【絶対に夫に親権を渡したくない(35)】夫側は「妻が子供を虐待していた」と主張してきそうだが大丈夫か?
2023.06.02更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.同居中も散々そのように言われていた
夫が神経質なので、妻から子への虐待ということを言われることが多かったというケースもあります。私が直接担当した事件でも以下のようなものがありました。
・こちらは何もしていないのに、子どもが泣き出すと「また泣かせたのか?」と詰め寄られる。
・子供がいけないことをしたので注意をしていると、夫が「虐待だ」と騒ぎ出す。
・子供が公園で転んで怪我をすると、夫から「お前が怪我させたのか」と騒ぎ出す。
・子供が外で怪我をすると、夫から「一瞬でも目を離したお前が悪い」と責められた。
・子供に片付けを促すべく、後ろから軽く子供の肩を押したところ、子どもが倒れてしまい、夫が虐待だと騒ぎ出す。
2.言いがかりに近い主張は、ほとんど影響しない
前述の例で記載したように、夫側の言い分が、「言いがかり」に近いようなレベルの場合、そのことが親権争いに影響を与える可能性は低いです。
同居中、前述のように言われてしまっていると、あなたも自信を無くしてしまっているかもしれませんが、安心して下さい。
3.ただ、反論は必要
前述のように、夫側の言い分が言いがかりに近いようなものだったとしても、親権紛争の中で争われる場合には、夫側も弁護士を付けてきますので、上手い言い方をしてくることが多いです。要するに、簡単に「言いがかり」とは思えないように言い分を組み立ててくるのです。
そうすると、裁判所側も重大な関心を抱くケースもあります。実際に虐待行為が繰り返されていた場合には、あなたを親権者に選んで大丈夫なのか、裁判所もしっかりと見極める必要があるからです。
そのため、夫側の言い分が事実無根なものである場合には、事実無根であることをしっかりと指摘・反論していく必要があります。
4.躾の範囲でも暴力はNG
たまに、子どもがあまりに言うことを聞かないので手をあげることは多かったです、とか、言っても聞かない子は叩いても許される、というようなことを奥様側から言われることもあります。
ただ、いかなる理由があろうとも、お子様の身体に危害を加えることは、裁判所から見ると問題行動と評価されるリスクが高いです。
そのため、仮に、事実としてあなたが暴力を振るったことがある場合には、そのことの影響を極力小さくしていくために、どのように裁判所にアピールしていくのかといった点をしっかりと弁護士と入念に準備していく必要があります。
5.逆に「虐待」と騒ぐ夫の発言は脅迫じゃないのか?
夫側の言い分が「言いがかり」に近い場合、頻繁に「虐待」と責め立てて来ることは、あなたに対する心理的虐待という側面も持ちます。
ただ、裁判所に対して、このような点をクローズアップしても、裁判所の反応は薄いことが多いです。親権争いの中では、対お子様との関係の問題が重要であって、夫婦間の問題は重要性が落ちるからです。
そのため、先方からの「言いがかり」に対しては、そのような事実がないこと、もしくは、過去の実際の出来事等を正確に裁判所に伝えるという対応に徹した方が良いことが多いです。
6.夫も子供に手をあげていたので「お互い様だ」という主張は?
たまに、私にご相談に来られた方から、多少子供に手をあげてしまったことは事実だが、夫も手をあげることがあったのでお互い様だとおっしゃる方もいます。
ただ、「お互い様」という点を強調し過ぎてしまいますと、裁判所から見ると「この夫婦はどっちもどっちなので、この人たちにお子さんを預けて大丈夫なのか?」とか「むしろ児童相談所に預けてもらった方が安全なんじゃないか?」という発想を持ちかねません。
そのため、いずれにしましても、あなたが多少お子様に手をあげてしまったことが事実だとしても、その影響は最小限にとどめる必要が出てきます。
そして、お互い様というよりも、夫の側がお子様に対して何度か手をあげたことがある場合には、その虐待の点をしっかりと強くクローズアップしていく必要があります。
「お互い様」というと、あなた自身が行ったお子様への行動について、反省もなく「開き直っている」という印象を裁判所に与えかねませんので、注意が必要です。
7.まとめ
・夫が神経質だと、頻繁に虐待だと責められる事態もある。
・夫の言い分が「言いがかり」に近いような場合、影響は少ない。
・ただ、「虐待」の有無については裁判所も関心を持つことが多いので、しっかりと反論する必要がある。
・躾の範囲でも暴力はNGなので、そのことを頭に入れて準備する必要がある。
・夫の虐待発言は、あなたに対しる心理的虐待の側面もあるが、監護者指定事件では、あまりそこをクローズアップしないことの方が多い。
・夫婦お互い様という視点は、裁判所に悪印象を持たれるリスクがあるので注意が必要である。
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