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【モラハラタイプ別対処法4】ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)モラハラ夫への対処法

2021.09.01更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

今回は、このようなモラハラ夫の中でも「ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)夫」を取り上げて、その夫との別居や離婚を決意した時、どのように対応すればよいのかについて解説します。
ここでの「ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)」というのは、
①以前、夫が間違ったことをしてしまったのに、現在ではそのことをごまかすとか、覚えていないふりをする、とか
②生活方法や育児の方法等について、つい先週言っていたことと今日言っていることが違う、とか
③自分の健康のことや子供の健康のことについて、以前はNGとしていた方法を今は推奨してきたりする、とか
④その場の雰囲気、こちらの態度によって、さっき言っていたことと違うことを言い始める、とか
⑤夫の言うことがともかくすぐに変わるので、それに振り回されることで心理的に疲れてしまう、とか
の例があります。

 

あまりに言っていることが変わるので「さっきはこう言ってたのにね」などと指摘すると、モラハラ夫側は「(さっき)そんなことは言ってない」「言うはずない」とか「それはお前の聞き間違いだ」とか「あの時の話は冗談に決まっているだろ」などと返答してきて、議論がかみ合わないケースも多いです。そのような場合には、より一層対応に苦慮することになります。

今回のブログは、このようなモラハラ夫との円満生活を目指すということではなく、当該モラハラ夫と別居・離婚する決意を固めた方向けのブログになりますので、ご留意の上、お読みください。

 

 

2.「ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)」モラハラ夫はかなり多い


私も日頃からモラハラ夫と対峙していると、「ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)」夫と対峙することはかなり多いです。

このように、言っていることが変わる頻度や内容については夫側によってかなり異なってくるのですが、いずれにしましても、このようによく変節するモラハラ夫の数はかなり多いという印象で、モラハラ夫の共通項の一つと言っても良いと思います。

ただし、このような変節については、大きく分けますと、①意図的に嘘をついている(よくあるのは、自分に都合が悪い話なので意図して嘘をついているケースが多いです)ケースと、②嘘をついているわけではなく、自身の母親やテレビの知識等の新しい情報を得て、考え方を改めたというケースがあります。

 

いずれの理由による変節だとしましても、このように普段から言うことがコロコロ変わる夫と生活しなければならないことになりますと、あなたやお子様達も夫の考えに振り回され続けますので、日常生活の中で心理的に疲弊していってしまうケースが多いです。

 

3.モラハラの証拠集めのポイント


 夫側が①以前話していた内容と②今話している内容の両方についてLINEやメールがあれば、モラハラを証明する一つの証拠になり得ます。
 ただ、言うことが変わる内容が、些細な内容の場合には、モラハラの証明としては弱いと思います(例えば、先週はカーテンの色は青色が良いと言っていたのに、今日はカーテンの色は緑が良いと言っていると言ったことは、家庭内の重要な出来事とは言えないと思います)。

 

そのため、家族としての重要な決め事や今後に関わる重要な出来事、お子様にとって重要な出来事等について、モラハラ夫の考えや言い分が大きく変更になっているという視点から証拠集めをすることがポイントになります。
 以前の発言と今の発言を比較するにあたっては、モラハラ夫が直接送ってきたLINEやメールが証明にあたって簡便かと思います。

 このような変節だけではなく、LINEやメールでの表現方法が「きつい」という場合には、モラハラの悪質性を高める事情になりますので、この点も意識して証拠集めをしてみてください。
 いずれにしましても、証拠集めのことなどで迷うようなことがあれば、遠慮なく弁護士秦まで直接ご相談ください。

 

 

4.自分で別居・離婚を切り出すべきか


 ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)モラハラ夫だとしても、奥様の方から別居を切り出すと、そのことでショックを受けて、一旦は別居を受け入れてくれる可能性もあるということでしたら、ご自身で別居を切り出すということは考えてみても良いかと思います。
 ただ、口頭での話し合いで言ったことについては、モラハラ夫は、後から「そんなことは言っていない」とか「あの時の話は冗談だった」と言い始めることが多いので、①お互いに合意した内容(当面別居すると言った内容です)は書面化するとか、②お互いの両親も立ち会う席で相手に認めさせると言った形を作ったほうが良いと思います。このようにしておけば、モラハラ夫も後から「言ってない」と言いづらくなると思います。

 他方で、こちらの別居や離婚に断固反対してくる可能性が高いとか、モラハラ夫側が書面に署名押印する可能性が低いという場合には、あなたとモラハラ夫との二人だけでの話し合いで別居話等を切り出すことは避けたほうが良いかもしれません

 

 

5.親族等を交えて話をすることは効果的か?


 前述の通り、あなたと夫の二人での話し合いが可能であれば実践してみたほうが良いと思いますが、二人での話し合いが難しいとか、一旦話して見たが折り合いがつかなかったというような場合には、あなたのご両親や夫側の両親、その他兄弟姉妹等を交えて話をするという方法も考えられます。
 ただ、モラハラ夫は、あなたの親族を交えても、平気で噓を並べ立ててくる可能性もありますので、事前の準備が欠かせません。つまり、あなたの方で、家庭内でどのような被害を受けてきたのか、どのくらいの期間そのようなことが続いてきたのかをしっかりと親族に伝えて、きちんと理解を得ておく必要があります。

 また、親族があなたの話に懐疑的な場合には、モラハラの証拠なども見てもらって、理解を深めてもらっても良いと思います。
 このように事前に家庭内の実情をしっかりと理解してもらっておけば、あなたの親族が、モラハラ夫の嘘に騙されてしまうということは避けられると思います。

 

 

6.別居のタイミングは?


 前述のように、あなた自身がモラハラ夫と直接話をするか、親族を交えた話をすることが可能な場合には、その話し合いの進捗を見つつ、別居のタイミングを検討していくことになります。話し合いが順調に進むようでしたら、先に離婚届を提出して、その後に別居するという手順になることもあります。
 逆に、モラハラ夫と直接話をすることが難しいような場合には、まずは、何も告げずに別居するところからスタートするというケースの方が多いと思います。その場合の別居のタイミングについては、①あなた自身が今の生活にどの程度の期間耐えられるのかという点と、②別居後の生活を経済的にどのように成り立たせるのか、③お子様への説明等との兼ね合いで時期を検討していくことになります。②の経済面については、夫側から婚姻費用を得られるという点を考慮しても良いのですが、モラハラ夫は、こちらの別居後は生活費を出し渋るケースが非常に多いため、少なくとも別居後数か月の生活は維持できる経済的基盤を整えておく必要があります。

 

 

7.弁護士はどのような進め方をするのか


 奥様に対しては、言うことがコロコロ変わるモラハラ夫も、弁護士を相手にすると言うことがあまり変わらないというケースも多いです。そのような場合には、特に相手の言うことに振り回されるようなこともなく事件処理を進めていくことができます。
 他方で、奥様に対してもそうであったように、弁護士に対しても「ともかく言うことがコロコロ変わる夫」というモラハラ夫もいます。
 その場合には、基本的な離婚して良いのか、とか親権を譲るつもりがあるのかといったことですら、先週と言っていることが変わっているということもありますので、そのような場合には、モラハラ夫の発言に一喜一憂せずに進めていくことが多いです。

 このように言い分がコロコロ変わる夫とは、仮に協議離婚の話し合いができたとしても、その内容を反故にしてきたり、実際にこちらが離婚届を提出しようとすると妨害してくる(例えば、離婚届不受理申請をしてくるとか)ことも多いので、極力協議離婚には時間をかけず、調停で離婚を目指すケースが多いです。
 なぜ、調停での離婚を目指すのかと言いますと、裁判所の調停室で先方が合意した内容は、調停調書という書面が作成され、その内容については、後から先方も不服を申し立てることが基本的にできなくなるからです。そのため、後から先方が「そんなつもりではなかった」といったとしても、内容を簡単に変更できなくなりますので、調停という手段を用いるのです。

 

 

8.まとめ


・「ともかく言うことがコロコロ変わる(平気で嘘をつく)」というのは、モラハラ夫の中でもかなり多い印象である。
・モラハラ夫の以前の発言と今の発言両方についてLINEやメールがあれば、一つの証拠になるが、モラハラの証明という観点からは、家庭にとっての重大事なのか、お子様にとっての重大事なのかといった視点で絞り込みが必要である。
・約束した内容を書面化してくれるのであれば、あなたが直接別居を切り出すということを考えてみても良い。
・親族等を交えて話をする場合にも、事前にしっかりと話をして、深く理解してもらったうえで間に入ってもらうべきである。
・弁護士が間に入ると、そこまでコロコロと言うことが変わらないというケースの方が多い印象である。
・他方で、弁護士が間に入っても、言うことがコロコロ変わるモラハラ夫は相当数いて、そのような場合には早めに調停を起こすことが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラタイプ別対処法3】ともかく口がうまいモラハラ夫への対処法

2021.09.01更新

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1.モラハラとは何だ?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

今回は、このようなモラハラ夫の中でも「ともかく口が上手いモラハラ夫」を取り上げて、その夫との別居や離婚を決意した時、どのように対応すればよいのかについて解説します。
ここでの「ともかく口が上手い」というのは、
①夫側の言い分を正当化することが非常に上手なので、こちらは常に言いくるめられてしまう、とか
②夫に都合の悪い話も、うまく話題をそらされてしまうので、議論がかみ合わない、進展しない、とか
③夫の生活態度等を注意したいのに、こちらに責任転嫁され結局こちらが悪者にされてしまう、とか
の例があります。

このようなモラハラ夫との円満生活を目指すということではなく、当該モラハラ夫と別居・離婚する決意を固めた方向けのブログになりますので、ご留意の上、お読みください。

 

 

2.「ともかく口が上手い」というのは、相当数あるが、必ずしも主流派ではない


私も日頃からモラハラ夫と対峙していると、「ともかく口が上手い」というか、色々と理屈付けをしてくる夫と対峙することも相当数あります。
ただ、このような「ともかく口が上手い」という特性がモラハラ夫で多く見られる特徴かというと、そうではない印象です。
私がモラハラ夫と対峙していると、独自の考え方を持っており、そのことへのこだわりが強いとか、「どのモラハラ夫にも共通する」と思われる共通点があることも多いのですが、「ともかく口が上手い」という特徴は、モラハラ夫の中でも必ずしも主流派の特徴ではないと感じるのです。

もちろん、主流派ではないから「モラハラには該当しない」ということではありませんし、このように普段から口が上手い夫と生活しなければならないことになりますと、基本的にはあなたの考え方は常に否定され続けますので、自己肯定感が弱まっていき、夫との生活が非常に息苦しく感じていくことになるケースが多いかと思います。

 

 

3.モラハラの証拠集めのポイント


 「ともかく口が上手い」というモラハラについては、その内容が抽象的であるというところもあって、これを直接証明する証拠を準備することは非常に難しいと思います。
 そのため、一般的には、奥様の方からの真っ当な要求が認められないことが多かったとか、モラハラ夫からの理不尽な要求に従わざるを得なかったと言った点について、LINEやメール、録音などがあれば、一つの証拠になります。
このように、相手の言い分が理不尽なのか、あなたの言い分が真っ当なのかというところが一つの基準になりますので、あなた自身判断に迷うようなことがあれば、あなたの親族等に打ち明けて意見を聴くなどすると、より客観的な判断が可能になるかもしれません。
 いずれにしましても、証拠集めのことなどで迷うようなことがあれば、遠慮なく弁護士秦まで直接ご相談ください。

 

 また、モラルハラスメントの悪質性という観点からは、①夫の言い分の理不尽性も重要なのですが、そのことに加えて、②「きつい表現」で言ってくることが多かったとか、③こちらへの侮辱や人格否定の言葉が出てくることが多かったとか、④2時間・3時間もの説教になることが多かったといった事情があると、より悪質性を高める要素となります。

 モラハラの証拠集めという観点からは、このような「悪質性」も意識すると良いと思います。

 

 

4.自分で別居・離婚を切り出すべきか


 もちろん、夫が口が上手いとしても普段の会話の中で特にあなた自身が言い負けてはいないという場合には、あなたの口から直接別居や離婚を切り出してみても良いと思います(但し、このような夫婦の会話の中で夫側は、こちらの情報を引き出そうとしてくることも多いので(例えば、別居先をどのあたりにする予定なのかとか、どこまで別居準備が進んでいるのか、といった点)、ついこちらの情報を話してしまいそうなリスクがあるようなら、直接の会話は避けた方が良いかもしれません)。

 ただ、口の上手いモラハラ夫に悩まされているケースの場合、①こちらの意見が通ることは限りなく少ないとか、②ほとんど常に夫の意見が通るというケースが多いと思います。

 そうだとすると、普段から口が上手いモラハラ夫を相手にすると、あなたは、モラハラ夫に言い負かされるだけなので、二人だけの話し合いで別居や離婚を切り出すのは避けたほうが良いと思います。

 

 

5.親族等を交えて話をすることは効果的か?


 前述の通り、あなたと夫の二人での話し合いは極力避けたほうが良いと思いますので、話し合いをするのであれば、あなたのご両親や夫側の両親、その他兄弟姉妹等を交えて話をした方が良いです。
 ただ、モラハラ夫は、あなたの親族を交えても、あなたの親族を丸め込もうとしてくることもありますので、事前の準備が欠かせません。つまり、あなたの方で、家庭内でどのような被害を受けてきたのか、どのくらいの期間そのようなことが続いてきたのかをしっかりと親族に伝えて、きちんと理解を得ておく必要があります。
 また、親族があなたの話に懐疑的な場合には、モラハラの証拠なども見てもらって、理解を深めてもらっても良いと思います。
 このように事前に家庭内の実情をしっかりと理解してもらっておけば、あなたの親族が、モラハラ夫の味方になってしまうということは避けられると思います。

 

 

6.別居のタイミングは?


 前述のように、あなた自身がモラハラ夫と直接話をするか、親族を交えた話をすることが可能な場合には、その話し合いの進捗を見つつ、別居のタイミングを検討していくことになります。話し合いが順調に進むようでしたら、先に離婚届を提出して、その後に別居するという手順になることもあります。
 逆に、モラハラ夫と直接話をすることが難しいような場合には、まずは、何も告げずに別居するところからスタートするというケースの方が多いと思います。その場合の別居のタイミングについては、①あなた自身が今の生活にどの程度の期間耐えられるのかという点と、②別居後の生活を経済的にどのように成り立たせるのか、③お子様への説明等との兼ね合いで時期を検討していくことになります。②の経済面については、夫側から婚姻費用を得られるという点を考慮しても良いのですが、モラハラ夫は、こちらの別居後は生活費を出し渋るケースが非常に多いため、少なくとも別居後数か月の生活は維持できる経済的基盤を整えておく必要があります。

 

 

7.弁護士はどのような進め方をするのか


 私が事件を担当する際、奥様の方から「相手は本当に口が上手いので気を付けてください」とか「言いくるめられないように注意して下さい」などとアドバイスをもらうこともありますが、弁護士は話をするのが仕事でもありますので、私自身、相手の話し方のペースに乗せられるようなことはありません。
 ただ、このように口が上手いモラハラ夫は、①私(弁護士)が認識していない事実をぶつけて来て揺さぶりをかけてくる、とか、②話し合いの中で、私(弁護士)がどこまでの事実を認識しているのか探りを入れようとしてくることもありますので、このようなモラハラ夫の意図を感じた場合には、注意して交渉を進めていくことも多いです。

 いずれにしましても、このように口が上手いモラハラ夫は、私が奥様から聞いていない事実を取り上げて、交渉のペースを握ろうとしてくることが多いので、私の方では、奥様と極力過去の経緯等について詳しい確認をしておいて、「奥さんと綿密に事実確認をしたうえで臨んでいる」という姿勢を示す形を取ることが多いです。
 このように口が上手いモラハラ夫は、相手が自分のペースに乗ってこないと認識し始めると、極力弁護士と直接話をすることを避けることが多いように感じます。
 そのような傾向が見えてきた場合には、相手が結論先延ばしにしようとしているという意図が見て取れますので、調停に切り替えて手続きを進めることが多いです。

 

 

8.まとめ


・「ともかく口が上手い」というのは、モラハラ夫の主流派の特徴ではないように感じる。
・「ともかく口が上手い」ということを直接証明することは難しいので、理不尽な要求が行われたこと等の証拠集めをしていくことになる。
・あなたが直接別居や離婚を切り出しても、言いくるめられてしまうだけなので、二人だけの話し合いでこのような話を切り出すことは避けたほうが良い。
・親族等を交えて話をする場合にも、事前にしっかりと話をして、深く理解してもらったうえで間に入ってもらうべきである。
・弁護士が間に入る場合でも、弁護士の方で過去の経緯についてしっかりと確認を行ったうえで話を進めた方が良い。
・モラハラ夫は自分のペースで話ができないと弁護士と疎遠になっていくことが多いので、そのような場合には早めに調停を起こすことが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラタイプ別対処法2】ともかく外面が良いモラハラ夫への対処法

2021.09.01更新

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1.モラハラとは何だ?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

今回は、このようなモラハラ夫の中でも「ともかく外面が良いモラハラ夫」を取り上げて、その夫との別居や離婚を決意した時、どのように対応すればよいのかについて解説します。
ここでの「ともかく外面が良い」というのは、
①家庭内では自分が一番なのに、職場では、非常におとなしい、とか
②家庭内では平気で暴言を浴びせてくるのに、友人が来たときには終始穏やかに接してくる、とか
③妻側の親族や親戚に取り入ることが非常に上手である、とか
の例があります。

このようなモラハラ夫との円満生活を目指すということではなく、当該モラハラ夫と別居・離婚する決意を固めた方向けのブログになります。要するに、モラハラ夫と多少なりとも良好な関係を維持したいということでは「なく」、どのようにして円滑に「別れる」のかということを解説していますので、そのような観点から、お読みください。

 

 

2.モラハラ夫の中で「ともかく外面が良い」という夫はかなり多い


 私がモラハラ夫と対峙した時の印象として、その仕草や話しぶりから穏やかな夫に見えるというケースはかなりの数ありまして、モラハラ夫の共通項の一つとも言い得るものです。
 どうしてこのようなことが起きるのかと言いますと、私なりに分析しますと、モラハラ夫は独自の考え方を持っている人物が大半で、職場での仕事やその他の社会生活の中で、様々なストレスを抱えていることが多いです。そのようなストレスを抱えたままだと生活がしづらいので、そのようなストレスを家庭内で発散するため、家庭内ではモラハラ夫、家庭の外では「良い夫に見える」という構造に陥っているように感じます。

 もちろん、家庭の外でストレスを抱えているからと言って、それを家庭内に持ち込んで良いことではありませんが、家庭の外と内とで、まるで別人のように見えるのは、上記のような構造が影響しているケースが多いように感じます。
 このように夫が外面が良いと、あなたが友人や場合によっては親族に相談した場合でも、友人や親族があなたの味方をしてくれずに、そのことで余計に苦しむというケースも多くあります。そのことで、あなた自身自信を無くしてしまうということもあるかもしれませんが、夫の家庭内の言動に深く悩まされ続けてきたような場合には、別居や離婚をためらうべきではないと思います。

 

 

3.モラハラの証拠集めのポイント


 夫側が「ともかく外面が良い」というモラハラ夫の場合、家庭の外で「外面が良い」ことの証拠を集めても、夫側に有利になるだけで、あまり有効ではありません(要するに、「外面が良い」というだけですと、裁判所から見ても「社会生活をしっかりと送っている」と見られてしまうので、夫側に有利になってしまうという意味です)
 そのため、モラハラの証拠集めという場合には、家庭の「中」ではこのような異常な行動や言動に出ると言った、家庭内での行動等についての証拠集めが必要になります。
 このようなモラハラ夫は、自分のモラハラ発言の証拠を残したがらないので、LINEやメールにモラハラ発言が書かれることは少ないのですが、感情的になった際には、夫が自分の考えをメールやLINEで爆発させるケースもありますので、そのようなLINEやメールは、モラハラの直接の証拠になり得ます(但し、LINEなどですと、モラハラ夫は後から自分の投稿を送信取消してくることも多いので、このようなLINEは早めにスクショを取るなどして証拠化しておくことが重要です)。

 外面が良いモラハラ夫も、家庭内では口頭でモラハラ発言を連発するという人も多いので、そのようなケースですと、その都度録音しておくということが最も有効な対処方法になります。
 いずれにしましても、証拠集めのことなどで迷うようなことがあれば、遠慮なく弁護士秦まで直接ご相談ください。

 

4.自分で別居・離婚を切り出すべきか


 奥様自身でモラハラ夫に対して別居や離婚を切り出したほうが良いのかについては、家庭内でのモラハラの内容次第というところかと思います。
 モラハラの内容が悪質なケースですと、奥様自身から別居や離婚を切り出すことは基本的にお勧めしません。

 

 他方で、家庭の外と内とで態度が180度違うとしても、具体的モラハラ被害が極端なものではない場合、一度は奥様自身から別居や離婚を切り出したほうが良いかと思います。奥様が今後弁護士を雇うことを考えていたとしても、一度は奥様の考えを伝えておくことで、モラハラ夫側も多少は、こちらの意思を認識するので、その後の手続が円滑に進む可能性が高まるからです。

 ただ、世間体を非常に気にするモラハラ夫の場合には、「別居」や「離婚」というキーワードに強く反応する場合もありますので、あなた自身がモラハラ夫と話をすることで、夫側をるよく刺激しそうだと感じるようであれば、直接伝えることは避けたほうが良いかもしれません。

 

 

5.親族等を交えて話をすることは効果的か?


(1)親族等が騙されてしまわないかの問題

 前述の通り、あなたと夫の二人での話し合いでは、話が進捗しなさそうだという場合には、次に、あなたのご両親や夫側の両親、その他兄弟姉妹等を交えて話をするという方法もあります。
 ただ、外面が良いモラハラ夫の場合には、あなたの親族ですら、あなたではなく、モラハラ夫側の味方をしてしまうというケースも多いので、誰を交えて話をするのかという点は慎重に検討する必要があります。

 ましてや、共通の友人を間に入れると、その友人から、あなたの方が「我慢が足りない」とか「あなたにはもったいないくらいの良い旦那さんなのに、どうして別れたいというのかが分からない」と逆に責められてしまう結果にもなりますので、注意が必要です。
 特に外面が良いモラハラ夫は、有名な大企業に勤めていたり、一定の社会的ステータスを持っていることも多いため、友人等は騙されがちです。

 

(2)あなたの気持ちに親身に寄り添ってくれる親族等であれば、有効打になることも

 前述の通り、あなたの親族等が、夫の外面に騙されてモラハラ夫の味方をしないということが大前提になるのですが、親族等が入ることで大きく離婚に向けた話し合いが進むというケースもあります。

 即ち、モラハラ夫は外面を良くしようとするので、例えばあなたのお母様の前では、モラハラ発言などを控えて冷静に話を聞くということもあり得るのです。

 但し、モラハラ夫は、前述の通り、一定の社会的ステータスを有することも多く、そのような場合、家庭内ではあなたの立場やあなたの親族側の立場も下だと考えていることも多いです。そうだとすると、あなたのご両親等が間に入っても、交渉が難航してしまうというケースもあります。

 

 

6.別居のタイミングは?


 前述のように、あなた自身がモラハラ夫と直接話をするか、親族を交えた話をすることが可能な場合には、その話し合いの進捗を見つつ、別居のタイミングを検討していくことになります。話し合いが順調に進むようでしたら、先に離婚届を提出して、その後に別居するという手順になることもあります。
 逆に、モラハラ夫と直接話をすることが難しいような場合には、まずは、何も告げずに別居するところからスタートするというケースの方が多いと思います。その場合の別居のタイミングについては、①あなた自身が今の生活にどの程度の期間耐えられるのかという点と、②別居後の生活を経済的にどのように成り立たせるのか、③お子様への説明等との兼ね合いで時期を検討していくことになります。②の経済面については、夫側から婚姻費用を得られるという点を考慮しても良いのですが、モラハラ夫は、こちらの別居後は生活費を出し渋るケースが非常に多いため、少なくとも別居後数か月の生活は維持できる経済的基盤を整えておく必要があります。

 

7.弁護士はどのような進め方をするのか


(1)全体的には早めに調停を起こすケースが多い
 このように外面が良い夫は、調停や裁判という裁判所の手続を嫌う傾向が強いので、調停といったフレーズを最大限に活用して、「裁判所の調停手続きを経ずに解決できるように、協議離婚で話し合いができませんか?」という伝え方をすることも多いです。
 外面が良い夫は、最初の内は、弁護士に対しても「穏やかな人物」であろうとするのですが、なかなか離婚の決断をしてくれないとか、徐々に本性を現してくるというケースも多いです。
 そのため、協議離婚の交渉が長期化しそうな場合には、早めに調停を起こしてしまうことが多いです。こうすることで、モラハラ夫側にも、現実に調停手続きが開始してしまったというプレッシャーを与えることができるからです。

(2)調停委員が騙されてしまった時の対策
 このようにモラハラ夫がともかく外面が良いという場合、残念ながら、裁判所の調停委員もモラハラ夫の穏やかな話し方や仕草に騙されてしまうこともあります。
 そのような場合には、別居前のモラハラ夫からのあなたに向けられた誹謗中傷メールだとか、暴言の録音だとか、何かしら夫側のモラハラを端的に証明できる資料を見せて、「外面は良いが家庭内ではモラハラ夫なんだ」ということを調停委員に理解してもらう形が端的です。

 

 

8.まとめ


・モラハラ夫の中で「ともかく外面が良い」という夫はかなり多い
・今回のようなケースでのモラハラの証明は、「外面が良いこと」ではなく「家庭内の様子がひどいこと」の証拠集めということになる。
・家庭内でのモラハラがそこまで重度ではない場合には、あなた自身の口から別居や離婚を伝えたほうが良いことの方が多い。
・夫の外面が良い場合には、親族や友人も騙されてしまうことが多いので、親族等を交えた話し合いをするかは慎重に検討したほうが良い。
・弁護士が対応する場合には、調停や裁判というフレーズを効果的に使うことが多い。
・夫の外面が良いと調停委員も騙されてしまうことがあるので、そのような場合には、客観的証拠を示して誤解を解く必要がある。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラタイプ別対処法1】ともかく自分の考えを曲げないモラハラ夫への対処法

2021.09.01更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

今回は、このようなモラハラ夫の中でも「ともかく自分の考えを曲げないモラハラ夫」を取り上げて、その夫との別居や離婚を決意した時、どのように対応すればよいのかについて解説します。

ここでの「ともかく自分の考えを曲げない」というのは、
①普段の生活・育児方法等での独自のこだわりがあって、自分が決めた生活様式を断固として曲げない、とか
②奥様の方から注意しても全く聞き入れず、むしろ、こちらの考えが非常識だと非難してくる、とか
③「俺を怒らせるお前が悪い」などと言って、暴言などを正当化してくる、とか
④奥様には節約を強要しながら、自分はゴルフ三昧で金銭感覚にずれがある、とか
⑤職場でも自分の考えを部下などに押し付けるので、トラブルが多い、とか
の例があります。

このようなモラハラ夫との円満生活を目指すということではなく、当該モラハラ夫と別居・離婚する決意を固めた方向けのブログになります。要するに、モラハラ夫と多少なりとも良好な関係を維持しようということでは「なく」、円滑に「別れる」ためにどのように対処するのかを解説するものです。そのような観点から、お読みください。

 

 

2.「ともかく自分の考えを曲げない」というのは、多くのモラハラ夫の共通項の一つでもある


私がモラハラ夫と対峙した場合、「ともかく自分の考えを曲げない」という方の方が多いという印象で、多くのモラハラ夫の共通項の一つと言っても良いと思います。

 ただ、このような自分の考えへのこだわりの強さにも、多少の特徴や傾向があったりもします。
①(傾向1)独善的な考え方でなかなか他人が理解できないものが多いか、多少なりとも理解はできる内容が多いか
②(傾向2)一切こちらの意見を聴いてくれない夫、それとも、独自のこだわりが強いものの、時と場合によっては、こちらの意見を聴いてくれる夫なのか

 ただ、多少理解可能であったり、多少はこちらの意見を聞き入れてくれるとしても、生活や家庭観の大部分で夫の考えに従わざるを得ないということになりますと、奥様としては、常にストレスを抱えて生活していかなければなりませんので、そのような生活は精神的な苦痛を伴うものが多いかと思います。

 

3.モラハラの証拠集めのポイント


 夫側が「ともかく自分の考えを曲げない」というモラハラ夫の場合、あなたに対して暴言を浴びせて来たり、物を投げつけてきたりといった行動に出るケースが多いです(自分のやっている行動はすべて正しいので、「どんなことをしても許される」というように考えているモラハラ夫が多いので)。そのような場合には、暴言の録音を取ったり、破壊された物の写真を取っておけば一つの証拠になります。また、暴言のLINEやメールがあれば、それも一つの証拠になります。

 なお、このような場合に、自分が受けた被害についてメモや日記としてまとめている人もいますが、メモや日記はあまり有効打にならないことが多いです。これは手書きであろうとスマホのメモとして残していても同様です。これらのメモは、後から修正等が可能なことが多いので、本当に当時記録していた証拠と言えるのかが明確ではないからです。そのため、メモ等に頼ることはリスクがあると考えておいた方が良いと思います。

 他方で、モラハラ夫側が、こちらの意見を聞き入れようとしないとか、あまりにも頑固であるという証拠のみですと、モラハラの証明としては若干弱い印象ですので、他の視点から証拠集めを検討してみたほうが良いかもしれません。
 いずれにしましても、証拠集めのことなどで迷うようなことがあれば、遠慮なく弁護士秦まで直接ご相談ください。

 

 

4.自分で別居・離婚を切り出すべきか


(1)「自分の考えが絶対だ」と考えているモラハラ夫の場合
 前述の独自のこだわりが強いという傾向の中でも、モラハラ夫が自分の考えが絶対だと信じており、「こちらが何を言っても聞かない」というような場合には、奥様の方から直接夫に別居や離婚話をしても聞き入れてくれる可能性は極めて低いと思います。
 逆に、このような話をすることで、こちらが余計に暴言被害に曝されたり、別居を邪魔されるというリスクもありますので、ご自身で別居や離婚の話は切り出さないほうが良いでしょう。
 ただ、その場合でも、モラハラ夫も、自分の両親に対しては頭が上がらないというような場合には、モラハラ夫の両親にも立ち会ってもらって話をするということは考えてみても良いかもしれません(その場合でも、モラハラ夫の両親がこちらの味方に立ってくれるかどうかにも寄るとは思いますが)。

(2)状況や雲行きも考慮する夫の場合
 基本的には、自分の考え方に固執するとしても、話し合いの状況や雲行きも気にする夫の場合には、あなたの方から別居や離婚の話をすることが大きな効き目になるケースもあります。
 ただ、その場合でも、夫がしきりに改善するとか今後は反省するという展開が強く予想される場合には、直接話をすべきか再考が必要かもしれません。あなたとしては、離婚の決意が固まっていますので、夫側の改善意向とでは話が折り合わないからです。 

 

5.親族等を交えて話をすることは効果的か?


 前述の通り、あなたと夫の二人での話し合いでは、話が進捗しなさそうだという場合には、次に、あなたのご両親や夫側の両親、その他兄弟姉妹等を交えて話をするという方法もあります。
 ただ、モラハラ夫が、絶対に自分の考えを曲げないと言う人物の場合や、自分の考えが絶対に正しく、それに反する考えを全否定するという場合には、ご親族を交えることで話が進捗する可能性は低いかと思います。そのような場合には、親族等を交えた話し合いは試さずに別居するという進め方の方が多いかと思います。

 

 

6.別居のタイミングは?


 前述のように、あなた自身がモラハラ夫と直接話をするか、親族を交えた話をすることが可能な場合には、その話し合いの進捗を見つつ、別居のタイミングを検討していくことになります。話し合いが順調に進むようでしたら、先に離婚届を提出して、その後に別居するという手順になることもあります。

 逆に、モラハラ夫と直接話をすることが難しいような場合には、まずは、何も告げずに別居するところからスタートするというケースの方が多いと思います。その場合の別居のタイミングについては、①あなた自身が今の生活にどの程度の期間耐えられるのかという点と、②別居後の生活を経済的にどのように成り立たせるのか、③お子様への説明等との兼ね合いで時期を検討していくことになります。②の経済面については、夫側から婚姻費用を得られるという点を考慮しても良いのですが、モラハラ夫は、こちらの別居後は生活費を出し渋るケースが非常に多いため、少なくとも別居後数か月の生活は維持できる経済的基盤を整えておく必要があります。

 

 

7.弁護士はどのような進め方をするのか


 前述の通り、家庭内では、ともかく自分の考えを曲げないとしても、家庭の外では、自分の考えを表面化させないというモラハラ夫もいます。また、家庭内では「自分が一番」だとしても、権威に弱かったり、弁護士相手だと声が小さくなるというモラハラ夫もいます。
 そのような場合には、粘り強く説得すれば、協議離婚で解決できたケースもあります。
 また、このような夫の場合、プライドが高いことも多いので、必要以上に夫側のプライドを傷つけない形で協議を行うことも多いです。

 他方で、家庭の内でも外でも自分の考えが絶対だと考えているような夫だと、弁護士から何か話をしても、全く聞き入れないため、協議離婚を目指すのではなく、早めに離婚調停を起こすというケースもあります。
 私が事件を担当するような場合には、一度はそのモラハラ夫と顔を合わせて話をし、夫側のキャラクターを見極めて、協議離婚を目指すのか、協議離婚ではなく調停離婚に舵を切るのかを判断することが多いです。

 

 

8.まとめ


・「ともかく自分の考えを曲げない」というのは、多くのモラハラ夫の共通項の一つでもある
・自分の考えに固執する夫の場合、奥様に暴言を吐いたり、物を投げてくることが多いので、その証拠を取っておくと、モラハラの証拠になり得る。
・「自分の考えが絶対だ」と信じているモラハラ夫の場合、奥様の方から別居・離婚を切り出すと逆効果のことが多い。
・「自分の考えが絶対だ」と信じているモラハラ夫の場合、親族等を交えて話をしても効果が薄いことが多い。
・そのようなモラハラ夫も権威に弱い場合には、弁護士として協議離婚を目指すこともあるが、そうでない場合には、早めに調停を起こすケースが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【今からできる】モラハラ・DV夫との離婚対策(1)―早期の離婚実現のために

2021.08.30更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.【今からできる】離婚対策とは?


 今回は、あなたがまだモラハラ・DV夫と同居中だということを前提に、どのような準備をしておけば、早期離婚実現に役立てられるのかという観点から解説していきます。
 既に別居してしまったという方にも参考にはなりますが、主として、今も同居している方を対象にしておりますのでご注意ください。

 

 

2.【対策①】まずは、モラハラがどのようなものなのかをしっかりと知る


 一言で「モラハラ」と言っても様々な形態があります。
 また、モラハラ=暴言と誤解なさっている方も多いです。
 そのため、まずは、モラハラの意味をしっかりと理解することが大事です。
モラハラ夫の行動や言動には共通点も多いのですが、項目が多くなってしまうものですから、まずは、モラハラ夫はどのようなキャラクターの人が多いのかについてご紹介し、その後に、具体的にどんな行動・言動がモラハラにあたるのかをご紹介します。

(1)モラハラ夫の性格(キャラクター)の共通項とは?
 モラハラ夫は以下の様な性格(キャラクター)の方が多い様に感じますので、まずは、あなたの旦那様に当てはまるものがないか確認してみて下さい。

①何でも自分優先である。
②マイルールや独自のこだわりがある(しかも、一般の人が理解しにくいルールであることが多い)
③自分の非を認めない。
④嫉妬深い、執念深い。
⑤あなたやお子様に対する束縛やルールが多い。
⑥他人を信用せず、友人が少ない。
⑦スイッチが入ると急変する。
⑧メンタルが弱い、または、メンタルが弱いふりをする。

 上記の①から⑧のうち、2,3個以上当てはまる場合には注意信号と言えます。

 なお、これらの項目のうち沢山の項目に当てはまる方が、「より深刻」と言えなくもないのですが、あてはまる項目は少なくても、ひどいモラハラ夫ということもありますので、「該当する項目の数が少なければ問題が少ない」というわけではないので、ご留意下さい。

(2)モラハラ夫の「モラハラ発言」「モラハラアクション」とは?
 モラハラの定義である「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」と言われてもピンと来ない方が多いのではないでしょうか。そこで、一定の類型化をするとモラハラとは以下の様に分類できるのではないかと思います。以下のうち、どの項目に該当するかチェックして整理すると、あなたのモラハラ被害を客観視できると思います。

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

⑳生活費を渡さない。

 この20項目のうち、5,6個以上当てはまる場合には、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。直接当てはまらない場合でも、「ニアピン」のような項目が7,8個以上ある場合にも、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。

 なお、これらの項目のうち沢山の項目に当てはまる方が、「より深刻」と言えなくもないのですが、あてはまる項目は少なくても、ひどいモラハラ夫ということもありますので、「該当する項目の数が少なければ問題が少ない」というわけではないので、ご留意下さい。
 

 

3.【対策②】説得を試みるべきかを検討する


 夫の側が少しはあなたの言葉に耳を傾けてくれるというような場合には、何も告げずに別居したり、いきなり弁護士を頼んだりせずとも、夫側を説得して離婚できるかもしれません。
 他方で、あなたの方から別居や離婚を口にすると、モラハラ・DV夫が逆上して、モラハラ・DVがより一層悪化する危険性もあります。
 そのため、まずは、あなたの口から直接別居や離婚を夫側に伝えることが良いのかを、あなたの両親等身近な人と相談して検討してみるのが良いと思います。
 その際に、あなたと夫の二人で話し合っても議論が進展しなさそうだと感じるのであれば、お互いの両親を交えたり、知人を間に入れて話し合うほうが良いこともありますので、そのような方法も検討してみてください。

 

 

4.【対策③】離婚に向けての証拠準備


(1)公的機関の記録を収集しておく
 これまでの夫からのモラハラやDVであなた自身身の危険を感じることがあったような場合には、あなた自身病院の受診を受けたり、過去に警察に相談したことがあったかもしれません。
 そのような場合には、別居を待たずに、その病院から診断書をもらっておくとか、警察に110番通報記録や相談記録のコピー開示を要請しておくといった準備をしておいたほうが良いでしょう。これらの記録は保存期間がありますので、あまり古い記録については、年数を経てから開示申請しても、保存期間切れになってしまうこともあります。この点は十分注意が必要です。
 これらの記録を読み返すと、いつどのようなトラブルがあったのかを思い出すきっかけにもなると思います。

(2)公的機関への相談をする
 これまでに公的機関への相談をあまりしてこなかった場合でも、現状あなたやお子様が身の危険を感じるような場合には、その内容を今からでも警察や子育て支援センター等に相談するということも考えてみてください。
 このように相談しておけば、安心感が高まりますし、相手の危険な行動等について公的機関の記録を残すことができます。

(3)録音等の証拠収集
 モラハラ・DV夫の暴言がひどいという場合には、スマートフォンや録音機器でその音声を録音しておいたほうが良いです。
 また、夫からの暴力で怪我をさせられたというような場合には、病院に受診し、その怪我についても写真を撮っておくようにして下さい(なお、怪我の写真は怪我の部位だけではなく、あなたの顔も映るような形にしておくのが良いです)

(4)過去のメールやLINE等の確認
 夫がメールやLINEであなたのことを中傷等してきたというような場合には、そのメールやLINEの内容は証拠になり得ます。
 機種変更する前の携帯電話に保存していたりすることもありますので、遡って確認する必要が出てくることもあります。
 そのようなメールは、スクショを取ってデータとして保存しておくのが良いと思います。LINEについては文字データに変換して保存しておくと便利です。

(5)日記やメモはあまり証拠にならない
 モラハラの証拠といった場合に、手書きのメモを事細かに残している方や、問題行動があった日に日記帳に記載しているという方もいらっしゃいます。
 ただ、これらの証拠はあまり有効打にならないことが多いです。
 なぜなら、その日記をいつ書いたのかの証明ができないからです(極端な話、実際には別居後に思い出しながら書いていても、「当時から記入していたものだ」と豪語することも可能になってしまうからです)

 そのため、証拠が日記やメモだけという場合には、これから別居までの間に他の証拠を集められるようなら集めるようにした方が良いです。

 

 

5.【対策④】夫側が反省しているようであれば誓約書や謝罪文を取っておく


 こちらが強く言うと、夫側が翌日は反省しているというようなケースもあると思います。
そのような場合には、夫自身に自分の問題行動を自筆で書かせて、そのことを反省していることや、二度と同じことをしないといった内容を自筆で書かせておくということも有効です。
 このようなことをしておけば、その時に夫婦間でトラブルになったこと、夫側自身もそのことを自覚していることの証拠になりますし、その後も同様の行動が繰り返されるようであれば、こちらの離婚理由を多少なりとも強める効果が見込めます。

 

 

6.【対策⑤】夫側の財産の在処を確認しておく


 いざ別居をすると、夫側は、財産を隠して、なるべく財産分与の金額を少なくしようとしてくることが多いです。

 そのため、同居中に、夫側の財産の在処を把握しておくことが必要です。

 夫側の財産の把握にあたっては、夫宛の郵便物を確認するのが端的です(郵便物を勝手に開けてしまうことは避けた方が良いのですが、金融機関等からの封筒の外側には銀行名や証券会社名が書かれていることが多いので、どの銀行に預金を預けているのか、どの証券会社で株取引をしているのかが分かることが多いのです)

 

 

7.事前の準備がその後の離婚に向けての活動に活きてくる


以上のような準備を入念に進めておけば、いざ別居をして弁護士に相談する際にも、要点を踏まえた相談ができるようになりますので、弁護士の活動を円滑化できると思います。
また、相手にも自身の問題行動を多少なりとも自覚させておくことができれば、相手が復縁を断念して、離婚に向けての協議に応じてくる可能性も高まります。

 

 

8.まとめ


・【今からできる離婚に向けての対策①】モラハラの意味をしっかりと理解する
・【今からできる離婚に向けての対策②】相手の説得を試みるべきかを検討する
・【今からできる離婚に向けての対策③】モラハラ等の証拠固めをする
・【今からできる離婚に向けての対策④】夫側が反省しているようであれば誓約書や謝罪文を取っておく

・【今からできる離婚に向けての対策⑤】夫側の財産の在処を把握しておく

 

 

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モラハラ・DV夫からの付きまとい等を防止する9個の手段

2021.08.23更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.無事に別居に成功しても、その後、つきまとわれることが不安


 モラハラ夫・DV夫と別居する場合、事前にそのことを知らせてしまうと、別居そのものを妨害されたり、モラハラ・DV被害が悪化する危険性があるため、そのことを知らせずに別居を開始するというケースも多くあります。
 ただ、別居そのものは成功しても、こちらの所在を知られないかという点は大きな心配事の一つだと思います。
 そこで、今回は、そもそも、こちらの居場所を知られないためにどのような方法があるのか、また、付きまとい等を防止するためにはどのような方法があるのかといった点について解説していきます。

 

 

2.こちらの居場所を知られないようにするための方法


 同居中にモラハラ被害・DV被害を受けてきた場合、こちらの転居先を知られないことは非常に重要です。そこで、まずは、こちらの別居先をモラハラ夫側に知られないようにどのような工夫等をしているのかについて、以下の通り、解説します。
(1)別居先選び
 まず一番大事になってくるのは別居先選びということになります。
 経済的な理由から実家を別居先にせざるを得ないという場合、その別居先を先方に隠し通すということは難しいことが多いです(一般的には、旦那側は、別居先として奥様の実家を最初に思い浮かべるため)。

 先方に絶対に別居先を知られたくない、しかし、経済的な理由から一般のアパートを借りたりもできないという場合には、区役所等経由でシェルターに避難するという方法もあります。シェルターは基本的に所在そのものが秘密にされていますので、こちらの居場所を知られないためには一番安心とも言えます。
 ただ、シェルターでは、携帯電話の使用が禁止されていたり、外部の親族との連絡も禁止されていたりと規律がやや厳しいのが難点です。また、ある程度年齢の大きなお子様と一緒にシェルターに避難することはできないことが多いです。
 そのため、消去法的に、あなたの名義でアパートを賃借せざるを得ないというケースもあります。

 その場合も、あなたがモラハラ・DV夫と直接連絡を取り合っている状況が続くと、夫側は執拗にあなたの居場所を聞き出そうとしてくることが非常に多いので、別居と同時に弁護士を雇って、弁護士を連絡窓口にするケースが多いです。

(2)住民票をどうするか
 住民票については、あなたの勤め先やお子様の学校との関係で、特に移動しなくても支障がないということでしたら、移動しないままにしておくのが一番安全です。
 他方で、あなたの勤め先との兼ね合い、お子様の学校との兼ね合いで住民票を移動せざるを得ないという場合には、同時にDV支援措置をかけなければいけません。要するに、夫も含め第三者があなたの住民票等を見られなくするのです。
 DV支援措置を取る場合には、事前に警察やDV相談センターへ相談して証明を得る必要があります。

 DV支援措置については、区役所で相談すると詳しく教えてくれることが多いので、そのようにご対応下さい。

(3)健康保険についての注意
 一般的には、夫側の方があなたよりも収入が高いので、お子様の健康保険は夫側の保険に加入していることが多いと思います。また、あなたのお勤め先との関係では、あなた自身も夫側の保険に加入していることもあると思います。
 そのような場合、数か月に1回程度の頻度で、あなたやお子様の受診歴が夫側に送られてしまいます。
 そのため、あなたの今のお住まいの近くの病院にかかってしまいますと、その病院の名前から夫側がある程度あなたの居住圏を把握してしまうリスクがあります。
従って、あなたやお子様が医療機関を受診する場合には、元々の自宅近くの病院を受診するか、その健康保険組合が対応してくれるのであれば、夫側に受診歴を送らないように申請しておく必要があります。

 

 なお、健康保険組合に詳しい事情を伝えると、夫の健康保険から強制的に脱退することも可能なのですが、この手段を取りますと、あなたが直接健康保険組合宛てにDVの相談をしていることが夫側に知られてしまいます。具体的には、健康保険組合から夫に対して直接「奥様からこのような申告がなされていますので、脱退届を提出して下さい。届を提出しなければ強制的に脱退することになります」といった連絡がなされてしまうのです。当然ながら、夫は、「うちの健康保険組合に余計な話をした」ということで激怒することが多いので、この手段は最終手段だとお考え下さい。

 

(4)裁判所の書類は、旧住所を用いることが多い

 離婚調停を起こす場合など、調停申立書にあなたの住所を記載する欄があるのですが、その欄には、旧住所(モラハラ・DV夫と一緒に住んでいた住所)を記載することが多いです。

 それ以外にも、陳述書など、あなたの住所やお子様の小学校名等を記載する欄があるのですが、いずれも「秘匿」と記載するなどして対応します。

 裁判所の書類は、裁判所側だけではなく、夫側も見ることができる書類が多いので、注意しながら対応する必要があります。 

 

 

3.付きまといを防止するための方法


 別居先としてあなたの実家を選んだ場合や、あなたの勤め先を変更できないため、夫側に勤め先は知られているというような場合には、夫が実家を急に訪れたり、あなたの勤め先にやってくるというケースもあります。
このような付きまといを防止するためにはどのような手段があるかについて解説します。

(1)夫がDV夫で、その客観的証拠もあるなら保護命令が一番安心
 同居中の夫の問題行動がモラハラだけではなく、直接的な暴力等の場合で、あなたが怪我をした診断書や打撲の写真等がある場合、DV防止法上の保護命令を申し立てる方法が一番効果的です。
 この保護命令というのは、6か月間あなたに近付くこと等を禁止する命令(接近禁止命令)になります。
 6か月間という期間限定にはなりますが、この命令の内容は警察にも共有されますので、格段に警察に相談しやすくなりますし、警察も厳格に対応してくれます。
 このように安心な反面、裁判所も安易に保護命令は出してくれませんので、あなたが怪我をした診断書や打撲の写真等の客観的証拠を要求されることが多く、これがないと認められにくいという点が難点と言えます。
 また、保護命令は6か月という期間に限定されますので、この6か月間の間に夫側が特段大きな問題を起こさない場合には延長が認められないというのも短所の一つと言えます。

(2)警察への相談
 前述のようなDV防止法の保護命令は認められないとしても、あなたが夫と一緒に生活していた際によく怒鳴られていたり、脅迫されていたというような場合には、警察に相談すると、親身に相談に乗ってくれます。
 警察署によって対応は異なるのですが、どうしても、夫の付きまといに不安があるというような場合には、別居の前に事前に警察に相談に行き、警察の方から夫に電話をしてもらうということもあります。

 ただ、夫からあなたへの暴言等をお子様の前でも発しているとか、直接お子様への暴言等があると、警察は児童相談所に相談しなくてはならないということになって、状況がこちらの予期せぬ方向に進むこともあります。
 児童相談所が介入してくると、職員がお子様と直接話をしたいといった話になり、別居したばかりで不安定なお子さまが傷つくということもありますので、児童相談所の介入を避けたいというときには、児童虐待に絡む話はあまり警察に申告しないほうが良いかもしれません(もちろん、夫からの悪質な児童虐待等があった場合には積極的に相談すべきですが)

(3)ストーカー規制法に基づく警告
 前述のように事前に警察に相談に行き、警察から夫に対して「奥さんが探さないで欲しいと言っているので探したり付きまとったりしないように」と注意していても、あなたの勤め先を夫側が訪れて来たり、あなたに頻繁にメール等を送り続けるというような場合には、警察に相談して、ストーカー規制法に基づく警告を発してもらうという方法もあります。
 ただ、ストーカー規制法に基づく警告については、警察署によってはあまり積極的ではないこともあります。

 なお、モラハラ・DV夫側は、あなたではなく、「子供に会いたくて連絡を取っている」といった形で言い訳をするケースもあります。この場合、ストーカー規制法違反とすることは難しく、迷惑防止条例違反で警察に対応してもらうことになります(残念ながら、迷惑防止条例違反ですと、ストーカー規制法違反よりも、一層警察の動きが鈍いケースが多いです)

(4)弁護士を経由した警告
 あなたが既に弁護士に依頼している場合には、相手の問題行動が認められた次第すぐに弁護士から警告を発するという方法もあります。
 警察からの注意等ですと、旦那側を刺激し過ぎてしまうおそれがありますし、ことが大きくなりすぎる危険性もありますので、弁護士からの警告だけで、夫側が付きまとい等を中止するようであれば、あまり警察に頼り過ぎないほうが良いかもしれません。

 

(5)その都度裁判所と情報共有する

 残念ながら、モラハラ・DV夫の付きまとい行為を直接防止する裁判手続きを取ることは難しいケースが多いです。

 ここでお話したいのは、調停手続き中といった場合に、調停の席や調停の合間の場合には、書面で裁判所側にも情報共有するということです。

 当然ながら、調停委員としても、冷静に話し合いをする環境を整えたいと考えますので、それに反するような行動については注意してくれることが多いです。

 モラハラ・DV夫側も、付きまとい行為をしていることで、調停委員の印象を悪くすると不利に働くことから、今後の付きまとい等を控えることが多いです。

 

 

4.基本的には粘り強く対応するしかない


 付きまとい行為を繰り返すモラハラ・DV夫は、一旦は収まっても、(残念ながら)ほとぼりが冷めたところで再発するというケースもあります。

 そのため、その都度、弁護士経由で警告書を送るなどして、粘り強く対応せざるを得ないこともあります。

 ただ、毅然とした対応を続けていくと、いつまでも付きまとい行為が続くというケースは非常に少ないので、毅然とした対応を取り続けることになります。

 

 

5.まとめ


・こちらの居場所を知られないためには以下のような方法・注意点がある
① シェルター等別居先の慎重な選定
② 住民票を移動しないという選択
③ あなたやお子さんの病院の受診先には注意が必要

④裁判所に提出する書類には旧住所を記載することが多い。
・付きまといを防止するためには以下のような方法・注意点がある
① DV防止法に基づく保護命令(接近禁止命令)
② 警察への相談
③ 警察からのストーカー規制法に基づく警告
④ 弁護士からの警告

⑤(調停中の場合など)裁判所に情報共有して牽制する

 

 

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モラハラ夫とは離婚すべきか?

2021.08.09更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.モラハラ夫とは離婚すべきか?


 私は、モラハラ・DVの関係でのご相談を受けることも多いものですから、ご相談の際に「私みたいなケースですと離婚した方がいいんですかね?」という質問を受けることもあります。
 その場合、私の方からは「それを決めるのはあなた自身なので、私の方で決めることはできません」といった回答をすることが多いです。
 無責任な回答のようにも見えますが、離婚するかどうかは、今後のあなた自身の人生に関わる重要な問題ですから、私の方で決められる話ではありません。そのため、「あなたの人生に関わる重要なお話なので、あなた自身で決めて欲しいんです」とお話するようにしているのです。

 

 

2.モラハラの重症度?


 このような回答をすると、「皆さんどうなさっているんですか?」とか「私のケースって皆さんのケースと比べてどうなんでしょうかね?」といった再質問を受けることも多いです。
 そのため、私のご相談に来られた方には、おおよそのモラハラ被害の重症度をお話することもあります。ただ、初回の無料相談ですと、時間が限られているというところもありますし、正確な数値化が難しいというところもありますので、「100点満点の中での○○点です」といった点数化まではしていません。

 要するに、深刻なものだと感じたときには、私の方からも、「それなりに深刻なものだと感じます」とお伝えしますし、逆に、そこまで重くはないと感じたときには「残念ですが、当事務所にいらっしゃる方はもっと重い方の方が多い印象です」といったご回答をすることもあります。
 あくまで重症度の目安をお伝えするというイメージになります。

 

 

3.「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」というわけではない!


(1)必ずしも相関関係にはないこと
 ここまで説明をしますと、皆さん、「私の場合重症なのかしら?」ということを気になさると思います。そして、「重症だと言われたら別れなくっちゃ」と考える方も多いと思います。
 ただ、そこまで単純に割り切れる話ではありません。
 弁護士の目から見ても重症と思われるケースですと、率直に言って同居生活を続けていくことはオススメできませんので、私の場合、目の前の相談者の方には「重症と思われますので、同居を続けることはオススメしません」と率直にお伝えすることが多いです。

 しかし、それでも離婚まではしたくないという方も相当数いらっしゃるのも事実です。大きな要因としては以下のようなものがあると思います。
①その人の感じ方の問題
②お子様のことを考えての結論
③今後の生活の問題
以下、それぞれについてご説明します。

(2)その人の感じ方の問題
 より分かりやすく言いますと、許容性とか寛容性といったお話になります。
 どんなに言われようと受け流すことができたり、逆に、必要な範囲で言い返すことができるので、離婚という最終決断まではしなくてもやっていけるといったことです。
 このことは逆も然りでして、重症とまでは言えないケースでも、そのことで、気に病んでしまっているとか、心身に不調が生じているというような場合には、今後の同居継続は見直した方が良いかもしれません。

(3)お子様のことを考える
 片親にすると子供に不憫であるといった話です。このことは、お子様が旦那様にどのくらい懐いていて、また、旦那様の方もお子様とどのように接しているのかといった点も大きく影響すると思います。
 ただ、最近は離婚される方も増えてきていますので、片親だと子供が差別されるということは以前よりもかなり減ってきているように感じます。
 また、モラハラやDVによってあなたの心身に不調をきたしているようなケースですと、これ以上我慢はしない方が良いとアドバイスさせていただくことも多いです。

(4)今後の生活のこと
 いざ離婚したとしても、今後の生活に大きな支障を来すようであれば、簡単に離婚できないということもあろうかと思います。
 金銭的なお話は、弁護士としても色々とアドバイスできるところでもありますので、必要に応じてシミュレーションさせていただくこともあります。
 なお、都内で部屋を新たに借りることは経済的に厳しいということでご実家を別居先に選択する方も多くいらっしゃいます。

 

 

4.「一旦は別居する」というのも一つの選択肢である。


 色々とインターネットの検索をしていると、「モラハラなので早く離婚した方が良い」と書いてあるサイトなどもあって、焦って相談に来られるという方もいます。
 ただ、仮にそれがモラハラだったとしても、即離婚または離婚しないの2択で考える必要はないと思います。
 要するに中間として一旦別居という選択肢があるからです。
 ご夫婦直接での話し合いが難しいようであれば、お互いのご両親に間に入ってもらうなどして、一旦別居の道筋をつけるということもあり得ると思います。

 別居をしてみると、あなた自身の体調の変化等についてもしっかりと認識できますし(大きな変化が生じる例としては、①別居することで同居中の窮屈な生活から解放されるとか、もしくは、②同居中の束縛が強かったため、別居することで一気に溜まっていた疲労が出て、しばらくは休養を取りたくなるとか)夫側の様子を見て、許せる気持ちになるかどうかも試すことができるからです。
 ただ、何度か別居を繰り返しているような場合には、夫側への効き目も薄くなっていると思いますので、いよいよ離婚を決断したほうが良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


・モラハラの重症度は、受け手の感じ方の問題もあるため一概に点数化しにくい。
・「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」という相関関係では必ずしもない。
・離婚に踏み切るかは、①お子様のこと、②今後の生活の経済的問題等も考慮に入れて検討する必要がある。
・すぐに離婚ではなく、一旦別居という選択肢もある。

 

 

6.離婚の見込み、条件面などでご不安があれば、お気軽にご相談ください。


 離婚すべきか決めるにあたっても、離婚で裁判までしなくてはいけないのか、どんな条件で離婚できるのかをシミュレーションしておきたいという方もいると思います。
 そのような場合には、初回相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。

 

 

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突如調停の相手方にされてしまった方へー【調停テクニック15】調停委員が言う「中立・公正」って?

2021.08.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.調停委員からの最初の説明


 調停委員からは、調停手続きがどのような手続きなのかを説明するにあたり、以下のような説明をすることが多いです。(以下の一部であったり、他の説明等をすることもありますが、一般的には以下の内容が主となることが多いです)

 ①調停は判決のように裁判所が一定の結論を強制するものではなく、あくまで話し合いの手続である。
 

 ②調停委員はあくまで中立・公正な立場で手続きに関与する。
 

 ③今この場に出席しているのは男女1名ずつの調停委員だが、調停委員会としては裁判官も加わっており、3名で構成されている。ただ、裁判官は同時並行で複数の事件を担当しているので、通常はこの2名の 

  調停委員しか出席しないが、随時裁判官とも相談しながら手続を進めている。
 

 ④調停委員は守秘義務を負っており、また、調停手続きは非公開の手続なので、あなたがこの場で話した内容が外で漏れることはないので安心して話をしてもらって構わない。
 

 ⑤調停の手続はお互いに譲歩しないと決着しないことが多いので、協力願いたい。
 

 ⑥手続きの中で分からないことがあれば遠慮なく言って欲しい。
 

 ⑦調停室の中での会話の録音等は禁止されているので協力願いたい。
 

 ⑧調停が成立した場合、その調停の内容は確定判決と同様の効力がある。

 今回は、上記の②について解説していきます。

 

 

2.調停委員はバランスを考えて、お互いに逆のことを言うこともある。


 調停委員が言う「中立・公正」とは、どちらかの言い分だけを信用したり、どちらかだけの肩をもって手続を進めることはないという意味です。
 ただ、だからといって、お互いが述べる言い分を相手にただ伝えるだけでは、ただのメッセンジャーにしかならないので、一向に手続きが終息に向かいません。
 そこで、調停委員は、お互いに対して、逆のことを伝えてくることもあります。

 

 例えば、あなたが復縁を強く希望している場合でも、奥様側の様子を見て、「奥さんの離婚の覚悟はかなり固いですよ」「奥さんの様子を見ると、なかなか夫婦仲良くというのは難しく感じます」といった伝え方をしてくることが多いです(要するにあなたの意見と逆のことを伝えてくるということ)。
 ただ、このような言い方をしてくるから、調停委員が奥様の肩を持っているのかというと、調停委員は逆に奥様に対して「あなたの気持ちは、旦那さんに伝えましたが、旦那さんは復縁を強く希望しているようです」という伝え方をしていることが多いです(要するに奥さんに対しても奥さんの意見と逆のことを伝えるということ)。

 もちろん、この「逆」というのは、こちらが話していないことを相手に伝えるという意味ではなく、互いにとって簡単に受け入れにくいような話をするという意味です。
 このように、お互いに逆のことを伝えていることで、調停委員としてはバランスをとっていることも多いので、あなたの目の前で奥様の意見の話が多いからと言って、安易に「奥様の肩を持っている」とは考えないほうが良いかもしれません。

 

 

3.中立・公正でも、法律の解釈等については意見を述べることもある


 前述の通り、調停委員は中立公正な立場で話をするように努めますが、調停実務の一般的な取扱い等については、意見を述べてくることが多いです。
 例えば、婚姻費用や養育費の金額については、一般に算定表に基づいて算出することが大半なので、調停委員も、「算定表だといくらになりますので、この数字を軸に検討してもらえませんか」といった意見を述べてくることもあります。
 もちろん、調停なので、このような調停委員の意見に従うか従わないかはあなたの自由です。
 ただ、前述の通り、調停委員の役割として、お互いの言い分の伝言役をするだけということでは、手続きは円滑に進みませんので、上記のような意見を述べて来たりするのです。

 

 

4.調停委員は過去の出来事について白黒つけないことが多い


 例えば、妻側が、裏付けの証拠等を提出してきた場合でも、調停委員は過去の出来事があったかなかったかを確定することはできませんので、「実際奥さんが言うような出来事があったかは分かりません」ということも多いです。
 多少裏付けの提出があっても、そのことで奥様側の肩を持つと中立性が損なわれてしまうからです。
 逆も然りでして、こちらの言い分を通そうと色々と証拠を提出しても、調停委員がこちらの言い分をそのまま受け入れてくれることは少ないです。そのため、白黒つける、こちらの言い分を一方的に認めさせるというような姿勢で調停に臨むのは避けたほうが良いです。

 

 

5.中立性に疑問がある場合には、そのことをしっかり伝えてしまってよい


 前述のように大半の調停委員は、中立に手続きを進めようと努めていることが多いのですが、ときに中立性に疑問がある場合もあります。

(1)こちらが弁護士をつけていない場合
 妻側が弁護士をつけて、こちらが弁護士をつけていない場合、どうしても弁護士がついている側(妻側)に配慮して手続きを進めていると感じることもあります。
 私が途中から調停に参加したケースでも、ご依頼者様から「先生が入ってから調停委員の態度がコロッと変わりましたよ」と言われることもあります。
 このような場合には、端的にこちらも弁護士を立てると、調停委員の態度が変わることも多くあります。

(2)中立性に疑問がある場合にははっきり言った方が良い
 弁護士から見ても、調停委員の中立性に疑問を持つ場合もあり、そのような場合には、「今の調停委員のご意見は強制ではないですよね」と発言するなどして牽制するようなこともあります。
 いずれにせよ、調停委員の意見が偏っていると感じるときには、タイミングを見てそのことを伝えたほうが良いです。

 

 

6.まとめ


・調停委員が言う中立公正とは、一方の肩をもって手続を進めないという意味である。
・ただ、調停の進行上、お互いに逆のことを伝えることもある。
・調停委員は法律解釈等については意見を述べることもある。
・調停委員は過去の出来事について白黒つけないことが多い。
・調停委員の中立性に疑問がある場合には、はっきり伝えてしまってよい。

 

 

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個人情報保護方針

2021.07.22更新

弁護士秦真太郎は、弁護士法第23条及び個人情報保護法の趣旨に鑑み、個人情報の利用・取り扱いの適正化を図るべく、本個人情報保護方針を定めます。

 

1.個人情報の利用目的


 私は、以下の利用目的のために個人情報を取得し、その目的を超えて利用いたしません。
①法律相談・受任事件への対応・処理、連絡
②各種お問い合わせへの対応
③利益相反の有無の確認
④暑中見舞い・年賀状等季節のご挨拶の送付
⑤ダイレクトメールの送付その他広報・案内活動

 

2.個人情報の第三者への開示


 私は、予めご本人の同意を得ている場合を除き、個人情報を第三者に提供することは致しません。但し、以下の場合は除きます。
①法令に基づき開示を求められた場合
②他の第三者の生命、身体、財産、名誉、信用を保護するために必要であると私が判断した場合

 

3.個人情報の開示・訂正等


 私は、個人情報につき、ご本人様からの開示、訂正等(訂正のみならず、追加、削除、利用停止、消去または第三者への提供停止を含みます)の請求があった場合には、法令に基づき対応させて頂きます。その場合には、以下までご連絡下さい。
 なお、私の個人情報の取り扱いに関する苦情や意見につきましても、下記の窓口までお問い合わせください。

(ご連絡先)
〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号 
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TEL03-3666-1838
平日9:30~18:00

 

4.個人情報保護方針の改正について


 私は、今後個人情報保護方針を予告なく改正することがありますが、その際には、本ページにて改正後の内容を公表いたします。改正の都度、個別のご連絡はいたしませんので、最新の情報につきましては本ページの内容をご確認下さい。

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

突如調停の相手方にされてしまった方へー【調停テクニック14】妻側弁護士がいきなり調停を起こしてきた思惑は?

2021.07.19更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.妻側弁護士がいきなり調停を起こしてきた!!


 今回のブログは、妻側弁護士が、あなたに対して、事前に何らの連絡等をせずに、いきなり調停を起こしてきたケースを想定して解説します。
 即ち、事前に妻側弁護士からあなたに対して手紙での連絡や電話での連絡等が一切なく、いきなり、裁判所から調停の書類が送られてきたというケースについて解説するものです。

 

 

2.【妻側弁護士の思惑①】妻側の言い分にかなり自信を持っているのか?


 上記の通り、あなたのもとにはいきなり裁判所からの書類が届いてしまいますので、びっくりしてしまうという方が大半ではないかと思います。
 私のところにも、このように驚いて、ともかく事態を把握したいので相談にいらっしゃるという旦那様も多くいます。
 このようにご相談に来られた方がよく口にするのが「これは、よほど自信があるからいきなり調停を起こしてきたんですよね」というご質問です。
 要するに、妻側の言い分にかなり自信があるから、離婚協議等を経ずにいきなり調停を起こしても大丈夫だと考えた、という発想のようです。

 

 しかし、離婚調停手続きは、裁判所を利用しますが、あくまで話し合いの手続です。

 そのため、自身の主張に自信があるかどうかとはあまり関係がないというケースの方が多いと思います(要するに、裁判の手続でしたら、普通はかなり自信がないといきなり裁判は起こしてこないと思いますが、裁判と調停は別の手続ですから、同じようには考えられないということです)。

 

 

3.【妻側弁護士の思惑②】妻側弁護士の普段のスタイルなだけ


 上記の通り、いきなり裁判所から封書が届くとあなたはかなり驚くと思いますし、それは当然の反応だと思います。
 ただ、実際妻側弁護士の様子を見ていると、何か特別な思惑があってやっているというよりも、妻側弁護士の普段のスタイルなだけであるということがかなり多い印象です。
 つまり、弁護士には、それぞれ自分なりの仕事の進め方がありますが、今回奥様が雇った弁護士は、離婚事件を処理する際には、離婚協議等はせずにいきなり調停を起こすという進め方をしているということです。

 

 そのため、妻側弁護士としてみれば、特に特別な進め方をしているという認識はないのです。
 私がご相談を受けている印象ですと、最近は、このようにいきなり調停を起こすという進め方をする弁護士がかなり増えてきているよう印象です。
 そのため、いきなり調停を起こされたからと言って、それほど不安に感じなくても良いと思います。

 

 

4.【妻側弁護士の思惑③】妻側の言い分がDV等の場合


 前述のように、妻側弁護士が普段からいきなり調停を起こすというスタイルではなかったとしても、今回については一定の理由から、いきなり調停を起こしてきているというケースもあります。
 このような理由としてよく挙がるのが、DVのケースです。
 要するに、妻の言い分だと、「夫からのDVがひどい」というものなので、弁護士も、話し合いによる解決は難しいだろうと判断して、いきなり調停を起こしてきているのです。
 もちろん、離婚協議が順調に進んで、協議離婚によって解決できれば、その方が時間の短縮になるというメリットがあります。しかし、話し合いの可能性が低い場合、協議離婚にかけている時間は、かえって早期解決の妨げになることもあるのです。
 また、調停という裁判所の手続中であれば、夫側の行動を一定程度牽制できる可能性もあります。

 

 

5.【たまにある誤解】裁判所は妻側の言い分を全てそのまま認めてしまっている


 たまに、私のところに相談に来られる方の中に、「裁判所が調停を認めたということは、裁判所も妻の言い分を認めているんですよね」と考えている方もいますが、それは完全なる誤解です。
 裁判所は調停申請を受け付ける際に、書類に不備がないかの確認しかしませんので、妻側の言い分が正しいかどうかについて一切審査していません。また、調停を起こす際に、妻側は自分の言い分の裏付けを通常提出しませんから、裁判所側は、妻側の言い分が正しいかどうか判断する余地もありません。
 いずれにしましても、前述の通り、調停手続きは話し合いの手続ですから、調停委員や裁判官が予断や先入観をもって調停期日に臨むということはありません。

 

 

6.まとめ


・妻側弁護士が特に自信があるから調停を起こしているというわけではないことも多い。
・いきなり調停を起こすことが普段のスタイルだという弁護士もかなり増えてきている。
・妻側の言い分がDVというような場合には、いきなり調停を起こすケースも多い。
・調停申請の際に、詳しい審査はしないので、裁判所が妻側の言い分を認めたわけではない。

 

 

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