DV加害者のよくある言い分と弁護士の対応方法
2017.09.11更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<<になります。
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1.DV加害者の共通性
私はDV離婚のケースを多数手がけていますので、DV加害者と直接話をする機会は多いのですが、その中でDV加害者の言い分・考え方として共通する部分も多いものですから、どのような言い分を述べるのかを紹介するとともに、これらに対して弁護士として私がどう応対しているのかを紹介致します。
なお、弁護士に応じて相手との交渉の進め方は人それぞれだと思いますので、どのやり方が正解と言うことはないと思います。以下で紹介するのは弁護士秦がDV旦那とどのように向き合っているのかという私見だとお考え下さい。
2.【DV旦那のよくある言い分1】無断で出て行ったことに対するクレーム
弁護士にご相談される際には奥様はDV旦那に無断で別居を開始しているというケースが大半です。ご相談の際に別居していなければならないと言うことはないのですが、遅くとも弁護士が事件に着手する前には別居を始めてもらうようにしています。
そのため、DV旦那からよく言われるのは「仕事から帰ってきたら嫁の荷物がなくなっていて連絡も取れなくなった。こんな騙し討ちみたいなやり方はあんまりだ」とか「こんな事は随分前から計画しておかないとできないことだから計画的で悪質だ」といった言い分です。
DV旦那と話をすると、大体最初に述べられることが多い言い分のように思えます。
このような言い分に対しては、「確かに、あなたにとっては突然のことだと思われるかも知れませんけれども、奥様は、それだけの理由があって別居を始めたのだと思いますよ」というような説明の仕方をするのがオーソドックスです。
このように話をしますと、DV旦那からは、嫁はどのように話をしているのか、とか、出て行った理由をきちんと話してもらわないと納得のしようがない、と言われますので、詳しい説明をして行くことになります。
3.【DV旦那のよくある言い分2】「本人と会いたい」「直接話がしたい」
こちらの言い分も大概のDV旦那は主張してくるのですが、特に無断で別居を開始したような場合には、「こんなひどいやり方は許せないから、本人に説明に来させろ」と言われることもあります。
また、こちらもよくあるのですが「本人と直接話をすれば離婚なんて言わないから、直接会って話をさせて欲しい」とか「弁護士が就いているって言うんだったら、弁護士同席でも構わないから本人と会わせろ」ということは言われることが多いです。
ただ、奥様としては身の危険を感じて、自宅から逃げて居場所を隠しているのですから、DV旦那と面と向かって話をするというのは危険性が高過ぎます。
そのため、私の方からは、本人は直接会って話をすることを怖がっている旨、私が窓口として必要な内容は本人に伝える旨をDV旦那にも話していくことになります。
4.【DV旦那のよくある言い分3】「嫁の居場所を教えろ」
前述の「嫁に会わせろ」の延長線上と言うべきでしょうか、「嫁の居場所を教えろ」と言われることもあります。ただ、最近は警察の方もDVで女性が深刻な被害を受けないようかなり配慮するようになっていますので、警察の方から「奥さんは今シェルターにいるから絶対に居場所は教えられない」といった話をDV旦那に対してしていることが多いです。
そのため、警察からその様に言われているケースなどでは、DV旦那もしつこく居場所を聞いて来るというケースはかなり減ってきているという印象です。
もちろん、居場所を教えるよう聞かれた場合には、私の方からは「絶対に教えることはできない」と回答することになります。
なお、弁護士に対して「居場所を教えろ」と言ってこない場合でも、奥様の両親や親戚・親友等にしきりに電話をかけて居場所を聞き出そうとしてくることはありますので、注意が必要です。
5.【DV旦那のよくある言い分4】「自分は暴力などふるっていない」
この言い分については、「一切暴力をふるったことなどない」という言い分と、ある程度暴力をふるったことは認めつつ、「暴力と言うほど大したものではない」「軽く手が当たっただけだ」といった言い分とがあります。
これに対しては、奥様が診断書や怪我の部分を撮影した写真等があれば、相手に対してこのような証拠があるので、暴力があったと考えられる旨を伝えていくことになります。
このような証拠がない場合には「私は奥様の弁護士なので、あくまで奥様の言い分に沿ってお話しをするしかない」というお話しをすることになります。
6.【DV旦那のよくある言い分5】「自分は悪いことをしたと思っていない」
この言い分に関しては程度の差こそあれ、大体のDV旦那から言われる言い分です。
「程度の差がある」というのは、一応暴力をふるったこと自体は悪いことをしたという気持ちがある人もいて、その場合には「確かに手を上げたことは悪かったと思うが、そのことには原因があることをちゃんと分かって欲しい」とか「嫁にこれだけのことをされれば誰だって暴力の一つぐらいふるいますよ」といった言い分になります。
他方、利己的な性格が非常に強い人になりますと「嫁が約束を破るから暴力をふるっただけで、自分は何も悪くない。むしろ、約束を破り続けた嫁の方が悪い」とか「暴力と騒ぎ立てるが、悪いことをした嫁に対する体罰だから、問題ない」といった言い分です。
このような言い分が出された場合、夫婦のどちらの方が悪いと行った話をしていても平行線になりますので、「ただ、奥様は暴力を凄く怖がっているようですよ」とか「弁護士を雇うぐらいだから、奥様も本気で離婚したいようですよ」といった説明をすることになります。
7.【DV旦那のよくある言い分6】「嫁は自分に都合がいい話ばかりしている」
弁護士が離婚協議に着手する際には、まずは、DV旦那に対して内容証明郵便という郵便物を送るところから始めることが多いです。要するに通知文を送りつけることになりますが、この「通知文」には、旦那からのDVで離婚を決意したこと、ヨリを戻すつもりがないことを明記することになります。
通知文に詳しい内容を書きますと、DV旦那から、様々な不満が寄せられて話し合いが難しくなりますので、上記の程度しか記載はしないのですが、それでも、DV旦那は「嫁は自分に都合がいい話ばかりしている」という不満が寄せられることが多いです。
前述の通り、DV旦那は暴力をふるったことを悪いことをしたと思っていないか、それほど悪いことをしたと思っておらず、「原因を作ったのは嫁の方だ」と思っている人が大半です。
そのため、DV旦那からすると、「嫁はどうせ詳しい経緯を話さないで、DV,DVと騒ぎ立てているんだ」と考えるようです。
このようなDV旦那からの言い分に対して、私からは「夫婦の事細かなやりとりまでは分かりませんが、奥さんがあなたのことを怖がっていることは間違いありませんし、奥さんが別れたいという決意は固いですよ。」という話をします。
8.【DV旦那のよくある言い分7】嫁は騙されている
この言い分も比較的よく出てくる言い分の一つかと思います。
DV被害を受けている女性は、被害を最小限にとどめるために旦那の機嫌を取りながら、波風をなるべく立てないように生活していることが多いため、DV旦那から見ますと「嫁が俺のことを嫌っているはずがない」と思っている人も多くいます。
また、奥様が突如別居を断行し、突如奥様の弁護士から連絡があると、DV旦那からすると「普段大人しい嫁が、こんな大胆なやり方を思い付くはずがない」とか「こんな大げさなことをするはずがない」と思うことも多いようです。
事情は様々でしょうが、「離婚したいというのが本人の意思だとは思えない、本人の母親がけしかけているに決まっている」とか「以前から女性相談員に相談していたようだが、女性相談員は女性の味方だから、どのように言われたのか分かったものじゃない」と言った言い方をするのです。
このような旦那の言い分に対しては、「直接ご本人と会って、直接お話しをして離婚の意思を確認しています。」というご説明を繰り返すことになります。
9.離婚による解決のために
DV旦那は自分の考え方に固執して、こちらの言い分に対してほとんど耳を貸さないという人も多いため、協議離婚による解決が難しいというケースもあります(ただ、私の場合、ノウハウがありますので、皆様が思っているよりも協議離婚で解決したケースの件数は多いというイメージです)。
その様な場合には、ズルズルと協議離婚の話をしておりますと最終的な解決が遅れることにもなりかねませんので、早い段階で見切りを付けて調停に移行することもあります。
10.まとめ
■DV旦那からは以下のような言い分が出ることが多いが、ノウハウを持った弁護士であれば、対応方法は確立している。
・無断で別居したことが許せない。
・本人と会いたい。
・嫁の居場所を教えろ
・自分は暴力などふるっていない
・自分は悪いことをしたと思っていない
・嫁は自分に都合がよい話ばかりしている。
・嫁は騙されている。
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