離婚問題

逆DVかな?と思ったら

2017.07.03更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。モラハラ・DV情報盛りだくさん!>>弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトはこちら<になります。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.逆DVって何だ?


 

  逆DVとは、一般的に奥様が旦那様に対して身体的・精神的または性的暴力をふるうことなどと言われます。つまり、直接殴る蹴るといった身体的暴力だけではなく、怒号・罵倒・誹謗中傷等による精神的暴力、肉体関係を強要してくる性的暴力等も含みます。

 数年前まではDVと言うと、旦那様が奥様に対して暴力をふるうケースを指すものと考えられていましたので、その「逆」の形態(旦那様が加害者ではなく、被害者であるという意味で「逆」)という形で、「逆DV」と表現されているようです。

 

 

2.逆DVは離婚原因になるか?


 

 「離婚原因」と一口に言いましても、法律家から見ますと二つの捉え方がありまして、「法律上の離婚原因」という捉え方と「離婚理由」(離婚を言い出すきっかけ)という捉え方があります。

 あなたが逆DVの被害に真剣に悩んでいると言うことでしたら、そのことは離婚理由(離婚を言い出すきっかけ)になります。

 

 ただ、法律上の離婚原因にまでなるかというと、事情によると言うことになります。

 と言いますのは、法律上の離婚原因というのは、「裁判所が強制的に離婚を認めてくれるだけの理由」を意味しますので、簡単には認められません。身体的暴力が繰り返されていたという場合には当然、「法律上の離婚原因」に該当しますが、精神的暴力や性的暴力につきましては、その頻度や内容によると言うことになります。

 

 

3.男性側が被害者というのは、立場として弱くなるのか


 

 逆DVでご相談に来られる方の中には、女性が被害者であれば裁判官も同情してくれると思うのですが、男性が被害者の場合、裁判官は「情けない」としか思われないのではないかと、心配される方もいらっしゃいます。そこまでは言わないまでも、女性が被害者のケースよりも男性被害者は保護されないのではないかと心配されている方は多くいます。

 

 確かに、体格の面では女性よりも男性側の方が体格がよいことの方が多いため、暴力によって男性側が持つ恐怖心は女性被害者よりも多少弱いと見られる傾向もないわけではありません。

 しかし、DVで大きく問題になりますのは、実際にどのような暴力が加えられたのか、どのような頻度でどの程度の期間暴力があったのかという点が最も重視されますので、このような暴力の内容が強力な内容であれば、男性側が被害者であるという事情はそれほど大きく影響しないと見込まれます。

 

 

4.逆DVは改善の余地があるのか。


 

 私が担当した事件でも、旦那様が毅然と「このようなことが続くようであれば正式に離婚するしかない」と伝えたところ、奥様からのDVが無くなったというケースもあります。

 ただ、逆DVの内容にもよりますが、その内容が強烈なものであったり、執拗なものである場合、一時的に改善しても、時間が経つと同じことが繰り返されることの方が多いように思われます。

 

 そのため、この逆DVは、一時的なことなのだとか、本当は私のことを分かってくれているからもう少し我慢すれば自分から改善してくれるはずだと言った考え方は捨てた方が良いケースが多いのが実情です。

 

 

5.逆DVに耐えられない場合、どう対応すればよいか


 

  同居して一緒に生活している以上、逆DVに悩まされ続けますので、早めに別居をスタートするのが一番だと思います。

 ただ、別居生活においてはご両親その他少なくとも一人は事情を知ってサポートしてくれる方がいた方が良いので、別居に踏み切る前に悩みを打ち明けられるような親族または友人に悩みを打ち明けて、サポートを受けられる体制は整えておいた方が良いと思います。

 

 また、最終的に離婚を考えている場合、奥様が逆DVの存在を否定してくる可能性もありますので、可能な限り、別居前に逆DVの証拠(身体的暴力の場合、診断書や怪我の部位等を撮影した写真、精神的暴力の場合、相手からの暴言を録音した録音データ等)を入手しておくべきでしょう。

 逆DVのケースでは、奥様が旦那様に対する強い支配欲を持っていることも多いため、こちらから離婚を切り出した際、奥様が自分に不利な事情を全て隠し、離婚を阻止しようとする可能性があるからです。

 

 

6.まだ離婚の決心が付いていない場合


 

 明確に離婚したいと決断できていない場合、別居を始めてしまいますと、引っ込みがつかなくなるというケースもあります。

 その場合には、前述のようにまずは悩みを打ち明けられる親族や友人に相談し、まずは、あなたの客観的な立場を知っておくことが重要だと思います。

 

 逆DVは、奥様の要望に従ってきた結果、DVの内容が悪化してしまったというケースが多いため、あなた自身も感覚が麻痺してしまっていることが多いです。そのため、実際にこれまで起きたことを親身に相談をし、相談相手の意見を聴きながら、その逆DVの内容の深刻さを認識すべきです。

 

 そのように率直に話をしている中で、あなた自身が離婚した方が良いのか、誰かに間に入ってもらって夫婦円満に向けて話し合った方が良いのかの方向性も見えてくると思います。また、夫婦がお互いを見つめ直す期間として試しに1,2ヵ月別居してみるという方法もあります。どなたかに間に入ってもらって、冷却期間としての別居の話し合いができると言うことでしたら、試しに別居してみるというのも有力な選択肢だと思います。

 

 逆DVのケースですと、男性側が被害者ですから、みっともなくて他人に話せない、相談相手に白い目で見られそうでコワイ、下手に話をすると同級生の間で噂になりそうと言った形で不安に思われている方も多いと思います。そのように適切な相談相手がいないという場合には、弁護士等の専門家に相談するという方法もありますので、検討してみて下さい。弁護士に相談した場合、必ず弁護士に事件をお願いしなければならないと言うことはありませんし、弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に話した内容が外部に漏れることはありません。

 

 

7.逆DVのケースは離婚を決意した場合、弁護士を立てた方が良いケースが多い


 

 逆DVのケースでは、前述のように奥様の側が旦那様に対する強い支配欲を持っているケースも多いため、旦那様側が離婚を切り出した際に強く反発してくるケースが多いです。単に反発するだけならまだしも、これまでの逆DVがエスカレートしていくというケースも多くあります。

 このように旦那様の身の危険が増加するリスクがありますので、奥様の逆DVが悪化する可能性があるという場合には、ご自身で離婚を切り出すのではなく、弁護士を立てて、弁護士を通じて離婚を切り出すという方法も検討した方が良いです。

 

8.まとめ


・逆DVは離婚理由(離婚を切り出すきっかけ)になる。

・逆DVが法律上の離婚原因になるどうかはDV内容を精査する必要がある。

・逆DVが通常のDVより大きく被害者に不利になるということは少ない。

・逆DVの改善見込みは一般的に低い。

・逆DVに耐えられない場合、別居を考えた方が良い。

・別居前には逆DVの証拠を収集しておいた方が良い。

・逆DVの深刻さを客観的に把握するためには誰かに相談するのが一番である。

・逆DVのケースは弁護士が間に入った方が良いケースが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(13)】相手が弁護士を雇ってきた場合、離婚不可避か?

2017.06.26更新

弁護士秦

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1.弁護士からの通知が突如やってくることも…


 

 離婚問題で弁護士が通知を送るのは通常別居開始後になります(同居したまま通知を送ることもありますが例としては少数だと思います)。

 相手配偶者の別居開始直後に通知があったり、別居して暫く音沙汰がないと思っていたら通知が来たりと、タイミングはケースによって異なります。

 

 相手が別居開始前から弁護士に相談しているといったケースでは、別居の際に、置き手紙やメール等を残すことも多く、そこには、「今後離婚の件は弁護士に一任しているので弁護士からの連絡を待って欲しい」と書かれていることもあります。

 他方、別居開始前から弁護士に相談している訳ではなかったり、別居開始前から相談していても慌ただしく別居したケースなどでは、事前に弁護士を雇っていることが分からないこともあります。

 その場合には、弁護士からの連絡は突如来ることになります。

 

 そして、突如弁護士から電話が来るということは少なく、通常は、内容証明郵便または手紙という形で弁護士から手紙が届くということが多いです。

 

 

2.「弁護士から連絡が来た」イコール「おおごとになった」という発想は禁物


 

 一般的に日本では弁護士の敷居が高いと言われていますので、「相手が弁護士を雇ってきた」イコール「おおごとになった」という発想を持つ方も多くいらっしゃいますが、その様な発想は禁物です。

 弁護士を就けていますと最終的には離婚問題は裁判によって解決して行くことになりますが、離婚の問題では、一部の例外を除いて、いきなり裁判を起こすことが法律で禁止されていますので、突如裁判になるということはありません。

 

 話し合いが上手く行きませんと離婚調停を申し立てられる可能性は高いですが、調停はあくまで裁判所という場所を使っての話し合いですので、結論を強要されることはありません。

 また、相手配偶者があなたと直接話をしたくないという場合には、早めに弁護士を頼むという進め方をする方もかなり増えている印象です。

 そのため、相手が弁護士を雇っても、その後重大な急展開が起こると言うことはまずありませんので、その意味ではご安心下さい。

 

 

3.相手の弁護士は離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。


 

 相手が弁護士を雇っている場合、「裁判で争っても負けてしまう」「相手の弁護士は確実に勝てると考えているから事件を担当することになったんだ」と誤解されている方も多くいますが、必ずしもそうとは限りません。

 

 離婚事件は、協議離婚や調停離婚で解決する割合が非常に多いため、裁判で確実に勝てるというケースではなくても、弁護士が就くことは珍しくありません。

 そもそも、裁判で離婚が認められるためには、浮気や暴力といった明確な離婚原因が必要になりますので、離婚訴訟で勝訴できると確信して事件を担当することは逆に少ないと思います。

 そのため、「相手が弁護士を就けている以上、争っても絶対勝てないから、早く離婚した方が得策だ」と考えるのは早計です。

 

 

4.相手が真剣に離婚を考えていることに対してどう向き合うか


 

 前述の通り、相手が弁護士を雇ったということで必要以上に不安になる必要はないのですが、相手が弁護士を雇ったと言うことは、相手は、「弁護士費用を支払ってでも離婚したい」と考えていることは事実なので、俗な言い方ですが「本気で離婚したいと考えている」と思った方が良いと思います。

 

 ただ、だからといって、こちらが離婚に応じなければいけないと言うことではありませんので、相手が真剣に離婚したがっていると言うことをどのように受けとめて、今後どのようにしたいのかという視点から良く考えた方が良いと思います。

 あなたが、離婚したくないという気持ちが強いのでしたら、離婚に応じないという姿勢で問題ないのですが、その場合に肝心なのは、相手の心情に極力寄り添って対応するということだと思います。たまに、「相手と離婚を巡って対決するんだ」と誤解されている方もいますが、対決してしまいますと夫婦の間柄を修復することはできません。

 

 そのため、どうやったら相手の気持ちを変えることができるのか、夫婦の間柄を修復する方向に話が進むのか、ということを真剣に考えて、対応していくことが肝要です。

 

 

5.少なからず修復事例はある

 


 

 私のところにご相談に来られる方の中には、「相手に弁護士までついて離婚にならなかったケースなんてありませんよね?」と質問される方もいます。

 ただ、相手が弁護士を立てても、離婚にならなかったケースはあります。私自身が担当した事件でも、離婚にならず、夫婦の関係をしっかりと修復できたご家庭も実際にあります。

 そうは言いましても、残念ながら、修復に成功した事例は、一握りしかないのも事実です。

 このようにお話しますと「結局、数パーセントですか?」とか「本当に確率低いですよね?」と重ねて質問してくる方もいますが、ご家庭によって事情は様々ですので、「確率が低いか高いかは状況次第です」とお答えすることが多いです。

 

 

6.一人で悩んでいても結論が出ない場合、他の人にも相談してみること


 相手が弁護士を雇ったため大事になったと考えて、誰にも相談しないという方もいらっしゃいますが、そうすると余計に悩みが深くなるケースもあります。

 信頼できる親友に相談したり、実家の両親、兄弟姉妹その他近しい人間に相談すると、自身の客観的な立場が分かり、安心材料になることも多いので、迷った際には近しい方にご相談することを強くお勧めします。

 そんな中で、あなた自身のケースで離婚が認められる可能性が高いのかどうかや、離婚の際にどのような取り決めをしなければならないのかといった点について専門家に相談したいという場合には、弁護士に相談することも検討してみて下さい。

 

 

7.修復を目指すと心に決めたら胸を張って「ヨリを戻したい」と言う。 


 

 たまに私が相談に乗っておりますと、後ろめたくて「ヨリを戻したいと言いづらいです」という方もいます。しかし、離婚するか修復するかは、今後のあなたの人生にとっても非常に大切なことなのですから、何も後ろめたい気持ちを抱く必要はありません。

 そのため、しっかりと修復を目指すと心に決めたのなら、胸を張ってそのように言えばよいと思います。

 

 

8.まとめ


・弁護士からの手紙は何の前触れもなくやってくることも多い。
・相手が弁護士を雇ったからといって「おおごとになった」と必要以上に不安になるべきではない。
・相手の弁護士も離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。
・離婚に応じないにしても、相手が真剣に離婚を目指しているという心情には配慮し改善策等を練る必要がある。

・相手が弁護士を立てていても、少なからず修復事例はある

・一人で悩んでいても結論が出ない場合、近しい人間に相談してみるのも一つの方法である。

・修復を目指すと心に決めたら、胸を張ってよい。

 

 

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こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-財産少額編

2017.06.19更新

 

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1.弁護士は高額なお金が動く事件ばかりを担当しているのではないか?


 

 私は、離婚事件のご相談を受ける機会が多いのですが、その際、ご相談者からこのように言われることがあります。「先生は複雑な事件ばかりを担当されているでしょうから、私がご相談したような少額なお金のことなんか担当できませんよね?」といったことです。

 一般の方は、金額が少ない事件イコール簡単な事件と考える方が非常に多いのですが、事件の複雑性は金額の多寡によって決まるものではありません。

 

 例えば離婚することは決まっているけれども、財産分与で争いがあるが、その争いも10万円、20万円の争いでしかないといったケースです。

 金額だけを見ますと小規模な事件という評価になってしまうと思いますが、その中身を見てみると複雑な問題を抱えているというケースもあるということです。

 

 また、お金の問題については少額の争いであっても、特にお子様が絡む場合には、親権争いや面会交流の頻度等で激しい対立がある事件もあります。その様なケースは、決して「簡単な」事件ではありません。

 ご自身の離婚事件は「簡単な事件なんだ」という先入観で判断することは危険かもしれません。

 

2.財産が少額でも弁護士に相談した方が良い事件とは?


 

 ほとんど夫婦で分ける財産がないというケースで弁護士を付けた方が良い事件の最たるものは、親権の帰属について夫婦の間で激しい対立がある事件ではないかと思います。

 親権は今後のお子様のことに直結しますので、お金には換えられない重要な問題だと思うからです。また、親権の帰属について激しい対立がある場合、話し合いや調停が上手く行かないことも多く、その場合には裁判で争っていく必要が出てきます。離婚裁判をご本人のみで対応すると言うことは非常に難しいと思いますので、早い段階から弁護士に依頼した方が良いケースだと思います。

 

 次に弁護士に相談した方が良いケースとしては、親権の帰属について争いがない場合でも、面会交流の頻度や養育費の金額、進学費用の負担等で争いがあるケースは、一度は弁護士に相談してみた方が良いと思います。親権の帰属の問題よりは重要性が下がりますが、面会交流や養育費は今後のお子様の生活や夫との付き合い方の問題になりますので、重要な問題だと思います。

 

 また、こちらは離婚したいのに相手が離婚を断固拒否している様な場合には、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立てなければならないこともあります。そのような場合には調停申し立て前に一度は弁護士に相談した方がよいと思います。

 

 さらに、ほとんど財産分与の対象財産がないという場合にも、ご本人が財産分与の対象財産を見落としているというケースもありますので、その確認のために一度弁護士に相談するという方法もあり得ます。特に財産分与で見落としやすい財産としては生命保険・退職金が最たるものではないかと思います。

 

 最後に、相手から慰謝料を取りたいという場合にも、弁護士への相談を検討すべきケースの一つといえます。相手が財産をほとんど持っていないという場合、どこまで慰謝料を回収できるのかという問題もありますが、心情的に相手のしてきたことに対して許せないという場合、どのような対応が可能なのか一度弁護士に相談してみることは有益といえます。

 

3.弁護士は何をアドバイスしてくれるの?


 

 前述しましたとおり、財産自体は少額でも、弁護士に相談することが有益なケースはたくさんあります。

 その場合に一番役に立つのは、世界に一つしかないあなた自身のケースにおいて仮に裁判になった場合、どのような結論になるのか、離婚する際にはお子様のこと、財産のことと決めなければいけないことが複数ありますが、そのそれぞれについて現状の勝訴の見込み、どの程度の金額に落ち着きそうであるのかという具体的なめどを立てることができるという点だと思います。

 

 インターネットなどで色々な情報がありますが、ご自身では分かったつもりになっていても誤解しているケースや見落としているケースもあります。そのため、直接ご相談いただけば、あなた自身のケースで離婚の際にどのような条件で話がまとまりそうなのかを正確に知ることができます。その上で、離婚に向けてどのような準備をどのような順序で進めていくのが良いのかについても正確に知ることができるのです。

 初回の相談は完全無料でご対応できますので、費用の面でも気にせずに気軽にご相談下さればと思います。

 

4.まとめ


・複雑な事件なのか簡単な事件なのかは、金額の高い安いでは判断できない。
・分ける財産が少額でも、離婚条件の面で弁護士に相談した方がよいケースは多い。
・あなた自身のケースで正確な情報を得るためには直接弁護士に相談することが一番正確である。

 

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こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-離婚理由編

2017.06.05更新

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1.実際どのような離婚理由で相談があるの?


 

 私が受けるご相談内容としては、深刻なDVや不倫・浮気を離婚原因とするご相談もあります。ただ、このような重大な問題ばかりかというと、性格の不一致を原因とする離婚というものも数多く取り扱っておりますし、統計上も性格の不一致が離婚原因としてはトップになります。

 例えば、離婚の調停を起こす際には、裁判所の書式に記載されている申立動機の中から該当するものを選択しなければならないのですが、裁判所の書式には以下の項目が設けられています。

 

①性格が合わない
②異性関係
③暴力をふるう(以前)
④酒を飲み過ぎる
⑤性的不調和
⑥浪費する
⑦病気
⑧精神的に虐待する
⑨家族をすててかえりみない
⑩家族と折り合いが悪い
⑪同居に応じない
⑫生活費を渡さない
⑬その他(        )

 

この①から⑬をご覧になると、ご自身も複数該当する項目があることに気付くのではないでしょうか。

この①から⑬はそれだけで直ちに裁判での離婚原因になるものではない項目も含まれていますが、その内容が極端な場合には離婚できる十分な理由になることもありますし、複数の該当項目が重なり合って離婚に値するものと判断される可能性もあります。

 

 暴力や不倫・浮気といった顕著な離婚原因がない場合でも、上記の①性格が合わない、⑧精神的に虐待する(例えば暴言を浴びせてくるとか、こちらの仕事や家事を卑下しているとか、脅してくる、こちらを無視し続ける等々)、⑨家族と折り合いが悪い(実家の両親を悪く言う、折り合いが悪い等々)といった項目には該当することが多いのではないでしょうか。

 

2.離婚するかどうかはご本人の気持ちが一番大事


 

 特にお子様がいらっしゃる家庭ですと、「子供のことを考えると離婚なんてできない。自分が我慢すればいいことだ」とお考えの方も多くいらっしゃいます。確かに、お子様がいらっしゃる場合、お子様のこと、今後の生活のことはしっかりと考えなければいけません。

 しかし、離婚しないという選択をした場合、今後何年も、20年も30年も今一緒に生活している夫と一緒の生活を続けなければならなくなります。

 

 そのため、まずは、今後一生この夫と一緒に生活してやっていけるのか、耐えられるのかと言うことをまず一番に考え、離婚するかどうかの軸として考えるべきだと思います。ご自身が考えている夫の嫌いな点、イヤな点は、ときには一般の方の賛同を得られないこともあると思いますし、些細なことと捉えられることもあると思います。ただ、ご本人がどうしても耐えられない部分、心情的に許せないと言うことならば、その点ではご自身のお気持ちに素直に向き合うことがよいと思います。

 このようにして離婚を決意されたならば、後はどのような段取りで離婚を進めていくのかを考えなければなりませんが、その際に相手の反対が予想されるのであれば、今後の手順を考えるにあたって弁護士に相談してみるというのも一つの手段なのではないかと思います。

 

 

3.実はとても多いのが、いわゆる「隠れモラハラ」のケース


 

 

 「うちの夫は、感情的になると怒鳴ったりするけれど、暴力や浮気をしているわけではないから」そんなお話をして下さる人もいます。

 しかし、よくよく話を聞いてみますと深刻なモラハラに悩まされ続けてきたという方も多くいます。いわゆる「隠れモラハラ」のケースです。

 

 モラハラの概念は広く、一括りで捉えることはできないのですが、代表的なものとしては以下の様なものがありますので、以下の項目にいくつ当てはまるかチェックしてみて下さい。

 

①あなたに対して侮辱的な発言や差別的発言をする。

②大声を出すなど怒鳴ってくる。

③あなたに危害を加える様な発言をする(悪質なケースだと、包丁等の凶器を持ち出す)

④物を壊す。物に当たり散らす。

⑤急に怒り始めるため理由が分からない。夫に怒られない様に神経を使ってしまう。

⑥長期間無視する。

⑦あなたの行動をチェックしたがる(悪質なケースだと、GPS等でこちらの行動を監視する)。

⑧収入を誇示してくる。

⑨独自の考え方に強く固執する。

⑩外部(あなたの友人や身内)との関係を規制してくる・コントロールしようとしてくる。

⑪被害妄想が強い。

⑫性的要求が強い・異常である。

 

 これらのうち3つ以上に当てはまる様でしたら、モラハラの疑いがあります。また、該当項目が2つ以下の場合でも、その頻度が多かったり、長期間に及ぶ場合にはモラハラに該当することがあります。

 あなたがあまり自覚せずに我慢してしまっていないか、じっくりと考えてみて下さい。

 

4.弁護士に相談することを躊躇っている方へ


 

 アメリカ等では訴訟等の紛争の件数が多いため、弁護士に事件を依頼すること・相談することのハードルは一般的に低いと言われています。

 これに対して、日本では、日本人が基本的に紛争や物事を大きくしたくないという国民性も影響してなのか、「弁護士に相談することは敷居が高い」と思われている方が多いのが実情だと思います。

 

 私自身も、友人から相談を受けた際には、「友人に弁護士が居て良かった。全然知らない弁護士に相談するのは気が引ける。」といった話をされることもあります。

 確かに、「弁護士に相談する」というと何か事態を大事にするような印象があるかもしれませんし、そもそも、普段弁護士と接点がない場合、敷居が高いという方も多いと思います。

 

 ただ、その様な理由で相談を躊躇っていますと、それによって事態が悪化してしまう危険性もあります。また、弁護士という専門家に相談することで、自分の置かれている状況を客観的に把握できるとともに、今後どのように行動すればいいのかが明確になります。このことはご自身の安心にもつながります。

 そのため、まずは気軽にご相談されることをオススメしております。

 

 

5.まとめ


・暴力や浮気といった重大な離婚理由がないということで悩む必要はない。

・重要なのはご自身にとって今後夫とやっていけるかどうかという気持ちの問題である。

・「隠れモラハラ」のケースも多いので注意が必要である。

・離婚を決意した場合、今後の段取りの相談を含めて弁護士にアドバイスを求めることができる。

 

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「離婚を切り出した側が不利になる」って本当?

2017.05.29更新

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1.離婚のご相談を受ける際によくある質問の一つ


 

 私が離婚のご相談を受ける際、ご相談時にまだ離婚を切り出していないというケースも相当数あります。

 

 旦那様が暴力をふるうだとか暴言がひどいという場合には、ご本人から離婚を切り出すことは難しいでしょう。その様な場合には、無理にご本人から離婚を切り出さずに、私の方から代理人弁護士として離婚の意向を伝えることもあります。

 

 他方、そのような「ご本人から相手に離婚を切り出すことが難しい事情」がない場合、原則として、一度はご本人から相手に離婚を切り出してもらうようにしています。

 私の方から旦那様に通知を送ると、「本人からは一度も離婚話がなかった」とか「弁護士がうちの家内に離婚を強く勧めるのはどうかと思う」といった誤解を招きかねないからです。このような無用な反発がありますと、離婚の話し合いが円滑に進まない原因になることもあります。

 

 直接離婚を切り出すことをオススメしますと、ご相談者の中には「インターネット等で『こちらから離婚を切り出すと不利になる』と読んだことがあるのですが大丈夫でしょうか?」とご質問を受けることがあります。

 実際はどうなのでしょうか。

 

2.こちらから離婚を切り出すことが離婚の支障になるか。


 

 結論から申しますと、こちらから離婚を切り出したとしても、そのことのみで「離婚できるかどうか」で不利になることはありません。

 

 確かに、離婚を初めて切り出したときは、相手が「生意気だ」というように反発してくる可能性もありますが、どちらかが離婚を切り出しませんと離婚の話は進みませんから致し方ないと思います。

 離婚の問題は、簡単に言いますと①話し合い→②調停→③裁判というステップを踏みますので、離婚の話し合い・調停が上手く行かない場合には、最終的に裁判で決着を付けざるを得ません。

 

 その場合「離婚の十分な理由があるのか」と言う点は、これまでの婚姻生活における夫婦のやり取り、離婚を切り出すまでの経緯、別居後の状況等を考慮して判断されます。その際、どちらが離婚を切り出したのかという点が問題になることはほとんどありません。

 

3.こちらから離婚を切り出すと相手から慰謝料を請求されないか?


 

 結論から申しますと、「こちらから離婚を切り出した」という事情だけで慰謝料を請求されることはありません。

 もちろん離婚を切り出した際に、相手を執拗に罵倒してしまったというような場合には、慰謝料を請求される可能性があります。ただ、それは「こちらから離婚を切り出したから」という理由ではなく、「罵倒してしまったから」慰謝料を請求されることになっただけです。

 

4.離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方がよい


 

 上記の通り、こちらから離婚を切り出すことで明確な不利益はありませんので、その意味で離婚話を躊躇する必要はありません。

 しかし、離婚はこれまでの婚姻生活を終わらせることを意味しますので、離婚を切り出す時期やタイミングは慎重に検討した方が良いと思います。

 

5.まとめ


・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として離婚上不利になることはない。
・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として慰謝料を請求されることはない。
・離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方が良い。

 

 

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「離婚協議書を作ろう」と言ったら「信用していないのか?」と言われた…どう対処すべきか

2017.05.15更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.相手が書面化に難色を示した場合どうすべきか


 

 上記の通り離婚時の約束はきちんと書面に残しておくべきなのですが、書面化を提案した際に、相手から「約束はちゃんと守るから、堅苦しいことはしたくない」とか「そんなに俺のことを信用できないのか!?」と言われた場合、どう対処すべきでしょうか。

 

(1)メールやラインで確認すればいい話では?

 例えば、あなたがメールやラインで離婚の条件を一言一句記載した上で、相手に送信し、相手から「この内容で構わない」旨のメールの返信があった場合、離婚協議書等の書面は不要になるのでしょうか。

 率直に言いますと、メールやラインですと相手がその内容を覆してくるリスクがなお残りますので、書面化を目指した方が良いと思います。

 

 メールやラインは通常普段の日常生活でのコミュニケーションツールにとどまりますので、メールやラインで約束したに過ぎない場合、その厳粛性が書面よりも劣る面が否定できないからです。

 メールやラインは気軽にやり取りができる反面、後から「十分確認せずに返信してしまった」とか「この内容で納得していないから正式に書面にしていない(メールのやり取りが残っているだけなんだ)」という言い訳をされる余地があるのです。

 

 これに対して、書面化する場合、通常どのような文案にするか慎重に話し合うことが期待できますし、最終的には署名押印をしますので、手続の厳粛性を持たせることができます。

 

(2)「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という考えは厳禁

 特に、いがみ合わずに離婚できる場合もあり、その様な場合には、離婚時の取り決めを書面の残さなくてもよいというケースも少なからずあると思います。

 

 しかし、安易に「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という発想を持つことはリスクがあると思います。

 と言いますのは、離婚時の旦那様の人柄、対応等を見ている限り、離婚時の約束を守ると考えられる場合でも、離婚後の旦那様の生活状況に変化が発生する場合があるからです。

 例えば、旦那様が離婚後に再婚し、新しい奥様との間でお子様が生まれるなどすると、旦那様があなたとの間のお子さんに対する関心が大きく薄れてしまうと言うことも考えられます。

 

 このような状況の変化は、離婚時に全て予測することは不可能です。

 そのため、後で相手の気持ちが変わった場合でも約束をきちんと守らせるために書面を作成しておいた方が無難と言えるのです。

 

(3)どうしても相手が署名押印を拒否する場合、調停申立を検討しても良い

 どうしても相手が署名押印を渋る場合、あなた自身で調停を起こすことも検討して良いと思います。

 相手が離婚自体に応じている場合には、調停手続の結果として調停調書が作成されますので、そちらが離婚協議書の代わりになります(正確には、調停調書の方が、金銭の支払い等について強制力を持たせられますので、離婚協議書よりも強い効力が認められます)。

 ただ、突然調停を起こすと、先方が反発してくることも予想されますので、予め調停を起こすことは伝えておいた方が良いと思います。

 

(4)書面化拒否の本当の理由が「離婚したくない」という場合もある

 相手と話をしていると離婚には応じるし、離婚条件もあなたの提案通りで構わないと話している場合、通常相手も離婚に応じる気持ちだと考えられます。

 

 しかし、書面化だけを強く渋る場合、本当は離婚したくなく、書面化を拒否することで離婚そのものを曖昧にしたいという場合もあります。

 離婚の提案に対して、離婚そのものを拒否すると、あなたとの婚姻生活にしがみついているように見えるため、強がりで「君がそう言うなら離婚しても構わない」と応答している場合があるのです。

 

 相手の真意が離婚したくないというものの場合、冷静にお互いを見つめ直すために別居期間を設けるとか、お互いの実家に相談してアドバイスを求めるといった方法が有効なこともありますので、ご検討下さい。

 

3.離婚時の約束事に強制力を持たせたい場合


 

 離婚時に書面で約束しても、なお相手が約束を破る危険性があるとか、相手を信用できないという場合には、前述の通り調停手続を利用したり、約束の内容を公正証書にすることも検討して下さい。

 調停調書や公正証書にしておけば、強制力が認められますので、相手からの金銭支払いをより確実にすることができます。

 

4.まとめ


・メールやラインのやり取りのみだと書面よりも効力が劣る面がある。
・安易に書面化を諦めると、相手が約束を破るリスクがある。
・書面化拒否の理由が「本当は離婚したくない」という理由の場合、相手に離婚の気持ちを醸成する方が有効なこともある。
・離婚時の約束事をきちんと守らせたい場合には調停や公正証書も検討すべきである。

 

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離婚した時の約束は取り消せる?

2017.05.08更新

 

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1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.離婚したときの約束は取り消せる?


 

 夫婦の間の契約については、民法754条というものが存在し、婚姻中はいつでも取り消すことができるものとされています。

 このような法律の定めが置かれているのは、①夫婦間の約束はその時々の一時的な感情で行われることも多いため、真意で合意していないというケースが相当数考えられること、②夫婦間の約束は法律が拘束力を持たせて履行させるよりも当事者間の愛情に基づいて履行させる方が良いという配慮から来るものです。

 上記の通り民法754条の取消権は「婚姻中」にしか権利行使できませんので、離婚した後は取り消すことができません。

 

3.事情が変わったことを理由として取消ができないか?


 

 離婚の条件も一つの約束になりますので、一度約束した以上、簡単に取り消すことはできないのが原則です。

 そのため、「相手と一刻も早く離婚したい」というお気持ちがあっても、あまり安易な約束をしてしまいますと、後悔することにもなりかねませんので注意が必要です。

 ただ、離婚したときから事情が大きく変更した場合にも、一切取消・変更が認められないのかというとそうではなく、一部変更等が認められることもあります。

 

(1)離婚そのものの取消しは可能か?

 離婚を取り消す要件について民法は限定的に定めておりまして、具体的には詐欺や強迫による離婚しか取消を認めていません(民法764条、同747条)。

 従って、「離婚した後に相手との婚姻中の思い出等を思い出して、もう一度やり直したいと思った」というような離婚した後の事情を元に取り消すことはできません。その様な場合には、もう一度元旦那様と話をして再婚の合意ができれば再度婚姻届を提出するということになります。

 逆に、離婚を取り消すほどの詐欺や強迫があったという場合には、離婚を取り消すこともできます。ただ、一般的に詐欺や強迫の事実を証明することは非常に難しいため、現実的に離婚を取り消すことができるケースは非常に少ないと思われます。

 

(2)離婚そのものは取り消さず、離婚条件の一部を取り消すことは可能か?

 特にお子様がいらっしゃるケースで多いのですが、「相手を親権者にしたが、離婚後の養育環境が劣悪なのでやはり自分が親権者になりたい」とか、「離婚後収入が大きく減ったため養育費の金額を引き下げたい」と言ったものになります。

 養育費につきましては、双方の収入を基準として養育費の金額を定めることが多いため、収入が大きく減少し、今後収入が改善する見込みが乏しいという場合には、比較的養育費の減額は難しくないと思います。

 

 他方、親権者の変更となりますと、相手の養育環境に重大な問題がなければ、簡単には認められないことが多いと思います。

 このように離婚条件の一部の取消・変更という場合、どの条件を変更するのか、どのような事情で変更したいのかによって、取消・変更の難易度が変わってくることになります。

 

4.まとめ


・離婚時の約束は原則として取り消すことが難しい。
・離婚時の約束の一部については、離婚後の事情変更を受けて変更できる場合がある。
・離婚時の約束を変更できるかどうかは、その内容・事情変更の内容によって難易度が異なる。

 

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離婚届出の後に夫の不倫が発覚!慰謝料請求できるか?

2017.04.24更新

弁護士秦

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1.消滅時効のことだけ考えていればよいと勘違いしていませんか?


 

 インターネットでの情報を見ておりますと、

質問:離婚届を提出した後に夫が婚姻中に不倫していたことが分かったのですが、その場合夫に対して慰謝料請求できますか?

回答:慰謝料請求権の消滅時効期間は3年間ですので、不倫発覚後3年以内でしたら請求可能です。

 といった記載をよく見かけますが、このような記載は非常に誤解を招く回答だと思います。離婚後の不倫発覚のケースはそう単純な問題ではありません。

 

2.そもそも不倫慰謝料は何故発生するのか


 

 そもそも、相手の不倫で慰謝料が発生するのは、不倫によって婚姻関係が破綻し、そのことで大きな精神的痛手を受けるからです。この「婚姻関係の破綻」というのは、より砕けた言い方をしますと、「夫婦としてやり直すことが不可能なほどに仲が悪くなっている」ということです。

 そのため、婚姻関係が完全に破綻した後(例えば完全に別居してから数年経過後など)の不倫に対しては基本的に慰謝料が発生しません。

 

3.既に離婚してしまっていることの位置付け


 

 このように不倫慰謝料は、そのことで婚姻関係を破綻させてしまうことが大きな要因で発生するものです。他方、既に離婚が成立している場合には、不倫以外の原因で婚姻関係が破綻していると言うことになりますから、慰謝料の原因にならないのではないかが問題になるのです。

 

 結論から申しますと、夫婦である以上、籍を抜くまではお互いに貞操義務がありますから、仮に、不倫発覚が離婚後であったとしても、その不倫が婚姻中に行われたものである限り、慰謝料責任が直ちにゼロにはならないと思われます。

 ただ、その場合でも、婚姻中に不倫が発覚して離婚に至ったケースと比較して、請求できる慰謝料額は低くならざるを得ないように思われます。

 

 離婚後に不倫が発覚したケースでは、通常の慰謝料決定要因に加えて、①当初の離婚に至る経緯や②不倫発覚の経緯も不倫慰謝料額に影響を及ぼすと思われます。

 

4.既に別の理由で慰謝料を貰っている場合


 

 例えば、離婚の際不倫が発覚していなかったものの、離婚にあたって慰謝料を支払うケースはあります。

 例えば、旦那様が、アルコールが入るとどうしても奥様にきつくあたってしまうことが多いというケースだとか、旦那様の管理不行き届きで奥様が大切にしていたペットを事故死させてしまったケース等で何かしらの慰謝料を支払っている場合があります。

 

 このような慰謝料は、不倫とは全く関係なく支払われたものですが、離婚するにあたって慰謝料という名目で金銭の支払いがなされている場合、その金額は、今後の不倫慰謝料請求にも影響を及ぼすことがあり得ます。

 例えば、財産分与とは別に慰謝料名目で1000万円を支払っているというようなケースでは、仮にその時点で不倫が発覚していなかったとしても、追加で不倫慰謝料を請求できないという事態もあり得ると思います。

 

5.清算条項があった場合


 

 離婚するにあたって離婚届を作成するだけではなく、離婚の諸条件について話し合って、離婚協議書などを作成している場合があります。

 その様な場合、離婚協議書に「お互いに債権債務がないことを相互に確認する」と言った条項(いわゆる「清算条項」)を入れることが一般的です。これは、お金のやり取りは、この離婚協議書に書いてある事項だけにして、他のやり取りはしないという意味になります。

 

 離婚協議書を作成した際に、相手の不倫について全く気付いていなかったという場合には、離婚協議書作成時に慰謝料請求権を放棄したとまでは言えないでしょうから、慰謝料を請求し得るでしょう。

 他方、相手に女性がいることを薄々分かっていたけれども、早期離婚を優先したという場合には、慰謝料請求のハードルは上がると思います。

 

6.証明の問題


 

 当然のことですが、正式に離婚した後にどのような異性と交際を開始しても、それは自由ですので、交際スタートが離婚成立後の場合、相手に慰謝料を請求することは難しいです。

 そのため、その様な不倫行為が婚姻中に行われていたということを証明しなければなりません。

 離婚してから月日が経てば経つほどその証明は難しくなります。

 

7.消滅時効


 

 前述の通り、不倫発覚後3年以内という時効期間がありますので、3年以内に請求しなければなりません。

 なお、この場合の請求は、相手にただ書面で請求するだけでは足らず、裁判を起こすなどして裁判所を介して請求しなければ時効は中断しませんので注意が必要です。

 

8.まとめ


・離婚成立後の不倫慰謝料請求については、不倫以外の理由で離婚しているため、慰謝料が減額される可能性が高い。

・離婚の際に慰謝料を貰っている場合、そのことが今回の不倫慰謝料で考慮される可能性がある。
・清算条項がある場合、不倫慰謝料請求できるかは場合分けが必要である。
・離婚前に相手が不倫していたことの証明は簡単ではない。
・不倫発覚後3年の消滅時効期間内に請求する必要がある。

 

 

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夫に無断で別居すると「悪意の遺棄」になるのか?

2017.04.17更新

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1.そもそも「悪意の遺棄」って何だ?


 

(1) 夫婦は互いに同居義務、協力義務及び扶助義務を負っています(民法752条)。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、これらの同居義務、協力義務及び扶助義務などを履行しないことを指します。

 なお、これらの義務違反が「悪意の遺棄」と言えるためには、「悪意を持って」その様な行動に出ることが必要になります。この「悪意を持って」というのは、お堅い言い方になってしまいますが、「積極的に婚姻生活を廃絶することを意図し、それでも構わないと考えていること」などと説明されます。単に婚姻関係を終了させることを意図しているというのでは足りず一方的に「廃絶」しようという意図が必要になります。

 

(2) そもそも、この「悪意の遺棄」は法律上の離婚原因の一つ(民法770条1項2号)にあたりますので、実際に「悪意の遺棄」があったと裁判所が判断する場合には、遺棄をした側が反対しても離婚が強制されることになります。

 その意味で「悪意の遺棄」の持つ意味は重大なものと言えます。

 なお、ここでの「離婚を強制される」の意味は、離婚裁判の場面で、悪意の遺棄と認定された場合に離婚させるという判決が下ってしまうという意味で、離婚の話し合いや調停の段階から、離婚を強制されるという意味ではありません。

 すなわち、通常、離婚の手続を進めて行くにあたっては、①離婚協議→②離婚調停→③離婚裁判という流れを辿りますが、離婚を強制されるというのは③離婚裁判という段階での話なので、この点は誤解がないように注意して下さい。

 

(3) また、悪意の遺棄を実行した側は、慰謝料の支払を余儀なくされる虞があります。

 

2.夫に黙って家を飛び出し何ヶ月も家に帰らないと「悪意の遺棄」になるの?


 

 前述したように「悪意の遺棄」に該当するか否かは、①別居に正当な理由があるかどうかという点と、②一方的に婚姻関係を廃絶するような意図で行われたのかという点がポイントになります。

 結論から言いますと、仮に旦那様に黙って別居を開始したとしても、よほど理不尽な理由で別居を開始したということでなければ「悪意の遺棄」に該当することはないと思います。

 

 例えば、不倫を繰り返し、不倫女性の家から何ヶ月も戻ってこなくなってしまったとか、持病で稼働能力がない妻を置いて別居をし、何ヶ月も生活費も渡さなかったと言ったケースが典型例ですが、これらのような重大なものでない限り「悪意の遺棄」に該当するケースは非常に少ないと思います。

 おそらく自宅を飛び出したということにも何らかの理由があってのことでしょうし、別居が離婚を意図したものであったとしても、相応の理由があって離婚を決意して別居に踏み切ったという経緯があれば、そのことが「悪意の遺棄」に該当することは少ないと思われます。

 

3.夫から「悪意の遺棄だ」と批難された場合どう対処すればよいか。


 

 旦那様からしますと、仕事から帰宅したところ突如奥様が家を出ているということになりますので、このようなシチュエーションに対して強く反発するということはよくあることです。

 そして、奥様に対して非難する論拠として「悪意の遺棄」という言葉を使ってくることもあります。

 ただ、前述の通り、奥様としては正当な理由があって別居しているのですから、仮に旦那様に何の断りもなく別居を開始しても、そのことが「悪意の遺棄」に該当することはほとんどないと思います。

 

 そのため、旦那様から上記のように批難された場合には、このような事態を招いた根本的な原因が旦那様にあることをきちんと伝えるという姿勢がベストかと思います。

 ただ、旦那様が普段からモラハラを繰り返してくるような旦那様の場合、話し合いにならないという危険性もありますので、その場合には、信頼できる第三者(これはご両親でも友人でも良いです)に間に入ってもらうなり、弁護士等の専門家を間に入れて話を進めた方が良いと思います。

 

 いずれにしましても旦那様から「おまえのしていることは『悪意の遺棄』にあたるから後で大変なことになるぞ」などと言われても、そのことであまり不安になる必要はないかと思います。

 

4.別居前の話し合いはした方がよい?しない方がよい?


 

 それでは、「悪意の遺棄」にならないからといって、相手に無断で別居した方がよいのでしょうか、それとも少なくとも一度は話し合いをした方がよいのでしょうか。

 ケースによりますので、一概に言えないのですが、特別な事情がない限り、事前の話し合いはした方が望ましいと言えます。この「特別な事情」とは、①相手がDVの加害者であるとか、②執拗なモラハラを繰り返してきた、③事前に別居の話をすると相手が子供を連れて実家に帰ってしまう危険性が高いといった場合が典型例になります。このような「特別な事情」があるケースですと、別居したいという気持ちを伝えても、相手の行動を助長するだけというケースが多いため、無断で別居した方が望ましいと言うことになります。

 

 逆に、このような「特別な事情」がない場合、無断で別居してしまいますと、相手が必要以上に反発してくる危険性があり、今後の離婚協議が難航する危険性があります。そのため、少なくとも一度は直接離婚したい旨はお話になった方がよいと思います。

 

5.まとめ


・事情があって別居した場合、「悪意の遺棄」に該当することは、少ないと思われる。

・相手から批難された場合、別居の根本原因を問い詰めるのが良い。

・「悪意の遺棄」に該当しないとは言っても、できれば別居前に一度は旦那様と話をした方がよい。 

 

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夫の不倫が発覚、どう対処すべきか

2017.04.03更新

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1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けが取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストです。また、旦那様が嘘の説明をしてくる場合もありますので、場合によっては旦那様の携帯電話におけるメールやSNSでの不倫相手とのやり取りを全て開示するよう要求すべきケースもあります。

 

 

3.旦那様との話し合いを進めて行くにあたっては信頼できる人物に相談しながら進めた方が良い


 

 旦那様の浮気という事実は、あなたにとって非常にショッキングな出来事になりますので、通常は冷静に対処することは難しいことが多いです。

 そのため、何かを決断するにあたっても、どのような方法がよいのかについて冷静に判断できないことも多々あります。

 

 そこで、ご実家のご両親や親しい友人など信用できる人物に相談しながら、旦那様との話し合いを進めた方が良いです。

 

 たまに、「こんな話を両親にすると心配をかけるから、話せない」とか「私ももういい歳なので、こんな話を両親にするのは恥ずかしい」というようなことをおっしゃる方もいますが、誰かに話を打ち明けるというだけでも、随分気持ちがスッキリします。

 そのため、自分一人で抱え込まないで信頼できる方一人でよいので、相談しながら進めることをオススメします。

 

 また、夫婦1対1での話し合いが上手く行かない場合には、お互いのご両親も交えて話し合いをするといった方法も検討してみて下さい。

 

 

4.自分の向かうべき方向性を決めること


 

 旦那様との話し合いで、浮気の全体像を把握した後は、あなた自身が夫婦関係を今後どのようにしていきたいかを慎重に検討する必要があります。

 要するに離婚したいのか、相手の浮気を今回に限って許すのかということです。

 

 これまでの旦那様との話し合いの中で、あなた自身も感情的になって離婚といった言葉を口にしてしまったり、旦那様からも同じような話があったかもしれませんが、その点はまず置いておいて、今のあなた自身の心境として別れたいのかやり直したいのかを慎重に考えて下さい。

 

 このような検討は重要な話ですから、前述のように信頼できる人物とも相談しながら決定するのが望ましいと思います。

 

 

5.向かうべき方向性が決まったら、その方向に向かって進んでいく


 

 あなた自身が離婚をご判断されたのであれば、旦那様と離婚の条件について話し合いをしていくことになります。

 離婚の条件は重要な事柄ですから、離婚協議書といった書面でしっかりとまとめていくことをオススメします。

 他方、あなたが今回に限りやり直すという選択をした場合、旦那様には不倫誓約書を書かせるということになります。

 

 

6.最後に


 

 このような不倫の問題は、発覚に伴ってあなた自身が精神疾患にかかるなど、大きく体調を崩してしまうことも多々あります。

 このような問題はあまりズルズルと引き延ばしたくはないでしょうが、性急に進めると後悔してしまうこともありますので、ご体調にも配慮しながら、じっくりと進めていくことをオススメします。

 

7.まとめ


・ 夫の不倫が発覚した場合、まずは証拠固めをした方が良い。

・ 夫と話をする際には、不倫の詳しい内容も確認しておいた方が良い。

・ 信頼できる人物と相談しながら話を進めていくと良い。

・ 今後の方向性をキチンと自分の中で固める。

・ あなた自身の体調面にも気を遣いつつ、焦らずに話を進めない方が良い。

 

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