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「離婚協議書を作ろう」と言ったら「信用していないのか?」と言われた…どう対処すべきか

2017.05.15更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.相手が書面化に難色を示した場合どうすべきか


 

 上記の通り離婚時の約束はきちんと書面に残しておくべきなのですが、書面化を提案した際に、相手から「約束はちゃんと守るから、堅苦しいことはしたくない」とか「そんなに俺のことを信用できないのか!?」と言われた場合、どう対処すべきでしょうか。

 

(1)メールやラインで確認すればいい話では?

 例えば、あなたがメールやラインで離婚の条件を一言一句記載した上で、相手に送信し、相手から「この内容で構わない」旨のメールの返信があった場合、離婚協議書等の書面は不要になるのでしょうか。

 率直に言いますと、メールやラインですと相手がその内容を覆してくるリスクがなお残りますので、書面化を目指した方が良いと思います。

 

 メールやラインは通常普段の日常生活でのコミュニケーションツールにとどまりますので、メールやラインで約束したに過ぎない場合、その厳粛性が書面よりも劣る面が否定できないからです。

 メールやラインは気軽にやり取りができる反面、後から「十分確認せずに返信してしまった」とか「この内容で納得していないから正式に書面にしていない(メールのやり取りが残っているだけなんだ)」という言い訳をされる余地があるのです。

 

 これに対して、書面化する場合、通常どのような文案にするか慎重に話し合うことが期待できますし、最終的には署名押印をしますので、手続の厳粛性を持たせることができます。

 

(2)「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という考えは厳禁

 特に、いがみ合わずに離婚できる場合もあり、その様な場合には、離婚時の取り決めを書面の残さなくてもよいというケースも少なからずあると思います。

 

 しかし、安易に「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という発想を持つことはリスクがあると思います。

 と言いますのは、離婚時の旦那様の人柄、対応等を見ている限り、離婚時の約束を守ると考えられる場合でも、離婚後の旦那様の生活状況に変化が発生する場合があるからです。

 例えば、旦那様が離婚後に再婚し、新しい奥様との間でお子様が生まれるなどすると、旦那様があなたとの間のお子さんに対する関心が大きく薄れてしまうと言うことも考えられます。

 

 このような状況の変化は、離婚時に全て予測することは不可能です。

 そのため、後で相手の気持ちが変わった場合でも約束をきちんと守らせるために書面を作成しておいた方が無難と言えるのです。

 

(3)どうしても相手が署名押印を拒否する場合、調停申立を検討しても良い

 どうしても相手が署名押印を渋る場合、あなた自身で調停を起こすことも検討して良いと思います。

 相手が離婚自体に応じている場合には、調停手続の結果として調停調書が作成されますので、そちらが離婚協議書の代わりになります(正確には、調停調書の方が、金銭の支払い等について強制力を持たせられますので、離婚協議書よりも強い効力が認められます)。

 ただ、突然調停を起こすと、先方が反発してくることも予想されますので、予め調停を起こすことは伝えておいた方が良いと思います。

 

(4)書面化拒否の本当の理由が「離婚したくない」という場合もある

 相手と話をしていると離婚には応じるし、離婚条件もあなたの提案通りで構わないと話している場合、通常相手も離婚に応じる気持ちだと考えられます。

 

 しかし、書面化だけを強く渋る場合、本当は離婚したくなく、書面化を拒否することで離婚そのものを曖昧にしたいという場合もあります。

 離婚の提案に対して、離婚そのものを拒否すると、あなたとの婚姻生活にしがみついているように見えるため、強がりで「君がそう言うなら離婚しても構わない」と応答している場合があるのです。

 

 相手の真意が離婚したくないというものの場合、冷静にお互いを見つめ直すために別居期間を設けるとか、お互いの実家に相談してアドバイスを求めるといった方法が有効なこともありますので、ご検討下さい。

 

3.離婚時の約束事に強制力を持たせたい場合


 

 離婚時に書面で約束しても、なお相手が約束を破る危険性があるとか、相手を信用できないという場合には、前述の通り調停手続を利用したり、約束の内容を公正証書にすることも検討して下さい。

 調停調書や公正証書にしておけば、強制力が認められますので、相手からの金銭支払いをより確実にすることができます。

 

4.まとめ


・メールやラインのやり取りのみだと書面よりも効力が劣る面がある。
・安易に書面化を諦めると、相手が約束を破るリスクがある。
・書面化拒否の理由が「本当は離婚したくない」という理由の場合、相手に離婚の気持ちを醸成する方が有効なこともある。
・離婚時の約束事をきちんと守らせたい場合には調停や公正証書も検討すべきである。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚した時の約束は取り消せる?

2017.05.08更新

 

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1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.離婚したときの約束は取り消せる?


 

 夫婦の間の契約については、民法754条というものが存在し、婚姻中はいつでも取り消すことができるものとされています。

 このような法律の定めが置かれているのは、①夫婦間の約束はその時々の一時的な感情で行われることも多いため、真意で合意していないというケースが相当数考えられること、②夫婦間の約束は法律が拘束力を持たせて履行させるよりも当事者間の愛情に基づいて履行させる方が良いという配慮から来るものです。

 上記の通り民法754条の取消権は「婚姻中」にしか権利行使できませんので、離婚した後は取り消すことができません。

 

3.事情が変わったことを理由として取消ができないか?


 

 離婚の条件も一つの約束になりますので、一度約束した以上、簡単に取り消すことはできないのが原則です。

 そのため、「相手と一刻も早く離婚したい」というお気持ちがあっても、あまり安易な約束をしてしまいますと、後悔することにもなりかねませんので注意が必要です。

 ただ、離婚したときから事情が大きく変更した場合にも、一切取消・変更が認められないのかというとそうではなく、一部変更等が認められることもあります。

 

(1)離婚そのものの取消しは可能か?

 離婚を取り消す要件について民法は限定的に定めておりまして、具体的には詐欺や強迫による離婚しか取消を認めていません(民法764条、同747条)。

 従って、「離婚した後に相手との婚姻中の思い出等を思い出して、もう一度やり直したいと思った」というような離婚した後の事情を元に取り消すことはできません。その様な場合には、もう一度元旦那様と話をして再婚の合意ができれば再度婚姻届を提出するということになります。

 逆に、離婚を取り消すほどの詐欺や強迫があったという場合には、離婚を取り消すこともできます。ただ、一般的に詐欺や強迫の事実を証明することは非常に難しいため、現実的に離婚を取り消すことができるケースは非常に少ないと思われます。

 

(2)離婚そのものは取り消さず、離婚条件の一部を取り消すことは可能か?

 特にお子様がいらっしゃるケースで多いのですが、「相手を親権者にしたが、離婚後の養育環境が劣悪なのでやはり自分が親権者になりたい」とか、「離婚後収入が大きく減ったため養育費の金額を引き下げたい」と言ったものになります。

 養育費につきましては、双方の収入を基準として養育費の金額を定めることが多いため、収入が大きく減少し、今後収入が改善する見込みが乏しいという場合には、比較的養育費の減額は難しくないと思います。

 

 他方、親権者の変更となりますと、相手の養育環境に重大な問題がなければ、簡単には認められないことが多いと思います。

 このように離婚条件の一部の取消・変更という場合、どの条件を変更するのか、どのような事情で変更したいのかによって、取消・変更の難易度が変わってくることになります。

 

4.まとめ


・離婚時の約束は原則として取り消すことが難しい。
・離婚時の約束の一部については、離婚後の事情変更を受けて変更できる場合がある。
・離婚時の約束を変更できるかどうかは、その内容・事情変更の内容によって難易度が異なる。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚届出の後に夫の不倫が発覚!慰謝料請求できるか?

2017.04.24更新

弁護士秦

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1.消滅時効のことだけ考えていればよいと勘違いしていませんか?


 

 インターネットでの情報を見ておりますと、

質問:離婚届を提出した後に夫が婚姻中に不倫していたことが分かったのですが、その場合夫に対して慰謝料請求できますか?

回答:慰謝料請求権の消滅時効期間は3年間ですので、不倫発覚後3年以内でしたら請求可能です。

 といった記載をよく見かけますが、このような記載は非常に誤解を招く回答だと思います。離婚後の不倫発覚のケースはそう単純な問題ではありません。

 

2.そもそも不倫慰謝料は何故発生するのか


 

 そもそも、相手の不倫で慰謝料が発生するのは、不倫によって婚姻関係が破綻し、そのことで大きな精神的痛手を受けるからです。この「婚姻関係の破綻」というのは、より砕けた言い方をしますと、「夫婦としてやり直すことが不可能なほどに仲が悪くなっている」ということです。

 そのため、婚姻関係が完全に破綻した後(例えば完全に別居してから数年経過後など)の不倫に対しては基本的に慰謝料が発生しません。

 

3.既に離婚してしまっていることの位置付け


 

 このように不倫慰謝料は、そのことで婚姻関係を破綻させてしまうことが大きな要因で発生するものです。他方、既に離婚が成立している場合には、不倫以外の原因で婚姻関係が破綻していると言うことになりますから、慰謝料の原因にならないのではないかが問題になるのです。

 

 結論から申しますと、夫婦である以上、籍を抜くまではお互いに貞操義務がありますから、仮に、不倫発覚が離婚後であったとしても、その不倫が婚姻中に行われたものである限り、慰謝料責任が直ちにゼロにはならないと思われます。

 ただ、その場合でも、婚姻中に不倫が発覚して離婚に至ったケースと比較して、請求できる慰謝料額は低くならざるを得ないように思われます。

 

 離婚後に不倫が発覚したケースでは、通常の慰謝料決定要因に加えて、①当初の離婚に至る経緯や②不倫発覚の経緯も不倫慰謝料額に影響を及ぼすと思われます。

 

4.既に別の理由で慰謝料を貰っている場合


 

 例えば、離婚の際不倫が発覚していなかったものの、離婚にあたって慰謝料を支払うケースはあります。

 例えば、旦那様が、アルコールが入るとどうしても奥様にきつくあたってしまうことが多いというケースだとか、旦那様の管理不行き届きで奥様が大切にしていたペットを事故死させてしまったケース等で何かしらの慰謝料を支払っている場合があります。

 

 このような慰謝料は、不倫とは全く関係なく支払われたものですが、離婚するにあたって慰謝料という名目で金銭の支払いがなされている場合、その金額は、今後の不倫慰謝料請求にも影響を及ぼすことがあり得ます。

 例えば、財産分与とは別に慰謝料名目で1000万円を支払っているというようなケースでは、仮にその時点で不倫が発覚していなかったとしても、追加で不倫慰謝料を請求できないという事態もあり得ると思います。

 

5.清算条項があった場合


 

 離婚するにあたって離婚届を作成するだけではなく、離婚の諸条件について話し合って、離婚協議書などを作成している場合があります。

 その様な場合、離婚協議書に「お互いに債権債務がないことを相互に確認する」と言った条項(いわゆる「清算条項」)を入れることが一般的です。これは、お金のやり取りは、この離婚協議書に書いてある事項だけにして、他のやり取りはしないという意味になります。

 

 離婚協議書を作成した際に、相手の不倫について全く気付いていなかったという場合には、離婚協議書作成時に慰謝料請求権を放棄したとまでは言えないでしょうから、慰謝料を請求し得るでしょう。

 他方、相手に女性がいることを薄々分かっていたけれども、早期離婚を優先したという場合には、慰謝料請求のハードルは上がると思います。

 

6.証明の問題


 

 当然のことですが、正式に離婚した後にどのような異性と交際を開始しても、それは自由ですので、交際スタートが離婚成立後の場合、相手に慰謝料を請求することは難しいです。

 そのため、その様な不倫行為が婚姻中に行われていたということを証明しなければなりません。

 離婚してから月日が経てば経つほどその証明は難しくなります。

 

7.消滅時効


 

 前述の通り、不倫発覚後3年以内という時効期間がありますので、3年以内に請求しなければなりません。

 なお、この場合の請求は、相手にただ書面で請求するだけでは足らず、裁判を起こすなどして裁判所を介して請求しなければ時効は中断しませんので注意が必要です。

 

8.まとめ


・離婚成立後の不倫慰謝料請求については、不倫以外の理由で離婚しているため、慰謝料が減額される可能性が高い。

・離婚の際に慰謝料を貰っている場合、そのことが今回の不倫慰謝料で考慮される可能性がある。
・清算条項がある場合、不倫慰謝料請求できるかは場合分けが必要である。
・離婚前に相手が不倫していたことの証明は簡単ではない。
・不倫発覚後3年の消滅時効期間内に請求する必要がある。

 

 

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夫に無断で別居すると「悪意の遺棄」になるのか?

2017.04.17更新

弁護士秦

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1.そもそも「悪意の遺棄」って何だ?


 

(1) 夫婦は互いに同居義務、協力義務及び扶助義務を負っています(民法752条)。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、これらの同居義務、協力義務及び扶助義務などを履行しないことを指します。

 なお、これらの義務違反が「悪意の遺棄」と言えるためには、「悪意を持って」その様な行動に出ることが必要になります。この「悪意を持って」というのは、お堅い言い方になってしまいますが、「積極的に婚姻生活を廃絶することを意図し、それでも構わないと考えていること」などと説明されます。単に婚姻関係を終了させることを意図しているというのでは足りず一方的に「廃絶」しようという意図が必要になります。

 

(2) そもそも、この「悪意の遺棄」は法律上の離婚原因の一つ(民法770条1項2号)にあたりますので、実際に「悪意の遺棄」があったと裁判所が判断する場合には、遺棄をした側が反対しても離婚が強制されることになります。

 その意味で「悪意の遺棄」の持つ意味は重大なものと言えます。

 なお、ここでの「離婚を強制される」の意味は、離婚裁判の場面で、悪意の遺棄と認定された場合に離婚させるという判決が下ってしまうという意味で、離婚の話し合いや調停の段階から、離婚を強制されるという意味ではありません。

 すなわち、通常、離婚の手続を進めて行くにあたっては、①離婚協議→②離婚調停→③離婚裁判という流れを辿りますが、離婚を強制されるというのは③離婚裁判という段階での話なので、この点は誤解がないように注意して下さい。

 

(3) また、悪意の遺棄を実行した側は、慰謝料の支払を余儀なくされる虞があります。

 

2.夫に黙って家を飛び出し何ヶ月も家に帰らないと「悪意の遺棄」になるの?


 

 前述したように「悪意の遺棄」に該当するか否かは、①別居に正当な理由があるかどうかという点と、②一方的に婚姻関係を廃絶するような意図で行われたのかという点がポイントになります。

 結論から言いますと、仮に旦那様に黙って別居を開始したとしても、よほど理不尽な理由で別居を開始したということでなければ「悪意の遺棄」に該当することはないと思います。

 

 例えば、不倫を繰り返し、不倫女性の家から何ヶ月も戻ってこなくなってしまったとか、持病で稼働能力がない妻を置いて別居をし、何ヶ月も生活費も渡さなかったと言ったケースが典型例ですが、これらのような重大なものでない限り「悪意の遺棄」に該当するケースは非常に少ないと思います。

 おそらく自宅を飛び出したということにも何らかの理由があってのことでしょうし、別居が離婚を意図したものであったとしても、相応の理由があって離婚を決意して別居に踏み切ったという経緯があれば、そのことが「悪意の遺棄」に該当することは少ないと思われます。

 

3.夫から「悪意の遺棄だ」と批難された場合どう対処すればよいか。


 

 旦那様からしますと、仕事から帰宅したところ突如奥様が家を出ているということになりますので、このようなシチュエーションに対して強く反発するということはよくあることです。

 そして、奥様に対して非難する論拠として「悪意の遺棄」という言葉を使ってくることもあります。

 ただ、前述の通り、奥様としては正当な理由があって別居しているのですから、仮に旦那様に何の断りもなく別居を開始しても、そのことが「悪意の遺棄」に該当することはほとんどないと思います。

 

 そのため、旦那様から上記のように批難された場合には、このような事態を招いた根本的な原因が旦那様にあることをきちんと伝えるという姿勢がベストかと思います。

 ただ、旦那様が普段からモラハラを繰り返してくるような旦那様の場合、話し合いにならないという危険性もありますので、その場合には、信頼できる第三者(これはご両親でも友人でも良いです)に間に入ってもらうなり、弁護士等の専門家を間に入れて話を進めた方が良いと思います。

 

 いずれにしましても旦那様から「おまえのしていることは『悪意の遺棄』にあたるから後で大変なことになるぞ」などと言われても、そのことであまり不安になる必要はないかと思います。

 

4.別居前の話し合いはした方がよい?しない方がよい?


 

 それでは、「悪意の遺棄」にならないからといって、相手に無断で別居した方がよいのでしょうか、それとも少なくとも一度は話し合いをした方がよいのでしょうか。

 ケースによりますので、一概に言えないのですが、特別な事情がない限り、事前の話し合いはした方が望ましいと言えます。この「特別な事情」とは、①相手がDVの加害者であるとか、②執拗なモラハラを繰り返してきた、③事前に別居の話をすると相手が子供を連れて実家に帰ってしまう危険性が高いといった場合が典型例になります。このような「特別な事情」があるケースですと、別居したいという気持ちを伝えても、相手の行動を助長するだけというケースが多いため、無断で別居した方が望ましいと言うことになります。

 

 逆に、このような「特別な事情」がない場合、無断で別居してしまいますと、相手が必要以上に反発してくる危険性があり、今後の離婚協議が難航する危険性があります。そのため、少なくとも一度は直接離婚したい旨はお話になった方がよいと思います。

 

5.まとめ


・事情があって別居した場合、「悪意の遺棄」に該当することは、少ないと思われる。

・相手から批難された場合、別居の根本原因を問い詰めるのが良い。

・「悪意の遺棄」に該当しないとは言っても、できれば別居前に一度は旦那様と話をした方がよい。 

 

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夫の不倫が発覚、どう対処すべきか

2017.04.03更新

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1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けが取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストです。また、旦那様が嘘の説明をしてくる場合もありますので、場合によっては旦那様の携帯電話におけるメールやSNSでの不倫相手とのやり取りを全て開示するよう要求すべきケースもあります。

 

 

3.旦那様との話し合いを進めて行くにあたっては信頼できる人物に相談しながら進めた方が良い


 

 旦那様の浮気という事実は、あなたにとって非常にショッキングな出来事になりますので、通常は冷静に対処することは難しいことが多いです。

 そのため、何かを決断するにあたっても、どのような方法がよいのかについて冷静に判断できないことも多々あります。

 

 そこで、ご実家のご両親や親しい友人など信用できる人物に相談しながら、旦那様との話し合いを進めた方が良いです。

 

 たまに、「こんな話を両親にすると心配をかけるから、話せない」とか「私ももういい歳なので、こんな話を両親にするのは恥ずかしい」というようなことをおっしゃる方もいますが、誰かに話を打ち明けるというだけでも、随分気持ちがスッキリします。

 そのため、自分一人で抱え込まないで信頼できる方一人でよいので、相談しながら進めることをオススメします。

 

 また、夫婦1対1での話し合いが上手く行かない場合には、お互いのご両親も交えて話し合いをするといった方法も検討してみて下さい。

 

 

4.自分の向かうべき方向性を決めること


 

 旦那様との話し合いで、浮気の全体像を把握した後は、あなた自身が夫婦関係を今後どのようにしていきたいかを慎重に検討する必要があります。

 要するに離婚したいのか、相手の浮気を今回に限って許すのかということです。

 

 これまでの旦那様との話し合いの中で、あなた自身も感情的になって離婚といった言葉を口にしてしまったり、旦那様からも同じような話があったかもしれませんが、その点はまず置いておいて、今のあなた自身の心境として別れたいのかやり直したいのかを慎重に考えて下さい。

 

 このような検討は重要な話ですから、前述のように信頼できる人物とも相談しながら決定するのが望ましいと思います。

 

 

5.向かうべき方向性が決まったら、その方向に向かって進んでいく


 

 あなた自身が離婚をご判断されたのであれば、旦那様と離婚の条件について話し合いをしていくことになります。

 離婚の条件は重要な事柄ですから、離婚協議書といった書面でしっかりとまとめていくことをオススメします。

 他方、あなたが今回に限りやり直すという選択をした場合、旦那様には不倫誓約書を書かせるということになります。

 

 

6.最後に


 

 このような不倫の問題は、発覚に伴ってあなた自身が精神疾患にかかるなど、大きく体調を崩してしまうことも多々あります。

 このような問題はあまりズルズルと引き延ばしたくはないでしょうが、性急に進めると後悔してしまうこともありますので、ご体調にも配慮しながら、じっくりと進めていくことをオススメします。

 

7.まとめ


・ 夫の不倫が発覚した場合、まずは証拠固めをした方が良い。

・ 夫と話をする際には、不倫の詳しい内容も確認しておいた方が良い。

・ 信頼できる人物と相談しながら話を進めていくと良い。

・ 今後の方向性をキチンと自分の中で固める。

・ あなた自身の体調面にも気を遣いつつ、焦らずに話を進めない方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【素人でも作れる!!】弁護士が教える不倫誓約書作成完全ガイド

2017.03.27更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「本当に役に立つ詳しいブログ解説」を目指して解説させていただきます。

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1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けも取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストですが、あなた自身の体調も踏まえながら取り組んで下さい。

 

 

3.不倫誓約書作成ガイド


 

 このようにして旦那様と話をして、どうやら旦那様も反省しているようで、あなたとしても今回に限っては離婚とまでは言わないという場合、旦那様には誓約書を書かせる必要があります。

 その場では旦那様が強く反省していたとしても、何年も月日を経ていきますと、その意思が弱まる危険性もありますから、その担保という意味で誓約書を書かせるのです。

 

 不倫発覚後旦那様と様々な議論をしてきたのだと思いますので、更にまた誓約書の話を持ち出すことは大変かもしれませんが、できる限り誓約書作成のご努力をなさって下さい。

 

 以下では、不倫誓約書には一般的にどのようなことを書き、どのような点に工夫するのかについて説明していきます。

 

 なお、インターネット上には、不倫誓約書のひな型のようなものが掲載されているページもありますが、このようなひな型をあまり意味も分からないまま利用しますと、後で予測しないような結果を招いてしまうこともありますので、以下の記事も参考にして十分に文案を検討することをオススメします。

 

 誓約書はおおよそ8個のブロックに分けて記載することが多いので(端的に言いますと、1ブロックごとに第1条から第8条という形で作成すると簡便です)、そのブロックごとにご説明します。

 

(1)【第1ブロック】謝罪の条項

 例えば、「私は、平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。」

 といった書き方をします。

 

 不倫の期間や回数については、特定できるようであれば記載しておくと、後から旦那様の説明が嘘だったことが分かった場合、問い詰めることが容易になりますので、可能な限り特定して下さい。

 

 なお、不倫の経過や交際の状況等について非常に事細かく全て自白させたい、その全てのことについて謝罪させたいという場合には、「私は、別紙の通り不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して…」という書き方にして、詳細な内容を全て別紙に綴じ込むという方法も考えられます。

 

 また、不倫以外に旦那様の普段の生活での不満があれば、そのことについても、この条項に書き込むという方法もありますので、検討してみて下さい。

 

 例えば「私は、以下の①から④のことで貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。

①平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及んだこと
②婚姻生活中、貴殿に対して頻繁に罵声を浴びせ、貴殿を怖がらせてしまったこと
③貴殿の家事・育児への協力が不十分であったこと
④……」

 

(2)【第2ブロック】慰謝料の条項

 例えば、「私は、本誓約書における誓約にもかかわらず、再び異性との不貞行為に及んだ場合、貴殿が受けた精神的苦痛を慰謝するため、慰謝料○○円をお支払い致します。」といった内容になります。

 今回慰謝料の支払いを求めるという方法もありますが、通常は、今回に限り旦那様を許し、その代わり、2回目の浮気があった場合には、慰謝料を支払わせるという形がオーソドックスなように思われます。

 

 なお、2回目の浮気があった場合の慰謝料については、抽象的に「貴殿の精神的苦痛を十分に考慮した慰謝料」といった書き方をしても良いですし、「慰謝料○○円以上」という書き方をしても結構かと思います。

 

 では、この慰謝料の金額は相手が合意すればいくらでも良いのかというと、あまり高額すぎる場合には、その効力が制限される可能性がありますので注意が必要です。

 例えば、「慰謝料1億円をお支払い致します」と書かれていても、その誓約書を盾に1億円を請求することは難しいように思われます。

 

(3)【第3ブロック】誓約条項

   例えば

「私は、以下の事項を誓約致します。
○○□子の情報・電話番号・メールアドレス・SNSのID等を全て消去済みであり、今後、電話・メール・LINEその他方法を問わず一切連絡を取らないこと
○○□子以外の異性との間で、貴殿との貞操義務に違反するような不貞行為及びこれに準ずる行為に及ばないこと」

   といった書き方をします。

 

 他にも不倫相手と接点を持つシチュエーションがあれば、それに対する誓約条項も盛り込んでおいた方が良いと思います。

 具体的には、不倫相手が近所に住んでいるという場合「偶然○○□子を見かけたとしても、自ら声をかけず、また、○○□子から声をかけられても返答をせず立ち去ること」といった条項を加えることも検討しなければなりません。

 

 また、浮気以外にも相手に改善を求めたい事項があれば、そちらについても誓約条項に加えておいた方が良いと思います。例えば、貴殿を罵るような言動に及ばないこと、家事・育児に積極的に協力すること、といった記述です。

 

(4)【第4ブロック】違反の場合のペナルティ条項

 例えば「前条の誓約条項に違反した場合、私は貴殿に対し、違反回数1回につき○万円を支払います」といった条項です。

 なお、この条項につきましては、条項通りに違約金を請求できるかというと、通常は旦那様が再度不倫をした際の慰謝料に含まれるものとして、別途違約金請求権は発生しない可能性が高いと思います。

 

 そのため、この条項は、相手に連絡等を取らないよう心理的プレッシャーをかけるという位置付けになろうかと思います。

 このように法律的効力に疑問もありますので、この「第4ブロック」については、弁護士が作成する誓約書などには記載しないことの方が多いように思われます。

 

(5)【第5ブロック】離婚の予約

 例えば「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾致します」といった内容の条項になります。

 なお、この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要することはできないと言うことです。

 このように「第5ブロック」については法律的効力はないのですが、こちらが真剣に離婚を考えたことの痕跡を残す意味でも、「第5ブロック」の条項は記載することの方が多いように思われます。

 

(6)【第6ブロック】秘密保持に関する条項

 特に旦那様の口が軽いとか、自身の女性関係を誇示する危険性がある様な場合には、秘密保持に関する条項も入れておく必要があります。

 例えば「○○○子との関係(不貞行為に及んでいたことを含む)、本誓約書の存在及び内容について、第三者に開示も漏洩も致しません」といった内容になります。

 

(7)【第7ブロック】不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力致します」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、再度同じような問題が起きた際に、こちらから旦那様を問い詰める根拠になりますので、不倫相手への責任追及も考えたいという場合には、記載しておいた方が良いと思います。

 

(8)【第8ブロック】今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。旦那様の今後の夫婦生活に対する向き合い方をきちんと示してもらう必要がありますので、このような記載をします。

 なお、現在夫婦が別居中という場合には、別居解消のために努力する旨及びその時期などについても明記することになります。

 

 

4.まとめ


・ インターネット上の不倫誓約書ひな型を深く考えずにそのまま利用することは危険

・ 不倫誓約書には大きく8個のブロックがある。

・ 一つ一つのブロックについてご夫婦の実情に合わせて文案を作成する

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

2度目の不倫の時には「離婚に同意する」という約束は有効か?

2017.03.20更新

 

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1.「2度目の不倫」発覚


 

 一度、奥様とは別の女性と不倫してしまい、その件は、奥様と話し合いをして解決したとします。

 しかし、その数年後、再び不倫をしてしまい、そのことが奥様に発覚してしまったとします。

 

 その場合、奥様との関係を改善することは簡単ではないでしょうが、すぐに離婚したくはない場合、どうすればよいのでしょうか。

 今問題になっているのは2度目の不倫発覚のことですが、以前の不倫発覚の際に、奥様と何らかの約束をしている場合、その約束にどこまで拘束されるのかという点からご説明致します。

 

 

2.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が口約束の場合


 まず、口約束という場合には、実際にその様な発言があったのかなかったのかという点が問題になります。

 一度目の不倫発覚の際、奥様も冷静に話し合いをすることは難しいケースも多く、夫婦間で話をしていても様々な話が出てしまい、その一つ一つを覚えていないということも考えられます。

 

 また、仮にその様な発言があったとしても、前後の話し合いの内容や、その様な発言の経緯についての検討も必要になります。仮に浮気をした側の旦那様が「2度目の時には離婚するとは言ったが、子供の親権はこちらが貰うことが条件だと話したはずだ」などと、他にも条件が付いていたという言い方をすることもあり得ます。

 いずれにしましても、口約束ですと後からもめ事の種になりますので、仮に旦那様の不倫を今回限りで許すにしても不倫誓約書にはきちんと署名押印させた方が良いと思います。

 

 

3.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が書面で約束されている場合


 それでは、不倫誓約書などに「甲が再度不貞行為に及んだ場合には、乙からの離婚要求に無条件で応ずる」といった内容が書かれていた場合はどうでしょうか。

 

 不倫誓約書を書かせた側としては、2度目の不倫発覚後、離婚するしないで相手と再度揉めることは避けたいと思います。このような理由で、誓約書に上記のような記載をしているのだと思いますから、記載通りの効力が認められないとあまり意味がありません。

 しかし、残念ながら、この誓約書と離婚届を提出しても、離婚届が受理されることはありません。協議離婚する場合、離婚届にご夫婦の署名押印がなければ、離婚届は受理されないのです。

 

 従いまして、上記のような誓約書の文言は、不倫した側に対して、心理的な影響を期待するもので、法律的な効力はありません。この「心理的な影響」というのは分かりにくい表現ですが、要するに再度不倫した旦那様も、一度誓約書にサインしてしまっていると逆らいづらくなるという意味でしかありません。

 

 

4.公正証書で「もう一度浮気したら離婚する」と書いた場合はどうか


 

 相手がお金を支払わなくなった場合に備えて、強制力を持たせたいという場合、公正証書を作成します。離婚協議にあたっても、慰謝料や養育費など相手からの支払が滞らないように公正証書を作成することもあります。

 

 それでは、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書いてある場合、離婚届と公正証書を持っていけば離婚届は区役所で受理されるのでしょうか。

 端的に申しますと、離婚届は受理されません。

 

 そもそも、公正証書は、お金の支払いに関しては強制力を付けることができますが、それ以外のことについて強制力を付けることはできません。

 そのため、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書かれていても、その箇所に強制力を付けることはできないのです。

 

5.予め離婚届にサインさせる方法


 

 不倫誓約書を作成させる際に、旦那様からその場で離婚届にも署名押印させる方法も考えられます。

 今すぐに離婚届を提出する訳ではないけれども、今後違反した場合にすぐ離婚できるように予め離婚届を作っておくということです。

 

 このように作成された離婚届も本人の署名押印がある以上、区役所の戸籍課では受理されてしまいます。

 

 ただ、実際に再度の違反が発覚し、その際に旦那様が離婚に反対しているような場合には、その離婚は後から無効とされてしまうリスクが残ります。

 

 

6.まとめ


・ 誓約書などに、今後違反した場合離婚する旨記載しても法律的効力はない。

・ 離婚の予約には心理的効果は期待できる。

・ 公正証書にしても、離婚の予約の効果は変わらない。

・ 予め離婚届にサインさせておく方法は、後から無効とされるリスクがある。

 

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【弁護士が解説】不倫誓約書にサインしろと言われた-誓約者側の3つのチェックポイント

2017.03.06更新

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>>あなたが奥様から責任追及される側の場合は、以下の記事をそのままご覧下さい。

 

1.不倫が奥様に発覚


 

 通常不倫をする際、奥様に分かるように不倫する人はおりませんので、気付かれずに不倫している方が大半かと思います。

 

 何らかのきっかけで奥様が不審に思い、あなたの不倫が発覚したという場合、通常は、あなたに対して不倫の有無を確認してきます。

 そして、慎重な奥様ですと不倫の決定的な証拠を突きつけてあなたに問いつめてきます。

 

 不倫をしている方としては急に奥様からの責任追及にさらされることになりますので、冷静に対応することが難しいことも多々あります。

 そんなときに、奥様から「不倫誓約書にサインしろ」と言われた場合、どのような点に注意しなければならないかをご説明致します。

 

 

2.【チェックポイント1】まずは不倫誓約書にキチンと目を通すこと


 

 不倫誓約書には署名押印しなければならないのですから「キチンと目を通すこと」というのは当たり前のことのように思えます。

 

 しかし、不倫が発覚して奥様から毎日のように厳しい追及を受けている場合、冷静に不倫誓約書を見て書いてあることを読み込むと言うことは、簡単に見えて簡単なことではありません。

 

 特に、奥様が「誓約書にサインしたら許して上げるから、早くサインだけでもしろ」などと言われてしまうと、勢いその場しのぎで、よく読みもしないでサインしてしまうリスクもあります。

 

 

3.不倫誓約書に署名押印すると、基本的には書いてある通りの効力が発生してしまう


 

 たまに、不倫誓約書にサインしても、第三者の立会がないと効力が生じないだとか、公正証書にしないと正式な効力はない等誤解されている方もいらっしゃいます。

 しかし、不倫誓約書にご自身で署名押印してしまった場合、立会や公正証書が全くなくとも、基本的には誓約書に書いてある通りの効力が発生してしまいます。

 

 そのため、不倫誓約書に書いてあることはキチンと守らなければならないし、重要な約束なのであるという自覚を持ってサインしなければなりません。

 

 

4.【チェックポイント2】不倫誓約書にサインする前の心構え


 

 不倫誓約書には一般的にどのような記載があるのかと言う点は後述しますが、そもそも、不倫誓約書にサインすべきかということをよく考える必要があります。

 

 不倫誓約書にサインするということは、現在の奥様に謝罪し、奥様との関係を修復していくということを意味します。

 そのため、今後奥様とやっていく自信がないのに不倫誓約書にサインするということは無責任とも言えます。また、奥様とやっていくことが難しいとの自覚がある場合、結局不倫相手と再び連絡を取ってしまうというケースも多くあります。このようにして再度不倫相手と連絡を取って関係を持ってしまった場合、2回目の不倫発覚時には更に奥様を傷つけてしまいますので、このような事態が夫婦にとって幸せとは言いにくい面があります。

 

 もちろん、不倫発覚時には奥様も激怒していることが多いため、不倫をしていた方から「お前とはやっていけない」などと言い出せる雰囲気ではないのが通常かと思います。

 だからといって、今後幸せな家庭を築くことがほぼ不可能だと思っているのに、不倫誓約書にサインするということが本当に今後の夫婦のためによいことなのかという点は慎重に検討して下さい。

 

 その場しのぎで不倫誓約書にサインすることは夫婦お互いにとって不幸かもしれません。

 

 

5.【チェックポイント3】不倫誓約書の各記載に対する検討


 

 実は不倫誓約書にも、行政書士が作成したもの(行政書士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)と弁護士が作成したもの(弁護士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)とで書いてある内容がそれなりに色分けされます。

 

 ただ、奥様がインターネットの情報をつぎはぎして作成している場合もありますので、以下では(行政書士型のひな型、弁護士型のひな型を問わず)不倫誓約書によく記載のある事項を中心にご説明していきます。

 

(1)謝罪の条項

 読んで字のごとく、不倫をしていたことに対して謝罪する旨の条項になります。なお、謝罪の条項については、以下のような点も記載されることがありますので、誤った記載がないかよくご検討下さい。

  ・不倫期間(「平成○年○月~平成○年○月まで不倫していた」と言った記述)

  ・不倫相手(「○○さんと不倫していた」と言った記述)

  ・不倫相手と知り合った経緯(「職場で知り合った○○さんと不倫していた」と言った記述)

  ・不倫回数(「○回もの不倫行為に及び」と言った記述)

  ・その他不倫とは異なる事情についての謝罪条項(例えば頻繁にギャンブルにお金を使ってしまったことへの謝罪、風俗店に足を運んでしまったことへの謝罪、暴力をふるってしまったことへの謝罪等々)

 

(2)慰謝料の条項

 慰謝料については、今回の不倫については奥様が許すという姿勢の場合、その場で慰謝料を払うというケースは少ないように思われます。

 今後も夫婦関係を続けるという場合、旦那様が奥様にお金を払っても、夫婦としての合計資産に変化はないからです。

 

 そのため、通常は、今回は慰謝料の支払いは許すけれども、今後約束を反故にした場合には「慰謝料○○円を支払う。」といった内容がオーソドックスかと思われます。

 この場合の注意点は、慰謝料の金額です。あまりに高額な慰謝料の支払いを約束することは避けた方が良いと思います。

 

 なお、奥様の気持ちが収まらないということで、その場で慰謝料としてまとまったお金を払うよう言われることもあります。その場合も、その場で支払う慰謝料額が高額すぎないかどうかの検討は必要ですし、今回の支払いのみで終わりなのかという点は注意した方が良いと思います。

 

(3)誓約条項

 不倫相手と連絡を取らないという誓約をさせる文言は通常記載されます。

 

 問題は不倫相手と知り合ったきっかけとの関係で、どこまで行動の制限がかかるのかという点です。

 不倫のきっかけが、かつての大学時代の同級生、大学のサークル仲間等でしたら、それほど身近な接点がある訳ではないので、誓約条項も限られることが多いです。

 

 他方、不倫関係は割と身近な接点を原因としていることも多くあります。例えば職場、子供の通う保育園や学校、子供が通う習い事等をきっかけに知り合ったというケースもありますし、不倫相手が近隣に住んでいるというケース等です。

 このような場合、旦那様の生活圏に不倫相手の生活や仕事があるため、接点を持たないようにするため、どこまで行動の制限をかけるのかという問題が生じるのです。

 

 この点は具体的な事例に応じて対応が大きく異なってくるところでもありますので、誓約事項をキチンと確認し、自分の行動にとってあまりに拘束が強くなり過ぎないように注意する必要があると思います。

 

(4)違反の場合のペナルティ条項

 特に行政書士が作成する誓約書に多いのですが、「不倫相手と連絡を取り合った場合1回につき○○万円」といった形で条項化されることが多いです。

 このような条項が法律的に有効かというと、無制限に有効とは思えませんが、このような約束をしているということは今後不倫が再開した場合に考慮されると思います。

 

 極端な話ですが「連絡を取り合った場合1回につき1000万円」という約束をしていても、高額すぎるため、このような約束には法律的効力はないと思います。

 ただ、実際に不倫が発覚してしまうと、当然奥様からは約束の1000万円を要求されることになりますし、あなたに対する責任追及が非常に強まることは間違いありませんので、安易に高額な慰謝料を約束しないよう注意が必要です。

 

(5)離婚の予約

 「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾する」といった内容の条項になります。

 

 この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要されることにはならないと言うことです。

 

 ただ、今後同様の行為が発覚した時に、離婚したくないと主張することは非常に難しくなると思いますので、注意が必要です。

 

(6)不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力すること」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、不倫誓約書にサインするという場合、このような条項の記載に反対すると言うことは難しいかと思われます。

 

(7)今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。このような条項は不倫誓約書にサインする以上必須の条項だと思われます。

 

 

6.まとめ


・不倫誓約書にはきちんと隅々まで目を通してからサインする。

・きちんと奥様とやり直す決意を固めてからサインする。

・不倫誓約書には色々な記載があるので細かなチェックポイントがある。

 

 

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社内不倫・会社にばらすことはアリ?ナシ?

2017.02.27更新

 

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1.不倫発覚の精神的ショックは計り知れない


 

 私は不倫問題の事件を取り扱う件数が多いため、不倫被害者の方と接する機会が多いのですが、やはり不倫被害者の方の精神的ショックは計り知れないというのが実情です。

 不倫は秘密裏に行われるため、表面上は「仲の良い夫婦」なのに、パートナーが浮気していたというケースも多く、その場合のショックは察するに余りある状況です。

 

 

2.まずは冷静になって行動する


 

 このようにパートナーの不倫に直面した際、相手に対する憎しみを覚えることもあるでしょうし、逆に呆れてしまうこともあるかもしれません。

 しかし、その場の感情に流されすぎて行動すると後で取り返しがつかないことになる危険性があります。

 

 そのため、まずは、冷静になって行動するというのが一番です。

 一般的には、浮気の明確な証拠がある場合には、旦那様に直接不倫の有無を問いつめてみて、その後、離婚するのかしないのか、この不倫問題をどのように解決するのか(慰謝料を支払わせるのか、誓約書だけで済ませるのか)と言った点を冷静に考える必要があると思います。

 

 このような離婚するかしないのかといった点について決断ができておりませんと、今後の進み方が大きく変わってくると思いますので、次のアクションを起こすにあたっては、まず、旦那様との関係を今後どのようにしていくのかということを決めてからにした方が良いと思います。

 

 なお、このような決断には通常それなりの月日を要することが多いです。そのため、焦らずに、また、親身になって相談できる相手がいれば、その様な方々に相談しながら、自分の進む道をしっかりと決めるのがよいと思います。

 

 

3.浮気相手が社内の人間だった場合、会社にばらすことはアリでしょうか?


 

 旦那が浮気していた相手が同じ勤め先の部下だったというケースも往々にしてありますが、その場合に、職場に浮気の事実を伝えることは問題でしょうか。

 

①感情的には理解できる面がある

 このような行動に出る最大の目的は、その不倫女性を退職させることだと思います。

 仮に旦那様を許すとしても、その女性が同じ会社に勤め続けることになれば、また不倫関係が再開してしまう危険性がありますから、不倫女性を退職させたいと考えることも感情的には理解できる面があります。

 

 そこで、以下会社に伝えることにどのようなリスクがあるのかご紹介致します。

 

②まず、その伝え方次第では、業務妨害等に該当してしまうリスクがあります。

 おそらく職場に不倫の事実を伝える大きな目的は、その不倫女性を退職させること、もっと言うと勤め先の方で解雇してもらうことにあります。そして、旦那様の不倫という事実に直面して冷静な話し合いが難しいという場合には、時に感情的になって強く勤め先に要求してしまうリスクがあります。

 そうなってしまいますと勤め先にとっては、勤め先の人事権に対して不当に介入されているという形になってしまいますので、業務妨害等になってしまうリスクがあります。

 

③また、不倫女性にとってのプライバシー侵害に該当します。

 社内不倫の事実勤め先に知られていなかった場合、または、知られていたとしても「薄々知られていた」とか「同じ部署の人たちの中で噂になっていた」というレベルでしたら、会社としては不倫を関知していなかったと言うことになります。

 そうすると、勤め先が会社として知らなかったことを、伝えることになってしまいますので、このことは不倫女性のプライバシーを侵害する行為になってしまいます。

 

④旦那様が勤め先に居づらくなるリスク

 仮に勤め先の一部の人間にしか不倫の事実を伝えないとしても、旦那様からすると、勤め先のどの人間が不倫のことを知っているか分からず疑心暗鬼になることも多いです。

 また、その勤め先の会社規模によっては、社内の風紀を乱したと行った理由で何らかの処分が下されるリスクもあります。

 そのため、特に旦那様とヨリを戻すことを考えている場合には、勤め先に不倫の事実を伝えることは非常にリスキーな行動だと言えます。

 

 

4.冷静に話ができる場所で話をするのが一番望ましい


 上記の通り、不倫女性の勤め先に密告する行為は、リスクが高い行動と言えますので、避けた方が良いと思います。

 不倫が発覚しますと不倫女性が許せなくて、不倫女性への報復をしたいという感情が強く生じる場合もあります。

 

 しかし、直接不倫女性と会ってみると、その感情が和らぐと言うこともあります。

 そのため、旦那様を通じて不倫女性も交えて3者面談をするなりして、不倫女性と話をしてみるというのも選択肢の一つではないかと思います。

 

 

5.まとめ


・ 不倫相手の職場に不倫を告げることは、やり方によっては業務妨害になる。

・ 不倫相手のプライバシー侵害になる。

・ 不倫相手と同じ職場の場合、旦那様自身が職場に居づらくなることもある。

・ 不倫相手と直接面と向かって話をした方が良い結果に結びつきやすい。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

2017.02.13更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚に踏み切る前に考えるべきことは意外に多い


 

 離婚を考えた場合、通常まず一番に離婚後の生活、離婚後の育児環境のことが頭に思い浮かぶと思います。

 ただ、今後相手と離婚するかしないかという点で争っていくことも考えますと、他にも色々と考えておかなければならないことがあります。

 

 

2.今後「やり直す」ということが、ほぼ無理だと言える状況なのか


 

(1)「ほぼ無理」という状況の意味 

 当たり前のことなのですが離婚する場合、離婚後、法律上相手は「他人」ということになります。裏を返すと離婚を切り出すと言うことは他人になって欲しいと切り出すことと同じなので、今後「やり直す」ということがほぼ無理だと言えるほどの状況でこそ、離婚を切り出すべきだと言えます。

 

 今後相手と「やり直したい」と思うこともあるかもしれない、ということでしたら、離婚を切り出す時期も含めて慎重に行動した方が良いかもしれません。

 一時的な感情で離婚を決断してはいけないというのは当然ですが、上記の通り、今後「やり直す」ということなど有り得ないという覚悟は持って臨んだ方が良いと思います。

 

 ただ、特にモラハラのケースなどでよくあるのですが、あなた自身では「何とかがんばっていける」とか「自分さえ我慢すれば家庭の平穏は守られている」と考えていても、実際には相当あなたが我慢を強いられているということもあります。 そのような場合だと、あなた自身が相当すり減ってしまい、心身に不調を来してしまうケースもあります。

 

 そのため、あなた自身が暮らしていて、旦那の行動や言動に強い違和感を持った場合には、身内や親しい友人等に相談し、あなた自身の状況を客観的に把握することから始めた方がよいケースもあります。そうすることで、あなた自身がどれほど理不尽な態度を受け続けてきたのか等についてしっかりと把握でき、旦那との向き合い方についても考える良いきっかけになると思います。

 

(2)いきなり離婚ということに「ためらい」がある場合

 そのような場合には、一旦旦那に対して、あなた自身の悩みを率直にぶつけて改善を求めてみるという方法もあります。そのときには、「次同じようなことがあったら離婚だよ」と伝えると効果的なこともあります。

 このように伝えても、旦那があなたの言葉に全く耳を傾けない様であれば、早急に離婚した方がよいかもしれません。

 また、多少改善が見られても、①1ヶ月といった短期間で元に戻ってしまうとか、②改善の程度が小さいという様な場合には、離婚の方向での検討を続けた方がよいかもしれません。 

 

3.まずは、お子さんの幸せをよく考える


 

 お子さんの幸せのことを考えるとお父さんとお母さんが揃っている方が良いという結論しかないということになります。

 

 私が申し上げたいのは、このような一般論の話ではありません。

 分かりやすく言いますと、現状と離婚後の生活とでどちらの方がお子さんにとって幸せなのかという比較と、離婚後のお子さんのケアが可能なのかどうかと言う問題です。

 

①現状との比較

 分かりやすく言いますと、毎日喧嘩が絶えないという家庭の場合、お子さんにとっても悪影響になりますので、むしろ、離婚した方がお子さんにとっても望ましいというケースがあります。

 また、旦那が暴力をふるうという場合、仮に直接お子さんに手を上げなくても、お母さんであるあなたが殴られたり蹴られたりしているところを目撃していると、お子さんにとっても悪影響があることは間違いありません。

 

 いずれにせよ、あなたが離婚を切り出したいと思っているという場合、夫婦関係がぎくしゃくしていることは間違いありませんから、その様な状況・環境がお子さんにどのような影響を与えているのかについてよく考え、離婚後の生活と現状を比較してみると良いでしょう。

 

②離婚後のお子さんのケア

 離婚後あなたがお子さんを育てていくという場合、しっかりとした生活環境・教育環境を整えていく必要があると思います。

 まず、生活環境という点では、離婚後はあなた自身もそれなりの収入を得るために就労する必要が出てくるでしょうが、そのことがあなたの現状の健康面で実現可能なのか、また、お子さんの健康面や発達面で、それがお子さんの健全な成長の観点から望ましいものと言えるのかについての視点は持つ必要があります。多少不安がある様な場合には、あなたのご両親や親族等にどこまでの協力を得られるかについて検討する必要もあります。

 

 次に、教育環境については、この点ばかりに目を向け過ぎてしまいますと、夫婦そろっていた方が進学の多様性は拡がるので、「離婚すべきではない」という結論になってしまいます。そうではなく、仮に現在お子さんが私立中学校に通学しているという様な場合に、夫婦の離婚という事情で今通っている中学校に通えなくなってしまうというのはお子さんにとっての影響が大きいでしょうから、現状の教育環境を維持できるか、維持するためにどのような離婚条件を実現する必要があるのかという検討が必要だと言うことになります。

 

さらには、お子さんと相手との接し方についても考えておく必要があると思います。

 例えば、相手がDV旦那だったとしても、お子さんには優しく、お子さんの方も懐いているという場合、離婚したからと言って一切お子さんに会わせないというのは、お子さんにとって幸せではないかもしれません。第三者機関を通じての面会交流等の検討も必要になろうかと思います。

 

 

4.相手が争ってきた場合の備えをする


 

①相手の財産の在処を把握しておく

 離婚の際には婚姻期間に増加した財産については財産分与という形で折半するのが通常です。

 しかし、離婚を切り出すと、相手は財産を取られたくないために、財産の在処を隠してしまう場合があります。

 

 そのため、相手が財産の在処を隠すことも想定して、どのような財産をどの程度持っているのかについては予め把握しておいた方が良いです。

 このようにしておくと、財産分与でいくらもらえそうなのかの見込みが立ちますので、離婚後の生活設計にも役立ちます。

 

②相手の収入を把握しておく

 相手の収入は家庭裁判所の調停などになれば、相手が隠匿していくことは非常に難しいのが実情です。

 ただ、相手の収入を早めに把握しておけば、離婚するまでに生活費としてどの程度のお金をもらうことができ、離婚後養育費としてどの程度のお金がもらえそうかという見込みを立てることができます。

 

 なお、同居中、相手が口頭で話していた収入の金額と、実際にもらっていた給料の金額が違うと言うこともありますので、可能な限り給料明細書で相手の収入は把握しておくのが無難です。

 

③離婚原因の証拠の確保

 相手の浮気を原因とする場合や相手の暴力に耐えかねて離婚する場合は特に分かりやすいですが、このようないわゆる「離婚原因」の証拠は早い段階から集めておいた方が望ましいです。

 離婚を切り出すと、相手がしらを切るというケースもありますので、事前に証拠集めをしておくべきです。

 

 

5.今後の生活基盤の確保


 

 前述の今後の養育費の金額等とも関わってくるのですが、離婚した後の住まい、収入を得る手段については事前に目処を付けておく必要があります。

 旦那側が離婚に抵抗してくる様なケースでは、旦那側が養育費等の支払を渋ってくるケースも多いので、あまり相手からの養育費を期待し過ぎずに、どこまで生計を成り立たせることができるのかを検討していく必要があります。 

 

6.まとめ


・ 今後「やり直す」ということが絶対に無理な状況かよく考える。

・ 離婚に伴うお子様への影響を考える

・ 相手が離婚に反対してきた場合の備えをする。

・ 今後の生活基盤を確保する。

 

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