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【今からできる】モラハラ・DV夫との離婚対策(1)―早期の離婚実現のために

2021.08.30更新

弁護士秦

何よりも大事なことは、証拠の確保と準備


これがその後の手順の円滑性を分かちます


こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.【今からできる】離婚対策とは?


 今回は、あなたがまだモラハラ・DV夫と同居中だということを前提に、どのような準備をしておけば、早期離婚実現に役立てられるのかという観点から解説していきます。
 既に別居してしまったという方にも参考にはなりますが、主として、今も同居している方を対象にしておりますのでご注意ください。

 

 

2.【対策①】まずは、モラハラがどのようなものなのかをしっかりと知る


 一言で「モラハラ」と言っても様々な形態があります。
 また、モラハラ=暴言と誤解なさっている方も多いです。
 そのため、まずは、モラハラの意味をしっかりと理解することが大事です。
モラハラ夫の行動や言動には共通点も多いのですが、項目が多くなってしまうものですから、まずは、モラハラ夫はどのようなキャラクターの人が多いのかについてご紹介し、その後に、具体的にどんな行動・言動がモラハラにあたるのかをご紹介します。

(1)モラハラ夫の性格(キャラクター)の共通項とは?
 モラハラ夫は以下の様な性格(キャラクター)の方が多い様に感じますので、まずは、あなたの旦那様に当てはまるものがないか確認してみて下さい。

①何でも自分優先である。
②マイルールや独自のこだわりがある(しかも、一般の人が理解しにくいルールであることが多い)
③自分の非を認めない。
④嫉妬深い、執念深い。
⑤あなたやお子様に対する束縛やルールが多い。
⑥他人を信用せず、友人が少ない。
⑦スイッチが入ると急変する。
⑧メンタルが弱い、または、メンタルが弱いふりをする。

 上記の①から⑧のうち、2,3個以上当てはまる場合には注意信号と言えます。

 なお、これらの項目のうち沢山の項目に当てはまる方が、「より深刻」と言えなくもないのですが、あてはまる項目は少なくても、ひどいモラハラ夫ということもありますので、「該当する項目の数が少なければ問題が少ない」というわけではないので、ご留意下さい。

(2)モラハラ夫の「モラハラ発言」「モラハラアクション」とは?
 モラハラの定義である「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」と言われてもピンと来ない方が多いのではないでしょうか。そこで、一定の類型化をするとモラハラとは以下の様に分類できるのではないかと思います。以下のうち、どの項目に該当するかチェックして整理すると、あなたのモラハラ被害を客観視できると思います。

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

⑳生活費を渡さない。

 この20項目のうち、5,6個以上当てはまる場合には、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。直接当てはまらない場合でも、「ニアピン」のような項目が7,8個以上ある場合にも、要注意とお考えいただいた方がよいと思います。

 なお、これらの項目のうち沢山の項目に当てはまる方が、「より深刻」と言えなくもないのですが、あてはまる項目は少なくても、ひどいモラハラ夫ということもありますので、「該当する項目の数が少なければ問題が少ない」というわけではないので、ご留意下さい。
 

 

3.【対策②】説得を試みるべきかを検討する


 夫の側が少しはあなたの言葉に耳を傾けてくれるというような場合には、何も告げずに別居したり、いきなり弁護士を頼んだりせずとも、夫側を説得して離婚できるかもしれません。
 他方で、あなたの方から別居や離婚を口にすると、モラハラ・DV夫が逆上して、モラハラ・DVがより一層悪化する危険性もあります。
 そのため、まずは、あなたの口から直接別居や離婚を夫側に伝えることが良いのかを、あなたの両親等身近な人と相談して検討してみるのが良いと思います。
 その際に、あなたと夫の二人で話し合っても議論が進展しなさそうだと感じるのであれば、お互いの両親を交えたり、知人を間に入れて話し合うほうが良いこともありますので、そのような方法も検討してみてください。

 

 

4.【対策③】離婚に向けての証拠準備


(1)公的機関の記録を収集しておく
 これまでの夫からのモラハラやDVであなた自身身の危険を感じることがあったような場合には、あなた自身病院の受診を受けたり、過去に警察に相談したことがあったかもしれません。
 そのような場合には、別居を待たずに、その病院から診断書をもらっておくとか、警察に110番通報記録や相談記録のコピー開示を要請しておくといった準備をしておいたほうが良いでしょう。これらの記録は保存期間がありますので、あまり古い記録については、年数を経てから開示申請しても、保存期間切れになってしまうこともあります。この点は十分注意が必要です。
 これらの記録を読み返すと、いつどのようなトラブルがあったのかを思い出すきっかけにもなると思います。

(2)公的機関への相談をする
 これまでに公的機関への相談をあまりしてこなかった場合でも、現状あなたやお子様が身の危険を感じるような場合には、その内容を今からでも警察や子育て支援センター等に相談するということも考えてみてください。
 このように相談しておけば、安心感が高まりますし、相手の危険な行動等について公的機関の記録を残すことができます。

(3)録音等の証拠収集
 モラハラ・DV夫の暴言がひどいという場合には、スマートフォンや録音機器でその音声を録音しておいたほうが良いです。
 また、夫からの暴力で怪我をさせられたというような場合には、病院に受診し、その怪我についても写真を撮っておくようにして下さい(なお、怪我の写真は怪我の部位だけではなく、あなたの顔も映るような形にしておくのが良いです)

(4)過去のメールやLINE等の確認
 夫がメールやLINEであなたのことを中傷等してきたというような場合には、そのメールやLINEの内容は証拠になり得ます。
 機種変更する前の携帯電話に保存していたりすることもありますので、遡って確認する必要が出てくることもあります。
 そのようなメールは、スクショを取ってデータとして保存しておくのが良いと思います。LINEについては文字データに変換して保存しておくと便利です。

(5)日記やメモはあまり証拠にならない
 モラハラの証拠といった場合に、手書きのメモを事細かに残している方や、問題行動があった日に日記帳に記載しているという方もいらっしゃいます。
 ただ、これらの証拠はあまり有効打にならないことが多いです。
 なぜなら、その日記をいつ書いたのかの証明ができないからです(極端な話、実際には別居後に思い出しながら書いていても、「当時から記入していたものだ」と豪語することも可能になってしまうからです)

 そのため、証拠が日記やメモだけという場合には、これから別居までの間に他の証拠を集められるようなら集めるようにした方が良いです。

 

 

5.【対策④】夫側が反省しているようであれば誓約書や謝罪文を取っておく


 こちらが強く言うと、夫側が翌日は反省しているというようなケースもあると思います。
そのような場合には、夫自身に自分の問題行動を自筆で書かせて、そのことを反省していることや、二度と同じことをしないといった内容を自筆で書かせておくということも有効です。
 このようなことをしておけば、その時に夫婦間でトラブルになったこと、夫側自身もそのことを自覚していることの証拠になりますし、その後も同様の行動が繰り返されるようであれば、こちらの離婚理由を多少なりとも強める効果が見込めます。

 

 

6.【対策⑤】夫側の財産の在処を確認しておく


 いざ別居をすると、夫側は、財産を隠して、なるべく財産分与の金額を少なくしようとしてくることが多いです。

 そのため、同居中に、夫側の財産の在処を把握しておくことが必要です。

 夫側の財産の把握にあたっては、夫宛の郵便物を確認するのが端的です(郵便物を勝手に開けてしまうことは避けた方が良いのですが、金融機関等からの封筒の外側には銀行名や証券会社名が書かれていることが多いので、どの銀行に預金を預けているのか、どの証券会社で株取引をしているのかが分かることが多いのです)

 

 

7.事前の準備がその後の離婚に向けての活動に活きてくる


以上のような準備を入念に進めておけば、いざ別居をして弁護士に相談する際にも、要点を踏まえた相談ができるようになりますので、弁護士の活動を円滑化できると思います。
また、相手にも自身の問題行動を多少なりとも自覚させておくことができれば、相手が復縁を断念して、離婚に向けての協議に応じてくる可能性も高まります。

 

 

8.まとめ


・【今からできる離婚に向けての対策①】モラハラの意味をしっかりと理解する
・【今からできる離婚に向けての対策②】相手の説得を試みるべきかを検討する
・【今からできる離婚に向けての対策③】モラハラ等の証拠固めをする
・【今からできる離婚に向けての対策④】夫側が反省しているようであれば誓約書や謝罪文を取っておく

・【今からできる離婚に向けての対策⑤】夫側の財産の在処を把握しておく

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

モラハラ・DV夫からの付きまとい等を防止する9個の手段

2021.08.23更新

弁護士秦
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1.無事に別居に成功しても、その後、つきまとわれることが不安


 モラハラ夫・DV夫と別居する場合、事前にそのことを知らせてしまうと、別居そのものを妨害されたり、モラハラ・DV被害が悪化する危険性があるため、そのことを知らせずに別居を開始するというケースも多くあります。
 ただ、別居そのものは成功しても、こちらの所在を知られないかという点は大きな心配事の一つだと思います。
 そこで、今回は、そもそも、こちらの居場所を知られないためにどのような方法があるのか、また、付きまとい等を防止するためにはどのような方法があるのかといった点について解説していきます。

 

 

2.こちらの居場所を知られないようにするための方法


 同居中にモラハラ被害・DV被害を受けてきた場合、こちらの転居先を知られないことは非常に重要です。そこで、まずは、こちらの別居先をモラハラ夫側に知られないようにどのような工夫等をしているのかについて、以下の通り、解説します。
(1)別居先選び
 まず一番大事になってくるのは別居先選びということになります。
 経済的な理由から実家を別居先にせざるを得ないという場合、その別居先を先方に隠し通すということは難しいことが多いです(一般的には、旦那側は、別居先として奥様の実家を最初に思い浮かべるため)。

 先方に絶対に別居先を知られたくない、しかし、経済的な理由から一般のアパートを借りたりもできないという場合には、区役所等経由でシェルターに避難するという方法もあります。シェルターは基本的に所在そのものが秘密にされていますので、こちらの居場所を知られないためには一番安心とも言えます。
 ただ、シェルターでは、携帯電話の使用が禁止されていたり、外部の親族との連絡も禁止されていたりと規律がやや厳しいのが難点です。また、ある程度年齢の大きなお子様と一緒にシェルターに避難することはできないことが多いです。
 そのため、消去法的に、あなたの名義でアパートを賃借せざるを得ないというケースもあります。

 その場合も、あなたがモラハラ・DV夫と直接連絡を取り合っている状況が続くと、夫側は執拗にあなたの居場所を聞き出そうとしてくることが非常に多いので、別居と同時に弁護士を雇って、弁護士を連絡窓口にするケースが多いです。

(2)住民票をどうするか
 住民票については、あなたの勤め先やお子様の学校との関係で、特に移動しなくても支障がないということでしたら、移動しないままにしておくのが一番安全です。
 他方で、あなたの勤め先との兼ね合い、お子様の学校との兼ね合いで住民票を移動せざるを得ないという場合には、同時にDV支援措置をかけなければいけません。要するに、夫も含め第三者があなたの住民票等を見られなくするのです。
 DV支援措置を取る場合には、事前に警察やDV相談センターへ相談して証明を得る必要があります。

 DV支援措置については、区役所で相談すると詳しく教えてくれることが多いので、そのようにご対応下さい。

(3)健康保険についての注意
 一般的には、夫側の方があなたよりも収入が高いので、お子様の健康保険は夫側の保険に加入していることが多いと思います。また、あなたのお勤め先との関係では、あなた自身も夫側の保険に加入していることもあると思います。
 そのような場合、数か月に1回程度の頻度で、あなたやお子様の受診歴が夫側に送られてしまいます。
 そのため、あなたの今のお住まいの近くの病院にかかってしまいますと、その病院の名前から夫側がある程度あなたの居住圏を把握してしまうリスクがあります。
従って、あなたやお子様が医療機関を受診する場合には、元々の自宅近くの病院を受診するか、その健康保険組合が対応してくれるのであれば、夫側に受診歴を送らないように申請しておく必要があります。

 

 なお、健康保険組合に詳しい事情を伝えると、夫の健康保険から強制的に脱退することも可能なのですが、この手段を取りますと、あなたが直接健康保険組合宛てにDVの相談をしていることが夫側に知られてしまいます。具体的には、健康保険組合から夫に対して直接「奥様からこのような申告がなされていますので、脱退届を提出して下さい。届を提出しなければ強制的に脱退することになります」といった連絡がなされてしまうのです。当然ながら、夫は、「うちの健康保険組合に余計な話をした」ということで激怒することが多いので、この手段は最終手段だとお考え下さい。

 

(4)裁判所の書類は、旧住所を用いることが多い

 離婚調停を起こす場合など、調停申立書にあなたの住所を記載する欄があるのですが、その欄には、旧住所(モラハラ・DV夫と一緒に住んでいた住所)を記載することが多いです。

 それ以外にも、陳述書など、あなたの住所やお子様の小学校名等を記載する欄があるのですが、いずれも「秘匿」と記載するなどして対応します。

 裁判所の書類は、裁判所側だけではなく、夫側も見ることができる書類が多いので、注意しながら対応する必要があります。 

 

 

3.付きまといを防止するための方法


 別居先としてあなたの実家を選んだ場合や、あなたの勤め先を変更できないため、夫側に勤め先は知られているというような場合には、夫が実家を急に訪れたり、あなたの勤め先にやってくるというケースもあります。
このような付きまといを防止するためにはどのような手段があるかについて解説します。

(1)夫がDV夫で、その客観的証拠もあるなら保護命令が一番安心
 同居中の夫の問題行動がモラハラだけではなく、直接的な暴力等の場合で、あなたが怪我をした診断書や打撲の写真等がある場合、DV防止法上の保護命令を申し立てる方法が一番効果的です。
 この保護命令というのは、6か月間あなたに近付くこと等を禁止する命令(接近禁止命令)になります。
 6か月間という期間限定にはなりますが、この命令の内容は警察にも共有されますので、格段に警察に相談しやすくなりますし、警察も厳格に対応してくれます。
 このように安心な反面、裁判所も安易に保護命令は出してくれませんので、あなたが怪我をした診断書や打撲の写真等の客観的証拠を要求されることが多く、これがないと認められにくいという点が難点と言えます。
 また、保護命令は6か月という期間に限定されますので、この6か月間の間に夫側が特段大きな問題を起こさない場合には延長が認められないというのも短所の一つと言えます。

(2)警察への相談
 前述のようなDV防止法の保護命令は認められないとしても、あなたが夫と一緒に生活していた際によく怒鳴られていたり、脅迫されていたというような場合には、警察に相談すると、親身に相談に乗ってくれます。
 警察署によって対応は異なるのですが、どうしても、夫の付きまといに不安があるというような場合には、別居の前に事前に警察に相談に行き、警察の方から夫に電話をしてもらうということもあります。

 ただ、夫からあなたへの暴言等をお子様の前でも発しているとか、直接お子様への暴言等があると、警察は児童相談所に相談しなくてはならないということになって、状況がこちらの予期せぬ方向に進むこともあります。
 児童相談所が介入してくると、職員がお子様と直接話をしたいといった話になり、別居したばかりで不安定なお子さまが傷つくということもありますので、児童相談所の介入を避けたいというときには、児童虐待に絡む話はあまり警察に申告しないほうが良いかもしれません(もちろん、夫からの悪質な児童虐待等があった場合には積極的に相談すべきですが)

(3)ストーカー規制法に基づく警告
 前述のように事前に警察に相談に行き、警察から夫に対して「奥さんが探さないで欲しいと言っているので探したり付きまとったりしないように」と注意していても、あなたの勤め先を夫側が訪れて来たり、あなたに頻繁にメール等を送り続けるというような場合には、警察に相談して、ストーカー規制法に基づく警告を発してもらうという方法もあります。
 ただ、ストーカー規制法に基づく警告については、警察署によってはあまり積極的ではないこともあります。

 なお、モラハラ・DV夫側は、あなたではなく、「子供に会いたくて連絡を取っている」といった形で言い訳をするケースもあります。この場合、ストーカー規制法違反とすることは難しく、迷惑防止条例違反で警察に対応してもらうことになります(残念ながら、迷惑防止条例違反ですと、ストーカー規制法違反よりも、一層警察の動きが鈍いケースが多いです)

(4)弁護士を経由した警告
 あなたが既に弁護士に依頼している場合には、相手の問題行動が認められた次第すぐに弁護士から警告を発するという方法もあります。
 警察からの注意等ですと、旦那側を刺激し過ぎてしまうおそれがありますし、ことが大きくなりすぎる危険性もありますので、弁護士からの警告だけで、夫側が付きまとい等を中止するようであれば、あまり警察に頼り過ぎないほうが良いかもしれません。

 

(5)その都度裁判所と情報共有する

 残念ながら、モラハラ・DV夫の付きまとい行為を直接防止する裁判手続きを取ることは難しいケースが多いです。

 ここでお話したいのは、調停手続き中といった場合に、調停の席や調停の合間の場合には、書面で裁判所側にも情報共有するということです。

 当然ながら、調停委員としても、冷静に話し合いをする環境を整えたいと考えますので、それに反するような行動については注意してくれることが多いです。

 モラハラ・DV夫側も、付きまとい行為をしていることで、調停委員の印象を悪くすると不利に働くことから、今後の付きまとい等を控えることが多いです。

 

 

4.基本的には粘り強く対応するしかない


 付きまとい行為を繰り返すモラハラ・DV夫は、一旦は収まっても、(残念ながら)ほとぼりが冷めたところで再発するというケースもあります。

 そのため、その都度、弁護士経由で警告書を送るなどして、粘り強く対応せざるを得ないこともあります。

 ただ、毅然とした対応を続けていくと、いつまでも付きまとい行為が続くというケースは非常に少ないので、毅然とした対応を取り続けることになります。

 

 

5.まとめ


・こちらの居場所を知られないためには以下のような方法・注意点がある
① シェルター等別居先の慎重な選定
② 住民票を移動しないという選択
③ あなたやお子さんの病院の受診先には注意が必要

④裁判所に提出する書類には旧住所を記載することが多い。
・付きまといを防止するためには以下のような方法・注意点がある
① DV防止法に基づく保護命令(接近禁止命令)
② 警察への相談
③ 警察からのストーカー規制法に基づく警告
④ 弁護士からの警告

⑤(調停中の場合など)裁判所に情報共有して牽制する

 

 

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モラハラ夫とは離婚すべきか?

2021.08.09更新

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1.モラハラ夫とは離婚すべきか?


 私は、モラハラ・DVの関係でのご相談を受けることも多いものですから、ご相談の際に「私みたいなケースですと離婚した方がいいんですかね?」という質問を受けることもあります。
 その場合、私の方からは「それを決めるのはあなた自身なので、私の方で決めることはできません」といった回答をすることが多いです。
 無責任な回答のようにも見えますが、離婚するかどうかは、今後のあなた自身の人生に関わる重要な問題ですから、私の方で決められる話ではありません。そのため、「あなたの人生に関わる重要なお話なので、あなた自身で決めて欲しいんです」とお話するようにしているのです。

 

 

2.モラハラの重症度?


 このような回答をすると、「皆さんどうなさっているんですか?」とか「私のケースって皆さんのケースと比べてどうなんでしょうかね?」といった再質問を受けることも多いです。
 そのため、私のご相談に来られた方には、おおよそのモラハラ被害の重症度をお話することもあります。ただ、初回の無料相談ですと、時間が限られているというところもありますし、正確な数値化が難しいというところもありますので、「100点満点の中での○○点です」といった点数化まではしていません。

 要するに、深刻なものだと感じたときには、私の方からも、「それなりに深刻なものだと感じます」とお伝えしますし、逆に、そこまで重くはないと感じたときには「残念ですが、当事務所にいらっしゃる方はもっと重い方の方が多い印象です」といったご回答をすることもあります。
 あくまで重症度の目安をお伝えするというイメージになります。

 

 

3.「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」というわけではない!


(1)必ずしも相関関係にはないこと
 ここまで説明をしますと、皆さん、「私の場合重症なのかしら?」ということを気になさると思います。そして、「重症だと言われたら別れなくっちゃ」と考える方も多いと思います。
 ただ、そこまで単純に割り切れる話ではありません。
 弁護士の目から見ても重症と思われるケースですと、率直に言って同居生活を続けていくことはオススメできませんので、私の場合、目の前の相談者の方には「重症と思われますので、同居を続けることはオススメしません」と率直にお伝えすることが多いです。

 しかし、それでも離婚まではしたくないという方も相当数いらっしゃるのも事実です。大きな要因としては以下のようなものがあると思います。
①その人の感じ方の問題
②お子様のことを考えての結論
③今後の生活の問題
以下、それぞれについてご説明します。

(2)その人の感じ方の問題
 より分かりやすく言いますと、許容性とか寛容性といったお話になります。
 どんなに言われようと受け流すことができたり、逆に、必要な範囲で言い返すことができるので、離婚という最終決断まではしなくてもやっていけるといったことです。
 このことは逆も然りでして、重症とまでは言えないケースでも、そのことで、気に病んでしまっているとか、心身に不調が生じているというような場合には、今後の同居継続は見直した方が良いかもしれません。

(3)お子様のことを考える
 片親にすると子供に不憫であるといった話です。このことは、お子様が旦那様にどのくらい懐いていて、また、旦那様の方もお子様とどのように接しているのかといった点も大きく影響すると思います。
 ただ、最近は離婚される方も増えてきていますので、片親だと子供が差別されるということは以前よりもかなり減ってきているように感じます。
 また、モラハラやDVによってあなたの心身に不調をきたしているようなケースですと、これ以上我慢はしない方が良いとアドバイスさせていただくことも多いです。

(4)今後の生活のこと
 いざ離婚したとしても、今後の生活に大きな支障を来すようであれば、簡単に離婚できないということもあろうかと思います。
 金銭的なお話は、弁護士としても色々とアドバイスできるところでもありますので、必要に応じてシミュレーションさせていただくこともあります。
 なお、都内で部屋を新たに借りることは経済的に厳しいということでご実家を別居先に選択する方も多くいらっしゃいます。

 

 

4.「一旦は別居する」というのも一つの選択肢である。


 色々とインターネットの検索をしていると、「モラハラなので早く離婚した方が良い」と書いてあるサイトなどもあって、焦って相談に来られるという方もいます。
 ただ、仮にそれがモラハラだったとしても、即離婚または離婚しないの2択で考える必要はないと思います。
 要するに中間として一旦別居という選択肢があるからです。
 ご夫婦直接での話し合いが難しいようであれば、お互いのご両親に間に入ってもらうなどして、一旦別居の道筋をつけるということもあり得ると思います。

 別居をしてみると、あなた自身の体調の変化等についてもしっかりと認識できますし(大きな変化が生じる例としては、①別居することで同居中の窮屈な生活から解放されるとか、もしくは、②同居中の束縛が強かったため、別居することで一気に溜まっていた疲労が出て、しばらくは休養を取りたくなるとか)夫側の様子を見て、許せる気持ちになるかどうかも試すことができるからです。
 ただ、何度か別居を繰り返しているような場合には、夫側への効き目も薄くなっていると思いますので、いよいよ離婚を決断したほうが良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


・モラハラの重症度は、受け手の感じ方の問題もあるため一概に点数化しにくい。
・「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」という相関関係では必ずしもない。
・離婚に踏み切るかは、①お子様のこと、②今後の生活の経済的問題等も考慮に入れて検討する必要がある。
・すぐに離婚ではなく、一旦別居という選択肢もある。

 

 

6.離婚の見込み、条件面などでご不安があれば、お気軽にご相談ください。


 離婚すべきか決めるにあたっても、離婚で裁判までしなくてはいけないのか、どんな条件で離婚できるのかをシミュレーションしておきたいという方もいると思います。
 そのような場合には、初回相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【奥様側】監護者指定審判で敗訴してしまったー即時抗告すべきか?

2021.06.07更新

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1.今回の解説は「奥様側」の視点での検討


 

 即時抗告とは、第1審の結論が出た後に、その審判内容が正しいのかどうかを改めて高等裁判所に検討してもらう手続きになります。分かりやすく、第1審の手続を「第1ラウンド」とすると、即時抗告は「第2ラウンド」だと説明することもあります。
 監護者指定審判事件の第1審で敗訴した場合に、即時抗告すべきか否かは、旦那様側と奥様側とで検討要素等が異なります。
 今回は、「奥様側」の視点から検討します(「旦那様側」の視点は、別途ブログを準備しますので、そちらをご覧ください)

 

 

2.敗訴の意味をまずは理解する


 即時抗告すべきかどうかの検討に入る前に、第1審での敗訴の意味合いを解説します。

(1)旦那様の側が正式な監護者と指定されてしまったということ
 監護者指定審判事件で敗訴するということは、あなたが監護権を取得できず、旦那様が監護権を取得してしまったということになります。実質的には、あなたがお子様を育てていくよりも、旦那様が育てていく方が適任だと判断されたということを意味してしまいます。

 即ち、親権には大きく以下の権利を総称した権利と言われますが、そのうちの身上監護権を旦那様だけが持つ形になったという意味になります。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)
 従って、旦那様の方でお子様の居所指定権も持つことになりますので、こちらの方にお子様を引き渡すよう求めることはできなくなります。

(2)親権争いへの影響
 親権の判断要素と監護権の判断要素はほぼ同一ですので、監護権で敗訴した状態になってしまいますと、今後の離婚紛争の中で親権争い上圧倒的に不利になることは否めません。
 もちろん、旦那様が離婚を急いでおらず(もしくは、離婚そのものを希望しておらず)すぐに親権争いの問題が浮上しないということでしたら良いのですが、矢継ぎ早に離婚・親権の問題に直面しなければならないという場合には、監護者指定がなされたことは重要な判断要素になってしまいます。

(3)家庭裁判所が判断を下したことの重み
 監護者指定審判は、裁判官が必要だと考える調査等を実施した上で、適切だという判断を下しているのですから、やはりそれなりの重みをもつことになります。
 要するに審判手続きの途中の状態ですと、裁判所の正式な判断が下されていない状態ですので、当事者のお互いの立場は優劣がない状態となりますが、既に判断が下されてしまっていますので、こちらが即時抗告をするにしても劣勢からのスタートという位置づけになってしまうのです。

 

 

3.【奥様側から見た】即時抗告すべきかの判断ポイント


 

 奥様側から検討した場合の即時抗告すべきか否かの判断ポイントとしては主に以下のようなものがあります。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担

 以下詳しく解説していきます。

 

(1)お子様のことを考えた場合の理想は何か
 まず、一番大事な視点は、お子様のことを考えた場合の理想的な生活は何かという点です。
 まがいなりにも、第1審の裁判官が、旦那様と暮らす方がお子様のためになると判断しているのですから、それなりの事情があっての判断だと思います。
 普段のお子様の様子や気持ちなどは身近にいるあなたが一番よく分かっていると思いますので、お子様にとって何が一番理想と言えるのかという視点が大事だと思います。
 そのような視点からしっかりと検討した結果、やはりあなた自身が育てていく方がお子様にとっては理想だと断定できるのであれば、即時抗告を躊躇すべきではないと思います。

 

(2)第1審での敗因の分析
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢
 あなたの事件での敗因は、上記の6個の要素の複数の項目であなたが奥様よりも不利であるということにあると思います。
 第1審の調査報告書も改めて見返したうえで、何が敗因だったのかをしっかりと分析し、その敗因をリカバーできるだけの要素があるのか、敗因を逆転できるような証拠等があるのかを慎重に分析する必要があります。

(3)即時抗告での手続きの負担
 監護者指定事件は、旦那様側から奥様宛てに起こされるケースが大半でして、奥様からしてみると、そもそも、あまりこのような手続きに関わることは消極姿勢であるということも多いと思います。
 特に、監護者指定審判事件では、旦那側から、奥様の育児の不備等について色々と指摘がなされますので、旦那様側の書面を見るにつけて嫌悪感を抱くというケースも多いと思います。
 即時抗告を申し立てるということは、このような負担がさらに長引いていくことを意味しますので、その心理的負担は避けられません。
 また、即時抗告をする場合には弁護士抜きでは戦えないでしょうから、手続きを取るための弁護士費用などもかかってきます。このような経済的負担も考慮しなければいけません。

 

 

4.どの弁護士に依頼するのか


(1)即時抗告すべきか否か迷ったときにはセカンドオピニオンを取ってみるのも良い
 前述の通り、即時抗告すべきか否か判断するにあたっては、第1審の審判で示されたこちらの敗因をしっかりと分析する必要があります。
 基本的には、これまで依頼していた弁護士に意見を聴くことになりますが、その弁護士の言動等に不安を覚えるようであれば、他の弁護士の意見を聞いてみるという方法もあり得ます(いわゆるセカンドオピニオン)。

 

(2)弁護士を変更すべきか
 それでは、即時抗告をしていくという方向になった場合に、弁護士を維持するのかという問題があります。
 結果的には、第1審で敗訴していますので、即時抗告というタイミングで弁護士を変更すべきかを検討するのです。
 率直に言いますと、第1審の結論だけから弁護士を変更することはオススメしません。

 第1審の手続を戦っている間、その弁護士の弁護活動にそれなりに満足して手続を進めることができていたということであれば、無理に弁護士を変えて臨むよりも、弁護士はそのまま戦ったほうが十分な準備ができると思います。
 特に即時抗告にあたっては、審判書を受領してから2週間以内に即時抗告を申し立て、その更に2週間以内に抗告理由書を提出しなければなりません。これらの書類は即時抗告にあたって、いわゆる「即時抗告の顔」となるような重要な書類ですので、しっかりと準備する必要があります。
 新しい弁護士を探し、その弁護士に第1審の記録を精査してもらい、十分な準備を整えるという場合、上記の期間的制限があると、かなり活動が制限されてしまうのです。

 

5.まとめ


・監護者指定審判事件での敗訴の意味合いをしっかりと把握する
・奥様側から即時抗告すべきか判断するにあたっては、以下のような要素を検討する。
①お子様のことを考えた場合の理想は何か
②第1審での敗因の分析
③即時抗告での手続きの負担
・即時抗告するか迷った場合にはセカンドオピニオンをとっても良いが、弁護士の変更はあまりオススメではない。

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(12)ー監護補助者の有無はどこまで重視されるか?

2021.05.31更新

弁護士秦

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.監護補助者って何だ?


 

 監護補助者とは、字句の通りなのですが、あなたの育児を補助してくれる人のことを言います。
 今後継続してあなたのことを補助してくれる特定の人物になりますので、あなたの両親や兄弟姉妹・親戚等の親族が監護補助者になることが一般的です。
 なお、家事代行業者等は、育児の補助をしてくれることもありますが、こちらが対価を支払って依頼しているものですし、派遣される担当者の変更が生じることもありますので、基本的に監護補助者には当てはまりません。
 監護補助者については、あなた自身で適任者を探し、「子の監護に関する陳述書」などに、補助者の氏名・住所等を明記していくことになります。

 

 

3.監護補助者の有無等は重要か?


 

 たまに、旦那側は両親や兄弟など複数人監護補助者を立てているのに、こちらは、実家が遠方等の理由で監護補助者がいないというケースもあります。
 そのような場合多勢に無勢で、こちらの方が不利に感じてしまうこともあります。
 ただ、監護補助者はあくまで補助してくれる人物にとどまりますので、その有無や人数はあまり大きな判断要素にはなりません。
 もちろん、監護補助者がいれば、あなたが突発的な病気で体調を崩しているようなときも安心ですから、簡単に依頼できる親族等がいるような場合には、頼んでおくに越したことはありません。
 ただ、実家が遠方等で依頼することが難しいような場合には、無理に監護補助者をつける必要性は低いと思います。

 

 

4.重要な判断要素で拮抗していると重視されることもある


 

 前述の通り、監護補助者の有無等は、本来重要な判断要素ではありません。ただ、「全く考慮されない」というわけでもないことには注意が必要です。
 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。
1)監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢

 多くの事件では、上記の6個の重要判断要素を総合して検討し、有利な方が勝訴するということになります。

 ただ、ケースによっては、この6個の重要判断要素を総合検討しても、裁判官が判断に迷うというケースがあります(例えば、過去の監護実績という点では夫婦同等程度で、別居が奥さん側がかなり強引だった、現在のお子さんの様子を見るとそれほど不安定ではないが、別居がかなり強引だったので、登校面でも多少支障がある、しかも、奥さんは旦那側との面会交流を断固拒否しているというように、お互いに有利不利な点が数多くあるため、裁判官が判断に迷っているといったケースです)。
 そのような場合には、裁判官は上記の重要判断要素ではない、他の点で優劣を決する場合があります。その時に監護補助者の有無が重視されることもあるのです。

 

5.まとめ


 

・監護補助者の有無や人数は本来重要な判断要素ではない。
・ただ、重要な判断要素で拮抗しているときには重視されることもある。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(17)ー妻側の体調はどこまで重視されるか?

2021.05.17更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.妻側の体調がどこまで重視されるか?


 

(1)旦那側からどのような言い分が述べられるのか?
 旦那側が監護者指定事件を起こす思惑は様々なのですが、審判事件を起こしている以上、その理由付けをしていく必要があります。簡単に言いますと、旦那のもとでお子様を育てたほうが良いという理由付けをしなくてはいけませんので、裏を返すと「妻のところで育てていくことは不適当だ」という主張を展開してくるのです。

 概要ですが以下のような主張がなされたりします。
① 同居中から妻は飲酒量が多く、酔ってしまうと子供の面倒がおろそかになっていた
② 妻は疲労のためかボーっとしていることが多く、調理している食材を焦がしてしまったり、キッチンでボヤ騒ぎになってしまったこともある
③ 妻は持病持ちで、症状が出ているときは数日寝込んでしまうこともあったので、その間子供の面倒を見られるはずがない
④ 妻は精神疾患を患っており、感情の制御が利かないので、子供にきつく当たっていないか心配である
⑤ 妻は元々朝が弱く、専業主婦をしているときから朝食の準備をしたことがないし、子供の通学準備等をしたことすらも一切ないくらいである
⑥ 妻は元々体が弱く、そのため、一度も社会に出て働いた経験がないので、子供を一人で育てていけるとは思えない。

 上記をご覧いただくと分かりますように、半ば言いがかりに近いような主張もありますが、裁判所が、あなたの体調面で不安を感じてしまいますと不利に扱われる可能性もありますので、十分注意する必要があります。

 

(2)体調面はどこまで重視されるか?
 大まかに言いますと、あなたの体調面で医師の正式な診断が出ているかどうか、その症状が日常生活にどの程度の支障を及ぼすのかが大きなポイントになります。
 逆に言いますと、あなたが日常生活で多少体調を崩すことがあったとしても、「病院に行くほどではない」ということであれば、体調面が監護者指定審判事件で悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
 他方で、医師の診断が出ており、現在も通院中であるといった場合には、慎重に臨む必要になります。特に審判手続きの中で、裁判所側からあなたのカルテの開示を求められるような場合には、裁判所もあなたの体調について不安を持っているという証拠ですので、必要に応じてカルテの詳細をしっかりと説明するなど、十分な準備を整えていく必要が出てきます。

 

(3)体調不安を払しょくするには、働いてしまうことが端的ではある
 あなたが夫と離婚しお子様との生活を希望している場合には、遅かれ早かれ仕事に就くことが必要になってくると思います。
 そして、例えばフルタイムで週5日働いているようであれば、裁判所もあなたの体調について不安に感じることは少ないと思います。
 ただ、お子様がまだ幼いような場合には、とても週5日も働くことができないということも多いでしょうし、「働く」ということを優先した結果、お子様の育児がお揃下になってしまっては本末転倒です。
 また、専業主婦をしていた期間が長い場合には、急に週5日も働くということは一般的に難易度が高く、長続きしないこともあります。そのことであなた自身が大きく体調を崩してしまっては元も子もありません。
 そのため、実際に働き始めるということは、体調不安を払しょくする切り札になり得るものの、お子様の年齢や状況、あなた自身の体調も考慮しながら慎重に検討する必要があります。

(4)夫からのモラハラ等が体調不良の原因だという主張は有効か?
 私は、監護者指定事件だけではなく、モラハラ・DV離婚のケースも数多く手がけますので、「夫と一緒にいると滅入ってしまうが、別居して生活するとかなり安心して体調も良くなってきています」とおっしゃる方も多いです。
 ただ、あなたの主治医が、あなたの体調不良の原因を夫からのモラハラと明確に断言してくれれば良いのですが、なかなかそこまでは断言してくれないケースの方が多いと思います。
 そうすると、いくらモラハラ被害を数多く訴えても、そのことが体調不良につながっているということを裁判所に理解してもらうことは難しいと思います。
 もちろん、そのモラハラの内容が暴力にまで発展しているなど程度が重いケースであれば、あなたの体調不良に直接関係すると判断される可能性も高いのですが、そこまでに至らないような場合には、あまり過去の経緯を体調面と絡めて主張することは有効ではないかもしれません。

 

 

3.まとめ


 

・あなたの体調面が重要視されるかは、あなたの体調について正式な診断が出ているかどうかが重要である。
・正式な病名がついているような場合には、その症状が日常生活にどのような支障を及ぼしているのかという点も重要になってくる。
・体調不安を払しょくするには、あなたが働き始めてしまうのが端的だが、お子様の年齢や状況、あなたの体調面にも十分配慮する必要がある。
・あなたの体調面に絡めて同居中のモラハラを主張することは、そのモラハラ等重い場合には有効だが、そうではない場合有効とは言いにくい。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(10)ー妻側であれば大した準備をしなくても勝てるのか?

2021.05.10更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

 

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.妻側であれば監護者指定事件ではほぼ確実に勝てる?


 

 私は、他の弁護士が担当している事件についてのセカンドオピニオンを受ける事等もあるのですが、妻側だというだけで「監護者指定は大丈夫なので、安心して下さい」とか「そんなに準備しなくても勝てるので、準備するだけ無駄です」などとアドバイスしている弁護士を見かけることもあります。
 特にお子さんの年齢が幼いような場合には、妻側が有利なことは事実です。

 

 しかし、審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になります。また、監護者の指定は複数の要素を総合して検討されますので、妻側であるというだけで安易に考えることは非常に危険だと思います。

 さらに、現状あなたがお子さんの面倒を見ているかどうかでまた情勢が変わってきます。
 以下では、①現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケースと、②現在あなたがお子さんの面倒を見ているケースとで場合分けして解説します。

 

 

3.現在あなたがお子さんの面倒を見ていないケース


 

 例えば、夫からのモラハラに耐えかねて、夫に黙って別居の準備をしていたところ、そのことが夫にバレてしまった、そうしたところ、夫が子供を連れて実家に行ってしまい、今はあなた一人で生活している、といったケースです。

 このようなケースですと、率直に言いますと、「妻側である」というだけで勝訴することは非常に困難だと考えてもらったほうが良いです。
 なぜなら、監護者指定事件で最も重視されるのは、現状お子さんを夫婦のどちらが育てているのか、そのような生活状況に問題がないのかという点だからです。

 旦那側の実家での生活がお子さんにとっても安定している状況の場合、残念ながらこちらが不利な状況にあると認識したほうが良いと思います。
 ただ、このようなケースでも十分戦っていく余地は十分にあります。
具体的には、①旦那の別居前に育児を主に担当していたのが妻であるという点、②旦那の別居が子の連れ去りであるという点をしっかりと証拠をつけて戦っていくということになろうかと思います。

 

 

4.現在あなたがお子さんの面倒を見ているケース


 

 あなたが、お子さんと一緒に別居を開始したが、旦那に事前に伝えずに別居したということもあって、旦那側が監護者指定審判事件を起こしてきたというようなケースです。
このような場合には、現在あなたがお子様の育児を担っていて、また、女性側ということもありますので、審判手続きにおいて、あなたが有利なことは事実です。

 

 しかし、以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定事件は以下の要素を重要な判断要素とし、総合的に検討されることが多いです。
1)過去の監護実績
2)連れ去りの違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流の姿勢

 従いまして、現在あなたがお子さんの面倒を見ており、お子さんが健全に成長していたとしても、他の要素で大きく不利な場合には、監護者指定審判事件で敗訴してしまうこともあり得ます。
前述の通り、監護者指定審判事件は、必ず夫婦どちらかを監護者と明確に定める手続きになりますので、「万が一にも負けられない」「負けてはいけない」事件になりますので、しっかりとした準備をして臨むことが必須になります。

 

 

5.まとめ


・あなたが現在お子様の面倒を見ていない場合には、妻側だということだけで有利だという発想は捨てたほうが良い。
・あなたが現在お子様の面倒を見ている場合、妻側が有利であることは事実だが、監護者は様々な要素を総合して検討するので油断は禁物である。

 

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>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(3)ー夫はどういうつもりでこんな手続きを取ってきたのか?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(4)ー「連れ去り」になるケースって?

>夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(5)ー監護者として指定されるための6個のポイント

>夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(8)ー証拠集めのポイント

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>夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(12)ー監護補助者の有無はどこまで重視されるか?

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(19)ーこちらが専業主婦だと、どの程度不利になるのか?

2021.04.26更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.こちらが専業主婦だとどの程度不利になるのか?


(1)こちらが専業主婦だと、夫側は「収入がない人間だと、子供の生活費を払えないのだから、子供と暮らしていく権利がない」とか「自分の方がしっかりとした定職と収入があるので、子供の将来のことを考えると、自分が子供を育てたほうが子供の将来にとって絶対にメリットが大きい」と言ってくるケースもあります。
 このように言われてしまいますと、あなたとしても監護権を取れるのか不安に陥ってしまうと思います。
ただ、結論から申しますと、専業主婦であることは、監護者指定にあたって、そこまで重要な判断要素ではありません。

(2)重要なのは現在の収支が成り立っているかどうかという点
 監護者指定審判手続きでは、あなたの収支の状況も一判断要素として検討対象になります。
 そのため、最低限あなたの現状の収支バランス(例えば、月次の収支)が成り立っていることは必要になります。

 ただ、このような収支バランスを成り立たせる方法としては、一時実家に身を寄せて実家の支援を受けながら生活するとか、生活保護を受けながら生活するということでも構いません(現に、私が担当した事件でも、生活保護でも監護者に指定された事件はあります)

(3)現在あなたがお子様を育てているという状況は大きなアドバンテージになる。
もちろん、監護者指定審判手続きにはしっかり準備して臨む必要があります。
 ただ、あなた自身の勝率といった場合、あなたが現在お子様と一緒に住んでいるということが大きなアドバンテージになっています。
 現状の監護者指定手続きにおいては、「今誰がお子様を育てているのか」という点を最も重視するからです(法律用語的には「現状の監護状況」などと言ったりします)。
 そのため、あなたが専業主婦であるという事情よりも、「現状の監護」が重視されて判断されるのです。

 

 

3.重要な判断要素で拮抗していると重視されることもある

 


 

 前述の通り、あなたの経済状況は、本来重要な判断要素ではありません。ただ、「全く考慮されない」というわけでもないことには注意が必要です。

 以前、他のブログに書かせて頂きましたが、監護者指定に当たっての重要な6個の判断要素は以下の通りです。

1)監護実績

2)連れ去りの違法性

3)現在の監護状況

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)面会交流の姿勢

 

 多くの事件では、上記の6個の重要判断要素を総合して検討し、有利な方が勝訴するということになります。

 ただ、ケースによっては、この6個の重要判断要素を総合検討しても、裁判官が判断に迷うというケースがあります(例えば、過去の監護実績という点では夫婦同等程度で、別居が奥さん側がかなり強引だった、現在のお子さんの様子を見るとそれほど不安定ではないが、別居がかなり強引だったので、登校面でも多少支障がある、しかも、奥さんは旦那側との面会交流を断固拒否しているというように、お互いに有利不利な点が数多くあるため、裁判官が判断に迷っているといったケースです)。

 そのような場合には、裁判官は上記の重要判断要素ではない、他の点で優劣を決する場合があります。その時に経済状況が重視されることもあるのです。

 

 

4.まとめ


・あなたが専業主婦であるということは監護者指定にあたってはそれほど重要な要素ではない。
・むしろあなたの現状の収支バランスがとれていることの方が重要である。
・あなたが現実にお子様を育てているという事情は監護者指定手続きで大きなアドバンテージになる。

・監護者指定の6個の重要判断要素で実力が拮抗している場合には、経済状況が考慮されることもあるので注意が必要である。

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(18)ー子供が不登校になってしまっていると、どの程度不利になるのか?

2021.04.19更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.子供が不登校になってしまっていると、どの程度不利になるのか?


 お子様が不登校になっておりますと、まず第1にお子様の今後のことで不安が大きいと思います。そのことに加え、夫側から監護者指定審判が申し立てられていると、不登校になっていることがこちらに不利になるのではないかと余計不安になると思います。
 不登校の問題は、別居前から不登校だったケースと別居後に不登校になってしまったケースとでは状況が異なってきますので、場合分けして解説していきます。

(1)別居前から不登校だったケース
 別居前から不登校で、別居後も不登校の状態が続いてしまっているというケースです。
 この場合、別居前から不登校の状態だったのですから、特に別居の影響や別居後の養育の問題ではありませんので、お子様の不登校がこちらに不利に働く可能性は高くないと思います。

 ただ、この場合でも、例えば、こちらが専業主婦だったような場合ですと、夫側から「専業主婦なのに子供をまともに学校に行かせることもできなかった」などと責め立ててくる危険性もありますので、不登校の原因究明と、その後のケアについては、しっかりとあなたの言い分を裁判所に伝えていく必要が出てきます。

(2)別居後に不登校になってしまったケース
 別居前は通常通り登校できていたのに、別居後に不登校になってしまったという場合、夫側は、こちらの養育能力を厳しく追及してくると思います。
 ただ、不登校になってしまったのが別居後だったとしても、こちらに不利に働くかどうかは、その原因次第というところではないかと思います。

 例えば、別居後こちらがパート時間を長くした関係で、お子様が一人で自宅にいる時間が長くなり、そのことでお子様の情緒が不安定になってしまっているというようなケースですと、こちらに不利になってしまうことは避けられないと思います。
 他方で、同居中は、夫からの暴言をしきりに受けていたが、別居して暴言被害がなくなったので、お子様が伸び伸びと生活できるようになって、一時的に不登校のような形になっているということでしたら、あまりこちらに不利にはならないと思います。

 また、監護者指定審判手続きにおいては、その後の不登校解消に向けた取り組みの内容が非常に重要になってくると思います。これは、お子様を無理にでも学校に登校させればそれで良いというわけではありません。無理に学校に登校させようとした結果、余計にお子様が反発してしまうこともあるからです。
 例えば、お子様を心療内科等に連れて行き、原因究明・原因除去に努めていくこと、学校の担任の先生やスクールカウンセラーと連携していくこと等が重要になってくるのです。

 

 

3.お子様が不登校の場合、審判手続きにおいてどのような準備が重要になるか


 

(1)まずは通知表の準備

 前述の通り、お子様が別居前から不登校だったのか、別居後に不登校になってしまったのかという点は非常に重要なポイントになりますので、どちらかだったのかについて証拠で明らかにしていく必要があります。具体的には、お子様の通知表を見れば、登校状況が端的にわかりますので、まずは、通知表を準備するということになります。

 

(2)現状の不登校の原因究明

 次に重要になってきますのが、現状の不登校の原因究明と、それに対する対処という部分になります。お子様を心療内科等に連れて行き、どのような問題を抱えているのかの把握、その問題を踏まえての対応を学校の担任の先生やスクールカウンセラー等と相談していくという作業が非常に重要になります。

 たまに、「しばらく子供の様子を見守りたい」とおっしゃる親御さんもいらっしゃいますが、このような形ですと「何ら抜本的な対策を取っていない」と評価されてしまうリスクもありますので、得策ではないと思います。

 

(3)同居中の旦那側からの言動の影響が大きい場合

 いわゆる同居中旦那側から虐待を受けていたというようなケースです。そのような場合には、虐待を示す証拠を準備することが重要になります。お子様が殴られて怪我をしたといった事情がある場合には、診断書や痣の写真などがあると、非常に有効な証拠になります。

 

 

4.まとめ


・別居前から不登校だった場合、こちらに不利になる可能性は高くない。
・別居後から不登校になってしまった場合、こちらに不利に働くかはその原因が大きく影響する。
・別居後の不登校の問題については、不登校解消に向けた取り組みの内容が重要になってくる。

・これらを踏まえた審判向けの準備を整えていく必要がある。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(16)ー子の心情調査は避けられないのか?

2021.04.05更新

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こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.子の心情調査って何だ?


 子の心情調査とは、お子様の意向を家庭裁判所調査官が直接顔を合わせて確認する手続きのことを言います。

 「心情調査」と堅苦しい言い方をしますと、何かの脳波検査等をするのかとか、うそ発見器をつけられて話をするのか、とか色々と心配になってしまうかもしれませんが、要するに、お子様と調査官が面接をして、その内容を調査官が聞き取る・書き取るという手続きになります。

 私もこのような事件の担当をしておりますと、ご依頼者の方からいろいろとご質問を受けるものですから、その中から特によく質問を受ける内容等について、解説していきます。

(1)何歳くらいから心情調査を行うのか?
 東京家庭裁判所の運用を見ておりますと、就学年齢(既に小学校に通っている年齢)に達した後ですと、一般的に心情調査を行っていると思います。

(2)どのように行うのか?
 一般的には、お母様とお子様とで裁判所に来てもらい、家庭裁判所調査官とお子様の二人だけで話をして確認するケースが多いです(つまり、お母様はその場に立ち会えず、お母様だけ裁判所の待合室等で待っているという形をとる)。なお、お子様の様子の確認等の目的で調査官補が一緒に立ち会うこともあります。
 お子様がお二人、三人というケースでも、心情調査は、個別面接で行うことが多く、兄弟姉妹全員が一緒に調査官と面談するということは基本的にしません。

(3)どんなことを聞かれるのか?
 一般的には現在の生活状況のこと、別居の経緯とそのことについてのお子様の認識、別居前の生活状況、今後のこと等を尋ねられることが多いです。
 調査官はご夫婦のお互いの言い分を踏まえたうえで、お子様に確認したい事項をその場で全て確認することになりますので、所要時間は1時間程度になることが多いです(但し、心情調査の直前に交流場面調査を行っている場合や別居経緯等について夫婦の意見対立が少ないなどの事情がある場合には、30分程度ということもあります。一般的にはお子様の年齢が小さいほど調査時間を短めにしようと努める調査官が多い印象です)。

 

(4)学校を休まなくてはいけないのか?

 一般的には、①長期休暇(夏休みとか)が近い時期に心情調査を実施する場合には、長期休暇中に心情調査するという形が多いですし、②夕方の時間に心情調査を行うという形にして、極力通学に影響しない形で日程調整することが多いです。なお、裁判所は土日祝日は開いていませんので、平日での日程調整ということになります。

 

(5)事前にレクチャーしておいたほうが良いのか

 たまに、どのようなことを聞かれるのかを事細かに想定して、「こう聞かれたらこう答えて」というようにきめ細かく準備しようという方もいらっしゃいます。

 ただ、このようにきめ細かい準備をすると、お子様は調査官に対して「事前に決まっていること、覚えていることを話そう」と必死に考えてしまいますので、そのことを調査官に見破られてしまうことの方が多いです。

 心情調査は、お子様の面接試験ではありませんので、①今お父さんがあなたと一緒に暮らしたいということで裁判所に手続きになっている、②そのことで調査官という人があなたの気持ちを聞きたいと言っているので、思っていることを話してね、という程度の伝え方のほうが良いと思います。

 

(6)家庭訪問の時に一緒にやるのか?

 一般的には家庭訪問とは別日に、裁判所の一室で実施するケースの方が多いです。

 お子様もいきなり初対面の家庭裁判所調査官に対して、率直な意見を述べることは難しいと思いますので、家庭訪問の時に、いわゆる「顔合わせ」をし、その後に「別日」で改めて詳しい事情を確認するという形を取るということです。

 

 

3.子の心情調査は避けられないのか?


 前述の通り、お子様が既に小学校に通う年齢に達している場合には、通常心情調査を行います(逆に、未就学という場合には、お子様も自分の意思等を正確に表明できないことも多いので、心情調査は行わないということの方が多いです)。
 ただ、「お子様が調査官と面接する」と聞くと、面接試験を受けるようにイメージしてしまうかもしれませんが、特に調査官もお子様を問い詰めたりはしませんので、面接試験というのとは異なります。

 お子様にとっては心理的負担となる手続きではありますが、監護者が決まると、お子様は父親と母親どちらかと一緒に暮らしていかなければならず、このことは、お子様にとっても非常に大事なお話になります。そのため、裁判所も、お子様の意向を確認しておきたいということになるのです。 

 

 

4.まとめ


・お子様が就学年齢に達していると、通常心情調査が実施される。
・心情調査は、お子様の面接試験というのとは性格が異なる。
・心情調査は、裁判所内の一室で調査官とお子様の二人が面接して行う形がオーソドックスである。
・心情調査の所要時間は1時間から1時間半程度のことが多い。

・心情調査の日程は学校の予定等にも極力配慮してくれる。

・心情調査はお子様の面接試験ではないので、細かいレクチャーはしない方が良い。

 

 

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