【弁護士が解説】モラハラ夫は弁護士の言うことは聞くのか?
2018.05.16更新
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1.モラハラ夫は「あなた」の言うことはなかなか聞いてくれない
モラハラ夫は、あなたのことを下に見ていることが多いため、あなたが意見しても、「そんな話聞いたことがない」とか「常識がない」といった回答をしてくるケースも多くあります。要するに、あなたの意見に聞く耳を持たないのです。
あなたが離婚を切り出した場合もそうで、モラハラ夫は、断固反対してくるケースが多いように感じます。一緒に生活している中で、モラハラ夫は自分の機嫌が悪くなると、「もうお前なんかとは離婚だ」といった発言をするのに、こちらから離婚を切り出すと、断固反対してくるのです。非常に矛盾しているように見えますが、モラハラ夫としては、自分の発言については「そんなことは言っていない」とか「本気で離婚したいなんて言っていない」といった形で誤魔化すことが多いです。
2.弁護士の言うことは聞くのか。
それでは、あなたが弁護士を立てて、モラハラ夫と交渉した場合、モラハラ夫はすんなりと離婚届にサインするのでしょうか。
残念ながら、私の経験上は、モラハラ夫はすんなりと離婚届にサインしないケースの方が多いです。
たまに「弁護士にお願いすれば簡単に離婚できる」と考えている方もいらっしゃいますが、残念ながら、そう簡単ではないことが多いです。
3.言うことを聞かないんだったら弁護士に頼む意味ってあるの?
前述のように、モラハラ夫が、弁護士の言うことをあまり聞かないのでしたら、「弁護士に頼む意味って何なの?」と感じるかもしれませんので、以下で解説いたします。
(1)こちらの話を聞くには聞いてくれる
前述の通り、モラハラ夫がすんなりと離婚届にサインするケースは少ないです。
ただ、モラハラ夫は通常内弁慶な反面、外では立派な社会人であろうとすることが多いため、私からの話にしっかりと耳を傾けることが多いです(こちらの言うことに従わないまでも、正面から耳は傾けてくると言うことです)。
即ち、あなたがいくら離婚したい理由を話しても、モラハラ夫は通常その言葉に耳を傾けないことが多いのですが、弁護士が話をすると、モラハラ夫も、その話は聞くことが多いと思います。
もちろん、モラハラ夫としても納得できない点については反論してきたり、経緯を説明してくることもありますが、こちらの話に耳を貸すことが多いです。
モラハラ夫は、こちらの離婚理由について納得しないことが多いため、こちらの話を全て理解し納得させることは不可能ですが、まずは真面目に話を聞いてもらわないと離婚の話を進めて行く事が難しくなります。そのため、弁護士が就くことで、その様な離婚に向けての第一歩を踏むことはできると思います。
(2)感情的な議論を避けられる
モラハラ夫も弁護士の前では強く感情を前面に出してくることは少ないため、感情的な議論を避けることができます(この点は個人差がありますので、最初から最後まで怒鳴りっぱなしというモラハラ夫もいますが…)。夫婦で直接話をした場合、どうしてもモラハラ夫が感情的になって、話を途中で打ち切らざるを得ないとか、モラハラ夫が逆上して、こちらが説教を受ける場に変わってしまうということもあり得ますが、弁護士が間に入ると、その心配を軽減できます。
(3)無用な法律議論を避ける
法律に関する議論を避けることもできます。といいますのは、モラハラ夫はどこから知識を得てきたのか、あなたに対しては、「法律はこうなっている」とか「知り合いの弁護士に聞いたらこう言っていた」といった話をしてくることがあります。ただ、弁護士を目の前にしますとモラハラ夫も「自分の方が法律知識が詳しい」ということはできませんので、このような法律的な議論を避けることができます。
もちろん、モラハラ夫も弁護士を立ててきた場合には、弁護士間で法律解釈の議論になるケースはありますが、少なくともモラハラ夫の誤った法律議論に付き合う心配はなくなります。
(4)以上は、弁護士がモラハラ夫と直接会話することのメリットでして、他にも、実際に弁護士に依頼した場合には、法的手続きに精通している安心感や、今後の手続きのステップのタイミング等をうまく見極めることができること、ご自身でお話をして不利になってしまう危険性を避けるといったメリットもあります。
4.モラハラ夫が離婚に応じない理由の分析が大事
モラハラ夫が離婚に応じない理由が予め分かっていれば、それに対する対策を練ることもできますので、対応方法を考える際に重要になります。
(1)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由1】あなたのことを生意気だと思ってただ反発している
モラハラ夫は心の底では離婚しても良いと考えていても、あなたの方から離婚を切り出してきたことに対して、いわゆる生意気だと感じているケースがあります。モラハラ夫はあなたのことを下に見ていることが多いため、このような発想を持つモラハラ夫は多くいます。
このような場合には、モラハラ夫も心の中では離婚に応じても良いと考えていますので、極力モラハラ夫と直接会って話をする機会を多く設けることで、モラハラ夫にも「何度も法律事務所に行かなくてはいけないのは面倒である」と思わせて離婚させるという方法を取ることもあります。
(2)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由2】あなたが話す離婚理由を理解していない、理解しようとしない
これもモラハラ夫によくある思考なのですが、モラハラ夫は自身のモラハラ行為が「大したことではない」と考えているケースが非常に多いです。
そのため、こちらが離婚理由を話しても、「家内は随分話を盛っている」とか、「モラハラと言うけれども、やむを得ずこのような行為をしたのであって、原因を作ったのは家内の方だ」といった言い訳を並べて、こちらの離婚理由を理解しない、理解できないということもあります。
また、モラハラ夫の中は、DVとか浮気があった訳じゃないんだから離婚に値しないといった発言をする人も多く、結局あなたの離婚理由を理解できないということもあります。
このような場合には、離婚調停に切り替えた上で、調停委員から、こちらの強い離婚の決意を伝えてもらうという場合もあります。
(3)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由3】子どもを盾にする
「離婚すると子どもが可哀想だ」と言うことを離婚拒否理由にするモラハラ夫もいます。
モラハラ夫は外で自分がどのように見られるかについて気にする人も多いので「自分の我が儘で離婚したくない」と思われないように、「子どものために離婚したくない」という言い方をしてくるのです。
その様な場合には、私の方からは「あなた自身、随分と奥様への不満をおっしゃっているように感じるのですが(本当に離婚したくないんですか?)」とか「お子さん・お子さんとおっしゃいますが、今お子さんは奥様のもとで自由に暮らしているようですよ」言った伝え方をすることもあります。
(4)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由4】モラハラ夫の母親の意向が強い
モラハラ夫はマザーコンプレックスを抱えていることも多いため、このような重要な話には母親の意見をそのまま反映させて来るという人もいます。
その様な場合には、離婚協議をしていても話が前に進まないことが多いため、早めに離婚調停に切り替えることの方が多いように思えます。離婚調停の席にはモラハラ夫の母が直接出席することはできませんので、調停を申し立てるのです。
(5)以上は、モラハラ夫が私に対して直接口にする離婚拒否理由でして、実際内心で考えている理由は異なることも多いです。例えば、本当は結婚を一つのステータスだと考えていて、離婚するとステータスが失われるから離婚したくないというのが本音だとか、熟年離婚の場合には、老後の世話を見て欲しいから離婚したくないといったケースです。モラハラ夫はプライドが高い人が多いので、このような本音は口にしないことが多いのですが、私が直接話をしていると、相手の仕草などから本音を予測できることもありますので、それをもとに対策を立てることもあります。
5.モラハラ夫に離婚理由を納得させることはほぼ不可能
よくご相談を受けておりますと、弁護士を通じてモラハラ夫に離婚理由を納得させたいとか、せめてこっちの苦しみを少しは理解させたいとおっしゃる方は多いです。
ただ、私の経験上、残念ながら、モラハラ夫が離婚理由を理解するケースは非常に少ないです。
そのため、私が弁護活動を行う際にも、相手にこちらの離婚理由を理解させる、という視点ではなく、離婚に応じざるを得ない状況を作るという視点で活動することが多いです。
例えば、モラハラ夫が調停を非常に嫌がっている場合には、調停を一つの交渉カードとして早期の離婚を目指すといった具合です。
このようなお話をしますと、あなたの無念を晴らせなくなるとお感じになるかもしれませんが、そのことであまり時間がかかってしまうよりは、早期に離婚してしまった方が、あなたにとっても早めに次のステップに進むことができますので、結果的には良いのではないかと感じます。
6.まとめ
・モラハラ夫が弁護士の言うことを聞いてすんなり離婚届にサインするケースは非常に少ない。
・弁護士が話をすると以下のような効果が期待できる。
①こちらの離婚理由に耳を傾ける。
②感情的な議論を避ける。
③法律議論を避ける。
・モラハラ夫との協議離婚にあたっては、モラハラ夫が離婚を拒否する理由の分析が大事である。
・モラハラ夫に離婚理由を理解させることはほぼ不可能だと考えておいた方が良い。
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