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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(20)】最終解決までに要する期間は?

2026.06.15更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.やはり解決までにかかる期間はとても気になる


 離婚の条件面で、親権を獲得できるのか、養育費や財産分与でいくらもらえるのか、慰謝料はもらえるのかどうか、といった点については、今後の生活に直結する問題なので、皆様の大きな関心事の一つだと思います。

 そして、自分のモラハラ離婚の問題がどの程度の期間で解決するのかという点も重要な関心事だと思います。正式に離婚が成立するまでは、いわば中途半端な状態とも言えますので、このような状態から早く抜け出したいと考えるのは当然のことだと思います。

 

 離婚の問題は、①協議離婚→協議離婚が上手く行かない場合に②調停離婚→どうしても調停離婚が上手く行かない場合に③裁判離婚という流れをたどりますので、最終解決が協議離婚で済むのか、調停離婚での解決なのか等手続がどこまで進むかに応じて、要する期間も異なってきます。

 

 このような期間はケースによって様々なので一概には申し上げにくいのですが、各手続に応じてどの程度の期間を要するのかの目安と、どのような問題が争点になると長期化しやすいのかについて解説します。

 

 

4.協議離婚で解決する場合


 協議離婚というのは、離婚届を役所に提出して解決する場合を言います。

 たまに依頼者の中には、弁護士が間に入る場合には、協議離婚にはならない(調停離婚で手続を進める)と誤解されている方もいらっしゃいますが、基本的には、弁護士が間に入った場合にも、協議離婚による解決を目指すことが多いです。

 

 では、協議離婚の場合、解決までにどの程度の期間を要するかというと、おおよそ2か月から6か月程度というのが一つの目安かと思われます。ただ、これもケースによりけりですので、一つの目安と考えて頂ければと思います。

 

 通常、協議離婚で解決したという場合には、離婚条件について大きな対立はないことが多いのですが、協議離婚が長期化する傾向があるのは、①緻密な離婚協議書を作成する場合や②財産分与の対象が多くて整理に時間がかかる場合、③公正証書を作成する場合ではないかと思います。

 補足しますと、「①緻密な離婚協議書を作成する場合」というのは、特にお子様との関わりが問題になることが多いのですが、例えば、離婚後のお子様と夫との交流について、直接会う頻度は2か月に一回までしか認めないけれども、メールのやり取りは週1回まで認める等々何をどこまで認めるのかについてきめ細かく記載する場合などが代表例です。きめ細かく離婚協議書の内容を詰めていかなければならなくなりますので、交渉に期間を要することが多いです。

 ③はどのようなケースなのかといいますと、特に養育費などの金銭の支払いに強制力を持たせたい場合が代表例です。その場合、公正証書を実際に作成するのは公証人になります。そのため、公正証書を作成する場合には、公証人との折衝や公証人に提出する資料なども必要になってくる関係で最終解決までの期間が延びる傾向にあります。

 

 なお、モラハラ夫との離婚協議の場合、相手が自分の考え方に強く固執している場合も多く、協議離婚での解決は難しいケースも多いように思われます。

 

 

5.調停離婚で解決する場合


 前述の協議離婚が上手く行かない場合、調停手続で離婚を目指すことになります。

 特に相手がモラハラ夫で、離婚協議をしていても、話がうまく進展しない場合には、早期に調停を申し立てることが多いです。

 

 調停での解決にどの程度の期間を要するかですが、これもケースによって千差万別なのですが、一般的にはどんなに早くとも調停がスタートしてから3か月、長い場合には1年、または1年を超えることもあるという回答になると思います。

 それでは、モラハラ離婚の調停の場合、どのような問題で長期化しやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

 

①離婚するかどうかの部分、または離婚原因の部分で対立が激しい場合

 特に深刻なモラハラ夫のケースで多いのですが、モラハラ夫は基本的に自分が悪いことをしてきたという認識が薄いです。

 そのため、こちらからモラハラを離婚原因に掲げると、モラハラ夫側からは、以下のような反発を受けることが多くあります。例えば以下のようなものです。

・妻の我慢が足りない。

・モラハラの原因を作ったのは妻の方である。

・そこまでひどいことをしていない。

・暴力をふるったわけではないから問題ない。

 果ては、離婚調停の申立書の書き方が悪いとか、事細かに揚げ足を取ってくる場合もあります。

 このようにモラハラ離婚そのものを争ってきたり、その詳しい離婚原因に強く反発してくる場合には、詳しい離婚条件を話し合う前の段階で調停手続がストップしてしまいますので、時間を費やしてしまう原因になりかねません。

 なお、離婚する・離婚しないというところでお互いが意見を譲らない場合には、調停委員から早めに調停打ち切りを伝えられてしまうケースも多いです。調停打ち切りになってしまいますと、一旦調停の場での議論はできなくなってしまいますので、次は裁判を起こすという手順に進んでいくことになります。

 

②お子さんとの関係で嫌がらせをしてくる場合

 モラハラ夫が離婚には応じたとしても、渋々合意したと言うことが多いため、何かしらの形で嫌がらせをしたいと考えてくる人もいます。例えば、以下のような形になります。

・実際自分では育てられないと分かっているのに親権獲得を希望してくる。

・親権は争わないが、今後の監護計画を事細かに聞いてくる。

・頻繁な面会交流を要求してくる。

・しきりに学校行事や習い事の発表会への参加を要求してくる。

・養育費を出し渋る。

 モラハラ夫から上記のような要望が出された場合には、長期化要因になりますが、どの程度期間が延びるかは、夫側がどこまで執着してくるのかによっても大きく左右されます。

 

③財産分与の対象財産が多い場合、争点が多い場合

 財産分与の対象財産が比較的少ない場合や、そもそも婚姻期間が短く財産分与の必要がない場合には、その分短期決着が見込めます。

 他方で、財産が多い場合や、特有の争点が生じる場合には長期化要因になります。財産分与で争点となるケースというのは、①自宅購入時の頭金の金額・性質等に争いがある場合、②相手が一部の財産しか開示しない場合(対象財産の範囲に争いがある場合)、③婚姻前の財産の範囲や額に争いがある場合等になります。

 特にモラハラ夫は、離婚する妻に対しては極力金銭を渡したがらないことが多いため、財産分与が大きな争いになるケースも多くあります。

 

④慰謝料が争点になる場合

 モラハラも深刻な内容の場合には、相手に慰謝料を請求すべき場合もあります。

 ただ、モラハラ夫は通常自身の行動を正当化してくることが多いため、慰謝料を支払わないばかりか、こちらが慰謝料を請求してきたことそのものに不満をぶつけてくることもあります。

 この慰謝料の問題で対立する場合も紛争が長期化する要因になります。

 

 

6.裁判離婚で解決する場合


 上記のような調停手続でも離婚が成立しない場合には、やむを得ず裁判を選択せざるを得なくなります。

 

 裁判に要する期間については、それこそ千差万別であって一概に申し上げることは非常に困難です。

 ただ、裁判を申し立てる前に、既に離婚協議、離婚調停を経ているため、訴訟提起の段階で数か月は経っていることが多いと思います。そして、裁判そのものがスタートしても、さらに1年近い期間が経過することは覚悟しなければならないと思います。そのため、弁護士が事件に着手してからのトータル期間で見ますと、①裁判の申立前に既に数か月、②裁判スタート後に1年というイメージですと、トータル期間として最低でも1年数か月は覚悟しなければならないというイメージになると思います。

 

 なお、離婚訴訟を起こすとなると、裁判で勝てるだけの離婚原因があるのかという点の検討も必要になります。

 具体的には、モラハラの証拠を精査・整理することはもちろんですが、ある程度別居期間を稼ぐという観点から、多少訴訟提起の時期を遅らせるという場合もあります。そのため、調停が成立してからすぐに裁判を起こすのではなく、調停終了から裁判の申立までに一定期間を空ける場合もあります。

 

 裁判離婚の場合、原則として相手も徹底的に争ってくるケースが多いため、各離婚条件について反論や証拠集めの労を要するというように考えた方が良いと思います。

 

 

7.民法改正の影響は?


 民法改正で離婚後の共同親権が認められることになりました。

 そのため、今後は、モラハラ夫が、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権と主張してくることが強く見込まれます。また、何があっても最低限共同親権は確保したいと希望してくるモラハラ夫が増加しそうですので、従来よりも調停が紛糾してしまったり、離婚裁判が長期化することが見込まれます。

 

 

8.スピードよりも、「より良い解決」を!


 たまに弁護士が間に入ったのだから早急に解決して欲しいという要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、結論を急ぐあまりに十分納得できない内容で解決してしまうのでは本末転倒だと思います。

 

 もちろん、離婚という問題を長期間抱えることは、それだけで心理的ストレスになると思いますので、早急な解決が望ましいことは間違いありません。

 ただ、結論を急ぐあまりに不十分な内容で解決してしまうと、2年後、3年後に振り返ったときに後悔してしまうのではないかと思います。

 

 そのため、解決を急ぎつつも、ご自身が納得いく解決を目指すことができればと考えております。

 

 

9.まとめ


・協議離婚はあまり長期化せずに解決できるケースが多い。

・ただ、協議離婚でも、離婚協議書に細かな内容を盛り込む場合や公正証書を作成する場合、長期化要因になることがある。

・調停離婚はいくつか長期化する項目があり、モラハラ夫の態度が大きく影響する。

・裁判離婚に発展した場合には、それなりの期間かかることを覚悟する必要がある。

・迅速な解決が望ましいが、迅速性よりも「より良い解決」の方が大事である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(19)】モラハラ夫はどこまで離婚に抵抗してくるか?

2026.06.08更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.モラハラ夫は離婚にどこまで抵抗してくるのでしょうか?


 念のため、弁護士が担当する事件で、事件がどのように推移するのかを解説しますと、以下のようになります。

①モラハラ夫に直接コンタクトを取って話し合いをするフェーズ

 ↓

②家庭裁判所の調停という手続きを利用するフェーズ

 ↓

③家庭裁判所の裁判という手続きを利用するフェーズ

 

 あまり離婚問題を長引かせたいという方はいないと思いますので、上記の①の協議離婚のフェーズで決着させるのが利用です。

 ただ、実際に私が担当した事件の傾向を見ますと、モラハラ夫を相手にした事件で①の協議離婚のフェーズで決着した事件はかなり少数です。

 それでは、②の調停で解決したケースと、③の裁判にまで発展してしまったケースの割合がどうなのかと言いますと、私の印象としては五分五分というイメージです。

 モラハラ夫はこだわりが強い人物が多く、離婚裁判にまで至ってしまうケースが相対的に多いと感じます。

 

 

4.なぜ抵抗してくるのか理解が難しいケースも多い


 私が奥様と話をしておりますと、モラハラ夫側がなぜ離婚に抵抗してくるのか理解しがたいというケースも多いです。

 例えば、以下のようなものがあります。

 

(1)同居中はモラハラ夫の方から「離婚だ」「出て行け」と言われることが多かったのに、こちらから離婚調停を起こしたら「離婚には応じられない」などと言ってくる。

(2)同居中あれだけ沢山ひどいことを言ってきたのに、調停の席では「夫婦としてはとても仲が良かった」とか「どうして離婚と言われるのか思い当たるところが何もない」などというので信じられない。

(3)離婚調停の中で、モラハラ夫が暴言などについて謝罪してくるならまだしも、こちらを「嘘つき」呼ばわりしたり、批判してきたりするので、「そんなに私のことが嫌いなら別れればいいのに」と思ってしまう。

(4)離婚調停の中で、調停委員がモラハラ夫に「何か改善するつもりはあるか?」と尋ねたところ、「妻が変われば丸く収まる」などと言っており、話にならない。

 

 

5.モラハラ夫はなぜ抵抗してくるのか?(その理由)


 それでは、モラハラ夫はなぜ離婚にそこまで抵抗してくるのでしょうか?

 

(1)自分はひどいことをしていない

 モラハラ夫側と離婚に関する話し合いをしていると、「あなたは奥さんにこんなひどい発言をしたでしょう?」と尋ねても「そんなことは言っていない」という返事が返ってくることが非常に多いです。

 多少は自分のモラハラ発言を認めても、「怒らせる妻の方が悪い」とか「あまりに妻の家事が行き届いていないのだから怒って当たり前」とか、ひどいケースですと、「俺は妻のためを思って注意している。妻のやり方じゃあ社会で通じないに決まっているから、俺に感謝して欲しいくらいだ」とまで言ってきます。

 このように「ひどいことを何一つしていないから、離婚と言われる理由がない」と主張してくるモラハラ夫はかなり多いです。

 

(2)夫婦の上下関係から反対してくる

 モラハラ夫は妻側を下に見ていることが非常に多いです。

 そのため、「俺の方から離婚というのは良くても、お前の方から離婚というのはまかりならん」という発想のモラハラ夫はかなりの数います。

 モラハラ夫の目から見て、あなたからの離婚要求は、「下の立場の人間」が歯向かってきた、というように見えるので、とことん抵抗するとか反対するという反応になることが多いです。

 

(3)一度も直接の話し合いもできていないのに筋が通らない

 あまりに夫からのモラハラがひどいケースなどでは、別居前に夫側と離婚や別居などの話を一切できずに家を出るというケースもあります。

 このようなケースで夫側が主張してくることが多いのが、「妻と離婚について全く話ができていない」「弁護士に任せっきりで、直接話もせずに出ていくなんて筋が通っていない」「何も言わずに別居してさようならなんて、そんな勝手な話はない」と言ってくるモラハラ夫はかなり多いです。

 

(4)自分の正しさを証明したい

 離婚裁判などで対立していますと、モラハラ夫側が「自分の正しさを証明したい」と考えているように感じるケースが相当数あります。

 離婚裁判では、裁判の時点で、夫婦を離婚させるべきかどうかの決着が裁判官から示されますので、「そこで自分の正しさを証明したい」と考えるようです。

 このようなタイプのモラハラ夫の場合、離婚裁判の結論を見ない限り離婚に応じないというスタンスのため、離婚紛争が長期化してしまうことが多いです。

 

(5)お子さんの親権や面会交流のことを考えて抵抗してくる

 モラハラ夫も内心は離婚を視野に入れているように見えても、離婚になってしまうと妻側に親権を取られてしまうので、「離婚そのものに反対する」というスタンスを取るケースも相当数あります。

 また、モラハラ夫なりに希望する面会交流の頻度などがあり、そのような面会交流が保証されない限り離婚に応じないというスタンスを取るモラハラ夫も相当数います。

 

(6)浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる

 特にご年配の方で、このようにおっしゃる方が多いのですが「こんなことを言うと考え方が昭和だって言われてしまうかもしれませんけども、私は浮気したり、妻に暴力ふるったこともないから、家庭を守るのが妻の務めだと思うんですけどね」とか「私も多少言い過ぎたことはあったと思いますけど、私の両親の時代は親父がお袋に手を上げるなんてことは日常茶飯事で、それでも離婚なんて話はありませんでしたからね」といったお話をなさる方もいます。

 結婚した以上は、よほどのことがない限りは離婚なんてもってのほかだという考えで、離婚に抵抗してくるのです。

 

(7)単純に寂しい

 特にお子さんがいるケースで多いのですが、妻と子供が出て行って寂しいということで離婚に反対してくるモラハラ夫もいます。

 ただ、寂しいという理由ひとつだけで離婚に強く反対してくるかというと、実際には、前述の(1)から(6)の理由と合わせて反対してくるケースの方が多いかと思います。

 

 

6.まとめ


・モラハラ夫と協議離婚できたケースもあるが全体的には少数である。

・モラハラ夫と調停で離婚できるか裁判まで行ってしまうのかは、五分五分である。

・モラハラ夫は以下のような理由で抵抗してくる。

 ①自分はひどいことをしていない

 ②夫婦の上下関係から反対してくる

 ③一度も直接話し合う機会がなかった

 ④自分の正しさを証明したい

 ⑤お子様の親権や面会交流の観点から抵抗してくる

 ⑥浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる

 ⑦単純に寂しい

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(17)】タイプ別解説・どうしてモラハラ夫との「離婚後共同親権」を推奨できないのか?

2026.05.25更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

4.モラハラ夫と「離婚後共同親権」になった場合のリスクは?


 私の経験上、モラハラ夫との「離婚後共同親権」につきましては、オススメできないことの方が圧倒的に多いです。

 離婚後共同親権にしてしまいますと、前述のようなお子さんの進学先や重大な医療行為等について①まともな話し合いができず、いつまでも決められないとか、②モラハラ夫が自分の考えを押し付けてくるので、話し合いにすらならないということになりかねないからです。

 また、モラハラ夫は離婚後共同親権の内容を正確に理解せず、お子さんの習い事など親権の対象外の話題についても細かく口出ししてくるリスクもあります。

 ただ、これだけですとイメージがつきにくいと思いますので、モラハラ夫との「離婚後共同親権」になってしまった場合、どのようなリスクがあるのか、代表的なモラハラタイプ9タイプに分類して具体的に解説していきます。

 なお、モラハラ夫によっては、下記の9個のタイプに複数該当する場合もありますので、複数該当する場合には、該当するタイプそれぞれの解説を両方ご覧下さい。

 

 

5.【タイプ①】ともかく自分の考えを曲げないモラハラ夫の場合


 「ともかく自分の考えを曲げないモラハラ夫」というのは、自分の考え方が正しいという固定観念が強いため、①こちらの言うことを全く聞かない、②モラハラ夫の考え方を押し付けてくるような夫のことを意味します。

 このようなタイプのモラハラ夫と離婚後も共同親権になってしまいますと、主に、以下のようなリスクがあります。

  • (モラハラ夫は)不合理なものでも自説を曲げないので、子の福祉に反する結論に進みそうになる。
  • 子供の意思ではなく夫の意思が優先されやすいので、子供の意思がないがしろにされがちになる。
  • モラハラ夫の母校とか、他人に自慢できる学校などに進学させたがるので、子供の将来のためにならない。
  • モラハラ夫は、上下関係で、あなたの方を「下」と考えているので、対等な話し合いができない。
  • いくらあなたが説明をしても、モラハラ夫は自分の考えを譲らないため、あなたの方が疲弊してしまう。

 そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

6.【タイプ②】ともかく口が上手いモラハラ夫の場合


 「ともかく口が上手いモラハラ夫」も、自分の考え方が正しいという固定観念を持っていることが多いのですが、言葉巧みに自分の意に沿うような結論に持っていこうと話をするので、あなたの考えが反映されないようなパターンを意味します。

 このようなタイプのモラハラ夫と離婚後も共同親権になってしまいますと、主に、以下のようなリスクがあります。

  • 結局夫の希望するような結論に話を持っていかれてしまう。
  • 夫がもっともらしい話をしてくるため、こちらが「それで良いのかも」と言ってしまうと、「お前も同意した」ということで、その後の軌道修正ができない。
  • 急に全く違う話などを持ち出されて、混乱している間に結論を決められてしまう。
  • モラハラ夫は、こちらの意見が誤っているという言い方をしてくることが多いので、こちらの自己肯定感が下がりやすい。

 そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

7.【タイプ③】ともかく口が悪いモラハラ夫の場合


 「ともかく口が悪いモラハラ夫」というのは、常に他人の悪口ばかり口にしているとか、自分の意に沿わない場合には、すぐに声を荒げたり高圧的な態度に出るような夫のことです。

 このようなタイプのモラハラ夫と離婚後も共同親権になってしまいますと、主に、以下のようなリスクがあります。

  • 夫のことが怖いので、まともに会話ができない。
  • こちらが何も言えないでいると、「じゃあ、俺の意見の通りで」と言ってくるので、夫の言う通りに話が進んでしまう。
  • 夫を怒らせないように、という方向で話を進めがちで、子供のためにならない。
  • 夫の意に反する話をすると、こちらが強く批判されるので、話し合いで疲弊しがち。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

8.【タイプ④】ともかく言うことがコロコロ変わるモラハラ夫の場合


 「ともかく言うことがコロコロ変わるモラハラ夫」というのは、ついこの前言っていたことと全く異なる意見などを平気で言ってくるような夫のことです。ついこの前言っていたことがまるでなかったかのように話してくるのが特徴です。

  • (モラハラ夫が優柔不断のパターンの場合)あなたの意見ばかりを言わせて批判してくるだけなので、結局何も決まらない。
  • (モラハラ夫が平気で嘘をつくパターンの場合)つい数日前に言っていたことと話が違うので、こちらは話についていけない
  • (モラハラ夫が様々な意見や情報で意見をコロコロ変える場合)コロコロ変わるので、結論が出ない・出せない。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

9.【タイプ⑤】ともかくケチなモラハラ夫の場合


 「ともかくケチなモラハラ夫」というのは、安いものを購入しようとしたり、必要なものでも購入したがらないような夫のことです。

  • 子供の将来のためという視点より、経済的に得な選択をしたがる。
  • 通塾などお金のかかることに強く反対してくる。
  • 学費の支払いを渋ったり、あなたに負担させようとしてくるため、選択肢が狭まる。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

10.【タイプ⑥】ともかく神経質なモラハラ夫の場合


 「ともかく神経質なモラハラ夫」というのは、些細なことでも細かく気にしたりするような夫のことです。

  • 本来の共同親権の範囲外の習い事や普段の生活のことなどに事細かく意見を言ってくる。
  • 本来の共同親権の範囲外の習い事や普段の生活のことなどで頻繁に連絡が来るので、応対が大変である。
  • (塾の送迎など)「協力する」と言うので頼むと、(子供と二人だけの場面で)子供に対してしつこく指摘し始める。
  • モラハラ夫の独自のこだわりなどで進学先等を決めようとするので、子供の将来のためにならない。
  • 学校説明会など、こちらが参加したイベントについて事細かく質問してきたり、あなたに報告書を作成するよう命じてくる。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

11.【タイプ⑦】ともかく話がくどいモラハラ夫の場合


 「ともかく話がくどいモラハラ夫」というのは、同じことを何度も繰り返し主張してくるとか、経緯や理由などについて長々と説明してくるような夫のことです。

  • 延々と話が続くので、疲れてしまう。
  • モラハラ夫の意に沿わない意見をいうと、余計に話が長くなるので、気を遣いながら話をしなくてはならず、疲弊する。
  • (モラハラ夫は)不合理なものでも自説を曲げないので、子の福祉に反する結論に進みそうになる。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

12.【タイプ⑧】ともかく引きこもりがちなモラハラ夫の場合


 「ともかく引きこもりがちなモラハラ夫」というのは、都合が悪くなったり、不機嫌になると自室に籠ってしまうような夫のことです。

  • いつまでもモラハラ夫の返事が戻ってこないので、話が全く進展しない。
  • モラハラ夫の検討に非常に時間がかかるので、まどろっこしく感じる。
  • あまりに返事が遅いので、こちらで決めようとすると反発してきたりする。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

13.【タイプ⑨】ともかくこちらを監視したがるモラハラ夫の場合


 「ともかくこちらを監視したがるモラハラ夫」というのは、こちらの行動などを事細かく監視したがる夫のことを言います。

  • 本来の共同親権の範囲外の習い事や普段の生活のことなどに事細かく意見を言ってくる。
  • 本来の共同親権の範囲外の習い事や普段の生活のことなどで頻繁に連絡が来るので、応対が大変である。
  • 子供に夫名義の携帯電話やタブレットをもたせて位置情報や子供のデータを把握したがる。
  • 子供の写真データをアプリなどで共有することを強要してくる。
  • 室内に見守りカメラを設置して、子供の普段の様子を把握したがる。
  • 学校説明会など、こちらが参加したイベントについて事細かく質問してきたり、あなたに報告書を作成するよう命じてくる。

そのため、このような傾向が強いモラハラ夫との「離婚後共同親権」はオススメできません。

 

 

14.まとめ


・モラハラタイプには代表的なものでも以下の9個のタイプがある。

 ①ともかく自分の考えを曲げないモラハラ夫

 ②ともかく口が上手いモラハラ夫

 ③ともかく口が悪いモラハラ夫

 ④ともかく言うことがコロコロ変わるモラハラ夫

 ⑤ともかくケチなモラハラ夫

 ⑥ともかく神経質なモラハラ夫

 ⑦ともかく話がくどいモラハラ夫

 ⑧ともかく引きこもりがちなモラハラ夫

 ⑨ともかくこちらを監視したがるモラハラ夫

・いずれについても、モラハラ傾向が強い夫との「離婚後共同親権」はオススメしない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(16)】別居にあたって事前にお子様にはどこまで話しておくべきか

2026.05.11更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.改正民法における転居の取り扱い


 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

 そして、このことは、あなたとお子さんとの関係でも配慮が必要なことを意味します。別居にあたって、お子さんに何も説明せず、お子さんの気持ちが調わない状況で別居を開始してしまうと、別居がお子さんの利益にかなうのかという問題が生じ得るのです。

 

 

4.お子様に別居のことをいつ、どこまで話すかは非常に悩ましい


 お子様がまだ乳幼児で、自分の意思を示すことができないという年齢でしたら、別居のことを伝えても理解できませんので、悩む必要はありません。
 他方で、お子様が自分の生活環境等を理解している場合、事前に何も伝えずに別居するというわけにもいかないでしょうから、いつ、どこまで話をするのかということは悩ましい問題になるケースも多いです。以下、詳しく解説していきます。

 

 

5.お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半


(1)お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半
お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、かなり周りのことを理解できる年齢になっておりますので、別居すること、今住んでいる自宅には戻らないことについては事前に話をし、その理解を得ておくケースが大半かと思います(離婚まで言及するかは、お子様のご様子にもよるかと思います)。
 特に、お子様が小学校高学年の場合、「別居は構わないけれども、小学校は変わりたくない」とか「今まで通り習い事は続けたい」もしくは「仲の良い友達とは引き続き会いたい」といった自分の意見が出てくることが多いため、その意見を無視して別居することは難しいと思います(お子様の意見を無視して別居すると、後から「自宅に帰りたい」といった意見が出て、親権争い等で不利になる可能性もあるという意味です)。

 その際に、お子様にどこまでの話をするのかという点ですが、お子様が小学校高学年の場合、普段のモラハラ夫の行動や言動はしっかりと認識していますので、詳しく説明しなくとも「お母さんは、お父さんと一緒に暮らしていくことが難しいから、この家を出て暮らすけれど、一緒に来る?」といった簡単な説明で済むケースも多いかと思います。
 なお、夫婦の紛争に関する話を事細かにお子様に話すのは好ましくないとされていますので、特に必要がない限り、あまり詳しい説明はしない方が良いと思います。

 

(2)別居の何週間前、何か月前くらいに話をするか
 これは、ケースによって皆さんそれぞれなのですが、①お子様自身の口から「こんなお父さんと一緒に暮らしたくないから早く離婚して欲しい」とか「お母さんが可哀想だから、早く別れて欲しい」といった積極的な言葉が出ている場合には、別居の2,3か月前とか、比較的早い段階から別居のことを伝えているケースが多いように感じます。

 逆に、別居のことをお子様に伝えるとお子様が頭を悩ませてしまいそうだとか、お子様は別居したくないという気持ちの方が強い場合には、いつ頃話をするかは悩ましい問題です。
 このような場合には、お子様にじっくり考えてもらうために、早い段階で別居の話を伝えておいた方が良いケースもある反面、早めに伝えると、お子様を通してモラハラ夫に別居のことが伝わってしまうというリスクがあります(お子様の口から話が伝わると不正確な情報が伝わってモラハラ夫が感情的になるリスクがありますし、あなたがモラハラ夫にどう別居を切り出そうか悩んでいる段階で伝わると、話が混乱するおそれもあります)。
 そのため、お子様の性格やお子様とモラハラ夫との関係性等も考慮して、お子様に話をするタイミングを検討すべきことになろうかと思います。

 

(3)お子様が15歳以上の場合、事前に説明をして理解を得ておくことはほぼ必須
 前述の通り、お子様の年齢が小学校高学年以上の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半でしょうが、その中でも、特にお子様が15歳以上の場合には、その理解を得ておくことはほぼ必須になります。
 と言いますのは、お子様が15歳以上の場合、裁判所が親権者を決めるにあたっても、お子様の意見を確認することが必須事項となっておりますので、別居に際しても、より一層慎重に対応したほうが良いということになるのです。

 現実的にも、お子様が15歳以上の年齢ですと自分の意見が出てきますので、十分理解を得ておかないと、「自分はここに残る」という意思表示をしてくるケースも多いかと思います。

 

 

6.お子さんに説明する内容


 モラハラ夫と離婚理由等について話をしながら、平行してお子さんに話をしなければならない関係で、お子さんに対する説明もどうして夫婦仲よくできないのかという話に目が行きがちです。

 しかし、あまりご夫婦の問題ばかりをお子さんに話すと、ご夫婦の紛争にお子さんを巻き込んでしまうことになりますし、モラハラ夫への悪口になってしまう危険性があります。

 そのため、仮にご夫婦の関係について説明するにしても「お父さんとお母さんは一緒にいると喧嘩になっちゃうから、別々に暮らすことにした。お父さんがあなたのことを好きなことは変わらないよ。」といった説明をすることが多いです。

 むしろ、お子さんに対する説明として重要になるのは、引っ越し先がどのあたりになるのか、引越後の生活がどのようなものになるのかという点を説明し、お子さんの理解と納得を得ておくことです。引越という話をした場合の、お子さんの不安や関心は、お子さんごとに異なると思いますので、お子さんの気持ちに寄り添った説明を心がけて下さい。

 

 

7.お子様が小学校低学年以下の年齢の場合、お子様の理解力などに応じて検討する


 お子様が小学校低学年以下の場合でも、小学生の場合には、おおよその環境等の理解は進んでいると思いますので、少なくとも事前に別居のことは伝えるべきかと思います。
 ただ、小学校低学年以下の年齢ですと、お子様がモラハラ夫に別居のことなどを話してしまう危険性が高いので、(モラハラ夫に)不正確に話が伝わって混乱しそうだという場合には、あまり早い段階で話をしない方がよいかと思います。
 お子様が小学生未満の場合には、お子様の理解力に応じて、事前に別居のことを伝えるかどうかも含めて検討していくことになろうかと思います。

 

 

8.別居や離婚は、お子様にとっても「自分事」だという認識を持つことが大事


 別居や離婚は、あなたにとっても大きな不安事ですし、どうやったら円滑に離婚できるのかといったことで頭がいっぱいになってしまう方も多いと思います。
 ただ、別居で生活環境が変わるのはあなただけではありません。
 お子様も様々な悩みや不安を抱えることになると思いますので、別居や離婚は、あなた自身の「自分事」というだけではなく、お子様にとっても「自分事」なんだという気持ちをもって接するのが良いかと思います。

 

 

9.まとめ


・お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半である。
・お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、(お子様自身が状況をよく理解しているので)別居にあたっての詳しい説明は不要なことも多い。
・お子様が別居や離婚に賛成派の場合、比較的早い段階から別居のことを伝えているケースが多い。
・お子様が15歳以上の場合、事前に説明をして理解を得ておくことはほぼ必須である。
・お子様が小学校低学年以下の年齢の場合、お子様の理解力などに応じて検討する必要がある。
・お子さんに対しては、離婚理由等の夫婦に関する話は、できる限り避けたほうが良い。

・別居や離婚は、お子様にとっても「自分事」だという認識を持つことが大事である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(15)】別居や離婚を告げた時のモラハラ夫の反応と対処法

2026.05.04更新

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神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.気になるモラハラ夫の反応は?


 以下では、あなた自身がモラハラ夫に対して別居や離婚の話を切り出したときにモラハラ夫がどのように反応することが多いのかについて解説していきます。なお、実際に別れ話を切り出してみると、こちらが予測していたのとは異なる反応を示すこともありますので、予め心の準備をしておくという意味でも参考にして頂けるとありがたいです。

 

 

4.【ケース1】モラハラ夫が全く真剣に受け取ってくれない


 私が事件を担当していて、モラハラ夫の反応として一番多いと思われるのが、真剣に受け取らないという反応です。
 特に、あなたが専業主婦であったり、パート勤務で収入が少ないような場合には、「離婚しても自分の収入だけで生活できるはずがない」などと考えるモラハラ夫が多いようです。
 また、これは別れ話のタイミングにもよるのですが、夫婦喧嘩の際などに、別れる旨を話した場合には、モラハラ夫は、こちらが一時的な感情で離婚や別居を口にしたと誤解しているケースも多いです。
 このようにモラハラ夫が真剣に受け取らないという場合には、真剣に受け取るような伝え方をしていくのが良いと思います。例えば、お互いの両親を交えた大家族会議のような形式をとるとか、具体的な別居開始日を決定してしまって話をするとか、もしくは、別居開始後に改めて話をするといった方法が考えられます。

 

 

5.【ケース2】モラハラ夫が急に神妙になる・謝ってくる


 モラハラ夫は、家庭内ではモラハラ発言等ばかりであっても、家庭の外では、まるで別人のように社交的にふるまうというような人物も多いです。そのようなモラハラ夫の共通点としては、「自分がどのように行動すると自分に有利になるのか」といったことを計算できるということです。
 そのため、あなたが真剣に別居や離婚のことを伝えると、一旦はあなたを落ち着かせたほうが良いと考え、モラハラ夫は神妙になったり、急に謝ってくるのです。

 

 このような場合によく質問を受けるのが「今は神妙にしているけれども、演技なので長続きしませんよね?」といったご質問です。
 私は実際にあなたの夫に直接会ったことも直接話したこともないため確証をもってお話しできないのですが、「これまでのモラハラ行為の重症度に応じて推測するしかありません」とお答えすることが多いです。これまでのモラハラの重症度が重い場合には、残念ながら、今は神妙にしていても長続きしなかったり、モラハラ行為が再燃する確率が高いと言えますし、逆に、これまでのモラハラの重症度がそこまで重くない場合には、モラハラ行為が再燃する確率は高くはないかもしれません。

 

 実際に私が担当したケースですと、反省が長続きしないケースだと「数日で元に戻ってしまった」というケースもあります。

 なお、モラハラ夫がこれまで一度も謝ったことがなかったような場合には、今回初めてモラハラ夫が謝ってきたことであなたも嬉しくなってしまい、安心してしまうということもありますが、残念ながらそれが演技の可能性もありますので、今後も多少なりとも用心しながら生活したほうが良いと思います。

 

 

6.【ケース3】モラハラ夫が猛反発してくる


 重症のモラハラ夫でよくあるケースですが、あなたが真剣に別れ話をしたことで、猛反発してくるケースです。
 そもそも、モラハラ行為をする人間は、自分が悪いことをしていないと考えている人が多いです。「あなたが俺を怒らせるのが悪い」「怒らせる原因を作ったのはあなただ」「あなたの家事があまりに不十分なので注意しただけで、感謝されても責められる謂れがない」といった発想です。
 このようにモラハラ夫としては何も悪いことをしていないと考えていますので、突如あなたから離婚や別居を突き付けられて、離婚する理由がないとか、もっと家族円満にできるようあなたの方が努力すべきだなどと強く反発してくるのです。

 このような場合、あなた一人でこれ以上別れ話を進展させていくことは難しいですし、あなたのモラハラ被害が拡大していくだけなので、他の親族の協力を得るなど話の持って行き方や、離婚に向けての手順等をしっかりと検討していったほうが良いと思います。

 モラハラ夫の反発が強く、これ以上一緒に生活していくことが困難だという場合には、別居の段取りを組んだ上で、別居後の話し合いは弁護士に一任するという対応を取った方が良いかもしれません。

 

 

7.【ケース4】表面的に波風を立てないようにしつつ離婚準備を始める


 表面的にモラハラ夫側の動きが見えにくくなるので、一番油断がならないケースです(ただ、私が実際に担当した事件でも、このように対応するモラハラ夫はごく少数です)。

 例えば、①表面的にはこちらへの圧が大きく軽減されたが、子供への関わりが非常に積極的になったケース(最悪離婚になっても、新件を獲得すべく準備しているケース)、②表面的にはモラハラ発言等が大きく減ったが、預金をインターネットバンキングに変更したり、これまで置いてあった共用スペースから勝手に移動し始めた(最悪離婚になっても、財産分与でなるべくお金を渡したくないので、財産隠ぺいを目論んでいるケース)といったものが考えられます。
 モラハラ夫はこちらの予想以上に計画的に準備を開始している可能性もありますので、十分用心する必要があります。

 

 

8.【ケース5】こちらのことを無視してきて話ができなくなる


 何か都合が悪いことが起こると自室に引きこもってしまうとか、無視が始まるというパターンのモラハラ夫の場合、こちらが別れ話を伝えると、また無視が開始するというパターンが強く想定されます。

 そのような場合でも、お子さんを連れて別居するという場合には、少なくとも、お子さんのことについて話し合おうとしたという痕跡を残す必要がありますので、仮に実際の話し合いが実現しないとしても、話し合いを持ちかけた痕跡として、LINEで話し合いを持ちかけるなど工夫しておいた方が良いです。

 

 

9.上記のケースはあくまで代表例であること


 上記で詳しく解説したケースはこれまで私が直接担当した事件での実際の事例なのですが、あくまで代表的なものに過ぎません。
 そのため、前述のケースの枠に入らない反応を示すケースもあると思います。
 また、前述のケースは、必ずしも、どれか一つのみが当てはまるということではありません。複数が当てはまるというケースも往々にしてありますので、この点も留意が必要です。

 

 

10.まとめ


・奥様が直接モラハラ夫に別れ話などを切り出したときの夫側の反応としては以下のようなものがある。
 ①全く真剣に受け止めない
 ②急に神妙になる・謝罪してくる
 ③猛反発してくる
 ④表面的には波風を立てないようにしつつ離婚準備を進める

 ⑤こちらのことを無視してきて話ができなくなる
・これらはあくまで代表例なので、違うケースもあり得るし、複合的なケースもあり得る。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(14)】モラハラ夫への別居や離婚の切り出し方

2026.04.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.事前に夫に相談した方が良いか?


 事前に夫に相談した方が良いかどうかは、未成年のお子さんがいらっしゃるかどうかで場合分けした方が良いので、以下場合分けして解説します。

 

(1)未成年のお子さんがいない場合

お子さんがいない、もしくは、お子さんが既に成人している(満18歳に達している)場合には、お子さんに対するモラハラ夫の親権といった問題を気にする必要はありません。

 そのため、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であったり、そこまでの深刻な内容ではなかったとしても、別居話をするとモラハラ夫が強く反発してきてそのことであなたがひどく疲弊すると見込まれるような場合、無理に事前に別居話をする必要はないと思います。それ以外のケースの場合、あなた自身の心理的負担とモラハラ夫がどのように反応しそうかに応じて、事前に話をしておくべきかを検討していくことになります。

 

(2)未成年のお子さんがいる場合

ア)(未成年のお子さんがいるご家庭での)改正民法における転居の取り扱い

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

 

イ)【未成年のお子さんがいる場合】事前にモラハラ夫に相談することは必須なのか?

 前述のような改正民法の規定に鑑みますと、事前にモラハラ夫に相談すらしないでお子さんと別居を開始することは基本的にリスクになってしまいます。

 しかしながら、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、無理に事前に話をすると、被害が拡大したり、あなたの精神的不調が悪化するリスクがありますので、事前に相談せずに、お子さんと一緒に別居することもやむを得ないと思います。

 なお、その場合でも、モラハラ夫は、自身の非を認めない傾向が強いので(自分に都合の悪いことは否定してくることが多い)、このような身体的暴力の危険性やあなたの精神的な不調については、過去の診断書や写真等裏付け証拠を事前に得ておくと安心です。

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出すべきだと思います。前述のような改正民法の規定がありますので、これに明確に違反して別居を開始することは、今後の親権の紛争でも不利になってしまうリスクがあるからです。

 

 

4.実際皆さんどうしているのか?


 これは改正民法が施行される前の状況ですが、既に弁護士に頼むことを決断している場合には、多少はモラハラ夫に話をするけれども、その後の話は弁護士に任せてしまうとか、ほとんど話をしないで別居をする(置き手紙だけを残す)というパターンが多かったと感じます。

 これに対して、弁護士を立てるとモラハラ夫が強く反発してきそうだと考えて、自分でできるところまで話をしたいという方の場合は、時間と根気をかけて話をしている方が多い気がします。

 以前はこのような傾向でしたが、改正民法施行後で、未成年のお子さんと一緒に別居するという場合には、何もモラハラ夫に伝えずに別居を開始することは残念ながらリスクと言えますので、より慎重な対応が必要になってきます。

 

 

5.自分で夫に話をすると決意した場合、伝え方の工夫等はあるか?


 自分でモラハラ夫に話をすると決意した場合、どのように伝えるべきかと相談を受けることがあります。その場合、私からは以下のようにアドバイスしています。

 

(1)【離婚を切り出すポイント1】お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す

 夫婦を長年続けておりますとどうしてもカッとなってしまうこと、喧嘩をしてしまうこともあると思います。

 そんなときに、つい「離婚してやる」とか「離婚して欲しい」と口走ってしまうこともあるかもしれませんが、これではお互いに冷静な話し合いは期待できません。

 

 また、酔った勢いで離婚を申し入れても相手は真剣に受け取らないでしょうし、相手が酔った状況で話をしても、話は進展しないと思います。

 上記のシチュエーションは極端な例ですが、そうでなくとも、①家庭内別居の期間が長く、モラハラ夫が何を考えているのか、何を言い出すのかわかりにくい状況や②モラハラ夫が不機嫌で冷静な話し合いが期待できない状況の場合もあると思います。モラハラ夫が不機嫌な場合には一定期間を置いて冷静になるのを待ったり、事前にメールやLINE等にて「大切な話があるので時間を取って下さい」と伝えた上で話し合いの日時を決めるなどすることも考えてみて下さい。 

 

 いずれにしましても、お互いが冷静な状況・環境で話をすると言うことは当たり前のことのようでも重要なことです。

 

 

(2)【離婚を切り出すポイント2】具体的なエピソードを思い出す

 離婚のご相談を受けておりますと、抽象的な理由ばかりで具体的に相手のどのようなところが悪いのか、合わないのかがはっきりしないということがあります。

 例えば、「頻繁に暴言を浴びせてくる」とか、「相手はモラハラ夫なんです」と訴えてくる方もいらっしゃいますが、具体的にどのくらいの頻度で(ほぼ毎日なのか、1週間に1回程度なのか等)どのようなことを言ってくるのかが分かりませんと、対応ができません。

 

 ただ、モラハラ夫の嫌いなところを列挙すると、とりとめがなくまとまらなくなってしまうと言うこともあります。

 そのため、まずは、自分が相手とやっていけないと思う「一番の理由」を考えてみて下さい。

 その理由を選び出したら、婚姻中、具体的にどのような行動や言動があったのか重要なことだけでも良いので良く思い出して列挙してみて下さい。

 

 例えば、以下の様なものになります。

(参考例)

 先月上旬にモラハラ夫から「お前のように家事ができない女は要らないから今すぐ出て行け」と言われた。このような発言は、モラハラ夫の指示通りの献立で夕食を準備したのに、帰宅すると「今日はこんなに暑かったんだから涼しいメニューを作れ」などと発言してきて上記の発言につながった。

 相手の言うとおりに作り直していると、モラハラ夫は、空腹に耐えられないと言って家を出て、一人外食をして帰ってきた。

 

 このようにあなたが考える離婚理由を整理しておきますと、いざモラハラ夫と話をする際にも離婚話にメリハリをつけることができます。

 相手がモラハラ夫なのですから、こちらが離婚したい理由を話すと、即座に反論してくる、こちらを批判してくると言うことも予想されます。その反論や批判にすぐには負けないだけの準備をしておいた方がよいでしょう。

 

 なお、口頭だと十分に自分の意見を伝えられないという場合には、事前に手紙を作成しておいて、その手紙を渡してその場で読んでもらうという方法を取ることもあります。

 

(3)【離婚を切り出すポイント3】こちらが本気だと分かってもらう工夫をする

 離婚を切り出す相手はモラハラ夫なので、最初からこちらを下に見ていると言うことも往々にしてあります。特にこちら側が専業主婦という場合には、現状収入を得ていないと言うこともあって、モラハラ夫の側は本気にしてくれないと言う可能性も出てきます。そのため、こちらとしては悩んだ末に、やっていけないと考えて離婚を真剣に切り出しているのに、モラハラ夫からほとんど相手にされないという事態が発生し得ます。

 このような事態を避けるために、どのような方法が考えられるのかを、以下の通りご説明します。

 

①きちんと「離婚」というフレーズを使う

 長い間モラハラ被害受け続けていると、モラハラ夫の機嫌を損なう発言をしにくいというケースも多いです。そのため、遠慮がちに「もうやっていけないと思ってるんだけど」とか「夫婦の今後のことについてどう思ってるの?」と言った曖昧な表現になってしまうこともあります。

 しかし、このような曖昧な表現ですと、モラハラ夫はこちらの離婚意思をしっかりと受けとめてくれないかもしれません。

 そのため、あなたの口から離婚を切り出すと決めたのでしたら、きちんと「離婚」というフレーズを使ってモラハラ夫にきちんと話をして下さい。

 

②実家の両親などに間に入ってもらう 

 あなた自身の口で離婚のフレーズを伝えたのにモラハラ夫が真剣にとらえてくれないというケースもあります。そのような場合には、こちらが真剣に離婚したいと思っていることをアピールするため、ご実家の両親や親戚なども交えて離婚の話をするという方法が考えられます。

 この場合には、相手の両親も一堂に会して家族会議のような形で話をしてみるのもよいと思います。

 ご夫婦同士の直接の話し合いだと、相手が真剣に受けとめないという場合には、このような方法は有効打となることがあります。

 

③どうしても真剣に捉えてくれない場合「別居する」というのも選択肢の一つ

 身内が間に入って話をしてもモラハラ夫が真剣に受けとめないとか、自分に都合の良い捉え方しかしないため話が進まないという場合、別居という手段を取ることも検討してみて下さい。

 この場合は、一時的に実家に戻るという形が多いと思います。

 なお、相手に無断で別居を強行してしまいますと、相手がこちらの実家まで乗り込んでくるなど、話が複雑になりがちなので、別居については相手に相談をした上で進めるのが望ましいと言えます(もちろん、モラハラ被害が深刻な場合等には、無理は禁物です)。

 

④家庭裁判所に調停の申立をする

 ご夫婦が直接話し合うだけでは話が進展しないという場合、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法もあります。

 ただ、調停の申立が必要かもしれないと迷われているという場合には、まずは、弁護士に相談してみることをオススメします。

 

 

(4)【離婚を切り出すポイント4】メールやLINEで切り出すことは避ける

 私が相談に乗っておりますと、たまに「もう何年も夫と家庭内別居生活で、必要なことはLINEでやり取りするようにしていますので、離婚のこともLINEで切り出そうと思います」とお話になる方もいます。

 しかし、離婚という重大なトピックですので、メールやLINEでは、モラハラ夫側にこちらの意図が伝わらないケースが多いと思います。

 家庭内別居期間が長い場合、急に夫と顔を合わせて話をすることが難しいということも多いと思いますので、例えば、事前に「大事な話がありますので、今週末時間を作って下さい」とLINEをし、その週末に顔を合わせて話をするとか、あなたの実家のご両親にも立ち会ってもらって、話をするなどの方法も検討してみてください。

 

 

(5)【離婚を切り出すポイント5】冷静な話し合いを維持する工夫をする

 前述の通り、離婚を切り出す際には、冷静に話ができる状況で切り出すべきだと思いますが、話をしていると、お互いにヒートアップしてしまうというケースも往々にしてあります。

 特に、前述のように、あなたの方から離婚の理由を説明し始めると、モラハラ夫側からは「そんなことは言っていない」「誤解している」とか「そんな昔の話を持ち出すなんておかしい」「その話は解決済みだから今更持ち出さないで欲しい」等々様々な反論が返ってくることもあります。売り言葉に買い言葉で夫婦喧嘩になってしまいますと、折角最初は冷静な状況だったのに、途中から、あの時はこうだった、どうだったという話が延々と続いて、収拾がつかないというケースも多いです。

 いずれにしましても、話をしている途中で冷静な話し合いを維持できなくなりそうになった場合には、一旦話は打ち切って、後日改めて、前述のように両親にも立ち会ってもらって話をするとか、冷静な話し合いを維持できる工夫をした方が良いと思います。

 

(6)【離婚を切り出すポイント6】お子さんのこともしっかり議論する。

 前述の通り、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、事前に別居話をしないということもやむを得ないと思います。

 他方、そこまでモラハラ被害が深刻ではないという場合には、事前にお子さんのことも話すことが必要になります。

 あなたが普段からお子さんの世話をしてきた場合には、その旨を伝えて、あなたと一緒に家を出ると話していくことになると思います。

 お子さんとの関係でも話し合いをしたということは、今後重要になってきますので、最低限、話し合いをした日時、どのくらいの時間話をしたのか、どのような話が出たのかについてはその都度メモを取るようにして下さい。

 

(7)【離婚を切り出すポイント7】今後の経済面についても考えておく

 元々、モラハラ夫が自分の稼ぎを誇示してきたり、こちらの稼ぎがない・もしくは低いことを酷評してきているような場合には、離婚を切り出したときにも、「離婚してもお前だけでは生活できない」と言われてしまう事が強く懸念されます。

 また、いずれにしても、離婚した後の生活費のことはある程度計画を練っておく必要があります。

 現状専業主婦という場合には、離婚後、実家で暮らし、再就職先を探しつつ生活をしていくという形が一番現実的かもしれませんが、いずれにしましても、離婚後の経済面のことは具体的にイメージしておかないと、モラハラ夫側から、つけ入る隙を与えてしまいます。

 

(8)【離婚を切り出すポイント8】あまりズルズルと引き延ばさない

 離婚というトピックは重たいトピックになりますので、「話しづらい」「気が重い」「夫の反応が怖い」といったことで、ついつい先延ばしにしてしまう事もあります。

 もちろん、現状の生活に決定的な不満があるわけではないということでしたら、離婚を切り出すタイミングを急ぐ必要はないのですが、離婚を固く決意しているようでしたら、あまり話を先延ばしにするメリットはないと思います。

 そのため、しっかりと離婚を決意した場合には、あまり先延ばしにせず離婚話を切り出した方が良いと思います。

 また、一度離婚を切り出した後は、一定期間モラハラ夫側の反応や様子を見る必要があると思いますが、あまり長く引き伸ばしてしまいますと、こちらの離婚の本気度が疑われてしまいます。

 そのため、一度離婚を切り出した後も、あまり長期間間を置かずに、改めて話をしたり、話が進展しない場合には、伝え方を変えるなどの工夫をしていった方が良いかと思います。

 

 

6.伝える前の準備


 あなたの方から別れ話を切り出すと決意した場合、どのように話を持って行ったほうが良いか、どこまで話をするのかという点についてはしっかりと準備することが多いと思いますが、その前に別の準備が必要になります。
 と言いますのは、こちらが別れ話をすると、先方は、最悪離婚になっても良いように自分名義の資産を隠し始めるといったケースがあるのです。
 そのため、別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要になります。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫に事前に別居話をするかどうかは、未成年のお子さんがいるかどうかで対応が異なってくる。

・未成年のお子さんがいない場合、別居話をせずに別居を開始することもやむを得ないとされる余地が大きい。

・逆に、未成年のお子さんがいる場合、基本は事前に別居話をしていくことになる。

・未成年のお子さんがいる場合、あなたがお子さんを連れて別居することをしっかりと伝えて話し合う必要がある。

・ ご本人で離婚を切り出す場合、お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す。

・ 具体的なエピソードを元に離婚の理由を話す。

・ こちらが本気だと分かってもらう工夫をする。

・メールやLINEで切り出すことは避ける。

・冷静な話し合いを維持する工夫をする。

・今後の経済面のことも考えておく。

・あまりズルズルと引き延ばさない。

・別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが大事である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(13)】別居準備の注意点11選

2026.04.14更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 以下で、モラハラ夫との別居にあたってどのような準備をすべきか、検討すべきかについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【検討項目①】事前に夫に相談した方が良いか?


 事前に夫に相談した方が良いかどうかは、未成年のお子さんがいらっしゃるかどうかで場合分けした方が良いので、以下場合分けして解説します。

 

(1)未成年のお子さんがいない場合

お子さんがいない、もしくは、お子さんが既に成人している(満18歳に達している)場合には、お子さんに対するモラハラ夫の親権といった問題を気にする必要はありません。

 そのため、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であったり、そこまでの深刻な内容ではなかったとしても、別居話をするとモラハラ夫が強く反発してきてそのことであなたがひどく疲弊すると見込まれるような場合、無理に事前に別居話をする必要はないと思います。それ以外のケースの場合、あなた自身の心理的負担とモラハラ夫がどのように反応しそうかに応じて、事前に話をしておくべきかを検討していくことになります。

 

(2)未成年のお子さんがいる場合

ア)(未成年のお子さんがいるご家庭での)改正民法における転居の取り扱い

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

イ)【未成年のお子さんがいる場合】事前にモラハラ夫に相談することは必須なのか?

 前述のような改正民法の規定に鑑みますと、事前にモラハラ夫に相談すらしないでお子さんと別居を開始することは基本的にリスクになってしまいます。

 しかしながら、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、無理に事前に話をすると、被害が拡大したり、あなたの精神的不調が悪化するリスクがありますので、事前に相談せずに、お子さんと一緒に別居することもやむを得ないと思います。

 なお、その場合でも、モラハラ夫は、自身の非を認めない傾向が強いので(自分に都合の悪いことは否定してくることが多い)、このような身体的暴力の危険性やあなたの精神的な不調については、過去の診断書や写真等裏付け証拠を事前に得ておくと安心です。

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出すべきだと思います。前述のような改正民法の規定がありますので、これに明確に違反して別居を開始することは、今後の親権の紛争でも不利になってしまうリスクがあるからです。

 

 

4.【検討項目②】絶対にこちらの動きを察知されないこと


 事前に夫側に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることが非常に重要になります。また、事前に別居話をしていたとしても、モラハラ夫がこれに反対し続けている場合、こちらの別居準備の状況を知られると妨害を受けるなどするリスクもありますので、同様のことが言えます。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

 

5.【検討項目③】親族・友人等の支援体制を整えること


 特に夫側に事前に告げずに別居を開始した場合、夫があなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

 

6.【検討項目④】置き手紙の活用


 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、離婚を考えての別居であること、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。と言いますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

7.【検討項目⑤】捜索拒否願の提出・警察への事前相談


 これはケースにもよると思いますが、突如別居を開始すると、モラハラ夫が大騒ぎをしかねないという場合には、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出することも検討して下さい。

 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、夫側が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。
 なお、警察署によっては、捜索願が出る前の捜索拒否願の受付はしていない、とか、捜索願が出ても旦那さん側にあなたの住所は教えないから、拒否願は出さないで大丈夫だと指導を受けることもあります。そのような場合には警察の指導に従う形で結構かと思います。
 また、夫側があなたの職場を知っていて付きまとい行為をする可能性があるとか、子供の学校を知っていて子供を尾行してきそうだといったケースの場合には、捜索拒否願ではなく、警察署の生活安全課に事前に相談をし、別居時に警察から夫側に電話連絡をしてもらうよう依頼するとか、実際に付きまとい行為が始まった場合には注意・警告をしてもらうということもあります(なお、別居時の電話連絡は、応じてくれる警察署と応じてくれない警察署があります)。

 

 

8.【検討項目⑥】別居のタイミングの見極め


 お子様が小学校に通っているというような場合には、夏休みの時期が最もお子様の休みが長くて「動きやすい」というケースも多いと思います。実際にも夏休みの別居に備えて事前に準備を進めているという方も多くみられます。
 ただ、児童虐待の内容が悪化していて夏休みまで待つことができないということもあると思いますので、別居のタイミングは、①事前の準備がどこまで整っているか、②お子様の長期休みなど身動きがとりやすいタイミングがいつか、③児童虐待がどこまで悪化してしまっているのか、といった点を総合して検討すべきかと思います。

 

 

9.【検討項目⑦】住民票の移動は慎重に


 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動しておいた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと夫側に居場所を知られる危険性が生じます。

 夫が同居中暴力をふるってきていたといったような場合、その被害者として役所に申請を提出しておけば、夫側があなたの住民票を入手することはできなくなりますが(これを「支援措置」と言ったりします)、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。

 

 

10.【検討項目⑧】健康保険の件


 あなたやお子様の健康保険が、旦那様の健康保険の被扶養者になっている場合、あなたやお子様が病院にかかると、その情報が旦那様側に通知されます(これは1か月ごとであったり、1年でまとめて通知されたり、健康保険組合によって取り扱いが異なるようです)。
 そのため、今後もその健康保険証を使い続ける場合には、病院にかかる場合には極力別居先付近の病院ではなく、元の自宅付近の病院に通うようにするなどの配慮が必要です。

なお、最近は、あなたの方から健康保険組合に直接連絡すると、あなたやお子さんの医療情報をモラハラ夫に通知しないという対応を取ってくれる健康保険組合も増えてきていますので、状況に応じて健康保険組合に相談してみて下さい。
 ちなみに、同居中から、あなた自身が独自に健康保険に加入していて(要するにあなた自身に相当額の収入があって、勤務先の健康保険に加入しているということ)、お子様の健康保険もその保険に入れたいというケースもあるかもしれませんが、通常は夫側の協力が必要であったり、健康保険組合によっては正式に離婚が成立しない限り被扶養者資格の喪失が認められないということもあります。

 

 

11.【検討項目⑨】お子様の携帯電話


 お子様の利用する携帯電話に位置情報機能が付いており、そのことを失念したままお子さまの携帯電話をもって別居先に転居してしまいますと、当然、位置情報から、夫側がこちらの居場所を知ってしまうケースもあります。
 位置情報機能は解除したつもりでも、夫側の遠隔操作で再設定できるということもあるようですので、この点は細心の注意が必要です。
 そのため、可能な限り、お子様の携帯電話は自宅に置いて別居するとより安全です(お子様の携帯電話の中に、夫側に知られたくない情報が入っている場合にはその消去やデータ初期化も必要です)。

 

 

12.【検討項目⑩】必要に応じて、早めに弁護士に相談する


別居の手順等について悩むような点がある場合には、弁護士を雇うかどうかは別として、直接質問すべく相談することをオススメしています。

このブログでかなり詳しめに解説いたしましたが、ご家庭の状況は皆さま異なると思いますので、ご家庭の状況に応じた疑問点等もあると思いますから、そのような点は直接質問することで初めて解消できると思うからです。

 

 

13.【検討項目⑪】別居時の持ち物リスト


別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

14.まとめ


○事前に夫側に別居する旨を相談した方が良いかは、未成年のお子さんがいないケースだと、そこまで神経質になる必要性は低い。

○逆に、未成年のお子さんがいる場合、事前に夫側に相談するのが基本になる。
○事前に別居を告げないケースや別居にモラハラ夫が反対し続けている場合、別居準備は絶対に夫側に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○ケースによっては、警察には捜索拒否願を提出したり、付きまとい防止のために相談しておいた方が良い。
○別居タイミングについては、お子様の長期休みを一つの目安として、児童虐待の悪化の程度も見極めながら判断した方が良い。
○住民票の移動は、時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○健康保険が旦那側の健康保険の被扶養者になっている場合には、別居後の受診には注意が必要である。
○お子様の携帯電話(位置情報の検索ができるもの)については、自宅に置いて別居したほうが良い。
○別居の方法等で悩むようなことがあるなら、早めに弁護士に相談だけでもしておいた方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。

 

 

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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(12)】子供を連れて別居する際にモラハラ夫の了解が必要になるのか?

2026.03.30更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.お子さんがいない場合の転居について


 お子さんがいない、もしくは、お子さんが既に成人している(満18歳に達している)場合には、お子さんに対するモラハラ夫の親権といった問題を気にする必要はありません。

 そのため、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であったり、そこまでの深刻な内容ではなかったとしても、別居話をするとモラハラ夫が強く反発してきてそのことであなたがひどく疲弊すると見込まれるような場合、無理に事前に別居話をする必要はないと思います。それ以外のケースの場合、あなた自身の心理的負担とモラハラ夫がどのように反応しそうかに応じて、事前に話をしておくべきかを検討していくことになります。

 

 以下では、未成年のお子さんがいるご家庭を前提に、別居の際に事前にモラハラ夫に話をしておくべきかという点について解説します。

 

 

4.(未成年のお子さんがいるご家庭での)改正民法における転居の取り扱い


 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

 

 

5.【未成年のお子さんがいる場合】事前にモラハラ夫に相談することは必須なのか?


 前述のような改正民法の規定に鑑みますと、事前にモラハラ夫に相談すらしないでお子さんと別居を開始することは基本的にリスクになってしまいます。

 しかしながら、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、無理に事前に話をすると、被害が拡大したり、あなたの精神的不調が悪化するリスクがありますので、事前に相談せずに、お子さんと一緒に別居することもやむを得ないと思います。

 なお、その場合でも、モラハラ夫は、自身の非を認めない傾向が強いので(自分に都合の悪いことは否定してくることが多い)、このような身体的暴力の危険性やあなたの精神的な不調については、過去の診断書や写真等裏付け証拠を事前に得ておくと安心です。

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出すべきだと思います。前述のような改正民法の規定がありますので、これに明確に違反して別居を開始することは、今後の親権の紛争でも不利になってしまうリスクがあるからです。

 

 

6.モラハラ夫が強く反発しないように嘘をつくのはどうか?


 これもよくご相談を受けるのですが、以下のようなご質問を受けることも多いです。
① 本当は別居を開始するつもりだが、夫が反発しないように「連休中子供を連れて実家に帰省する」と伝えて家を出るのはどうか?(結局は、そのまま実家から自宅に帰らない)
② 本当は離婚したいのだが、「今後家族が仲良く生活していけるよう前向きな別居をしたい」と伝えて家を出るのはどうか?

 

結論から申しますと、積極的に虚偽を述べることは混乱のもとになりますので、オススメできません。
なお、上記の②のケースの場合、敢えて「前向き」と伝える必要もありませんので「あなたとの結婚生活がしんどい。今すぐ離婚したいと言えるかは少し考えたいので、少し距離を置いて考えさせてほしい」といった伝え方の方が良いかと思います。
特にモラハラ夫は、こちらの話を自分にとって都合が良いように誤解しやすい人が多いので、普段の連休中のただの帰省だとか、復縁を予定した別居というように話してしまいますと、モラハラ夫が変な期待をしてしまい、今後余計に混乱する気がします。

 

 

7.どう伝えるか?


 モラハラ夫を目の前にすると、頭が真っ白になってしまうとか、上手く話せる自信がないという方も多いと思います。
 そのため、夫婦2人だけの話し合いではなく、あなたのご両親や親族等も間に入れて話をするというケースも相当数あります。
 また、夫婦二人きりで話すことは良いとしても、自宅内だと怖いので、喫茶店とか他の人の目があるところで話をするというケースもあります。

 なお、前述の通り、改正法の規定からしますと、しっかりと夫と話をしたという経過が重要になりますので、最低限、①モラハラ夫と話をした日付と時間帯、②どのくらいの時間話をしたのか、③話し合いの概要についてはその都度まとめておくようにして下さい。特にモラハラ夫が相手ですので、しっかりとあなたがお子さんと一緒に別居するという話をしているのに、後からモラハラ夫は「そんな真剣な話したとは思わなかった」とか「妻が出ていくという話はあったが子供は置いていくものだと思っていた」といった反論をしてくることが予想されますので、注意が必要です。

 

 

8.どこまで伝えるか。


 一番シンプルなのは、一緒に生活していることが精神的につらいので一旦別居したいという伝え方かと思いますが、モラハラ夫は自分が悪いことをしてきたという自覚がない人が多いため、「どうしてそのように言われるのかが分からない」とか「思い当たるところがない」という反応を示されることもあります。
 そのため、どうして別居したいのか、どうしてモラハラ夫と一緒にいることが精神的につらいのかの理由についてもある程度説明していく必要があろうかと思います。
 詳しい内容を口頭で伝えることが難しいという場合には、手紙等の形で渡すという方法もあろうかと思います。

 合わせて、お子さんの身の回りの世話を普段からあなたが担ってきたのでしょうから、あなたがお子さんも連れて行くという話も伝えるようにして下さい。

 

 いずれにせよ、あなたの中で離婚したい理由・事情を詳しくまとめておいた方が良いと思います(あなたにとっては、つらいことを思い出す作業にはなりますが、まとめておくと、話をするときに、言いそびれてしまうというリスクを軽減できると思います)

 また、このような話をすると、離婚すべき理由がある・ないという議論に時間がとられ、お子さんを連れて行く・連れて行かないという点についてあまり議論できないというパターンに陥りそうですが、親権紛争という観点からは、お子さんを連れて行くかどうかの点が重要な議論対象ですので、その点は意識してお話して下さい。

 

 

9.モラハラ夫の了解がないと別居できないのか?


 モラハラ夫は自分の考えを曲げない人が多いので、その了解を得ることは非常に難しいと思います。そのため、何度か議論して、議論が平行線であるとか、まともに話ができない状況が続くようでしたら、モラハラ夫側の了解がなくても、別居を実行するということもやむを得ないかと思います。

 ただ、モラハラ夫は、いざあなたが別居を開始すると、「別居の相談などなかった」と言ったことを平気で言ってくることが多いので、前述の通り、話し合いをした記録はしっかりと残しておいて下さい。

 

 

10.伝える前の準備


 あなたの方から別れ話を切り出すと決意した場合、どのように話を持って行ったほうが良いか、どこまで話をするのかという点についてはしっかりと準備することが多いと思いますが、その前に別の準備が必要になります。
 と言いますのは、こちらが別れ話をすると、先方は、最悪離婚になっても良いように自分名義の資産を隠し始めるといったケースがあるのです。
 そのため、別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要になります。

 

 

11.まとめ


・モラハラが暴力に発展しそうな場合とか、モラハラであなたが心療内科等にかかっているような場合には、事前に別居のことを伝えずに別居することもやむを得ない。
・逆に、それらの事情がない限りは、事前に別居・お子さんも連れて行く旨をモラハラ夫に話しておくべきである。
・嘘を伝えることは望ましくない。
・モラハラ夫に話をする場合、夫婦二人だけの席で伝えづらいというときには親族等の協力を得ることも多い。
・モラハラ夫に話をする場合、別居したい理由の説明も必要になると考えておいた方が良い

・親権紛争という観点で重要なのは、お子さんを一緒に連れて行くという点なので、その点もしっかりと伝える必要がある。

・後からモラハラ夫は「聞いていない」と言いかねないので、話をした記録は残しておく必要がある。
・別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(11)】親権に関して、今後モラハラ夫とどのように戦っていくことになるのか?

2026.03.23更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 以下では、①離婚協議の段階、②家庭裁判所の調停の段階、③家庭裁判所の裁判の段階に場合分けして、それぞれの親権についての戦い方、戦略等について解説していきます。

 

 

3.離婚協議の段階


(1)まずは、「離婚しない」と言い始めるモラハラ夫が非常に多い

 まず、私がモラハラ夫と話をしていて切実に感じるのですが、モラハラ夫はすんなりと離婚に応じないケースが非常に多いです。

 私が話しをしようとしても「妻と直接話をしたい」とか「急に弁護士が出てこられたけれど、これまで妻とは別居や離婚について十分話ができていない」という反応が多く、「親権以前に」離婚の話が進まないというケースが多いのです。

 同居中は、モラハラ夫の方から「離婚してくれ」とか「出て行ってくれ」といっていたのに、いざあなたが別居を始めると、離婚したくないと態度を変えてくるモラハラ夫が多いのです。

 モラハラ夫が離婚したくないという意思が固い場合には、交渉を長く続ける必要性も乏しいので、早めに離婚調停を申し立てるというケースが多いです。

 

(2)仮に離婚に応じても、親権で争いになることが懸念される

ア 離婚に応じたんだから…

 仮にモラハラ夫が離婚に応じたとしても、「そちらの言う通りに離婚に応じるんだから、せめて親権は渡して欲しい」とか「最低限でも離婚後共同親権にする必要がある」などと主張してくる懸念もあります。

 このような場合、結局、モラハラ夫は、親権でこちらの譲歩を引き出すために、離婚に応じると言っているに過ぎませんので、この場合にも、離婚・親権セットで離婚調停手続きの中で話し合うことになるケースが多いと思います。

イ すんなりモラハラ夫が離婚に応じるといった場合は?

 モラハラ夫もあなたとの不仲については認識しており、離婚そのものは構わないけれども、親権は譲らないと主張してくる場合もあります(実際には離婚を認めないケースの方が多いので、離婚に応じてくる確率は稀だとは思います)。

 その場合には、離婚だけ先に成立させるのかという点を検討すべきことになります。

 即ち、改正民法の下では、親権者を決めなくても、以下の二つの条件を満たす限り、離婚届が受理される扱いになりました。

①親権者を夫婦のどちらにするのかという点について家庭裁判所の調停を起こすこと

②調停を起こしていることを証明する書類(調停係属証明書)を役所に提出すること

 

 そのため、親権の話を後回しにして、モラハラ夫との離婚だけを先に決着するのかどうかを考えることになります。離婚だけ解決するメリットとデメリットとしては以下のようなものが考えられます。

(ア)メリット

①離婚という区切りができて気持ちの整理が付く

②旧姓に戻した生活をいち早く開始できる

③世間・周りの人に対して説明がしやすい

④子供達にも説明しやすい

⑤シングルマザーの公的支援を受けられる

⑥再婚に向けた活動が可能になる

⑦モラハラ夫が翻意する危険性を避けられる

 

(イ)デメリット

①婚姻費用を得られなくなる(養育費分のみになる)

②モラハラ夫側の(費用支払い等の)モチベーションが下がりやすい

③親権についての紛争を調停にすることが必須になってしまう

④見返りを求められて話が複雑化するリスクがある

⑤最終決着までの期間はさほど変わらないというケースも十分考えられる

⑥年金分割で不利になる

 

以上のようなメリットとデメリットをよく検討していくことになると思いますが、通常は、モラハラ夫が相手だということもあって、離婚を切り離すのではなく、離婚もセットで調停に進むケースの方が多くなるとは思います。

 

(3)共同親権には応じない方が良いのか?

 モラハラ夫は、共同親権にしてくれるのであれば、親権もこれ以上争わないと主張してくることも考えられます。しかし、離婚後共同親権というのは、以下のようなお子さんにとって重要な事項を夫婦一緒に話し合って決めるという制度です。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

これらの事項についてモラハラ夫と今後冷静な話し合いができるのかというと難しいことが多いかと思います。

また、モラハラ夫の性格上、上記のような重要事項だけに口を挟んでくるのかというと、自分の勝手な解釈であなたやお子さんの生活について色々と干渉してくるリスクも高いです。

 そのため、モラハラ夫との共同親権には応じられないというスタンスで臨んでいくことになると思います。

 

 

4.離婚調停の段階


(1)調停が話合いであることの限界

 前述のように離婚調停になるケースとしては、①モラハラ夫が離婚そのものを争ってきた場合と②モラハラ夫が離婚には応じる姿勢を示しているが、親権は譲らないと主張してきている場合に大別できます。

 いずれにしましても、調停は家庭裁判所での手続きではありますが、調停委員を間に挟んでの話し合いの席ですので(但し、基本的に夫婦は直接顔を合わせません)、裁判所から何かの結論を強制されることはありません。

 そのため、離婚についても、親権についてもモラハラ夫の拒否姿勢が強い場合には、調停での話し合いが早期に打ち切られてしまうケースもあります。

 

(2)話合い促進のための工夫

 前述のように真正面から離婚する・しない、親権者を妻にする・夫にするという話だけを議論していても、議論は平行線にしかなりません。

 そのため、状況に応じて、以下のような工夫をすることもあります。

ア)夫のモラハラの証拠を突き付ける

 モラハラ夫は、家庭内での自分の言動が外部に漏れることをひどく嫌がる傾向があります。そのため、あなたの方でモラハラ発言の録音を持っているとか、モラハラ発言のLINEがあるというような場合には、その証拠を突き付けて、モラハラを否定できなくするという方法を取ることもあります。

 そうすることで、モラハラ夫が「この場で話を続けることが得策ではない」と考え、離婚や親権について考えを軟化させてくるケースもあります。

 

イ)早めに婚姻費用の支払いを開始させる

 モラハラ夫はケチなこともあります。そのため、離婚しないと婚姻費用の支払期間が延びるだけだと考えると、早めに決着させて支払いを減らしていきたいと考えてくる場合があります。

 そうすることで、モラハラ夫が、離婚や親権について考えを軟化させてくるケースもあります。

 

(3)調停の場でも親権について詳しく主張していくことになるのか?

 親権者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の8つの点に集約できると思います。
1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流の姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ

それでは、離婚調停の場で、これらの事情について事細かに事情を話していくのかと言いますと、そのような進行は取らないことが多いです。

 前述のように調停は話し合いの場ですから、仮に詳しい事情を述べたとしても、夫婦の意見対立が激しくなるだけで、調停が成立する機運は生まれにくいですし、本格的な調査等が必要な場合には、離婚裁判の中で実施する方が良いからです。

 

 

5.離婚裁判の段階


(1)親権についての重要項目

 離婚裁判は、家庭裁判所の裁判官が、離婚すべきかどうか、親権をどのようにするのが良いかという点について明確に結論を下す手続きになります。

 そのため、親権に関しても、下記の重要項目について、しっかりと主張を展開していくことになります。

1)現在の監護状況

2)(別居前の)監護実績

3)連れ去りの違法性

4)過去の児童虐待の有無・程度

5)子供の意思

6)今後の監護計画

7)面会交流の姿勢

8)ご夫婦の関係性等(共同親権が争われる場合のみ)

なお、離婚裁判になりますと、「言いたいことが沢山ある」とか「裁判官によく分かってもらうために沢山文章を書きたい」とおっしゃる方が非常に多いのですが、私の方からは「しっかりと言い分を述べることも大事ですが、それ以上に裏付けが大事ですよ」とお話することが多いです。私の方からは「裁判は裏付け勝負です」とお話することも多いのですが、親権に関しても、こちらに有利な証拠をどれだけ積み上げられるのかが重要になります。

 

(2)共同親権を回避するための活動

 前述の通り、モラハラ夫と離婚後も共同親権になることはかなりのリスクです。

 また、今後は、モラハラ夫は、第1希望は自身の単独親権、第2希望は共同親権という主張を展開してくることが強く予想されます。

 そのため、モラハラ夫の第1希望も第2希望も両方とも実現しないように活動する必要が出てきます。

 即ち、改正法819条7項が定める必要的単独親権事由が存在する場合、共同親権を選択することができません(必ず、単独親権にしないといけない)ので、この「必要的単独親権事由」があることを主張・立証していくことになります。

必要的単独親権事由とされていますのは、①夫婦のどちらかがお子さんの心身に害悪を及ぼす虞がある場合(後述の児童虐待の虞がある場合が代表例)、②夫婦が共同して親権を行うことが困難な場合(夫婦の一方が相手に対して身体的暴力を振るう虞がある場合が代表例)になります。

 これらの点についての裏付け証拠も積極的に提出していくことになります。

 

 

6.まとめ


・離婚のステップに応じて戦い方・戦略等が変わってくるので場合分けが必要である。

・協議離婚の段階であると、仮にモラハラ夫が離婚だけには応じると言ってきた場合、離婚だけ切り離して決着させるべきかを検討すべきことになる。

・協議離婚であろうと調停離婚であろうと、モラハラ夫との共同親権の形にするのはお勧めしない。

・離婚調停はあくまで話し合いなので、モラハラ夫が離婚や親権について譲歩姿勢を示さない場合には、早めに調停打ち切りになってしまうケースは多い。

・そのような場合には、モラハラの証拠を突き付けるなどして話し合いを促進させる場合もある。

・離婚裁判においては、自身に有利な判決を得られるようしっかりと証拠を提出していくことになる。

 

 

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【モラハラ離婚シリーズー私はこうして離婚を決意した(7)】生活費をろくに渡さなくなったので離婚を決意したケース

2026.03.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

今回は、私が実際に担当した事件のご依頼者様がどのようなきっかけで離婚を決意したのかを、実際の事件に則して解説していきます。

 

1.ご依頼者「Gさん」の概況


①50代女性

②結婚25年

③お子様:大学生の子と高校生の子のお二人

④離婚を決意した後の別居先:実家

 

 

2.違和感を持ち始めたきっかけ


 夫は生活費を盾にこちらの行動を制限してくるタイプのモラハラ夫だったようです。

 特徴的だったのが、Gさんは毎週末夫と一緒に買い物に行くことを義務付けられており、一緒に買い物に行く分にはその週の食材等を購入することが許され、その分の購入費用を夫がその場で支払う。逆に、夫と一緒に買い物に行かない限り、食材の購入等は許されていなかったということでした。

 

 また、夫と一緒に買い物に行けば、好きなものを購入することができたのかというと、一回に購入できる総額の予算が決まっていて、予算オーバーは認められていなかったということでした。

Gさんも、夫と関係が良好な時は、買い物の際に夫が車を出してくれるので「助かる」ぐらいの気持ちだったようですが、別居の2,3年ほど前からは、夫婦関係がぎくしゃくしていて、何かと予算を削るとか、今週は一緒に買い物に行かないなどと言われるようになり、精神的な負担になっていたということでした。

特にGさんは持病を抱えていて、外で働きに出ることも難しかったため、夫から食材等の現物支給もなくなると、生活が立ち行かなくなるという状況でした。

 

 

3.離婚を決意した直接のきっかけ


 夫婦の関係が悪化し始めてから、夫からは、Gさんの態度が悪いとか、感謝が足りないといった理由で週末の買い物の予算を減らされることが増えていったようです。

 もともとGさんは好きで夫と週末一緒に買い物に行っているわけではありませんでしたので、予算を減らされたことで夫婦の口喧嘩が増えていったようです。

 結局、夫は、週末一緒に買い物に行くことも拒否的になってしまい、Gさんは、生活費をろくにもらえない生活になりました。

 Gさんは、自分の生活費はまだしも、子供達の食事のための食材も買えなくなってしまい、夫が子供達のことも考えていないということがよく分かって、離婚を決意したということでした。

 

 

4.夫はどんなタイプのモラハラ夫だったのか?


 Gさんの夫のモラハラタイプは、①経済的制限を脅し文句に夫の言うことを聞かせるという行動制限と、②実際に言うことを聞かないと生活費を制限したり渡さないという経済的制限の両方を特徴としていました。

 前述の週末の買い物は代表的なものでして、他にも医療費や教育費等についても事細かな制限が付いていて、Gさんは息苦しい生活だったとお話になっていました。

 

 

5.弁護士秦の目から見たポイント


(1)こちらの行動を制限しようとしてくるモラハラ夫はかなり多い

 モラハラ夫は、自分の考え方が絶対に正しいと考えている人が多く、そのため、自分の考えを妻にも押し付けてくることが非常に多いです。

 その結果、自分の考える通りに行動させようと制限してくるのです。モラハラ夫の中には妻を独占したいという独占欲が強い人もいるので、そのような独占欲で行動している人もいます。

 今回のGさんのケースは、生活費を削るとか渡さないということを脅し文句に、Gさんの行動を制限してくるパターンでした。実際には、離婚や別居を脅し文句にしてきたり、怒鳴りつける、もしくは延々と説得してくるという形で、自分の言う通りに行動させようとしてくるモラハラ夫もいます。

 

(2)ここまでの経済的制限は珍しい

 今回のGさんのケースでは、本当に一切生活費がもらえないという状況が1か月ほど続いていましたので、ここまでの制限をしてくるケースは珍しいです。夫婦共働きというような場合には、一定期間、夫からの生活費負担がなくても、妻と子供達の生活は成り立つということもあるのでしょうが、Gさんのケースは、Gさんが専業主婦で、かつ、持病があったので、生活費がないと、たちどころに生活できなくなる状況でした。

 このような状況にもかかわらず、無慈悲にも生活費をストップしてくるモラハラ夫は珍しいです。

 Gさんが離婚を決意するのも無理はないと感じました。

 

 

6.顛末


 Gさんのケースは、私が代理人になってモラハラ夫側と話をし、調停までもつれましたが、別居から離婚調停成立まで1年半ほどでの決着でした。

 

 

7.まとめ


・Gさんは、週末一緒に夫と買い物に行くことも関係が良好なうちは苦痛ではなかった。

・別居の2,3年前から夫婦仲が悪くなり、そのことがきっかけで週末の買い物を含め経済的制限に不満を感じるようになっていた。

・最終的に生活費がろくにもらえなくなり、こんなことなら婚姻関係を維持するメリットがないと考えて、離婚を固く決意した。

・妻側の行動を制限してくるモラハラ夫は非常に多い。

・経済的に制限してくるモラハラ夫もいるが、GさんのケースのようにGさんの生活が立ち行かなくなるほどまでに制限してくるケースは稀である。

 

 

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