離婚問題

DV夫との別居を決意!別居にあたっての8つの手順

2017.08.28更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<になります。

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1.事前にDV夫に相談した方が良いか?


 

DV離婚のケースで一番悩まれるのは、離婚することや別居することを事前に相手に伝えるべきかという問題だと思います。

 何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような暴力を受けるか分からないと言うことで、悩まれている方も多くいます。

 

 基本的に、これまでこちらが怪我をするような暴力被害を受けたことがあるというケースでは、事前に離婚や別居を切り出さずに別居を開始した方が良いことが多いと思います。事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分のみの安全を守るためにも、事前に話をしないのです。

 

 他方で、暴力被害を受けたことがあるけれども怪我をするほどのことではなかったとか、暴言のみという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。

 

 事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、DV被害防止というきちんとした理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。

 

 DVのケースでは、別居後も親族・友人等どなたかの支援を受けながら生活していくことになると思いますので、事前に旦那に別居や離婚を切り出しておくべきかは、その親族や友人とも予め相談しておくと良いと思います。

 

 

2.絶対にこちらの動きを察知されないこと


 

 事前に旦那に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを相手に察知されないようにすることが非常に重要になります。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。

 私が担当したケースでも、別居準備中に旦那に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 

 DV旦那に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①旦那が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校天候の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、旦那が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、旦那が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話も旦那が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

 

3.親族・友人等の支援体制を整えること


 

 DVのケースですと別居に成功しても、旦那が別居先を突き止めてしまうのではないかと言うことで多かれ少なかれ不安を抱えながら生活していかなければならないというケースも多くあります。

 小さなお子様がいらっしゃる場合、お子様ご自身が上記のような不安を持つケースもあります。

 

 このようなことを考えますと、別居後に支援をしてくれる親族や友人を見付けておき、別居後に支援を受けつつ日々の生活を送っていければ安心感が非常に増すと思います。

 

 支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散しますと、どこかで旦那が別居の情報を察知してしまう危険性が増して行くことになります。そのため、まずは、親身に相談に乗ってくれそうな両親その他の親族等に絞って支援を依頼することが現実的かもしれません。

 

 

4.置き手紙の活用


 

 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、相手に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後旦那からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

5.捜索拒否願の提出


 

 DVのケースですと、旦那からの暴力について地元の警察に相談をしていることが多いと思いますので、事前に別居日を警察にも伝えておいて下さい。

 

 そして、突如別居を開始すると、旦那は警察署に捜索願を提出するケースが多いので、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出しておいて下さい。

 

 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、旦那が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。

 

 

6.住民票の移動は慎重に


 

 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動していた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと旦那に居場所を知られる危険性が生じます。

 

 DV被害者として役所に申請を提出しておけば、旦那があなたの住民票を入手することはできなくなりますが、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。

 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。

 

 

7.早めに弁護士に依頼する


 

 DVで別居を開始し、相手にあなたの所在地を明かさずに離婚の交渉をするという場合、弁護士に依頼をして手続きを取るというのが最も現実的かと思います。

 

 もちろん、ご両親など間に入ってくれる人物がいて、旦那も目上の人には丁寧に応対するという場合には、ご両親等に間に入ってもらうことを依頼する方法もあります。

 ただ、相手がDV旦那の場合、あなたの居場所を執拗に尋ねてきたり、あなたと一目でも良いから会わないと離婚の協議には応じないという旦那も多くいます。

 

 その様なケースでは早めに弁護士に依頼して手続きを取った方が円滑に離婚できるケースが多いと思います。

詳しくは、関連記事>>DV離婚を弁護士に依頼するメリット&デメリット

 

 

8.別居時の持ち物リスト


 DVのケースでは、急いで別居を開始しなければいけないとか、そうでなくとも別居後の不安から気持ちを落ち着かせて荷物の整理ができないという方も多いと思います。

 

その様な方は、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」

 DVのケースですと、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、注意が必要です。

 

 

9.まとめ


○事前に旦那に別居する旨を相談した方が良いかはケースによる。

○別居準備は絶対に旦那に察知されないように進める。

○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。

○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。

○警察には捜索拒否願を提出する。

○住民票の移動は時期を含めて慎重に検討した方が良い。

○DVのケースでは早めに弁護士に依頼した方が良い。

○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV離婚で調停に臨む際の5つの注意ポイント

2017.08.21更新

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1.まずは調停がどのような手続なのかを理解する。


 

 DVのケースではご夫婦同士で話し合いができない、もしくは、離婚を切り出すとDV旦那が逆上する可能性が高いため、ご自身で離婚を切り出せないというケースも多くあります。

 

 その場合でも、弁護士が間に入る場合には、弁護士からDV旦那に通知を送り、協議離婚によって問題を解決できないかを模索していきます。

 ただ、弁護士が間に入っても協議離婚の目処が立たないというような場合には、弁護士が代理人となって離婚調停を申し立てていくことになります。

 

 DVのケースですと、調停にどのように臨めばいいのか奥様の方で非常に不安になられることが多いと思います。ただ、調停というものがどのような手続なのかが分かっておりませんと、その様な不安を払拭することはできませんので、まずは、きちんと把握しておく必要があります。

>>関連記事「離婚調停って何だ?」

 

 それでは、離婚調停というものがどのようなものか概要を掴んで頂いた上で、DV離婚の場合には、どのような心構えで臨む必要があるのか、また、どのような準備が必要なのかと言った点について、DV被害者側の立場から以下ご説明致します。

 

 

2.裁判所へのDVでの配慮要請


 

 まず、調停を申し立てる際に、この離婚調停事件がDVの事件であるということをキチンと裁判所に伝えておく必要があります。DV離婚調停事件においても基本的には弁護士同席のもとご本人にも裁判所に足を運んで頂く必要があります。

 そのため、何も裁判所の配慮がないと、裁判所にてDV旦那と遭遇してしまうと言った危険性が出てきます。

 

 このような事態を避けるために、事前に裁判所にDVのケースであることを強く伝えておく必要があるのです。

 このようにしておきますと、裁判所の方も調停の開始時間を旦那様と奥様とでずらしてくれたり、控え室の階数を別にしてもらうなど配慮を受けることができます。

 

 

3.原則弁護士代理を強くオススメする


 

私がDV離婚のご相談を受けた際には、弁護士を立てることをオススメすることが多いです。

DVのケースですと前述の通り、ご本人からDV旦那に対して離婚を切り出すことができないというケースが多くあります。その様な場合には、ご本人ではなく両親やその他の親戚、友人等に間に入ってもらうケースもないわけではありませんが、本人と話ができないことでDV旦那が逆上して話が余計に混乱すると言うこともあります。

そのため、明確なDVのケースですと、弁護士が間に入った方が、多少はDV旦那も冷静に話をすることができます。

 

また、DV旦那から更なる暴力等が行われる可能性も考慮しますと、その様な事態に迅速に対応する必要があります。具体的にはDV保護命令等を検討して行くことになりますが、予め離婚事件で弁護士が事情を把握しておりますと、保護命令等の手続も円滑に進めて行くことができます。

 

 

4.【調停の席で心がけること1】自分を責めない・卑下しない


 

私が相談を受けるDV被害者の方の傾向としましては、自分を責めてしまっている方が非常に多いという印象です。

自分が旦那の機嫌を損ねることを言ってしまったからいけないんだとか、家事が不十分だったために旦那を怒らせてしまったといった風に自分を責めてしまうのです。

しかし、暴力はどのような事情があっても許されないものですので、あなたが悪いと言うことは絶対にありません。確かに旦那の暴力には何らかの発端があるのは事実でしょうが、だからといって暴力が許されることにはならないのです。

 

また、DV旦那は、「何度言ってもお前がこれをしないから暴力をふるっているんだ」という言い方をして、あなたを悪者扱いしようとします。このように言って、あなたを支配しようとしているのです。あなたが自分自身を卑下するのは、DV旦那からのコントロールから脱し切れていない痕跡とも言えますので、まずは、そのようなDV旦那からのコントロールから抜け出すようにするのが重要だと思います。

調停の席でも、あまりあなたが自分自身を責めていますと、相手からつけ込まれる一因にもなりますので、まずは「自分自身を責めない」という気持ちをしっかりと持つよう心がけて下さい。

 

 

5.【調停の席で心がけること2】悩まない・相手の魅力的な言葉等に騙されない


 

次に、調停の席で強く心がけて欲しいのは、相手の魅力的な言葉等に騙されない、気持ちを揺らさないと言うことです。

DV旦那の中には、裁判所等の公的な場所では礼儀正しく振る舞うという人もいます。また口が達者と言う方もいるのが事実です。そのため、DV旦那も調停の席では、こちらが応じても良いような条件を提示してくることもあります。

 

ただ、ここでヨリを戻してしまいますと、これまでと同様のことが繰り返されることになりますので、自分が離婚したいんだという強い気持ちで臨むのがよいと思います。

 

もちろん、離婚にあたっては様々な条件についても話し合いますので、その個別の条件についてどのようにした方が良いのか悩むことはいけないことではありません。ここで申し上げたいのは、「離婚したい」というその気持ち自体がぶれないようにして欲しいという意味です。

 

 

6.まとめ


○DV調停と言うことを意識せず、まずは調停手続そのものをきちんと理解しておく。

○DV離婚調停では、裁判所にDV事件としての配慮を事前に要請しておく必要がある。

○DV離婚調停のケースでは弁護士に依頼した方が良いケースが多い。

○DV調停の席では、自分を責めないように話す必要がある。

○DV調停の席では、離婚に対する強い覚悟をもって離婚そのものを悩まないようにした方が良い。

 

 

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DVで協議離婚できるか?

2017.08.14更新

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1.協議離婚とは


 

 協議離婚とは、ご夫婦が離婚届に署名押印して役所に届け出ることで離婚が成立することを言います。

 ご夫婦同士の話し合いで離婚に合意した場合はもちろん、ご夫婦同士の話し合いが難しく、間に弁護士が入って協議離婚が成立することもあります。

 

 協議離婚は、調停離婚、裁判離婚と対比した用語として用いられますが、一番のメリットは、時間をかけずに離婚できるという点かと思います。

 

 これに対して、調停離婚ですと、家庭裁判所における調停手続で離婚する手続きになりますので、どうしても一定期間を要してしまいます(調停申立の準備が必要になりますし、申立をしても調停期日は1ヵ月以上後になります。また、1回の調停期日で結論が出ないことも多いです)。

 

 

2.DVだから協議離婚できないと言うことはない。


 

 DVのケースですと、DV被害者側が協議離婚を最初から諦めているケースも多くあります。

 「旦那に相談もせずに家を出てしまったので、凄く怒っていて、とりつく縞がないと思います」だとか「何度か離婚を切り出したことがあるのですが、まったく話し合いになりませんでした」といった形で諦めてしまっているのです。

 

 しかし、弁護士が間に入ることで、相手が態度を軟化させてくることはあります。弁護士を立てるということは、「本気で離婚したいと思っている」ということを意味しますので、そのことが相手にも伝わることが多く、相手も離婚も致し方ないと考えるのです。

 

 私が担当した事件でも、当初は協議離婚が難しいと思われても、実際ねばり強く相手と話をしたところ協議離婚が成立したケースは何件もあります。

>>関連記事「DV夫とスピード離婚(2ヵ月で離婚成立)」

 

 

3.協議離婚のために弁護士として心がけていること


 

(1)離婚原因の詳細を確認する

 DV被害者の方から詳しい離婚原因の聞き取りを致します。多くの場合は、DV被害の詳細になりますが、このような被害内容を共有することで、被害者の方に目線を近づけた上で弁護活動を行うことができると考えています。

 また、DV加害者である旦那様と直接話をする際には、「嫁はどうして離婚したいと言っているんですか?」という質問が必ず出ますので、それに回答する準備としての意味合いもあります。

 

 このような確認は当然のことの様に思えるかもしれませんが、弁護士は事件を多数抱えており、どうしても細かな事実関係の確認に手が回らないという先生もいらっしゃるようです。私の場合には、そのようなことはなく、きちんと詳細を確認する様に努めております。

 

(2)DV加害者に対してメリハリを付けて対応する

 DV旦那と話をする際に一番心がけているのはメリハリを付けるという点です。絶対に応じられない点については断固応じられない旨を明確に伝えますが、他方できめ細かく対応した方が良い点についてはきめ細かく対応すると言うことです。

 

 奥様が所在を明らかにせずに別居を開始した場合、DV旦那からは「嫁がどこにいるのか教えろ」とか「嫁と直接会って話をしないと離婚を決められない」という話が必ず出ます。これに対しては、居場所は絶対に教えられない、直接会うことも絶対にできないと回答し毅然と対応することになります。

 これに対して、詳しく奥様が離婚したい理由を知りたいという要望が出された場合には、その理由を細かめに説明して行くことになります。

 

 

4.調停に切り替えた方が良いケースでは早めに切り替える


 

 私が交渉に当たる場合、できる限り早めに離婚できるようにDV旦那と粘り強く話をして協議離婚を目指しますが、旦那様が離婚を拒絶する姿勢が強固な場合、早めに調停離婚に切り替えた方がよいということもあります。

 私が相手と直接話をしておりますと、協議離婚での解決が難しいという判断はできますので、その見極めができ次第調停離婚の手続きを取ることになります。

 

 

5.親権獲得が絡む場合


 

 特にお子様の親権について激しい意見対立があるようなケースですと、仮にDV旦那が離婚に応じたとしても、親権を譲らないと言うことも想定されますので、その場合には、早めに調停に切り替えた方が良いケースが多いと言えます。

 

 なお、たまに「早く離婚したいので親権は諦めた方が良いでしょうか?」とご質問される奥様がいらっしゃいますが、こちらについては、絶対に親権は諦めない方が良いという回答になります。

 今は一刻も早く離婚したいでしょうけれども、親権を渡してしまいますと、今後お子様と会うことにも不便を来す可能性がありますので、2年後、3年後には「親権を渡すべきではなかった」と思われる方が多いからです。

 

 

6.慰謝料請求とのバランス感覚


 

 特に深刻なDV被害を受けているケースですと、DV旦那に何のお咎めもなく離婚することには納得できないということも多いと思います。これまで長い期間に亘って暴力被害を受けてきたのですから、その様に考えるのも当然だと思います。

 

 ただ、DV旦那は自分の暴力が正当なものだと考えている人が非常に多いため、慰謝料を支払うことに強く抵抗してくるケースが多いのも事実です。

 そのため、ケースによっては慰謝料の金額を減額し、または慰謝料額をゼロにした上で、早期に離婚する方が良いというケースもあります。

 

 

7.まとめ


■DVであっても協議離婚できる。

■DV離婚の場合、弁護士としては被害者の方から詳しく事情を確認し共感することが重要である。

■DV離婚の場合、弁護士としては加害者とメリハリを付けて話をする。

■調停に切り替えた方が結果的に早く離婚できるケースでは早めに調停に切り替える。

■早く離婚したいからと言って親権を手放してはいけない

■早期離婚と慰謝料獲得とのバランスを考えなければならないケースは多い。

 

 

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DV被害届を出すべき?5つのチェックポイント

2017.08.07更新

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1.DV被害時に110番通報をする場面


 

 あなた自身又はお子様が旦那から暴力を受けている場合、その様な暴力が続くと生命の危険に関わるという場合や暴力の内容が普段と大きく異なるなど身の危険を感じる場合に110番通報をすることが多いと思います。

 そうすると、DVの現場に警察官が足を踏み入れることになりますので、あなたやお子様の怪我の内容等によっては、警察から被害届を提出するか質問されることになります。

 

 あなたとしても咄嗟の判断として110番通報をしていますので、その場では判断が難しい場面も多いと思います。

 そこで、今回は、被害届を提出した場合にはどのようなメリット、デメリットがあるのかをまとめてみました。

 

 

2.【被害届を提出するメリット1】DV夫に反省させる


 

 特にDVを繰り返す旦那の場合には、あなたがいくら暴力に対して抗議しても聞き入れないことが多いと思います。また、旦那がDVを繰り返す場合、更なる暴力を怖れて、旦那に抗議すること自体が難しいと言うことも多いと思います。

 その様なことを考えると、被害届を提出すると、端的に、暴力を深刻な問題と捉えていることをDV旦那に伝えることができます。そのため、当面の抑止力になることは間違いないと思います。

 

 ただ、DVを繰り返しているケースですと、このことで旦那が改心して今後二度と暴力をふるわないというケースは極めて稀だと思います。そのため、「被害届を出せば、旦那も悔い改めて今後二度と暴力をふるわなくなるはずだ」と考えることは避けた方が良いと思います。

 

 

3.【被害届を提出するメリット2】DV夫を逮捕してもらい避難の準備を調える


 

 DVの被害が深刻な場合や繰り返されてきたという場合、被害届を提出することで警察がDV旦那を逮捕してくれる場合があります。

 その様な場合には、逮捕されている2日間程度の時間は避難のための時間を稼ぐことができます。

 

 さらに、DV旦那が勾留されることになれば、さらに10日ないし20日間はDV旦那が自宅に戻ってくる心配がありませんので、避難という意味では余裕ができます。

 

 

4.【被害届を提出するデメリット1】今後の生活費の問題


 

 前述の通り警察に被害届を提出しますと、その被害内容やこれまでのDVの内容を考慮して警察が積極的に逮捕してくれる場合があります。しかし、逮捕が勾留につながり、旦那が出勤できない状態が長引くと、その仕事を辞めなければならないという事態に発展しかねないリスクがあります。

 そうしますと、一家を支える収入を得られなくなる可能性が高まりますので、この点には留意する必要があります。

 

 

5.【被害届を提出するデメリット2】DV夫の逆恨み


 

 DV旦那は、自分の考え方が100%正しいと誤解している人が多いため、警察に対しては「すまないことをしたと思っています」「反省しています」といった言葉を発していても、いざ外に出ると「俺は逮捕されるようなことはしていない」ということを平気で言う人もいます。

 自分のしていることが過ちだと考えていないので、「些細なことで騒ぎ立てて警察まで呼ぶなどとはけしからん」とか「この暴力の発端を作ったのは誰だと思っているんだ」などと言い出すケースも往々にしてあります。

 

 そのため、DV旦那が警察に対して反省の意思を示していたとしても、安易に信用せず、逮捕・勾留後に釈放された旦那がその後、あなたに対して再度暴力をふるわないか、暴言を吐かないかという点については十分注意する必要があります。

 

 但し、「どうせ逆恨みされるなら警察を頼るのは止めよう」「自分さえ我慢すればよい話だ」という発想は絶対に持たないようにして下さい。むしろ、逆恨みされる危険性があるので、早めに旦那と縁を切ろう、離婚しようという発想の方が、正解のように思えます。

 

 

6.【被害届を提出するデメリット3】捜査に協力しなければならない負担


 

 警察に被害届を提出すると言うことは、旦那に対して刑事処罰を求めることになりますので、刑事処罰を受けさせるために、これまでの経緯やDV暴力時どのような暴力を受けたのかと言った点を事細かに警察に話さなければならなくなります。

 このような話の中には、あまり思い出したくなエピソードなどが含まれることも多く、このような話をすること自体が苦痛になるというケースもあります。

 

 

7.DV離婚の問題を数多く取り扱っている弁護士としての実感


 

 DVの案件を数多く取り扱っている立場からしますと、被害届は、速やかな避難の実施のために利用するのが一番効果的かと思います。

 

 これまでほとんどDV暴力をふるってこなかった旦那が突如暴力をふるったというケースですと、110番通報や警察から厳重注意してもらうという対応で十分お灸を据えるという効果は得られるのではないかと思います。(但し、今後このようなことが続かないかということについては、旦那の実家にも相談して、旦那の過去の行動等について確認しておく必要があると思います。結婚するときには知らなかったけれども、実家の両親に強く問い詰めると、旦那が不良グループに属していたことがあったとか、暴力団の知人が多いといった情報を得られることもあります)

 

 逆にこれまでDV暴力を繰り返してきたという場合には、被害届を提出して逮捕・勾留してもらったとしても、おそらく旦那が改心する可能性は低いと思います。そのため、早めに避難するという選択をした方が良いケースが多いように感じます。

 

 

8.まとめ


■被害届を提出することで、旦那が反省する場合もある(但し、何度もDVが繰り返されたケースだと基本的に期待薄だと考えた方がよい)

■被害届を提出して、旦那を逮捕・勾留してもらっている間に避難するというのが最も効果的な被害届の使い方とも言い得る。
■旦那が逮捕・勾留されると職を失うリスクがある。
■旦那が釈放された後に逆恨みしてくるリスクがある。
■被害届を提出するとあなた自身も事情を聴かれるため負担になる。

 

 

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