離婚問題

【絶対に夫に親権を渡したくない(49)】夫による連れ去り事案なのでこちらに有利に働くか

2023.06.02更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.夫による連れ去り事案ってどういうケース?


 夫による連れ去り事案というのは、夫側がこちらに断りもなくお子様を勝手に自宅から連れ出し、夫だけ(夫の実家の補助を受けつつ)で育てていくようなケースを言います。
 よくあるケースとしては、①こちらが別居の準備をしていることを夫側が察知してしまい、こちらが別居を始める前に夫側が先に連れ去って行ってしまったケースや、②こちらの冗談の発言を夫が真に受けて、お子様に危険が及ぶ可能性があるなどと言って連れ去ってしまうケースなどがあります。

 

2.連れ去りは違法になるのか?


 連れ去りが違法な場合、夫側には大きく不利な要素となりますので、連れ去りが違法なのかどうかという点が非常に重要になります。
 一般的には以下のような要素を考慮して判断されるケースが多いです。

(1)【違法な連れ去りかどうかのポイント1】連れ去り態様
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

(2)【違法な連れ去りかどうかのポイント2】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 夫側がお子様を連れ去る場合、お子様の意思を十分確認せずに別居を開始していることも多いと思いますが、お子様が自宅に戻りたいとか、奥様と一緒に生活したいと希望するような場合には、お子様の意思に反していますので、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は6,7歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。

(3)【違法な連れ去りかどうかのポイント3】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況(それまでの育児への関わり方)は、違法な連れ去りかどうかの判断にも影響を及ぼします。
 同居中、育児をメインで担当していた場合、別居後も同居中の育児の延長とみなすことができますので、連れ去りの違法性は否定する方向に働きますし、逆に、同居中あまり育児に関わってこなかった場合、別居後しっかりと育児を担うことができるものと評価して良いのかという問題が発生しますので、連れ去りの違法性が肯定される方向に働くのです。

(4)【違法な連れ去りかどうかのポイント4】無断別居イコール「違法な連れ去り」ではない。
 たまに私が相談に乗っていますと、奥様の了解を得ずに連れ去ったことをもって「違法だ」と強くご主張なさる方もいますが、「無断別居」イコール「違法な連れ去り」ではありません。
 確かに、あなたの了解も得ずにお子様を連れて行っているのですから「連れ去り」にはなるのでしょうが、それが法律的に違法なのかどうかは、これまでに述べてきた考慮要素を総合的に検討して判断されることになるのです(要するに、連れ去りと言っても「適法な連れ去り」というのもあるということです)。

 

3.まずどう動くか?


 通常、夫側と離婚し、親権を獲得したいという場合、協議離婚のための交渉をしたり、交渉が決裂した場合に、調停を起こすという手順がオーソドックスです。

 しかし、このように離婚交渉や離婚調停をしていると、それだけお子様が夫側で生活している期間が長くなってしまいますので、①夫側の生活に馴染んでしまって、お子様自身の気持ちがこちらから離れて行ってしまうリスク、②夫側の監護実績が積み上がってしまい、そのことがこちらに不利に働くリスクなどがあります。

 そのため、このような場合には、法律上正当な手段としてお子様を取り戻すために監護者指定審判・同保全申し立てという手続きを取ることが多いと思います。

 そして、監護者指定事件では、早めにお子様を取り戻すために、速やかに保全事件の結論を得られるよう尽力する必要があります。

 

4.警察や児童相談所を活用して至急連れ戻すことはできないのか?


 たまに私が相談に乗っておりますと、「監護者指定事件だと保全だと言ってもどうしても時間がかかってしまうので、今すぐ警察に乗り込んでもらって、すぐに子供を保護してもらえないのか?」という質問を受けることもあります。
 旦那側の連れ去りが、あまりに乱暴な態様だというような場合には、警察も誘拐事件として取り上げてくれるケースもありますが、連れ去りは、通常、こちらの目が届かないところで実行されることが多いので、どのようにして連れ去って行ったのか、こちらには分からないことが多いです。

 そのため、誘拐罪と絡めて警察に動いてもらうことは難しいことが多いと思います。
 また、児童相談所についても、現状お子様が旦那側から暴力被害を受けているというような、明らかな児童虐待のケースであれば別ですが、そうでないと、児童相談所が大きく動くことは難しいと思います。

そのため、結局は、監護者指定事件(特に保全事件)の中で裁判所に速やかに結論を出してもらうという方法を取ることが多いと思います。

 

5.まとめ


・無断での連れ去りイコール違法というわけではない(同じ「連れ去り」でも「適法な連れ去り」となるケースもある)
・連れ去りが違法かどうかは、以下のような要素で判断されることが多い。
 ①連れ去り態様
 ②お子様の意思
 ③それまでの監護状況
・夫側に連れ去られた場合には、速やかに監護者指定事件(保全を含む)を起こすなど初動が非常に大事である。
・警察や児童相談所を介して早期に連れ戻すということは難しいケースが多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(34)】夫側はこちらの家事の不十分を指摘してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.同居中、家事不十分を指摘されることは多かった


 特に夫が潔癖症だとか、異常に几帳面という場合には、一緒に生活しているときに、家事不十分を指摘されるケースは多くあります。例えば以下のようなものです。

・お前が作る食事は薄味過ぎて食べられない。

・お前が作る食事は栄養バランスが偏ってる。

・子供にお菓子ばかり与えるな、普段の食事が食べられなくなる。

・どうして合成調味料・化学調味料を使って食事を作るんだ。

・家中埃だらけで汚い。

・週末オレが掃除しなければ、ゴミ屋敷になっていたぞ。

・(掃除が行き届いていないので)ルンバの方がお前よりも役に立っている。

・専業主婦なんだから毎日洗濯くらいしろ。

・(子供が少し服を汚しただけなのに)どうして汚い服を着させているんだ、子供が可哀想だろう。

・大したことをしていないのに、どうして毎日子供を寝かしつける時間が遅いんだ

このような発言そのものがモラハラ気質を含んでいるのですが、様々に言われるので、あなたも自信を無くしてしまっているというケースも多いと思います。

 

 

2.毎日の家事・育児をしていれば特に問題がない


 夫側からの指摘では、「家事が雑」「あまりに不器用」など、あなたの家事の仕方等について不満を述べられることも多いのですが、よほど特殊な家事の仕方をしているのでなければ、特に、そのように指摘されたからと言って、こちらが不利になるということはありません。
 また、お子様が病気にかかってしまい、その看病があったとか、事情があって一時的に家事や育児が行き届かなくなることもあると思います。そのようなケースでも、事情があってのものであって、一時的なものであれば、そのことであなたが不利になるケースはほとんどありません。

 さらに、洗濯や掃除なども、毎日必ず実施しなければならないというものではありませんので、例えば、洗濯物が貯まりっぱなしで、それが何日も何日も続くといった特別な状況に至っていなければ、それほど気にする必要はありません。

 

 

3.より重要なのは、夫と妻とで比較した場合に、「どちらの方がより家事や育児に関わってきたのか」という視点


 たまに、親権の争いでは、より分かりやすくするために、裁判官自身が「直近1年間でのお子様の育児の割合は夫と妻で何対何くらいの割合でしたか?」と質問してくることもあります。
夫側は、こちらの家事不十分をしきりに指摘してきますが、それよりも、夫と妻とでどのくらいの作業分担をしていたのか、どちらの方がお子様に関わっていたのかということの方が重要です。

 

 

4.家事不十分の証拠


 親権の争いでは、よく、こちらの家事不十分の証拠として、リビングの散らかった状態の時の写真などが提出されることもあります。
 ただ、お子様が小さい年齢の時などには、どうしてもお子様の動きに気を取られて、片付けが後回しになってしまうこともありますし、そもそも、片付けなどは夫婦で分担すべきものであって、夫の側に対しても「写真を撮っている暇があったらあなたが片付けて下さい」というレベルの話と言えます。

 

 

5.家事を十分やった証拠


 よく私がご相談に乗っていると、「夫は私の家事が不十分だったと強く主張してくると思いますので、それに対抗するために、こちらがちゃんと家事をしてきた証拠を出せないものでしょうか?」と質問を受けることも多いです。

 日々の生活の中で毎日育児日記をつけて来たとか、お子様がまだ保育園に通っていて、その連絡帳を克明につけ続けてきたといった場合には、それらの育児日記や連絡帳は有力な証拠になります。

 ただ、それ以上に毎日家事をしっかりやってきたことの証拠を集めるということは難しいと思います(きちんと夕食を手作りしてきたということで毎日夕食の写真を撮影すると言っても、その写真全てを裁判所に提出するのはボリュームが多くなり過ぎてしまいますし、昼食や朝食の写真まですべて撮影するのかというとキリがないと思います)

 前述の通り、家事や育児については、あなたと夫のどちらの方が多く担当していたのかという視点の方が大事ですので、家事を十分やった証拠を必死に集めるという必要はないと思います。

 

 

6.たまに夫のモラハラ気質を示す証拠を提出して対抗することもある


 

 そもそもの、夫側のこちらに対する指摘が、夫の神経質やモラハラ気質を理由とするケースもかなりの数あります。

 つまり、こちらの家事・育児が不十分だったわけではなく、夫の方が神経質であまりに気にし過ぎているとか、こちらを精神的に支配したいがために細かく家事・育児の指示をしてくるといった具合です。

 この場合には、夫がこちらに送ってきたメールやLINEなどから、夫の神経質な点やモラハラ気質を浮き彫りにして対抗するケースもあります。

 こうすることで、こちらの家事・育児が不十分ではなかったことを証明できるとともに、夫の神経質やモラハラ気質でこちらが苦労していたということも証明できるため一石二鳥です。

 

 

7.まとめ


・同居中、几帳面な夫から様々な指摘がなされているケースは相当数ある。
・だからと言ってあまり自信を無くさなくても良い。
・より重要なのは、家事・育児で夫と妻を比較してどっちの方が分担してきたのかという視点(分担割合)である。
・自宅の散らかった写真などはあまり有力な証拠にはならない。

・逆に、こちらが家事をしっかりとやったという証拠を集めることも難しいことが多い。

・たまに、夫のモラハラ気質等を示す証拠を提出して対抗することもある。 

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(50)】夫は同居中些細なことでも録音など証拠を取っていたが大丈夫か?

2023.06.02更新

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 1.同居中、夫は些細なことでも録音を取ったり証拠集めをしていたが大丈夫か?


 夫婦の関係が良好な場合には、夫側が家庭内で録音機を構えたり、スマートフォンで録音をするということはないと思います。しかし、夫婦の関係が険悪化してきますと、今後何かあったときのためにといったことで、夫側が証拠集めのようなことを開始する場合があります。
 あなたはお子さんの育児に奔走しているため、記録化があまりできていないのに対して、旦那側はほとんど育児に協力しないため、着々と記録化しているといったパターンが多いように思われます。
 具体的に私が担当した事件では以下のようなパターンがありましたので、各パターンごとに以下で詳しく解説していきます。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化

② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化

③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化

④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化

⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化

 

2.【パターン①、②】こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化


 こちらの家事不行き届や育児不行き届を指摘するための証拠化というのは、具体的には、旦那側があなたに対して家事不行き届や育児不行き届を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースになります。
 以下では、具体的にはどのようなことをどのように記録しているのかに応じて解説していきます。

(1)音声録音での証拠化
 具体的には、前述のような、旦那側があなたに対して①家事不行き届(部屋が片付いていないとか、取り込んだ洗濯物が置きっぱなし、食事後の食器を洗い始めるのが遅いとか、料理の味が薄いとか)や②育児不行き届(保育園への持ち物の忘れ物が多い、おむつを替える頻度が少ない、目を離している隙にお子様が化粧品等を口にしようとしてしまっているとか)を指摘している場面を録音して、これまでに不行き届があったこと及び旦那が気付いて指摘していることの両方を記録化するといったケースがこれに該当します。

 このような録音に対する対抗策としては、録音中に、あなた自身の口から「録音している余裕があるなら手を貸して」「そうやって録音しているけど、あなたは何もしてくれないよね」と言った形の発言をして、あなただけの問題ではないという記録化をしていくというのが有効かと思います。

(2)写真や動画での証拠化
 写真や動画での証拠化というのは、よくあるケースとしては、①こちらが他の家事や育児で手が回らず、部屋が片付いていない状況を旦那側が写真撮影するとか、②こちらがお子様の幼児で外出しなければならないため、食後の食器類を洗い場にそのままにしている状況を旦那が動画にして、旦那自身のコメントを勝手に吹き込むといったことになります。
 そもそも、このような片付けや整頓の不十分については、数日不十分な状態が継続したということであればともかく、そうでない場合には、あまり大きな落ち度になるような問題ではないかと思います。
 また、親権争いの中で、旦那側がこちらを追及してきた場合には、「リビングは旦那もよく利用する部屋なので、リビングが片付いていないのは旦那側の責任でもある」といったような反論をすれば十分かと思います。

(3)日記やメモでの証拠化
 旦那側が問題に感じたことを逐一日記やメモ帳にまとめているというケースもたまにあります。
 単なる手書きのメモの場合、メモを何時作成したのかの証明が難しいことが多いので(要するに、旦那側が「令和2年2月2日に書いた」としても、実際には親権争いの最中の令和5年5月5日に書いていることもあり得るということです)、あまり心配する必要はないかと思います。
 手書きの日記や手書きのメモは、その当時に記録したものであれば、一定の証拠価値があるのですが、「いつかいたのかが不明確なもの」(旦那側がいついつに書いたと言い張っているだけで、本当にその日に書いたのかが不明確なものも含みます)については、あまり証拠価値は認められないことが多いです。

 これに対して、携帯電話のメモ機能で作成したデータについては、作成日付を変更できない形式のものでしたら、少なくともその時に作成したデータということになり、一定の証拠価値が認められることになります。
 ただ、その場合でも、書いている内容次第というところでして、あまり旦那側の主観が多く含まれる場合には、あまり重要とは見られないケースがほとんどです。

 

 

3.【パターン③】こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化


 これは端的に、こちらがお子様を叱責しているときの様子を旦那側が録音したり動画にしたりするというパターンになります。
 最近は、新型コロナウイルス流行を機に、在宅勤務をする旦那が増えた関係で、在宅勤務中に、お子様の泣き声を聞くと、すぐに旦那が口を挟んでくるとか、携帯電話を構えて録音しようとしてくるといったケースが増加傾向にあります。
 そもそも、録音等されたとしても、その叱責が行き過ぎたものでなければ、特にこちらが不利になるわけではありません。お子様ですからふざけてしまったり、悪戯をしてしまったりと、しっかりと注意しなくてはならない場面は多くあると思いますので、そのような場合に、何も注意しないというのではむしろお子様にとっても良くないことだと思います。

 なお、そのような叱責が、旦那側が煽った結果だというケースもあります。
 例えば、お子様の悪戯が度を越していてしっかりと注意しなくてはいけないのに、旦那側が、「そのくらい大目に見てやれよ」とか「ヒステリーなママだねぇ」などと煽ってくるケースです。
 そのような場合、こちらが叱責している場面だけを切り取って記録化されてしまいますと、こちらに不利になりますので、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 旦那側は、あなたがお子様を叱っている場面だけを切り取って、親権争いの手続きの中でも「些細なことで子供を叱りつけている」といった言い方をしてくると思います。
 それに対抗するために、しっかりと経緯もあなたの方で記録化しておくという意味です。そして、その記録化は、早めに記録化しておく必要がありますので「その日のうちに」親族にメールを送るなどして、状況保存しておいた方が良いのです。

 

 

4.【パターン④】旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がお子様と会話をし、その中でお子様に対して旦那への感謝を言わせるというものです(その会話全体を録音しています)。例えば、あなたが所用で自宅を留守にしている際に、旦那がお子様の昼食を準備したとします。そのことについて、お子様に「パパが作るミートソーススパゲティは最高だよ」「いつもパパが料理してくれるよね。サンキューね」などと言わせ、録音するといったものです。
 こうした録音については、旦那側が意図的に言わせていることが多く、不自然な雰囲気、不自然な会話になっていることが多いので、このような録音が親権争いの手続きの中で出てきたとしても、あまり心配しなくても良いことが多いと思います。

 

 

5.【パターン⑤】こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化


 よくあるパターンが、旦那側がこちらを煽ってきた上で、もしくは、こちらを挑発してきた上で、こちらを怒らせ、怒っている様子だけを録音するといったものです。
 そもそも、そのようなあなたの発言が、聞いていて、周りを萎縮させるようなものでしたら問題になるかもしれませんが、そこまでのものでなければ、そこまで心配する必要はないかと思います。また、その場面にお子様が同席していなければ、親権争いとの関係ではほとんど無関係な事情となります(夫婦間の問題であって、お子様との関係の問題ではないという意味です)。
ただ、この場合も、不安があるようでしたら、その日のうちに、あなたの親族等にメールやLINEを送って、経緯を記録化しておくとよいと思います。

 

 

6.こちらも記録化した方が良いのか?


 夫側が記録するのであれば、こちらも記録するというスタンスで臨みたという方もいますが、弁護士としてはあまりオススメしません。
 と言いますのは、あなたが記録をとっていることを旦那側が知ると、旦那側の記録行為は悪化していく可能性が高く、余計に家庭内がぎくしゃくしていくからです。
 もし、あなたの方で記録を残しておきたいということでしたら、「旦那の落ち度を探す」という観点ではなく、むしろあなたの育児での頑張りを記録しておいた方が良いと思います。
 一番端的なのは、毎日育児日記をつけておくということではないかと思います。大した行事やイベント等がない日も、しっかりと「毎日書く」ということが非常に重要になります。

 

 

7.まとめ


・旦那側がこちらの落ち度を記録しようとする場合、以下のようなものが考えられる。
① こちらの家事不行き届を指摘するための証拠化
② こちらの育児不行き届を指摘するための証拠化
③ こちらの叱責の行き過ぎを記録するための証拠化
④ 旦那側が「良い父親としてふるまってきたこと」の証拠化
⑤ こちらの旦那側への発言の言い過ぎを記録するための証拠化
・いずれについても、行き過ぎたものでなければ、旦那側が記録を取っていても無意味である。
・それぞれの証拠化に対して対処方法もあるので、不安があるようなら対処方法を講じるべきである。
・こちらが積極的に「旦那の落ち度を探す」という観点で記録化することはあまりオススメしない。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(35)】夫側は「妻が子供を虐待していた」と主張してきそうだが大丈夫か?

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1.同居中も散々そのように言われていた


夫が神経質なので、妻から子への虐待ということを言われることが多かったというケースもあります。私が直接担当した事件でも以下のようなものがありました。

・こちらは何もしていないのに、子どもが泣き出すと「また泣かせたのか?」と詰め寄られる。

・子供がいけないことをしたので注意をしていると、夫が「虐待だ」と騒ぎ出す。

・子供が公園で転んで怪我をすると、夫から「お前が怪我させたのか」と騒ぎ出す。

・子供が外で怪我をすると、夫から「一瞬でも目を離したお前が悪い」と責められた。

・子供に片付けを促すべく、後ろから軽く子供の肩を押したところ、子どもが倒れてしまい、夫が虐待だと騒ぎ出す。

 

 

2.言いがかりに近い主張は、ほとんど影響しない


 前述の例で記載したように、夫側の言い分が、「言いがかり」に近いようなレベルの場合、そのことが親権争いに影響を与える可能性は低いです。
 同居中、前述のように言われてしまっていると、あなたも自信を無くしてしまっているかもしれませんが、安心して下さい。

 

 

3.ただ、反論は必要


 前述のように、夫側の言い分が言いがかりに近いようなものだったとしても、親権紛争の中で争われる場合には、夫側も弁護士を付けてきますので、上手い言い方をしてくることが多いです。要するに、簡単に「言いがかり」とは思えないように言い分を組み立ててくるのです。
そうすると、裁判所側も重大な関心を抱くケースもあります。実際に虐待行為が繰り返されていた場合には、あなたを親権者に選んで大丈夫なのか、裁判所もしっかりと見極める必要があるからです。
 そのため、夫側の言い分が事実無根なものである場合には、事実無根であることをしっかりと指摘・反論していく必要があります。

 

 

4.躾の範囲でも暴力はNG


 たまに、子どもがあまりに言うことを聞かないので手をあげることは多かったです、とか、言っても聞かない子は叩いても許される、というようなことを奥様側から言われることもあります。
 ただ、いかなる理由があろうとも、お子様の身体に危害を加えることは、裁判所から見ると問題行動と評価されるリスクが高いです。
 そのため、仮に、事実としてあなたが暴力を振るったことがある場合には、そのことの影響を極力小さくしていくために、どのように裁判所にアピールしていくのかといった点をしっかりと弁護士と入念に準備していく必要があります。

 

 

5.逆に「虐待」と騒ぐ夫の発言は脅迫じゃないのか?


夫側の言い分が「言いがかり」に近い場合、頻繁に「虐待」と責め立てて来ることは、あなたに対する心理的虐待という側面も持ちます。
 ただ、裁判所に対して、このような点をクローズアップしても、裁判所の反応は薄いことが多いです。親権争いの中では、対お子様との関係の問題が重要であって、夫婦間の問題は重要性が落ちるからです。
 そのため、先方からの「言いがかり」に対しては、そのような事実がないこと、もしくは、過去の実際の出来事等を正確に裁判所に伝えるという対応に徹した方が良いことが多いです。

 

 

6.夫も子供に手をあげていたので「お互い様だ」という主張は?


 たまに、私にご相談に来られた方から、多少子供に手をあげてしまったことは事実だが、夫も手をあげることがあったのでお互い様だとおっしゃる方もいます。

 ただ、「お互い様」という点を強調し過ぎてしまいますと、裁判所から見ると「この夫婦はどっちもどっちなので、この人たちにお子さんを預けて大丈夫なのか?」とか「むしろ児童相談所に預けてもらった方が安全なんじゃないか?」という発想を持ちかねません。

 

 そのため、いずれにしましても、あなたが多少お子様に手をあげてしまったことが事実だとしても、その影響は最小限にとどめる必要が出てきます。

そして、お互い様というよりも、夫の側がお子様に対して何度か手をあげたことがある場合には、その虐待の点をしっかりと強くクローズアップしていく必要があります。

「お互い様」というと、あなた自身が行ったお子様への行動について、反省もなく「開き直っている」という印象を裁判所に与えかねませんので、注意が必要です。

 

 

7.まとめ


・夫が神経質だと、頻繁に虐待だと責められる事態もある。
・夫の言い分が「言いがかり」に近いような場合、影響は少ない。
・ただ、「虐待」の有無については裁判所も関心を持つことが多いので、しっかりと反論する必要がある。
・躾の範囲でも暴力はNGなので、そのことを頭に入れて準備する必要がある。
・夫の虐待発言は、あなたに対しる心理的虐待の側面もあるが、監護者指定事件では、あまりそこをクローズアップしないことの方が多い。

・夫婦お互い様という視点は、裁判所に悪印象を持たれるリスクがあるので注意が必要である。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(51)】保育園・幼稚園の連絡帳の位置付け

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1.親権争いの手続きにおける連絡帳の「重み」


(1)普段の生活では、何の気なしに記帳しているものだけれど…
 保育園や幼稚園の連絡帳については、普段の生活の中では、「重要書類」といった意識もなく記帳していることが多いと思います。
 しかし、親権争いの手続きの中では、非常に重要な書類と位置付けられることが多いです。
 なぜ、このように重視されるのかと言いますと、親権争いの手続きでは、これまで夫婦のどちらがどのくらい育児を担ってきたのかという点について、お互いの言い分が大きくずれることが多いです。そんなときに、連絡帳を見ると、おのずと夫婦のどちらの方が育児をメインで担当していたのかといったことが明確化することが多いので、重要な書類と位置付けられることが多いのです。

(2)残念ながらあまりに簡素なものは、ほとんど証拠価値がない
 例えば、連絡帳はあるけれども、そもそも書く欄が、元気かどうか及びその朝の体温しか書けない形式のものだとか、連絡帳自体がなく、保育園に備え付けのボードにその日の出欠と朝の体温だけを書くといったものの場合、それだけを見ても夫婦のどちらが育児をメインで担当していたのかといったことはほとんど分からないので、残念ながらほとんど証拠価値はありません。

(3)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント①】
 前述のようにあまりに簡素な連絡帳は、あまり有力な手掛かりとはなりません。
 逆に、しっかりとコメント欄などもある連絡帳については、何が重要になってくるのでしょうか。
 まず大きなポイントの一つ目は、「夫婦のどちらが記帳しているのか」という点です。

 通常は、記帳者が保育園・幼稚園への送迎も担っていることが多いので、少なくとも保育園への送迎を夫婦のどちらがメインで担ってきたのかという点は分かることが多いです。
 そうしますと、保育園・幼稚園のお迎えという場合には、夫婦のどちらが先に自宅に帰宅しているのかが分かることも多いです(通常は、保育園にお迎えに行く方が先に帰宅していると思います)。先に帰宅した方の配偶者が、その分お子様と自宅で接する時間が長かったということになりますし、その間、育児を担っていた証明にもなります。

 また、連絡帳を記帳するにあたっては、連絡帳の形式にもよりますが、今朝の朝食や前夜の夕食メニューなどを書く形式のものがありますが、これらのメニューは、実際に食事の用意をしていた者でないと分からないことも多いです。
 お子様の食事について記帳しているということは、その食事の調理や配膳に関わってきた可能性が高いという推定が働き得るのです。

(4)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント②】
ポイントの二つ目は「どのような内容が記載されているのか」という点です。
このように解説しますと「他愛ない日常的なやり取りをしていない」ということで心配される方もいるかもしれませんが、それでも問題ありません。

そのような他愛ないやり取りの中でも、普段のお子様の生活や癖、成長具合などを探る貴重な手掛かりになることも多いからです。
後は、前日の夜に食べた食事の内容、その日の朝に食べた食事の内容なども細かく記載する形の連絡帳ですと、お子様の栄養面で配慮してきたかどうかといったことも分かりますので、そのような食事欄の記載の有無・内容も重要な要素になります。

(5)しっかりとした連絡帳の場合の【ポイント③】
 ポイントの三つ目は、連絡帳に記載している「分量」になります。
 家庭裁判所調査官も、ある程度は連絡帳の記帳内容を確認しますが、その全てをきめ細かく確認するのかというと、そこまで手が回らないということもあります。
 その場合に、調査官は、連絡帳の全体を確認し、あなたが書いた箇所の分量や空欄がどの程度あるのかという全体感を見ることも多くあります。

 

 

2.連絡帳は何年分必要になる?


 この点は裁判官によって対応が異なるのですが、大きく分けて、1年分の提出で足りるとする裁判官と2年分提出して欲しいと要請してくる裁判官に大別されるように思います。
 なお、裁判官から「2年前からのもの」と要請された場合でも、3年前の連絡帳の方が、あなたが熱心に育児に関わってきたことが分かるという場合には、敢えて戦略的に3年前のものまで提出することもあります。
 どの範囲の連絡帳を提出するかは、裁判官からどのように要請されたのか、及び、どのような戦略で対応するかを弁護士と相談しながら、対応していくことになります。

 

 

3.連絡帳提出の際の注意点


 あなたが別居後、旦那側に別居先を伝えていない場合(伝えたくない場合)には、連絡帳をそのまま提出してしまいますと、旦那側にこちらの居場所を知られてしまうリスクが生じてしまいます。
 そのため、連絡帳の保育園名はもちろん、クラスの名前はマスキングしますし、連絡帳の記載内容の中に、地名(園の近くの公園の名前とか)、お友達の名前、園での特別なイベントの名前(例えば、あまり東京の園では行わないような地方の踊りをイベントで踊るといった場合、その踊りの名前はマスキングしたりします)、記帳して下さった保育士の名前などにマスキングをすることが多いと思います。
 このように連絡帳を提出する際には、マスキングにかかる時間も考慮して、裁判所への提出期限を設定すると安心です。

 

 

4.小学校での連絡帳は?


 小学校でも連絡帳を活用している学校が多いと思いますが(最近はタブレットで管理している学校も多いように思いますが)、学校の連絡帳は、何か病欠や行事等があった際にしか記帳しないと思いますので、監護者指定事件で重視されることはほとんどありません。
 ただ、お子様が学校でトラブルを起こしてしまったり、いじめを受けたりしていて、その際の担任教師とのやり取りを記帳していたというような場合には、その内容を確認することはあります。

 

5.育児日記は?


 育児日記は、保育園の保育士とやり取りするというものではなく、あなたご自身が任意にお子様の成長を記帳しているものだと思います。
 このような育児日記は、親権争いの中でどの程度重みがあるのでしょうか。

(1)連絡帳との比較では?
 もし連絡帳がある場合、それに重ねて育児日記を提出しても、効果は少ないことが多いと思います。
 連絡帳は、第三者である保育士も記帳しているので、その資料の中立性が高まっていると言えるからです(育児日記は、あなただけが記帳していますので、どうしても、中立な保育士も記帳している資料よりも証拠価値が落ちてしまうのです)

(2)真価を発揮するのは、連絡帳がないとき、又は簡素な連絡帳の時
 前述のように、保育園の連絡帳がある場合、そちらの内容の方が重視され、育児日記の内容はあまり効果が少ないことが多いです。
 他方で、①そもそも、まだお子様を円に入園させていないという場合には、連絡帳そのものがありませんし、②年長さんになって連絡帳を書かなくなったという場合、もしくは、③連絡帳は書いているけれども、体温だけを記載するだけの簡単な連絡帳である、というようなケースですと、連絡帳を見ても、お子様の普段の様子は分かりませんので、育児日記が真価を発揮することもあり得ます。

(3)連絡帳がないときは、育児日記はかなり重視されるのか?
 前述のように、連絡帳がないとき、または、連絡帳の内容が非常に簡素な連絡帳な場合には、育児日記が重視される場合もありますが、これも、その記載内容次第です。以下ポイントに絞って解説します。

ア)【重視される育児日記のポイント①】毎日欠かさず記帳していること
 最も重要なポイントになりますのが、「毎日欠かさず記帳していること」です。
 毎日記載することで、お子様の成長や変化等を漏らさず記帳することができますので、重要なポイントになるのです。
 もちろん、たまに1日だけ記帳しなかった、というだけで、その育児日記にほとんど価値がなくなる、ということはないのですが、記帳の頻度が低ければ低いほど、その証拠としての価値は落ちてしまいます。

 例えば、お子様の記念日だけ記帳している育児日記(誕生日や誕生後ちょうど1か月のバースデイ、寝返りを打った、首が座った、立った等の特徴がある日のことしか書いていないような育児日記)は、残念ながら証拠としての価値が薄くなってしまいます。
 または、例えば、週末である土日だけ記帳している育児日記も、平日という週5日間の記録が抜けていることになってしまいますので、残念ながら証拠としての価値は薄くなってしまいます。

イ)【重視される育児日記のポイント②】それなりの分量記載していること
 次のポイントは、記載の分量です。
 毎日欠かさず記帳しているとはいっても、毎日1行だけしか記載していないということですと、残念ながら証拠としての価値は薄くなってしまいます。

ウ)【重視される育児日記のポイント③】あまり古くないものであること
 次のポイントは、「あまり古くないものであること」です。
例えば、現在お子様が6歳だとして、育児日記が0歳児の時の日記だとすると、記録として「古過ぎる」と評価されてしまう可能性が高いと思います。このような古い記録は、あまり重視されないと思います。

 

6.まとめ


・保育園・幼稚園の連絡帳は、親権争いの手続きの中で重要な資料として扱われることが多い。
・但し、あまり簡素な連絡帳(体温だけを記載するものとか)はあまり役に立たない。
・連絡帳の評価にあたっては、①夫婦のどちらが記帳しているのか、②記帳内容、③その分量が重要なポイントになる。
・連絡帳提出の際には、部分的にマスキングが必要になることも多いので注意が必要である。
・小学校の連絡帳は、ほとんど重視されないことが多い。
・連絡帳がない場合、又は簡素な無いような場合には、育児日記が重視される場合もある。
・どのような育児日記が重視されるのかは、最近のもので、かつ、毎日欠かさず、それなりの分量記載してある育児日記だと心強い。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(52)―職業は影響するか?

2023.05.29更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.旦那側が大手上場企業に勤めていて立場が安定しているという場合、有利になるのか?


 たまに私が相談に乗っておりますと、「夫は大手上場企業の部長職を務めていて定年までクビになることはまずないと思いますが、私はパートしかしていないので、とてもかなわないですよね?」という質問を受けることもあります。
 もちろん、職業の安定性は監護者指定にあたって全く無関係の事情ではありませんが、そこまで重視される事情でもありません。
 そのため、大手上場企業の部長VSパートスタッフだから太刀打ちできないということにはなりません。

 

 

3.逆に、旦那の仕事が忙しいという場合には、こちらに有利な要素になる


 旦那側が責任ある立場の場合、職を失うリスクは少ないかもしれませんが、その立場ゆえに、こちらに有利な事情になることもあります。例えば、以下のような場合には、旦那側がお子様に関わる時間を取りにくい事情になりますので、こちらに有利に働くことが多いです。

 ①旦那側は残業時間が長く、毎日帰宅するのは子供が寝た後の時間であることが多い。

 ②旦那側は急な休日出勤なども多く、休日すら予定が立てづらい。

 ③旦那側は出張が多く、一度出張すると4,5日自宅を空けることが多い。

 ④旦那側は仕事を最優先なので、平日の子供の発表会や保育参観などに参加したことは一度もない。

 ⑤旦那側は仕事を途中で抜け出してくるということができないので、子供が熱を出して早退等をした時に対応するのは常に私の方であった。

 

 

4.子供に豊かな教育を受けさせられるということは旦那側に有利な事情なのではないのか?


 これもたまに質問を受けることがありますが、旦那側の社会的地位、経済力などから、旦那側の方がお子様に豊かな教育を受けさせられるので、こちらに不利なのではないか?と質問されることもあります。
 今後の監護計画という面から、このような部分は無関係ではないのですが、あまり重視される項目ではないかと思います。
 なぜなら、裁判官は、お子様のことを考えた場合、①よりお子様が愛着を持つ親御さんに育ててもらった方が良い、②これまでお子様の育児に関わって来て、今後も安心して任せられる親御さんに育ててもらった方が良いという視点で考えることが多く、このような「もっと基礎的なこと」を重視することが多いからです。

 

5.結局、職業は監護者指定事件では全く考慮されないの?


 前述のように職の安定性とか経済力という点はあまり重視されないのですが、①看護師や②小児科医、③保育士という場合には、特にお子様の年齢が低いケースですと、考慮要素になることが多いです(逆に、それ以外の職業ですと、監護者指定事件との関係ではほとんど考慮されないことが多いと思います)。
 特に、看護師や小児科医の場合には、お子様の病気の際の対応やケアという面で、しっかりとした資格と経験を持っているということになりますので、重視される傾向が強いです。
 ただ、前述同様、例えば、小児科医であるがゆえに多忙過ぎてお子様と関わってこなかったという場合には、それほど有利な事情にはならないかと思います。
 また、どの程度考慮されるのかは、そのような資格で働いた勤務経験の長さ等が影響します。

 

6.まとめ


・職業の安定性・経済力はあまり大きな考慮要素ではない。
・逆に、社会的地位が高いがために多忙だという場合には旦那側に不利な要素になる。
・お子様に今後豊かな教育環境を準備できるという点はどれほど重視されない。
・但し、看護師や小児科医、保育士等は、考慮要素となることの方が多い。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(51)―旦那側は裁判官から保全を取り下げるよう言われたようだが、有利な状況なのか?

2023.05.15更新

弁護士秦

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.一口に監護者指定事件と言っても、実際の事件は3個同時並行で行われることが多い


 あなたのもとには突如裁判所から審判事件の通知が届いているのだと思いますが、その通知には、事件番号が3つ振られている事かと思います。要するに事件が3個同時に申し立てられた状態なのです。
 それでは、どうして事件が3個もあるのでしょうか。

(1)3つの事件の内訳
 監護者を争っていく場合には、よく「三点セット」などと称されることも多いのですが、事件を3つ同時に起こすのがオーソドックスです。その内訳は以下の通りです。
① 監護者指定審判申立事件
② 子の引渡し審判申立事件
③ 保全申立事件

 この3つの事件の概要ですが、①は、前述の「監護者」を設定してくれという事件になります。夫が監護者指定審判申し立てをしている今回のケースですと「夫をお子様の監護者に指定してくれ」というテーマの事件を起こしているという意味になります。
 次に、②は、夫が監護者になれば、夫がお子様を引き取って育てていくことになりますので、妻側にお子様を渡すよう要求する事件ということになります。
 最後の③は、一般的な審判事件よりも特に急いで結論を出してほしいと要求する事件ということになります。なお、保全事件の結論が先行して出されるケースもありますが、保全の結論は暫定措置ということになりまして、最終結論ではありません。

 

3.裁判官が保全取下げを求めた意図


 裁判官が保全取下げを求めた場合、手続きのどの段階で求めて来たのかによって、意味合いが大きく異なります。

(1)手続きの序盤で取下げを求めた場合
 手続きの序盤で裁判官が旦那側に保全の取下げを求めた場合、旦那側の敗訴濃厚というわけではなく、裁判官が「そんなに急いで決着をつける事件ではない」と考えている場合が多いです。
 即ち、前述の通り、保全事件とは、急いで決着をつけなければならないような事情があるときに、早く結論を出してもらう手続きになります。そして、これが認められるためには、奥様のところにお子様を預けておくと、虐待する危険性があるとか、海外転居してしまうとか、差し迫った事情が必要なことが多いです。
 裁判官の目から見て、このような「差し迫った事情」がないと感じた場合には、保全事件は取り下げさせて、本案事件でしっかりと事情を把握して結論を出したいと考えることは自然なことです。

 そのため、この時点での裁判官は「そんなに急ぎの事件とまでは言えなさそう」と考えているだけで、監護者事件の結論までは詳しく検討できていないということも多いということです。
 このように手続きの序盤で、裁判官が旦那側に保全事件の取下げを要請したからと言って、「奥様側が勝てそうだ」と考えないようにした方が良いと思います。

(2)手続きの終盤で裁判官が保全の取下げを要請した場合
 手続きの終盤になりますと、家庭裁判所調査官による調査が完了し、裁判官自身も事件の結論の見込みを立てていることが多いと思います。
 その上で、裁判官が旦那側に対して保全事件の取下げを要請したということは、あなたの勝訴の可能性が高いと評価して良いと思います(実際には、調査報告書が出来上がっていれば、その中に夫婦のどちらが監護者にふさわしいかが書き込まれることが多いため、それを読めば、結論の見込みは立つことが多いです)

 

4.旦那側が保全の取下げをしないとどうなるのか?


 旦那側が保全の取下げをしない場合、裁判官が結論を出すことになります。
 このようにして結論が出た場合、旦那側が素直にその結論に応じればよいのですが、応じない場合には、高等裁判所に即時抗告を申し立ててきます(要するに、家庭裁判所の判断が間違っているので、高等裁判所の目から見ておかしなところがないかを見極めて欲しいという申請をするのです(私は、分かりやすく「第2ラウンドの様なものです」とご説明することが多いです))。

 

5.まとめ


・監護者指定事件と一口に言っても、実際には以下の3つの事件が同時に審理されることが多い。
  ①監護者指定審判申立事件
  ② 子の引渡し審判申立事件
  ③ 保全申立事件

・手続きの序盤で裁判官が旦那側に保全の取下げを要請した場合、結論の見込みを立てずに要請しているケースが多い。
・逆に手続きの終盤で裁判官が保全取下げを要請した場合には、結論の見込みを立てた上で、要請していることが多い。
・旦那側が保全の取下げに応じない場合には、裁判官が結論を言い渡すことになる。
・旦那側が結論に不服がある場合、高等裁判所宛てに即時抗告(いわゆる「第2ラウンド」)をしてくる。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(50)―警察との関わり方

2023.05.01更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.別居の前か後かによって関わり方の視点が異なってくる


 警察との関わり方については、別居の前か後かによって、望ましい関わり方が異なってきますので、分類して解説していきます。

(1)別居開始前の段階
 別居開始前の関わり方についての鉄則は、「夫からの虐待(疑いを含む)がある場合なるべく早くに警察に相談する」ということに尽きます。
 あまり大事にしたくないということで、警察への相談を躊躇う方も多いとは思いますが、あまり相談が遅れてしまいますと、監護者指定審判手続きの中で、あなた自身が「旦那側の虐待を見過ごしてきた」と評価されてしまうリスクがありますので、早めに相談することが得策です。

 なお、警察の目から見て旦那側の行動が危険だと認識した場合には、旦那側に誓約書(今回のような虐待行為に及ばないといった誓約書)を書かせることが多いので、その後の旦那の行動に対する抑止になることが多いです。
 また、警察が児童虐待の案件だと認識した場合には、警察から児童相談所に対して通告することが決まっていますので、児童相談所にも情報が共有され、その後、児童相談所も関わってくることになります。

(2)別居開始後の段階
 別居開始後は、旦那側がお子様と一緒に生活するという状況が解消されておりますので、「別居してから警察に初めて相談する」というケースは稀だと思います。
たまに、「これまでの出来事を警察の方にも記録しておいて欲しいので、警察を尋ねた方が良いのでしょうか?」という質問を受けることもありますが、あまり効果的ではないと思います。前述したように、警察を活用するにあたっては、児童虐待(疑いを含む)が行われている「真っ最中」でこそ効果が高いからです。

 ただ、別居後の最大の心配事は、旦那がこちらの居場所を探し回るのではないかという点、こちらの居場所を突き止めて押し掛けてくるのではないかという点かと思いますので、別居開始直後に警察に相談して、警察を経由して旦那側に探さないよう釘を刺してもらうとか、別居後何か起きた時に備えて警察に相談するという活用方法はあります。

 

 

3.児童相談所と警察どっちに頼った方が良いの?


 これまでの解説を読んでいて、ふと旦那から児童虐待が行われているケースの場合、結局、児童相談所と警察どちらに頼る方がより良いのか?という疑問が生じたかもしれません。この点について解説するにあたっては、児童相談所と警察の役割の違いについてお話した方が理解しやすいと思いますので、まず、役割の違いからお話します。

(1)児童相談所と警察の役割の大きな違い
 児童相談所の大きな使命は、お子様に取って安心・安全な環境を整えることです。これに対して、警察の使命は、怒ってしまった犯罪を捜査して犯人を処罰するための手続きを取ること、犯罪を未然に防止することです。
 児童虐待という場面に限ってみますと、児童相談所と警察署の役割が重複する場面もありますが、それぞれの役割には大きな違いがあります。
 例えばですが、激しい児童虐待が行われてしまい、そのことを奥様の方も防止しきれないという場合、児童相談所は、お子様の安全のために一時保護と言って児童相談所で一時匿うことを検討し始めることが多いです。これに対して、警察は、お子様を保護するという視点よりも、犯人である旦那様を逮捕したり処罰したりしようとします。

(2)結局どちらに頼った方が良いのか?
ア 暴力被害などがあなた自身にも及んでいる場合、より警察の対応を強めた方が良い
 旦那側があなた自身にも暴力を振るうなどしている場合、旦那側への処罰・牽制という視点を重視した方が良い気がします。
 そうしますと、どちらかというと児童相談所というよりも警察への力点を置いた方が良いと思います。
 あなた自身への暴力と児童虐待の両方がある場合、児童相談所はお子様の安全確保という観点から旦那側に指導等を行ってくれることが多いですが、警察から警告などをした方が、旦那側も「次は逮捕されるかもしれない」「今度同じことをすると処罰されるかもしれない」と考えることが多いので、牽制効果は大きいと思います。

イ お子様のケアの必要性が高い場合、より児童相談所の対応を強めた方が良い
 度重なる児童虐待によって、お子様が情緒不安定になってしまい、体調不良になってしまったり、不登校になってしまうなど、具体的な弊害が生じているような場合には、お子様のケアが非常に大事になります。
 そのため、より児童相談所の関与に力点を置いた方が良いと思います。

ウ 結局、児童相談所「OR」警察ではなく、児童相談所「AND」警察
 お子様への児童虐待が行われ、又は疑われるケースですと、児童相談所と警察のどちらかだけということではなく、「どちらも」ということになるケースが大半だと思います。
 ただ、両方が関与するにしても、前述の通り、どちらに力点を置くのかによって、対応のし方等が変わってきますので、そのあたりはメリハリをつけて対応した方がより良いかと思います。

 

 

4.警察への通報の意味合い


 たまに私が相談に乗っておりますと、奥様の方から「大変な事態が起きないと警察に相談するはずはないのですから、『通報した』イコール『大変な事態が起きた』ということは、調停委員や裁判官も分かってくれますよね?」という質問を受けることがあります。
 確かに、何もないのに警察に通報するということは考えにくいとは思いますが、警察に相談したということだけで、「大変な事態が起きた」と直接結びつけることは難しいと思います。

 通常は、調停委員等は、あなたが通報するに至る経緯などを詳しく確認し、旦那側にも事情を確認したうえで、当時どのようなことが起きたのかについてのイメージを持つことが多いと思います(要するに、「通報した」イコール「大変な事態が起きた」と単純に結びつけるのではなく、何があったから通報したのかという事情を正確に確認するということです)。
 そのため、「警察に通報したのだからもう安心だ」と考えるのではなく、警察への通報と合わせて、お子様が怪我をしたようなケースですと、怪我の部分の写真を撮ったり、病院を受診して診断書を取得するなど、しっかりと証拠集めをしておいた方が良いです。

 

 

5.被害届を出すべきか


 これは児童虐待というよりも、あなた自身が暴力被害を受けているケースで、警察から質問されることが多いのですが、暴力を受けた際に110番通報をして警察に臨場してもらうと、暴力の程度などによっては、警察から「奥さん被害届を出されますか?」と質問されます。
 旦那側にしっかりと懲りてもらうために被害届を出すこともなくはないのですが、被害届を出して旦那が逮捕・勾留されるということになりますと、職を失うリスク等があるため、被害届を出さずに済ませるというケースも多いです。

 なお、被害届を出すと、旦那側が釈放されたときに、あなたに対して逆恨みで一層暴力を振るうようになるというケースも多いので、被害届を出す場合には、通常、夫が逮捕されている間に、あなたは別居を開始してしまうというケースが多いかと思います。
 ちなみに、被害届を出さないと、「今回あったことは全てなしになってしまうのですか?」という質問を受けることも多いのですが、今回の暴力が全てなしになってしまうわけではありません(旦那側に刑事罰を科すという意味では、ハードルは上がってしまいますが、いずれにしても、「何もなかったことになる」ということではありません)。

 

 

6.警察に相談した記録は開示してくれるのか?


 あなたが警察に相談した内容は、概要を警察の方でまとめて記録化してくれています。そして、その記録については、あなたが個人情報の開示申請をすれば開示してくれます。
 ただ、警察側から相互暴力と捉えられてしまい、かつ、110番通報をしたのが旦那側という場合には、あなたからの開示申請は認められないこともあります。また、例えば、旦那からの暴力があって、あなたが実家のお母様に電話し、お母様が警察に通報したという場合には、あなたではなく、お母様からしか個人情報の開示申請ができないということもあります。

 このようにして開示された資料には、担当警察官の氏名等の情報は黒塗りになっていることが多く、また、旦那側の言い分は全て黒塗りになっています。そのため、あの時旦那がこう言っていたはずなので、それを警察の記録から証明したい、という場合、警察の記録から証明することはできません(黒塗りになっていて読めないため)。
 また、警察側は記録を開示してくれるのですが、開示に時間がかかることが多いです(3週間程度かかることが多く、警察が繁忙であったり、開示する記録が多いと1か月以上待たされることもあります)。そのため、早く警察の記録を取得したいという場合には、早めに警察に足を運んで開示申請をするということが必要になります。

 

7.まとめ


・児童虐待が行われている場合や疑われる場合、速やかに警察に通報すべきである。
・別居後は、特に別居直後、旦那側がこちらを探し回らないよう警察から伝えてもらう、というように活用することが多い。
・警察と児童相談所とでは目的が違うので、状況によってどちらにより力点を置くかは異なってくる。
・ただ、結局は、警察と児童相談所のどちらか、ということではなく、「どちらも」ということが多い。
・警察に通報したイコール「大変な事態が起きた」と単純に結び付けられるわけではない。
・被害届を出すかどうかは状況に応じて慎重に判断した方が良い。
・警察へ相談した内容は記録を開示してくれるが、旦那側の言い分は黒塗りになっている。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(49)―児童相談所との関わり方

2023.04.24更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

 

2.そもそもどのような相談ができるのか


 皆さん、警察というと、「夫が暴れだしたときには警察を呼ぼう」など、110番通報をする目安やイメージが多少持ちやすいと思いますが、児童相談所というと、あまり関わりがないため、「そもそも、どんなことを相談する場所なの?」とお感じになるかもしれません。
 イメージとしては、旦那側がお子様に対して暴力・暴言等のいわゆる「児童虐待」をしていると感じる際に相談する場所と考えるとイメージしやすいかと思います。

 あなたの目から見て児童虐待が行われていると感じても、児童虐待防止法に違反するものなのかどうかの判断は難しいこともあると思いますので、そのような際に児童相談所に相談すると、「許されない児童虐待なのかどうか」といった考え方を教えてもらえたりします。
 また、実際に児童虐待が行われていると児童相談所が判断した場合には、児童相談所の職員が旦那側から事情を確認したり、指導をしてくれたりしますので、今後の児童虐待を抑止していく効果が見込めます。

 更に、お子様の今後の子育てに不安があるといった場合には、適切な対応方法や、活用できる行政サービス等のアドバイスを受けることも可能です。

 

 

3.別居の前か後かによって関わり方の視点が異なってくる


 児童相談所との関わり方については、別居の前か後かによって、望ましい関わり方が異なってきますので、分類して解説していきます。

(1)別居開始前の段階
 別居開始前の関わり方についての鉄則は、「夫からの虐待(疑いを含む)がある場合なるべく早くに児童相談所に相談する」ということに尽きます。
 特に、相談先は、最初は警察に相談し、警察経由で児童相談所に情報共有してもらうということでも結構です。

 あまり大事にしたくないということで、児童相談所への相談を躊躇う方も多いとは思いますが、あまり相談が遅れてしまいますと、監護者指定審判手続きの中で、あなた自身が「旦那側の虐待を見過ごしてきた」と評価されてしまうリスクがありますので、早めに相談することが得策です。

(2)別居開始後の段階
 別居開始後は、旦那側がお子様と一緒に生活するという状況が解消されておりますので、「別居してから児童相談所に初めて相談する」というケースは稀だと思います。たまに、「これまでの出来事を児童相談所の方にも記録しておいて欲しいので、児童相談所を尋ねた方が良いのでしょうか?」という質問を受けることもありますが、あまり効果的ではないと思います。前述したように、児童相談所を活用するにあたっては、児童虐待(疑いを含む)が行われている「真っ最中」でこそ効果が高いからです。

 逆に、別居開始前から相談はしていて、別居した後の関わり方としては、別居に伴ってお子様が不安を感じているような場合に、そのケアにあたってアドバイスを受けるといった形で活用することが多いと思います。

 

 

4.児童相談所に相談した記録は開示してくれるのか?


 私が担当した事件での実例を見る限り、児童相談所によって対応が異なります。ある児童相談所は、相談した記録を開示してくれるのですが、ある児童相談所では、一切開示してくれないというところもあります。
 なお、記録を開示してくれた場合でも、こちらが話した内容は記載されているのですが、児童相談所の担当者が話した内容は全てマスキングされて開示されるというケースがかなり多いです。
 このようにあなたの方から児童相談所に記録開示の申請をしても限界があるのですが、監護者指定事件では、家庭裁判所調査官が自ら児童相談所にアクセスを図ることが多いので(但し、児童相談所からは、面談ではなく、書面のやり取りしか実施しないというところも多いです)、その中でこれまでの児童相談所の関わりが分かることが多いです。

 

5.まとめ


・児童相談所に対しては、旦那がする児童虐待の疑いについて見解を求めたり、指導を求めたりできる。
・別居前の児童相談所との関わりは、虐待が疑われる場合には、なるべく早く相談するということに尽きる。
・別居後の児童相談所との関わりは、別居前の関わりの延長として、お子様のケア等の関係で活用することが多い。
・児童相談所の記録は一切開示してくれないか、一部の開示しか得られないことが多い。

 

 

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夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(48)―別居先が実家の場合、夫側にもその旨は伝えた方が良いのか?

2023.04.10更新

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.監護者指定手続きの中での「別居先」の位置付け


 まず、別居先が実家であることを旦那側に伝えるか伝えないかの議論に入る前に、監護者指定審判手続きの中で「別居先」がどのような意味合いを持つのかについて解説します。

(1)監護者指定手続きの中であなたの住所を隠したままにすることは可能
 監護者指定手続きでは、ほとんどのケースで家庭訪問が実施されるのですが、そのような場合、奥様の方から「私の住所は旦那側に伝えていないのですが、家庭訪問をすると伝わってしまうのですか?」というご心配の声が寄せられることがあります。
 結論から言いますと、家庭訪問をしたからと言って、旦那側にこちらの住所が分かるということはありません。

 家庭訪問は、主に室内の様子、室内でのお子様の様子を確認するものですし、家庭訪問には旦那本人や旦那側弁護士は立ち会わないからです。

(2)手続きにどのように関わってくるか?
 一番大きいのは、現状のお子様の育児及び今後の育児計画との関わりということになります。
 現在の育児の状況について説明するにあたっては、あなたのご両親の関わり方も重要になってきます。あなたの別居先が実家ということを明らかにすれば、「一緒に住んでいる私の母が食事の支度のサポートなどをしてくれます」ということをしっかりと説明していくことができます。

 他方で、あなたの別居先の説明を濁した場合、「私の母が食事のサポートに来てくれることがあります」といった説明しかできなくなってしまい、「しっかりとした監護補助者がいてくれる」という説明が難しくなるという側面があります。

 

 別居先が実家であるということを隠す場合、あなたが「実家の近くに住んでいる」という説明も難しくなってしまうので(実家の近くに住んでいると説明すると旦那側がこちらを探し回るリスクが生じてしまいますので、「実家に住んでいる」と説明するのと「実家の近くに住んでいる」だとリスクがあまり変わらないため、「実家近くに住んでいる」という説明が難しくなるという意味です)、どうしても説明がぼやけてしまうのです。
 また、今後の育児計画についても、別居先が実家であることを明らかにしておけば、「一緒に住んでいるので、何かあったときはすぐに対応してもらえます」という説明がしやすいです。

(3)面会交流がやりやすくなる
 監護者指定手続きですと、お子様と旦那側との面会交流に重きを置く裁判官も多くいます。実際にいつどのように面会交流をスタートさせるかは、お子様の様子等を踏まえて慎重に検討していく必要がありますが、実際に旦那側との面会交流を実施していく場合、こちらの住まいの場所が分かっていると、面会交流場所の選定にあたって調整がしやすくなるというメリットはあります(例えば、公園で面会交流させるという場合でも、こちらの実家近くの公園で交流させるといった提案をしやすくなるという意味です)

 

 

3.別居先が実家だと開示すると、旦那が押し掛けてくるのでは?


 別居先が実家であることを裁判所に伝え、旦那側にも伝えた場合、旦那側がこちらの実家の住所を知っているので、「押し掛けてくるのではないか?」と不安に思われる方も多いと思います。
 もちろん、このようなリスクはしっかりと考慮して対応を検討していかなくてはいけないのですが、実際上、監護者指定審判の手続き中に、旦那側が押し掛けてくるケースはかなり少数派という印象です。このような押しかけをしてしまいますと、夫側も、自分が不利になるということは分かりますので、控える傾向が強いということです。

 

 

4.別居先が実家であることを伝えるタイミング


 前述の通り、別居先については、監護者指定手続きを戦っていく場合には、そこが実家であるという場合、そのことは強い武器になります。そのため、別居先が実家であることは伝えた方が良いケースが多いと思います。

 このように別居先が実家であることを伝える場合
(1)そもそも、別居そのものを事前に旦那側と相談できるようであれば、その時点で伝えた方が良い。
 別居に先立って、旦那側と話し合いの席を設けることが可能なようでしたら、その際に、別居や離婚のことが話題になりますし、その際には、別居先についても話が及ぶことがあります。
 旦那側との話し合いが円滑に進むようでしたら、旦那自身も別居そのものに同意する場合もありますので、その際には、旦那との話し合いの際に、別居先として実家を予定している旨を伝えてしまうということで良いと思います。

(2)旦那のモラハラや暴力が悪質なケースだと、事前に伝えることは困難
 旦那のモラハラや暴力が悪質なケースですと、別居そのものを事前に話すことが難しいというケースの方が多いと思います。
 その場合には、事前に別居先等についても伝えることはできませんので、実際に先方に伝えるにしても別居後ということになります。
 別居後に先方に伝える場合、①旦那側が探し回ると面倒なので、別居直後に伝えてしまう、といったケースや②あまり早めに伝えてしまうと、実家に押し掛けてきそうなので、監護者指定審判手続きが本格化してから伝えるケースなど、伝えるタイミングは様々かと思います。その時には弁護士を立てているケースが多いと思いますので、タイミングは弁護士と相談しながら決めて下さい。

 

 

5.まとめ


・監護者指定審判手続きの中であなたの転居先を隠し通すことは可能である。
・ただ実家に住んでいる場合、現在の育児の状況や育児計画を裁判官に伝えるにあたっては強い武器になる。
・そのため、別居先が実家の場合、そのことを裁判所や旦那側にも伝えるケースの方が多い。
・監護者指定審判手続き中に旦那が押し掛けてくるリスクは高くないことが多い。
・伝えるタイミングは、別居前に話ができるようであれば別居前のこともあるし、そういった話し合いが難しい場合、別居後に弁護士と相談しながらタイミングを見極めることが多い。

 

 

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