離婚問題

こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-財産少額編

2017.06.19更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.弁護士は高額なお金が動く事件ばかりを担当しているのではないか?


 

 私は、離婚事件のご相談を受ける機会が多いのですが、その際、ご相談者からこのように言われることがあります。「先生は複雑な事件ばかりを担当されているでしょうから、私がご相談したような少額なお金のことなんか担当できませんよね?」といったことです。

 一般の方は、金額が少ない事件イコール簡単な事件と考える方が非常に多いのですが、事件の複雑性は金額の多寡によって決まるものではありません。

 

 例えば離婚することは決まっているけれども、財産分与で争いがあるが、その争いも10万円、20万円の争いでしかないといったケースです。

 金額だけを見ますと小規模な事件という評価になってしまうと思いますが、その中身を見てみると複雑な問題を抱えているというケースもあるということです。

 

 また、お金の問題については少額の争いであっても、特にお子様が絡む場合には、親権争いや面会交流の頻度等で激しい対立がある事件もあります。その様なケースは、決して「簡単な」事件ではありません。

 ご自身の離婚事件は「簡単な事件なんだ」という先入観で判断することは危険かもしれません。

 

2.財産が少額でも弁護士に相談した方が良い事件とは?


 

 ほとんど夫婦で分ける財産がないというケースで弁護士を付けた方が良い事件の最たるものは、親権の帰属について夫婦の間で激しい対立がある事件ではないかと思います。

 親権は今後のお子様のことに直結しますので、お金には換えられない重要な問題だと思うからです。また、親権の帰属について激しい対立がある場合、話し合いや調停が上手く行かないことも多く、その場合には裁判で争っていく必要が出てきます。離婚裁判をご本人のみで対応すると言うことは非常に難しいと思いますので、早い段階から弁護士に依頼した方が良いケースだと思います。

 

 次に弁護士に相談した方が良いケースとしては、親権の帰属について争いがない場合でも、面会交流の頻度や養育費の金額、進学費用の負担等で争いがあるケースは、一度は弁護士に相談してみた方が良いと思います。親権の帰属の問題よりは重要性が下がりますが、面会交流や養育費は今後のお子様の生活や夫との付き合い方の問題になりますので、重要な問題だと思います。

 

 また、こちらは離婚したいのに相手が離婚を断固拒否している様な場合には、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立てなければならないこともあります。そのような場合には調停申し立て前に一度は弁護士に相談した方がよいと思います。

 

 さらに、ほとんど財産分与の対象財産がないという場合にも、ご本人が財産分与の対象財産を見落としているというケースもありますので、その確認のために一度弁護士に相談するという方法もあり得ます。特に財産分与で見落としやすい財産としては生命保険・退職金が最たるものではないかと思います。

 

 最後に、相手から慰謝料を取りたいという場合にも、弁護士への相談を検討すべきケースの一つといえます。相手が財産をほとんど持っていないという場合、どこまで慰謝料を回収できるのかという問題もありますが、心情的に相手のしてきたことに対して許せないという場合、どのような対応が可能なのか一度弁護士に相談してみることは有益といえます。

 

3.弁護士は何をアドバイスしてくれるの?


 

 前述しましたとおり、財産自体は少額でも、弁護士に相談することが有益なケースはたくさんあります。

 その場合に一番役に立つのは、世界に一つしかないあなた自身のケースにおいて仮に裁判になった場合、どのような結論になるのか、離婚する際にはお子様のこと、財産のことと決めなければいけないことが複数ありますが、そのそれぞれについて現状の勝訴の見込み、どの程度の金額に落ち着きそうであるのかという具体的なめどを立てることができるという点だと思います。

 

 インターネットなどで色々な情報がありますが、ご自身では分かったつもりになっていても誤解しているケースや見落としているケースもあります。そのため、直接ご相談いただけば、あなた自身のケースで離婚の際にどのような条件で話がまとまりそうなのかを正確に知ることができます。その上で、離婚に向けてどのような準備をどのような順序で進めていくのが良いのかについても正確に知ることができるのです。

 初回の相談は完全無料でご対応できますので、費用の面でも気にせずに気軽にご相談下さればと思います。

 

4.まとめ


・複雑な事件なのか簡単な事件なのかは、金額の高い安いでは判断できない。
・分ける財産が少額でも、離婚条件の面で弁護士に相談した方がよいケースは多い。
・あなた自身のケースで正確な情報を得るためには直接弁護士に相談することが一番正確である。

 

関連記事


>【厳選】弁護士秦真太郎の離婚紛争解決実績はこちら!

>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>【弁護士が本音で話す!】離婚弁護士選びのコツ

>弁護士が取り扱う離婚問題の3つのステップ

 

 >>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-離婚理由編

2017.06.05更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!>>弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトはこちら<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.実際どのような離婚理由で相談があるの?


 

 私が受けるご相談内容としては、深刻なDVや不倫・浮気を離婚原因とするご相談もあります。ただ、このような重大な問題ばかりかというと、性格の不一致を原因とする離婚というものも数多く取り扱っておりますし、統計上も性格の不一致が離婚原因としてはトップになります。

 例えば、離婚の調停を起こす際には、裁判所の書式に記載されている申立動機の中から該当するものを選択しなければならないのですが、裁判所の書式には以下の項目が設けられています。

 

①性格が合わない
②異性関係
③暴力をふるう(以前)
④酒を飲み過ぎる
⑤性的不調和
⑥浪費する
⑦病気
⑧精神的に虐待する
⑨家族をすててかえりみない
⑩家族と折り合いが悪い
⑪同居に応じない
⑫生活費を渡さない
⑬その他(        )

 

この①から⑬をご覧になると、ご自身も複数該当する項目があることに気付くのではないでしょうか。

この①から⑬はそれだけで直ちに裁判での離婚原因になるものではない項目も含まれていますが、その内容が極端な場合には離婚できる十分な理由になることもありますし、複数の該当項目が重なり合って離婚に値するものと判断される可能性もあります。

 

 暴力や不倫・浮気といった顕著な離婚原因がない場合でも、上記の①性格が合わない、⑧精神的に虐待する(例えば暴言を浴びせてくるとか、こちらの仕事や家事を卑下しているとか、脅してくる、こちらを無視し続ける等々)、⑨家族と折り合いが悪い(実家の両親を悪く言う、折り合いが悪い等々)といった項目には該当することが多いのではないでしょうか。

 

2.離婚するかどうかはご本人の気持ちが一番大事


 

 特にお子様がいらっしゃる家庭ですと、「子供のことを考えると離婚なんてできない。自分が我慢すればいいことだ」とお考えの方も多くいらっしゃいます。確かに、お子様がいらっしゃる場合、お子様のこと、今後の生活のことはしっかりと考えなければいけません。

 しかし、離婚しないという選択をした場合、今後何年も、20年も30年も今一緒に生活している夫と一緒の生活を続けなければならなくなります。

 

 そのため、まずは、今後一生この夫と一緒に生活してやっていけるのか、耐えられるのかと言うことをまず一番に考え、離婚するかどうかの軸として考えるべきだと思います。ご自身が考えている夫の嫌いな点、イヤな点は、ときには一般の方の賛同を得られないこともあると思いますし、些細なことと捉えられることもあると思います。ただ、ご本人がどうしても耐えられない部分、心情的に許せないと言うことならば、その点ではご自身のお気持ちに素直に向き合うことがよいと思います。

 このようにして離婚を決意されたならば、後はどのような段取りで離婚を進めていくのかを考えなければなりませんが、その際に相手の反対が予想されるのであれば、今後の手順を考えるにあたって弁護士に相談してみるというのも一つの手段なのではないかと思います。

 

 

3.実はとても多いのが、いわゆる「隠れモラハラ」のケース


 

 

 「うちの夫は、感情的になると怒鳴ったりするけれど、暴力や浮気をしているわけではないから」そんなお話をして下さる人もいます。

 しかし、よくよく話を聞いてみますと深刻なモラハラに悩まされ続けてきたという方も多くいます。いわゆる「隠れモラハラ」のケースです。

 

 モラハラの概念は広く、一括りで捉えることはできないのですが、代表的なものとしては以下の様なものがありますので、以下の項目にいくつ当てはまるかチェックしてみて下さい。

 

①あなたに対して侮辱的な発言や差別的発言をする。

②大声を出すなど怒鳴ってくる。

③あなたに危害を加える様な発言をする(悪質なケースだと、包丁等の凶器を持ち出す)

④物を壊す。物に当たり散らす。

⑤急に怒り始めるため理由が分からない。夫に怒られない様に神経を使ってしまう。

⑥長期間無視する。

⑦あなたの行動をチェックしたがる(悪質なケースだと、GPS等でこちらの行動を監視する)。

⑧収入を誇示してくる。

⑨独自の考え方に強く固執する。

⑩外部(あなたの友人や身内)との関係を規制してくる・コントロールしようとしてくる。

⑪被害妄想が強い。

⑫性的要求が強い・異常である。

 

 これらのうち3つ以上に当てはまる様でしたら、モラハラの疑いがあります。また、該当項目が2つ以下の場合でも、その頻度が多かったり、長期間に及ぶ場合にはモラハラに該当することがあります。

 あなたがあまり自覚せずに我慢してしまっていないか、じっくりと考えてみて下さい。

 

4.弁護士に相談することを躊躇っている方へ


 

 アメリカ等では訴訟等の紛争の件数が多いため、弁護士に事件を依頼すること・相談することのハードルは一般的に低いと言われています。

 これに対して、日本では、日本人が基本的に紛争や物事を大きくしたくないという国民性も影響してなのか、「弁護士に相談することは敷居が高い」と思われている方が多いのが実情だと思います。

 

 私自身も、友人から相談を受けた際には、「友人に弁護士が居て良かった。全然知らない弁護士に相談するのは気が引ける。」といった話をされることもあります。

 確かに、「弁護士に相談する」というと何か事態を大事にするような印象があるかもしれませんし、そもそも、普段弁護士と接点がない場合、敷居が高いという方も多いと思います。

 

 ただ、その様な理由で相談を躊躇っていますと、それによって事態が悪化してしまう危険性もあります。また、弁護士という専門家に相談することで、自分の置かれている状況を客観的に把握できるとともに、今後どのように行動すればいいのかが明確になります。このことはご自身の安心にもつながります。

 そのため、まずは気軽にご相談されることをオススメしております。

 

 

5.まとめ


・暴力や浮気といった重大な離婚理由がないということで悩む必要はない。

・重要なのはご自身にとって今後夫とやっていけるかどうかという気持ちの問題である。

・「隠れモラハラ」のケースも多いので注意が必要である。

・離婚を決意した場合、今後の段取りの相談を含めて弁護士にアドバイスを求めることができる。

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

>【厳選】弁護士秦真太郎の離婚紛争解決実績はこちら!

>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>【弁護士が本音で話す!】離婚弁護士選びのコツ

>弁護士が取り扱う離婚問題の3つのステップ

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整 

 

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

「離婚を切り出した側が不利になる」って本当?

2017.05.29更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!>>弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトはこちら<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚のご相談を受ける際によくある質問の一つ


 

 私が離婚のご相談を受ける際、ご相談時にまだ離婚を切り出していないというケースも相当数あります。

 

 旦那様が暴力をふるうだとか暴言がひどいという場合には、ご本人から離婚を切り出すことは難しいでしょう。その様な場合には、無理にご本人から離婚を切り出さずに、私の方から代理人弁護士として離婚の意向を伝えることもあります。

 

 他方、そのような「ご本人から相手に離婚を切り出すことが難しい事情」がない場合、原則として、一度はご本人から相手に離婚を切り出してもらうようにしています。

 私の方から旦那様に通知を送ると、「本人からは一度も離婚話がなかった」とか「弁護士がうちの家内に離婚を強く勧めるのはどうかと思う」といった誤解を招きかねないからです。このような無用な反発がありますと、離婚の話し合いが円滑に進まない原因になることもあります。

 

 直接離婚を切り出すことをオススメしますと、ご相談者の中には「インターネット等で『こちらから離婚を切り出すと不利になる』と読んだことがあるのですが大丈夫でしょうか?」とご質問を受けることがあります。

 実際はどうなのでしょうか。

 

2.こちらから離婚を切り出すことが離婚の支障になるか。


 

 結論から申しますと、こちらから離婚を切り出したとしても、そのことのみで「離婚できるかどうか」で不利になることはありません。

 

 確かに、離婚を初めて切り出したときは、相手が「生意気だ」というように反発してくる可能性もありますが、どちらかが離婚を切り出しませんと離婚の話は進みませんから致し方ないと思います。

 離婚の問題は、簡単に言いますと①話し合い→②調停→③裁判というステップを踏みますので、離婚の話し合い・調停が上手く行かない場合には、最終的に裁判で決着を付けざるを得ません。

 

 その場合「離婚の十分な理由があるのか」と言う点は、これまでの婚姻生活における夫婦のやり取り、離婚を切り出すまでの経緯、別居後の状況等を考慮して判断されます。その際、どちらが離婚を切り出したのかという点が問題になることはほとんどありません。

 

3.こちらから離婚を切り出すと相手から慰謝料を請求されないか?


 

 結論から申しますと、「こちらから離婚を切り出した」という事情だけで慰謝料を請求されることはありません。

 もちろん離婚を切り出した際に、相手を執拗に罵倒してしまったというような場合には、慰謝料を請求される可能性があります。ただ、それは「こちらから離婚を切り出したから」という理由ではなく、「罵倒してしまったから」慰謝料を請求されることになっただけです。

 

4.離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方がよい


 

 上記の通り、こちらから離婚を切り出すことで明確な不利益はありませんので、その意味で離婚話を躊躇する必要はありません。

 しかし、離婚はこれまでの婚姻生活を終わらせることを意味しますので、離婚を切り出す時期やタイミングは慎重に検討した方が良いと思います。

 

5.まとめ


・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として離婚上不利になることはない。
・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として慰謝料を請求されることはない。
・離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方が良い。

 

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

>【厳選】弁護士秦真太郎の離婚紛争解決実績はこちら!

>【弁護士が本音で話す!】本人で離婚を切り出す3つのポイント

>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>弁護士が取り扱う離婚問題の3つのステップ

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

「離婚協議書を作ろう」と言ったら「信用していないのか?」と言われた…どう対処すべきか

2017.05.15更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.相手が書面化に難色を示した場合どうすべきか


 

 上記の通り離婚時の約束はきちんと書面に残しておくべきなのですが、書面化を提案した際に、相手から「約束はちゃんと守るから、堅苦しいことはしたくない」とか「そんなに俺のことを信用できないのか!?」と言われた場合、どう対処すべきでしょうか。

 

(1)メールやラインで確認すればいい話では?

 例えば、あなたがメールやラインで離婚の条件を一言一句記載した上で、相手に送信し、相手から「この内容で構わない」旨のメールの返信があった場合、離婚協議書等の書面は不要になるのでしょうか。

 率直に言いますと、メールやラインですと相手がその内容を覆してくるリスクがなお残りますので、書面化を目指した方が良いと思います。

 

 メールやラインは通常普段の日常生活でのコミュニケーションツールにとどまりますので、メールやラインで約束したに過ぎない場合、その厳粛性が書面よりも劣る面が否定できないからです。

 メールやラインは気軽にやり取りができる反面、後から「十分確認せずに返信してしまった」とか「この内容で納得していないから正式に書面にしていない(メールのやり取りが残っているだけなんだ)」という言い訳をされる余地があるのです。

 

 これに対して、書面化する場合、通常どのような文案にするか慎重に話し合うことが期待できますし、最終的には署名押印をしますので、手続の厳粛性を持たせることができます。

 

(2)「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という考えは厳禁

 特に、いがみ合わずに離婚できる場合もあり、その様な場合には、離婚時の取り決めを書面の残さなくてもよいというケースも少なからずあると思います。

 

 しかし、安易に「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という発想を持つことはリスクがあると思います。

 と言いますのは、離婚時の旦那様の人柄、対応等を見ている限り、離婚時の約束を守ると考えられる場合でも、離婚後の旦那様の生活状況に変化が発生する場合があるからです。

 例えば、旦那様が離婚後に再婚し、新しい奥様との間でお子様が生まれるなどすると、旦那様があなたとの間のお子さんに対する関心が大きく薄れてしまうと言うことも考えられます。

 

 このような状況の変化は、離婚時に全て予測することは不可能です。

 そのため、後で相手の気持ちが変わった場合でも約束をきちんと守らせるために書面を作成しておいた方が無難と言えるのです。

 

(3)どうしても相手が署名押印を拒否する場合、調停申立を検討しても良い

 どうしても相手が署名押印を渋る場合、あなた自身で調停を起こすことも検討して良いと思います。

 相手が離婚自体に応じている場合には、調停手続の結果として調停調書が作成されますので、そちらが離婚協議書の代わりになります(正確には、調停調書の方が、金銭の支払い等について強制力を持たせられますので、離婚協議書よりも強い効力が認められます)。

 ただ、突然調停を起こすと、先方が反発してくることも予想されますので、予め調停を起こすことは伝えておいた方が良いと思います。

 

(4)書面化拒否の本当の理由が「離婚したくない」という場合もある

 相手と話をしていると離婚には応じるし、離婚条件もあなたの提案通りで構わないと話している場合、通常相手も離婚に応じる気持ちだと考えられます。

 

 しかし、書面化だけを強く渋る場合、本当は離婚したくなく、書面化を拒否することで離婚そのものを曖昧にしたいという場合もあります。

 離婚の提案に対して、離婚そのものを拒否すると、あなたとの婚姻生活にしがみついているように見えるため、強がりで「君がそう言うなら離婚しても構わない」と応答している場合があるのです。

 

 相手の真意が離婚したくないというものの場合、冷静にお互いを見つめ直すために別居期間を設けるとか、お互いの実家に相談してアドバイスを求めるといった方法が有効なこともありますので、ご検討下さい。

 

3.離婚時の約束事に強制力を持たせたい場合


 

 離婚時に書面で約束しても、なお相手が約束を破る危険性があるとか、相手を信用できないという場合には、前述の通り調停手続を利用したり、約束の内容を公正証書にすることも検討して下さい。

 調停調書や公正証書にしておけば、強制力が認められますので、相手からの金銭支払いをより確実にすることができます。

 

4.まとめ


・メールやラインのやり取りのみだと書面よりも効力が劣る面がある。
・安易に書面化を諦めると、相手が約束を破るリスクがある。
・書面化拒否の理由が「本当は離婚したくない」という理由の場合、相手に離婚の気持ちを醸成する方が有効なこともある。
・離婚時の約束事をきちんと守らせたい場合には調停や公正証書も検討すべきである。

 

関連記事


>【厳選】弁護士秦真太郎の離婚紛争解決実績はこちら!

>離婚する際に離婚届にサインするだけでよいと考えていませんか?(1)

>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>【弁護士が本音で話す!】離婚弁護士選びのコツ

>弁護士が取り扱う離婚問題の3つのステップ

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚した時の約束は取り消せる?

2017.05.08更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.離婚したときの約束は取り消せる?


 

 夫婦の間の契約については、民法754条というものが存在し、婚姻中はいつでも取り消すことができるものとされています。

 このような法律の定めが置かれているのは、①夫婦間の約束はその時々の一時的な感情で行われることも多いため、真意で合意していないというケースが相当数考えられること、②夫婦間の約束は法律が拘束力を持たせて履行させるよりも当事者間の愛情に基づいて履行させる方が良いという配慮から来るものです。

 上記の通り民法754条の取消権は「婚姻中」にしか権利行使できませんので、離婚した後は取り消すことができません。

 

3.事情が変わったことを理由として取消ができないか?


 

 離婚の条件も一つの約束になりますので、一度約束した以上、簡単に取り消すことはできないのが原則です。

 そのため、「相手と一刻も早く離婚したい」というお気持ちがあっても、あまり安易な約束をしてしまいますと、後悔することにもなりかねませんので注意が必要です。

 ただ、離婚したときから事情が大きく変更した場合にも、一切取消・変更が認められないのかというとそうではなく、一部変更等が認められることもあります。

 

(1)離婚そのものの取消しは可能か?

 離婚を取り消す要件について民法は限定的に定めておりまして、具体的には詐欺や強迫による離婚しか取消を認めていません(民法764条、同747条)。

 従って、「離婚した後に相手との婚姻中の思い出等を思い出して、もう一度やり直したいと思った」というような離婚した後の事情を元に取り消すことはできません。その様な場合には、もう一度元旦那様と話をして再婚の合意ができれば再度婚姻届を提出するということになります。

 逆に、離婚を取り消すほどの詐欺や強迫があったという場合には、離婚を取り消すこともできます。ただ、一般的に詐欺や強迫の事実を証明することは非常に難しいため、現実的に離婚を取り消すことができるケースは非常に少ないと思われます。

 

(2)離婚そのものは取り消さず、離婚条件の一部を取り消すことは可能か?

 特にお子様がいらっしゃるケースで多いのですが、「相手を親権者にしたが、離婚後の養育環境が劣悪なのでやはり自分が親権者になりたい」とか、「離婚後収入が大きく減ったため養育費の金額を引き下げたい」と言ったものになります。

 養育費につきましては、双方の収入を基準として養育費の金額を定めることが多いため、収入が大きく減少し、今後収入が改善する見込みが乏しいという場合には、比較的養育費の減額は難しくないと思います。

 

 他方、親権者の変更となりますと、相手の養育環境に重大な問題がなければ、簡単には認められないことが多いと思います。

 このように離婚条件の一部の取消・変更という場合、どの条件を変更するのか、どのような事情で変更したいのかによって、取消・変更の難易度が変わってくることになります。

 

4.まとめ


・離婚時の約束は原則として取り消すことが難しい。
・離婚時の約束の一部については、離婚後の事情変更を受けて変更できる場合がある。
・離婚時の約束を変更できるかどうかは、その内容・事情変更の内容によって難易度が異なる。

 

関連記事


 

>【厳選】弁護士秦真太郎の離婚紛争解決実績はこちら!

>>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>>離婚する際には離婚届にサインするだけで良いと思っていませんか?(1)

>>【弁護士が本音で話す!】離婚弁護士選びのコツ

>>弁護士が取り扱う離婚問題の3つのステップ

 

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能  : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚届出の後に夫の不倫が発覚!慰謝料請求できるか?

2017.04.24更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.消滅時効のことだけ考えていればよいと勘違いしていませんか?


 

 インターネットでの情報を見ておりますと、

質問:離婚届を提出した後に夫が婚姻中に不倫していたことが分かったのですが、その場合夫に対して慰謝料請求できますか?

回答:慰謝料請求権の消滅時効期間は3年間ですので、不倫発覚後3年以内でしたら請求可能です。

 といった記載をよく見かけますが、このような記載は非常に誤解を招く回答だと思います。離婚後の不倫発覚のケースはそう単純な問題ではありません。

 

2.そもそも不倫慰謝料は何故発生するのか


 

 そもそも、相手の不倫で慰謝料が発生するのは、不倫によって婚姻関係が破綻し、そのことで大きな精神的痛手を受けるからです。この「婚姻関係の破綻」というのは、より砕けた言い方をしますと、「夫婦としてやり直すことが不可能なほどに仲が悪くなっている」ということです。

 そのため、婚姻関係が完全に破綻した後(例えば完全に別居してから数年経過後など)の不倫に対しては基本的に慰謝料が発生しません。

 

3.既に離婚してしまっていることの位置付け


 

 このように不倫慰謝料は、そのことで婚姻関係を破綻させてしまうことが大きな要因で発生するものです。他方、既に離婚が成立している場合には、不倫以外の原因で婚姻関係が破綻していると言うことになりますから、慰謝料の原因にならないのではないかが問題になるのです。

 

 結論から申しますと、夫婦である以上、籍を抜くまではお互いに貞操義務がありますから、仮に、不倫発覚が離婚後であったとしても、その不倫が婚姻中に行われたものである限り、慰謝料責任が直ちにゼロにはならないと思われます。

 ただ、その場合でも、婚姻中に不倫が発覚して離婚に至ったケースと比較して、請求できる慰謝料額は低くならざるを得ないように思われます。

 

 離婚後に不倫が発覚したケースでは、通常の慰謝料決定要因に加えて、①当初の離婚に至る経緯や②不倫発覚の経緯も不倫慰謝料額に影響を及ぼすと思われます。

 

4.既に別の理由で慰謝料を貰っている場合


 

 例えば、離婚の際不倫が発覚していなかったものの、離婚にあたって慰謝料を支払うケースはあります。

 例えば、旦那様が、アルコールが入るとどうしても奥様にきつくあたってしまうことが多いというケースだとか、旦那様の管理不行き届きで奥様が大切にしていたペットを事故死させてしまったケース等で何かしらの慰謝料を支払っている場合があります。

 

 このような慰謝料は、不倫とは全く関係なく支払われたものですが、離婚するにあたって慰謝料という名目で金銭の支払いがなされている場合、その金額は、今後の不倫慰謝料請求にも影響を及ぼすことがあり得ます。

 例えば、財産分与とは別に慰謝料名目で1000万円を支払っているというようなケースでは、仮にその時点で不倫が発覚していなかったとしても、追加で不倫慰謝料を請求できないという事態もあり得ると思います。

 

5.清算条項があった場合


 

 離婚するにあたって離婚届を作成するだけではなく、離婚の諸条件について話し合って、離婚協議書などを作成している場合があります。

 その様な場合、離婚協議書に「お互いに債権債務がないことを相互に確認する」と言った条項(いわゆる「清算条項」)を入れることが一般的です。これは、お金のやり取りは、この離婚協議書に書いてある事項だけにして、他のやり取りはしないという意味になります。

 

 離婚協議書を作成した際に、相手の不倫について全く気付いていなかったという場合には、離婚協議書作成時に慰謝料請求権を放棄したとまでは言えないでしょうから、慰謝料を請求し得るでしょう。

 他方、相手に女性がいることを薄々分かっていたけれども、早期離婚を優先したという場合には、慰謝料請求のハードルは上がると思います。

 

6.証明の問題


 

 当然のことですが、正式に離婚した後にどのような異性と交際を開始しても、それは自由ですので、交際スタートが離婚成立後の場合、相手に慰謝料を請求することは難しいです。

 そのため、その様な不倫行為が婚姻中に行われていたということを証明しなければなりません。

 離婚してから月日が経てば経つほどその証明は難しくなります。

 

7.消滅時効


 

 前述の通り、不倫発覚後3年以内という時効期間がありますので、3年以内に請求しなければなりません。

 なお、この場合の請求は、相手にただ書面で請求するだけでは足らず、裁判を起こすなどして裁判所を介して請求しなければ時効は中断しませんので注意が必要です。

 

8.まとめ


・離婚成立後の不倫慰謝料請求については、不倫以外の理由で離婚しているため、慰謝料が減額される可能性が高い。

・離婚の際に慰謝料を貰っている場合、そのことが今回の不倫慰謝料で考慮される可能性がある。
・清算条項がある場合、不倫慰謝料請求できるかは場合分けが必要である。
・離婚前に相手が不倫していたことの証明は簡単ではない。
・不倫発覚後3年の消滅時効期間内に請求する必要がある。

 

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

> 

>>【厳選】弁護士秦真太郎の浮気・不倫紛争解決実績はこちら!

>>不倫慰謝料請求の3つの注意ポイント

>>不倫慰謝料に相場ってあるの?

>>決定版!これが不倫の証拠だ!

 

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接会って相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

夫に無断で別居すると「悪意の遺棄」になるのか?

2017.04.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!>>弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトはこちら<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.そもそも「悪意の遺棄」って何だ?


 

(1) 夫婦は互いに同居義務、協力義務及び扶助義務を負っています(民法752条)。「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、これらの同居義務、協力義務及び扶助義務などを履行しないことを指します。

 なお、これらの義務違反が「悪意の遺棄」と言えるためには、「悪意を持って」その様な行動に出ることが必要になります。この「悪意を持って」というのは、お堅い言い方になってしまいますが、「積極的に婚姻生活を廃絶することを意図し、それでも構わないと考えていること」などと説明されます。単に婚姻関係を終了させることを意図しているというのでは足りず一方的に「廃絶」しようという意図が必要になります。

 

(2) そもそも、この「悪意の遺棄」は法律上の離婚原因の一つ(民法770条1項2号)にあたりますので、実際に「悪意の遺棄」があったと裁判所が判断する場合には、遺棄をした側が反対しても離婚が強制されることになります。

 その意味で「悪意の遺棄」の持つ意味は重大なものと言えます。

 なお、ここでの「離婚を強制される」の意味は、離婚裁判の場面で、悪意の遺棄と認定された場合に離婚させるという判決が下ってしまうという意味で、離婚の話し合いや調停の段階から、離婚を強制されるという意味ではありません。

 すなわち、通常、離婚の手続を進めて行くにあたっては、①離婚協議→②離婚調停→③離婚裁判という流れを辿りますが、離婚を強制されるというのは③離婚裁判という段階での話なので、この点は誤解がないように注意して下さい。

 

(3) また、悪意の遺棄を実行した側は、慰謝料の支払を余儀なくされる虞があります。

 

2.夫に黙って家を飛び出し何ヶ月も家に帰らないと「悪意の遺棄」になるの?


 

 前述したように「悪意の遺棄」に該当するか否かは、①別居に正当な理由があるかどうかという点と、②一方的に婚姻関係を廃絶するような意図で行われたのかという点がポイントになります。

 結論から言いますと、仮に旦那様に黙って別居を開始したとしても、よほど理不尽な理由で別居を開始したということでなければ「悪意の遺棄」に該当することはないと思います。

 

 例えば、不倫を繰り返し、不倫女性の家から何ヶ月も戻ってこなくなってしまったとか、持病で稼働能力がない妻を置いて別居をし、何ヶ月も生活費も渡さなかったと言ったケースが典型例ですが、これらのような重大なものでない限り「悪意の遺棄」に該当するケースは非常に少ないと思います。

 おそらく自宅を飛び出したということにも何らかの理由があってのことでしょうし、別居が離婚を意図したものであったとしても、相応の理由があって離婚を決意して別居に踏み切ったという経緯があれば、そのことが「悪意の遺棄」に該当することは少ないと思われます。

 

3.夫から「悪意の遺棄だ」と批難された場合どう対処すればよいか。


 

 旦那様からしますと、仕事から帰宅したところ突如奥様が家を出ているということになりますので、このようなシチュエーションに対して強く反発するということはよくあることです。

 そして、奥様に対して非難する論拠として「悪意の遺棄」という言葉を使ってくることもあります。

 ただ、前述の通り、奥様としては正当な理由があって別居しているのですから、仮に旦那様に何の断りもなく別居を開始しても、そのことが「悪意の遺棄」に該当することはほとんどないと思います。

 

 そのため、旦那様から上記のように批難された場合には、このような事態を招いた根本的な原因が旦那様にあることをきちんと伝えるという姿勢がベストかと思います。

 ただ、旦那様が普段からモラハラを繰り返してくるような旦那様の場合、話し合いにならないという危険性もありますので、その場合には、信頼できる第三者(これはご両親でも友人でも良いです)に間に入ってもらうなり、弁護士等の専門家を間に入れて話を進めた方が良いと思います。

 

 いずれにしましても旦那様から「おまえのしていることは『悪意の遺棄』にあたるから後で大変なことになるぞ」などと言われても、そのことであまり不安になる必要はないかと思います。

 

4.別居前の話し合いはした方がよい?しない方がよい?


 

 それでは、「悪意の遺棄」にならないからといって、相手に無断で別居した方がよいのでしょうか、それとも少なくとも一度は話し合いをした方がよいのでしょうか。

 ケースによりますので、一概に言えないのですが、特別な事情がない限り、事前の話し合いはした方が望ましいと言えます。この「特別な事情」とは、①相手がDVの加害者であるとか、②執拗なモラハラを繰り返してきた、③事前に別居の話をすると相手が子供を連れて実家に帰ってしまう危険性が高いといった場合が典型例になります。このような「特別な事情」があるケースですと、別居したいという気持ちを伝えても、相手の行動を助長するだけというケースが多いため、無断で別居した方が望ましいと言うことになります。

 

 逆に、このような「特別な事情」がない場合、無断で別居してしまいますと、相手が必要以上に反発してくる危険性があり、今後の離婚協議が難航する危険性があります。そのため、少なくとも一度は直接離婚したい旨はお話になった方がよいと思います。

 

5.まとめ


・事情があって別居した場合、「悪意の遺棄」に該当することは、少ないと思われる。

・相手から批難された場合、別居の根本原因を問い詰めるのが良い。

・「悪意の遺棄」に該当しないとは言っても、できれば別居前に一度は旦那様と話をした方がよい。 

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

>>【厳選】弁護士秦真太郎の紛争解決実績

>>ついに別居を決意!これだけは持って出よう!

>>離婚に踏み切る前に考えておくべきこと4選

>>【弁護士が本音で話す】離婚弁護士選びのコツ

 

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎へ直接会って話をしたい方はこちら

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

夫の不倫が発覚、どう対処すべきか

2017.04.03更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けが取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストです。また、旦那様が嘘の説明をしてくる場合もありますので、場合によっては旦那様の携帯電話におけるメールやSNSでの不倫相手とのやり取りを全て開示するよう要求すべきケースもあります。

 

 

3.旦那様との話し合いを進めて行くにあたっては信頼できる人物に相談しながら進めた方が良い


 

 旦那様の浮気という事実は、あなたにとって非常にショッキングな出来事になりますので、通常は冷静に対処することは難しいことが多いです。

 そのため、何かを決断するにあたっても、どのような方法がよいのかについて冷静に判断できないことも多々あります。

 

 そこで、ご実家のご両親や親しい友人など信用できる人物に相談しながら、旦那様との話し合いを進めた方が良いです。

 

 たまに、「こんな話を両親にすると心配をかけるから、話せない」とか「私ももういい歳なので、こんな話を両親にするのは恥ずかしい」というようなことをおっしゃる方もいますが、誰かに話を打ち明けるというだけでも、随分気持ちがスッキリします。

 そのため、自分一人で抱え込まないで信頼できる方一人でよいので、相談しながら進めることをオススメします。

 

 また、夫婦1対1での話し合いが上手く行かない場合には、お互いのご両親も交えて話し合いをするといった方法も検討してみて下さい。

 

 

4.自分の向かうべき方向性を決めること


 

 旦那様との話し合いで、浮気の全体像を把握した後は、あなた自身が夫婦関係を今後どのようにしていきたいかを慎重に検討する必要があります。

 要するに離婚したいのか、相手の浮気を今回に限って許すのかということです。

 

 これまでの旦那様との話し合いの中で、あなた自身も感情的になって離婚といった言葉を口にしてしまったり、旦那様からも同じような話があったかもしれませんが、その点はまず置いておいて、今のあなた自身の心境として別れたいのかやり直したいのかを慎重に考えて下さい。

 

 このような検討は重要な話ですから、前述のように信頼できる人物とも相談しながら決定するのが望ましいと思います。

 

 

5.向かうべき方向性が決まったら、その方向に向かって進んでいく


 

 あなた自身が離婚をご判断されたのであれば、旦那様と離婚の条件について話し合いをしていくことになります。

 離婚の条件は重要な事柄ですから、離婚協議書といった書面でしっかりとまとめていくことをオススメします。

 他方、あなたが今回に限りやり直すという選択をした場合、旦那様には不倫誓約書を書かせるということになります。

 

 

6.最後に


 

 このような不倫の問題は、発覚に伴ってあなた自身が精神疾患にかかるなど、大きく体調を崩してしまうことも多々あります。

 このような問題はあまりズルズルと引き延ばしたくはないでしょうが、性急に進めると後悔してしまうこともありますので、ご体調にも配慮しながら、じっくりと進めていくことをオススメします。

 

7.まとめ


・ 夫の不倫が発覚した場合、まずは証拠固めをした方が良い。

・ 夫と話をする際には、不倫の詳しい内容も確認しておいた方が良い。

・ 信頼できる人物と相談しながら話を進めていくと良い。

・ 今後の方向性をキチンと自分の中で固める。

・ あなた自身の体調面にも気を遣いつつ、焦らずに話を進めない方が良い。

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

>不倫慰謝料請求の3つの注意ポイント

>不倫慰謝料に相場ってあるの?

>決定版!これが不倫の証拠だ!

>【紛争解決実績】 毅然とした対応で合計450万円の高額不倫慰謝料を獲得したケース

>【紛争解決実績】スピード解決!1ヶ月半で不倫慰謝料250万円を獲得したケース

>【紛争解決実績】その不倫、簡単に許しちゃいけない!誓約書作成のケース

 

 

>>実績多数!弁護士秦真太郎の【厳選】紛争解決実績はこちら

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接相談したい方はこちら

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 事前予約は入力フォームで簡単日程調整 

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【素人でも作れる!!】弁護士が教える不倫誓約書作成完全ガイド

2017.03.27更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「本当に役に立つ詳しいブログ解説」を目指して解説させていただきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.旦那様が浮気しているかもしれない―まずしなければ行けないことは


 

 旦那様の出張回数がこれまでよりもかなり多くなった、徹夜仕事と称して朝帰りが多くなったなどなど、旦那様の浮気が疑われる事情はいくつかあると思います。

 

 夫婦関係が上手く行っている間は、基本的に旦那様の言葉を信じて、「出張なんだ」「仕事なんだ」と自分に言い聞かせていたことと思います。

 

 しかし、ふとしたことから旦那様が浮気をしている疑惑が生じた場合、まずは、その裏付けを得ることが非常に重要だと思います。

 単なる疑惑の段階で旦那様を直接問いただすという方法もあるのですが、そうしますと旦那様はしらを切る可能性もあり、リスクがあります。

 

 そのため、浮気の疑いを持った場合、旦那様が本当に浮気しているのか自分でも確証を得られるだけの証拠を掴むのがベストです。

 

 

2.その後は旦那様との話し合い


 

 旦那様の浮気に関する裏付けも取れた後は、直接旦那様を問いただすことになります。

 旦那様の口から直接浮気していたとの言葉を聞くこと自体が非常にショッキングで、大きな精神的苦痛を伴う作業ですが、この点を確認せずに今後の夫婦生活を送っていくことは難しいので、気力を振り絞って対応して頂ければと思います。

 

 この話し合いでは、ただ単に浮気をしていたかどうかだけではなく、その経緯や浮気の頻度・回数、不倫相手がどのような人物なのかなどについても問いただすことができればベストですが、あなた自身の体調も踏まえながら取り組んで下さい。

 

 

3.不倫誓約書作成ガイド


 

 このようにして旦那様と話をして、どうやら旦那様も反省しているようで、あなたとしても今回に限っては離婚とまでは言わないという場合、旦那様には誓約書を書かせる必要があります。

 その場では旦那様が強く反省していたとしても、何年も月日を経ていきますと、その意思が弱まる危険性もありますから、その担保という意味で誓約書を書かせるのです。

 

 不倫発覚後旦那様と様々な議論をしてきたのだと思いますので、更にまた誓約書の話を持ち出すことは大変かもしれませんが、できる限り誓約書作成のご努力をなさって下さい。

 

 以下では、不倫誓約書には一般的にどのようなことを書き、どのような点に工夫するのかについて説明していきます。

 

 なお、インターネット上には、不倫誓約書のひな型のようなものが掲載されているページもありますが、このようなひな型をあまり意味も分からないまま利用しますと、後で予測しないような結果を招いてしまうこともありますので、以下の記事も参考にして十分に文案を検討することをオススメします。

 

 誓約書はおおよそ8個のブロックに分けて記載することが多いので(端的に言いますと、1ブロックごとに第1条から第8条という形で作成すると簡便です)、そのブロックごとにご説明します。

 

(1)【第1ブロック】謝罪の条項

 例えば、「私は、平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。」

 といった書き方をします。

 

 不倫の期間や回数については、特定できるようであれば記載しておくと、後から旦那様の説明が嘘だったことが分かった場合、問い詰めることが容易になりますので、可能な限り特定して下さい。

 

 なお、不倫の経過や交際の状況等について非常に事細かく全て自白させたい、その全てのことについて謝罪させたいという場合には、「私は、別紙の通り不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して…」という書き方にして、詳細な内容を全て別紙に綴じ込むという方法も考えられます。

 

 また、不倫以外に旦那様の普段の生活での不満があれば、そのことについても、この条項に書き込むという方法もありますので、検討してみて下さい。

 

 例えば「私は、以下の①から④のことで貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。

①平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及んだこと
②婚姻生活中、貴殿に対して頻繁に罵声を浴びせ、貴殿を怖がらせてしまったこと
③貴殿の家事・育児への協力が不十分であったこと
④……」

 

(2)【第2ブロック】慰謝料の条項

 例えば、「私は、本誓約書における誓約にもかかわらず、再び異性との不貞行為に及んだ場合、貴殿が受けた精神的苦痛を慰謝するため、慰謝料○○円をお支払い致します。」といった内容になります。

 今回慰謝料の支払いを求めるという方法もありますが、通常は、今回に限り旦那様を許し、その代わり、2回目の浮気があった場合には、慰謝料を支払わせるという形がオーソドックスなように思われます。

 

 なお、2回目の浮気があった場合の慰謝料については、抽象的に「貴殿の精神的苦痛を十分に考慮した慰謝料」といった書き方をしても良いですし、「慰謝料○○円以上」という書き方をしても結構かと思います。

 

 では、この慰謝料の金額は相手が合意すればいくらでも良いのかというと、あまり高額すぎる場合には、その効力が制限される可能性がありますので注意が必要です。

 例えば、「慰謝料1億円をお支払い致します」と書かれていても、その誓約書を盾に1億円を請求することは難しいように思われます。

 

(3)【第3ブロック】誓約条項

   例えば

「私は、以下の事項を誓約致します。
○○□子の情報・電話番号・メールアドレス・SNSのID等を全て消去済みであり、今後、電話・メール・LINEその他方法を問わず一切連絡を取らないこと
○○□子以外の異性との間で、貴殿との貞操義務に違反するような不貞行為及びこれに準ずる行為に及ばないこと」

   といった書き方をします。

 

 他にも不倫相手と接点を持つシチュエーションがあれば、それに対する誓約条項も盛り込んでおいた方が良いと思います。

 具体的には、不倫相手が近所に住んでいるという場合「偶然○○□子を見かけたとしても、自ら声をかけず、また、○○□子から声をかけられても返答をせず立ち去ること」といった条項を加えることも検討しなければなりません。

 

 また、浮気以外にも相手に改善を求めたい事項があれば、そちらについても誓約条項に加えておいた方が良いと思います。例えば、貴殿を罵るような言動に及ばないこと、家事・育児に積極的に協力すること、といった記述です。

 

(4)【第4ブロック】違反の場合のペナルティ条項

 例えば「前条の誓約条項に違反した場合、私は貴殿に対し、違反回数1回につき○万円を支払います」といった条項です。

 なお、この条項につきましては、条項通りに違約金を請求できるかというと、通常は旦那様が再度不倫をした際の慰謝料に含まれるものとして、別途違約金請求権は発生しない可能性が高いと思います。

 

 そのため、この条項は、相手に連絡等を取らないよう心理的プレッシャーをかけるという位置付けになろうかと思います。

 このように法律的効力に疑問もありますので、この「第4ブロック」については、弁護士が作成する誓約書などには記載しないことの方が多いように思われます。

 

(5)【第5ブロック】離婚の予約

 例えば「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾致します」といった内容の条項になります。

 なお、この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要することはできないと言うことです。

 このように「第5ブロック」については法律的効力はないのですが、こちらが真剣に離婚を考えたことの痕跡を残す意味でも、「第5ブロック」の条項は記載することの方が多いように思われます。

 

(6)【第6ブロック】秘密保持に関する条項

 特に旦那様の口が軽いとか、自身の女性関係を誇示する危険性がある様な場合には、秘密保持に関する条項も入れておく必要があります。

 例えば「○○○子との関係(不貞行為に及んでいたことを含む)、本誓約書の存在及び内容について、第三者に開示も漏洩も致しません」といった内容になります。

 

(7)【第7ブロック】不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力致します」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、再度同じような問題が起きた際に、こちらから旦那様を問い詰める根拠になりますので、不倫相手への責任追及も考えたいという場合には、記載しておいた方が良いと思います。

 

(8)【第8ブロック】今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。旦那様の今後の夫婦生活に対する向き合い方をきちんと示してもらう必要がありますので、このような記載をします。

 なお、現在夫婦が別居中という場合には、別居解消のために努力する旨及びその時期などについても明記することになります。

 

 

4.まとめ


・ インターネット上の不倫誓約書ひな型を深く考えずにそのまま利用することは危険

・ 不倫誓約書には大きく8個のブロックがある。

・ 一つ一つのブロックについてご夫婦の実情に合わせて文案を作成する

 

関連記事


>【初めての相談でも安心】動画解説:弁護士秦への法律相談って何だ?はこちら<

>【弁護士秦の解決実績1】その不倫簡単に許しちゃいけない!誓約書作成のケース

>【弁護士秦の解決実績2】毅然とした対応で合計450万円の高額慰謝料を獲得したケース

>不倫慰謝料請求の3つの注意ポイント

>決定版!これが不倫の証拠だ!

>不倫相手の所在調査-弁護士にどこまで依頼できる?

>不倫慰謝料に相場ってあるの?

>不倫誓約書「今後連絡を取った場合罰金を払う」の有効性が問題となったケース

 

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

2度目の不倫の時には「離婚に同意する」という約束は有効か?

2017.03.20更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.「2度目の不倫」発覚


 

 一度、奥様とは別の女性と不倫してしまい、その件は、奥様と話し合いをして解決したとします。

 しかし、その数年後、再び不倫をしてしまい、そのことが奥様に発覚してしまったとします。

 

 その場合、奥様との関係を改善することは簡単ではないでしょうが、すぐに離婚したくはない場合、どうすればよいのでしょうか。

 今問題になっているのは2度目の不倫発覚のことですが、以前の不倫発覚の際に、奥様と何らかの約束をしている場合、その約束にどこまで拘束されるのかという点からご説明致します。

 

 

2.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が口約束の場合


 まず、口約束という場合には、実際にその様な発言があったのかなかったのかという点が問題になります。

 一度目の不倫発覚の際、奥様も冷静に話し合いをすることは難しいケースも多く、夫婦間で話をしていても様々な話が出てしまい、その一つ一つを覚えていないということも考えられます。

 

 また、仮にその様な発言があったとしても、前後の話し合いの内容や、その様な発言の経緯についての検討も必要になります。仮に浮気をした側の旦那様が「2度目の時には離婚するとは言ったが、子供の親権はこちらが貰うことが条件だと話したはずだ」などと、他にも条件が付いていたという言い方をすることもあり得ます。

 いずれにしましても、口約束ですと後からもめ事の種になりますので、仮に旦那様の不倫を今回限りで許すにしても不倫誓約書にはきちんと署名押印させた方が良いと思います。

 

 

3.「もう一度浮気したら離婚する」という約束が書面で約束されている場合


 それでは、不倫誓約書などに「甲が再度不貞行為に及んだ場合には、乙からの離婚要求に無条件で応ずる」といった内容が書かれていた場合はどうでしょうか。

 

 不倫誓約書を書かせた側としては、2度目の不倫発覚後、離婚するしないで相手と再度揉めることは避けたいと思います。このような理由で、誓約書に上記のような記載をしているのだと思いますから、記載通りの効力が認められないとあまり意味がありません。

 しかし、残念ながら、この誓約書と離婚届を提出しても、離婚届が受理されることはありません。協議離婚する場合、離婚届にご夫婦の署名押印がなければ、離婚届は受理されないのです。

 

 従いまして、上記のような誓約書の文言は、不倫した側に対して、心理的な影響を期待するもので、法律的な効力はありません。この「心理的な影響」というのは分かりにくい表現ですが、要するに再度不倫した旦那様も、一度誓約書にサインしてしまっていると逆らいづらくなるという意味でしかありません。

 

 

4.公正証書で「もう一度浮気したら離婚する」と書いた場合はどうか


 

 相手がお金を支払わなくなった場合に備えて、強制力を持たせたいという場合、公正証書を作成します。離婚協議にあたっても、慰謝料や養育費など相手からの支払が滞らないように公正証書を作成することもあります。

 

 それでは、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書いてある場合、離婚届と公正証書を持っていけば離婚届は区役所で受理されるのでしょうか。

 端的に申しますと、離婚届は受理されません。

 

 そもそも、公正証書は、お金の支払いに関しては強制力を付けることができますが、それ以外のことについて強制力を付けることはできません。

 そのため、公正証書に「もう一度浮気したら離婚する」と書かれていても、その箇所に強制力を付けることはできないのです。

 

5.予め離婚届にサインさせる方法


 

 不倫誓約書を作成させる際に、旦那様からその場で離婚届にも署名押印させる方法も考えられます。

 今すぐに離婚届を提出する訳ではないけれども、今後違反した場合にすぐ離婚できるように予め離婚届を作っておくということです。

 

 このように作成された離婚届も本人の署名押印がある以上、区役所の戸籍課では受理されてしまいます。

 

 ただ、実際に再度の違反が発覚し、その際に旦那様が離婚に反対しているような場合には、その離婚は後から無効とされてしまうリスクが残ります。

 

 

6.まとめ


・ 誓約書などに、今後違反した場合離婚する旨記載しても法律的効力はない。

・ 離婚の予約には心理的効果は期待できる。

・ 公正証書にしても、離婚の予約の効果は変わらない。

・ 予め離婚届にサインさせておく方法は、後から無効とされるリスクがある。

 

関連記事


>妻に不倫がバレてしまった!関係修復のための3つのポイント

>【紛争解決実績】不倫誓約書「今後連絡を取った場合罰金を払う」の有効性が問題になったケース

>弁護士秦真太郎の【厳選】紛争解決実績はこちら!

 

>>このブログを書いた弁護士秦真太郎に直接相談したい方はこちら!

(仕事帰りでも安心!事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 

【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

entryの検索

カテゴリ

弁護士 秦真太郎 -雨宮眞也法律事務所- 受付時間 9:30~18:00 定休日 土日・祝日 住所 東京都中央区日本橋兜町1-10日証館3階

※事前予約があれば平日夜間(22時まで)も対応可能です。