離婚問題

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(6)ー子の監護者指定審判の「手続」の特徴は?

2020.02.03更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.子の監護者指定事件で想定している代表的なケースって?


 

 例えば、①普段お子様の面倒をほとんど見ていなかった旦那様が勝手にお子様と一緒に自宅を出てしまったとか、②逆に、DV夫から妻だけが追い出されてしまった(お子様を自宅に残さざるを得なかった)といったケースが代表的です。

 いずれにしましても、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段が、監護者指定及び引渡の事件と言うことになります。

 

 

2.監護者指定は3つの事件をセットにすることが多い。


 

 前述のように、監護者指定は、劣悪な環境下にいるお子様を救出する手段として用いられることが多いため、以下の事件を3つセットで申し立てるのが通例です。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

 

 以下それぞれについて概説します。

 1)は、夫婦共に親権を有する状態から、一方のみに監護権(お子様の身の回りの世話や教育方針等を決定する権利)を付与する手続です。

 ただ、監護者が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 

 さらに、このようなケースは緊急性が高いものですから(このような状態を長期間放置するとお子様の身の安全が保障できないことになるため)、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請も出すのです。

 と言いますのは、本来の正式な審判は、慎重に審理しなければなりませんので、結論が出るまでに時間がかかってしまいます。ただ、時間がかかればかかるほどお子様は劣悪な環境での生活を余儀なくされると言うことになってしまいますので、至急暫定的にでもお子様を正常な生活環境に戻させる処分が「保全処分」なのです。

 

 

3.監護者指定事件における手続の特徴は?


 

(1)調停前置ではない。

 例えば、離婚する際には、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります。このようにすぐに裁判と言った手続をすることができず、その前に調停を起こさなければ行かないことを「調停前置主義」と呼びます。

 家庭生活に関わる問題は、裁判官が強制するよりも、夫婦が話し合って解決することが望ましいという考え方から、離婚等には調停前置主義が採用されています。

 

 これに対して、監護者指定事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 監護者指定事件は、前述のように至急、劣悪な環境にあるお子様を救出する必要がありますので、調停手続きを経ることが要求されていない(調停前置主義が取られていない)のです。

 

(2)実際の手続の進行は?

 監護者指定事件の進行の特徴としましては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるといったことが言えるのではないかと思います。

 以下で詳しく説明していきます。

 

①迅速性

 前述の通り、子の監護者指定審判事件は通常監護者指定だけではなく、子の引渡及び保全処分もセットで申立がなされます。

 そして、保全処分は緊急措置としてお子様を暫定的に申立人のところに引き戻す手続と言うことになりますので、急ピッチで手続きが進められのが通例です(担当裁判部によっては多少スピード感が異なりますが)。

 即ち、監護者指定事件では、第1回期日に調査命令が発令されることが多く、その後の調査も急ピッチで進められることが多いです。

 

 一般的な審判事件ですと、いきなり調査官を付けるのではなく、調査発令の前までにお互いの資料整理等を何度か行うことが多いのですが、監護者指定事件では、第1回目から早速調査開始とすることが多いです。

 そして、調査を迅速に進めるため、調査官が複数名担当として付けられることが多いです。通常の審判手続ですと原則調査官は1名しか付けないのですが、急ピッチに事件を進めるため、調査官が複数名付けられるのです。

 調査官が複数名付けられることによって調査官の中でも作業の分担等を行うことができますので、手続の迅速化を図ることができるのです。

 

②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき

 前述の通り手続は急ピッチで進められますので、第1回期日までに資料等はほぼ全て出し切ってしまう必要があります。

 そのため、資料整理と裏付けの整理を急ピッチで進めることが非常に重要になります。

 特に、監護者指定事件では、これまでの監護状況が非常に重要なポイントになりますので、その裏付けとして保育園の連絡帳、母子手帳やお子様と撮影した写真等が客観的証拠として重視されやすいです。

 これらの証拠を準備しつつ、第1回期日までに陳述書も準備しなければなりませんので、忙しなく準備しなければならないことが多いです。

 

③調査官調査主体の手続である

 監護者指定事件において、ご夫婦は通常、過去のお子様との関わり方について、自身に有利なように主張を展開することが多いので、これまでの監護の状況については、調査官が裏付け資料等を見ながら慎重に判断していくことになります。

 調査官の調査は通常、①ご夫婦それぞれから提出された資料の検討、②ご夫婦双方との面接、③小学校や児童相談所等関係機関への訪問や問い合わせ、④自宅訪問の4部構成とすることが多いです(但し、通常は、①→②→③→④という順序で進行することが多いですが、事件によっては、順番が変わることも多いです)。

このようなお話しを致しますと、②の調査官との面接でしっかりと親としての活動をアピールしようと考える方も多いのですが、前述の通り、これまでのお子様との関わり方についてはどの程度の資料や証拠があるのかという点が非常に重要なポイントになりますので、上記①の資料提出の準備を怠ってはいけません。

 

④調査報告書でほぼ結論は決まる

 前述のような調査官の調査が完了しますと、調査官は調査報告書というものを作成します。要するに、実施した調査の概要を示すと共に、調査官として適切だと考える結論を報告書という形でまとめ上げるのです。

 この調査報告書は、実際に調査官のみでまとめ上げるのかというと、調査官が作成した叩き台に対して裁判官が意見を言うことの方が多いため、調査報告書には裁判官の意見が実質考慮されていることの方が多いです。

 そのため、調査報告書が出来上がりますと、実質的にそこで審判の結論は出てしまうことが多いです。

 このようなこともあって、裁判官は、審判廷において「裁判所の考え方は調査報告書の通りです」と発言することが多く、大半のケースでは調査報告書の内容通りの審判がおります。

 

 

4.まとめ


・監護者指定事件は、①ご夫婦が別居状態にある、しかも、②お子様が本来いるべき生活環境にいないケースで、そのような劣悪な環境からお子様を救出する手段として用いられることが多い。

・監護者指定事件は以下の3つの事件をセットで申し立てるのが通常である。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

・監護者指定事件の特徴としては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるという点が特徴的である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(7)ー監護者指定手続での「審判」って何だ?

2020.01.20更新

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1.監護者指定事件は調停前置ではない。


 

 離婚について調べていると、手続のステップは、①協議→②調停→③裁判の3つ手続きを経るという記事を見かけることもあるのではないでしょうか。

 そして、離婚の場合、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります(これを「調停前置主義」と呼びます)。

 

 これに対して、監護者指定事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 あまり聞き慣れない「審判」という手続がどのようなものなのか調停と比較しながら解説していきます。

 

 

2.審判と調停の違い


 

 審判と調停との間にはいくつもの違いがあるのですが、大きな違いとしては以下のような点が挙げられます。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では基本的に当事者本人が出席する必要がありませんが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 

 それぞれについて具体的に説明して行きます。

 

(1)審判手続は審判を目指す

 冒頭でも説明しましたとおり、審判手続は審判を得ることを目的としており、審判が言い渡されて、その内容が確定すると、不満のある当事者も審判の内容に従わざるを得なくなります(そのため、イメージとしては「判決」に近いです)。

 調停の場合には、相手の提案に納得が行かない場合には、納得いかない旨を述べれば調停は成立しませんので、相手の言い分を強要されることはありませんので、この点が審判と調停の一番大きな違いと言えます。

 

(2)審判は原則法廷で行われる

 調停は調停室という会議室のような部屋で行われるのですが、審判は原則として法廷(テレビドラマなどに出てくるのは通常この「法廷」になります)で行われます。

 但し、監護者指定事件においては、調査官調査が重要な役割を果たしますが、その際の調査官面接などは、会議室のような部屋で行われます。

 

(3)審判に対しては即時抗告という不服申立ができる

 審判手続の結論として審判が言い渡された場合でも、その審判内容に不満がある当事者は、即時抗告をして、その判決内容を争うことができます。

 これに対して、調停が成立した場合、後で気持ちが変わったとしても調停の内容を覆すことはできません(不服申立手段がありません)。

 なお、審判手続の中で当事者間の話し合いが上手くいった場合には、裁判官が審判手続きを調停手続に変更した上で、調停が成立することがありますが、この調停に対しても不服申立ができませんので、注意が必要です。

 

(4)審判では書類のやり取りが中心になる

 審判では、最終的には裁判官が審判を書くことになりますので、当事者の言い分が不正確にならないように、お互いの言い分は主張書面といった書面に書き起こして主張してゆくことになります。

 離婚調停の場合には、特に調停委員が希望する場合を除いて、言い分は調停室内で口頭にて述べられますので、この点も審判との違いになります。

 このように審判では本人の言い分が裁判官にきちんと届くように書面をまとめることが非常に重要になりますので、審判期日当日というよりも当日よりも前の主張書面の準備が重要になります。

 

 なお、監護者指定事件では、最終的には調査官の調査報告書が作成されますので、書面提出のみではなく、調査官面接や自宅訪問が実施され、その際の様子も重要なポイントになります。

 ただ、このような調査官調査に入る前に、しっかりとこちらの言い分を裁判官や調査官にぶつけ、必要な裏付け資料は全て提出しておくことが最重要になりますので、いずれにしましても、口頭のやり取りではなく、書類のやり取り、特に裏付けのやり取りが重要であるという点は調停との大きな違いです。

 

(5)審判には原則本人は出席しなくて良いし、通常は出席しない

 調停手続の場合、仮に弁護士が代理人に就いたとしても、本人が調停手続に出席する必要があります(弁護士も同席します)。

 これに対して、審判の場合、代理人が法廷に出席すれば良く、本人が出席する必要はありません。

 審判の場合、上記の通り、書類のやり取りが中心になりますので、期日当日本人に事実確認をする必要がなく、御本人に出席していただく必要はなくなるのです。

 

 

3.審判の具体的イメージは?


 

 審判というと、よくドラマでやる様な相手を証言台に立たせて尋問することをイメージする方も多いと思いますが、実際の審判は大きく異なります。

 監護者指定事件の大きなイメージとしては、①第1回期日までにお互いの言い分をほぼ言い尽くしてしまう→②調査官による調査の実施(調査官面接や自宅訪問、関係先訪問等が実施されます)→③調査報告書に基づく調停の勧告もしくは審判の言い渡しという流れになります。

  お互いの言い分の矛盾した点等については、調査官面接時に調査官が丁寧に事情を確認していきますので、通常証人尋問のような手続は実施しないことの方が多いです。 

 

 

 4.まとめ


・審判手続は調停と比較してみてみると分かりやすい。

・比較の結果の大きな相違点は以下のようなものである。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では基本的に当事者本人が出席する必要がありませんが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 

 

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子の監護者指定って何だ?

2020.01.13更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。

 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。

 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 

(2)親権の意味のおさらい

 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。

 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。

1)身上監護権

2)財産管理権

3)身分行為の代理権

 要するにこれらの権利をまとめて「親権」と呼んでいるということです。

 これらの3つの権利についてそれぞれ説明していくと以下の通りです。

 

 まず、身上監護権とは、お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。

 財産管理権とは、お子様の財産を管理についての代理権限を言います。馴染みがある例ですと、TSUTAYAなどでお子様だけでトレーディングカードやゲームソフトなどを売却しようとすると、親御さんの同意を得て下さいと言われると思いますが、これは、親権者に財産管理権があるため、お子様だけで高価な物品の処分等ができなくなっているのです。

 身分行為の代理権とは、例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

 

(3)要するに監護権って?

 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 監護権が問題となるのは、奥様がお子様を連れて別居を開始してしまったというように、ご夫婦が別居状態になっているときに、旦那様と奥様どちらがお子様を育てていくのが適切なのかということで争われるケースが大半です。

 

 

2.子の監護者指定って?


 

 夫婦が別居している場合、当然お子様はどちらか一方の家で暮らしていくことになります(頻繁な面会交流をしているケースもあるでしょうが、普段の寝起きをする場所としては通常夫婦どちらかの家と言うことになろうかと思います。)

 そして、このようなお子様の生活そのものに不満がない場合には、敢えて監護権者指定を申し立てる必要はありません。

 

 しかし、例えば、普段お子様の面倒をほとんど見ていなかった旦那様が勝手にお子様と一緒に自宅を出てしまったとか、逆に、DV夫から妻だけが追い出されてしまった(お子様を自宅に残さざるを得なかった)というように、現在のお子様の生活が子の福祉にかなっていないという状況に陥っているというケースもあります。

 これらのような場合には、お子様のために、現在の監護状況を脱し、お子様を本来あるべき生活環境に戻す必要があります。

 

 このようにして主たる目的としては、お子様を合法的に引き戻させるべく申立を行うのが子の監護者指定(+引渡)となります(このように通常はお子様の引渡をさせる必要がありますので、監護者指定と共に引渡も申し立てていくことになります)。

 

 

3.一般的に事件の数は3個になる


 

 前述の通り、現在もお子様の生活環境に問題があるので、そのお子様をこちらに戻させることを主目的として監護権者指定の申立は行われます。

 そして、通常、このような状況は早急に改善する必要があります。

 

 そのため、監護権者指定を申し立てる際には以下のように事件数は3個となることが多いです。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

 

 1)は前述で説明したように、夫婦共に親権を有する状態から、一方のみに監護権を付与する手続です。

 ただ、監護者が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 さらに、このようなケースは緊急性が高いものですから(このような状態を長期間放置するとお子様の身の安全が保障できないことになるため)、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請も出すのです。

 と言いますのは、本来の正式な審判は、慎重に審理しなければなりませんので、結論が出るまでに時間がかかってしまいます。ただ、時間がかかればかかるほどお子様は劣悪な環境での生活を余儀なくされると言うことになってしまいますので、至急暫定的にでもお子様を正常な生活環境に戻させる処分が「保全処分」なのです。

 

 

4.まとめ


・親権には、大きく分けて身上監護権、財産管理権、身分行為の代理権という3つの権利が含まれる。

・監護者指定とは、そのうちの「身上監護権」を夫婦のどちらか一方に与えるものである。

・監護者指定は、別居によりお子様が夫婦どちらか一方の生活だと劣悪な環境での生活になっているといったケースでお子様を救出する手段である。

・そのため、監護者指定は、①監護者指定、②子の引渡し、③保全処分という3つの事件が同時並行で進むことが多い。

 

 

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【弁護士が解説】令和元年12月23日算定表改定発表を受けての考察2

2019.12.23更新

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1.令和元年12月23日算定表改定発表


 

 報道もされていますのでご存じの方が多いと思いますが、最高裁判所の司法研修所が令和元年12月23日改定算定表を公表しました。詳しくは下記リンクの通りです。

>>改定算定表<<

 

 婚姻費用と養育費の決め方については、2003年に東京・大阪養育費等研究会が提案・発表した算定表が家庭裁判所にて広く活用されていました(但し、調停の手続の中では、ご夫婦がこの金額で双方納得すれば、合意が形成されますので、調停手続き上は「目安」という位置づけにはなりますが)

 このような算定表は、今から16年近く前に作られたものということもあって、その後の経済情勢の変化を反映していないという問題がありました。

 そのため、今回、経済情勢の変化等を踏まえ、改定が行われ、上記の通り公表されました(算定表の基礎となる計算式等には変更を加えず、各指数等を最新の統計結果等を踏まえた数字に変更したようです)。 

 

 

2.増額調停を起こすべきか否か


 

 先ほどのブログでは、算定表改定を受けた一般的な事項について考察しましたが、今回は、増額調停を起こすべきかどうかの検討項目等について解説していきます。なお、本ブログ記事は、弁護士秦の私見ですので、裁判所のオフィシャルの見解等では一切ございません。この点はご留意しながらご覧下さい。

(1)表の改定だけを理由にする増額調停は難しい。

この点は、改定表の説明にもありますとおり「本研究の発表は、養育費用の額を変更すべき事情変更には該当しない」とされていますので、表の変更それだけを理由とする改定は難しいと思われます。

 

(2)増額調停を申し立てるべきかの検討項目

 上記の通り、表の改定だけを理由とする増額要求は難しいと思いますので、どの様な事情があれば増額調停を申し立てた方がよいのか、検討項目をご説明していきます。

 具体的には、①お互いの収入変化、②お互いの家庭環境の変化、③先方が調停に出席するか否か、④これまでの面会交流の状況、⑤その他検討項目等を検討すべきかと思います。以下具体的に検討していきます。

 

①お互いの収入変化

 例えば、離婚の際にはこちらにもそれなりの収入があったけれども、事故等で収入が大きく減ってしまったとか、相手が昇進して収入が大きく上がったといったケースが想定されます。

 養育費等は、お互いの収入状況がもっとも大きな決定要因になることが多いので、収入状況に大きな変化が生じた場合には、新たに養育費増額調停等を申し立てる大きな要因になろうかと思います。

 ただ、相手の収入状況があらかじめ分かっていればよいのですが、分からない場合には、いざ調停を申し立てたところ、相手の収入が減ってしまっていて、減額されることになってしまうというケースもあり得ますので、相手の収入状況の見極めは慎重に行う必要があります。

 そして、このような収入変化がこれまでの養育費の金額を変更するだけの事情となるような場合には、今後は、改定後の算定表を目安として調停が進行していくものと思われます。

 

②お互いの家庭環境の変化

 例えば、先方が再婚し、新たに子供ができたことを前提に養育費を決めていたけれども、最近先方が離婚したとか、こちらが養育費等を請求するにあたって、有利な身分関係の変更があったようなケースを想定しています。

 お互い扶養すべき子や配偶者の増減がある場合には、養育費等の増減要因になることが多いので、新たに養育費増減調停を申し立てる大きな要因になろうかと思います。

 そして、このような家庭環境の変化がこれまでの養育費の金額を変更するだけの事情となるような場合には、今後は、改定後の算定表を目安として調停が進行していくものと思われます。

 

③相手が調停に出席するか否か

 相手が調停に出席するかどうかは、養育費等増額の直接の要因にはなりません。相手が欠席したからと言って、ペナルティとして養育費が増額されやすくなるとか、相手が誠実に調停に対応したからと言って増額が通りにくくなると言うことはありません。

 ただ、いざ増額調停を起こすとなると、相手が出席しないことには、調停手続は進まなくなってしまいます。

 そのため、調停を起こしたときに、先方が出席しそうかどうかという点は慎重に見極めておく必要があります。

 なお、先方が出席しない可能性が高いという場合には、当初から審判も視野に入れた上で、対応した方がよいケースもあると思います。

 

④面会交流の実施状況

 面会交流の実施状況は、養育費等増額の直接の要因にはなりません。これまで面会交流をほとんど実施していなかったとしても、そのことで養育費増額が認められにくくなると言うことはありませんし、面会交流をしっかり実施してきたからと言って増額が認められやすくなると言うこともありません。

 ただ、いざ増額調停を起こしますと、、「子供に会えてもいないのにお金だけ取られるのは納得行かない」という言い分が出ることが多く、ケースによっては元旦那様側から面会交流調停も一緒に取り扱ってほしいと言うこともあります。

 そのため、増額調停を起こす際には、このような面会交流の件も話題にあがる可能性が高いことは考慮に入れておく必要があります。

 

⑤その他検討項目

1)これまでの支払状況

 これまでの先方からの支払状況そのものは、養育費変更の直接の要因にはなりません(あまりに支払状況が悪いからペナルティとして増額しやすくなると言うことはありません)。

 ただ、先方があまりに養育費の支払いを滞納し続けているという場合には、先方にしっかりと養育費等を支払わせる意味で養育費支払いの調停を起こしたり、もしくは、上記①や②の状況も踏まえて増額調停を申し立てることも考え得るかと思います。

2)相手の資産状況等

 相手の資産状況等は、直接養育費増額の要因にはなりません(例えば、相手が相続で多額の土地を取得したとしても、そのことは、養育費増額の要因にはなりません)

 但し、相手が現在どこに勤めていて、どこに資産があるのかはある程度把握しておいた方が、今後の手続を円滑に進めることができます。

 この点では、来年改正民事執行法が施行され、相手の勤め先等を把握する制度が創設されましたが、相手の勤め先把握のためには、まずは、財産開示の手続きを取らなければならないなど、手続に時間がかかることも予想されますので、今後の円滑な進行のためには、事前に相手の勤め先等を把握しておいた方が望ましいと思われます。

 

3.増額調停を起こすタイミング


 

 

 前述の通り、算定表の改定そのもののみを理由とした改定は認められないと思われますので、まずは、増額の前提として相手の収入増加やこちらの収入減といった客観的な状況変化の有無を検討していくことが必要になろうかと思います。

 もちろん、算定表改定と言うことが報道でも大きく取り上げられていますので、そのことを踏まえて、このタイミングに敢えて増額調停を起こすと言うことも検討してよいかと思います(相手も特に増額を意識する時期という意味では調停を申し立てるよいタイミングと言えなくもありません)。

 ただ、繰り返しになりますが、一度養育費を決めている場合には、その後の状況変化の有無が増額できるかどうかに大きく影響しますので、ほとんど状況変化がないとか、相手の収入が減ってしまっているような場合には、むしろ減額されてしまうリスクもありますので、この点は十分注意する必要があります。

 

 また、お子様の進学先等をしっかりと相談し、学費の支払い割合等も議論したいという場合には、なるべく早めに調停を申し立てるなどして議論する場を設けた方がよいと思います(もちろん、調停ではなく、調停外での話し合いで議論できるようであれば、調停外で話し合いをした方が望ましいことは言うまでもありません)。

 

4.まとめ


・養育費等増額調停を起こすか否かの検討項目としては以下のようなものが考えられる。

 ①お互いの収入変化

 ②お互いの家庭環境の変化

 ③先方が調停に出席するか否か

 ④これまでの面会交流の状況

 ⑤その他検討項目

・増額調停申し立てのタイミングとしては、相手の収入状況等を把握してからの方が望ましい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士が解説】令和元年12月23日算定表改定発表を受けての考察1

2019.12.23更新

弁護士秦

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1.令和元年12月23日算定表改定発表


 

 

 報道もされていますのでご存じの方が多いと思いますが、最高裁判所の司法研修所が令和元年12月23日改定算定表を公表しました。詳しくは下記リンクの通りです。

>>改定算定表<<

 

 婚姻費用と養育費の決め方については、2003年に東京・大阪養育費等研究会が提案・発表した算定表が家庭裁判所にて広く活用されていました(但し、調停の手続の中では、ご夫婦がこの金額で双方納得すれば、合意が形成されますので、調停手続き上は「目安」という位置づけにはなりますが)

 このような算定表は、今から16年近く前に作られたものということもあって、その後の経済情勢の変化を反映していないという問題がありました。

 そのため、今回、経済情勢の変化等を踏まえ、改定が行われ、上記の通り公表されました(算定表の基礎となる計算式等には変更を加えず、各指数等を最新の統計結果等を踏まえた数字に変更したようです)。 

 

 

2.改定を踏まえた今後の調停・審判の進行は?


 

 

 既に調停や審判が開始していて、手続の途中だという場合、これまでの調停や審判の進行が大きく影響すると思いますので、改定表がどの様な影響を与えるかはケースバイケースであり、個別の事例次第と言うことになろうかと思います。 

 そのため、以下では、一般的な考え方として、ケースに分けて、算定表改定がどの様に影響するかという視点からご説明します。なお、以下の説明はすべて弁護士秦の私見でして、裁判所のオフィシャルの見解等では一切ありません。この点ご留意しながらご覧下さい。

 

(1)【ケース1】これから調停を申し立てようとしているというケース

 別居を開始したけれども、旦那が生活費を払ってくれないので、これから婚姻費用分担調停を申し立てようと考えているとか、旦那が生活費を払ってくれているけれども、こちらの要求額よりも少額しか払ってもらえていないのでこれから婚姻費用分担調停を申し立てようと考えているといったケースを想定しています。

 このようなケースでは、第1回調停期日が開催されるのは、早くとも年明けになると思いますので、調停においては、改定算定表での数字を目安として調停が進んでいくことになります(もちろん、ご夫婦がともに算定表を使わずに金額を取り決めたいという希望を持っている場合には、ご夫婦の希望する方法で進行することになりますが)

 なお、このケースは「これから新たに婚姻費用や養育費を取り決めようというケース」を想定していますので、既に決まっている婚姻費用等を変更しようというケースについては、後述の「ケース3」をご覧下さい。

 

(2)【ケース2】既に婚姻費用分担調停の手続中の場合

 このようなケースですと、前述の通り、これまでの調停の進行が大きく影響しますので、これまでの調停経緯をふまえた進行が行われます。ただ、当職が多数抱える調停の実情を踏まえますと一般的な傾向は以下の通りではないかと思います。

 そもそも、当職が抱えている家事調停では、11月中旬以降の調停期日では、必ず調停委員より「12月23日に算定表の改定版が公表されますので、改定版の公表内容を見てから婚姻費用・養育費を決めるか、今の算定表を元に決めるか考えて下さい」と質問してきており、通常の奥様側は、改定内容を見てから決めたいという意見を述べますので、ほとんどのケースで改定後の表に基づく算定を希望しています。

 そのため、ご夫婦の一方が改定表による議論を希望する場合、基本的には改定表を目安として婚姻費用や養育費を決定することになります(もちろん、調停委員から上記のように質問されたときに、敢えてご夫婦双方が「改定前の表で決めて欲しい」という意見を述べた場合には、改定前の表で決めていくことになろうとは思いますが)

 

(3)【ケース3】ついこの前婚姻費用の額を取り決めたけれども、表の改定を受けて、金額の見直しを希望する場合

 例えば、半年前に婚姻費用の金額について「5万円」と正式に合意したのに、表が新しくなって、より多くの婚姻費用をもらえそうなので、改定を求めて調停を起こすというケースになります。

 

 この場合、当初の「5万円」の取り決め方に大きく影響するかと思いますので、ケース分けしてご説明します。

①旦那が5万円で足りるだろうと言うから、もらえないよりマシだと思って5万円で合意したケース

 このように、当初から算定表を目にもせずに、旦那側の言うなりに金額を決めている場合には、この「5万円」そのものが、旧算定表の数字よりも低い金額にとどまっているというケースもあります(要するに、例えば、今は5万円しかもらっていないけれども、旧算定表だと10万円もらえるはずだった、改定算定表だと11万円もらえるはずだ、というようなケースです)。

 そのような場合には、当初取り決めた婚姻費用の額が少額に過ぎますので、その改定を求める調停(正式には婚姻費用増額調停) を起こすことができ、奥様側が改定表での数字決定を希望する場合、改定表によって算出された数字を目安に調停が進んでいくと思います。

 

②旧算定表で算出した数字が5万円というケース

 例えば、半年前に弁護士同士で話し合いをして、旧算定表で算出される5万円ということで合意したという場合、今回の改定要求は、表の変更のみを理由とする改定要求と言うことになります。

 この点は、改定表の説明にもありますとおり「本研究の発表は、養育費用の額を変更すべき事情変更には該当しない」とされていますので、表の変更それだけを理由とする改定は難しいと思われます。

 但し、婚姻費用を取り決めてから随分期間が経過し、その後のお互いの収入が大きく変化しているようなケースでは、改定表に基づく変更が認められるケースも出てくるかと思います。

 

3.その他の影響等は?


 

 

(1)自動計算ソフトへの影響

 当職自身は、これまでも婚姻費用や養育費の計算は、算定表の基礎となる算定式によって手作業で計算しておりましたので、インターネット上でよく見かける「自動計算ソフト」を使用したことはないのですが、この計算ソフトは、一般の方では利用なさっている方も多いのではないかと思います。

 ただ、この計算ソフトは旧算定表を元に作成されているものが多いと思います(令和元年12月23日現在)。

 そのため、今後インターネット上の自動計算ソフトのご利用をお考えになる方は、そのソフトが令和元年12月23日算定表改定公表を踏まえた修正を行っているかを慎重に見極めた上で利用するようにして下さい(おそらく、自動計算ソフトの注意書きにて同ソフトの更改日等が記載されていると思いますので、そちらをご確認下さい)。

 

(2)日弁連公表の新算定表との関係

 今回の司法研修所での改定の報道を受け、多くの方からご質問を受けたのですが、日弁連が公表しております新算定表と、上記の司法研修所の改定表とは全くの別物です。

 おそらく、今後の実務におきましては、今回発表されました最高裁判所司法研修所の改定表が大半のケースで利用されていくことになると思いますので、日弁連の新算定表と混同等なさらないようご注意下さい。

 

(3)算定表では決められないケースでは?

 例えば、旦那の収入が年収2000万円を超えるケースとか、離婚に伴ってお子様が分属するケースでは、ストレートに算定表を利用することはできません。

 そのようなケースでは、算定表の元となる算定式によって正確な数字を計算していたのですが、今後もこのような算定式による計算を行っていくことになると思います。

 ただ、この算定式における各指数等の数字が算定表改定に伴って変更になっていますので、今後の算定式への当てはめ等は、弁護士等の専門家にご相談なさった方がよいと思います(但し、改定表の元となる司法研修所報告原文は書籍として令和元年12月末日頃発刊予定ですので、具体的な計算は年明け以降可能になると見込まれます)。

 

 

4.まとめ


 

・これから調停にて新たに婚姻費用等を決めようというケースでは、改定表を目安に調停が進んでいく可能性が高い。

・既に調停手続中・審判手続中という場合には、これまでの進行を踏まえて手続が進んでいくが、既に改定表に基づいて手続を進めたいと奥様側が希望している場合には基本的に改定表を目安に手続が進む可能性が高い。

・既に決まっている婚姻費用等を改定する調停を申し立てようという場合、従前の婚姻費用の決まり方等によって今後の手続の進行が異なる。

・インターネット上の自動計算ソフトは、今回の改定を盛り込んだ計算になっているかを慎重に見極めた上で使用する必要がある。

・日弁連公表の新算定表と今回の改定表とは全く別物なので注意が必要である。

・算定表で決められないケースでの具体的計算は弁護士に相談した方がよい。

 

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【弁護士が解説】モラハラ・DV夫との離婚難易度

2019.12.09更新

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 正直に申しますと、モラハラ・DV夫が激しく離婚に反対してくる場合、最終的には離婚訴訟を提起しなければならなくなりますので、離婚に漕ぎつくためにはそれなりの期間を要することになります。そのため、あなたの離婚問題が長期化するかは、夫側のキャラクターや心情に大きく左右されます。

 ただ、状況等に応じて、ある程度離婚の難易度がどの程度なのかについては類型化することができますので、一般的な傾向として解説していきます。

 

 

1.法律的な難易度


 

 民法770条には、法律上の離婚原因が明記されているのですが、法律上の離婚原因は浮気や暴力等かなり限定的です。

 離婚の手順として、協議離婚(離婚届を提出して離婚するケース)できるのであればよいのですが、それが難しい場合には調停離婚(裁判所の調停で離婚するケース)、最後には裁判離婚(裁判所の裁判で離婚するケース)が必要になります。

 

 ただ、裁判をすれば必ず離婚できるのかというと、そうではなく、民法770条の離婚原因の存在が要求されているのです。

 夫婦の問題は当人同士で話し合いをすることが望ましいとの考え方から、裁判所によって強制的に離婚ができる事情は限定されているのです。

 

 逆に言うと、この民法770条の離婚原因がある場合には、裁判をすれば離婚できると言うことになりますので、例えば、継続的にDVが行われたケース等ですと、法律的な難易度は「低い」ということになります。

 他方、DVがあったとしても軽微であったり、お互いが手を出し合ってしまったケース、こちら側が過度に挑発してしまったケース等では、それだけでは直ちに離婚原因とは言えないと評価されてしまうケースもあります。

 

 また、モラルハラスメントのみのケースですと、当該モラハラのみをもって離婚原因とすることは難しいケースが多いと言えます。その意味では、法律的な意味での離婚難易度は「高い」ということになります。

 

 

2.実際の難易度は?


 

 これまでの解説は、「離婚裁判をした場合に勝てるのか?」というお話しです。

 そもそも、離婚裁判をせずに解決できるのであれば、短期間で解決できることになりますし、裁判に要する手数もかからないため、それに越したことはありません。

 

 そのため、離婚難易度といった場合、どの程度離婚調停で話をまとめられるか(もちろん、協議離婚ができればより一層望ましい)というところにかかってきます。

 

(1)難易度が高くなる要素

 離婚難易度(離婚調停までで離婚できる難易度)を高める要素は様々な要素があるのですが、私が弁護士として事件を担当している際によく感じる項目として以下のようなものがあります。

①モラハラ・DV夫の独自の発想・こだわりが強い。

②同居中のモラハラ・DV行為が執拗であった。

③モラハラチェック項目の項目に多数該当する。

 これらのケースですと、一般的に離婚難易度は上がる傾向にあると思います。

 

 なお、上記の①については、モラハラ夫の特徴の一つとも言えるものなので、該当する夫も多いと思うのですが、その全てのケースで離婚難易度が上がるというより、「突拍子もないような発想・こだわりを持っている」というイメージで考えてもらえれば分かりやすいと思います。そのような夫を相手にした場合、思わぬところで議論が紛糾してしまって解決までに時間がかかってしまうのです(実際に私が取り扱ったケースですと、夫側に私から電話をかけたところ「どうして私の携帯電話番号を知っているのか、妻が話したのかもしれないが、そのような個人情報を勝手に流用していることについてどう考えているのか」などと言っていつまでも議論を始められないといったことがありました)

 また、②や③のケースですとモラハラ・DV夫は、自身の行為が問題行為だったという認識が薄いため、離婚に反発する人が多く、離婚難易度を上げる原因になります。②や③のようなケースですと、より夫側が悪質なのですから、「離婚しやすくなるはずでは?」と感じるかもしれませんが、全く逆でして、このような夫は、調停委員からの説得などにも応じないため、解決に時間がかかってしまうのです。

 

(2)特定の夫を対象にした対策

 上記のような事情があると一般的に離婚難易度が上がるのですが、特徴に応じた対策を取ることによって早期離婚につなげる方法もあります。

 

①金銭に細かい夫を相手にする場合

 このような夫を相手にする場合、早急に婚姻費用を請求して、相手に金銭的負担をさせるという方法が効果的なことが多いです。

 要するに、夫側に「離婚しない限り毎月毎月お金を取られる」という意識を持たせることで、早期離婚に結びつけるのです。

 

②外面を強く気にする相手の場合

 このような夫を相手にする場合、調停等裁判所の手続を避けたがる人も多いので、そのようなケースであれば、極力協議離婚で解決することを目指します。私が担当したケースでも、3か月ほどで協議離婚にこぎつけることができたケースもあります。

 

 他にも夫の特徴に応じて対抗策はありますので、気になる方はお気軽にご相談下さい。

 

 

3.同居中に夫の方から「もう離婚だ」と言われることが多かった。


 モラハラ夫が離婚というワードを使う場合、こちらに対する「脅し文句」として使っている場合も多いため、必ずしもすぐに離婚できるとは限りません。

 実際に、私が弁護をしたケースでも、こちらから離婚を申し入れると、離婚したくないと言われてしまうケースはかなり多いです。

 もちろん、このような場合、(少数派ながら)相手がすんなり離婚に応じてくれることもあるのですが、離婚には応じても、離婚の条件(親権・養育費や財産分与の負担等)について対立が激しく、手続に時間がかかってしまうというケースもあります。

 

 

4.まとめ


・法律的な離婚難易度は、継続的な暴力等があれば下がる。

・実際の難易度としては、①独自の発想が強い夫や、②モラハラ・DVが執拗であったケース、③モラハラチェック項目に多数該当するケースだと難易度は上がる傾向にある。

・夫の特徴によっては効果的な対策を取ることで早期離婚にこぎ着けるケースもある。

・同居中モラハラ・DV夫が「もう離婚だ」といっていたからと言って簡単に離婚できるとは限らない。

 

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DV・モラハラの証拠が少ない場合の対処法

2019.11.25更新

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1.相手はDV夫やモラハラ夫なのにその証拠が少ないというケースは案外多い


 被害女性の方からお話を聞いていますと、DVやモラハラ被害があったことは明らかなのですが、肝心の証拠が少ないというケースは多くあります。

 特にモラハラですと、相手が頻繁に暴言を浴びせて来るというケースだと録音等をしておけばよいのですが、長期間無視してくるとか、こちらの行動を監視して来るというケース等ではそもそも証拠を入手すること自体が難しいということも多いです。

 

 また、相手からのLINEやメール等はあるものの、あまり決定打になる様なものがないというケースもあります。

 ただ、そんな場合にも簡単に離婚を諦めずに対処していく必要があります。

 以下では、どのようにして離婚に道筋をつけていくのかを解説していきます。

 

 

2.前提としてのしっかりとした準備


 前述のように証拠があまりないと言っても、少ないなりにどのような証拠がどの程度あるのかについては、しっかりと見極める必要があります。

 素人目に見て、「証拠があまりない」と思っていても、専門家の目から見ると有効活用できる証拠が存在するということもあります。

 また、婚姻期間が長い場合には、DVやモラハラ被害の詳しい時期をよく思い出せないというケースも多いです。そのような場合に、LINEやメールやり取りを見ることで、被害を受けた時期を思い出すことができるということもあります。

 なお、証拠として日記やメモなどはあるという方もいますが、残念ながら手書きのメモ等はあまり有力な証拠にならないことが多いです。

 いずれにしましても、 できる限りどのような証拠があるのかを確認し、整理しておくことは必要です。

 このような準備をした上で、どのような対処方法があるのかについて以下で解説していきます。

 

 

3.【対処方法1】別居期間を稼ぐ


 

 相手が自分のモラハラやDVを認めればよいのですが、証拠がない場合には、そのことを認めないケースも多いです。

 そうなった場合、証拠がない事実ばかりを主張していても離婚の道筋を付けることは難しいです。

 

 このような場合の直接的な方法としては「別居期間を稼ぐ」ということが最も有効な手立てと言えます。

 DV等の明確な離婚原因の証明ができない場合であっても、別居期間が長期間に及ぶ場合には、このような別居生活の方が夫婦としての同居生活よりも安定しているという考えになりますので、離婚が認められやすくなるのです。

 

 どの程度の別居期間が必要かという点は、これまでの同居生活でのやり取りによりますので、一義的なことは言いづらいのですが、3年、4年が一つの目安と言われています。

 

 

4.【対応策2】早めに婚姻費用の支払いを開始させる


 

 先ほど説明した「別居期間を稼ぐ」という方法は、いわゆる手堅い手段ではあるのですが、離婚成立までに時間がかかってしまうというのが大きな難点です。

 あなたとしては、もはやDV夫・モラハラ夫と夫婦でいる必要がありませんので、早めに離婚したいと希望しているでしょうから、別居期間を稼ぐという方法は、このような希望には添っていません。

 

 そこで、次に考えられるのが婚姻費用を支払わせるという方法です。

 モラハラ夫やDV夫は、自分の気に入らないことに対してはお金を払わないという態度の人間が多いため、「勝手に出ていった人間には生活費は渡さない」と言ってくる人は多いです。

 ただ、正式に離婚が成立する前であれば、あなたは婚姻費用(生活費)を請求する正当な権利がありますので、相手の「支払わない」という言い分が認められる可能性は極めて低いです。

 

 そのため、この権利を早めに行使し、早めに先方に婚姻費用の支払いを開始させることが重要です。

 なぜなら、相手に毎月生活費を支払わせていくと、相手としては納得が行かないお金を毎月支払わなければならなくなりますので、このこと自体がストレスに感じるでしょうし、実際上も毎月婚姻費用を支払うことで自身の収入が減っていきますので、「早く離婚してしまった方が負担が少なくなる」という発想に結びつきやすくなるからです。

 そのため、早めに婚姻費用の問題に着手すると言うことは重要ですので、相手が支払いを拒むようであれば、早めに調停を起こして、支払いを早めに開始させる手順を踏むことが多いです。

 

 

5.【対応策3】離婚裁判も辞さないという強い姿勢を示す。


 

 離婚の問題は協議が決裂した場合、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。

 離婚調停の中で、こちらは離婚したい、他方、相手は離婚したくないと言うことで意見が対立してしまいますと、離婚調停も決裂して終了してしまいます。

 

 ただ、調停も終盤に差し掛かりますと、調停委員から、今後どのようなことを考えているのかを質問されますので、こちらとしては、裁判も辞さないという強い覚悟を持っている旨を示していくことになります。

 そうすると、裁判になりますと長期戦になりますので、夫側が短気な場合には、長期紛争を嫌がって、調停で話をまとめようとしてくることも多いです。

 

 

6.まとめ


・DV・モラハラの証拠が少ない場合であっても戦い方はあるので、簡単に離婚を諦めてはいけない。

・まずは、少ないなりに手持ちの証拠を確認・整理する必要がある。

・別居期間を稼ぐと言うことが一番端的な対応策である。

・早めに夫側に婚姻費用の支払いを開始させることが重要である。

・離婚調停の席では、裁判を辞さない旨のしっかりとした強い覚悟を示すことも重要である。

 

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DV・モラハラ離婚:調停の席にあなたも出席する必要があるか

2019.11.11更新

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1.弁護士を雇った場合、弁護士に丸投げできないの?


 

 あなた自身で(弁護士を立てずに)離婚調停を申し立てた場合、その調停の席にあなた自身が出席しなければならないのは当然ですが、弁護士を依頼した場合はどうでしょうか。

 要するに、弁護士を雇ったのだから、弁護士に丸投げできないのかという問題です。

 

 ちなみに、遠隔地の裁判所に調停を申し立てた場合には、電話会議方式で調停を行うケースが多いので、その場合にはご本人も裁判所の調停室に直接足を運ばない形にはなります。今回の解説は、このような電話会議の場合ではなく、通常の調停を想定して解説していきます。

 

 

2.原則ご本人に出席して頂く必要がある


 

 DV・モラハラ夫が相手ですので、ご不安もあるとは思いますが、基本的には調停にはご本人にもご出席頂く必要があります。

 理由は以下の通りです。

 

(1)直接顔を合わせない工夫がなされている

 調停というと、DV夫と直接顔を合わせるのではないかと不安に思われている方も多いのですが、調停では相手と直接顔を合わせないような工夫がなされています。

 まず、調停の際、あなたは弁護士と一緒に調停室に入り、調停委員に対して事情を説明するのですが、調停室に入るのはあなたと弁護士のみで、DV夫は同席しません。

 そのため、調停室であなたがDV夫と直接顔を合わせるということはありません。

 

 より具体的には、調停は、あなたとDV夫とが交互に調停室に入りますので、調停室内で直接顔を合わせることがないようになっているのです。

 このように調停室で顔を合わせないとしても、待合室で待っているときにDV夫が入ってこないかという不安もあろうかと思います。

 

 この点は、DVのケースであることを裁判所に予め説明しておけば、こちら側が待機している待合室の階数をずらしてくれたり、集合時間をずらしてくれたりしますので、このようにして回避できるように工夫されています。

 そのため、現実的には裁判所でDV夫と顔を合わせるリスクは少なくなっています。

 

(2)離婚という身分関係に関わる重要な問題であること

 調停で話し合いが行われますのは、夫婦関係を解消させるという重要性の高い議題になります。

 このような重要なお話しになりますので、私の方からは「弁護士に丸投げというわけにはいきませんよ」とお話させて頂くことが多いです。

 

(3)こちらの真剣さを伝える

 調停委員も人間ですから、目の前で話をする人間の表情や仕草、話しぶりに影響されるのは事実です。

 そのため、あなた自身が調停の席に出席して、真剣に離婚したい旨を話すと、調停委員も、その真剣さを受けとめてくれることが多いです。

 

 逆に、あなた自身は出席せずに、弁護士だけが調停の席に出席して話をしたらどうでしょうか。調停委員からは、あなた自身の生の声が聞けていませんし、あなた自身の表情や仕草を確認することもできませんので、あなた自身の真剣度を測ることは難しくなります。

 前述の通り離婚はあなたの身分関係に関わる重要な問題でもありますので、通常の離婚調停ではご本人も調停の席に出席します。

 そのため、あまりあなた自身が欠席を繰り返すことになってしまいますと、調停委員からは「どうしてご本人がいらっしゃらないんだろう」「ご本人の表情が見えないな」と感じてしまうリスクがあるのです。

 

(4)あなた自身に調停手続の内容をリアルに把握してもらう

 弁護士だけが調停の席に出席するという形になってしまいますと、あなたの調停事件を担当してくれる調停委員がどんな人なのかということは分からないと思います。

 そして、弁護士から事後的に、その日の調停の様子の報告を受けても、概要の報告しかできませんので、事細かなやり取りの詳細までは把握できないことが多いと思います。

 

 逆に、あなた自身が調停の席に出席していれば、調停委員の話しぶりから感じるところもあるでしょうし、何よりリアルタイムで調停の詳しいやり取りを把握することができます。

 このようにリアルタイムで理解しながら調停を進めていくことができれば、その都度状況をしっかりと認識しながら、納得しつつ手続を進められると思います。

 

(5)詳しい事実関係の確認は本人でないと対応できない

 調停でどのような話が出るのかについては事前に準備をしますが、相手がどのような言い分を述べるのかを全て事前に把握しきることは不可能です。

 そのため、弁護士のみが調停の席に出席した場合、過去ご夫婦でどのようなことがあったのかを全て事前に把握しておくことは不可能なので、弁護士が把握していない過去の事実について調停委員から質問等を受けた場合に返答することができなくなってしまいます。

 そうすると、詳しくは次回調停期日までに把握してきて下さいと調停委員から指示を受けてるという進行になってしまいますので、調停手続の遅延の原因にもなりかねません。

 

 

3.自分ではうまく話せない不安があるのですが…


 調停の席にあなた自身が出席して欲しい旨をお話すると、「緊張してしまってうまく話せないのではないかと不安」とか「余計な話をしてしまいそうで心配」とおっしゃる方も多いです。

 ただ、調停の席は、面接テストなどの場ではありませんので、私の方からは「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」とご説明することが多いです。また、実際に出席した方からは、「事前に思っていたよりも調停委員が話しやすい方でした」とおっしゃる方が多いです。

 確かに緊張してしまうとは思いますが、弁護士である私が同席して、必要な範囲で修正や補足ができますので、私の方でフォローが可能です。

 また、緊張して十分話せないというデメリットはあるかもしれませんが、前述のように、あなた自身の言葉で実情を伝えるメリットの方が大きいです。

 

 

4.まとめ


・以下の理由からDV・モラハラのケースでもご本人に調停の席に来てもらう必要があるのが原則である。

 ①身分関係という重要な話をする場であるから
 ②調停委員にこちらの真剣さを伝える必要があるから
 ③あなた自身にリアルタイムで調停の場でのやり取りを把握してもらう必要があるから
 ④過去夫婦間でどのようなやり取りがあったのかはあなた自身でないと答えられない事実も多いから

・裁判所ではあなたがDV・モラハラ夫と出くわさないような工夫がされている。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

ズバリ!!弁護士から見たDV夫の共通点

2019.10.28更新

弁護士秦

 

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>>「DV・モラハラの連鎖を断ち切る!!」DV・モラハラ被害女性のための総合サイトはこちら<<になります。

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1.DV夫の共通点って?


 

 私も数多くのDV離婚事件を担当しておりますと、DV夫と直接会って、離婚を説得することも数多くあり、その中で感じるところがありますので、私がDV夫と対峙している際に感じる共通項についてご紹介させていただきます。

 もちろん、共通点・特徴とは言いましても、その様な特徴は、あるDV夫にはあるけれども、あるDV夫にはほとんど見られないというように、個人差がありますが、「大半のDV夫で見受けられる傾向」というものがありますので、以下でご紹介致します。

 

 

2.【弁護士から見たDV夫の共通点1】自分の考え方に固執する・絶対正しいと考える


 

 私がDV夫と直接話をしてきた中で一番よく感じる特徴の一つと言えます。

 私の方からDVを指摘すると、大概のDV夫は、「原因を作ったのは妻だ」とか「経緯があってこのようなことをしている」という言い訳をすることが多く、自分の非を認めない人が多くいます。

 

 特にあなたとの同居生活での言動や行動の中に顕著でして、家事や育児、果てはあなたの働き方などについてまで「俺の言うとおり(方法)にやれ」「間違ったやり方をするな」「そんなやり方は聞いたことがないから、逆らわずにやれ」といった強要をしてくることが多いです(いわゆるマイルールの強要です)。DV夫側があまりに自信満々で話をしてくるため、奥様の側も、「そうなのかな?」と思ってしまうことも多く、いつの間にかモラハラ夫の言う通りに行動等してしまっているということも往々にしてあります。
 なお、この特徴については、弁護士の前では明確に示して来ないというパターンもあります。と言いますのは、後述のように、DV夫は外面が良い、というよりも、「他人からどのように見られているのかを非常に気にする」という人も多いので、「弁護士の前では大人しくしている」というパターンもあるのです。ただ、私が直接話をしておりますと、表情等から「何かを言いたげである」とか「全く納得している様子がない」という姿勢を読み取れることが多いです。
 

 

3.【弁護士から見たDV夫の共通点2】内弁慶で外面が良い


 

 あまりよい表現ではないかもしれませんが、「内弁慶で外面(そとづら)が良い」と言う点もDV夫によく見られる共通点・特徴と言えます。

 このような表現は、むしろDV被害を受けている奥様からおっしゃられることが多いのですが「うちの夫は内弁慶で外面が良いんです。」と説明を受けることが多くあります。

 

 私は、DV夫が家庭でどのように振る舞っているのか直接見ることはできないのですが、奥様から詳しくDV被害の状況を伺っている限り、家庭の中と家庭の外ではかなり使い分けていると感じることが多くあります。

 奥様の話を聞く限り、「このDV夫は社会に馴染んで仕事をできるのだろうか?」と不安に感じることもあるのですが、実際には高キャリアというケースも多くあります。

 

 このように内弁慶の人が多いからでしょうか、私がDV被害を伝えても、DV夫はその様なDVそのものを否定してくる場合もあります。

 また、私がDV夫と話をしていると最初のうちは夫側も冷静に話をしているのですが、何度も話をしていると、段々DV夫も本性を現してきて、語気が荒くなる、不合理な要求をしてくる様になるといった傾向が見られることもあります。

 

 なお、極端なDV夫などでは、家庭内だけではなく、職場でも頻繁にトラブルを起こしていて転職を繰り返しているとか、無職の期間が何ヶ月にも及ぶことがあるというケースもあります。その場合には、「内弁慶」というのは当てはまりません。

 

 

4.【弁護士から見たDV夫の共通点3】言い逃れ・こちらに責任転嫁することが上手い


 これも、DV被害を受けている奥様からよく聞かされるお話なのですが、言い逃れが非常にうまく、話しをしている間にうまく話をすり替えて、奥様の方が悪かったとか、奥様の方が原因になっているからDV夫側は悪くないという方向の話になってしまうということも多いという話が出ることも多いです。これは、DV被害を受けている奥様側に共通する点でもあるのですが、DV夫に責められ続けてきたので、自信を無くしてしまっている方が非常に多いと感じます。これも、DV夫側の責任転嫁の結果と言えます。

 私がDV夫と直接話しをしていても、DV夫側が急に全く違う話題を持ち出してきて、妻のこのような態度はどうだったんでしょうか?といった形で切り返してきたり、こちらの危機感を煽り、自分に優位に話を進めようとしてくることもあります。
 前述の通り、DV夫は高キャリアのことも多く、弁が立つので、上手く言い逃れしたり、いつの間にか奥様側に責任転嫁しているということも往々にしてあるのです。
 もちろん、弁護士として話をする場合には、DV夫側の話には流されませんが、このような特徴はDV夫に共通する部分が多い項目といえます。

5.【弁護士から見たDV夫の共通点4】(なぜか)被害者意識が強い


 これもDV夫と話をしていると思うことが多いのですが、(なぜか)DV夫側の方が強い被害者意識を持っていることも多いです。
 こちらが、切々と奥様のDV被害のことを話しているのに、DV夫側は「妻の話はそうなのかもしれないのですが、私は妻が勝手に出て行ってしまって本当に精神的に苦しくてやりきれないんです。どうか妻と直接会って話をさせて下さい」とか「突如子供とも会えなくなって、仕事も手につかなくなっています。私はそこまでのことをしてしまったんでしょうか」といった返答が返ってくることも多くあります。
 奥様のお話とDV夫側のお話を総合しても、明らかにDV夫側の方が加害者だと感じても、DV夫側は自分がされたこと・言われたことの被害者意識が非常に強いため、「むしろ迷惑をかけられているのは自分の方だ」という考え方の人が非常に多いです。
そのようなこともあって、奥様の方も、「同居中も、夫の被害者意識が強くて話が噛み合わないことが多かったです」とおっしゃることも多いです。

 

6.【弁護士から見たDV夫の共通点5】急に怒り始めるため、怒り始めた原因が分からない


 

 これも、私がDV被害を受けている奥様からよく聞く話なのですが、「うちの夫は、急にスイッチが入ると、こちらに暴力を振るってくるのですが、どうしてスイッチが入ったのかが分からないんですよ」という相談を受けることが多くあります。そのため、DV夫の一つの特徴と言えると思います。

 

 DVの最も深刻な問題の一つともいえるのですが、このようにDV夫が何時怒り始めるかが分かりませんので、奥様としては、常に緊張感を持って生活していかなければならず、それが大きなストレスの原因になることも多いです。しかも、後から聞いてみると本当に些細なことが原因であることも多く、奥様からしてみると「そんな些細なことであれだけ怒っていたの?」と困惑してしまうことも往々にしてあります。

 

 ただ、DV夫によっては、こちらに暴力を振るってくる際に、自分が怒っている原因を告げてくることもあり、その内容で、相手が怒っている理由が分かるというケースもあります。しかしながら、前述のようにDV夫は独自の考え方を持っている人も多いため、DV夫の説教を聞いていても、こちらとして、何故その様なことで怒るのかが理解できないというケースも多くあります。

 なお、弁護士に対しても同様で、DV夫の説得のために何度か話をしていると、DV夫が急に怪訝な顔をし始めるとか、こちらの話を誤解して急に立腹し始めるという方もいます。ただ、弁護士の手前ということもあるのか、DV夫が私に対して直接立腹し始めるという事態はケースとしては少ないです。

 

 

7.【弁護士から見たDV夫の共通点6】急にやさしくなることがある


 

 これも、私がDV被害を受けている奥様からよく聞く話なのですが、DV夫の態度が豹変するという話になります。

 

 極端なケースですと、昨夜は、こちらを殺すとまで怒鳴ってきていた人が、翌朝には、和気藹々と話しかけて来るというケースもあります。

 最初のうちは、奥様の方も、DV夫の機嫌がよい分には助かると考えるのですが、DV夫の機嫌があまりにコロコロ変わるので、段々と心理的に疲弊してしまう人も多くいます。

 

 なお、DV被害を受けている方の中には、このようにDV夫が急に優しくなることがあるため、DV被害を受けていても「また優しい夫に戻ってくれる」と考えて、ズルズルと離婚を先延ばしにしてしまう方もいます。

 ただ、このように問題を先延ばしにしてしまいますと、DV行為がエスカレートしていき、深刻な被害につながりかねませんので、「また優しい夫に戻ってくれる」という幻想は捨てた方が良いと思います。

 

 このようなことは、弁護士である私の目の前でも行われることがあります。例えば、DV夫がお子様の運動会への参加を強く希望しており、そのような希望が叶った後は、私に対しても異常なまでに上機嫌であるといったこともあります。

 

 

8.【弁護士から見たDV夫の共通点7】絶対に自分から謝らない


 これも、奥様からよく話が出る事項の一つなのですが、DV夫は謝らない、ということが言えます。
 実際に、別居を開始したり、弁護士を介して離婚を切り出す場合には、離婚を逃れるために、形式的に謝罪の言葉を述べてくることもあるのですが、そうでもしないと「絶対に謝らない」というDV夫は多いです。
 なお、DV夫も言い過ぎたと思ったときなどには、翌日プレゼントを買ってくるとか、急に家事を手伝ってくるとか、一定の態度の変化が出てくることはあるのですが、絶対に言葉では謝らないということを貫くことも多いです。また、夫婦喧嘩になった時にも、いつも奥様の方から謝って終わるとか、あやふやなまま終わらせて、結局DV夫は謝らないということも多いようです。このようなことが続くことで奥様の方もどんどんと自信がなくなっていくとか、違和感が心のうちに徐々に積もっていくといった悪循環に陥っていくことも多いです。

 

9.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点8】妻や子供のことを監視・制限したがる


 これもDVのケースを扱っているとよく聞く話なのですが、奥様の行動等を制限したり、監視・支配したがる、もしくは、お子様の行動を制限等したがるDV夫は多いです。
 このような制限の態様は大小あるのですが、極端なケースですと、妻に携帯電話を持たせてくれないというケースもありました(もしかしたら男性と会話するかもしれないから、携帯電話は持たせないと言うのです)。また、お子様との関係では、お子様の習い事や部活動などに事細かく指図してくるというようなケースも多いです。

 このような監視・制限の厄介なところは、DV夫側が、妻や子供に対する愛情だとか、妻や子供のためを思ってやっていると誤解していることも多いという点です。こちら側が不満を述べると、夫側は「妻や子供達のためを思ってやっているのに」と感じて逆上してくるケースが多いのです。
 なお、私がDV夫と対峙していて、この「監視・制限」については、人によって個人差が非常に大きいと感じる項目でもあります。前述の奥様に携帯電話を持たせないというのは最たる例ですが、非常に監視が厳しいご家庭もあれば、監視が緩いご家庭もありまして、「程度の差が大きい」と感じるのです。

10.【弁護士から見たDV夫の共通点9】離婚理由を理解しようとしない


 

 これは正確には「理解できない」という方が正しいかもしれませんが、こちらから奥様が離婚したがっている理由を説明しても、相手が理解できないケースが多くあります。これは、DV夫の方も多少は理解しているのですが、離婚するほどの話ではないと考えるケースと、そもそもこちらの話にピンと来ていないというケースがあります。

 

 なお、DV夫が相手の場合、こちらが離婚したいと考える理由をきちんと正確に理解させることは難しいことが多いため、奥様の方でやり直すつもりが全くないということを伝えて離婚の説得をすることが多いように感じます。

 また、「妻の言うことも分かりますよ」といいながら「だけど、…」と自分の言い分を主張して、結局問題の根本を全く理解していないというケースも数多くあります。

 

 

11. DV夫の共通項を活かした対策


 

 これまで紹介してきましたとおり、DV夫の弁護士に対する態度は上記の様になります。そして、一番の鍵になるのは、DV夫が暴力を振るってくる様な場合には、その証拠を押さえておくことになります。

 診断書や怪我の写真等きちんとした証拠がありますと、DV夫も言い逃れができなくなり、スムーズに離婚できるケースも多いです。

 

 そのため、まだ、あなたの方でDVの証拠を取得していない様な場合には、極力DVの証拠を確保する様に努めることをオススメします。もちろん、怪我をするほどのDVではないという場合には、証拠化しにくいというケースも多くありますので、そのような場合には、どのような手順、手続で別居や離婚を進めるのがよいかは、弁護士に相談してみると良いでしょう。

 

 

12.上記が「全て」ではない


 今回は、私がDV夫と直接対峙してよく感じる共通項について解説いたしましたが、DV夫の特殊な行動や言動の幅は非常に広いため、上記の解説に含まれないような話も多々あります。上記の解説に含まれていないと、「自分の被害はモラハラ・DVに当てはまらないんじゃ」とか「マイナーな話なので、話をしても理解してもらえないかも」と不安に感じるかもしれませんが、私自身、上記以外での被害のお話を聞くことも多いので、是非そのような不安は抱かないで頂きたいと思います。
 私が、被害を受けている方からお話を聞いておりますと、上記のようなお話以外にも特殊な被害を受けていて「こんなやり方をする人がいるんですね?」と驚いてしまうこともあります。これは、私が知らない被害だから「モラハラ・DVにあたらない」ということでは決してありませんので、勇気を持って話をしてもらえればと切に願っています。

 

13.まとめ


〇弁護士から見たDV夫の共通点は以下の通り

 ・自分の考え方に固執する・自分の考えが絶対に正しいと考える。

 ・内弁慶で外面が良い。

 ・言い逃れ・こちらに責任転嫁することが上手い。

 ・(なぜか)被害者意識が強い

 ・急に怒り始めるため、怒り始めた原因が分からない。

 ・急にやさしくなることがある。

 ・絶対に自分から謝らない。

 ・妻や子供のことを監視・制限したがる。

 ・こちらの主張する離婚理由を理解できない・理解しようとしない。

〇このようなDV夫の特徴を考慮し、先回りして証拠を集められるとベストである。

〇これらがモラハラ・DVの「全て」ではないので、安心して話をしに来て欲しい。 

 

 

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【弁護士が解説!】DV離婚)解決までにかかる期間はどのくらい?

2019.10.14更新

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1.やはり解決までにかかる期間はとても気になる


 

 離婚にあたっては、親権を獲得できるのか、養育費や財産分与でいくらもらえるのか、慰謝料はもらえるのかどうか、といった点については、今後の生活に直結する問題なので、皆様の大きな関心事の一つだと思います。

 そして、自分のDV離婚の問題がどの程度の期間で解決するのかという点も重要な関心事だと思います。正式に離婚が成立するまでは、いわば中途半端な状態とも言えますので、このような状態から早く抜け出したいと考えるのは当然のことだと思います。

 

 離婚の問題は、①協議離婚→協議離婚が上手く行かない場合に②調停離婚→どうしても調停離婚が上手く行かない場合に③裁判離婚という流れを踏みますので、最終解決が協議離婚で済むのか、調停離婚での解決なのか等手続に応じて、要する期間も異なってきます。

 

 このような期間はケースによって様々なので一概には申し上げにくいのですが、各手続に応じてどの程度の期間を要するのかの目安と、どのような問題が争点になると長期化しやすいのかについて解説します。

 

 

2.協議離婚で解決する場合


 

 協議離婚というのは、離婚届を役所に提出して解決する場合を言います。

 たまに依頼者の中には、弁護士が間に入る場合には、協議離婚にはならない(調停離婚で手続を進める)と誤解されている方もいらっしゃいますが、基本的には、弁護士が間に入った場合にも、協議離婚による解決を目指すことが多いです。

 

 では、協議離婚の場合、解決までにどの程度の期間を要するかというと、おおよそ2か月から6か月程度というのが一つの目安かと思われます。ただ、これもケースによりけりですので、一つの目安と考えて頂ければと思います。

 

 通常、協議離婚で解決したという場合には、離婚条件について大きな対立はないことが多いのですが、協議離婚が長期化する傾向があるのは、①緻密な離婚協議書を作成する場合や②財産分与の対象が多くて整理に時間がかかる場合、③公正証書を作成する場合ではないかと思います。
 補足しますと、「①緻密な離婚協議書を作成する場合」というのは、特にお子様との関わりが問題になることが多いのですが、例えば、離婚後のお子様と夫との交流について、直接会う頻度は2か月に一回までしか認めないけれども、メールのやり取りは週1回まで認める等々何をどこまで認めるのかについてきめ細かく記載する場合などが代表例です。きめ細かく離婚協議書の内容を詰めていかなければならなくなりますので、交渉に期間を要することが多いです。

 ③はどのようなケースなのかといいますと、特に養育費などの金銭の支払いに強制力を持たせたい場合が代表例です。その場合、公正証書を実際に作成するのは公証人になります。そのため、公正証書を作成する場合には、公証人との折衝や公証人に提出する資料なども必要になってくる関係で最終解決までの期間が延びる傾向にあります。 

 なお、DV夫との離婚協議の場合、相手が自分の考え方に強く固執している場合も多く、協議離婚での解決は難しいケースも多いように感じます。

 

 

3.調停離婚で解決する場合


 

 前述の協議離婚が上手く行かない場合、調停手続で離婚を目指すことになります。

 特に相手がモラハラ夫で、離婚協議をしていても、話がうまく進展しない場合には、早期に調停を申し立てることになります。

 

 調停での解決にどの程度の期間を要するかですが、これもケースによって千差万別なのですが、一般的にはどんなに早くとも3か月、長い場合には1年、または1年を超えることもあるという回答になると思います。

 それでは、DV離婚の調停の場合、どのような問題で長期化しやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

 

①離婚するかどうかの部分、または離婚原因の部分で対立が激しい場合

 特に深刻なDV夫のケースで多いのですが、DV夫は基本的に自分が悪いことをしてきたという認識が薄いです。

 そのため、こちらからDVを離婚原因に掲げると、DV夫側からは、以下のような反発を受けることが多くあります。例えば以下のようなものです。

・妻の我慢が足りない。

・暴力の原因を作ったのは妻の方である。

・そこまでひどいことをしていない。

・普段から暴力を振るっているわけではないから問題ない。

・汚い言葉は使ってしまったかもしれないが、暴力は振るっていない(虚偽を述べてくるケース)

 果ては、離婚調停の申立書の書き方が悪いとか、事細かに揚げ足を取ってくる場合もあります。

 このようにDV離婚そのものを争ってきたり、その詳しい離婚原因に強く反発してくる場合には、詳しい離婚条件を話し合う前の段階で調停手続がストップしてしまいますので、長期化の原因になりかねません。

 

②お子さんとの関係で嫌がらせをしてくる場合

 DV夫が離婚には応じたとしても、渋々合意したと言うことが多いため、何かしらの形で嫌がらせをしたいと考えてくる人もいます。例えば、以下のような形になります。

・実際自分では育てられないと分かっているのに親権獲得を希望してくる。

・親権は争わないが、今後の監護計画を事細かに聞いてくる。

・頻繁な面会交流を要求してくる。

・しきりに学校行事や習い事の発表会への参加を要求してくる。

・養育費を出し渋る。

 DV夫から以下のような要望が出された場合には、長期化要因になりますが、どの程度期間が延びるかは、夫側がどこまで執拗に要求してくるのかにも大きく左右されます。

 

③財産分与の対象財産が多い場合、争点が多い場合

 財産分与の対象財産が比較的少ない場合や、そもそも婚姻期間が短く財産分与の必要がない場合には、その分短期決着が見込めます。

 他方で、財産が多い場合や、特有の争点が生じる場合には長期化要因になります。財産分与で争点となるケースというのは、①自宅購入時の頭金の金額・性質等に争いがある場合、②相手が一部の財産しか開示しない場合(対象財産の範囲に争いがある場合)、③婚姻前の財産の範囲や額に争いがある場合等になります。

 特にDV夫は、離婚する妻に対しては極力金銭を渡したがらないことが多いため、財産分与が大きな争いになるケースも多くあります。

 

④慰謝料が争点になる場合

 DVを明確に裏付ける証拠がある場合には、相手に慰謝料を請求すべきということになります。

 ただ、DV夫は通常自身の行動を正当化してくることが多いため、慰謝料を支払わないばかりか、こちらが慰謝料を請求してきたことそのものに不満をぶつけてくることもあります。

 この慰謝料の問題で対立する場合も紛争が長期化する要因になります。

 

 

4.裁判離婚で解決する場合


 

 上記のような調停手続でも離婚が成立しない場合には、やむを得ず裁判を選択せざるを得ない場合もあります。

 

 裁判に要する期間については、それこそ千差万別であって一概に申し上げることは非常に困難です。

 ただ、裁判を申し立てる前に、既に離婚協議、離婚調停を経ているため、訴訟提起の段階で数か月は経っていることが多いと思います。そして、裁判そのものがスタートしても、さらに1年近い期間が経過することは覚悟しなければならないことが多いと思います。そのため、弁護士が事件に着手してからのトータル期間で見ますと、①裁判の申立前に既に数か月、②裁判スタート後に1年というイメージですと、1年数か月は覚悟しなければならないというイメージになると思います。

 

 なお、離婚訴訟を起こすとなると、裁判で勝てるだけの離婚原因があるのかという点の検討も必要になります。

 具体的には、DVの証拠を精査・整理することはもちろんですが、ある程度別居期間を稼ぐという観点から、多少訴訟提起の時期を遅らせるという場合もあります。そのため、調停が成立してからすぐに裁判を起こすのではなく、調停終了から裁判の申立までに一定期間を空ける場合もあります。

 

 裁判離婚の場合、原則として相手も徹底的に争ってくるケースが多いため、各離婚条件について反論や証拠集めの労を要するというように考えた方が良いと思います。

 

 

5.スピードよりも、「より良い解決」を!


 

 たまに弁護士が間に入ったのだから早急に解決して欲しいという要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、結論を急ぐあまりに十分納得できない結論で解決してしまうのでは本末転倒だと思います。

 

 もちろん、離婚という問題を長期間抱えることは、それだけで心理的ストレスになると思いますので、早急な解決が望ましいことは間違いありません。

 ただ、結論を急ぐあまりに不十分な内容で解決してしまうと、2年後、3年後に振り返ったときに後悔してしまうのではないかと思います。

 

 そのため、解決を急ぎつつも、ご自身が納得いく解決(DV離婚)を目指すことができればと考えております。

 

 

6.まとめ


・協議離婚はあまり長期化せずに解決できるケースが多い。

・ただ、協議離婚でも、離婚協議書に細かな内容を盛り込む場合や公正証書を作成する場合、長期化要因になることがある。

・調停離婚はいくつか長期化する項目があり、DV夫の態度が大きく影響する。

・裁判離婚に発展した場合には、それなりの期間かかることを覚悟する必要がある。

・迅速な解決が望ましいが、迅速性よりも「より良い解決」の方が大事である。

 

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