DV離婚)離婚協議と離婚調停の分岐点
2017.09.18更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<<になります。
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1.DV離婚の特殊性
一口にDVと言いましても、幅のある表現でして、①相手が暴言を吐く、悪態をついてくる、②直接殴る蹴るの暴力まではなくとも物を壊す、物を床に投げつける、③直接殴る蹴るの暴力があると、いくつかの程度があります。
上記のうち①ですと、その内容や程度如何では、夫婦同士の話し合いが可能なケースもありますので、その場合には、ご夫婦同士の話し合いが望ましいと言うこともあります。
他方、③のケースでは、奥様が離婚を切り出すとDV旦那が逆上して、暴力被害が拡大してしまうと言う危険性があります。②のケースでも、離婚を切り出すと突発的にてが出たというケースもありますので、注意が必要です。
私は、離婚のご相談を受ける際、DVと言った事情がない場合には、できる限り一度はご夫婦同士で話し合いをすることを強くオススメしています。当人同士が同井上で結婚したのですから、分かれる際にも一度は親権に話をした方がその夫婦にとって良いことだと感じるからです。
ただ、前述のようにDVのケースですと、直接の話し合いがDV被害を拡大するリスクがありますので、ご本人同士の話し合いはオススメしないことが多いです。
2.離婚協議と離婚調停の分岐点
(1)親族や友人を間に入れる方法の検討
DVのケースでも、旦那が普段は冷静に話をすることができる、だとか、目上の人間に対しては暴言を吐かないと言った場合には、誰か間に入って調整してもらうという方法もあり得ます。
どなたかを間に入れることで冷静な話し合いができるようでしたら、早期の離婚につながることもあります。
間に入ってもらう人物としては、あなたのお母様かもしれません、仲の良いお姉様かもしれません、職場の先輩、大学のゼミの同期、中学時代からの幼なじみ等、離婚という繊細な問題を打ち明けても良い人間で、力を貸してくれそうな人物を想像してみて下さい。
そして、その様な人物が思い当たるのであれば、その人に相談してみることを考えてみて下さい。
ただし、注意して欲しいのは、その様な人物が思い浮かんでも、すぐに相談するのではなく、その人に相談するのがよいかよく考えることです。
よく聞きますのは、「親身に話に乗ってくれる人がいるけれども、旦那との接点がないから、その人を間に入れるのは、旦那が絶対拒否すると思う」だとか「うちの母には相談しているけれども、子供のためには絶対離婚など認めないという考えの人なので、離婚に賛同してくれなさそうである」とか「丁度間に入ってくれそうな人がいるけれども、口が軽いのですぐに噂が広まってしまいそうである」といった話です。
相談したことでかえって事態が悪化してしまうことがないよう注意が必要です。
ちなみに、間に入ってもらうにあたっては、夫婦の話し合いの席に同席してもらうという方法や、伝言役のような形でお互いの意見を伝達してもらう方法があります。また、ご両親に間に入ってもらう場合には、夫婦双方の両親も交えて大家族会議を開いて話し合うという方法も考えられます。
(2)DVであることに対する配慮
前述のように、誰かを間に入れることで旦那が冷静でいられる場合はいいのですが、逆に間に入った人物に対して暴言を吐く危険性があるような場合には、誰かを間に入れるという方法は取れません。
その場合には、いよいよ弁護士に依頼することも検討しなければならない段階と言えます。
(3)弁護士はどのタイミングで調停に切り替えるのか。
これは弁護士として多数DVのケースを手がけてきた経験に基づくものなので一概には言いづらいのですが、以下のような要素を考慮して切替のタイミングを計っています。
①DV旦那がどこまで離婚に反対しているのか。
調停切替の判断で一番重要な要素が、DV旦那の離婚に対する捉え方です。
表面的には離婚に反対する意向を示していても、内心では、「弁護士まで出てきているぐらいだから、もう今まで通りの夫婦関係を取り戻すのは無理だ」と感じているような場合もあります。
その様な場合には、粘り強く交渉をすれば協議離婚によって解決できる可能性もありますので、すぐに調停に切り替えるのではなく、できる限り離婚交渉の期間を取るようにすることが多くなります。
他方で、DV旦那が離婚に断固拒否しており、その意思が非常に固いと思われるケースでは、早めに調停に切り替えることを考えます。
②ご夫婦の調停手続の捉え方
まず、奥様側から見ると、調停という手続が裁判所で行われるものですし、調停離婚する場合、戸籍に「協議離婚」ではなく「調停離婚」と書かれてしまうこともあって、極力調停にしたくないという方もいます。
その様な場合には、当然極力協議離婚の努力をして行くことになります。
他方、旦那側から見ると、調停という手続が裁判に準ずる重要な手続だという認識の方から、話し合いの場所が(裁判所に)変更されたに過ぎないという認識の方もいます。
まず、調停手続を重要な手続だと考えている旦那を相手にする場合、調停に進む場合には、できる限り丁寧なアナウンスをするようにしています。そうでないと、相手から無用な反発を受けることが多いからです。ただ、調停が深刻な手続のように考えている場合には、旦那側には「その様な手続を避けたいのであれば、離婚届にサインしてもらえませんか」という説得のし方をします。
他方、調停手続を深刻に考えていない場合には、こちらとしても調停申立のハードルは下がることになります。
③旦那がDVを認めているかどうか。
旦那がDVの事実を否定している場合には、調停申立前に極力DVの証拠集めをすることが多いです。診断書や怪我の写真と言った客観的な証拠があれば一番ですが、それがない場合でも、相手とのやり取りのラインやメールが証拠になることもありますので、相手が暴力を認めるラインやメールの有無等を確認して行くことになります。
このような、いわゆる証拠集めが必要になりますので、旦那がDVを完全に否定しているような場合には、それなりに準備に時間を要するケースが増えます。
3.まとめ
○一般の離婚のケースだと夫婦当人同士の話し合いをした方が望ましいが、DVのケースだと直接話し合うことが望ましくないケースの比率が増えてくる。
○間に誰かを入れて話をすることも一長一短でよく検討する必要がある。
○弁護士が調停に切り替えるかどうかは経験に基づき様々な要素を検討して判断している。
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