離婚問題

内縁関係円満調整調停って何だ?

2019.01.28更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.内縁関係円満調整調停って何だ?


 

 内縁関係円満調整調停とは、一般的には、内縁夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い内縁関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。

 しかし、この説明だけでは漠然としていて内縁関係円満調整調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に内縁関係円満調整調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 

 通常この調停を起こす場合、内縁関係は成立しているけれども、相手が急に態度を豹変させたとか、連絡が取れなくなってしまったという場合に、相手の真意を確認したり、内縁夫婦間のとげを取り除いてやり直すために行われる手続になります。

 調停の席での話し合いが順調に進めば、内縁夫婦の行き違いを調整し、円満な状態に戻すことを目標にした手続にはなります。

 ただ、相手が頑なに内縁関係の継続を拒否する姿勢の場合、内縁解消に向かって話が進んでしまうリスクはあります。

 

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


 

(1)相手に最後通告を送る

 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は内縁関係円満調整調停を起こす旨の最後通告はしておいた方が良いと思います。

 このような最後通告を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に通告をしておいて下さい。

 

(2)相手が内縁関係を否定してきた場合に備えて証拠の準備

 相手が調停の場で、内縁関係の存在そのものを否定してくる可能性もあります。そのため、内縁関係を証明できる証拠があれば、事前に証拠集めをして、調停の場でも調停委員に見せられるように準備しておいた方が良いと思います。

 

 

4.調停委員ってどんな人?


 

 内縁関係円満調整調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

 

 では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

5.内縁関係円満調整調停ってどこで行うの?


 

 内縁関係円満調整調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。

 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

6.内縁関係円満調整調停って何時行うの?


 

 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。

 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 

 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

8.当日の調停の流れは?


 

 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①内縁夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機

        ↓

②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室

        ↓ 

③内縁夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)

        ↓

④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)

        ↓

⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)

        ↓

⑧内縁夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。

 

 なお、上記の③と⑧については、調停委員によっては内縁夫婦別々で確認を行うということもあります。

 

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 

 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。

 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。

 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

10.調停が開催される頻度は


 

 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

11.そもそも相手は調停に来るか?


 

 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。

そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 

 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。

 ただ、これは調停の内容次第です。

 

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な内縁関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、内縁関係円満調整調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、内縁の夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 ただ、このように約束すれば、相手もなかなかその内容を反故にすることは難しいと思います。

 

 

13.まとめ


・内縁関係円満調整調停は、内縁夫婦の関係が円満な形を取り戻すことを目指す手続である。

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。

・内縁関係円満調整調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。

・調停は平日の午前または日中に行われる。

・1回の調停は合計2時間程度で終わる。

・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。

・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)

・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。

・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。

・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

内縁の夫が音信不通になってしまった場合の対処法5選

2019.01.21更新

 

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1.そもそも内縁(事実婚)って何だ?


 

 内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 

2.それは「同居義務」違反では?


 それでは、このような内縁関係(事実婚)にあるときに、内縁の夫が突如音信不通になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。まず、具体的な対処法について検討する前に、これが同居義務違反にならないか解説していきます。

 民法752条には、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と規定されておりまして、夫婦の同居義務を定めています。そして、内縁が成立している場合には、結婚に準じて保護されますので、内縁夫婦にも民法752条が準用されるものとされています。

 唐突に内縁の夫が家を出る行為は、この同居義務に違反するようにも見えます。

 

 ただ、同居拒否に正当な理由がある場合には、同居義務違反の責任は発生しないものとされていますし、そもそも、裁判所の命令をもってしても、同居義務を強制することはできないと解釈されています。現在の民法のスタンスは、法律は内縁夫婦や家庭の問題に極力立ち入るべきではない、つまり、家庭の問題は当人同士の話し合い等に委ねるべきであって、強制に馴染まないというスタンスを取っているため、このような解釈が導かれてしまうのです。

 

 そのため、内縁の夫を強制的に同居させると言うことは非常に難しいのが現状と言えます。

 

3.そもそも内縁の夫の居場所が分からない場合どのように所在を確認するのか?


 

そもそも、内縁の夫と連絡が取れなくなったと言うだけではなく、どこに行ってしまったのか分からない場合、どのようにして居場所を突き止めればよいのでしょうか。

 

(1)本人で調べる方法

ご本人で内縁の夫の所在を確認する方法としては、住民票を入手するとか、警察署に捜索願を出すという方法も考えられます。しかし、通常内縁の夫は住民票を移動していないでしょうし、事件性がない場合には警察署は捜索願を受理しないケースの方が多いように思われます。仮に捜索願が受理されても、内縁の夫側に事情があって、こちら側に居場所を教えたくないと強く申告してきた場合、仮に警察が内縁の夫の居場所を確認できたとしても、こちらにその情報を教えてくれませんので、いずれにせよ、限界があります。

 

 そこで、ご本人が調べる方法としては、内縁の夫のご実家に連絡を取るというのが現実的な手段になります。内縁の夫は別居に際してはご実家に事前に相談しているケースも多いため、ご実家が何らかの事情を知っていることも多いからです。

 内縁の夫に兄弟姉妹がいる場合には、兄弟姉妹のところに連絡を取るという方法も考えられます。

 

(2)弁護士を雇うと調べられるか?

たまに、弁護士には強い調査権限があって、相手の居場所も簡単に突き止めてしまうと誤解されている方もいらっしゃいますが、弁護士の調査権限には限界がありますので、残念ながら、あまり期待しない方が良いと言えます。

 

 

4.急に内縁の夫が音信不通になった場合どう対処すればよいか?


  以下では、内縁の夫の所在そのものは判明したと言うことを前庭に解説していきます。

(1)音信不通になる直前の相手の言動や行動等を良く思い出す

 相手が音信不通になった場合、通常はその様な行動を取る原因がありますが、その原因を探るのは、音信不通になる直前の相手の言動や行動を思い出してみると解明できる場合があります。

 音信不通になる前で最後に相手と会ったときの相手の行動や言動、または、最後に電話で話をした会話内容等で、こちらとして聞いていて、または見ていて引っかかるような言動や行動がなかったのかを良く思い出してみて下さい。

 

 また、音信不通になる直前ではなく、その一定期間前から相手の表情や言動等が冷めているように見えたという場合には、相手の態度が変わった原因を探っていくと、今回の音信不通の原因を見付けられる場合もあります。

 

(2)相手が音信不通になった原因がほぼ確定できた場合

 原因が分かっているのであれば、それに対する対処法を考えればよいと言うことになります。

 あなたが、相手を怒らせてしまうような言動や行動を取ってしまったという場合、真摯に謝罪すると言うことを考えても良いと思います。もしくは、些細なことで相手が感情的になっているという場合には、敢えて1,2週間こちらからも連絡を取らないという方法の方が良いと言うこともあるでしょう。

 いずれにせよ、原因が分かっているのですから、あなた自身で答えを出さずに、友人等とも相談して、しっかりと対策を練っていくのがよいと思います。

 

(3)音信不通の原因に全く心当たりがない場合

 このような場合には、あなたの言動や行動が原因ではないというケースもありますが、他方で、これまでのあなたの言動や行動等が積もり積もって相手が怒ってしまっているという場合もあり得ます。

 あなたとして全く心当たりがないという場合には、身内や友人等に詳しい経緯を相談するなどして、何か原因が考えられないか等を検討してみると良いと思います。

 

 なお、その際には、相手に積極的にコンタクトを取る方が良いか、逆に、一定期間連絡を取らない方が良いのかと言った点も友人等に相談してみるとよいでしょう。

 このような友人等へのご相談をオススメするのは、あなた自身では焦り等の気持ちで冷静に判断できていないと言うこともありますので、友人等から状況を客観的に見てもらうと、原因等も簡単に分かってしまうと言うケースもあるからです。

 

(4)相手がこちらとの話し合い等に全く応じない場合

 相手と連絡が取れなくなった原因が分かり、キチンと謝ったのに、全く関係が回復しない場合、または、結局原因が分からず相手にコンタクトを取っているのに、全く相手にしてもらえないという場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 

 この場合には、あなたと直接話をすることを相手が嫌がっている場合もありますので、両親や友人等に間に入ってもらうという方法が考えられます。

 ただ、音信不通になってからそれほど期間が経たないうちに、このような第三者を間に入れる方法を取りますと、相手はより態度を頑なにしてしまう危険性がありますので、第三者を入れるタイミングは慎重に探った方が良いと思います。

 

(5)長期間相手の態度がはっきりしない場合

 せっかく内縁夫婦として共同生活を送ってきたのに、半年も連絡が取れないとか、相手の態度がはっきりとせずきちんとした話し合いもできないという場合の最終手段としては、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法も考えられます。

 ただ、このような手段は本当に最終手段として、極力、第三者を入れて話し合いをする程度にとどめておくのが望ましいと思います。

 

 そして、仮に調停を申し立てるにあたっても、調停申立前に相手に対して「最後通告」(「これ以上全くこちらからの連絡に応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます」といった内容のメール等を送ることになります)はしておいた方が良いと思います。

 相手も裁判所というとビックリするでしょうから、このような最後通告がなされると、話し合いに応じてくる可能性もあります。

 

(6)調停という場合、どんな調停を起こすの?

  あなたが相手と婚約している場合には「内縁関係円満調整の調停」という調停を申し立てることになります。

 あなたとしては、それなりの期間相手の態度がはっきりしない状態が続いているため、内縁関係を破棄したいと考えているかもしれませんが、こちらから内縁破棄を言い出しますと不利に扱われるリスクがありますので、「内縁解消の調停」を申し立てるのではなく「内縁関係円満調整の調停」を起こした方が良いと思います。

 

 もちろん、最初は「内縁関係円満調整の調停」を申し立てても、調停時の相手の態度等を見て内縁関係を解消したいと思えば、内縁関係解消の調停に衣替えするということもできますので、相手の態度等に応じてこちらも対応を考えればよいと思います。

 

 なお、たまに調停になると相手と直接顔を合わせると考えている人もいますが、基本的に調停は別々に部屋に入りながら進めていきますので、直接顔を合わせることは基本的にありません。そのため、家庭裁判所にて相手の顔を直接見ることはできませんので、その様な目的で調停を申し立てない方が良いと思います。

 また、調停というと、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、(最終手段としてですが)調停は活用して行ければと思います。

 

(7)慰謝料という話をして相手を驚かせる方法は?

 詳しくは別のブログで解説しますが、相手が正当な理由なく内縁関係を破棄した場合、こちらは相手に対して慰謝料を請求することができます。

 たまに「相手の態度が許せないので慰謝料の話をすれば、相手もビックリしてヨリを戻したいと言ってきませんかね?」という質問を受けることもあります。

 

 ただ、慰謝料の話をしますと、もちろん相手は驚くでしょうが、同時に、あなたのことを金銭欲が強い女性と考える可能性もありますので、慰謝料請求が内縁関係を順調にすることにはならないかもしれません。

 このようなリスクがありますので、弁護士としては、「相手との内縁関係解消を覚悟した上で慰謝料請求はした方が良い」という話をさせて頂くことが多いように思えます。

 

 

4.まとめ


・内縁の夫が突如自宅を出る行為は同居義務違反だが、同居を強制させることはできない。

・内縁の夫の所在確認は、夫側の実家や兄弟姉妹から情報を得るのが現実的である。

・内縁の夫が音信不通になってしまった場合、その直前の相手の言動や行動を良く思い出してみる必要がある。

・原因が究明できた場合、相手に積極的にコンタクトを取るのがよいか、それとも多少冷却期間を置くのがよいかを慎重に見極める必要がある。

・当人同士の話し合いが上手く行かない場合、身内や友人に間に入ってもらうことも考えて良い

・最終手段としては内縁関係円満調整調停を考えてみる。

・相手との内縁関係を順調にしたい場合、あまり慰謝料請求の話はしない方が良い。 

 

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重婚的内縁の妻の権利が認められるためには、夫に法律婚を離婚させておく必要があるか?

2019.01.14更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.重婚的内縁とは?


  重婚的内縁とは、内縁夫婦の一方または双方に法律上の婚姻関係が存在する場合のことを言います。内縁の夫が既婚者のため、離婚してくれないと正式に入籍届を出せない状況といったケースなどが、これにあたります。

 

 まず、重婚的内縁も内縁の一種ですので、内縁の要件を満たす必要があります。

内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 ここまでが、通常の内縁の要件でして、重婚的内縁の場合には、これらに加えて、③法律上の婚姻関係が事実上離婚状態にあることが必要とされています。

 日本法が一夫一妻制度を採用しているため、法律上の婚姻関係と内縁関係両方を法律的に保護することはできませんので、重婚的内縁が保護されるためには、法律上の婚姻が実態を失っているところまで必要になるのです。 

 

 

2.要するに法律婚は事実上離婚状態にあればよい


 

 このように、重婚的内縁の妻の権利が認められるためには、法律婚が事実上離婚状態にあれば良く、正式に離婚届が受理されている必要はありません。

 ただ、法律家としましては、内縁の夫が法律上の婚姻を解消しておいてもらうことを強くオススメします。

 

 

3.法律婚を離婚させておく方が良いという事情(1)


 

 前述のように、法律婚がしっかりと離婚によって解消されていた方が望ましいと言えますが、その理由の一つが「事実上の離婚」のハードルがかなり高いからです。

 重婚的内縁と認められるためには、法律婚が事実上の離婚状態にある必要がありますが、「事実上の離婚状態」といっても今一分かりにくいと思います。

 

 この点は、判例の姿勢がほぼ決まっておりまして、①別居の経緯、②別居の期間、③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無、④別居後における経済的依存の状態、⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態、⑥重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮して判断しています。

 そして、例えば②の別居期間は10年以上が一つの目安とされ、④や⑤についても、法律婚夫婦の経済的依存や音信がほとんど存在しない状況でなければならないとされています。

 

 このように重婚的内縁の要件は、一般の内縁の要件よりも格段に厳しいのです。

 ただ、このように重婚的内縁の要件が加重されているのは、法律上の婚姻関係が残っていることに起因しますので、法律上の婚姻が離婚で解消されていれば、この要件の問題を議論する必要が一切なくなります。

 

 

4.法律婚を離婚させ特法が良いという事情(2)


 

前述のように、法律婚がしっかりと離婚によって解消されていた方が望ましいと言えますが、その理由の二つめは、「事実上の離婚」の立証が難しいことにあります。

 前述のように事実上の離婚状態かどうかについては、①別居の経緯、②別居の期間、③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無、④別居後における経済的依存の状態、⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態、⑥重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮して判断されています。

 

 そして、事実上の離婚状態かどうかは、内縁の妻であるあなたの方が証明しなければなりません。

 上記のような事情は内縁の夫と正式な配偶者とのやり取りに関わる部分になりますので、あなたの方では詳しい事情が分からないということも多いと思います。

 このように詳しい事情が分からない中で、その裏付けを探していかなければなりませんので、その立証が困難を極めるということも多いのが実情です。

 

 

5.法律婚の離婚は一つのけじめと考えた方が良い。


 

 あなたの内縁生活が長期間に及ぶ場合、内縁の夫に法律婚の離婚を強く求めづらいということもあるかもしれません。

 しかし、重婚的内縁の要件は、重く、その立証も簡単ではないことが多いです。

 

 そして、重婚的内縁の要件を満たさない場合、内縁の夫が急に内縁を解消したいと言い始めてしまった場合、あなたの権利は非常に限定されることになってしまいます(婚約破棄と法律構成して慰謝料等を請求するといったことぐらいしかできません)。

 内縁の夫が法律婚を解消することは、あなたとの生活をしっかりと営んでいくにあたっての前提になる話ですので、きちんとけじめを付けてもらった方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・法律婚は正式に離婚していなくとも、事実上離婚状態であれば、内縁の妻は保護される。

・しかし、法律家としては、法律婚がしっかりと離婚されていた方が良いと言わざるを得ない。その主な理由は以下の通り。

 ①事実上離婚状態という要件は重たい要件である。

 ②事実上離婚状態の証明は簡単ではない。

・法律婚の離婚は一つのけじめであると、内縁の夫に伝えた方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

重婚的内縁の妻にはどのような権利が認められるか?

2018.12.31更新

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1.重婚的内縁の要件を満たすことが大きな関門


  重婚的内縁とは、内縁夫婦の一方または双方に法律上の婚姻関係が存在する場合のことを言います。内縁の夫が既婚者のため、離婚してくれないと正式に入籍届を出せない状況といったケースなどが、これにあたります。

 

 まず、重婚的内縁も内縁の一種ですので、内縁の要件を満たす必要があります。

内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 ここまでが、通常の内縁の要件でして、重婚的内縁の場合には、これらに加えて、③法律上の婚姻関係が事実上離婚状態にあることが必要とされています。

 日本法が一夫一妻制度を採用しているため、法律上の婚姻関係と内縁関係両方を法律的に保護することはできませんので、重婚的内縁が保護されるためには、法律上の婚姻が実態を失っているところまで必要になるのです。 

 

 

2.権利の分類


 前述のように、重婚的内縁の要件を満たすことが大きな関門なのですが、この関門をクリアすると、重婚的内縁の妻には、通常の内縁の妻と同様の法律上の権利が認められることになります。

 

一口に内縁の妻の権利と言いましても、様々なものがありますが、概観してみますと、以下のように分類できます。

①結婚に準じて保護される権利

②交通事故等のケースで保護される権利

③内縁の相手が死亡した場合に遺族給付金等の関係で保護される権利

 

 今回は、上記の「①結婚に準じて保護される権利」の中でも、内縁(事実婚)解消までの生活費の問題、相手が浮気をした場合の慰謝料請求の問題、財産分与の問題に焦点を当ててご説明致します。

 

 

3.そもそも結婚に準じて保護されるって、どういうこと?


 もちろん、内縁関係は、入籍しておりませんので、戸籍上相手の氏を名乗ると言うことは原則としてできませんし、内縁相手の両親等を法律上義母や義父とすることもできません。

 但し、内縁関係の実態は、婚姻関係と同様の実質を備えていますので、基本的に結婚している夫婦同様の権利を与えるべきとされています。

 特にあなたの生活に直結する権利としては、①内縁解消までの婚姻費用(生活費)の請求、②相手が浮気した場合の慰謝料請求、③内縁解消時の財産分与請求がありますので、以下具体的に解説していきます。

 

 

4.婚姻費用分担請求権


 

 結婚している夫婦は、お互いに協力し扶助する義務がありますので(民法752条)、婚姻時に要する費用の分担を請求することができます(民法760条)。内縁夫婦においても、この民法の規定が準用されますので、結婚している夫婦同様お互いに協力し扶助する義務があり、婚姻費用を請求することができます。

 そのため、あなたの収入が内縁の夫の収入よりも低い場合には、同等の生活を保障するように婚姻費用分担請求権を有することになります。

 

 ただ、婚姻費用分担請求は、何らかの事情で内縁夫婦が別居を始めた後に問題になることも多く、その場合には、相手から以下のような主張が行われることがあります。

①最初から結婚するつもりがなかったから内縁関係ではない。

②内縁関係が解消したから別居しているので、別居後の生活の面倒を見る必要がない。

 

 このような相手の主張のうち、①については、いずれにせよ内縁関係の有無はこちらから証明しなければ行けませんので、その中で証明していくことになります。

 

 これに対して、②については、別居の経緯が重要になります。内縁関係が成立している場合、相手が一方的にこれを解消することはできないのですが、相手が「そっちも別れることには同意してくれた」といった話をしてくるケースがあるのです。

法律上の結婚の場合には、離婚届が受理されていない限り、婚姻関係は継続していることになりますから、戸籍謄本を取得すれば、現在婚姻しているのかどうかははっきりと分かります。他方、内縁関係については、これを明確に証明する公的書類は存在しませんので、別居イコール内縁解消ではないと言うことを証明していく必要が出てきます。

 

 そのため、相手から別れ話を切り出された場合等には、早めに相手との会話を録音しておく必要があると思います。もちろん、会話の中であなたとしては内縁解消という話が一方的な話であると主張しておく必要があります。

 

 

5.相手が浮気した場合の慰謝料請求権


 

 結婚している夫婦は、お互いに貞操義務があります(民法752条)。内縁夫婦においても、この民法の規定が準用されますので、内縁の夫が浮気したような場合には慰謝料責任が発生します。

 問題はこの慰謝料の金額ですが、法律上の夫婦の場合よりも慰謝料請求額は多少下がると言われております。

 

 なお、慰謝料額は以下のような要素を考慮して決定します。

①浮気の悪質性

 より具体的に言いますと、不倫の発端・不倫期間や頻度・不倫相手の人数・こちらを裏切った回数(例えば、一度目の不倫発覚時に今後一切不倫をしない旨誓約したのに何度もその誓約に違反した等)・不倫後の生活状況(不倫相手の自宅に入り浸りになるとか、不倫相手に生活費の大半を貢ぐようになったとか)等が考慮されることになります。

 

 ②内縁の夫の反省の程度等

 特に内縁の夫が頑強に浮気を否認し、謝罪も一切しないと言うことになりますと、慰謝料額は増額傾向になります。

 

③こちらが受けた精神的苦痛や肉体的苦痛の程度

 この点は、内縁の夫の不貞でこちらが精神疾患になったと言った事情があれば、慰謝料額は増額傾向になります。

 

 ④内縁期間の長さ・破綻の有無等

  内縁関係の長さに加え、お子様の有無・人数等も考慮されることになります。また、今回の不貞が原因で内縁関係が解消されたような場合には、慰謝料は増額傾向になります。

 

 なお、浮気の問題とは別の問題になりますが、内縁期間中に内縁の夫から暴力を受けて怪我をしたという場合には、DV慰謝料を要求できるケースもあります。

 

 

6.内縁解消時の財産分与請求


 

(1)財産分与というのはそもそもどんな話なのか

 財産分与というのは、内縁期間中に内縁夫婦で築いた財産をどのように分けるのかを取り決めると言うことです。

 内縁生活中は、別れることを見越して準備しているという内縁夫婦はいないと思いますので、通常内縁夫婦の財産は均等ではないことが多いと思います。例えば、内縁の奥様が専業主婦で、内縁の夫が仕事をしているという場合、内縁の夫名義の預金はそれなりの額貯まっているとしても、内縁の奥様の預金はそれほど貯まっていないというケースもあると思います。

 

 そんなときに、内縁の夫側が「これは俺の名義の預金だから離婚の時には、びた一文お前には渡さない」としてしまいますと、内助の功があった内縁の奥様にとって酷な話になってしまいます。

 そこで、別れる時には、内縁夫婦どちらの名義になっているかを問わず、内縁中に築いた財産は半分ずつに清算すべきだというのが財産分与の基本的な考え方になります。

 

(2)慰謝料とは別問題なのでご注意

離婚に伴うまとまったお金の問題と言うことで、慰謝料の問題と混同している方が多いのですが、財産分与と慰謝料は別の問題とお考え下さい。

即ち、慰謝料というのは、相手に浮気や暴力といった一方的有責性がある場合に、こちらが受けた精神的苦痛を慰謝させるものになるのに対して、財産分与は、このような有責性の問題を抜きにして、夫婦の財産を清算しようという話になりますので、別次元の話と言うことになるのです。

(一昔前には、「財産分与の慰謝料的要素として、慰謝料分も考慮する」といった議論をすることもありましたが、最近は、財産分与は財産分与、慰謝料は慰謝料として話し合うのがオーソドックスです)。

 

(3)実際問題どのような手順で話をすべきか

 厳密に財産分与の計算をする場合には、①対象財産の特定→②財産の評価→③総合計額の算出→④分与方法の検討という手順を踏むことになります。

 

 以下具体的に解説いたします。

①対象財産の特定

 財産分与は内縁夫婦で築いた財産を分ける仕組みですので、内縁夫婦で築いた財産以外の財産は対象外になります。

 例えば、独身時代に貯めていた預金や相続で取得した財産は対象外になります。

 対象財産として代表的なものは、内縁生活の中で購入したご自宅、自動車、預貯金、生命保険や学資保険、株式等になります。

 まずは、内縁夫婦で築いた財産としてどのようなものがあるかを割り出して行く作業をすることになります。

 

②財産の評価

 預貯金などは金額が明らかなので問題は少ないのですが、例えば自宅などはいくらになるのかおおよその評価額を調べる必要があります(住宅ローンが残っている場合、通常はローン残高は差し引いて評価することが多いです)。

 他にも、生命保険等については今解約したらいくらになるのかを保険会社に問い合わせる必要があります(実際には解約しませんが、いくらの価値があるかを確認するために、保険会社に「今解約した場合いくらになるか教えて下さい」と電話するのです。

 

③総合計額の算出

 上記のように各財産の価値を算出することができた場合、それらの数字を全て足し算して総合計額を算出していくことになります。

 

 例えば、内縁の夫名義の資産がご自宅(評価額3000万円、ローン残高2400万円)、学資保険(解約返戻金額200万円)、預金(3つの通帳の残高合計が300万円)で、内縁の奥さん名義の資産が預金のみ(2つの通帳の残高合計が100万円)というケースですと、総合計額は(3000万円-2400万円)+200万円+300万円+100万円で、総合計は1200万円になります。

 この総合計額を算出する際には、内縁の夫側の資産だけではなく、あなたの資産分も加算する必要がありますので、ご注意下さい。

 

④分与方法の検討

 前述の例ですと、総合計額が1200万円になりますので、あなたの取り分は半額の600万円になります。

 

 このような600万円の取り分で何を取得するか、あなたの希望を検討することになります。

 即ち、自宅の価値が600万円なので、自宅を取得し、同時に住宅ローンの名義もあなたに変更するという方法もあり得ますし、逆に、自宅は内縁の夫側に渡して、内縁の夫名義の学資保険をこちらに名義変更し、旦那さんの預金額全額を取得するという方法もあります。

 要するに、取り分の範囲で何を要求していくのかという問題です。

 

 

7.まとめ


・重婚的内縁のケースでは、重婚的内縁としての要件を満たすことが大きな関門となる。

・重婚的内縁としての要件を満たすと、通常の内縁の妻同様の権利が保障される。

・内縁の妻には、大別すると①結婚に準じて認められる権利、②交通事故等で認められる権利、③遺族給付等に関する権利が認められる。

・特に内縁の妻の生活に直結する権利としては、①婚姻費用分担請求権、②慰謝料請求権、③財産分与請求権がある。

・慰謝料請求権は、相手が浮気した場合や、相手から暴力被害を受けた場合などに認められる。

・逆に財産分与は相手に何か責任(有責性)がなくとも認められる権利である。

 

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重婚的内縁の妻も「内縁の妻」として保護されるか?

2018.12.17更新

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1.重婚的内縁って何だ?


 

 重婚的内縁とは、内縁夫婦の一方または双方に法律上の婚姻関係が存在する場合のことを言います。内縁の夫が既婚者のため、離婚してくれないと正式に入籍届を出せない状況といったケースなどが、これにあたります。

 

 

2.重婚的内縁は民法に違反する?


 

 日本法は、一夫一妻制度を採用しておりますので、既婚者が複数の配偶者を持つことは出来ません。このように正式な婚姻ですら重婚が禁止されているのだから、婚姻に準ずる内縁だけ重婚が認められるのはおかしいのではないかというのが問題の所在になります。

 この点に関しては、法律上の婚姻関係が形骸化し、逆に内縁関係の方が夫婦としての実態を備えている場合にまで、内縁関係を法律で保護しないのはおかしいので、一定の条件を満たす限り、重婚的内縁も認められるものとされています。

 

 

3.重婚的内縁が認められる要件は?


 

(1)重婚的内縁関係特有の要件

 そもそも、重婚的内縁の要件以前に、男女の関係が法律上の「内縁」といえる必要があるのですが、この点は後述することにして、「重婚的」内縁として保護されるための特有の要件について解説していきます。

 前述の通り重婚的内縁も一定の条件を満たす限り保護されますが、日本法が一夫一妻制度を取る以上、法律上の婚姻関係と内縁関係の両方を保護するというわけには行きません。そして、一度入籍し、正式に離婚が成立していない以上、法律上の婚姻関係が内縁関係に優先して保護されるのが原則になります。

 

 そのため、重婚的な内縁も認められるためには、法律上の婚姻関係が事実上の離婚状態(実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのないような状態)にあることが必要とされています。

 このような場合であれば、内縁関係を保護し、法律上の婚姻関係を保護しなくても良いと言えるのです。

 

(2)事実上の離婚状態とはどう判断するのか?

 このように重婚的内縁関係が保護されるためには、法律婚の側が「事実上の離婚状態」に陥っている必要があります。ただ、「事実上の離婚状態」と言うだけでは、抽象的で分かりにくいと思いますので、どのような要素を考慮して判断されるのかについて解説していきます。

 この点、判例は、①別居の経緯、②別居の期間、③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無、④別居後における経済的依存の状態、⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態、⑥重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮して判断しています。

 以下詳しく見ていきます。

 

①別居の経緯

 重婚的内縁のケースでは、婚姻夫婦間では別居期間が長期に及び、同時に内縁夫婦間での同居が長期間続いていると思います。ここでの「別居の経緯」とは、婚姻夫婦が別居を始めた経緯ということになります。

 例えば、夫婦お互いが感情的になってしまっているので、お互い落ち着いて話ができるようにということで別居をスタートしたのと、夫の行動に嫌気がさして、離婚届と結婚指輪を叩きつけて別居を始めるのとでは、別居スタートの持つ意味合いが異なってくると思います。このような別居スタートの経緯も、事実上の離婚と言えるかの判断にあたって重要な要素になります。

 

②別居の期間

 別居の期間が長期間に及べば及ぶほど、その夫婦がヨリを戻す可能性はなくなっていきますので、重要な要素になります。

 なお、遺族厚生年金受給者としての条件として、厚生労働省年金局長通達は、婚姻夫婦の別居が概ね10年以上に及ぶことを掲げていますので、別居期間判断の一つの目安になると思います。

 

③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無

 別居の前後を問わず、婚姻夫婦としての関係を維持または修復する努力や行動がなされてきたのかという点です。

 例えば、夫が勝手に家を出たが、妻が足繁く夫の別居先に足を運んで、元の生活への復帰を懇願したり、そのために、自分の悪いところを改善する努力をしたりしていた場合には、事実上の離婚状態とは評価しにくくなると思います。

 

④別居後における経済的依存の状態

 特に婚姻夫婦の妻の側が別居後経済的に自立した生活を送れているのかという点です。夫から生活費の支給が継続していたり、家賃を夫が負担しているという場合には、別居後も経済的依存が続いているということになります。

 別居後も現在まで経済的依存関係が継続しているという場合には、事実上の離婚状態とは認めにくくなります。

 

⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態

 要するに、別居後、婚姻夫婦間でメール、LINEや電話等にて直接の会話をしたことがあるのか、その頻度等、直接相手の家を訪れたり、直接会って話をしたことがあるのか、その頻度等が考慮されることになります。

 別居後数年しても断続的に電話等でやり取りをしているといった場合には、事実上の離婚状態とは認められにくくなります。

 

⑥重婚的内縁関係の固定性

 婚姻夫婦としての別居スタートと内縁夫婦としての同居スタートが時期的に一致しないことも多くあります。例えば、夫婦の別居スタートは15年前だが、今の内縁の妻との交際開始は5年ほど前というケースもあり得ます。

 そうすると、夫婦の別居期間が長くても、内縁関係についての生活基盤がきちんと調っていないというケースもあります。

「重婚的内縁関係の固定性」というのは、内縁関係がきちんと夫婦共同生活としての基盤を調えており、流動的な関係ではないと言い切れる状況なのかということです。

 

(3)内縁関係が認められることの要件とは?

 前述の通り、重婚的内縁も内縁の一種ですから、内縁の要件を満たす必要もあります。

 内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 なお、この同居生活の期間については、1週間でも同居していれば内縁と認められるということではなく、3年程度が一つの目安とされています(あくまで目安ですので、内縁生活スタートの経緯や内縁生活の実態等を考慮して、より短い期間で内縁関係が認められることもあれば、逆に、より長期間を要するケースもあります)。

ちなみに、前述の通り婚姻夫婦の別居期間は概ね10年程度が目安とされていますので、この点はご注意下さい(要するに、婚姻夫婦の別居開始が10年前で、夫は実家に7年間身を寄せ、内縁夫婦の同居開始が3年ほど前という場合には、婚姻夫婦の別居10年、内縁夫婦の同居3年を両方満たすことになります)。

 

 

4.まとめ


・重婚的内縁関係も条件を満たせば、法律的に保護される。

・重婚的内縁が法律的に保護されるためには、①法律上の婚姻関係が事実上離婚状態にあること、②内縁夫婦同士が婚姻意思を持って、③夫婦同然の生活を送っていることが必要になる。

・事実上の離婚状態になっているかどうかは以下のような要素から判断される。

①別居の経緯

②別居の期間

③婚姻関係を維持または修復するための努力の有無

④別居後における経済的依存の状態

⑤別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状態

⑥重婚的内縁関係の固定性

 

 

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内縁破棄で請求できる慰謝料額はどのくらい?

2018.12.10更新

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1.内縁(事実婚)って?


 

 内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 内縁関係の成立が認められますと、正式な婚姻に準じて法律上の保護が認められます(但し、正式に入籍していない関係で、婚姻と全く同じ保護を受けることはできません)。

 

 

2.内縁破棄の問題は最終的には慰謝料で調整せざるを得ない問題になってしまう。


 

 内縁関係にあるにもかかわらず、相手が一方的に内縁を破棄した生活を開始した場合、内縁という婚姻に準ずる関係を破綻に陥れているわけですから、このような責任を作った側には慰謝料責任が発生します。

 そもそも、内縁の夫の身勝手な行動そのものを防止できればよいのですが、「理想的な内縁の夫として行動せよ」ということは抽象的な内容になってしまいますし、強制に馴染まないため、相手の身勝手な行動を直接防止する手段はありません。

 従って、内縁破棄の問題は、最終的には慰謝料という金銭的な問題として解決するしかないと言うことになります。

 

 

3.では慰謝料はいくらもらえるの?


 

 内縁破棄のケースは、内縁期間や破棄理由、経緯等を含めて多様ですので、一概にいくらぐらいという相場をお話しすることは難しいのが実情です。

 但し、相手に明らかな問題点(浮気や暴力)がないケースですと100万円前後とされることが多いように思われます。繰り返しになりますが、内縁破棄の慰謝料額はケースによって千差万別ですので、「100万円程度はもらえる」と誤解しないようにして下さい。100万円前後というのはあくまで目安の一つに過ぎないとお考え下さい。

 

 また、判例を見ておりますと、相手の浮気や暴力等大きな問題があるケースですと100万円以上の高額な慰謝料額を認めたものもあります。

 

 

4.慰謝料の金額はどのような要素から決定するの?


 

 上記の通り、慰謝料の金額はケースによって様々ですが、判例上、どのような点が重視されるのかというポイントはあります。以下では、その様なポイントについて解説していきます。

 

(1)相手に重大な有責性があるかどうか

 この点はおそらく慰謝料額算出にあたって最も重視される項目ではないかと思います。

 なお、相手の行動や言動が原因で内縁解消になったというだけでは足らず、明らかに相手の行動に大きな問題がある必要があります。

 

 より分かりやすく言いますと、相手が浮気をしたとか相手が頻繁に暴力をふるってきて怪我させられたことがあるといったケースです。

 これらのケースですと明らかに相手に大きな問題点がありますので、内縁破棄の慰謝料増額の事情となります。

 

(2)妊娠等お子様に関連する事情

 あなたが相手男性との間で妊娠した場合や中絶・流産してしまったケース、出産したものの、それをきっかけに相手が疎遠になったというような場合、あなたには身体的な負担も生じておりますので、慰謝料増額事由になり得ます。

 

(3)内縁破棄によってあなたの体調に変化等があったかどうか

 相手からの一方的な婚約破棄によって、あなたもショックで体調を崩してしまうと言うこともあると思います。

 その様な場合に、あなたが心療内科等に通い始め、心療内科等から正式な診断を受けたという場合には、慰謝料増額事由になり得ます。

 

 なお、心理的な不調については、医学的には原因の特定が難しいと言われることもありますが、内縁破棄と時期を近くしてあなたが心療内科に通わざるを得なくなったといったケースでは、内縁破棄が原因の可能性が高まると思います。

 

(4)内縁生活の状況

 特に重視される傾向がありますのは内縁期間の長短になります。

また、内縁夫婦のいずれが共同生活維持のためにどのような努力をしてきたのか、逆に、いずれが共同生活西庄を来すような行動や言動をしてきたのか、といった内縁生活の実態も、慰謝料に影響を及ぼしうる事情になります。

その他、内縁の妻の経済的依存度も考慮されることがあります。即ち、内縁生活開始にあたって内縁の妻が仕事を辞めて家庭に入ったという場合には、多少慰謝料増額事由として考慮され得るのに対し、内縁生活中も互いに経済的に自立した生活を送っていたという場合には、多少慰謝料減額事由として考慮され得ることになります。

 

 

5.裁判も視野に入れるならば証拠が必要


 

 相手が過去の経緯等について自分に都合よく話してくる可能性があるようでしたら、こちらとしては裏付けを取っておく必要があります。

 内縁破棄の慰謝料で考慮すべき事情は上記の通りですので、それに沿うような資料を準備しておく必要があります。

 

 なお、相手男性との間のLINEのやり取りやメールも証拠になることがありますので、機種変更前の携帯電話のデータ等を確認する必要がでてくることもあります。

 

 

6.相手が、内縁が成立していないと言ってきた場合の証拠の準備も


 

 内縁破棄のケースでは、相手から①そもそも内縁関係ではない(俗な言い方になってしまいますが、セフレでしかない)とか、②一度は内縁関係にあったがこちらも同意して解消している、既に自然消滅しているといった反論が出されることがあります。

 そのため、内縁破棄の前提として、内縁が成立していること、その内縁関係が相手の破棄直前まで続いていたことを主張し、裏付けていく必要があります。

 

 

7.その他


 

 上記の通り、内縁破棄によってあなたが請求できる「慰謝料」の問題について解説してきましたが、慰謝料以外にも相手に損害賠償できるケースもあります。

 例えば、結婚式直前に相手の浮気が判明して破談になったというような場合には、結婚式のキャンセル料等も損害として相手に請求するといったケースです。このような挙式費用を損害として請求できるかは内縁破棄の時期や事情によるところが大きいと思います。

 

 

8.まとめ


・内縁破棄で相手に請求できる慰謝料額に相場のようなものはない。

・慰謝料額決定にあたっては以下のような要素が考慮される。

 ①(暴力や浮気など)相手に重大な有責性があるかどうか

 ②妊娠等の事情があるかどうか

 ③内縁破棄によるあなたの体調変化

 ④内縁生活の状況

・相手に慰謝料を請求して行くにあたっては、上記考慮要素についての裏付けを準備する必要がある。

 

 

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内縁破棄の正当な理由とは?

2018.11.26更新

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1.そもそも内縁(事実婚)って何だ?


 

 内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 

 

2.内縁は簡単に破棄できない?


 

(1)実際どうなの?

 インターネット記事などを見ていると、このような説明が多く見受けられるように思います。「相手から一方的に内縁破棄の話がされた場合、正当事由がないと、相手に慰謝料を請求できます」

 このような文章を見ると、相手が「破棄する」と言えば、それ自体は認められてしまい、後はお金で解決するしかないようにも読めます。そのため、今一破棄そのものができるのかできないのかがはっきりしないのです。

 

(2)結局一方的な内縁破棄も防止しようがない

 内縁関係が成立している場合、婚姻に準じて互いに同居・協力・扶助義務を負います(民法752条準用)。従って、しっかりとした理由もなく一方的に内縁を破棄する行動は、この同居・協力義務に違反することになります。

 ただ、法律の義務に違反するから、これを無理矢理強制できるのかというと、無理矢理内縁の夫を引っ張ってきて自宅に連れ戻すことや無理矢理内縁の夫としての理想的な行動や言動を取らせると言うことは、内縁の夫の人権を大きく侵害してしまうために、実現できません。

 

 そのため「内縁関係は自由に破棄できるのですか?」と質問された場合「法律は一方的な内縁破棄を当然許容しているという立場ではないけれども、円満な内縁生活というものを強制することもできないため、結局直接的に内縁破棄を防止する手段が存在しないだけである」という説明になろうかと思います。

 そのため、結局、内縁破棄の問題は、慰謝料と言った金銭的な問題になってしまうのです。

 

 

3.それではどのような事情が内縁解消の正当な理由になるか?


 

 内縁関係は法律上の婚姻関係に準ずるものとされておりますので、その解消についても基本的には法律上の離婚原因と同様に理解されます。

 

(1)法律で離婚原因と定められている事情

 民法770条には離婚を強制できる事情が列挙されており、具体的には以下の通りです。

①相手が浮気した場合

②相手から悪意で遺棄された場合

③相手が生死不明になり3年が経過した場合

④相手が強い精神疾患にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他内縁関係を継続しがたい重大な事由があるとき

 

上記のような事情があれば内縁関係解消の正当な理由がありますので、あなたの方から内縁破棄を言いだしても慰謝料責任を負うことはありません。そして、あなたの内縁破棄を決断せざるを得ない状況を作り出したのはむしろ内縁の夫の方なのですから、あなたは、内縁の夫に対して慰謝料を請求することができます。

 

(2)内縁関係を継続しがたい重大な事由とは?

 上記の正当理由①から④については、事由が明確なので理解しやすいかもしれませんが、⑤の「内縁関係を継続しがたい重大な事由」というのは抽象的なため、今一意味がはっきりしないと思います。

 この「内縁関係を継続しがたい重大な事由」に該当する例を全て列挙すると言うことは難しいのですが、イメージとしましては、相手の浮気に準じるほどに重要な問題が存在するケースとお考え頂ければ、イメージは多少つきやすいかと思います。 

 

 以下は主として夫婦の離婚原因として認められたケースになりますが、判例上、以下のようなものが婚姻関係を継続しがたい重大な事由とされたことがあります。

①頻繁な暴力によって重傷を負わせたことがあるケース

②正業に就かずに借金を繰り返し、ギャンブルへの浪費を続けたケース

③長期間継続して異常な姿態での性交渉を強要されたケース

④子作りを希望しているのに、不合理な理由で夫側が性交渉を長期間一切拒否し続けたケース

⑤宗教活動に没頭し、長期間家庭生活を省みなかったケース

 

 

4.内縁解消の前に内縁が成立しているのか、内縁関係が継続しているのかの確認を!


 

 あなたとしては長期間同居生活を送ってきたため、内縁が成立していると考えていても、相手から「最初から結婚するつもりなんてなかった」といった形で内縁の成立そのものを争ってくるケースもあります。

 

 また、一度内縁が成立していたと言えても、関係が冷え込んで、自然解消していると思われるようなケースもあります。

 このように現時点で内縁関係が残存していなければ、内縁の解消といった問題を考える必要もなくなります。

 そのため、内縁解消の正当理由云々の検討よりも前に、現実に今内縁関係がそもそも残っていると言えるのかをしっかりと検討した方が良いでしょう。

 

 

5.まとめ


・内縁夫婦間には同居・協力・扶助義務がある。

・相手が一方的に連絡を絶ったような場合には、上記の義務に違反するが、「理想の内縁の夫として振る舞え」と法律で強制することはできない。

・結局、内縁解消の問題は慰謝料という金銭問題で解決するしかない。

・民法770条の事由が存在する場合、内縁解消の正当な理由があるものとされる。

・内縁解消の正当理由を検討し始める前に、現状も内縁関係が残っているのか、そもそも最初から内縁が成立していないと言えないかを検討する必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

内縁の夫が浮気した!不倫慰謝料に相場ってあるの?

2018.10.30更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

円満な内縁生活を送っているつもりだったのに、内縁の夫が陰で不倫をしていたという場合には、大変な精神的ショックを受けると思います。不倫によってもう相手を信じることができなくなり、内縁解消に発展することも多くあります。その様な場合、不倫の問題は、慰謝料という形で金銭的に精算することになります。

 

 

1.不倫慰謝料に相場ってあるの?


 

不倫の問題は、慰謝料で精算するしかないと分かっていても、次に浮かぶ疑問は「一体いくらぐらい請求すれば良いんだろう?」という疑問だと思います。

 

慰謝料の金額がどのように決まるかは後で詳しく説明しますが、様々な事情が絡んできます。そのため、一概にいくらということは言いにくいのですが、私が取り扱った事件の慰謝料額を平均すると、150万円から200万円前後に近い数字になるのではないかと思います。法律上の婚姻関係があるケースですと200万円前後というイメージだと思いますが、残念ながら、内縁関係の場合には多少慰謝料額は低くならざるを得ないというのが現状です。

 

ただ、繰り返しの説明になりますが、慰謝料額は個別の事件によって大きく異なりますので「150万円は確実にもらえるのですね」とか「200万円しかもらえないのですか」とお考えにならないようにして下さい。私が扱った事件でも数十万円しか慰謝料を得られなかった事件もありますし、逆に400万円以上の慰謝料を得られた事件もあります。

 

 

2.慰謝料の金額はどのように決められるのか。


 

先ほどご説明しましたとおり、慰謝料の金額は「色々な事情」を考慮して決定されます。それでは、この「色々な事情」というのは具体的にどのような事情になるのでしょうか。

 

大きく分けますと、以下のような事情になります。

 

①浮気をした内縁の夫側の悪質性

 

②被害者側が受けた精神的苦痛や肉体的苦痛

 

③内縁期間の長さ・浮気による打撃の大きさ等

 

④内縁の夫側の収入

 

これだけではピンと来ないと思いますので、詳しくご説明致します。

 

 

①の「浮気をした内縁の夫側の悪質性」の判断では、以下のような要素が考慮されます。

 

・不倫の発端(内縁の夫側から不倫相手に積極的にアプローチしたのか等)

 

・不倫期間や頻度

 

・不倫相手の人数

 

・あなたを裏切った回数(例えば、一度目の不倫発覚時に今後一切不倫をしない旨誓約したのに何度もその誓約に違反した等)

 

・不倫によって不倫相手に妊娠させたのかどうか

 

・不倫後の生活状況(不倫相手の自宅に入り浸りになるとか、不倫相手に生活費の大半を貢ぐようになったとか)

 

・内縁の夫による関係修復の努力の有無(客観的証拠上不倫の事実が明らかなのに、不倫を否定し続けたり、不倫を認めたのに開き直って不倫相手と安定した生活を築く旨発言した場合などは慰謝料額は増額される傾向にあります)

 

 

②の被害者側の精神的苦痛や肉体的苦痛としては、例えば、うつ病その他の精神疾患を患うようになったとか、胃潰瘍になってしまったといった事情が、不倫と直接関係しているような場合には、慰謝料の増額要因になり得ます。

 

 

③の内縁期間の長さは、内縁開始してからの期間が考慮され、原則として交際していた期間は考慮されません。また、今回の浮気によって内縁関係が破綻してしまった様な場合には一般に慰謝料上昇傾向になり、以後も内縁関係が維持されるという場合には減少傾向になります。

 

 

④不倫配偶者の収入は、源泉徴収票等が重要な判断資料になります。なお、たまに「内縁の夫はお金を持っていないけれど、その親は資産家だから、親からお金を取って欲しい」という相談を受けることがありますが、内縁の夫と親御様は別人格になりますので、法律的には親御様に対して金銭請求することはできません。

 

このように「色々な事情」が考慮されることが分かっていただけたかと思います。

 

自分がいくらの慰謝料を期待できるのかについては、先ほどのご説明を読んだだけでは、なかなか分かりにくいと思いますので、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。

 

 まずはお気軽にご相談ください。

弁護士に会って相談することは、少し勇気のいることかもしれませんが、ほとんどの方が「弁護士と話をするのが初めて」という方ばかりです。

 費用のことや依頼する場合の流れ、注意点など不安なことがあれば無料相談で解消いたします。

 

平日は夜間22時までご相談を受け付けておりますので【要予約、予約は午後6時までにお願いいたします】、いつでもお気軽にご予約をいただければ幸いです。

 

3.まとめ


 

・内縁の夫が浮気した場合の不倫慰謝料額に相場というものは基本的にないと考えてもらった方がよい(ケースバイケースのため)

・不倫慰謝料額は以下の様な要素を考慮して決定される。

 ①浮気をした内縁の夫側の悪質性

 ②被害者側が受けた精神的苦痛や肉体的苦痛 

 ③内縁期間の長さ・浮気による打撃の大きさ等

 ④内縁の夫側の収入

 

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内縁の夫が浮気した場合の慰謝料請求の5つの注意ポイント

2018.10.23更新

弁護士秦 

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 内縁の夫の不倫に直面した時、初めはショックで何も考えられない、ということも多いと思います。気持ちを建て直して、まず考えなければいけないのは、内縁関係を解消するかどうかの問題だと思います。

 

それでは、内縁関係解消を決意した場合、内縁の夫がしたことに対して何もしないということは到底許せないと思いますが、慰謝料請求する場合、どのような注意ポイントがあるのでしょうか。

 

特に弁護士に依頼するかどうかは悩みどころだと思いますので、以下のような事情も参考にして弁護士に依頼するかどうかを検討していただければと思います。

 

 

1.内縁関係の証拠


 

 

 内縁の夫側が内縁関係の存在を認めていればあまり大きな問題になりませんが、これを争ってくる可能性があるという場合には、その証拠を準備しておいた方が安心できます。

そもそも、内縁関係とは、婚姻届を提出していないけれども、婚姻意思を持って、夫婦共同生活を営んでいる関係などと言われたりします。事実上夫婦としての生活を送っているため「事実婚」と言われることもあります。

 要するに、①婚姻意思を持って(要するに「結婚するつもりがあって」)、②夫婦共同生活を営んでいる(同居して夫婦同様の生活を営んでいる)事が必要になります。

 このような内縁関係を証明する証拠としてどのようなものがあるのか準備しておく必要があります。

 

 

2.不倫の証拠


 

2つめの注意ポイントは不倫の証拠の有無になります。

 

不倫とは他の女性と肉体関係を持つことを意味しますので、「デートをしているところを目撃した」とか「手をつないでいるところを目撃した」というだけでは十分とは言えません。

 

また、内縁の夫側と話をして不倫を認めたとしても、ICレコーダー等で録音しておかないと、後から内縁の夫側が発言を翻す危険性もあります。

 

そのため、内縁の夫側の不倫の証拠としてどのようなものがあるのか、その証拠がどの程度客観的なものなのかについては慎重に検討する必要があります。

 

もちろん、私の方から内縁の夫側に通知を送ったところ、内縁の夫側が不倫を争わないというケースは相当数あるのですが、逆に、徹底的に争ってくるというケースもありますので、十分準備しておきたいところです。

 

 

3.相手の支払能力


 

3つめの注意ポイントは、相手の支払能力になります。

 

簡単に言いますと内縁の夫側が十分な貯蓄をもっているか、または、キチンとした定職に就いているかの問題です(つまり、お金を支払う十分な能力があるかどうかの問題です)。

 

仮に、裁判で慰謝料の支払を命ずる判決が言い渡されましても、相手が無職で、ほとんど貯蓄もないようでしたら、金銭の支払いを受けることは難しくなります。

 

そのため、慰謝料請求にあたっては、内縁の夫側の支払能力も見極める必要があります。

 

 

4.いくら請求するか

 


 

 

 上記の様な内縁の夫側の支払能力も考慮に入れつつ、相手に請求する金額を決定することになります。

 なお、最終的な落としどころと考えている金額よりも、最初の請求額は高めにすることが多いです。最初の請求額を相手が受け入れてくれればよいのですが、値引きを要求してくる可能性もありますから、多少高めの数字を請求していくことになります。

 

 ただ、あまり高額の慰謝料を要求してしまいますと、相手が強く反発してくる危険性もありますので、相手の性格も多少考慮しつつ請求額を決定していく必要があります。

 ちなみに、内縁の夫に対する不倫慰謝料は、結婚している夫への不倫慰謝料よりも多少低額になりがちだと言われておりますので、この点は考慮する必要があるかもしれません。

 

 

5.不倫相手を訴えるかどうか


 

 この問題は大きく二つの問題を含んでいます。

 

具体的には、①不倫相手の住所などを調べられるのか、②不倫相手の住所などが分かっているとして不倫相手を巻き込むかの二つの問題です。

 

まず、一つめの問題ですが、弁護士の調査権限には限界も多いため、弁護士に相談すれば不倫相手の住所も調べてくれると考えないで頂いた方がよいと思います。もちろん、ご依頼がありましたら、調査を致しますが、不倫相手の住所を突き止められないと言うことも往々にしてあります。

 

次に、不倫相手まで巻き込むかという問題ですが、これは、内縁の夫側への請求との兼ね合いで問題になります。

 

少し難しい話になりますが、不倫は、内縁の夫と不倫相手の共同加害行為と言うことになりますので、内縁の夫側から慰謝料全額を回収した場合、不倫相手には慰謝料請求できないという関係にあります。

 

簡単に言いますと、慰謝料の金額が、200万円が妥当であるというケースの場合、内縁の夫側が200万円を支払ってきた場合、不倫相手からは慰謝料をもらえないと言うことになります。

 

慰謝料200万円がだと言うという場合、内縁の夫側から200万円プラス不倫相手から200万円の合計400万円もらえると誤解されている方もいらっしゃいますが、そうではなく、どちらかから200万円ということになります。

 

ですので、不倫相手に請求するのは、内縁の夫側が支払いを渋っているだとか、不倫を認めていないといった場合が多いと思います。

 

ただ、お金の問題はさることながら、不倫相手の女性が何事もなく生活して行くことは許せないと思いますので、不倫相手の女性への制裁の意味も込めて、慰謝料を請求するというケースもあります。詳しくは弁護士秦(はた)までご相談いただければと思います。

 

6.まとめ


・内縁の夫が浮気した場合の不倫慰謝料請求については大きく分けて5つの注意ポイントがある。

・請求前に内縁関係の証拠は確認しておいた方がよい。

・請求前に浮気の証拠は確認しておいた方がよい。

・請求にあたっては相手の支払能力を考慮する必要がある。

・請求にあたっては請求額をいくらにするか決める必要がある。

・内縁の夫だけではなく不倫女性も相手にするかを決める必要がある。

 

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内縁の妻に浮気がバレてしまった!関係修復のための3つのポイント

2018.10.16更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して、解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.不倫発覚はある日突然やってくる


 

 御本人としては内縁の妻側に発覚しないように上手に不倫をしているつもりでも、普段の行動や言動等から内縁の奥様側が不審に思い、あなたの不倫に気付いてしまっていると言うこともあります。

 通常、内縁奥様側は何の裏付けもないままあなたに不倫していないか尋ねることは少なく、ある程度の裏付けを取った上で質問してくるケースの方が多いです。

 あなたとしては、ある日突然不倫の事実を突きつけられると言うことになります。

 

 それでは、このようにして内縁の奥様側が不倫の確証を持ってあなたに詰問してきた場合、どのように対応すべきなのでしょうか。

 私は、不倫が発覚した後自分のしてきたことの誤りに気付き「やり直したい」「不倫は遊びであって本気で家庭を壊したいという気持ちではなかった」という方の相談も多く受けますので、このような方々の相談を元に、どのように対応するのがベターなのか、以下の通りご説明いたします。

 

 もちろん、以下のご説明は一般論になりますので、内縁の妻側の性格や普段の言動、不倫発覚の経緯等々によっては、対応方法が異なってくる場合も当然ありますので、以下の説明が「間違いのない一つだけの正解」とは思わないようにして下さい。

 

2.【ポイント1】下手に嘘をつかない方が良い


 

 内縁の妻側があなたに不倫の事実を突きつけてきたという場合、通常はそれなりの裏付けを取った上で行動しているケースの方が多いです。

 そのため、内縁の妻側の裏付けがしっかりしている場合には、下手に嘘をつかずに、どのような行為をしてしまったのか正直に話した方が良い結果に繋がることが多いです。

 

 上記の通り、内縁の奥様から不倫の事実を突きつけられるのは唐突なことになりますので、混乱して正確な対応ができないことも多いかと思います。

 不倫発覚後は内縁の妻側と時間を取って何度も話し合いをすることになりますので、あなたとしても冷静さを取り戻した後は、正直に事実関係を話した方がよいと思われます。

 

 冷静になった後も不倫の回数を誤魔化したりだとか、不倫相手の女性と知り合った経緯を捏造したりだとか嘘をついてしまう人は多いのですが、そのような嘘は後で発覚することが多いため、あまりオススメできません。

 仮に一度内縁の妻側と話し合って、当面内縁解消しないという結論に至ったとしても、その後にこちらの嘘が発覚してしまいますと、内縁の妻側もあなたのことを信じられなくなってしまいますので、「嘘をつく」ということは、非常にリスクの高い行為と言えます。

 

 

3.【ポイント2】内縁関係の不満は極力言わない


 

 不倫に及ぶ場合、通常は、内縁関係に何らかの不満を持っていることが多いです。

 内縁の奥様との性生活に不満があったり、普段の行動に納得できない、内縁夫婦の今後に多少なりとも不安がある等々、何らかの不満があり、外にその不満のはけ口を求めた結果不倫に繋がってしまったといったことです。

 

 ただ、内縁生活を営んでおりますと、何の不満も生じないと言うことはないのであって、大なり小なり不満を抱く事象が生じるのが普通です。

 そのため何らかの不満があったとしても、そのことは不倫を正当化する理由にはなりません。

 

 私が不倫被害者側の代理人として不倫加害者側である内縁の夫側や妻側にお会いすると、平然と内縁関係の不満を述べたり、言葉には出さないまでも不満を持っているという雰囲気を強く感じると言うこともあります。

 ただ、このような姿勢では内縁関係を建て直すことは非常に難しくなります。

 

 不倫被害者側からしますと、相手の不倫という事実でショックを受けているのに、相手から内縁関係の不満まで述べられてしまいますと「傷口に塩を塗られる」ようなもので立て直しが難しくなるのです。

 なお、不倫発覚後、内縁の奥様の方から逆に内縁関係に不満があったのか質問されることがあります。内縁の奥様によっては「何かきっかけがないと夫が不倫に走ることもない」と考える方もいるため、このような質問がなされるのです。このような形で明確に質問された場合には、内縁関係の不満点を1,2点述べることは良いと思います。

 

 

4.【ポイント3】誓約書の作成などには最大限協力する


 

 不倫が発覚しますと今後同じような不倫を繰り返さないようにということで誓約書の作成を求められることがあります。

 その内容があまりにこちらの生活を縛るようなものであれば、拒否せざるを得ないと思いますが、そうでなければ極力誓約書の作成には協力した方が、良い結果を生むことが多いです。

 

 ただ、相手の言うとおりに誓約書の中身も確認せずに署名押印すると言うことは絶対に避けた方がよいと思います。

 例えば不倫の経緯や回数等について全くの嘘が書かれているだとか(例えば、1か月に1回くらいしか会っていなかったのに、毎週会っていたと書かれているなど)、今後違反した場合の罰金が高額すぎる場合には、修正を求めることも検討すべきです。

 

5.まとめ


・内縁の妻に浮気がバレてしまった場合、あなたとしてやり直したいときにはいくつかの注意点がある。

・浮気がばれてしまった場合、詳しい事情を聞かれることも多いが、下手に嘘はつかない方がよい。

・感情的になって内縁関係の不満をぶつけそうになる場面もあるが、極力不満は述べない方がよい。

・内縁の妻から不倫誓約書の提出を求められた場合、最大限協力した方がよい。

 

 

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