逆DVかな?と思ったら
2017.07.03更新
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1.逆DVって何だ?
逆DVとは、一般的に奥様が旦那様に対して身体的・精神的または性的暴力をふるうことなどと言われます。つまり、直接殴る蹴るといった身体的暴力だけではなく、怒号・罵倒・誹謗中傷等による精神的暴力、肉体関係を強要してくる性的暴力等も含みます。
数年前まではDVと言うと、旦那様が奥様に対して暴力をふるうケースを指すものと考えられていましたので、その「逆」の形態(旦那様が加害者ではなく、被害者であるという意味で「逆」)という形で、「逆DV」と表現されているようです。
2.逆DVは離婚原因になるか?
「離婚原因」と一口に言いましても、法律家から見ますと二つの捉え方がありまして、「法律上の離婚原因」という捉え方と「離婚理由」(離婚を言い出すきっかけ)という捉え方があります。
あなたが逆DVの被害に真剣に悩んでいると言うことでしたら、そのことは離婚理由(離婚を言い出すきっかけ)になります。
ただ、法律上の離婚原因にまでなるかというと、事情によると言うことになります。
と言いますのは、法律上の離婚原因というのは、「裁判所が強制的に離婚を認めてくれるだけの理由」を意味しますので、簡単には認められません。身体的暴力が繰り返されていたという場合には当然、「法律上の離婚原因」に該当しますが、精神的暴力や性的暴力につきましては、その頻度や内容によると言うことになります。
3.男性側が被害者というのは、立場として弱くなるのか
逆DVでご相談に来られる方の中には、女性が被害者であれば裁判官も同情してくれると思うのですが、男性が被害者の場合、裁判官は「情けない」としか思われないのではないかと、心配される方もいらっしゃいます。そこまでは言わないまでも、女性が被害者のケースよりも男性被害者は保護されないのではないかと心配されている方は多くいます。
確かに、体格の面では女性よりも男性側の方が体格がよいことの方が多いため、暴力によって男性側が持つ恐怖心は女性被害者よりも多少弱いと見られる傾向もないわけではありません。
しかし、DVで大きく問題になりますのは、実際にどのような暴力が加えられたのか、どのような頻度でどの程度の期間暴力があったのかという点が最も重視されますので、このような暴力の内容が強力な内容であれば、男性側が被害者であるという事情はそれほど大きく影響しないと見込まれます。
4.逆DVは改善の余地があるのか。
私が担当した事件でも、旦那様が毅然と「このようなことが続くようであれば正式に離婚するしかない」と伝えたところ、奥様からのDVが無くなったというケースもあります。
ただ、逆DVの内容にもよりますが、その内容が強烈なものであったり、執拗なものである場合、一時的に改善しても、時間が経つと同じことが繰り返されることの方が多いように思われます。
そのため、この逆DVは、一時的なことなのだとか、本当は私のことを分かってくれているからもう少し我慢すれば自分から改善してくれるはずだと言った考え方は捨てた方が良いケースが多いのが実情です。
5.逆DVに耐えられない場合、どう対応すればよいか
同居して一緒に生活している以上、逆DVに悩まされ続けますので、早めに別居をスタートするのが一番だと思います。
ただ、別居生活においてはご両親その他少なくとも一人は事情を知ってサポートしてくれる方がいた方が良いので、別居に踏み切る前に悩みを打ち明けられるような親族または友人に悩みを打ち明けて、サポートを受けられる体制は整えておいた方が良いと思います。
また、最終的に離婚を考えている場合、奥様が逆DVの存在を否定してくる可能性もありますので、可能な限り、別居前に逆DVの証拠(身体的暴力の場合、診断書や怪我の部位等を撮影した写真、精神的暴力の場合、相手からの暴言を録音した録音データ等)を入手しておくべきでしょう。
逆DVのケースでは、奥様が旦那様に対する強い支配欲を持っていることも多いため、こちらから離婚を切り出した際、奥様が自分に不利な事情を全て隠し、離婚を阻止しようとする可能性があるからです。
6.まだ離婚の決心が付いていない場合
明確に離婚したいと決断できていない場合、別居を始めてしまいますと、引っ込みがつかなくなるというケースもあります。
その場合には、前述のようにまずは悩みを打ち明けられる親族や友人に相談し、まずは、あなたの客観的な立場を知っておくことが重要だと思います。
逆DVは、奥様の要望に従ってきた結果、DVの内容が悪化してしまったというケースが多いため、あなた自身も感覚が麻痺してしまっていることが多いです。そのため、実際にこれまで起きたことを親身に相談をし、相談相手の意見を聴きながら、その逆DVの内容の深刻さを認識すべきです。
そのように率直に話をしている中で、あなた自身が離婚した方が良いのか、誰かに間に入ってもらって夫婦円満に向けて話し合った方が良いのかの方向性も見えてくると思います。また、夫婦がお互いを見つめ直す期間として試しに1,2ヵ月別居してみるという方法もあります。どなたかに間に入ってもらって、冷却期間としての別居の話し合いができると言うことでしたら、試しに別居してみるというのも有力な選択肢だと思います。
逆DVのケースですと、男性側が被害者ですから、みっともなくて他人に話せない、相談相手に白い目で見られそうでコワイ、下手に話をすると同級生の間で噂になりそうと言った形で不安に思われている方も多いと思います。そのように適切な相談相手がいないという場合には、弁護士等の専門家に相談するという方法もありますので、検討してみて下さい。弁護士に相談した場合、必ず弁護士に事件をお願いしなければならないと言うことはありませんし、弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に話した内容が外部に漏れることはありません。
7.逆DVのケースは離婚を決意した場合、弁護士を立てた方が良いケースが多い
逆DVのケースでは、前述のように奥様の側が旦那様に対する強い支配欲を持っているケースも多いため、旦那様側が離婚を切り出した際に強く反発してくるケースが多いです。単に反発するだけならまだしも、これまでの逆DVがエスカレートしていくというケースも多くあります。
このように旦那様の身の危険が増加するリスクがありますので、奥様の逆DVが悪化する可能性があるという場合には、ご自身で離婚を切り出すのではなく、弁護士を立てて、弁護士を通じて離婚を切り出すという方法も検討した方が良いです。
8.まとめ
・逆DVは離婚理由(離婚を切り出すきっかけ)になる。
・逆DVが法律上の離婚原因になるどうかはDV内容を精査する必要がある。
・逆DVが通常のDVより大きく被害者に不利になるということは少ない。
・逆DVの改善見込みは一般的に低い。
・逆DVに耐えられない場合、別居を考えた方が良い。
・別居前には逆DVの証拠を収集しておいた方が良い。
・逆DVの深刻さを客観的に把握するためには誰かに相談するのが一番である。
・逆DVのケースは弁護士が間に入った方が良いケースが多い。
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