離婚問題

【モラハラ夫の深刻度チェック3】経済的制限をかけてくるケース

2020.06.08更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)真太郎です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。今回紹介する「経済的制限」はモラハラ行為の代表的な例の一つと言えますが、このような経済的制限に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.深刻度チェックって?


 

 私がモラハラ離婚の相談を受けておりますと、ご相談者の方から「私が受けてきたモラハラ被害は、やはり重い被害なんでしょうか?」と質問を受けることがよくあります。
 通常、モラハラは、一つだけではなく、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、モラハラ被害の内容全てを確認し、総合判断しないと、正確な深刻度チェックは行えません。

 ただ、モラハラ被害に悩まされている方々は、「何か目安になるようなものはないのでしょうか?」とか「他の方の事例はどのようなものでしょうか?」とご不安に思われている方も多くいます。

 そこで、私がご相談を受けた際には、ご相談を受けた範囲で、モラハラ被害の深刻性を、①深刻度、②重度、③中度、④軽度の分類に分けて、どの程度の被害なのかをお示しすることもあります(もちろん、ご相談状況によっては正確な判断が難しいとお伝えすることもあります)。

 ただ、深刻度が最も重い「①深刻度」のレベルのモラハラというのは、一般的に暴力にまで発展し、モラハラというよりもDVにまで達してしまっているケースが大半ですので、今回は「経済的制限」というテーマに絞ったうえで、また皆様が理解しやすいように、重度レベルや中度レベルの経済的制限としてどのようなものがあるのかの具体例(実際、私が取り扱った事件の事例を基にした例になります)を示しながら解説していきます。

 

 

3.経済的制限の深刻度を測る指標


 

 当職がモラハラ離婚を取り扱ってきた経験からしますと、経済的制限の深刻度を測る際には以下のような諸事情を考慮することが多いです。

①経済的制限開始の経緯

②制限の内容

③制限の悪質性(理不尽性、屈辱性、執拗さ、危険性、巧妙性、反復性等)

④制限の頻度・回数

⑤それによるこちらの被害内容(特に体調不良を起こすほどか、精神疾患等になってしまうほどのものか)。

要するにこれらの①から⑤までの事情を総合判断して、深刻度レベルを検討していくのです。

 

 

4.重度レベルの経済的制限って?


 

 前述の通り、どのような指標で経済的制限の深刻度を評価するのかはイメージできたかと思いますが、具体例を見ますとより実感がわいてくると思いますので、私が実際に担当したケースをもとにご紹介いたします。

 

(重度のケース1)生活費を一切渡されず、食事も1日一回しかとらせてもらえない。

(重度のケース2)病院に払うお金がもったいないということで、1週間寝込むような病気にかかったときですら病院に行かせてもらえなかった。

(重度のケース3)稼ぎが少ないのに、アルコールばかり買ってくるため、食材を買うお金すらままならないのに、こちらが調理した食事の量が少ないと激怒し始める(理不尽な暴言とミックスしている例)

(重度のケース4)子供の学費が支払えないため、パートでよいから働きに出たいと話しているのに、全く聞き入れられない。そのくせ、学費の支払いについては「お前の方で何とかしろ」しか言わず、借金して学費を支払わざるを得なくなっている(行動規制とミックスしている例)

(重度のケース5)自分は毎日パチンコに行って散財しているのに、子供の文房具一つ買うのにも「この前買っただろう」と言って買わせてくれない。

(中度のケース1)子供の祝い金としてもらった5万円をアルコール代などとして散財してしまう。

(中度のケース2)月始は食べきれないような量の食材を購入してくるため、結局月末は質素な食事しか食べられなくなる。

 

 

5.前述は一例であって、当てはまらないから許されるということではない


 前述は、私が直接担当したケースで、重度又は中度と思われる経済的制限の実際の事例を挙げたものです。

 あくまで一例ですので、これと全く同じでないといけないということではありませんし、これに当てはまらないと「モラハラではない」というわけでもありません。具体例があった方がイメージがわきやすいと思って挙げたものです。

 実際にあなたが受けてきた経済的不利益な取り扱いの詳細を聞かせて頂ければ、どの程度の制限と言えるのか判断することができると思いますので、遠慮なくご相談頂ければと思います。 

 

 

6.皆様深刻度を気になさる方が多いが、今後どうするかはあなた次第


 

 前述の通り、私のところにご相談に来られる方の中には、自身のモラハラ被害の深刻度がどの程度なのかを非常に心配なさっている方も多くいらっしゃいます。
 ただ、極端な例ですが、深刻レベルのモラハラ被害を受けているのに、お子様のためにお子様が成人するまでは離婚しなかったという方もいます。逆に、軽度レベルのモラハラ被害でも、絶対に即離婚したいという方もいます。

 一番お伝えしたいのは、仮に「重度レベルのモラハラ被害ではなかった」としても、そのことで離婚を躊躇するか、離婚に踏み切るかはあなた次第ということです。
 客観的に見てモラハラ被害の深刻性が高いとまでは言えなくとも、「あなたにとって」どうしても許せないモラハラ被害ならば、離婚を躊躇すべきではありません。

 実際に、私がモラハラ離婚を担当しておりますと、重度レベルに達していないモラハラ被害のケースでも離婚事件を担当し、早期離婚に結び付けたケースも多数あります。

 他方で、離婚は、お子様にも影響がある重要な問題ですので、簡単に結論を出さず慎重に検討することを強くオススメしています。

 

 

6.まとめ


・そもそも、モラハラという概念が広い概念であることを理解すべき。
・弁護士秦は、モラハラ被害を、深刻度、重度、中度、軽度で評価することがある。
・モラハラは、様々な形態のモラハラ行為が複合的に行われるケースが多いので、一つのモラハラ行為を切り取って深刻度をチェックすることは難しい。
・それでも、「経済的制限」に限った上でも、重度レベルのモラハラ行為はあり、その例は今回紹介したようなものである。

 

 

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