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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(14)】モラハラ夫への別居や離婚の切り出し方

2026.04.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

3.事前に夫に相談した方が良いか?


 事前に夫に相談した方が良いかどうかは、未成年のお子さんがいらっしゃるかどうかで場合分けした方が良いので、以下場合分けして解説します。

 

(1)未成年のお子さんがいない場合

お子さんがいない、もしくは、お子さんが既に成人している(満18歳に達している)場合には、お子さんに対するモラハラ夫の親権といった問題を気にする必要はありません。

 そのため、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であったり、そこまでの深刻な内容ではなかったとしても、別居話をするとモラハラ夫が強く反発してきてそのことであなたがひどく疲弊すると見込まれるような場合、無理に事前に別居話をする必要はないと思います。それ以外のケースの場合、あなた自身の心理的負担とモラハラ夫がどのように反応しそうかに応じて、事前に話をしておくべきかを検討していくことになります。

 

(2)未成年のお子さんがいる場合

ア)(未成年のお子さんがいるご家庭での)改正民法における転居の取り扱い

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

 

イ)【未成年のお子さんがいる場合】事前にモラハラ夫に相談することは必須なのか?

 前述のような改正民法の規定に鑑みますと、事前にモラハラ夫に相談すらしないでお子さんと別居を開始することは基本的にリスクになってしまいます。

 しかしながら、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、無理に事前に話をすると、被害が拡大したり、あなたの精神的不調が悪化するリスクがありますので、事前に相談せずに、お子さんと一緒に別居することもやむを得ないと思います。

 なお、その場合でも、モラハラ夫は、自身の非を認めない傾向が強いので(自分に都合の悪いことは否定してくることが多い)、このような身体的暴力の危険性やあなたの精神的な不調については、過去の診断書や写真等裏付け証拠を事前に得ておくと安心です。

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出すべきだと思います。前述のような改正民法の規定がありますので、これに明確に違反して別居を開始することは、今後の親権の紛争でも不利になってしまうリスクがあるからです。

 

 

4.実際皆さんどうしているのか?


 これは改正民法が施行される前の状況ですが、既に弁護士に頼むことを決断している場合には、多少はモラハラ夫に話をするけれども、その後の話は弁護士に任せてしまうとか、ほとんど話をしないで別居をする(置き手紙だけを残す)というパターンが多かったと感じます。

 これに対して、弁護士を立てるとモラハラ夫が強く反発してきそうだと考えて、自分でできるところまで話をしたいという方の場合は、時間と根気をかけて話をしている方が多い気がします。

 以前はこのような傾向でしたが、改正民法施行後で、未成年のお子さんと一緒に別居するという場合には、何もモラハラ夫に伝えずに別居を開始することは残念ながらリスクと言えますので、より慎重な対応が必要になってきます。

 

 

5.自分で夫に話をすると決意した場合、伝え方の工夫等はあるか?


 自分でモラハラ夫に話をすると決意した場合、どのように伝えるべきかと相談を受けることがあります。その場合、私からは以下のようにアドバイスしています。

 

(1)【離婚を切り出すポイント1】お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す

 夫婦を長年続けておりますとどうしてもカッとなってしまうこと、喧嘩をしてしまうこともあると思います。

 そんなときに、つい「離婚してやる」とか「離婚して欲しい」と口走ってしまうこともあるかもしれませんが、これではお互いに冷静な話し合いは期待できません。

 

 また、酔った勢いで離婚を申し入れても相手は真剣に受け取らないでしょうし、相手が酔った状況で話をしても、話は進展しないと思います。

 上記のシチュエーションは極端な例ですが、そうでなくとも、①家庭内別居の期間が長く、モラハラ夫が何を考えているのか、何を言い出すのかわかりにくい状況や②モラハラ夫が不機嫌で冷静な話し合いが期待できない状況の場合もあると思います。モラハラ夫が不機嫌な場合には一定期間を置いて冷静になるのを待ったり、事前にメールやLINE等にて「大切な話があるので時間を取って下さい」と伝えた上で話し合いの日時を決めるなどすることも考えてみて下さい。 

 

 いずれにしましても、お互いが冷静な状況・環境で話をすると言うことは当たり前のことのようでも重要なことです。

 

 

(2)【離婚を切り出すポイント2】具体的なエピソードを思い出す

 離婚のご相談を受けておりますと、抽象的な理由ばかりで具体的に相手のどのようなところが悪いのか、合わないのかがはっきりしないということがあります。

 例えば、「頻繁に暴言を浴びせてくる」とか、「相手はモラハラ夫なんです」と訴えてくる方もいらっしゃいますが、具体的にどのくらいの頻度で(ほぼ毎日なのか、1週間に1回程度なのか等)どのようなことを言ってくるのかが分かりませんと、対応ができません。

 

 ただ、モラハラ夫の嫌いなところを列挙すると、とりとめがなくまとまらなくなってしまうと言うこともあります。

 そのため、まずは、自分が相手とやっていけないと思う「一番の理由」を考えてみて下さい。

 その理由を選び出したら、婚姻中、具体的にどのような行動や言動があったのか重要なことだけでも良いので良く思い出して列挙してみて下さい。

 

 例えば、以下の様なものになります。

(参考例)

 先月上旬にモラハラ夫から「お前のように家事ができない女は要らないから今すぐ出て行け」と言われた。このような発言は、モラハラ夫の指示通りの献立で夕食を準備したのに、帰宅すると「今日はこんなに暑かったんだから涼しいメニューを作れ」などと発言してきて上記の発言につながった。

 相手の言うとおりに作り直していると、モラハラ夫は、空腹に耐えられないと言って家を出て、一人外食をして帰ってきた。

 

 このようにあなたが考える離婚理由を整理しておきますと、いざモラハラ夫と話をする際にも離婚話にメリハリをつけることができます。

 相手がモラハラ夫なのですから、こちらが離婚したい理由を話すと、即座に反論してくる、こちらを批判してくると言うことも予想されます。その反論や批判にすぐには負けないだけの準備をしておいた方がよいでしょう。

 

 なお、口頭だと十分に自分の意見を伝えられないという場合には、事前に手紙を作成しておいて、その手紙を渡してその場で読んでもらうという方法を取ることもあります。

 

(3)【離婚を切り出すポイント3】こちらが本気だと分かってもらう工夫をする

 離婚を切り出す相手はモラハラ夫なので、最初からこちらを下に見ていると言うことも往々にしてあります。特にこちら側が専業主婦という場合には、現状収入を得ていないと言うこともあって、モラハラ夫の側は本気にしてくれないと言う可能性も出てきます。そのため、こちらとしては悩んだ末に、やっていけないと考えて離婚を真剣に切り出しているのに、モラハラ夫からほとんど相手にされないという事態が発生し得ます。

 このような事態を避けるために、どのような方法が考えられるのかを、以下の通りご説明します。

 

①きちんと「離婚」というフレーズを使う

 長い間モラハラ被害受け続けていると、モラハラ夫の機嫌を損なう発言をしにくいというケースも多いです。そのため、遠慮がちに「もうやっていけないと思ってるんだけど」とか「夫婦の今後のことについてどう思ってるの?」と言った曖昧な表現になってしまうこともあります。

 しかし、このような曖昧な表現ですと、モラハラ夫はこちらの離婚意思をしっかりと受けとめてくれないかもしれません。

 そのため、あなたの口から離婚を切り出すと決めたのでしたら、きちんと「離婚」というフレーズを使ってモラハラ夫にきちんと話をして下さい。

 

②実家の両親などに間に入ってもらう 

 あなた自身の口で離婚のフレーズを伝えたのにモラハラ夫が真剣にとらえてくれないというケースもあります。そのような場合には、こちらが真剣に離婚したいと思っていることをアピールするため、ご実家の両親や親戚なども交えて離婚の話をするという方法が考えられます。

 この場合には、相手の両親も一堂に会して家族会議のような形で話をしてみるのもよいと思います。

 ご夫婦同士の直接の話し合いだと、相手が真剣に受けとめないという場合には、このような方法は有効打となることがあります。

 

③どうしても真剣に捉えてくれない場合「別居する」というのも選択肢の一つ

 身内が間に入って話をしてもモラハラ夫が真剣に受けとめないとか、自分に都合の良い捉え方しかしないため話が進まないという場合、別居という手段を取ることも検討してみて下さい。

 この場合は、一時的に実家に戻るという形が多いと思います。

 なお、相手に無断で別居を強行してしまいますと、相手がこちらの実家まで乗り込んでくるなど、話が複雑になりがちなので、別居については相手に相談をした上で進めるのが望ましいと言えます(もちろん、モラハラ被害が深刻な場合等には、無理は禁物です)。

 

④家庭裁判所に調停の申立をする

 ご夫婦が直接話し合うだけでは話が進展しないという場合、家庭裁判所に調停を申し立てるという方法もあります。

 ただ、調停の申立が必要かもしれないと迷われているという場合には、まずは、弁護士に相談してみることをオススメします。

 

 

(4)【離婚を切り出すポイント4】メールやLINEで切り出すことは避ける

 私が相談に乗っておりますと、たまに「もう何年も夫と家庭内別居生活で、必要なことはLINEでやり取りするようにしていますので、離婚のこともLINEで切り出そうと思います」とお話になる方もいます。

 しかし、離婚という重大なトピックですので、メールやLINEでは、モラハラ夫側にこちらの意図が伝わらないケースが多いと思います。

 家庭内別居期間が長い場合、急に夫と顔を合わせて話をすることが難しいということも多いと思いますので、例えば、事前に「大事な話がありますので、今週末時間を作って下さい」とLINEをし、その週末に顔を合わせて話をするとか、あなたの実家のご両親にも立ち会ってもらって、話をするなどの方法も検討してみてください。

 

 

(5)【離婚を切り出すポイント5】冷静な話し合いを維持する工夫をする

 前述の通り、離婚を切り出す際には、冷静に話ができる状況で切り出すべきだと思いますが、話をしていると、お互いにヒートアップしてしまうというケースも往々にしてあります。

 特に、前述のように、あなたの方から離婚の理由を説明し始めると、モラハラ夫側からは「そんなことは言っていない」「誤解している」とか「そんな昔の話を持ち出すなんておかしい」「その話は解決済みだから今更持ち出さないで欲しい」等々様々な反論が返ってくることもあります。売り言葉に買い言葉で夫婦喧嘩になってしまいますと、折角最初は冷静な状況だったのに、途中から、あの時はこうだった、どうだったという話が延々と続いて、収拾がつかないというケースも多いです。

 いずれにしましても、話をしている途中で冷静な話し合いを維持できなくなりそうになった場合には、一旦話は打ち切って、後日改めて、前述のように両親にも立ち会ってもらって話をするとか、冷静な話し合いを維持できる工夫をした方が良いと思います。

 

(6)【離婚を切り出すポイント6】お子さんのこともしっかり議論する。

 前述の通り、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、事前に別居話をしないということもやむを得ないと思います。

 他方、そこまでモラハラ被害が深刻ではないという場合には、事前にお子さんのことも話すことが必要になります。

 あなたが普段からお子さんの世話をしてきた場合には、その旨を伝えて、あなたと一緒に家を出ると話していくことになると思います。

 お子さんとの関係でも話し合いをしたということは、今後重要になってきますので、最低限、話し合いをした日時、どのくらいの時間話をしたのか、どのような話が出たのかについてはその都度メモを取るようにして下さい。

 

(7)【離婚を切り出すポイント7】今後の経済面についても考えておく

 元々、モラハラ夫が自分の稼ぎを誇示してきたり、こちらの稼ぎがない・もしくは低いことを酷評してきているような場合には、離婚を切り出したときにも、「離婚してもお前だけでは生活できない」と言われてしまう事が強く懸念されます。

 また、いずれにしても、離婚した後の生活費のことはある程度計画を練っておく必要があります。

 現状専業主婦という場合には、離婚後、実家で暮らし、再就職先を探しつつ生活をしていくという形が一番現実的かもしれませんが、いずれにしましても、離婚後の経済面のことは具体的にイメージしておかないと、モラハラ夫側から、つけ入る隙を与えてしまいます。

 

(8)【離婚を切り出すポイント8】あまりズルズルと引き延ばさない

 離婚というトピックは重たいトピックになりますので、「話しづらい」「気が重い」「夫の反応が怖い」といったことで、ついつい先延ばしにしてしまう事もあります。

 もちろん、現状の生活に決定的な不満があるわけではないということでしたら、離婚を切り出すタイミングを急ぐ必要はないのですが、離婚を固く決意しているようでしたら、あまり話を先延ばしにするメリットはないと思います。

 そのため、しっかりと離婚を決意した場合には、あまり先延ばしにせず離婚話を切り出した方が良いと思います。

 また、一度離婚を切り出した後は、一定期間モラハラ夫側の反応や様子を見る必要があると思いますが、あまり長く引き伸ばしてしまいますと、こちらの離婚の本気度が疑われてしまいます。

 そのため、一度離婚を切り出した後も、あまり長期間間を置かずに、改めて話をしたり、話が進展しない場合には、伝え方を変えるなどの工夫をしていった方が良いかと思います。

 

 

6.伝える前の準備


 あなたの方から別れ話を切り出すと決意した場合、どのように話を持って行ったほうが良いか、どこまで話をするのかという点についてはしっかりと準備することが多いと思いますが、その前に別の準備が必要になります。
 と言いますのは、こちらが別れ話をすると、先方は、最悪離婚になっても良いように自分名義の資産を隠し始めるといったケースがあるのです。
 そのため、別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが必要になります。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫に事前に別居話をするかどうかは、未成年のお子さんがいるかどうかで対応が異なってくる。

・未成年のお子さんがいない場合、別居話をせずに別居を開始することもやむを得ないとされる余地が大きい。

・逆に、未成年のお子さんがいる場合、基本は事前に別居話をしていくことになる。

・未成年のお子さんがいる場合、あなたがお子さんを連れて別居することをしっかりと伝えて話し合う必要がある。

・ ご本人で離婚を切り出す場合、お互いが冷静な状況・環境で離婚を切り出す。

・ 具体的なエピソードを元に離婚の理由を話す。

・ こちらが本気だと分かってもらう工夫をする。

・メールやLINEで切り出すことは避ける。

・冷静な話し合いを維持する工夫をする。

・今後の経済面のことも考えておく。

・あまりズルズルと引き延ばさない。

・別れ話を切り出す前に、①集められるモラハラの証拠は集めておく、②相手の財産のありかを把握しておくということが大事である。

 

 

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浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(13)】別居準備の注意点11選

2026.04.14更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 以下で、モラハラ夫との別居にあたってどのような準備をすべきか、検討すべきかについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【検討項目①】事前に夫に相談した方が良いか?


 事前に夫に相談した方が良いかどうかは、未成年のお子さんがいらっしゃるかどうかで場合分けした方が良いので、以下場合分けして解説します。

 

(1)未成年のお子さんがいない場合

お子さんがいない、もしくは、お子さんが既に成人している(満18歳に達している)場合には、お子さんに対するモラハラ夫の親権といった問題を気にする必要はありません。

 そのため、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であったり、そこまでの深刻な内容ではなかったとしても、別居話をするとモラハラ夫が強く反発してきてそのことであなたがひどく疲弊すると見込まれるような場合、無理に事前に別居話をする必要はないと思います。それ以外のケースの場合、あなた自身の心理的負担とモラハラ夫がどのように反応しそうかに応じて、事前に話をしておくべきかを検討していくことになります。

 

(2)未成年のお子さんがいる場合

ア)(未成年のお子さんがいるご家庭での)改正民法における転居の取り扱い

 改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。

 そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。

イ)【未成年のお子さんがいる場合】事前にモラハラ夫に相談することは必須なのか?

 前述のような改正民法の規定に鑑みますと、事前にモラハラ夫に相談すらしないでお子さんと別居を開始することは基本的にリスクになってしまいます。

 しかしながら、①モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容であり、事前に話をすると身体的暴力被害を受ける危険性が高いような場合や②度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合には、無理に事前に話をすると、被害が拡大したり、あなたの精神的不調が悪化するリスクがありますので、事前に相談せずに、お子さんと一緒に別居することもやむを得ないと思います。

 なお、その場合でも、モラハラ夫は、自身の非を認めない傾向が強いので(自分に都合の悪いことは否定してくることが多い)、このような身体的暴力の危険性やあなたの精神的な不調については、過去の診断書や写真等裏付け証拠を事前に得ておくと安心です。

 他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出すべきだと思います。前述のような改正民法の規定がありますので、これに明確に違反して別居を開始することは、今後の親権の紛争でも不利になってしまうリスクがあるからです。

 

 

4.【検討項目②】絶対にこちらの動きを察知されないこと


 事前に夫側に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることが非常に重要になります。また、事前に別居話をしていたとしても、モラハラ夫がこれに反対し続けている場合、こちらの別居準備の状況を知られると妨害を受けるなどするリスクもありますので、同様のことが言えます。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

 

5.【検討項目③】親族・友人等の支援体制を整えること


 特に夫側に事前に告げずに別居を開始した場合、夫があなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

 

6.【検討項目④】置き手紙の活用


 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、離婚を考えての別居であること、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。と言いますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

7.【検討項目⑤】捜索拒否願の提出・警察への事前相談


 これはケースにもよると思いますが、突如別居を開始すると、モラハラ夫が大騒ぎをしかねないという場合には、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出することも検討して下さい。

 捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、夫側が警察に相談しに来た際に「奥さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。
 なお、警察署によっては、捜索願が出る前の捜索拒否願の受付はしていない、とか、捜索願が出ても旦那さん側にあなたの住所は教えないから、拒否願は出さないで大丈夫だと指導を受けることもあります。そのような場合には警察の指導に従う形で結構かと思います。
 また、夫側があなたの職場を知っていて付きまとい行為をする可能性があるとか、子供の学校を知っていて子供を尾行してきそうだといったケースの場合には、捜索拒否願ではなく、警察署の生活安全課に事前に相談をし、別居時に警察から夫側に電話連絡をしてもらうよう依頼するとか、実際に付きまとい行為が始まった場合には注意・警告をしてもらうということもあります(なお、別居時の電話連絡は、応じてくれる警察署と応じてくれない警察署があります)。

 

 

8.【検討項目⑥】別居のタイミングの見極め


 お子様が小学校に通っているというような場合には、夏休みの時期が最もお子様の休みが長くて「動きやすい」というケースも多いと思います。実際にも夏休みの別居に備えて事前に準備を進めているという方も多くみられます。
 ただ、児童虐待の内容が悪化していて夏休みまで待つことができないということもあると思いますので、別居のタイミングは、①事前の準備がどこまで整っているか、②お子様の長期休みなど身動きがとりやすいタイミングがいつか、③児童虐待がどこまで悪化してしまっているのか、といった点を総合して検討すべきかと思います。

 

 

9.【検討項目⑦】住民票の移動は慎重に


 別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動しておいた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますと夫側に居場所を知られる危険性が生じます。

 夫が同居中暴力をふるってきていたといったような場合、その被害者として役所に申請を提出しておけば、夫側があなたの住民票を入手することはできなくなりますが(これを「支援措置」と言ったりします)、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
 そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。

 

 

10.【検討項目⑧】健康保険の件


 あなたやお子様の健康保険が、旦那様の健康保険の被扶養者になっている場合、あなたやお子様が病院にかかると、その情報が旦那様側に通知されます(これは1か月ごとであったり、1年でまとめて通知されたり、健康保険組合によって取り扱いが異なるようです)。
 そのため、今後もその健康保険証を使い続ける場合には、病院にかかる場合には極力別居先付近の病院ではなく、元の自宅付近の病院に通うようにするなどの配慮が必要です。

なお、最近は、あなたの方から健康保険組合に直接連絡すると、あなたやお子さんの医療情報をモラハラ夫に通知しないという対応を取ってくれる健康保険組合も増えてきていますので、状況に応じて健康保険組合に相談してみて下さい。
 ちなみに、同居中から、あなた自身が独自に健康保険に加入していて(要するにあなた自身に相当額の収入があって、勤務先の健康保険に加入しているということ)、お子様の健康保険もその保険に入れたいというケースもあるかもしれませんが、通常は夫側の協力が必要であったり、健康保険組合によっては正式に離婚が成立しない限り被扶養者資格の喪失が認められないということもあります。

 

 

11.【検討項目⑨】お子様の携帯電話


 お子様の利用する携帯電話に位置情報機能が付いており、そのことを失念したままお子さまの携帯電話をもって別居先に転居してしまいますと、当然、位置情報から、夫側がこちらの居場所を知ってしまうケースもあります。
 位置情報機能は解除したつもりでも、夫側の遠隔操作で再設定できるということもあるようですので、この点は細心の注意が必要です。
 そのため、可能な限り、お子様の携帯電話は自宅に置いて別居するとより安全です(お子様の携帯電話の中に、夫側に知られたくない情報が入っている場合にはその消去やデータ初期化も必要です)。

 

 

12.【検討項目⑩】必要に応じて、早めに弁護士に相談する


別居の手順等について悩むような点がある場合には、弁護士を雇うかどうかは別として、直接質問すべく相談することをオススメしています。

このブログでかなり詳しめに解説いたしましたが、ご家庭の状況は皆さま異なると思いますので、ご家庭の状況に応じた疑問点等もあると思いますから、そのような点は直接質問することで初めて解消できると思うからです。

 

 

13.【検討項目⑪】別居時の持ち物リスト


別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

14.まとめ


○事前に夫側に別居する旨を相談した方が良いかは、未成年のお子さんがいないケースだと、そこまで神経質になる必要性は低い。

○逆に、未成年のお子さんがいる場合、事前に夫側に相談するのが基本になる。
○事前に別居を告げないケースや別居にモラハラ夫が反対し続けている場合、別居準備は絶対に夫側に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良い。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○ケースによっては、警察には捜索拒否願を提出したり、付きまとい防止のために相談しておいた方が良い。
○別居タイミングについては、お子様の長期休みを一つの目安として、児童虐待の悪化の程度も見極めながら判断した方が良い。
○住民票の移動は、時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○健康保険が旦那側の健康保険の被扶養者になっている場合には、別居後の受診には注意が必要である。
○お子様の携帯電話(位置情報の検索ができるもの)については、自宅に置いて別居したほうが良い。
○別居の方法等で悩むようなことがあるなら、早めに弁護士に相談だけでもしておいた方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。

 

 

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<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

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弁護士 秦真太郎 -雨宮眞也法律事務所- 受付時間 9:30~18:00 定休日 土日・祝日 住所 東京都中央区日本橋兜町1-10日証館3階

※事前予約があれば平日夜間(22時まで)も対応可能です。