が知っていては避難の意味がありませんので、例えば、親戚名義の建物だけれども、親戚本人は住んでいないし、夫にも所在が発覚していない場所に避難するケースなどです。

 

(4)経済的な問題もあって実家に戻ることにした。

 別居を決断したけれどもすぐにしっかりとした収入を得ていくことが難しいとか、小さいお子さんがいらっしゃって実家の協力が必要だということで、実家に避難するケースです。これらの事情がある場合には、実家への避難が最有力候補になることも多いと思います。

 

 ただ、実家に避難する場合、モラハラ・DV夫に居場所を把握されるリスクが非常に高いので、以下のような要素を総合的に検討して判断するのがよいと思います。

(メリット1)家賃負担を軽減でき、経済的負担を抑えることができる。

(メリット2)お子様がいる場合など実家の協力が期待できる。

(メリット3)モラハラ・DV夫も、こちらの実家には頭が上がらないので、実家にいることで安全性が増す。

(デメリット1)居場所がバレやすく、玄関先で騒がれるケースなどもある。

(デメリット2)元々実家との折り合いがあまり良くないと、家庭内がぎくしゃくするリスクがある。

(デメリット3)お子様の通学先や通園先の当たりがつけやすくなるため、通学途中や通園途中の連れ去りのリスクが生じる。

 

(5)子どもを夫に会わせる手間等も考え、それほど遠くない場所に引っ越した。

 夫が直接の暴力を振るうわけではなく、また普段はほとんど暴言等を発しないというような場合には、自宅近くに引っ越すというケースもあります。

 夫が子どもを可愛がっており、子どもも懐いているという場合、無理に引き離すことはあまり望ましくありませんし、夫と子どもとの関係が良好であれば、円満な離婚につながる可能性もあるので、自宅近くに転居するのです。

 このような場合、引っ越し先が近距離なため、夫が頻繁に引っ越し先まで来て入り浸ると言ったケースが生じやすいため、こちらの離婚意思や別居意思をしっかり伝えておくなどして、半同居状態のような格好にならないよう注意が必要です。

 

 また、夫が普段から暴言ばかりではないとしても、感情的になるとどのような行動に出るか分からないという場合には、例えば、①まずは、2週間程度実家に転居して様子を見て、②ほとぼりが冷めた頃に自宅近くの別居先に避難し、そこで生活を落ち着かせるという方法を取ることもあります。このような場合には、①の別居開始の時点で早めに弁護士から夫宛に通知を送り、夫が感情的な行動に出ないよう予め牽制しておくという方法を取ることも多くあります。

 

(6)子どもの学校を転校したくなかったので自宅近くに住むことにした。

 このケースも、夫が直接の暴力を振るうわけではなく、また普段はほとんど暴言等を発しないというような場合が想定されます。

 特にお子さんが小学校高学年で、ほとんどの同級生が同じ公立中学校に進学するといった環境ですと、お子さんの教育環境に配慮して、学区が変わらない範囲で転居すると言うことです。

 なお、学校と習い事いずれが重要なのかを見極めて検討する必要があるケースもあります。何を言っているのかと言いますと、例えば、学校に馴染んでいるというよりも、実際には、同じサッカークラブの友人と仲が良いという場合、①そのサッカークラブに通い続ける前提で近場に転居するという選択肢もありますが、他方で、②サッカークラブ等ですと、モラハラ夫が見学や観戦に来てしまうリスクが高いということを考慮して、敢えて遠隔地に転居するという選択肢もあるのです。

 

 もちろん、お子さんの教育環境は重要ですが、お子さん自身は夫との接触を強く嫌がっているといった場合には、あまり住居が近いと、夫から面会交流を頻繁に求められるリスクも高くなりますので、そのようなリスクも考慮しながら引っ越し先を検討する必要があります。

 

 

5.まとめ


・別居先選びの検討要素として重要なものは①夫の同居中のDVやモラハラの状況・程度、②あなたの今後の経済面、③お子様の意見や教育面といった点になる。

・モラハラ・DVの案件では、別居先として以下のようなところが選ばれている。

 ①シェルター

 ②遠隔地の親戚の家(夫に居場所が全く判明していない場所)

 ③実家

 ④自宅近くの賃貸マンションを借りた

 

 

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【絶対に離婚したくない(40)】夫婦同居調停ってなんだ?

2024.12.30更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.夫婦同居調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦同居調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦同居調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦同居調停とは、一般的には、夫婦が当人同士で話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦の同居に導くための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦同居調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦同居調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に別居を開始してしまったという場合に、夫婦の同居義務(民法752条)の遵守を求めていくという手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、夫婦・家族同居に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 ただ、こちらとしては夫婦同居を求めて調停を起こしても、相手が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、話し合いが決裂してしまうリスクはあります。

 

 

3.夫婦円満調停との違いは?


 私は、夫婦同居調停のことを聞かれた場合には、夫婦円満調停を、より強力にした調停ですよ、と説明することが多いのですが、大きな違いは以下の3点になります。

①夫婦円満調停だと、ひとまず当面は別居(すぐに同居までは求めない)という選択肢もあるが、夫婦同居調停はあくまで同居を求める手続きである

②相手の「同居義務違反」をより際立たせた手続である

③調停が不成立になった場合には、審判という手続きに移行する

 

 以下詳しく解説していきます。

(1)あくまで同居を求める手続きである

 夫婦関係円満調停ですと、相手の意向を考慮して、一旦暫くは別居状態を続けるという形の解決も選択肢の一つではあります。

 しかし、夫婦同居調停は、あくまで同居を求めていく調停なので、暫く別居ということは基本的に視野に入れていません。

 

(2)同居義務違反を際立たせている

 同居調停は、夫婦の間に同居義務があることを前提として、その同居義務を守らせようとするものですから、夫婦円満調停以上に「同居義務違反」を際立たせた手続と言えます。

 

(3)調停不成立になると審判手続きに移行する

 夫婦円満調停は話し合いが決裂すると、調停手続きは終了してしまい、「調停がなかった時の状態」に戻ります。

 これに対して、夫婦同居調停は、話し合いが決裂すると、調停手続きは審判手続きに移行し、裁判官が結論を出してくれます。

 

(4)弁護士としては、同居調停はあまりオススメしない

 前述の通り、同居調停は、結論を「同居一本」に絞っているため、あなたとしても強く同居を求める姿勢だという決意を示すことはできます。

 ただ、同居調停は、元々、相手の同居義務違反を「責める」ことを前提にしていますので、そのことで相手の心情を害するリスクがあります。

 また、相手が悪質な背信行為に及んでいるような場合は別ですが、そうでない場合、同居調停が審判移行しても、裁判官が「同居せよ」という結論を出すことは基本的にありません(そのため、審判移行前に裁判官の方から「調停を取り下げて欲しい」と打診されるのが一般的です)。

 

 

4.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)相手に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は事前に夫婦同居調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

 

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、相手が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦同居を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

 

 

5.調停委員ってどんな人?


 夫婦同居調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

6.夫婦同居調停ってどこで行うの?


 夫婦同居調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

7.夫婦同居調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

 

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

11.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

12.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

13.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦同居調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 

 

14.まとめ


・夫婦同居調停は、夫婦同居を目指す手続である。
・夫婦同居調停は、夫婦円満調停を強力にした手続と捉えると理解しやすい

・弁護士としては、夫婦同居調停はあまりオススメしない

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦同居調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦同居調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑪】別居準備はどのような点に注意しているのでしょうか?

2024.12.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

以下では、このようなモラハラ夫と別居するにあたって検討すべき事項11項目について解説していきます。

 

 

2.【検討項目①】事前に夫に相談した方が良いか?


 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような仕打ちを受けるか分からないと言うことで、悩まれている方も多くいます。

 基本的に、これまでにもあなたへの誹謗中傷等がひどく、別居を相談すると、さらにどんな誹謗中傷を受けるか分からないといった場合には、事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしない方が良いと思います。また、夫からの度重なる暴言であなたが精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。

 他方で、そこまで極端な被害はないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、きちんとした離婚の理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。

 

 

3.【検討項目②】絶対にこちらの動きを察知されないこと


 事前に夫側に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることが非常に重要になります。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

 

4.【検討項目③】親族・友人等の支援体制を整えること


 特に夫側に事前に告げずに別居を開始した場合、夫があなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

 

5.【検討項目④】置き手紙の活用


 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

6.【検討項目⑤】捜索拒否願の提出・警察への事前相談


 これはケースにもよると思いますが、突如別居を開始すると、夫側が大騒ぎをしかねないという場合には、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出することも検討して下さい。

 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、夫側が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。
 なお、警察署によっては、捜索願が出る前の捜索拒否願の受付はしていない、とか、捜索願が出ても旦那さん側にあなたの住所は教えないから、拒否願は出さないで大丈夫だと指導を受けることもあります。そのような場合には警察の指導に従う形で結構かと思います。
 また、夫側があなたの職場を知っていて付きまとい行為をする可能性があるとか、子供の学校を知っていて子供を尾行してきそうだといったケースの場合には、捜索拒否願ではなく、警察署の生活安全課に事前に相談をし、別居時に警察から夫側に電話連絡をしてもらうよう依頼するとか、実際に付きまとい行為が始まった場合には注意・警告をしてもらうということもあります(なお、別居時の電話連絡は、応じてくれる警察署と応じてくれない警察署があります)。

 

 

7.【検討項目⑥】別居のタイミングの見極め


 お子様が小学校に通っているというような場合には、夏休みの時期が最もお子様の休みが長く動きやすいというケースも多いと思います。実際にも夏休みの別居に備えて事前に準備を進めているという方も多くみられます。
 ただ、児童虐待の内容が悪化していて夏休みまで待つことができないということもあると思いますので、別居のタイミングは、①事前の準備がどこまで整っているか、②お子様の長期休みなど身動きがとりやすいタイミングがいつか、③児童虐待がどこまで悪化してしまっているのか、といった点を総合して検討すべきかと思います。

 

 

8.【検討項目⑦】住民票の移動は慎重に


 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動しておいた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと夫側に居場所を知られる危険性が生じます。

 夫が同居中暴力をふるってきていたといったような場合、その被害者として役所に申請を提出しておけば、夫側があなたの住民票を入手することはできなくなりますが(これを「支援措置」と言ったりします)、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。

 

 

9.【検討項目⑧】健康保険の件


 あなたやお子様の健康保険が、旦那様の健康保険の被扶養者になっている場合、あなたやお子様が病院にかかると、その情報が旦那様側に通知されます(これは1か月ごとであったり、1年でまとめて通知されたり、健康保険組合によって取り扱いが異なるようです)。
 そのため、今後もその健康保険証を使い続ける場合には、病院にかかる場合には極力別居先付近の病院ではなく、元の自宅付近の病院に通うようにするなどの配慮が必要です。
 なお、同居中から、あなた自身が独自に健康保険に加入していて(要するにあなた自身に相当額の収入があって、勤務先の健康保険に加入しているということ)、お子様の健康保険もその保険に入れたいというケースもあるかもしれませんが、通常は夫側の協力が必要であったり、健康保険組合によっては正式に離婚が成立しない限り被扶養者資格の喪失が認められないということもあります。

 

 

10.【検討項目⑨】お子様の携帯電話


 お子様の利用する携帯電話に位置情報機能が付いており、そのことを失念したままお子さまの携帯電話をもって別居先に転居してしまいますと、当然、位置情報から、夫側がこちらの居場所を知ってしまうケースもあります。
 位置情報機能は解除したつもりでも、夫側の遠隔操作で再設定できるということもあるようですので、この点は細心の注意が必要です。
 そのため、可能な限り、お子様の携帯電話は自宅に置いて別居するとより安全です(お子様の携帯電話の中に、夫側に知られたくない情報が入っている場合にはその消去やデータ初期化も必要です)。

 

 

11.【検討項目⑩】必要に応じて、早めに弁護士に相談する


別居の手順等について悩むような点がある場合には、弁護士を雇うかどうかは別として、直接質問すべく相談することをオススメしています。

このブログでかなり詳しめに解説いたしましたが、ご家庭の状況は皆さま異なると思いますので、ご家庭の状況に応じた疑問点等もあると思いますから、そのような点は直接質問することで初めて解消できると思うからです。

 

 

12.【検討項目⑪】別居時の持ち物リスト


別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

13.まとめ


○事前に夫側に別居する旨を相談した方が良いかはケースによる。
○別居準備は絶対に夫側に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○ケースによっては、警察には捜索拒否願を提出したり、付きまとい防止のために相談しておいた方が良い。
○別居タイミングについては、お子様の長期休みを一つの目安として、児童虐待の悪化の程度も見極めながら判断した方が良い。
○住民票の移動は、時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○健康保険が旦那側の健康保険の被扶養者になっている場合には、別居後の受診には注意が必要である。
○お子様の携帯電話(位置情報の検索ができるもの)については、自宅に置いて別居したほうが良い。
○別居の方法等で悩むようなことがあるなら、早めに弁護士に相談だけでもしておいた方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑫】別居先は遠方にするか近場にするか?

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑩】別居や離婚話を切り出したときの夫側の反応は?

2024.12.16更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 以下では、あなた自身がモラハラ夫に対して別居や離婚の話を切り出したときにモラハラ夫がどのように反応することが多いのかについて解説していきます。なお、実際に別れ話を切り出してみると、こちらが予測していたのとは異なる反応を示すこともありますので、予め心の準備をしておくという意味でも参考にして頂けるとありがたいです。

 

2.【ケース1】モラハラ夫が全く真剣に受け取ってくれない


 私が事件を担当していて、モラハラ夫の反応として一番多いと思われるのが、真剣に受け取らないという反応です。
 特に、あなたが専業主婦であったり、パート勤務で収入が少ないような場合には、「離婚しても自分の収入だけで生活できるはずがない」などと考えるモラハラ夫が多いようです。
 また、これは別れ話のタイミングにもよるのですが、夫婦喧嘩の際などに、別れる旨を話した場合には、モラハラ夫は、こちらが一時的な感情で離婚や別居を口にしたと誤解しているケースも多いです。
 このようにモラハラ夫が真剣に受け取らないという場合には、真剣に受け取るような伝え方をしていくのが良いと思います。例えば、お互いの両親を交えた大家族会議のような形式をとるとか、具体的な別居開始日を決定してしまって話をするとか、もしくは、別居開始後に改めて話をするといった方法が考えられます。

 

 

3.【ケース2】モラハラ夫が急に神妙になる・謝ってくる


 モラハラ夫は、家庭内ではモラハラ発言等ばっかりであっても、家庭の外では、まるで別人のように社交的にふるまうというような人物も多いです。そのようなモラハラ夫の共通点としては、「自分がどのように行動すると自分に有利になるのか」と言ったことを計算できるということです。
 そのため、あなたが真剣に別居や離婚のことを伝えると、一旦はあなたを落ち着かせたほうが良いと考え、モラハラ夫は神妙になったり、急に謝ってくるのです。

 

 このような場合によく質問を受けるのが「今は神妙にしているけれども、演技なので長続きしませんよね?」といったご質問です。
 私は実際にあなたの夫に直接会ったことも直接話したこともないため確証をもってお話しできないのですが、「これまでのモラハラ行為の重症度に応じて推測するしかありません」とお答えすることが多いです。これまでのモラハラの重症度が重い場合には、残念ながら、今は神妙にしていても長続きしなかったり、モラハラ行為が再燃する確率が高いと言えますし、逆に、これまでのモラハラの重症度がそこまで重くない場合には、モラハラ行為が再燃する確率は高くはないかもしれません。

 

 実際に私が担当したケースですと、反省が長続きしないケースだと「数日で元に戻ってしまった」というケースもあります。

 なお、モラハラ夫がこれまで一度も謝ったことがなかったような場合には、今回初めてモラハラ夫が謝ってきたことであなたも嬉しくなってしまい、安心してしまうということもありますが、残念ながらそれが演技の可能性もありますので、今後も多少なりとも用心しながら生活したほうが良いと思います。

 

 

4.【ケース3】モラハラ夫が猛反発してくる


 重症のモラハラ夫でよくあるケースですが、あなたが真剣に別れ話をしたことで、猛反発してくるケースです。
 そもそも、モラハラ行為をする人間は、自分が悪いことをしていないと考えている人が多いです。「あなたが俺を怒らせるのが悪い」「怒らせる原因を作ったのはあなただ」「あなたの家事があまりに不十分なので注意しただけで、感謝されても責められる謂れがない」といった発想です。
 このようにモラハラ夫としては何も悪いことをしていないと考えていますので、突如あなたから離婚や別居を突き付けられて、信じられない思いや、もっと家族円満にできるようあなたの方が努力すべきだなどと強く反発してくるのです。

 このような場合、あなた一人でこれ以上別れ話を進展させていくことは難しいですし、あなたのモラハラ被害が拡大していくだけなので、他の親族の協力を得るなど話の持って行き方や、離婚に向けての手順等をしっかりと検討していったほうが良いと思います。

 

 

5.【ケース4】表面的に波風を立てないようにしつつ離婚準備を始める


 表面的にモラハラ夫側の動きが見えにくくなるので、一番油断がならないケースです(ただ、私が実際に担当した事件でも、このように対応するモラハラ夫はごく少数です)。

 例えば、①表面的にはこちらへの圧が大きく軽減されたが、子供への関わりが非常に積極的になったケース(最悪離婚になっても、新件を獲得すべく準備しているケース)、②表面的にはモラハラ発言等が大きく減ったが、預金をインターネットバンキングに変更したり、これまで置いてあった共用スペースから勝手に移動し始めた(最悪離婚になっても、財産分与でなるべくお金を渡したくないので、財産隠ぺいを目論んでいるケース)といったものが考えられます。
 モラハラ夫はこちらの予想以上に計画的に準備を開始している可能性もありますので、十分用心する必要があります。

 

 

6.上記のケースはあくまで代表例であること


 上記で詳しく解説したケースはこれまで私が直接担当した事件での実際の事例なのですが、あくまで代表的なものに過ぎません。
 そのため、前述のケースの枠に入らない反応を示すケースもあると思います。
 また、前述のケースは、必ずしも、どれか一つのみが当てはまるということではありません。複数が当てはまるというケースも往々にしてありますので、この点も留意が必要です。

 

 

7.まとめ


・奥様が直接モラハラ夫に別れ話などを切り出したときの夫側の反応としては以下のようなものがある。
 ①全く真剣に受け止めない
 ②急に神妙になる・謝罪してくる
 ③猛反発してくる
 ④表面的には波風を立てないようにしつつ離婚準備を進める
・これらはあくまで代表例なので、違うケースもあり得るし、複合的なケースもあり得る。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(39)】相手の方が有責なのにひどくないですか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

>>絶対に離婚したくない方のためのお役立ち情報満載!夫婦関係修復まとめサイトはこちら!<<

 

1.「有責」とは?


 離婚問題における「有責」とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味します。

 私のところにご相談に来られる方の中には、「確かに口喧嘩になることは多かったけれども、いつも妻の方が挑発してきて口喧嘩になっていたので、妻の方が『有責配偶者』だと思います」とか、「お互い口をきかなくなって2年ほどが経ちますが、元はと言えば、夫がこちらを無視してきたことから始まったことなので、夫の方が悪いと思います」といったお話をなさることも多いです。

 ただ、前述の「有責」とは、「どちらかというと妻・夫の方が悪い」と言うだけでは不十分で、例えば、相手が浮気をしたとか、こちらに暴力をふるってきて怪我をさせられたといったような「背信行為」と言えるような事情があることを意味します。

 

 

2.まずは証拠の確認


 前述のように相手が有責と言えるためには、単に「どちらかというと相手の方が悪い」というのでは不十分で、浮気をしたとか暴力をふるってこちらに怪我をさせたというような重大な出来事が必要になります。

 ただ、このことに関して、裏付け証拠がないと、相手は、浮気や暴力を否定してくることが多いです。

 そのため、まずは、相手に有責性を突き付けられるだけの証拠がどのくらいあるのかを精査する作業が必要になります。ご自分では「十分な証拠があると言えるか分からない」という場合には、証拠を持参して弁護士に相談してみると、見込みが立てられると思います。

 なお、証拠の確認をしてみて、十分な証拠がないという場合には、残念ですが、あまり相手の有責性をクローズアップしない方が良いことが多いです。

 以下は、相手の有責性についての証拠があることを前提として解説していきます。

 

 

3.攻め方は大きく二つの方向性がある


 相手の有責性の証拠がある場合、攻め方には大きく二つの方向性があります。

 具体的には、相手の有責行為をしっかりと追及して責めていく攻め方と、自分にも至らないところはあったので、そこを反省するという攻め方の二つになります。

 以下で詳しく解説していきます。

 

(1)【攻め方①】相手の有責行為をしっかりと追及していく

 この攻め方は、要するに「悪いことをした方の人間が離婚したいなんて言うのは虫が良すぎる」とか「そんなに世の中は甘くないから、そんな身勝手なことは認めない」というような形で、相手を攻めて、離婚を防止するという進め方です。

 あなたは被害者の側なのですから、相手を攻めたいと思うのは当然の感情だと思いますので、そのような心情をストレートに反映した攻め方と言えます。

 

(2)【攻め方②】自分としても反省すべき点は反省していく

 前述の攻め方は、相手の方が悪いことをしているのですから、当然の進め方と言えばそうなのですが、違う視点で考えると、夫婦喧嘩になってしまうだけで、夫婦関係が修復に向かうのかというと難しいかもしれません。

 そのため、あなた自身にも一定の落ち度があったという場合に、そのことを反省しているといったことを伝えて、あくまで関係修復を目指すという攻め方が二つ目の攻め方になります。

 

(3)どちらの攻め方の方が良いか?

 結論から言いますと、どちらも一長一短ですので、以下のような要素も総合してあなた自身で決めてもらうしかありません。

①相手が普段から全く反省していないような場合

 そのような場合には、「攻め方①」の方が良いことが多いです。「攻め方②」の攻め方をしますと、相手は余計に図に乗ってしまい、仮に夫婦関係が修復したとしても、あなたは縮こまって生活しなければならず、それがあなたの幸せにつながるとは思えないからです。

 

②相手が普段はこのようなことはしない場合

 相手が普段はこのようなことはしないというような場合には、あまりそのことを責め立てると、相手はこちらへの不信感を強めかねません。そのため、「攻め方②」の方が良いケースが多いかと思います。

 

③あなた自身の「落ち度」の内容や程度にもよる

 例えば、最近夫が浮気をしたとしても、実は、7年ほど前にあなたの方が浮気をしたことがあって、その時はあなたが謝って旦那に許してもらったというような場合には、直近の夫の浮気ばかりを責め立てて良いのか、という問題があろうかと思います。

 他方、夫が言うように多少家事に不行き届きがあったとは言っても、暴力をふるわれるような落ち度ではないというような場合には、相手の暴力をしっかりと追及した方が良いかと思われます。

 

④お子さんの様子を考慮すべき場合もある

 例えば不倫といった問題は、お子さんの年齢からすると、あまり直接お子さんに伝えない方が良いという場合もあります(お子さんの健全な成長の妨げになってしまう場合も多いと思います)。

 そうしますと、お子さんにとっては全く事情が分からないところで、父親又は母親が出て行ってしまったということで混乱してしまっているというような場合もあると思います。

 そのような場合には、相手の有責行為をしっかりと責め立てて短期決戦を仕掛けるという場合もあり得ますし、逆に、相手を余計に刺激しないようにと言うことで、慎重に進めるという場合もあり得ると思います。

 

 以上は、今後の攻め方の参考事情でして、最終的には、「あなたがどうしたいのか」というお気持ちを一番大事にして進め方を決めた方が良いと思います。

 

 

4.相手が不倫をしている場合で、不倫相手が分かっている場合


 夫の不倫相手の女性、もしくは、妻の不倫相手の男性が分かっている場合、その「不倫相手」を相手に慰謝料請求などのアクションを起こす場合もあります。

 この方法がうまく行けば、夫または妻も不倫相手との関係が切れて夫婦関係が元に戻るということもあり得ます。

 ただ、この方法は余計に相手の反発を招いて夫婦関係が余計に悪化するというパターンもありますので、慎重に検討した方が良いことが多いです。

 

 

5.まとめ


・有責性とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味する。そのため、夫婦のどちらかというと相手の方が悪い、というようなケースは含まない。

・相手の有責を主張する場合、その裏付け証拠がどの程度あるのかをしっかりと確認する必要がある。

・有責の証拠がある場合の攻め方は、相手の有責行為をしっかりと追及していく攻め方と、そうではなく、あなた自身の反省点を反省していくという攻め方の大きく二つの攻め方がある。

・どちらの攻め方に寄るかは、最終的にはあなたの心情を持って決めるしかない

・不倫相手が誰なのか分かっている場合には、その不倫相手への慰謝料請求からスタートする場合もある。

 

 

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>【弁護士秦の夫婦関係修復事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

 

 

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