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夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(21)ー勝つための秘訣は?

2022.07.04更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。

 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.勝つ為の秘訣は?


 結論から申しますと、監護者指定事件でのいわゆる「必勝法」のような簡単なものは存在しません。

 ただ、監護者指定事件は迅速性が求められ、時間が限られている中で要領よく準備をしなければならない関係で、よく感じる点をまとめると以下の通りです。
① 目先の文章にとらわれ過ぎないこと
② 何よりも「裏付け」という視点が大事
③ 手続が進んでいく中で状況が大きく変化する場合もあるので、臨機応変に対応すること

(1)目先の文章にとらわれ過ぎないこと
 監護者指定事件においては、夫側の言い分に対してしっかりと反論し、こちらの言い分を述べていく必要があります。
 ただ、夫側の文章があまりにこちらを悪く書いているときなどには、「夫をぎゃふんと言わせるくらいのきつめの文章を作って欲しい」とか「夫が15ページ文章を書いているので、こちらは最低でも2倍の30ページは文章を書いて提出して欲しい」と言ったことをおっしゃる方もいます。
 また、裁判官の気持ちを揺さぶる文章を作りたいので、表現方法を突き詰めて検討したいということを言うような人もいます。

 もちろん、こちらの言い分をしっかりと示すことは重要なのですが、その表現や分量といった形式面にとらわれ、そのことに時間を多く費やすことは得策とは言えません。
 監護者指定事件は準備の時間が限られていることが多いので、後述の「裏付け」の整理に時間を費やした方が良い結果に結びつくと思います。

(2)何よりも「裏付け」という視点が大事
 極端な言い方をしますと、監護者指定事件ではお互いに弁護士をつけていることが多いので、文章の表現力という面では大きな差は出ないことの方が多いです。そして、文章の表現力で勝敗が大きく変わるという事件はほとんどありません。
 むしろ、相手の言い分が間違っていると証明できる「裏付け」としてどれほどのものがどの程度あるのか、こちらの言い分が正しいと証明できる「裏付け」としてどれほどのものがどの程度あるのか、という整理の方がはるかに重要です。

(3)手続きの変化を読み取り臨機応変に対応すること
 手続きを進めていくと、①こちらが予測していなかったような証拠が夫側から提出されたり、②こちらの想定以上に裁判官が気にかけている争点が発見されたりと、事前の予測に反する展開になるケースもあります。
 特に監護者指定事件は、短期集中で審理が進んでいくケースが多いため、このような変化が生じることは、ままあります。
 そのような場合に、これまでの考え方に固執して手続きを進めてしまいますと、思わぬ結果となってしまうこともありますので、このような手続きの変化があった場合には、臨機応変に対応していく必要があります。

 

 

3.まとめ


・勝つための簡単な必勝法のようなものは存在しない。
・しかし、大きな視点としては以下のような点が重要である。
① 目先の文章にとらわれ過ぎないこと
② 何よりも「裏付け」という視点が大事
③ 手続が進んでいく中で状況が大きく変化する場合もあるので、臨機応変に対応すること

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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