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【弁護士秦の円満解決事例4◆妻側の事例◆】妻側から離婚するか悩んだ結果、最終的に円満合意をしたケース

2024.05.29更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.夫側に強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:30代後半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:5年ほど

現況:ご依頼時別居中

ご依頼内容:男性不妊で不妊治療を受けてきたのに、夫側の理解が不十分である。夫側の兄弟や両親が何かを口を出してくるが、その中で侮辱されることも多い。ただ、夫との日常生活に大きな不満があるわけではないので、円満とすべきか離婚とすべきかで悩んでいる。

 

 

3.当初は離婚で臨むことに決定した


 ご依頼者様のお話を聞いておりますと、不妊治療の件では夫側に不満があるものの、ご依頼者様の最大の不満は、夫側の親族との関わりのように感じられました。
 そのため、まずは、夫側の親族と距離を置くことで円満方向での話し合いも可能なのではないかとアドバイスし、一旦はご依頼者様ご本人で夫側と話をしてみてもらいました。

 数週間後、夫と話をした結果として、夫の不妊治療への理解は進んだものの、この間も夫側親族が口を出してきて、そのことを夫が強く止めなかったことに不満があるとのことでした。

 また、ご依頼者様もこの間抑うつ症状が悪化してきているとのお話もありましたので、離婚で話を進めることにしました。
 なお、一般的に当初円満希望のところを離婚に変更することはできるものの、離婚希望を円満に変更することは通常難しい旨を伝え、ご依頼者様にも納得してもらったうえで、進めることにしました。

 

 

4.私の方から夫側へ通知


 今回は詳しい離婚条件の提示までは行わず、まずは離婚希望とその理由等を記載した内容証明郵便を発送することにしました。
 当面は、奥様も貴重品等の引き取りを優先したいと話をしていたこと、詳しい離婚条件を提示することで、相手を不用意に刺激したくないため、このような記載ぶりにしました。

 

 

5.荷物引き取り時の様子


 その後、ご依頼者様の荷物の引き取りの件などもあって、いったん自宅に戻りましたところ、夫側から親族との縁を切っても構わないので、戻ってきて欲しいとの話がありました。
 奥様の方は、夫側からここまでの話が出ることは今までなかったので正直かなり悩んでいる様子でした。

 そこで、私の方からは、「旦那さんがお身内と縁を切ると言っても法律上正式に縁を切ることはできないから、お身内が今後夫婦関係に口を出さないという誓約書のようなものの提出ができるか打診してみて、旦那さん側の覚悟のほどを見てみるのもよいのではないか?」と提案させていただきました。
 奥様側も数日検討したうえで、夫側の身内の誓約書が揃うようであれば円満に切り替えて話を進めたいということでした。

 

 

6.夫婦円満での合意


 無事、夫側から身内の署名押印した誓約書の提出がありましたので、円満方向で話を進めていくことにしました。
 夫側はこれまでの行いを真摯に反省したいということで、こちらが提示する条件をすべて受け入れる形で円満協議書が出来上がりました。
 円満協議書の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② 妻側が別居を実行した経緯の確認と、それに対する夫側の謝罪表明
③ 不妊治療への理解を示す等の夫側の誓約事項
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示

 円満合意書のサインにはご夫婦が揃ってお見えになり、仲良く揃ってお帰りになったのが印象的でした。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士秦の円満解決事例3◆妻側の事例◆】妻側からの夫婦円満調停申し立て-一旦は諦めたものの最終的に夫婦円満で解決したケース

2024.05.29更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.夫に対して強い不満がある場合、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 奥様の側で、私のところにご相談に来られる方は、離婚する決意を固めている方が大半です。
 ただ、ご相談の時点では、夫側に強い不満がありつつも、夫婦円満で話をする進めるべきか離婚で話を進めるべきか悩んでいらっしゃる方も相当数います。

 もちろん、その方の人生を左右しかねない話ですから、復縁を目指すか、離婚を目指すのかについて、私の方で決定することはできません。
 ただ、直接お話を聞きますと、お悩みになっている内容が本当に離婚すべき内容とまで言えるのかについてはアドバイスさせていただくことが出来ますので、そのようなアドバイスをすることは多いです。

 合わせて、あなたにとってご家庭の中で一番大事なのかを考え、その一番大切にしたいものとの兼ね合いで、円満と離婚どちらが良いかを時間をかけて選択してもらうことが多いです。

 

 

2.私が担当した事件


ご依頼者様:30代後半の女性

相手方:40代前半の夫

お子様:いらっしゃらない

婚姻期間:10年ほど

現況:別居中(夫側が勤め先の社員寮に住み始めてしまった)

ご依頼内容:夫の仕事が激務なのは頭では理解しているものの、あまりに夫婦としての時間が短じか過ぎるため、ここ2,3年前から不満を持ち始めていた。最近は、夫が仕事のストレスを家庭に持ってくるようになり、夫婦喧嘩が増えてしまっている。私としては夫への愛情がなくなったわけではないが、夫の方から「別れたほうが良いと感じている」といった話が出ており、どうすべきか悩んでいる。

 

 

3.間に入ってくれる適任者がいないかの検討


 ご依頼者様の方では、夫側と直接話をすると喧嘩になってしまい、結局は、夫側から「別れるしかない」という話しか出ない状況で困っているということでした。
 そのため、そのような場合には、私の方からは、身内の方でもよいので誰か間に入って話をしてくれる人物がいないかを検討してもらうことにしました。
 ただ、ご依頼者様の方で検討してもらいましたが、ご依頼者様のご両親も、夫側のご両親も実家が遠く、本件で顔を出してもらうことは難しい状況ということでした。
 そもそも、夫側は家庭の問題を身内を含めて家庭の外に話をすることを非常に嫌がる方ということで、誰かに間に入ってもらって話をしてもらうことは難しいということでした。

 

 

4.ご依頼者様の希望もあって調停を申し立てることにした


 そこで、私の方としては、私が弁護士として一度は旦那様と直接会って話をしてみたいということをご依頼者様にお伝えしました。
 ただ、ご依頼者様の方では、弁護士を雇ったと聞くと旦那様は逆上する可能性が高く、そうすると、夫婦円満の道が完全に閉ざされる恐れがあるので、調停を起こして欲しいと強く希望なさっていました。
 このように、ご依頼者様からの強い希望もありましたので、調停を申し立てることにしました。なお、調停を起こした際には、ご依頼者様が弁護士を立てたことは相手にも知られることはお伝えしたのですが、調停の手続きにのっとっていれば、相手も、下手なことはしないであろうという話でしたので、調停を進めることにしました。

 

 

5.離婚ではなく夫婦円満調停を申し立てた


 調停を起こすとなりますと、離婚という形で調停を申し立てるのか、夫婦円満で調停を申し立てるのかを予めしっかりと決定する必要があります。
 ご依頼者様の方でも、そこはかなり悩んでおり、夫側から別れたいと言われるようなら執着せずに別れてしまった方が良いのではないかという話もありました。

 ただ、ご依頼者様は、夫との愛情を失っているわけではないので、やはり夫婦円満で調停を申し立てて欲しいということでしたので、離婚ではなく夫婦円満調整の調停を申し立てました。
 なお、夫婦円満調停を申し立てる際には、調停委員によりますが、強く離婚を進めてくる調停委員も多いため、この点は予め了承してもらいたい旨は伝え、了承を得た上で、申立をしました。

 

 

6.調停期日2回目にして離婚やむなしとの意向伝達


 第1回調停期日においては、当方も夫婦円満の基本方針を維持しました。ただ、第1回調停期日において夫側は身勝手な言い分を並び立てており、ご依頼者様も、夫の身勝手さには付き合いきれないという表情を浮かべていました。
 ただ、ひとたび離婚と言ってしまいますと、離婚の方向で話が進んでしまいますので、夫婦円満を維持するか離婚にかじを切るかは第2回期日までに慎重に検討してきて欲しいということで、第1回期日では判断を保留にしておきました。

 結局、ご依頼者様の決断は第2回期日の1週間ほど前まで固まらなかったのですが、結論としては、①やはり第1は夫婦円満を目指したい、②但し、夫側がかなりの財産分与を支払ってくれるようであれば、その条件によっては離婚に応じてもよいという形で決断しました。
 第2回調停期日でも、調停委員に対して、そのように伝えましたところ、夫側は復縁は考えていないようで、財産分与の話を進めたいということでしたので、財産分与の対象財産の整理を進めていくことになりました。

 ただ、調停委員からは、夫側は口では、円満は考えていないということであったが、夫側から離婚裁判を起こすというように積極的に動く様子もないようで、多少真意が分からないという話もしていました。

 

 

7.財産分与の中での夫側の翻意


 財産分与を請求するにあたり、実は、当方では、相手の財産の所在はしっかりと事前に把握済みの状況でした。離婚の話になると、とかく夫側は自身の財産を隠そうとすることもありますので、事前にしっかりと把握しておいたのです。
 調停手続きの中で、こちらとしてしっかりと夫側の財産を把握している旨を伝え、その部分を一覧表に整理したうえで提示すると、夫側は調停委員に対して明らかに嫌な顔を浮かべたということでした。

 結局、夫側は離婚に当たってそんなにお金を払うくらいなら復縁の方向で話を進めて欲しいと言い始めました。
 このように夫側の優柔不断な様子が垣間見えたので、私の方からご依頼者様に対しては、このように相手が優柔不断だと今後の生活でも苦労が多いだろうということは伝えました。ただ、ご依頼者様としては、夫婦円満が第1希望だということは変わらないので、是非円満で調整して欲しいということでした。

 

 

8.夫婦円満で調停成立


 その後も夫婦円満のための条件作り等で話し合いを続け、最終的に夫婦円満にて調停成立にこぎつけることが出来ました。
 調停で約束した内容の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② お互いに嘘を言わずコミュニケーション促進に努める
③ 夫婦共有の財産の処分は事前に相手と相談したうえで行う。
④ 妻側に渡す生活費の月々の額の明示
⑤ 妻側で④の生活費以上の支出を要する場合には、別途夫婦で協議を行う。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士秦の円満解決事例2◆夫側の事例◆】妻から申し立てられた夫婦円満調停で、無事円満成立したケース

2024.05.29更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.お子様のことを考えると、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 お子様がいらっしゃらず、夫婦のみの話の場合、離婚になるであろうというケースでも、お子様のことを考えると、円満で協議したほうが良いかもしれないというケースは多くあります。
 特に、お子様のあなたへの愛着関係が強い場合には、お子様に不憫な思いをさせたくないと考えることはごく自然なことです。
 ただ、そのことで、あなたが奥様とのぎくしゃくした関係を今後も継続しなければならないのかという点にはしっかりと向き合う必要があります。
 最終的には、あなたにとって何が一番大切なのかをしっかりと見つめてもらい、その中で夫婦円満が良いのか離婚が良いのかを最終判断していくしかないと思います。

 

2.夫側での復縁の可能性


 詳しくは、これから解説していきますが、今回のケースでは無事夫婦円満という形で事件を終了させることが出来ました。
 しかし、実際に私が旦那様側で事件を担当するケースで、実際に夫婦円満で解決できたケースはほんの一握りというのが現実です。
 特に、私が担当するケースは、既に奥様の側が弁護士をつけて離婚調停の申し立てまでしてしまっているというケースが多いため、それだけ復縁の難易度は上がってしまっていることが多いです。
 そのため、以下の私の担当ケースも、ほんの一握りのケースとご理解の上、ご覧頂ければと思います。

 

 

3.私が担当した事件


ご依頼者様:40代後半の男性
相手方:40代後半の妻

お子様:中学生のご長女お一人
婚姻期間:20年ほど

現況:同居中
ご依頼内容:長女の反抗期もあって、妻と長女との喧嘩が絶えない。長女の言い分が正しいと思えるところは、妻にも言って聞かせているのだが、妻側は、私の対応が不公平だということで、攻撃の矛先がこちらに向くこともあって困っている。妻は離婚するかかなり悩んだようだが、弁護士を立てて夫婦円満調停を申し立ててきたので、円満に向けて話を進めるにあたり、助力をいただきたい。

 

 

4.ご依頼者様の意思確認


 ご依頼者様の方では夫婦円満で話を進めて欲しいというところは、決意が固まっている様子でしたが、奥様の方から調停が起こされている以上、夫婦として何等かのわだかまりが大きいことは間違いないと思いますので、どのようなところが夫婦の対立点になっているのかといった点を丁寧に確認しました。
 そのような確認作業の中では、夫婦の間、家庭の中での様々な問題があることが分かったので、そのことを踏まえても夫婦円満を希望しているのかを再度確認しました。
 すると、ご依頼者様の方では円満を希望したいと即答されましたので、円満の方針で調停に臨むことにしました。

 

 

5.第1回調停期日での調停委員からの意思確認


 調停が申し立てられている場合には、第1回調停期日の前までに答弁書を提出しておく必要がありますので、当方としましては、答弁書に手円満希望であることを明記して裁判所にも提出しておきました。
 このように事前に書面でご依頼者様の意向は裁判所に伝えていたのですが、第1回調停期日に臨みますと、調停委員からは「このようなご夫婦の問題はお互いの気持ちが同じ方向を向いていないと、話がうまく進まないものですから、まずは旦那さんの方の意向を確認させてください」ということを、ややもったいぶった言い方で伝えられました。

 要するに、本当に夫婦円満でいいのか、離婚ということでも構わないということを聞かれたわけです。
 これに対して、当方からは円満を希望する旨の話をしましたところ、調停委員も、夫婦がお互いに円満を希望するのであれば、円満に向けての話し合いをしようということになりました。

 

 

6.一番苦労したのは奥様側からの多種多様な要望を、穏便に返答していく作業


 今回の調停で一番苦労しましたのは、奥様側から多種多様な要望が投げかけられたことでした。
 特に、奥様側はこの時にこう言ったことを認めて欲しい、あの時にこういう行動を取ったことを認めたうえで、今後同様の行為をしないことを誓約して欲しいなどと多種多様な要望が噴出しました。

 こちらとしても、非がある部分はもちろん認めますが、その全部を調停条項に盛り込むと、調停条項が長大になってしまいますし、今後の夫婦関係が窮屈になることは明らかでした。
 調停委員もその点は理解してくれて、あまり細々と定めない方がお互いにとって良いという話はしてくれたのですが、奥様側からは、これが入れられないならあれを入れてくれという話が延々と続きました。

 このような細かな話は1回の調停期日の中では収まりきらず、期日間にも相手弁護士からいろいろと要望が寄せられました。
 これに対しては、あまり相手を刺激しないような返答に努めつつ、他方で、あまり相手の要望を受け入れ過ぎずという返答を繰り返しました。

 

 

7.この間も家族の関係は改善していった


 このように調停期日や弁護士間のやり取りをしていると、夫婦の関係も険悪化してしまうというケースも多いのですが、ご依頼者様のご家庭は、良好な関係に改善していきました。
 と言いますのも、奥様側が家庭ではなかなか面と向かってご依頼者様に対して不満を言いにくいけれども、調停の場でしっかりと不満を言うことが出来て、それでストレス発散している様子がありました。
 こちらは、奥様の不満をそのまま受け入れてはいないのですが、極力奥様を刺激しないように対応したことが功を奏したようです。

 

 

8.約8か月の調停を経て調停成立


 奥様からの要望がだんだんと収斂していったのですが、いざ調停条項にどのように書き込むのかという点で、どういう表現にするのが良いのかという点でも随分と調整を重ねました。
このようにして調整を繰り返し調停で約束した内容の概要は以下の通りです。
① 夫婦円満修復に努める旨の確認
② お互いにコミュニケーション促進に努める
③ お互いに嘘を言わない。
④ 長女の成績についてはお互いに認識を共有する。
⑤ 長女の教育方針については都度お互いに協議を行う。
⑥ お互いの資産状況の透明化
⑦ 奥様側に渡す月々の生活費の額の明示

 

 

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1.お子様のことを考えると、円満で協議するか離婚で協議するかは非常に悩みどころ


 お子様がいらっしゃらず、夫婦のみの話の場合、離婚になるであろうというケースでも、お子様のことを考えると、円満で協議したほうが良いかもしれないというケースは多くあります。
 特に、お子様のあなたへの愛着関係が強い場合には、お子様に不憫な思いをさせたくないと考えることはごく自然なことです。
 ただ、そのことで、あなたが奥様とのぎくしゃくした関係を今後も継続しなければならないのかという点にはしっかりと向き合う必要があります。
 最終的には、あなたにとって何が一番大切なのかをしっかりと見つめてもらい、その中で夫婦円満が良いのか離婚が良いのかを最終判断していくしかないと思います。

 

 

2.夫側での復縁の可能性


 詳しくは、これから解説していきますが、今回のケースでは無事夫婦円満という形で事件を終了させることが出来ました。
 しかし、実際に私が旦那様側で事件を担当するケースで、実際に夫婦円満で解決できたケースはほんの一握りというのが現実です。
 特に、私が担当するケースは、既に奥様の側が弁護士をつけて離婚調停の申し立てまでしてしまっているというケースが多いため、それだけ復縁の難易度は上がってしまっていることが多いです。
 そのため、以下の私の担当ケースも、ほんの一握りのケースとご理解の上、ご覧頂ければと思います。

 

3.今回のケースの概要


ご依頼者様:40代後半の男性

相手方:40代前半の妻

お子様:小学校高学年のご長男お一人

婚姻期間:15年ほど

現況:別居中(奥様がお子様を連れて実家に無断別居してしまった)

ご依頼内容:長男との関係は良好で、中学受験に向けて熱心に受験指導も行ってきたつもりですが、どうしても、その中で長男を叱りつける場面が増えてしまっていました。私としては、理由があって叱っていたのですが、家内の方は、納得していない様子で、そのような言い方はやめるよう言われることも多くなっていました。つい先日妻が無断別居を始めてしまい、婚姻費用の調停を起こすというので、どうすればよいか分からなくなって相談に来ました。

 

 

4.ご依頼者様の意思確認


 最愛の妻の無断別居に加え、裁判所から呼び出される立場になったということで、ご依頼者様はかなり憔悴している様子が見えました。
 そこで、このような状態では、現状冷静な判断はできないだろうからということで、少し気持ちを落ち着かせる期間を置いて、その後に離婚するか夫婦円満で話を進めるかを慎重に検討して欲しいという話をしました。

 ただ、少なくとも、先方からは婚姻費用の調停が起こされている以上、これに対しては真摯に回答しておいた方が良いということで、算定表で定める程度の生活費は支払っていくという方向性で一致しました。

>>算定表はこちら

 

 

5.並行してカウンターで面会交流調停の申し立て


 今回のケースでは、ひとまず先方からは婚姻費用分担調停の申し立てしかなかったのですが、これでは、お子様との面会交流がいつ実現するか未知数でしたので、面会交流の調停を起こしました。
 ただ、突如こちらから調停を起こすと、先方を刺激する危険性もありますので、事前に調停を起こす旨をアナウンスしたうえで、調停を起こしました。

 

 

6.相手弁護士へ奥様の意向確認


 当職の方から相手弁護士に電話連絡を入れ、奥様から夫婦関係についての調停申し立てがないが、どのように考えているのかの確認を行いました。
 すると、相手弁護士の口からは「奥様としてはすぐに離婚だと言ったつもりはないようです」という言葉が出ました。

 一見、この回答は喜ぶべき様にも見えますが、残念ながら、そうとは限りません。
 と言いますのは、奥様としては婚姻費用を取れるだけ取ったうえで離婚したいと考えている場合もあり、「今は離婚するつもりはない」ということが「今は離婚するつもりはないが、近い将来離婚することは確実である」ということを意味する可能性が捨てきれないからです。
 そのため、私からご依頼者様にも、上記の可能性も伝えた上で、今後どのように対応するかを慎重に検討して欲しい旨を伝えました。

 

 

7.当人同士の直接の話し合いの実現


 これは、ご依頼者様からの希望でもあったのですが、奥様と直接会って話をしたいということでした。
 当事者双方に弁護士が付いている場合には、ご夫婦が当人同士で話をすることは非常にハードルが高いのが実情です。そのため、私の方からご依頼者様にも事前にその旨は伝えたうえで、相手弁護士に打診をしてみました。

 当初は、相手弁護士もかなり難色を示していましたが、婚姻費用の話でもこちらがかなり積極的に支払いたい旨を伝えたことを好印象と考えたのか、第2回調停期日が終了した頃には、とりあえずお互いの弁護士同席のもとであれば直接会って話をすることでも構わないという話になりました。
 結局、弁護士同席の話し合いは30分ほどの短時間で終わったのですが、その後は、後述のアンガーマネジメントの受講後に、お互いのLINEのやり取りが少しずつ復活していくようになったのです。

 

 

8.決定打はアンガーマネジメントのクリニック受診を開始していたこと


 当方としては、多少ご長男を叱責したことは認めていましたが、DVなどの極端な対応をしたつもりもありませんでした。
 弁護士が同席した上での当人同士の話し合いの際にも、奥様側からはプログラム受講の話が出ましたが、こちらも即答は避けました。
 そこで、私の方からは、DV専門のプログラムではなく、アンガーマネジメント要するに感情コントロールのプログラム受講であればよいのではないかとアドバイスをし、ご依頼者様の方でも受講していくことにしました。

 ご依頼者様の方では、DV専門プログラムであると、DV加害者としてレッテルを張られるようで絶対に納得できないとおっしゃっていて、当初は、アンガーマネジメントについてもプライドが許さないというようなことをおっしゃっていました。
 ただ、お子様を含めた家族への取り組み方の一環としてどうだろうかという話をしましたところ、受講を決断なさいました。

 このことについては、奥様の方もかなり好印象に感じたようで、このことが上記の直接のLINE復活の大きなきっかけになりました。
 また、ご依頼者様の方も実際に受講してみると、社会人生活を送るに当たってのヒントになるような話も多いということでした。

 

 

9.最終的にオーソドックスな内容で婚姻費用と面会交流調停をまとめたうえで調停は終了


 最終的に、調停としては夫婦関係についての調停は起こさずに、婚姻費用については月々に支払う生活費の金額を定め、面会交流については月1回程度面会交流させるというシンプルな条項にしたうえで調停を成立させました。
 ご依頼者様もおっしゃっていたのですが、奥様の方も調停に足を運ぶということ自体が心理的負担になっている様子があるということでしたので、敢えて夫婦円満調停の申し立て等は控え、今後の夫婦関係についての条件等は定めずに調停を終了させることにしたのです。
 この点は、奥様の方から夫婦円満に向けての条件提示等もあるかと思ったのですが、ご依頼者様がアンガーマネジメントの受講を継続している限りは安心だと感じたのか、条件提示等はありませんでした。

 

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