「離婚を切り出した側が不利になる」って本当?
2017.05.29更新
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1.離婚のご相談を受ける際によくある質問の一つ
私が離婚のご相談を受ける際、ご相談時にまだ離婚を切り出していないというケースも相当数あります。
旦那様が暴力をふるうだとか暴言がひどいという場合には、ご本人から離婚を切り出すことは難しいでしょう。その様な場合には、無理にご本人から離婚を切り出さずに、私の方から代理人弁護士として離婚の意向を伝えることもあります。
他方、そのような「ご本人から相手に離婚を切り出すことが難しい事情」がない場合、原則として、一度はご本人から相手に離婚を切り出してもらうようにしています。
私の方から旦那様に通知を送ると、「本人からは一度も離婚話がなかった」とか「弁護士がうちの家内に離婚を強く勧めるのはどうかと思う」といった誤解を招きかねないからです。このような無用な反発がありますと、離婚の話し合いが円滑に進まない原因になることもあります。
直接離婚を切り出すことをオススメしますと、ご相談者の中には「インターネット等で『こちらから離婚を切り出すと不利になる』と読んだことがあるのですが大丈夫でしょうか?」とご質問を受けることがあります。
実際はどうなのでしょうか。
2.こちらから離婚を切り出すことが離婚の支障になるか。
結論から申しますと、こちらから離婚を切り出したとしても、そのことのみで「離婚できるかどうか」で不利になることはありません。
確かに、離婚を初めて切り出したときは、相手が「生意気だ」というように反発してくる可能性もありますが、どちらかが離婚を切り出しませんと離婚の話は進みませんから致し方ないと思います。
離婚の問題は、簡単に言いますと①話し合い→②調停→③裁判というステップを踏みますので、離婚の話し合い・調停が上手く行かない場合には、最終的に裁判で決着を付けざるを得ません。
その場合「離婚の十分な理由があるのか」と言う点は、これまでの婚姻生活における夫婦のやり取り、離婚を切り出すまでの経緯、別居後の状況等を考慮して判断されます。その際、どちらが離婚を切り出したのかという点が問題になることはほとんどありません。
3.こちらから離婚を切り出すと相手から慰謝料を請求されないか?
結論から申しますと、「こちらから離婚を切り出した」という事情だけで慰謝料を請求されることはありません。
もちろん離婚を切り出した際に、相手を執拗に罵倒してしまったというような場合には、慰謝料を請求される可能性があります。ただ、それは「こちらから離婚を切り出したから」という理由ではなく、「罵倒してしまったから」慰謝料を請求されることになっただけです。
4.離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方がよい
上記の通り、こちらから離婚を切り出すことで明確な不利益はありませんので、その意味で離婚話を躊躇する必要はありません。
しかし、離婚はこれまでの婚姻生活を終わらせることを意味しますので、離婚を切り出す時期やタイミングは慎重に検討した方が良いと思います。
5.まとめ
・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として離婚上不利になることはない。
・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として慰謝料を請求されることはない。
・離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方が良い。
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