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【絶対に離婚したくない(12)】でも離婚すべきか悩んでいる自分がいるーどうすればよいか?

2023.07.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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1.絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思ってしまっている


 絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思ってしまっている、というと、相矛盾しているようにも聞こえてしまいます。
 しかし、実際には、このような思いを抱えて私のところにご相談に来られる方はかなりの数いらっしゃいます。
 「絶対に離婚したくないのですが、これが私のエゴなんじゃないかと考えてしまうことがあります」とか「離婚はしたくないのですが、そのことで相手を苦しめてしまうのかと思うと、どうすれば良いのか分からなくなってしまいます」、「本音としては離婚したくないのですが、この状況ではヨリを戻すなんて無理なんじゃないかと考えてしまうことがあります」などというお話を聞くことも多いのです。

 

2.離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいく


 この点は良くお話させて頂くのですが、あなたが素直に離婚に応じてしまいますと、相手が離婚を希望する理由や経緯といった点はほとんど吟味されることがなく、離婚の条件(親権者を夫婦どちらにするのか、養育費をいくらにするのか、財産分与をどのようにするのかといった点)の議論ばかりがなされていくことになります。
 離婚することが決まっているのでしたら、離婚理由を深堀りして議論する必要がなくなってしまうからです。
 そのため、あまり安易に離婚に応じてしまいますと、あなたとしては「消化不良」のまま、各種手続きが進んでいくことになりかねません。

 

3.「今後後悔しない」というところまで意思が固まったときに離婚に応じれば良い


 前述のように、離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいくということを意味しますので、性急に離婚に応じる姿勢を示すことは得策ではありません。
 そのため、実際に離婚に応じるのは、「今後後悔しないというところまで離婚意思が固まったときで構いません」とアドバイスすることも多いです。

 

4.節目は離婚調停開始のタイミング、離婚調停終了のタイミング


 前述のようにアドバイスをしますと、「そうすると何時まで粘れますか」と質問を受けることがあります。
 そのような際に節目としてお話をするのが、①離婚調停開始のタイミングと②離婚調停終了のタイミングということになります。
 離婚調停開始のタイミングというのは、いよいよ家庭裁判所で調停手続きが始まってしまうというタイミングですので、裁判所での手続きをどうしても避けたいという場合には、調停開始前に離婚に応じるという方もいます。

 他方で、調停の手続きは、裁判所での話し合いの手続ですから、ひとまず調停には参加し、調停終了間際になった段階で離婚に応じるという方もいます。
 もちろん、離婚に応じなければならないということではありませんので、そのまま、離婚裁判を闘っていくという方もいますし、離婚裁判の中で勝訴を目指すという方もいます。
 ただ、離婚裁判に発展してしまいますと、証拠をもとに、法律上の離婚原因があるかどうかを突き詰めていくことになってしまいますので、仮に勝訴しても、夫婦として大きなしこりが残ってしまうことは事実です。そのため、そこまではせずに対応するという方が多いのも事実です。

 

 

5.離婚調停の際の注意点


 

 相手が離婚調停を起こしてきた場合、基本的にはその調停に出席すべきことになります。

 「離婚の土俵で話をしたくない」ということで敢えて欠席するという人もいますが、そうしますと、あなたの気持ちを裁判所でしっかりと伝えていくことができませんので、私は、「出席はした方が良い」とアドバイスすることが多いです。

 

 その場合の最大の注意点が、「悩んでいる姿を調停委員に見せないこと」です。

 何を言っているのかと言いますと、調停委員は、「説得しやすい方を説得する」という進め方が多いものですから、あまりあなたが悩んでいるようですと、あなたを説得して離婚で決着させてくる危険性が高まったしまうのです。

 そのため、仮に、内心悩んでいるとしても、少なくとも、調停の場では、表情や言葉に表さないよう注意する必要があります。

 

6.まとめ


・絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思う方は相当数いる。
・離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいくということなので、注意が必要である
・「今後後悔しない」というところまで意思が固まったときに離婚に応じれば良い
・節目は離婚調停開始のタイミングと離婚調停終了のタイミングである

・調停の席では、悩んでいる姿を見せないよう注意が必要である

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(11)】何をどうアピールして夫婦関係修復につなげてゆくか

2023.07.17更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。
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1.何をどうアピールするか?


 相手配偶者からの突然の離婚話や突然の別居等、あなたからすると、強いショックを受けてしまうような事態が起きようとしている、もしくは起きてしまったのだと思います。
 そのような場合、どうすれば相手が戻ってきてくれるのか、何をアピールすればよいのか、ということがとても気になるところではないかと思います。
 そこで、今回は、どのようにアピールするのが良いかについて解説していきます。なお、相手が弁護士を立てている場合と、立てていない場合とで、対応方法が異なってくるものですから、場合分けして解説していきます。

 

2.【ケース1】相手がまだ弁護士を立てていない段階


(1)【ポイント1】まずは、相手の真意を探る
 まずは、相手の真意が分からなければ、何をアピールしていくのが良いのかを絞り込んでいくことは難しいので、相手の真意を確認していくということが重要な作業になります。
 まだ相手が同居中、または、別居してしまった後でも、直接相手と話ができるようなら直接話をするのが一番だと思います。それが難しい場合には、焦って相手と話をすることにこだわり過ぎず、相手の両親と話をするなど、相手の様子や相手が求めているものを探っていくという作業をしていくことになります。

(2)【ポイント2】ひとまずそっとしておいた方が良い時もある
 私が離婚希望者から相談を受けておりますと、「そっとしておいて欲しいのに、しつこく連絡が来た」とか「落ち着いて冷静に考えたいのに、早く帰って来いという連絡が来て一気に気持ちが冷めた」というようなことをおっしゃる方は相当数います。
 前述の通り、極力、相手の様子や真意を確認した方が良いのですが、相手が「そっとしておいて欲しい」と考えているような場合には、「そっとしておく」方が良いということもあります。あなたとしては、ついつい焦ってしまうのでしょうが、それが逆効果になってしまっては元も子もありません。

 なお、このようなお話をしますと「いつまでそっとしておけばいいんですか?」とか「どのくらいそっとしておけばよいのか分からないと困ります」というお話をなさる方もいます。
 いつまでそっとしておいた方が良いかは、相手の心情によりますので、一概に申し上げられません。そのため、実際には、相手への直接の連絡は控えながら、相手の両親などとも相談しながらタイミングを見極めるのがベストだと思います。
 くれぐれも「焦らない」ということを肝に銘じて対応して下さい。

(3)【ポイント3】相手の話を素直に受け止めて反省・感謝する
 私がご相談を受けた際に、よくアドバイスするのは「改善策をアピールするにあたって、まず最初に必要になるのは、反省と感謝だよ」という点です。
 その前提として必要になるのが「相手の話を素直に受け止める」という点です。
 相手と直接話をしていると、どうしても「反論したくなる」「相手が誤解している点は指摘したくなる」「こちらのことも分かって欲しくて口を挟みたくなる」ということが多いと思います。

 しかし、今は相手から別れ話が出たり、もしくは別居が開始してしまっている状況ですので、状況は深刻な状態だと理解した方が良いと思います。
 そんな状況で、相手と言い合いになってしまっては、夫婦関係の修復はより一層難しくなってしまいます。
 そのため、一旦は、相手の話をしっかりと素直に受け止めることが大前提になります。
 その上で、あなたとして反省すべき点は反省し、相手の仕事や家事・育児など感謝すべきは感謝するという姿勢がとても重要になります。

(4)【ポイント4】相手の話を素直に受け止めて改善する
 前述のように相手の話を素直に受け止めるということが非常に重要なのですが、そのように受け止められると、次のステップを導き出しやすいと思います。
 例えば、こちらが怒りっぽいのが嫌だというのであれば、アンガーマネジメントのカウンセリングを受けるなどして改善していくという改善策が考えられます。
 また、自由になるお金が少なくて不満だったということであれば、小遣いを増やしたり、家計を一緒に管理するなどして、家計の状況を共有するという改善策が考えられます。
 さらに、あなたの両親との付き合い方に不満があるということであれば、あなたの両親と距離を保つようにするといった改善策が考えられます。
 このように、こちらが素直に受け止める姿勢であれば、相手も真意を話しやすくなりますし、それが分かれば、こちらの改善策に直接結びつけていくことができるようになります。

(5)【ポイント5】相手を改善させたいという姿勢は基本的にNG
 色々と話を聞いていますと、「妻の金遣いが荒く、それが解決すればすべてうまくいくんですよ」とか「夫は私がヒステリックだと言いますが、いつも口喧嘩の原因を作るのは夫の方なんです」などとおっしゃる方は多いです。
 もちろん夫婦ですので、どちらかだけが一方的に悪いというケースは実際にはほとんどないと思います。

しかし、今は相手から別れ話が出たり、もしくは別居が開始してしまっている状況ですので、状況は深刻な状態だと理解した方が良いと思います。
そのような状態で、相手に直して欲しい点ばかりを並び立ててしまうと、夫婦関係修復が遠のいてしまうだけです。
 相手の問題点があまりにひどい内容の場合には、別途対応を考えなければならないかもしれませんが、「相手を正す」という姿勢は厳禁という形で臨んだ方が良いかと思います。

 

 

3.【ケース2】相手が弁護士を立ててしまった後の段階


(1)【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
 相手が弁護士を立ててきた場合、弁護士が交渉の窓口になるので、本人と連絡を取らないでほしいと言われます。
 そのため、以後の連絡は、相手の弁護士との連絡になるのが基本です。

(2)【ポイント2】相手の真意を直接確認することは非常に困難
 前述のように、相手が弁護士を立てた場合、それ以降は、その弁護士が窓口になり、相手本人と直接やり取りすることは望ましくありません。
 そのため、相手と直接話をして、相手の真意を確認していくことは非常に難しいという認識で臨んだ方が良いです。

(3)【ポイント3】反省と感謝は早めに伝えた方が良い
 相手が弁護士を立ててしまった後は、調停など各種手続きが迅速に進んでしまうリスクがあります。
 そのため、早く手続が進んでいくことを防ぎたいのであれば、早めに反省と感謝の言葉は伝えた方が良いと思います。
 なお、口頭で伝えるだけですと、その内容がどこまで相手本人に伝わるかわかりませんので、手紙などの形にして渡すとより良いと思います。
 ちなみに、この手紙の中に相手への不満や相手に直して欲しい点などを書いてしまいますと、夫婦関係の修復は遠のくばかりですので、あなたが反省すべき点、感謝すべき点のみを記載した方が良いと思います。

(4)【ポイント4】同居中の相手の言葉や行動をよく思い出してみる
 前述のように、今から相手の真意を直接確認していくことは難しいのですが、同居中から相手が不満を述べていたとか、行動で表れていたということもあります。
 そのため、同居中どういうことで口喧嘩になってしまっていたのか、どういうことで相手が不機嫌になってしまっていたのか、どういうことで相手が家出してしまっていたのかといったことをよく思い出してみると、何を改善すればよいのかが見えてくることも多いです。

(5)【ポイント5】最悪の場合、相手の調停申立書を見る
 前述のように思い出そうとしても、思い出せないとか、突然の別居だったので、思い出しようがないという場合もあります。
 そのような場合には、相手の離婚調停申立書を見ると、何が不満だったのかがある程度分かりますので、それをもとに改善策を検討していくことになります。
 なお、このように調停が始まってしまいますと、関係修復の難易度は上がってしまいますので、できる限り、調停になる前に、相手の不満点などが分かった方が良いのですが、難しいようでしたら、調停まで待つほかありません。

 

4.まとめ


・離婚を避けるために、相手に何をどうアピールしていくのかは、相手が弁護士を立てていない段階と、立てた後の段階とで場合分けして検討した方が良い。

・相手が弁護士を立てていない段階
【ポイント1】まずは、相手の真意を探る
【ポイント2】ひとまずそっとしておいた方が良い時もある
【ポイント3】相手の話を素直に受け止めて反省・感謝する
【ポイント4】相手の話を素直に受け止めて改善する
【ポイント5】相手を改善させたいという姿勢は基本的にNG

・相手が弁護士を立ててしまった後の段階
【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
【ポイント2】相手の真意を直接確認することは非常に困難
【ポイント3】反省と感謝は早めに伝えた方が良い
【ポイント4】同居中の相手の言葉や行動をよく思い出してみる
【ポイント5】最悪の場合、相手の調停申立書を見る

 

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【絶対に離婚したくない(10)】妻に対して生活費は渡した方が良いのか?

2023.07.17更新

弁護士秦

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1.結局どういう話か?


 今回のブログで想定しておりますのは、妻の側から急に離婚を切り出されたり、妻が急に別居を始めてしまった場合、あなたとしては離婚したくないけれども、「そのまますんなり生活費を渡した方が良いのか?」というケースです。
 夫婦関係に亀裂が生じてしまったケースとしては、大きく①妻側が離婚したいケースと、②夫側が離婚したいケースに分かれると思いますが、今回は①の妻側が離婚したいケースで、更に、夫であるあなたは離婚したくないというケースを想定して解説させて頂きます。

 

2.法律上の取り扱いの確認


 民法760条は、婚姻中の生活費の支払義務を明確に定めておりまして、これを婚姻費用分担と言ったりします。
 このように法律上は、明確に収入の多い方(通常は旦那様)に奥様の生活費を負担すべきと言うことが決まっています。

3.婚姻費用を支払わなくて良いという判例があると聞いたが?


 たまに私のところにご相談に来られる方の中には、「婚姻費用を支払わなくて良いと判断した判例があるようなので、私も婚姻費用は支払いたくありません」とおっしゃる方もいます。
 確かに、そのような判例もありますが、奥様が浮気をして家庭を棄てた上で、浮気相手と一緒に生活しているような極めて特殊なケースですので、このような特殊な事情がない限り、婚姻費用の支払義務を免れることはないと考えてもらった方が良いと思います。

4.現実問題払った方が良いのか?


 結論から申しますと支払った方が良いです。

(1)心情的には抵抗がある。
 たまに、私が相談に乗っておりますと「勝手に出て行っておきながら生活費を要求してくるのにはムシが良いと思います」とか「離婚を口にするなら、しっかりと自分の収入だけで暮らしていくだけの覚悟を持つべきだ」などとおっしゃる方もいます。奥様が別居を開始する前に夫婦でしっかりとした話し合いがなされていればまだしも、しっかりとした話し合いがなされていないと、なおのこと支払いに抵抗を持つ方もいます。

(2)現実問題支払った方が良いのか?
 夫婦関係の修復を希望する場合、婚姻費用を出し渋りますと、奥様側の態度をより一層硬化させかねないため、一定額を支払った方が良いと思います。
 このようなお話をしますと「これじゃあ、やられっぱなしだ」などとおっしゃる方もいますが、あなたとしては、夫婦関係修復を目指す以上、基本的には、奥様との対立は避けるべき立場だと思いますので、「目指すゴールのためにはやむを得ないと思いますよ」とお話することが多いです。

5.いくら払うか


(1)算定表が一つの目安
 裁判所の実務では、一般的に算定表が用いられています。
そのため算定表での数字が一つの交渉の目安になるとお考え下さい。
>>算定表はこちら<<

(2)実際の支払額は応相談
 このように算定表の数字が一つの目安であることは事実ですが、実際の金額をいくらにするのかは相手との交渉事になります(算定表で自動的に金額が強制されるわけではなく、最終的にはお互いに合意した金額が正式な金額になるという意味です)。
 前述の通り、婚姻費用を必要以上に出し渋りますと、夫婦関係修復は遠のいてしまいますが、他方で、あなた自身の生活もあるので、安易に高額な婚姻費用を支払うことは難しいことも多いと思います。

 そのため、実際には、相手との交渉を通じて、お互いが納得できる金額を検討していくことになります。
 ただ、このように現状満額の支払いを拒否したとしても、実際婚姻費用分担審判になった際には、満額の支払いを命じられる可能性が高いですし、未払分についての精算を求められることが多いと言うことには注意が必要です(そのため、それだったら、最初から潔く満額を払っておいた方が良い、という考え方もあり得ます)。

(3)(相手側の支出分で)口座引落分は差し引くことが多い
 別居後も、あなたの口座から奥様の携帯電話代や保険料、お子様の給食費や習い事代等が引き続き自動引落になっている場合、それらの金額は、本来奥様の方で婚姻費用の中でやり繰りすべきお金になりますので、当該引落額は差し引くことが多いです。

6.いつの分から支払うか


 相手もしっかりと生活費を要求したい場合には、早期に婚姻費用分担調停を申し立ててきますので、その申立月以降の分を支払うのが一つの目安と言えます。要するに、例えば、別居を開始したのが令和5年1月、婚姻費用分担調停を申し立てたのが令和5年2月、調停の書類がこちらに届いたのが令和5年3月だとすると、調停申立月である令和5年2月分以降の生活費を支払うと言うことになります。
 ただし、調停を申し立てる前に正式な書面等にて明確な数字を明記した上で婚姻費用の支払いを請求しているような場合には、その月の分から支払うべきということが多いです。

7.お子様の学費負担


 お子様の学費については、お子様が公立校に通っている場合には、婚姻費用の中に含まれていますので、別途負担の問題は基本的に発生しません。
 他方、私立校の学費については、通常婚姻費用でカバーされている額を超えていますので、別途負担の問題が生じます。
 一般的には、公立校でかかる学費分を差し引いた額について、お互いの収入額で按分計算することがオーソドックスですが、学費の支払いについては通常の月々の婚姻費用とは別途協議を行うことが多いです。

 なお、同居中から、お子様の私立校への進学に反対していたことが明確に証明できる場合には、学費負担をゼロとすべきケースもあります。
 少し複雑な話になりますので、より詳しく知りたい方は弁護士にご相談されることをオススメします。

8.まとめ


・婚姻費用の支払いは法律上の義務である。
・心情的に納得しにくいケースもあるとは思うが、婚姻費用は支払った方が良い。
・支払額は算定表が目安になる。
・ただ、実際の支払額は、相手との交渉で決めていくことになる
・婚姻費用は調停申立時以降の分を支払うケースが多い。
・学費の負担については別途協議事項である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(7)】相手の真意を確認したいがどうすれば良いか?―弁護士から見た11個のポイント

2023.07.17更新

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1.相手の真意を確認したいがどうすれば良いか?


 あなたとしてはそれほど夫婦の関係、家族の関係が悪いとは思っていなかったのに、突然、相手配偶者から「別れて欲しい」といった話がなされると、強いショックを受けてしまうと思います。
 そのような場合に、あなたとして一番気になるのは、相手が何を考えているのか、その真意を知りたいというところかと思います。
 そこで、今回は、離婚回避に向けて、どのように相手の真意を確認するのが良いかについて解説していきます。なお、相手が弁護士を立てている場合と、立てていない場合とで、対応方法が異なってくるものですから、場合分けして解説していきます。

 

2.【ケース1】相手がまだ弁護士を立てていない段階


(1)【ポイント1】まずは、直接顔を合わせて話をする
 前述のように相手配偶者から突然別れを切り出されると、「ショックで相手を直視できない」とか「感情的になってしまいそうで怖い」、「これ以上ショックなことを言われると立ち直れなくなりそうなので、直接向き合いたくない」といったことで、LINEなどで相手の意図を確認する方もいます。
 ただ、やはり活字では相手の真意を確認することは難しいですし、こちらの思いが誤解されるリスクもあります。

 そのため、直接相手と顔を合わせて話ができるようであれば、そのようにした方が良いと思います。
 ただ、相手が、あなたと直接顔を合わせて話をすることを強く嫌がっているような場合には、最初のうちは、相手の両親に間に入ってもらって話をする、といった順序で進めた方が良いこともあります。

(2)【ポイント2】話をする場所にはあまりこだわり過ぎない
 まだ相手と同居中であれば、通常は自宅で話をするという流れになると思いますので、特に問題はないと思います。
 問題になるのは、相手が既に別居を開始してしまっているような場合です。
 このような場合に、こちらとしては、相手との話し合いの場所を自宅にすることをこだわる方もいますが、それに固執してしまいますと、話し合いの場所を決めるだけで時間がかかってしまうこともあります。
 そのため。あまり話し合い場所にはこだわり過ぎない方が良いことが多いです。

(3)【ポイント3】心配であれば、事前に手紙やメモを準備する
 私がお話を聞いていますと、「相手と話をしていると途中から泣き出してしまいそうで、こちらの気持ちをしっかりと伝えられるか心配です」とか「聞きたいことはいくつもあるのですが、相手からショックなことを言われると頭が真っ白になりそうで不安です」といったお話をなさる方もいます。
 そのような場合には、事前に手紙やメモを準備するようアドバイスさせて頂くことが多いです。

 もちろん、折角相手と直接顔を合わせて話をしているのですから、直接あなたの口から質問したり、意見を言うのが良いとは思いますが、それが難しいと感じる場合には、予めあなたの気持ちをつづった手紙を準備しておいて、途中から、その手紙を渡して読んでもらうという対応を取ることもあります。また、どうしても確認したい事項がいくつかある場合には、それをメモしておいて、そのメモをたまに見ながら話をするという方法もあります。

(4)【ポイント4】しっかりと相手の話を聞く
 夫婦なので、相手の言っていることに違和感を感じたりした場合には、すぐに突っ込みたくなる、否定したくなる、というのは自然なことです。
 ただ、相手の話を十分聞き終わる前に、突っ込んだり、否定ばかりをしていると、相手は、それ以上話をしたくなくなってしまいます。そうすると、相手の真意を確認することなどできません。
 また、相手の話の腰を折ってしまいますと、その後は夫婦喧嘩になってしまい、「相手と冷静に話をするどころではなくなってしまいました」というケースも多いです。
 そのため、まずは、「今日は相手の話をしっかりと聞くこと」を最優先にしようという心持ちで臨むのが良いと思います。

(5)【ポイント5】相手は、こちらの様子・仕草をよく見ている
 相手は、こちらの様子や仕草をよく見ているというケースも多いです。相手の話について、あなたがどのように反応するのか、どんな表情を浮かべているのかを見極めるようとするのです。
 例えば、あなたが感情的にならないように、言葉では抑えていても、怒りの表情が顔に出ている場合には、相手は「とても怖かった」と感じてしまいます。また、あなたが不満げにしていると、相手は、自身の不満がこちらに響いていないと誤解してしまいます。
 あまり仕草や表情を気にし過ぎてしまいますと、自然に話ができなくなってしまうのですが、相手がこちらの表情などを気にしているということは、ある程度意識した方が良いと思います。

(6)【ポイント6】感情的になりそうであれば、発言を少なめにするなど工夫する
 このような相手との直接顔を合わせての話し合いで一番避けたいことは、感情的になることです。
 そのため、感情的になりそうな場合には、①その場でこちらの発言は最低限度に抑えるとか、②後日こちらの意見などは伝えるというような工夫をするのが良いと思います。
 感情的になってしまいますと、夫婦喧嘩になってしまい、夫婦関係修復どころか、離婚の決定打になってしまうケースもありますので、特に注意したいところです。

(7)【ポイント7】悩むようなら親族・友人等の意見も聞いてみる
 相手と直接話をすることができたとしても、あなた自身納得がいかないとか不満に感じることもあると思います。
 なかなか自分の考えがまとまらない場合には、あなたのご両親や兄弟姉妹、又は親友などに相談してみると、第三者の目から見てどのように映るのかを知ることができて参考になることが多いです。
 なお、たまに沢山の友人に相談し過ぎて、逆に考えがまとまらなくなったというケースもありますので、あまり多数の方に相談し過ぎない方が良いと思います(あまり相談相手が多いと、そのことを相手も認識することになったり、友達界隈で変な噂になってしまったり、ということもありますので、その点にもご留意下さい)。

(8)【ポイント8】相手がなかなか真意を言ってくれない場合には、多少期間を置く
 事情は様々ですが、相手が真意を打ち明けてくれないということもあります。
 その場合には、あまり無理に真意を確かめようとするのではなく、相手が言いやすくなるように「多少期間を置く」ことが良いこともありますので、検討してみてください。

(9)【ポイント9】相手が希望するようなら相手の両親等を窓口にする
 ケースによっては、相手の方から、本人ではなく、相手の父親を介して話をして欲しいといったリクエストが来ることがあります。
 このようなリクエストにすぐに応じなければならないということではないのですが、相手本人との話し合いに固執してしまいますと、相手の様子が分からない状態が長期化してしまうリスクもあります。

 そのため、相手が親族等を介しての話し合いを強く主張する場合には、一旦は、その方法で話をする方が良いこともあります。
 ただ、例えば、相手が、相手の母親を交渉窓口に指定してきたが、当該母親が離婚強硬派だというような場合には、余計に議論が複雑化してしまいますので、相手の父親や兄弟姉妹など、他の親族等を窓口にして欲しいと伝えた方が良いケースもあります。

 

 

3.【ケース2】相手が弁護士を立ててしまった後の段階


(1)【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
 相手が弁護士を立ててきた場合、弁護士が交渉の窓口になるので、本人と連絡を取らないでほしいと言われます。
 そのため、以後の連絡は、相手の弁護士との連絡になるのが基本です。

(2)【ポイント2】相手の弁護士立会で本人と会うことを提案しても良い
 前述のように、相手が弁護士を立てた場合、それ以降は、その弁護士が窓口になり、相手本人と直接やり取りすることは望ましくありません。
 ただ、相手本人と直接話をすることを「提案してはいけない」というわけではありません。
 弁護士がいる状態で、相手本人と一対一で話すことを提案しても断られてしまいますが、「弁護士さん立会で構わないので、相手と直接会って話ができませんか?」と提案することはできます。
 ただし、残念ながら、相手弁護士は、このような提案に応じてこないことが非常に多いです。

 

 

4.まとめ


・離婚回避に向けて相手の真意の確認にあたっては、相手が弁護士を立てていない段階と、立てた後の段階とで場合分けして検討した方が良い。

・相手が弁護士を立てていない段階
① 【ポイント1】まずは、直接顔を合わせて話をする
② 【ポイント2】話をする場所にこだわり過ぎない
③ 【ポイント3】心配であれば、事前に手紙やメモを準備する
④ 【ポイント4】しっかりと相手の話を聞く
⑤ 【ポイント5】相手は、こちらの様子・仕草をよく見ている
⑥ 【ポイント6】感情的になりそうであれば、発言を少なめにするなど工夫する
⑦ 【ポイント7】悩むようなら親族・友人等の意見も聞いてみる
⑧ 【ポイント8】相手がなかなか真意を言ってくれない場合には、多少期間を置く
⑨ 【ポイント9】相手が希望するようなら相手の両親等を窓口にする

・相手が弁護士を立ててしまった後の段階
① 【ポイント1】基本の窓口は相手弁護士になる
② 【ポイント2】相手の弁護士立会で本人と会うことを提案しても良い

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(2)】離婚回避・夫婦修復の秘訣とは?

2023.07.17更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.離婚回避・夫婦修復の秘訣とは?


 私も、夫婦関係の問題を多数取り扱っておりますと、「あの時こうしていれば良かったのでは?」と感じてしまうケースも多くあります。
 そのため、修復の秘訣となるようなことを本ブログでは書いてみようと思います。
 なお、本ブログは、ご夫婦がまだ同居中というケースを想定しておりますので、この点は予めご留意下さい。
 また、夫婦の関係性は、型にはまったものではないと思いますので、以下の解説も一つの参考と思ってお読みいただければと思います。

 

 

2.【ポイント1】必殺技や奥の手はない


 私のところに夫婦円満を目指してご相談に来られる方の中には、私が夫婦円満のための必殺技や奥の手を知っていると誤解されていらっしゃる方もいます。
 そのため、最初にお話しておきますが、私の経験上、夫婦円満のための必殺技や奥の手はありません。
 ご相談に来られた方には、奥の手はないので、地道に信頼回復に努めていきましょうというお話をすることが多いです。

 

3.【ポイント2】険悪な状況を長期化させない


 私のところにご相談に来られる方は、既に相手が別居を始めてしまっているケースや、相手が弁護士を立ててしまっているケースが大半です。
 ただ、よくよく話を聞いてみますと、①実はこの4,5年、相手とはほとんど口を聞いていないんですとか、②この何か月間は、休日も含めて食事は別々に摂るようになっていましたとか、③相手がこちらを無視するので、こっちも無視していたら冷戦のような状況が2,3年続いています、といった話をなさる方もいます。

 要するに、別居を開始する前から、夫婦の関係性が形だけのものになってしまっているのです。
 もし、あなたが、まだ相手と一緒に生活しているという場合には、険悪な状況が長引くほど、別居や離婚のリスクは高まってしまいますので、「険悪になっている」とか「険悪になり始めている」と感じた場合には、その状況を改善するように対応することが必要です。

 

 

4.【ポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない


 これも、私が相談に乗っていると聞くことが多いのですが、相手が別居してしまったけれども、数か月前には家族旅行に行ったとか、相手も旅行を楽しんでいた、というお話をなさる方もいます。ただ、より詳しく話を聞いてみますと、勤め先の保養所を利用する旅行で、実は相手はそれほど行きたいと思っていなかったとか、旅行に行くには行ったけれども、普段の夫婦の会話がほとんどなくなっていたので、旅行中夫婦の会話はほとんどなかったということも多いです。

 これでは、折角の家族旅行等も夫婦関係修復には役立ちません。
 また、家族旅行等が毎年の恒例行事になっているというのはよい側面もありますが、逆に、そのことがマンネリ化してしまうということもあると思いますので、それがルーティーン化してしまい、家族の絆を深める場になっていないようでしたら、行先や旅行計画等を工夫するなどして、少しでも家族の絆を深めるような努力をした方が良いと思います。

 

 

5.【ポイント4】 子供への叱責・しつけの限度を超えない


 これも、私がご相談を受けているとよく話題に出る事項なのですが、あなたのお子様への叱責や躾が限度を超えていると感じられてしまうということがあります。
 あなたとしては、お子様の将来のために一生懸命しつけている、叱っているとお考えなのかもしれませんが、熱が入り過ぎてしまい行き過ぎてしまうということも多々あります。
 ただ、行き過ぎた言葉や、特に「手が出る」ということになってしまいますと、厳密には児童虐待と呼ばれても仕方がない状況とも言えます。
 このような様子を見て、相手が「もう一緒にやっていけない」と感じてしまうという話を耳にすることも多いものですから、十分注意すべきかと思います。

 

 

6.【ポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている


 特にご年配の方がご相談に来られる際に、このようなお話をなさる方が多い印象ですが「私が小さい頃はこうやって育った」とか「私が小さい頃、父はこうしていた」、「昔は今みたいにパワハラだとかDVだとか騒がれなかった」といったお話をなさる方もいます。
 ただ、そのような考え方で相手と接してしまいますと、相手は時代錯誤だと感じてしまい、一層あなたへの気持ちが離れて行ってしまいます。
 特に、今は、インターネットで何でも検索できる時代ですから、今どきの夫婦像なども簡単に検索出来てしまいます。相手がそのことで違和感を感じてしまいますと、離婚や別居を切り出すという原因になりかねませんので、くれぐれも「昔はこうだったから、今も許される」といった発想は禁物です。

 

 

7.【ポイント6】謝るべきところは謝る


 あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、相手の話の中で、相手が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

 

8.【ポイント7】感謝の気持ちを伝える


 前述の謝る姿勢と合わせて、普段の相手の仕事ぶり、家事・育児などへの感謝の気持ちを示すことも、同様に大切なことになります。
 夫婦喧嘩中ですと、感謝の気持ちを示すことに抵抗感を持つ方も多いのですが、意固地になってしまいますと状況は悪化していく一方というケースも多いので、感謝の気持ちは早めに示しておいた方が良いケースが多いです。
 特に、相手が別居をスタートさせてしまったり、弁護士を立ててしまったりしますと、感謝の気持ちを直接伝えることすら難しくなるということも多いので、感謝の気持ちも「伝えられるうちに伝える」ということが大切だと思います。

 

9.【ポイント8】間に誰かをはさむ


 

 夫婦が直接話をすると冷静な話し合いができない、余計にこじれそうだというような場合には、あなたのご両親や身内の方、仲人の方その他友人・知人の方などに間に入ってもらって話をするということが有益です。
 なお、間に入ってくれそうな適任者がいないというときには、弁護士に間に入ってほしいとおっしゃる方も多いのですが、夫婦円満を目指す場合には、安易に弁護士に依頼せず、極力身内の方を間に挟んだ話し合いを強くオススメすることが多いです。

 

10.【ポイント9】簡単に諦めない


 私のところにご相談に来られる方は、「夫婦関係はできれば修復したいですけど、難しいですよね。それだったらどうしようか悩んでいます。」とか「友人とかに相談すると、それなら離婚した方がいいんじゃない、という意見が多くて迷っています」というお話を聞くことも多いです。
 そのような場合に、私の方からお話するのは、「今後絶対に後悔しない、というくらいに覚悟が決まるまでは、離婚を口にすべきではないですよ」ということです。

 今後の夫婦関係の問題は、あなたの人生に関わるとても大事な話ですから、私としては後悔する選択はして欲しくないと考えています。
 また、現実的にも、あなたが「離婚で構いませんよ」と言ってしまいますと、離婚一直線で話が進んでしまいます。
 そのため、「悩んでいるうちは離婚を口にしない方が良い」とアドバイスすることが多いのです。

11.まとめ


・【離婚回避のためのポイント1】必殺技や奥の手はない

・【離婚回避のためのポイント2】険悪な状況を長期化させない

・【離婚回避のためのポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない

・【離婚回避のためのポイント4】子供へのしつけ・叱責の限度を超えない

・【離婚回避のためのポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている

・【離婚回避のためのポイント6】謝るべきところは謝る

・【離婚回避のためのポイント7】感謝の気持ちを伝える

・【離婚回避のためのポイント8】間に誰かを挟む

・【離婚回避のためのポイント9】簡単に復縁を諦めない

 

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【絶対に離婚したくない(1)】修復のために「すべきこと」・「やってはいけないこと」21選

2023.07.17更新

弁護士秦
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1.大まかに場合分けが必要


一口に離婚回避のために「すべきこと」「やってはいけないこと」と言いましても、あなたが置かれている状況によって、対応方法も異なってきますので、⑴別居前・⑵別居後・⑶相手が弁護士を立ててきたという3つに分けて、解説していきます。

 

 

2.【ケース1】まだ相手が別居を開始する前の段階


 「まだ相手が別居を開始する前の段階」というのは、実際のケースとしては、まだ相手が別居をスタートしてはいないけれども、別居や離婚の希望を直接伝えてきたとか、様子を見ていると別居の準備をしている様子があるといったケースです。
 この場合に「すべきこと」「やってはいけないこと」を8個に絞って解説します。

(1)【心得1】反発しないこと
 私が夫婦修復のケースを担当していて、まず注意して欲しいと考える点が「反発しないこと」です。
 相手が別居希望や離婚希望をこちらに伝えて来る際には、当然ながら、あなたに対する不満をぶつけてくることが多いと思いますが、あなたの認識と異なる事実、誤解している事実が含まれることも多いと思います。
 そのため、相手の言い分をさえぎって、あなたの言い分や認識を伝えたくなるのも当然のことだと思います。

 もちろん、あなたの考えを伝えることで夫婦の誤解が解けて関係が修復するということもあるので、あなたの考えを伝えてはいけないということではありません。
 気を付けて欲しいのは、「売られた喧嘩を買う」ということにならないようにして欲しいということです。
 これでは、夫婦喧嘩にしかなりませんので、関係修復が遠のいてしまいます。
 相手の口から離婚や別居というワードが出たということは、真剣に悩んでいる可能性が高いと思いますので、反発しないで冷静に話し合いができた方が良いと思います。

(2)【心得2】相手の話を軽視しないこと
 これは、妻が別居希望や離婚希望を伝えてくるケースで多いのですが、夫側が「そんなこと言ったって、妻の収入だけでは生活できないに決まっているから、言わせておけばよい」とか「どうせ本気じゃないでしょ」といった形で、妻の話をまともに取り合わないという方もいます。
 しかし、私が夫婦修復の件でお話を聞いておりますと、「同居中に妻がそんなことを言ってたんですが、本気だとは思わなかったから、簡単にあしらったんですが、そうしたら急に何も言わずに出て行ってしまったんです。どうすればいいですか?」とご相談を受けることも多いです。
 そのため、「今回は本気かもしれない」と思って話を聞いた方が良いと思います。

(3)【心得3】理解できるところ、すべきところは、理解・共感する
 前述のように、相手は、あなたに対する不満をぶつけてくると思います。その中でも、理解できるところや、相手がこだわっていて、そこを妥協しないと夫婦修復の糸口がつかめないような部分については、理解・共感するという姿勢が大切なことが多いです。
 ただ、このような話をすると「要するに、相手の話に相槌だけ打っておけばいいんですよね?」とおっしゃる方もいますが、このような姿勢ですと、相手に見透かされてしまうことが多いので、実際にあなた自身理解・共感できる範囲で妥協するということの方が良いと思います。

(4)【心得4】謝るべきところは謝る
 前述の理解・共感に加え、あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、相手の話の中で、相手が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

(5)【心得5】気持ちを切り替えるイベントのセッティング
 相手から別居や離婚の話が出ているので、この険悪な状況が続くことは避けた方が良いと思います。
 そのため、家族の絆を深められるようなイベント(旅行や外食、記念日のお祝い等)をセッティングできるようであればセッティングして、それが、夫婦修復の試金石になることもあります。
 家族行事だと、険悪ムードを引きずりそうだという場合には、友人等を招いたパーティーのようにするとか、お互いの親族も読んで旅行に行くなど、バリエーションを工夫してみても良いかもしれません。

(6)【心得6】状況を客観視する
 これは、夫婦修復の糸口をつかむために、場合によってはやってみても良いかもしれないという方法なのですが、親しい友人等に相談して、その意見を聞くこともあります。
 と言いますのは、あなた自身が一人で抱え込んでいても、なかなか解決の糸口がつかめないという場合でも、親友等に相談すると、客観的に状況を把握できるとともに、解決の糸口をつかむことができることもあります。
 なお、この場合に注意して欲しいのは、あまり沢山の人に相談しない方が良いということです。相談相手が複数に上りますと、様々な意見が出て意見集約が難しくなりますし、情報が拡散するリスクが高まるからです。職場の先輩何人かに相談したら、いつの間にか職場の同僚等全員が知るところとなってしまったというケースもありますので、情報管理には気をつけたいところです。

(7)【心得7】極力別居は回避する
 相手が別居を始めてしまいますと、より一層夫婦修復が難しくなるのは事実なので、極力別居は回避した方が良いです。
 最悪、離婚裁判になることも視野に入れますと、別居開始が早いほどこちらに不利に働くことも事実です。
 他方で、①相手が精神的に不調を抱えていて、一定期間冷却期間を置いた方が望ましいと言えるケースで、かつ、②別居先も相手の実家とし、実家が夫婦修復を強く希望しているという場合には、別居回避にこだわり過ぎないことが、結果的に良い方向に結び付くこともあります。
 そのため、別居回避を基本としつつ、状況に応じて、ある程度柔軟に対応することも検討してみてください。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 私がご相談を受けておりますと、相手がこちらの署名と押印を偽造してまで離婚届けを提出するケースは少ないという印象ですが、少なからず勝手に離婚届を提出しようとする人もいます。
 特に同居しておりますと、相手もこちらの印鑑の在処を知っているケースも多いので、勝手に押印されるリスクは捨てきれません。
 そのため、相手が勝手に離婚届を提出しそうであれば、予めこちらから離婚届不受理申請を出しておいた方が安全です。

 

 

3.【ケース2】相手が別居を開始してしまった後の段階


 一口に、相手が別居を開始してしまった後のケースと言っても、①こちらも同意した上で別居しているケース、②こちらは同意していないけれども、強く反対したわけではないケース、③反対している中で別居されたケース、④反対以前に何も相談がなく勝手に出て行かれたケースなど複数のケースが想定されるのですが、これらのケースをひとまとめにして、別居後のケースとして以下解説していきます。

(1)【心得1】相手の姿勢に合わせた対応を心がける
 私が相談を受けていて一番感じる点なのですが、別居後により険悪になってしまっているケースをよく見かけます。
 それは、別居後も、相手が自身の悩みなどを真剣に相談等しているのに、こちらが、寄り添おうとせず、自ら夫婦修復の糸口をなくしてしまっているといったケースです。
 そのため、私が良くお勧めしますのは、「相手の姿勢に合わせた対応」というところです。

 例えば、別居したものの相手がこちらと接点を持ちたいがために必要なものを持ってきて欲しいといった形でサインを送ってきた場合には、それを送り届け、その際に少し顔を見て冷静に話をするといった対応が望ましいと言えます。他方で、一旦は話もしたくないという場合には、しばらく敢えて連絡を取らないという対応が望ましい時もあります。
 このように相手の姿勢に合わせて対応するのです。
 くれぐれも、「別居なんて勝手なことをして、断じて許せない」という姿勢は避けた方が良いかと思います。

(2)【心得2】相手を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
 相手の別居が一時的な場合には、実家に身を寄せるというケース、社員寮で寝泊まりする、友人のところに居候するなどいくつかのケースがあると思いますが、誰かしら身近な同居者、つながりのある人物がいることが多いと思います。
 このように相手のことを見守ってくれる人物が言うことは、客観的に相手の様子や心境を言い表していることが多いと思いますので、その話は真摯に受け止めた方が、夫婦修復につながるケースが多いです。

(3)【心得3】別居解消を急かさない
 法律的な戦略という観点からは、別居期間を短期間に収めたほうが望ましいです。
 ただ、焦って対応すると、相手は、一層態度を頑なにしてしまうリスクが高いので、既に別居がスタートしてしまっているという現状を踏まえ、焦らない方が結果的に夫婦修復につながることが多いような気がします。
 もちろん、相手が別居を始めたものの、内心では、早く迎えに来て欲しいと思っているような場合には、早く迎えに行った方が良いのですが、慎重な対応を心掛けた方が良いと思います。

(4)【心得4】長期間の断絶にはしないこと
 前述の通り、相手の姿勢に合わせて対応することが肝要なのですが、あまり期間が空き過ぎてしまいますと、逆に夫婦修復のきっかけがなくなってしまうということもあります。
 そのため、少なくとも1か月に一度も連絡しないままになってしまうとか、あまり相手との連絡不通が長期間になり過ぎないよう配慮した方が良いと思います。もちろん、相手と直接連絡を取ることが憚られる場合には、前述のように相手のことを見守っている相手の両親等とコンタクトを取るなど、連絡の相手についても慎重な検討が必要です。

(5)【心得5】お子さんのことばかりにならないこと
 相手の別居に納得していないため、相手に積極的に連絡したいとは思わない、けれども、子供のことは溺愛していたので子供のことは積極的に話をしたい、という方も多いと思います。
 ただ、相手との連絡がお子さん一色ということになりますと、相手は、自分のことを軽視されていると誤解してしまいます。
 そのため、①相手との連絡が、お子さんの様子の確認ばかりにならないこと、②相手との接点が、お子さんとの面会交流の「ついで」のようにならない等の配慮が必要です。

(6)【心得6】相手の隠し録音には要注意
 既に相手が別居を開始していますので、本格的に離婚に向けて動き出す予兆という場合も多いです。
 その場合、自身に有利な言質を取るために、あなたとの会話の内容を隠し録音してくるケースも多いです。
 そのため、別居後、相手と直接会話する際などには、相手に録音されているリスクも考慮しながら話をする必要があります。

(7)【心得7】記念日対策等
 あなたが別居に納得していないような場合には、相手の誕生日や結婚記念日を祝いたい気持ちにはなれないかもしれません。
 ただ、私が見ておりますと、記念日のプレゼント等が夫婦修復の後押しになったケースもあります。
 もちろん、状況によっては、このようなプレゼントが逆効果になることもありますので、慎重に検討した方が良いと思いますが、相手が受け取りそうな雰囲気があるのでしたら、プレゼント等を提案してみることも一考に値します。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 別居後は、相手もこちらの印鑑を勝手に押印するリスクは減りますが、①別居前に勝手に離婚届にあなたの判子を押してしまっているケース(その離婚届を持ち出しているケースです)や②別居後に判子を購入して、あなたの判子と偽って離婚届を提出するケースもあります。
 そのため、まだ離婚届不受理申請をしていない場合には、早めに申請しておいた方が良いと思います。

 

 

4.【ケース3】相手が弁護士を立てた後の段階


 相手が弁護士を雇ってしまった場合、通常は、相手の離婚意思は固いことが多いと思いますので、そのような前提で対応する必要があります。
 以下では、相手が弁護士を立てた後の段階というシチュエーションでの心得を5個に絞って解説します。

(1)【心得1】相手との直接の連絡は控えること
 相手が弁護士を立てた場合には、その弁護士が窓口になりますので、相手との直接の連絡は控えた方が良いです。
 なお、このような説明をしますと、「相手の弁護士に連絡を取れなきゃいけない法律はあるんですか?」と質問されることも多いです。結論から言いますと、相手の弁護士に連絡することを直接義務付ける法律はありません。
 ただ、相手は、あなたと直接やり取りをしたくなくて、弁護士を立てていることが多いので、相手と直接連絡を取ることが逆効果になることが多いということは認識しておいた方が良いと思います。
 また、あまり相手に執拗に連絡してしまいますと、夫婦であってもストーカー規制法違反の問題が生じてしまうこともありますので、この点は注意する必要があります。

(2)【心得2】(禁止されていないのであれば)相手の両親等への連絡を試みる
 相手の弁護士の対応によるのですが、相手本人への連絡は禁止しても、相手の両親への連絡は、これまでのあなたとの関係性等から禁止等しないケースもあります。
 もちろん、相手の弁護士から禁止された場合には、相手の両親等への連絡も控えた方が良いのですが、禁止されていないのでしたら、夫婦修復のために、相手の両親等に連絡を取ることも一考に値します。

(3)【心得3】面会交流の場の活用
 特にお子様が幼い年齢の場合、面会交流時に夫婦が顔を合わせるというケースも多くあります。
 もちろん、そのような場合に、あからさまに今後の夫婦関係のこと等を話すことは避けるべきですが、面会交流についての感謝の気持ちを伝えるなど、多少でも夫婦修復につながる対応ができるケースもあります。

(4)【心得4】手紙の活用
 相手が弁護士を立てた場合、あなたの気持ちを相手に伝える手段としては手紙が最も有力な手段となります。
 相手の弁護士の方針によっては、手紙を渡してくれないとか、弁護士が受け取っても相手本人が読んでくれないというケースもあるのですが、手紙の存在が相手に一定の影響を与えることもありますので、極力手紙を書くことをおススメすることが多いです。

(5)【心得5】こちらも弁護士を立てることを検討する
 相手が弁護士を立てた場合、こちらも、不備なく対応するには、弁護士を立てた方が望ましいケースも多いです。
 そのため、弁護士を立てること、その場合、どの弁護士に依頼するのかといったことは検討し始めても良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


(1)まだ別居前の場合の8個の心得
①相手に反発しない
②相手の話を軽視しない
③相手の話に理解・共感する
④謝るべきところは謝る
⑤気持ちを切り替えるイベントのセッティング等をする
⑥身近な人に相談して客観的意見をもらう
⑦極力別居を回避する
⑧離婚届不受理申請をする

(2)別居開始後の8個の心得
①相手の姿勢に合わせた対応を心がける
②相手を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
③極力別居解消を急かさない
④長期間の断絶にはならないよう配慮する
⑤お子さんのことばかりにならないよう注意する
⑥相手が隠し録音している可能性を考慮して会話する
⑦記念日対策等をする
⑧離婚届不受理申請をする

(3)相手が弁護士を立てた後の5個の心得
①相手への直接の連絡は控える
②(禁止されていないのであれば)相手両親等へのコンタクトを試みる
③面会交流の場の活用を考える
④手紙を書く
⑤こちらも弁護士に相談してみる

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(56)―夫は同居中些細なことでも録音を取ったり証拠集めをしていたが大丈夫か?

2023.07.10更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.同居中、夫は些細なことでも録音を取ったり証拠集めをしていたが大丈夫か?


 夫婦の関係が良好な場合には、夫側が家庭内で録音機を構えたり、スマートフォンで録音をするということはないと思います。しかし、夫婦の関係が険悪化してきますと、今後何かあったときのためにといったことで、夫側が証拠集めのようなことを開始する場合があります。
 あなたはお子さんの育児に奔走しているため、記録化があまりできていないのに対して、旦那側はほとんど育児に協力しないため、着々と記録化しているといったパターンが多いように思われます。
 具体的に私が担当した事件では以下のようなパターンがありましたので、各パターンごとに以下で詳しく解説していきます。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化

② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化

③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化

④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化

⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化

 

3.【パターン①、②】こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化


 こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化というのは、具体的には、旦那側があなたに対して家事不行き届や育児不行き届を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースになります。
 以下では、具体的にはどのようなことをどのように記録しているのかに応じて解説していきます。

(1)音声録音での証拠化
 具体的には、前述のような、旦那側があなたに対して①家事不行き届(部屋が片付いていないとか、取り込んだ洗濯物が置きっぱなし、食事後の食器を洗い始めるのが遅いとか、料理の味が薄いとか)や②育児不行き届(保育園への持ち物の忘れ物が多い、おむつを替える頻度が少ない、目を離している隙にお子様が化粧品等を口にしようとしてしまっているとか)を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースがこれに該当します。

 このような録音に対する対抗策としては、録音中に、あなた自身の口から「録音している余裕があるなら手を貸して」「そうやって録音しているけど、あなたは何もしてくれないよね」と言った形の発言をして、あなただけの問題ではないという記録化をしていくというのが有効かと思います。

(2)写真や動画での証拠化
 写真や動画での証拠化というのは、よくあるケースとしては、①こちらが他の家事や育児で手が回らず、部屋が片付いていない状況を旦那側が写真撮影するとか、②こちらがお子様の幼児で外出しなければならないため、食後の食器類を洗い場にそのままにしている状況を旦那が動画にして、旦那自身のコメントを勝手に吹き込むといったことになります。
 そもそも、このような片付けや整頓の不十分については、数日不十分な状態が継続したということであればともかく、そうでない場合には、あまり大きな落ち度になるような問題ではないかと思います。
 また、監護者指定手続きの中で、旦那側がこちらを追及してきた場合には、「リビングは旦那もよく利用する部屋なので、リビングが片付いていないのは旦那側の責任でもある」といったような反論をすれば十分かと思います。

(3)日記やメモでの証拠化
 旦那側が問題に感じたことを逐一日記やメモ帳にまとめているというケースもたまにあります。
 単なる手書きのメモの場合、メモを何時作成したのかの証明が難しいことが多いので(要するに、旦那側が「令和2年2月2日に書いた」としても、実際には監護者指定手続き最中の令和5年5月5日に書いていることもあり得るということです)、あまり心配する必要はないかと思います。
 手書きの日記や手書きのメモは、その当時に記録したものであれば、一定の証拠価値があるのですが、「いつかいたのかが不明確なもの」(旦那側がいついつに書いたと言い張っているだけで、本当にその日に書いたのかが不明確なものも含みます)については、あまり証拠価値は認められないことが多いです。

 これに対して、携帯電話のメモ機能で作成したデータについては、作成日付を変更できない形式のものでしたら、少なくともその時に作成したデータということになり、一定の証拠価値が認められることになります。
 ただ、その場合でも、書いている内容次第というところでして、あまり旦那側の主観が多く含まれる場合には、あまり重要とは見られないケースがほとんどです。

 

 

4.【パターン③】こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化


 これは端的に、こちらがお子様を叱責しているときの様子を旦那側が録音したり動画にしたりするというパターンになります。
 最近は、新型コロナウイルス流行を機に、在宅勤務をする旦那が増えた関係で、在宅勤務中に、お子様の泣き声を聞くと、すぐに旦那が口を挟んでくるとか、携帯電話を構えて録音しようとしてくるといったケースが増加傾向にあります。
 そもそも、録音等されたとしても、その叱責が行き過ぎたものでなければ、特にこちらが不利になるわけではありません。お子様ですからふざけてしまったり、悪戯をしてしまったりと、しっかりと注意しなくてはならない場面は多くあると思いますので、そのような場合に、何も注意しないというのではむしろお子様にとっても良くないことだと思います。

 なお、そのような叱責が、旦那側が煽った結果だというケースもあります。
 例えば、お子様の悪戯が度を越していてしっかりと注意しなくてはいけないのに、旦那側が、「そのくらい大目に見てやれよ」とか「ヒステリーなママだねぇ」などと煽ってくるケースです。
 そのような場合、こちらが叱責している場面だけを切り取って記録化されてしまいますと、こちらに不利になりますので、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 旦那側は、あなたがお子様を叱っている場面だけを切り取って、監護者指定手続きの中でも「些細なことで子供を叱りつけている」といった言い方をしてくると思います。
 それに対抗するために、しっかりと経緯もあなたの方で記録化しておくという意味です。そして、その記録化は、早めに記録化しておく必要がありますので「その日のうちに」親族にメールを送るなどして、状況保存しておいた方が良いのです。

 

 

5.【パターン④】旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がお子様と会話をし、その中でお子様に対して旦那への感謝を言わせるというものです(その会話全体を録音しています)。例えば、あなたが所用で自宅を留守にしている際に、旦那がお子様の昼食を準備したとします。そのことについて、お子様に「パパが作るミートソーススパゲティは最高だよ」「いつもパパが料理してくれるよね。サンキューね」などと言わせ、録音するといったものです。
 こうした録音については、旦那側が意図的に言わせていることが多く、不自然な雰囲気、不自然な会話になっていることが多いので、このような録音が監護者指定手続きの中で出てきたとしても、あまり心配しなくても良いことが多いと思います。

 

 

6.【パターン⑤】こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がこちらを煽ってきた上で、もしくは、こちらを挑発してきた上で、こちらを怒らせ、怒っている様子だけを録音するといったものです。
 そもそも、そのようなあなたの発言が、聞いていて、周りを萎縮させるようなものでしたら問題になるかもしれませんが、そこまでのものでなければ、そこまで四敗する必要はないかと思います。また、その場面にお子様が同席していなければ、監護者指定手続きとの関係ではほとんど無関係な事情となります(夫婦間の問題であって、お子様との関係の問題ではないという意味です)。
ただ、この場合も、不安があるようでしたら、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 

 

7.こちらも記録化した方が良いのか?


 夫側が記録するのであれば、こちらも記録するというスタンスで臨みたという方もいますが、弁護士としてはあまりオススメしません。
 と言いますのは、あなたが記録をとっていることを旦那側が知ると、旦那側の記録行為は悪化していく可能性が高く、余計に家庭内がぎくしゃくしていくからです。
 もし、あなたの方で記録を残しておきたいということでしたら、「旦那の落ち度を探す」という観点ではなく、むしろあなたの育児での頑張りを記録しておいた方が良いと思います。
 一番端的なのは、毎日育児日記をつけておくということではないかと思います。大した行事やイベント等がない日も、しっかりと「毎日書く」ということが非常に重要になります。

 

 

8.まとめ


・旦那側がこちらの落ち度を記録しようとする場合、以下のようなものが考えられる。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化
② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化
③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化
④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化
⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化
・いずれについても、行き過ぎたものでなければ、旦那側が記録を取っていても無意味である。
・それぞれの証拠化に対して対処方法もあるので、不安があるようなら対処方法を講じるべきである。
・こちらが積極的に「旦那の落ち度を探す」という観点で記録化することはあまりオススメしない。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(55)―夫による連れ去り事案なのでこちらに有利に働くか?

2023.06.26更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.夫による連れ去り事案ってどういうケース?


 夫による連れ去り事案というのは、夫側がこちらに断りもなくお子様を勝手に自宅から連れ出し、夫だけ(夫の実家の補助を受けつつ)で育てていくようなケースを言います。
 よくあるケースとしては、①こちらが別居の準備をしていることを夫側が察知してしまい、こちらが別居を始める前に夫側が先に連れ去って行ってしまったケースや、②こちらの冗談の発現を夫が真に受けて、お子様に危険が及ぶ可能性があるなどと言って連れ去ってしまうケースなどがあります。

 

3.連れ去りは違法になるのか?


 連れ去りが違法な場合、夫側には大きく不利な要素となりますので、連れ去りが違法なのかどうかという点が非常に重要になります。
 一般的には以下のような要素を考慮して判断されるケースが多いです。

(1)【違法な連れ去りかどうかのポイント1】連れ去り態様
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

(2)【違法な連れ去りかどうかのポイント2】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 夫側がお子様を連れ去る場合、お子様の意思を十分確認せずに別居を開始していることも多いと思いますが、お子様が自宅に戻りたいとか、奥様と一緒に生活したいと希望するような場合には、お子様の意思に反していますので、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は6,7歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。

(3)【違法な連れ去りかどうかのポイント3】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況(それまでの育児への関わり方)は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。
 同居中、育児をメインで担当していた場合、別居後も同居中の育児の延長とみなすことができますので、連れ去りの違法性は否定する方向に働きますし、逆に、同居中あまり育児に関わってこなかった場合、別居後しっかりと育児を担うことができるものと評価して良いのかという問題が発生しますので、連れ去りの違法性が肯定される方向に働くのです。

(4)【違法な連れ去りかどうかのポイント4】無断別居イコール「違法な連れ去り」ではない。
 たまに私が相談に乗っていますと、奥様の了解を得ずに連れ去ったことをもって「違法だ」と強くご主張なさる方もいますが、「無断別居」イコール「違法な連れ去り」ではありません。
 確かに、あなたの了解も得ずにお子様を連れて行っているのですから「連れ去り」にはなるのでしょうが、それが法律的に違法なのかどうかは、これまでに述べてきた考慮要素を総合的に検討して判断されることになるのです(要するに、連れ去りと言っても「適法な連れ去り」というのもあるということです)。

 

4.初動が非常に重要


 今回のブログは、夫側が監護者指定事件を起こしてきたというケースというタイトルにしてありますが、夫側が連れ去った場合には、あなたの方から監護者指定審判を申し立てるケースの方が多いと思います。
 そして、夫側の所在が判明し次第、速やかに監護者指定事件と保全事件を同時に申し立てて対応することが重要になります(その意味で「初動が非常に大事」です)。
 夫が連れ去った環境にお子様が馴染んでいけば馴染んでいくほど、夫側に有利になってしまいますので、早めに対処した方が良いのです。
 そして、監護者指定事件では、早めにお子様を取り戻すために、速やかに保全事件の結論を得られるよう尽力する必要があります。
※保全事件の詳細につきましては、まとめサイトから、本シリーズの(20)のブログをご覧下さい。

 

5.警察や児童相談所を活用して至急連れ戻すことはできないのか?


 たまに私が相談に乗っておりますと、「監護者指定事件だと保全だと言ってもどうしても時間がかかってしまうので、今すぐ警察に乗り込んでもらって、すぐに子供を保護してもらえないのか?」という質問を受けることもあります。
 旦那側の連れ去りが、あまりに乱暴な態様だというような場合には、警察も誘拐事件として取り上げてくれるケースもありますが、連れ去りは、通常、こちらの目が届かないところで実行されることが多いので、どのようにして連れ去って行ったのか、こちらには分からないことが多いです。

 そのため、誘拐罪と絡めて警察に動いてもらうことは難しいことが多いと思います。
 また、児童相談所についても、現状お子様が旦那側から暴力被害を受けているというような、明らかな児童虐待のケースであれば別ですが、そうでないと、児童相談所が大きく動くことは難しいと思います。

そのため、結局は、監護者指定事件(特に保全事件)の中で裁判所に速やかに結論を出してもらうという方法を取ることが多いと思います。

 

6.まとめ


・無断での連れ去りイコール違法というわけではない(同じ「連れ去り」でも「適法な連れ去り」となるケースもある)
・連れ去りが違法かどうかは、以下のような要素で判断されることが多い。
 ①連れ去り態様
 ②お子様の意思
 ③それまでの監護状況
・夫側に連れ去られた場合には、速やかに監護者指定事件(保全を含む)を起こすなど初動が非常に大事である。
・警察や児童相談所を介して早期に連れ戻すということは難しいケースが多い。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(54)ー最近夫は完全在宅勤務になっているが、こちらに不利になるのか?

2023.06.19更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.在宅勤務だと監護実績という部分で争いが激化しやすい


(1)監護実績とは?
 監護実績というのは、分かりやすく言いますと、これまでお子様の育児にどの程度関わってきたのかという実績のことです。
 監護者指定事件では、この監護実績が非常に重要な考慮要素とされます。なぜなら、これまでの監護実績が豊富であれば、その親御さんに引き続きお子様の世話を任せるのが安心だという評価を受けやすく、監護者指定事件で大きくリードすることができるからです。

(2)在宅勤務だと監護実績で争いが激化しやすい
 元々、監護者指定事件では、監護実績について夫婦の言い分が大きく食い違うことも多々あります。旦那側は、監護権を獲得するために、積極的に育児に関わってきたと主張してくるため、言い分が食い違ってしまうのです。
 そして、旦那側が在宅勤務だと、平日旦那側も自宅に居ることになりますので、「仕事をしながらも、育児に関わっていた」という主張がなされやすくなるのです。

 逆のパターンを想定すると分かりやすいと思いますが、旦那側が出社勤務だという場合、旦那側が育児に関わっていたと主張しても、こちらから「夜遅くまで会社に行っていたのだから、物理的に育児なんてできるわけがない」と反論すると、旦那側は言い訳が難しくなります。
 しかし、旦那側が自宅に居ると、「物理的に育児ができない」ということを言いにくくなってしまうため、一層監護実績という点で紛争が激化しやすくなってしまうのです。

 

3.夫が在宅勤務の場合、監護実績はどのように判断されるのか?


(1)大きく分けると3パターンが考えられる。
 一口に夫側が在宅勤務だと言っても、大きく分けると、以下の3パターンがあると思います。
①【パターン1】あなたは専業主婦で、夫は在宅勤務
②【パターン2】(共働き)あなたも夫も在宅勤務
③【パターン3】(共働き)夫は在宅勤務だけど、あなたは出社勤務

 上記の【パターン1】のケースですと、夫側が在宅勤務だと言っても、あなたの方が専業主婦として家事や育児に大きく関わっていることが推測されますので、夫が在宅勤務だからと言って、夫側が大きく有利になるということはないと思います。ただし、前述の通り、夫が出社勤務のケースと比較して、在宅勤務の方が、単純に通勤時間がなくなるわけですし、物理的に自宅に居るため、育児に関わりやすくなっていることは事実ですので、夫側の育児の主張に対しては丁寧に反論していく必要があります。

 次に、【パターン2】のケースですと、お互いが在宅勤務ですので勤務形態という点から、大きな差はつかないことが多いと思います。ただ、お互いに在宅勤務だとしても、あなたは時間短縮勤務で、旦那側はフルタイム勤務だという場合、ある程度はあなたの方が家事・育児に関わる時間が取れるかもしれないと評価されることもあろうかと思います。
 最後に【パターン3】のケースですと、勤務形態という点からは、残念ながらあなたの方が不利になってしまっていることは否定できません。そのため、あなた自身の監護実績をどのように証明していくのかという点が課題になります。

(2)結局、裁判所は何をもとに判断するのか?
 監護者指定事件の手続を進めておりますと、監護実績についてのお互いの言い分が大きく食い違ってしまい、良い分だけでは、監護実績を判断することが難しいというケースも多いです。
 そのため、裁判所側は、保育園の連絡帳等当時の状況を探れる資料を非常に重要視することが多いです。これを見れば、ある程度お子様がどのような生活を送っていたのかが分かりますし、誰が連絡帳を書いていたのかが分かれば、夫婦のどちらが積極的に育児に関わってきたのかが分かるからです。

 また、今回のブログは、解説を簡明にするために、夫側が完全在宅だというケースで解説しましたが、実際には完全在宅ではなく、週2回は出社しているなど、一部出社しているケースもあります。そのような場合には、出勤簿などを提出して、どの程度出社していたのかを確認するといったこともあります。

 

 

4.在宅勤務のもう一つの懸念点


 夫側が在宅勤務の場合、夫も自宅に居るため、こちらの育児方法に色々と口を挟んでくる機会も増えていきます。
 口を挟むだけならまだしも、監護者指定事件の中で、あなたが子供を虐待して泣かせていたとか、不適切な育児をしている現場を見たといった主張がなされることもあります。
 そのため、ある程度夫が言ってきそうな問題点があらかじめ分かっているようでしたら、早めにこちらの方から事情を説明するという形で対応することもあります。

 

 

5.まとめ


・夫が在宅勤務だと監護実績について争いが激化しやすい
・一口に夫側が在宅勤務だと言っても、大きく分けると、以下の3パターンが考えられる。
①【パターン1】あなたは専業主婦で、夫は在宅勤務
②【パターン2】(共働き)あなたも夫も在宅勤務
③【パターン3】(共働き)夫は在宅勤務だけど、あなたは出社勤務
・あなたが専業主婦の場合、夫が在宅勤務であっても大きな影響はないが、共働きの場合には一定の影響が避けられない。
・特にあなたが出社勤務の場合【パターン3の場合】には、しっかりと監護実績を証明していく必要が出てくる。
・監護実績の証明にあたっては、保育園の連絡帳などが最適である。
・在宅勤務の場合のもう一つの懸念点は、あなたの育児方法などについて夫がみて不適切な育児だなどと言い始めることである。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(53)―精神疾患はどこまで手続に影響するか?

2023.06.05更新

弁護士秦

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.全部で3パターン


 一口に精神疾患の影響と言いましても、①あなたが精神疾患のパターンと、②旦那側が精神疾患のパターン、③夫婦双方が精神疾患のパターンの3パターンがあると思います。
 そのパターンに応じて、監護者指定事件に与える影響も異なってきますので、それぞれについて解説していきます。
 なお、このブログでの「精神疾患」とは、心療内科医等から正式に精神疾患の診断を受けていることを指す用語として使っております。そのため、単に①精神的な不調があって今度病院でカウンセリングなどを受けてみようかと思っているとか、②心療内科に通ってはいるけれどもカウンセリングを受けているだけで、正式な診断は出ていない場合は除外して解説しています。

 

3.【パターン1】あなたが精神疾患のパターン


(1)残念ながら不利な要素の一つにはなってしまう
 前述の通り、監護者とは、今後お子様の身の回りの世話などをしていくにふさわしい人を指しますので、あなたが精神疾患を患っているということは、残念ながら不利な要素となってしまいます。
 ただ、精神疾患であるから、監護者を争っても勝てない、ということではありませんので、慎重に見極めていく必要があります。

(2)どのように考慮されるのか?
 あなたの精神疾患がどの程度影響するかは、主に以下の要素が考慮されると思います。

①精神疾患の診断名

②精神疾患の重症度

③精神疾患を患っていた期間

④今後の治療見込み

⑤精神疾患が日常生活に与える影響の度合い

⑥精神疾患が育児に与える影響の度合い

⑦精神疾患が特定の場所や状況で発現する場合、どのような状況等で発現するのか

 以下、それぞれについて解説していきます。
(3)【考慮要素①】診断名
 あなたが心療内科医又は精神科医に「診断書を書いてください」と依頼すると、その際に診断名も書いてくれると思いますが、その「診断名」のことです。
 例えば、パニック障害、適応障害、身体表現性障害、うつ病、ADHD、PTSD等、どのような病気なのかということです。
 この診断名ないし病名を見れば、どのような病気なのかということが明確になりますので、精神疾患の影響を探るには最も重要な要素と言えるかと思います。

(4)【考慮要素②】重症度
 前述の病名を見れば、ある程度その精神疾患の重症度が分かることも多いのですが、同じ病気でも、症状の重さは人それぞれかと思います。
 例えば、うつ病が良い例だと思いますが、かなり軽いうつ病の場合には、ほとんど日常生活に影響がないという方もいると思いますし、逆に、重度うつ病の場合には、日中はほとんど寝たきりに近いという方もいると思います。

 このような精神疾患の重症度も、精神疾患の日常生活への影響を探る上で重要な要素となります。
 このような重症度については、裁判所サイドは、①通院頻度(頻度が多い方が症状が重いと判断されやすい)、②処方されている薬の内容・分量(効用が強い薬、分量多めの方が症状が重いと判断されやすい)、③精神障碍者等級の認定を受けている場合にはその等級といったことから判断することが多いと思います。

(5)【考慮要素③】患っていた期間
 その精神疾患を患っていた期間がかなり長期間に及ぶという場合には、近い将来に治るということは難しいだろうということになると思いますし、疾患としては重いと判断されることが多くなってしまうと思います。
 ただ、例えば通院期間が4,5年と比較的長い場合でも、通院頻度は2か月に1回とか、それよりも少ないというような場合には、主にカウンセリング目的で受診していた可能性が高いということで、期間の長さがそれほど不利にならないこともあります。
 また、最近の通院期間は1年間だという場合でも、12年前から7年前の5年間も通院していたというような場合、過去の通院歴が今後にどのように影響を及ぼすのかという点も考慮されることが多いです(いわゆる既往歴の問題です)

(6)【考慮要素④】今後の治療見込み
 前述の通り、現状の精神疾患の具合が非常に重視されてしまうのですが、例えば新薬の治験が始まっていて、劇的に症状の改善見込みがあるといった場合には、そこまでこちらに不利にならないこともあると思います。
 今後どの程度のスパンで精神疾患と付き合っていかなくてはならないのか、どの程度改善していく見込みなのかといった点が考慮要素になります。

(7)【考慮要素⑤】日常生活への影響
 精神疾患としては決して軽い症状ではないとしても、例えば、朝はどうしても起きれないけれども、午前11時頃に起きた後は、ほぼ問題なく日常生活を送れるというような場合、朝のお子様の支度や朝食の準備さえフォローできれば、監護者として指定されるにあたって全く問題ないと評価される場合もあります。逆に普段はほとんど症状がないとしても、体調を崩したときには一気に不調になって3,4日寝込んでしまうというような場合には、そのように寝込んでしまう期間の生活をどうするのかということが大きな課題になります。
 このような精神疾患があなたの日常生活にどのような影響を与えており、どの程度制限になってしまっているのかという点も重要な考慮要素となります。

 前述の通り、監護者とは、今後お子様の身の回りの世話などをしていくにふさわしい人を指しますが、あなた自身の日常生活すらままならないということになってしまうと、「育児どころではない」と評価されてしまう可能性もありますので、育児を担う前提として、あなた自身の日常生活への影響も考慮されることになるのです。

(8)【考慮要素⑥】お子様の育児への影響
 前述のようなあなた自身の日常生活の問題もありますが、あくまで監護者指定事件ですので、お子様の育児にどのような影響を与えるのかという点も裁判所は注意深く見極めていくことになります。
 実際には、お子様が保育園に通っているとか小学校に通っているという場合には、担任保育士や担任教師から事情を聴いて、お子様の園や学校での様子で気になったことはないか、気になるような発言がないか、宿題や課題の遅れ、普段の登園・登校準備に不足等がないのか等を把握する中で、精神疾患の影響を見極めることが多いかと思います。

(9)【考慮要素⑦】症状の発現条件等
 精神疾患によっては、症状が現れる場所が限られるといったケースもあります。例えば、以前の職場でのストレスが原因で適応障害になってしまったというような場合、出勤すると症状が出るが、家庭内ではほとんど症状がないとか、パニック障害ですと、人混みだと症状が出るが、人混みを避ければ問題がないといったことです。
 このように発言の場所や状況が限定される場合、そのことが、子育てとの関係でどのような影響があるのかを見極めていくことになろうかと思います。

(10)結局は、お子様の育児にどの程度影響があるのかという視点で見極めていくことになる。
 前述のような考慮要素を相互して検討していくことになりますが、結局は、お子様の育児にどの程度影響があるのかによって、監護者にふさわしいかどうかが決まっていくことになります。
 裁判官が、あなたの精神疾患の詳細を確認したいと判断した場合には、カルテを取り寄せて治療の経過等を確認することもあります。

(11)夫からの暴力や暴言が原因なのにこちらに不利になるのか?
 あなたの精神疾患が、夫からの暴力や暴言を原因としているケースもあり、そのような場合にも精神疾患が不利に考慮されるというのは不公平だと感じると思います。
 この場合に、あなたの精神疾患が夫からの暴力や暴言のみを原因としていると明確に証明できれば良いのですが、医師もそこまで断定的に原因を特定してくれないことが多いと思います。
 そのため、旦那の暴言、暴力のせいでこうなってしまったという証明が難しいことが多いのが実情ではないかと思います。
 そのような場合には、「旦那のせいでこうなったのだから、旦那の有利な事情として考慮すべきではない」という視点よりも、「旦那は子供の前でも私に暴力を振るうような粗暴な人なんだ」という視点で戦った方が有利になる気がします。

 

 

4.【パターン2】旦那側が精神疾患の場合


 旦那側が精神疾患という場合も、考慮要素は前述の7項目の要素が考慮されることが多いです。
 ただ、旦那側特有の問題もありますので、以下の通り解説します。

(1)旦那はフルタイム勤務していて、その点では支障を生じていない場合、どのように評価されるのか
 旦那が精神疾患を患っているとしても、家族の家計を支えているのは旦那の収入であるというケースもあると思います。
 その場合、旦那が仕事に支障をきたしていないという事情はどのように考慮されるのでしょうか。
 一般的には、旦那の仕事に支障がないという場合、例え精神疾患を患っていたとしても日常生活面等にはほとんど影響がないと評価されることが多いです。
 仮に、多少仕事に支障を生じていたとしても、概ね問題なく仕事ができているということになりますと、監護者指定事件にあたって大きな減点要素にはならないことが多いです。

(2)あなたの目から見て絶対精神疾患だと感じる場合

ア 裁判所はどの程度考慮してくれるのか?
 私が相談を受けておりますと、「旦那は病院に行っていないんですが、インターネットで調べてみたところアスペルガー症候群であることがほぼ間違いないと思います。これでこちらが有利にならないのでしょうか?」とか「旦那に何度病院に行くように言っても行ってくれないのですが、日常生活の中であまりにおかしいことが多いので、絶対に精神疾患だと思います」といったご相談を受けることも多いです。
 要するに、正式な精神疾患の診断が出ていないものの、あなたとしては旦那が精神疾患だと疑っているケースになります。

 このようなケースですと、旦那の普段の行動等によほどおかしなものがある場合は別として、そうでない場合には、ほとんど考慮してもらえないことの方が多いかと思います。
 残念なことに、こちらが旦那のおかしな行動や言動を指摘しても、旦那側は、「そのような事実はない」とか「このような経緯があってのことなのでおかしなものとは言えない」などと反論してくることが多く、あなたが感じている違和感を裁判所に共有することが難しいことが多いです。

イ 多少強引にでも旦那を心療内科に連れて行くべきなのか?
 前述のようなご説明をしますと、「それなら多少強引にでも旦那を心療内科に連れて行きます」とか「何とかして旦那に精神疾患の診断をつければいいんですね?」と追加で質問を受けることもあります。
 ただ、多少強引にでも心療内科に連れて行くとしても、一度心療内科に行けば精神疾患の診断名をつけてくれるということではないかと思います。通常は、何回か心療内科に足を運んで初めて、心療内科医等が診断可能な状況になるということです。

 また、心療内科医も、旦那自身が全く精神面での治療を希望していない、逆に拒否するという場合、無理に治療を続けることもできないと思います。
 更に、旦那に心療内科医からの診断をつけるという点も、診断名があれば、もちろん考慮要素にはなりますが、前述の通り、その疾患によってどの程度日常生活や育児に影響があるのかという点が最も重要な考慮要素になりますので、病名があっても、日常生活に大きな問題がないということになってしまいますと、ほとんど旦那側の減点要素にはなりません。

 

 

5.【パターン3】夫婦とも精神疾患の場合


(1)夫婦がお互い精神疾患だという場合
 夫婦がお互い精神疾患だという場合(夫にも正式な精神疾患の診断が出ているというケースを想定しています)、前述の7個の考慮要素に照らして、どちらの精神疾患がどの程度重いのかということが重要になります。
 なお、夫は仕事をしており、あなたが専業主婦だという場合、同じ精神疾患でも、夫側は症状が軽いのではないか?逆にあなたの方は症状が重いのではないか?と見られがちなので、しっかりとあなたの症状の状況を裁判所に説明していくことが重要になります。

(2)精神疾患の程度によっては、監護補助者が相対的に重要になることもある
 精神疾患と言っても、日常生活にほとんど影響がないという場合もあり、そのような場合には、監護補助者がいなくても、こちらに大きく不利にはならないと思います。
 他方で、それなりの症状だという場合には、体調を崩した際などに、育児をサポートしてくれる人(通常は親族)、すなわち、監護補助者がいるのかどうか、どの程度サポートしてくれるのかという点が相対的に重要になってくることもあります。

 

6.まとめ


・一口に精神疾患と言っても、①あなたが精神疾患の場合、②旦那側が精神疾患の場合、③夫婦双方が精神疾患の場合という3パターンがある。
・精神疾患がどこまで考慮されるかは、以下の7個の項目が重視される傾向がある。
①精神疾患の診断名
②精神疾患の重症度
③精神疾患を患っていた期間
④今後の治療見込み
⑤精神疾患が日常生活に与える影響の度合い
⑥精神疾患が育児に与える影響の度合い
⑦精神疾患が特定の場所や状況で発現する場合、どのような状況等で発現するのか
・旦那側が精神疾患だという場合でも、通常通り仕事ができている場合、その症状はあまり重視されないことが多い。
・旦那側に精神疾患の診断名をつけようと躍起になってもあまり大きな効果がないことが多い。
・夫婦双方が精神疾患の場合、疾患の程度によっては、監護補助者が相対的に重要になってくることも多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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