離婚問題

DV夫から慰謝料は取れるか?

2017.07.31更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<になります。

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1.DVを何らかの形で償わせたい


 

 DV被害を受けた場合、そのことに対してDV加害者に何のお咎めもないということになると、やりきれないという思いを持たれる方も多いと思います。

 DV加害者に謝罪させるという方法も考えられますが、法律上謝罪を強制させる仕組みがないため、この点を強く言うことは難しい面があります。また、DV旦那は、自己の暴力を正当化している人が多いため、謝罪に断固として応じないという人も多いです。

 

 そのため、DV被害を受けたことに対して相手に何らかの償いをさせるという場合には、慰謝料を支払わせるという方法が現実的な選択肢になります。

 

 

2.DVの証拠


 

 前述の通り、離婚手続の枠組みの中で、DVに関して相手に償いをさせるという場合、慰謝料をもらうというのが現実的な手段になりますが、その第一歩になるのが、DVの証拠になります。

 

 最も有力な証拠となるのが医師の診断書になります。また、目立った外傷が残ったという場合には、外傷の写真も証拠になります。あとは、室内の壁や家具を破壊した場合、壊れた壁や家具の様子などを写真撮影しておけば、暴れたことの証拠になり得ます。

 

 また、広義のDVといった場合、暴言も含みますので、相手の暴言の様子を録音したICレコーダーのデータ等も証拠になります。

 いずれにしましても、上記のような客観的な証拠がありませんと、慰謝料を請求することは難しいのが現状ですので、今後慰謝料請求を考えているという場合には、診断書等の証拠を残しておいた方が良いと言えます。

 

 

3.慰謝料の相場観


 

 それでは、慰謝料という場合、どの程度の金額をもらえるのでしょうか。

 原則としてお話しさせて頂きますと、ケースによって千差万別ですので、「相場」というものは存在しません。ただ、敢えて私が取り扱った事件の平均値といいますと、200万円程度に落ち着くと思われます。

 

 繰り返しになりますが、DVは、ケースによって内容に大きな違いがありますので、自分は200万円を確実にもらえるのだと誤解しないようにして下さい。

 実際にどの程度の慰謝料をもらえそうかという点は弁護士に相談してみると、ある程度の目安をお教えできることもあります。

※関連記事>> DV慰謝料に相場ってあるの?

 

 

4.慰謝料をどのように請求して行くのか


 

 それでは、慰謝料はどのようにして請求して行くのでしょうか。

 通常は、DV旦那との離婚を決意されていることと思いますので、離婚の条件の一つとして慰謝料も要求して行くことになります。

 DVの問題は、離婚を決意した直接のきっかけになっていることが多いと思いますので、離婚で話し合う問題の一つとして解決するのです。

 

 

5.DV旦那の支払能力


 

 DVのきちんとした証拠がある場合、DV旦那から慰謝料を獲得して行くことになりますが、その際に注意しなければならないのは、DV旦那の支払能力になります。

 いくら慰謝料を請求しても、DV旦那が無職であったり、ほとんど蓄えがないというケースも多くあります。その場合には、実際に慰謝料を獲得することが難しいという場合もありうると思います。

 

 このようにDV旦那自身は十分な支払能力がないとしても、その両親や親族は資産家というケースもあります。その場合でも、あくまで慰謝料を請求できるのはDV旦那本人と言うことになりますので、直ちにDV旦那の支払能力の問題が解決されるわけではありません。

 

 

6.離婚と慰謝料どちらを優先するかの選択


 

 私が相談を受けたケースでは、DV旦那が自己中心的にお金を使うため、ほとんど蓄えが残っていないとか、転職族のため、勤め先を特定することが難しいというケースが多いです。

 そのため、残念ながら慰謝料を払う払わないという議論をしていることで離婚に時間がかかるのであれば、慰謝料を諦めて離婚を選択するという方もいらっしゃるのが現実です。

 

 もちろん、今後DV旦那が再婚等して同じことを繰り返さないために、こちらが受けた被害の何十分の一かでも取り返したいという気持ちから慰謝料を請求すべきケースが多いと言えます。そのため、簡単に慰謝料請求を諦めて欲しくないのですが、手続が進む内に離婚と慰謝料とで優先順位を付けて検討しなければならない場面に遭遇することもありますので、そのことは頭の片隅置いておいた方が良いと思います。

 

 

7.まとめ


・DVの慰謝料請求にあたっては、DV被害の証拠が重要な意味を持つ。

・慰謝料の金額はケースによるため一概にいくらとは言いにくい。

・慰謝料の問題は離婚の話し合いと一緒に話をするのが一般的である。

・慰謝料を請求するにあたっては、DV旦那の支払能力の問題を無視できない。

・ケースによっては離婚と慰謝料どちらかに優先順位を付けた方が良いケースもある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV離婚を弁護士に依頼するメリット&デメリット

2017.07.24更新

弁護士秦

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1.そもそも、DV離婚は弁護士に依頼した方が良いのか。


 

 詳しいメリット、デメリットは後述しますので、そちらをご覧いただければと思います。ただ、通常の離婚とは異なり、DV離婚、特に旦那様があなたに対して暴力をふるい、そのことで怪我をしたことがあるとか、精神的に不調が生じているという場合には、弁護士に依頼されることをオススメしています。

 とは言いましても、皆様なかなか弁護士との接点もないでしょうから、以下に弁護士に依頼するメリットとデメリットを整理しました。今回は「DV」による「離婚」という問題に特化して解説しますので、参考にして下さい。

 

 

2.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット1】直接やり取りしなくて済む


 

 DV離婚を弁護士に依頼する最大のメリットは、奥様が旦那様と直接やり取りをしなくて済むという点ではないかと思います。私のところに相談に来られるDV被害者の方々も、「怖くて直接話をすることができない」「身の危険を感じる」とおっしゃる方は多いです。

 

 DVのケースでは、DV旦那がこちらの意見に耳を貸さない、理解しようとしないというケースが多いように思われますので、直接やり取りをするだけで精神的にすり減ってしまうと言うことが多いと思います。また、ご自身で離婚を切り出すと、旦那様が逆上して、暴力被害が増えるリスクもあります。

 これに対して、弁護士に依頼すると、弁護士が窓口となって交渉をしますので、直接当事者間で話をする必要がなくなります。

 

 

3.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット2】避難先を知られずに手続ができる


 

 DVで弁護士に相談するケースでは、ご自身で別居を開始しているか、別居を決意されていると思いますので、避難先を知られずに手続を進めると言うことが重要な意味を持つことが多いと思います。

 

 避難先を知られてしまいますと、DV旦那が押しかけてきて暴力をふるう危険性がありますので、このような事態を回避する必要性が高いと思います。

 しかし、あなた自身が直接旦那と話をする場合や親族等に間に入ってもらう場合、連絡先を知らせないと協議に応じないというケースもありますので、その様な場合には、話し合いが進展しません。

 

 この点、弁護士は守秘義務を負っていますので、弁護士がDV旦那に、DV被害者の現住所等の情報を漏らす危険性はありません。

 

 

4.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット3】相手の論法に巻き込まれない・丸め込まれない


 

 こちらも、私のところに相談に来られる方が、よくおっしゃることなのですが「旦那は理屈っぽいので絶対に言葉ではかなわない」とか「普通に話をすると丸め込まれてしまう」といったことをおっしゃる方が多いです。

 

 DV旦那は、自分のしている暴力を完全に正当であると考えている人が非常に多く、そのため、自分の主張に強い自信を持っている方、自分の理屈を曲げようとしない方が多いというのが一つの特徴と言えます。

 そのため、ご本人で話をしたり、友人に間に入ってもらっても、相手が理屈を曲げないために、交渉が進展しないと言うことが往々にしてあります。

 

 これに対して、DVの問題に詳しい弁護士が間に入った場合、弁護士は、相手がどのような主張を展開してくるかある程度予測できますので、相手の論法に巻き込まれません。

 

 

5.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット4】常に道標がある安心感


 

 前述のようにDV旦那は、自信を持って自分の主張を展開してくることが多いため、聞いている方は、自分の考え方が間違っているのではないかと不安になってしまうことが多くあります。

 しかし、弁護士が間に入れば、常に弁護士のアドバイスを受けながら手続を進められますので、その様な不安もなく安心することができます。

 

 

6.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット5】裁判を視野に入れた準備


 

 DVのケースでは、協議離婚が成功せず、調停離婚や、どうしても裁判離婚を避けられないというケースも増えてきます。

 前述のように、DV旦那は自分の主張に自信を持っている人が多いため、こちらから説得しても、理解しようとしないことが多いため、離婚協議や調停が上手く進捗しないケースもあるのです。

 

 離婚裁判になりますと証拠がない主張は認められにくくなってしまいますので、調停の進捗などを見て、裁判でも勝訴できるだけの証拠を集める作業などを進めて行くことができます。このような準備を進めておけば、調停が不成立になってしまった場合でも、スムーズに裁判に手続きにスイッチさせることができます。

 

 

7.【DV離婚を弁護士に依頼するメリット6】保護命令等の措置への迅速な対応


 

 一旦弁護士が就いた後に、何かトラブルが起きた場合、弁護士が事情の詳細を知っていますので、保護命令といった法的手続きを円滑に進めることができます。

 

 

8.【DV離婚を弁護士に依頼するデメリット1】弁護士費用の負担


 

 弁護士に事件を依頼することになりますので、どうしても弁護士費用がかかってきてしまいます。

 ただ、私がご依頼を受ける場合、いくら弁護士費用がかかるのかを明確にご説明しますので、ご安心してご依頼頂けます。

 

 

9.【DV離婚を弁護士に依頼するデメリット2】結局調停には本人出席が必要


 

 私のところに相談に来られる方の中には、弁護士に依頼する場合、弁護士に全て手続を任せるので、ご自身で裁判所まで足を運ぶ必要はないと誤解されている方もいます。

 もちろん離婚協議の際に、ご自身で足を運んで頂く必要はありませんが、離婚の手続きが調停のステップに上がってしまった場合、調停の席にはご本人が出席して頂く必要が出てきます。

 

 ただ、その場合にも、①必ず弁護士が同行しますし、②相手と同じ部屋で話し合いをするわけではありません。また、③裁判所で相手に遭遇するリスクを極力減らすよう裁判所とも連携して行きますので、裁判所でトラブルになるケースは少ないと思います。

 

 

10.まとめ


■DV離婚を弁護士に依頼すると以下のようなメリットがある

 ①DV旦那と直接交渉等のやり取りをせずに離婚できる。

 

 ②避難先を知られずに離婚できる。

 

 ③弁護士が間に入るので、相手の論法に巻き込まれない

 

 ④随時弁護士のアドバイスを受けられるので、常に道標がある安心感を持てる。

 

 ⑤離婚裁判や保護命令と言った手続を円滑に進められる。

 

■DV離婚を弁護士に依頼すると以下のようなデメリットがある

 ①弁護士費用がかかる。

 

 ②離婚調停にはご本人も出席しなければならない。

 

 

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DV慰謝料に相場ってあるの?

2017.07.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>モラハラ・DV情報盛りだくさんの総合サイトはこちら<になります。

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1.DVの問題は法律的には金銭的に解決する他ない。


 

 DVの被害を受けておりますと、ご自身の自信を喪失し疲弊しきっている方が多くいらっしゃいます。特に長期間DV被害を受けてきた方は、その間の失われた時間を取り返したいと願う方もいらっしゃいますし、その心情は察するに余りあると思います。

 

 また、今後DV夫が離婚した後に再婚するなどすることも考え、自分のしたことが悪かったことだとしっかりと自覚し、同じような被害者を出さないで欲しいと願う方もいらっしゃいます。その様な場合には、DV夫にきちんと謝罪させるという方法しかないことになります。

 しかし、法律が、その様な謝罪といったシステムを用意しているのかと言いますと、暴力を受けたケースにおいて謝罪を強制するような法律はございません。

 

 そのため、DV被害を原因として離婚する場合、その被害に対しては、慰謝料という金銭的な解決を図るしか手段がないということになります。

 

2.DV慰謝料に相場ってあるの?


 

 それでは、そのようなDV慰謝料について、相場というものは存在するのでしょうか。

 

 狭い意味でのDVと言う場合、直接的な身体的暴力を意味します。その場合、通常は、身体的暴力の他にも、様々な暴言を浴びせられたり、生活費もろくに渡さないと言った事情が複合的に問題となるケースが多いため、一概にDV慰謝料というものの「相場」と言うことは申し上げにくいのですが、私が担当した事件の平均的な数値と言いますと、200万円に近い数字になるのではないかと思います。

 

 ただ、繰り返しになりますが、DV被害を受けているケースでは、他にも様々な被害を抱えている方が非常に多いため、「DVがあった場合には、1件につきいくら」と言うように単純に計算することが難しいと言うことはご理解いただければと思います。また、上記の金額は婚姻関係が破綻している場合(もうやり直せないぐらい夫婦の関係が崩壊している場合)を想定しております。婚姻関係が破綻していない場合にはより慰謝料額は低額になるケースが多いです。

 

3.DV慰謝料額はどのような要素で決まるの?


 

 ここでは、DVとは、前述のように狭い意味で捉え、直接的な身体的暴力があったケースを想定して解説致します。

 

 主なDV慰謝料額の考慮要素としては以下のようなものがあります。

■DVの回数・頻度

■DVの期間

■DVによる怪我の程度、後遺症の有無

■DV行為の態様・危険性

■DV行為の経緯

■旦那側の反省の程度

■奥様側の落ち度

 

以下で、具体的に解説して行きます。

 

(1)DVの回数・頻度

 これは、婚姻期間中に、どのくらいの回数身体的暴力があったか、どのくらいの頻度だったかという問題です。もちろん、回数や頻度が多ければ多いほど慰謝料は増額傾向になります。

 

(2)DVの行われてきた期間

 DVが断続的にせよ繰り返されてきた期間がどの程度あったのかという問題です。期間が長い方が慰謝料は増額傾向になります。

 

 なお、このDVの期間を検討するにあたっては、婚姻生活の中のどの期間にDVがあったのかという点も重要になります。

 例えば、婚姻当初から別居するまでずっとDVが続いてきたと言うことでしたら、より悪質と言うことになるでしょうし、結婚2年頃からDVがあったが、その後2年ほどで収まり、その後は別居までの7年間一切DVが無かったと言うことでしたら、悪質性が高度ではないと判断される可能性があります。

 この点は、どのようなきっかけでDVが始まって、どのようなきっかけでDVが終わったのかという問題とも絡み、検討が必要な点となります。

 

(3)DVによる怪我の程度・後遺症の有無

 DVによる怪我が重傷であれば重傷であるほど、慰謝料は増額傾向になります。なお、DVの被害を受けた方の中には、「1か月間腫れが引かなかったように思う」とか「2週間痛みが続いたと思う」というような主観的なお話しをされる方もいらっしゃいますが、怪我の程度は原則として診断書や医療機関のカルテを元に判断されることが多いため、診断書やカルテでの書きぶりというものが非常に重要になります。

 

 また、怪我の程度がひどく、後遺症が残ってしまったというケースでは、慰謝料は増額傾向になります。心理的な後遺症については、証明の難易度が高いのですが、DVによって心理的なダメージを受けたと証明できれば、慰謝料は増額傾向になります。

 

(4)DVの態様・危険性

 これは、具体的にどのような暴行行為が行われたのかという問題です。旦那が包丁・ナイフその他の凶器を持ち出して攻撃してきたというケースでは、一般的に慰謝料は増額傾向になります。

 また、階段から突き落とされそうになったなどの生命の危険が生じうるケースでも、一般的には慰謝料は増額傾向になると言えます。

 

 旦那が素手で攻撃してきたという場合でも、こちらの体位、暴行の程度は重要な考慮要素になります。こちらが立っているところに、相手から脇腹を一発殴られたというのと、こちらが寝ているところに、馬乗りになられて数十発殴られたというのとでは悪質性が異なると思います。

 DVの態様については、当時の具体的なシチュエーションを思い出し、その内容を検討する必要があります。

 

(5)DV行為の経緯

 何回か暴力行為が行われている場合には、旦那が初めて暴力をふるい始めた経緯と、その後の経緯との両方を検討する必要があります。

 例えば、奥様側が挑発的な言動を繰り返した結果、旦那が手を出したというケースと、酒癖が悪く、飲酒し始めると理由もなく暴力をふるうというケースとでは、悪質性が異なると思います。もちろん、より悪質な方が慰謝料は増額傾向になります。

 

(6)旦那側の反省の程度

 DVを奮う方の中には、全く悪びれておらず、むしろ、自分を正当化する方も多くいます。例えば、「家内は全然家事ができず、何度も注意してきたのに、直らないので、指導のために手を上げた」とか「こちらがむしゃくしゃしているところに、家内が喧嘩を売ってくるような言動をするからこのようになってしまう」だとか、あたかも自分の行為が悪くなかったかのように主張する人もいます。

 このように全く反省せず、逆に開き直るような態度を取る場合には、慰謝料は増額傾向になります。

 

(7)奥様側の落ち度の有無

 DVはどのような理由があっても許されない行為ですので、原則として上記(1)ないし(6)の要素でおおよその慰謝料額は決定することが多いのですが、ケースによっては、奥様側の落ち度が検討対象になることがあります。

 例えば、奥様側の挑発行為が激しく、それに腹を立てて暴力してしまったとか、自宅がゴミ屋敷になっており、少しは片付けるように注意しているのに一切聞く耳を持たないばかりか、旦那に掃除するよう申し向けてきたためカッとなって暴力をふるったとか、奥様側の浪費が激しく、そのことが原因で暴力沙汰になったとか、奥様側の落ち度が大きい場合には、一定の考慮要素になることがあります。

 

4.DV離婚のケースでは弁護士に依頼するのがベストなことが多い


 

 DVを理由として離婚する場合、DV旦那はこちらの言い分に耳を傾けるばかりか、こちらを非難してくることが多いため、ご自身で交渉することは難しく、逆に、そのことが危険と言うことも多くあります。

 身内の方に間に入ってもらうにしても、DV旦那が、間に入った人間に対する攻撃を開始するというケースもあります。

 

 そのため、DVのケースでは早期に弁護士に依頼し、解決することが望ましい問題と言えます。

 

5.まとめ


 

・DV慰謝料に相場はないが、200万円というのは一つの参考値にはなる。

・DV慰謝料は、様々な検討要素を踏まえて検討することになる。

・DVのケースは、当人同士の話し合いが難しいため、弁護士が間に入った方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

偽装DVへの5つの対処法

2017.07.10更新

弁護士秦

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1.偽装DVとは


 

 偽装DVとは、一般的には、実際に夫からの身体的暴力(いわゆる「殴る、蹴る」と言った直接身体に触れる暴力です)がないにも関わらず、暴力を受けたように偽ることを言います(広い意味では、実際に存在しないモラハラを偽装する場合等も含みますが、今回は、身体的暴力のケースに限って解説します)。

 

 明確な離婚原因(不倫や暴力等)が実際にはない場合に、早く離婚したいがために、DVがあったと主張されるケースが多いです。

 

2.偽装DVはどう言う形で問題になるの?


 

 偽装DVは、奥様の側がDV被害者の「フリ」をするケースが多いのですが、口頭でDV被害を訴えるだけということもあります。それだけならまだ良いのですが、怪我をした写真、精神疾患の診断書といった証拠が提出されるケースもあり、その様な場合には、対応を慎重に検討しなければならないこともあります。

 

 それでは、どのような形で偽装DVが顕在化することが多いのでしょうか。私の経験上は以下のようなパターンがあります。

■突如奥様が自宅を出て、連絡が取れずにいたら、奥様から手紙が来て、暴力被害(偽装)の怪我の写真や離婚届が同封されていた。

■突如奥様が自宅を出て、連絡が取れずにいたら、奥様の友人(または親族)から連絡が来て、暴力(偽装)のことを非難され、至急離婚するよう詰め寄られた。

■突如奥様が自宅を出て、連絡が取れずにいたら、弁護士から通知が来た。

■突如奥様が自宅を出て、連絡が取れずにいたら、家庭裁判所から離婚調停の呼出状が来た。

 

 奥様はDV被害が偽装であることを認識していますので、奥様ご自身が表に出てくることは少なく、誰かを間に入れて離婚を求めてくるケースが多いように思います。また、同居したままですと、旦那様の方から反論されるため、別居してから、DV被害を訴えるケースが多いように思います。

 

 では、このような偽装DVのケースでは、旦那様側はどのように対処すればよいのでしょうか。

 

3.【対処方法1】まずは、離婚届不受理申請をする


 

 奥様は、DVを偽装するような方ですので、最初は正攻法で、こちらに離婚を求めてきていても、離婚協議が思うように進まないと、こちらに無断で離婚届を役所に提出するリスクがあります(つまり、離婚届を偽造してしまうと言うことです)。

 

 そのため、まずは、役所に行って離婚届の不受理申請をすることをオススメします。

 一度離婚届が受理されてしまいますと、その後は奥様との連絡が一層取りにくくなる危険性がありますので、無断で離婚届を提出される事態は避けなければいけません。そのため、まずは、離婚届の不受理申請をしておいた方が良いでしょう。

 

4.【対処方法2】すぐに諦めない、相手の言いなりにならない


 

 当たり前のようなことで実は大変重要なのですが、突如弁護士からDV加害者のレッテルを貼られ、写真といった証拠もあると言われてしまうと、つい気弱になってしまうことも多いと思います。

 特に、偽装DVを主張する奥様の中には、同居生活中も旦那様に対して横柄な態度を取っている女性などもいて、その様な場合には、旦那様側が縮こまってしまうこともあります。

 

 しかし、そのような気弱な態度を見せてしまいますと、相手のペースで物事が進んでいくことにもなりかねませんので、まずは、必要以上に気弱にならない様努めて下さい。離婚の問題は、あなたの人生にとっても重要な出来事ですし、養育費や財産分与、慰謝料等お金にも関わることですので、離婚した後に後悔することがないよう弱気にならずに臨みたいところです。

 

5.【対処方法3】真実の離婚理由を探る


 

 偽装DVのケースでは、積極的に奥様が真実の離婚理由を主張してこないケースが圧倒的に多いです。そのため、可能であれば真実の離婚理由を探れるようであれば探った方が良いと思います。

 もちろん、「本当はどういう理由で離婚を決意したんだ?」と聞いても、相手は、DVしか主張しないと思いますので、「DV以外にやり直せない理由があるのか?」という形で質問してみると良いと思います。

 

 こちら側としては、奥様が突如別居して、意味も分からないうちに離婚を突きつけられていますので、奥様側の本当の離婚原因が分からないと、気持ちの整理も、離婚にどう向き合うべきかも判断がつかないと思います。そのため、真実の離婚理由を探ってみた方が良いと思います。

 

6.【対処方法4】相手の偽装の証拠を突き崩す


 

 こちらについては、相手の証拠がどのようなものなのかに応じて対処方法が変わってくるのですが、相手は偽装DVの証拠を盾に離婚を強く迫ってきていますので、それが偽装であることを証明することに全力を注ぐ必要があります。

 

(1)怪我の写真に対して

 一般的には、過去怪我をするエピソードが実際に存在して、その写真を、夫からの暴力が原因だと主張するケースが多いように思われます。例えば、本当は転んだ際にできた怪我を「旦那に蹴られてできた傷だ」と主張するなどのケースです。

 相手が医師の処置を受けている場合には、カルテの開示を求めれば、通常カルテに怪我をした原因も記載しますので、そこで偽装であると分かることが多いと思います。

 

 医師の処置を受けていない場合、真実の怪我の原因を証明する作業が必要になります。例えば、PTA活動をしていた際に奥様が怪我をしたという場合、周りで見ていた友人の証言を得ると言ったことが考えられます。また、メールやラインが残っていないかについても確認をして下さい。それなりに大きな怪我をした場合、「転んで怪我をしちゃったから今日の夕飯は作れない、どこかで食べてきて」と言った事務連絡のメール等をしているケースがあります。その様な証拠があれば、偽装だと証明できることもあります。

 

 いずれにしましても、相手が暴力を受けたという日時を特定できませんと反論できませんので、まずは日時を明らかにしてもらうというのが必要な作業だと思います。

 

(2)精神疾患の診断書について

 通常奥様が精神疾患を患っていても、その原因まで診断書等に記載されることは少ないと思います。そのため、精神疾患の診断書が提出されても、DVを原因とした被害という特定は難しいことが通常です。

 仮に、奥様からの申告をもとに精神疾患の原因が明記されていた場合には、カルテの開示を求めるなどして対抗してゆくことになろうかと思います。

 

(3)普段の奥様の言動等

 偽装DVのケースでは、旦那様からのDVが偽装であるだけではなく、逆に、本当は旦那様がモラハラの被害者であると言ったケースもあります。その様な場合には、これまでに奥様から送られてきたメールやラインにて普段の言動等をうかがい知ることができます。

 そのメールやラインの内容によっては、旦那様と奥様との普段の関係性から、旦那様側から暴力をふるう可能性は低いとされることもあり得ます。

 

7.【対処方法5】弁護士に相談した方が良いケースが多い


 

 偽装DVは奥様側も巧妙なケースが多いので、弁護士に依頼するかどうかは別として一度は直接弁護士に相談して対処方法を練った方が良いと思います。

 

 上記の通りオーソドックスな偽装の証明方法を述べましたが、偽装内容や方法に応じて対処方法は異なってきますので、相手が証拠とするものの現物、こちらが反論として提出する予定の証拠の現物を直接弁護士に見せて相談をすると、今後の見込みがより明確になると思います。

 

7.まとめ


 

・勝手に相手が離婚届を提出しないよう離婚届不受理申請をしておいた方が良い。

・必要以上に気弱にならず冷静に対処するよう気を引き締めた方が良い。

・探れるようであれば真実の離婚理由を探る。

・偽装DVの証拠を突き崩す方法は相手が用意した証拠によっていくつか方法がある。

・実際に偽装DVに対抗するためには一度弁護士に相談してみた方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

逆DVかな?と思ったら

2017.07.03更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。モラハラ・DV情報盛りだくさん!>>弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトはこちら<になります。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.逆DVって何だ?


 

  逆DVとは、一般的に奥様が旦那様に対して身体的・精神的または性的暴力をふるうことなどと言われます。つまり、直接殴る蹴るといった身体的暴力だけではなく、怒号・罵倒・誹謗中傷等による精神的暴力、肉体関係を強要してくる性的暴力等も含みます。

 数年前まではDVと言うと、旦那様が奥様に対して暴力をふるうケースを指すものと考えられていましたので、その「逆」の形態(旦那様が加害者ではなく、被害者であるという意味で「逆」)という形で、「逆DV」と表現されているようです。

 

 

2.逆DVは離婚原因になるか?


 

 「離婚原因」と一口に言いましても、法律家から見ますと二つの捉え方がありまして、「法律上の離婚原因」という捉え方と「離婚理由」(離婚を言い出すきっかけ)という捉え方があります。

 あなたが逆DVの被害に真剣に悩んでいると言うことでしたら、そのことは離婚理由(離婚を言い出すきっかけ)になります。

 

 ただ、法律上の離婚原因にまでなるかというと、事情によると言うことになります。

 と言いますのは、法律上の離婚原因というのは、「裁判所が強制的に離婚を認めてくれるだけの理由」を意味しますので、簡単には認められません。身体的暴力が繰り返されていたという場合には当然、「法律上の離婚原因」に該当しますが、精神的暴力や性的暴力につきましては、その頻度や内容によると言うことになります。

 

 

3.男性側が被害者というのは、立場として弱くなるのか


 

 逆DVでご相談に来られる方の中には、女性が被害者であれば裁判官も同情してくれると思うのですが、男性が被害者の場合、裁判官は「情けない」としか思われないのではないかと、心配される方もいらっしゃいます。そこまでは言わないまでも、女性が被害者のケースよりも男性被害者は保護されないのではないかと心配されている方は多くいます。

 

 確かに、体格の面では女性よりも男性側の方が体格がよいことの方が多いため、暴力によって男性側が持つ恐怖心は女性被害者よりも多少弱いと見られる傾向もないわけではありません。

 しかし、DVで大きく問題になりますのは、実際にどのような暴力が加えられたのか、どのような頻度でどの程度の期間暴力があったのかという点が最も重視されますので、このような暴力の内容が強力な内容であれば、男性側が被害者であるという事情はそれほど大きく影響しないと見込まれます。

 

 

4.逆DVは改善の余地があるのか。


 

 私が担当した事件でも、旦那様が毅然と「このようなことが続くようであれば正式に離婚するしかない」と伝えたところ、奥様からのDVが無くなったというケースもあります。

 ただ、逆DVの内容にもよりますが、その内容が強烈なものであったり、執拗なものである場合、一時的に改善しても、時間が経つと同じことが繰り返されることの方が多いように思われます。

 

 そのため、この逆DVは、一時的なことなのだとか、本当は私のことを分かってくれているからもう少し我慢すれば自分から改善してくれるはずだと言った考え方は捨てた方が良いケースが多いのが実情です。

 

 

5.逆DVに耐えられない場合、どう対応すればよいか


 

  同居して一緒に生活している以上、逆DVに悩まされ続けますので、早めに別居をスタートするのが一番だと思います。

 ただ、別居生活においてはご両親その他少なくとも一人は事情を知ってサポートしてくれる方がいた方が良いので、別居に踏み切る前に悩みを打ち明けられるような親族または友人に悩みを打ち明けて、サポートを受けられる体制は整えておいた方が良いと思います。

 

 また、最終的に離婚を考えている場合、奥様が逆DVの存在を否定してくる可能性もありますので、可能な限り、別居前に逆DVの証拠(身体的暴力の場合、診断書や怪我の部位等を撮影した写真、精神的暴力の場合、相手からの暴言を録音した録音データ等)を入手しておくべきでしょう。

 逆DVのケースでは、奥様が旦那様に対する強い支配欲を持っていることも多いため、こちらから離婚を切り出した際、奥様が自分に不利な事情を全て隠し、離婚を阻止しようとする可能性があるからです。

 

 

6.まだ離婚の決心が付いていない場合


 

 明確に離婚したいと決断できていない場合、別居を始めてしまいますと、引っ込みがつかなくなるというケースもあります。

 その場合には、前述のようにまずは悩みを打ち明けられる親族や友人に相談し、まずは、あなたの客観的な立場を知っておくことが重要だと思います。

 

 逆DVは、奥様の要望に従ってきた結果、DVの内容が悪化してしまったというケースが多いため、あなた自身も感覚が麻痺してしまっていることが多いです。そのため、実際にこれまで起きたことを親身に相談をし、相談相手の意見を聴きながら、その逆DVの内容の深刻さを認識すべきです。

 

 そのように率直に話をしている中で、あなた自身が離婚した方が良いのか、誰かに間に入ってもらって夫婦円満に向けて話し合った方が良いのかの方向性も見えてくると思います。また、夫婦がお互いを見つめ直す期間として試しに1,2ヵ月別居してみるという方法もあります。どなたかに間に入ってもらって、冷却期間としての別居の話し合いができると言うことでしたら、試しに別居してみるというのも有力な選択肢だと思います。

 

 逆DVのケースですと、男性側が被害者ですから、みっともなくて他人に話せない、相談相手に白い目で見られそうでコワイ、下手に話をすると同級生の間で噂になりそうと言った形で不安に思われている方も多いと思います。そのように適切な相談相手がいないという場合には、弁護士等の専門家に相談するという方法もありますので、検討してみて下さい。弁護士に相談した場合、必ず弁護士に事件をお願いしなければならないと言うことはありませんし、弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に話した内容が外部に漏れることはありません。

 

 

7.逆DVのケースは離婚を決意した場合、弁護士を立てた方が良いケースが多い


 

 逆DVのケースでは、前述のように奥様の側が旦那様に対する強い支配欲を持っているケースも多いため、旦那様側が離婚を切り出した際に強く反発してくるケースが多いです。単に反発するだけならまだしも、これまでの逆DVがエスカレートしていくというケースも多くあります。

 このように旦那様の身の危険が増加するリスクがありますので、奥様の逆DVが悪化する可能性があるという場合には、ご自身で離婚を切り出すのではなく、弁護士を立てて、弁護士を通じて離婚を切り出すという方法も検討した方が良いです。

 

8.まとめ


・逆DVは離婚理由(離婚を切り出すきっかけ)になる。

・逆DVが法律上の離婚原因になるどうかはDV内容を精査する必要がある。

・逆DVが通常のDVより大きく被害者に不利になるということは少ない。

・逆DVの改善見込みは一般的に低い。

・逆DVに耐えられない場合、別居を考えた方が良い。

・別居前には逆DVの証拠を収集しておいた方が良い。

・逆DVの深刻さを客観的に把握するためには誰かに相談するのが一番である。

・逆DVのケースは弁護士が間に入った方が良いケースが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(13)】相手が弁護士を雇ってきた場合、離婚不可避か?

2017.06.26更新

弁護士秦

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1.弁護士からの通知が突如やってくることも…


 

 離婚問題で弁護士が通知を送るのは通常別居開始後になります(同居したまま通知を送ることもありますが例としては少数だと思います)。

 相手配偶者の別居開始直後に通知があったり、別居して暫く音沙汰がないと思っていたら通知が来たりと、タイミングはケースによって異なります。

 

 相手が別居開始前から弁護士に相談しているといったケースでは、別居の際に、置き手紙やメール等を残すことも多く、そこには、「今後離婚の件は弁護士に一任しているので弁護士からの連絡を待って欲しい」と書かれていることもあります。

 他方、別居開始前から弁護士に相談している訳ではなかったり、別居開始前から相談していても慌ただしく別居したケースなどでは、事前に弁護士を雇っていることが分からないこともあります。

 その場合には、弁護士からの連絡は突如来ることになります。

 

 そして、突如弁護士から電話が来るということは少なく、通常は、内容証明郵便または手紙という形で弁護士から手紙が届くということが多いです。

 

 

2.「弁護士から連絡が来た」イコール「おおごとになった」という発想は禁物


 

 一般的に日本では弁護士の敷居が高いと言われていますので、「相手が弁護士を雇ってきた」イコール「おおごとになった」という発想を持つ方も多くいらっしゃいますが、その様な発想は禁物です。

 弁護士を就けていますと最終的には離婚問題は裁判によって解決して行くことになりますが、離婚の問題では、一部の例外を除いて、いきなり裁判を起こすことが法律で禁止されていますので、突如裁判になるということはありません。

 

 話し合いが上手く行きませんと離婚調停を申し立てられる可能性は高いですが、調停はあくまで裁判所という場所を使っての話し合いですので、結論を強要されることはありません。

 また、相手配偶者があなたと直接話をしたくないという場合には、早めに弁護士を頼むという進め方をする方もかなり増えている印象です。

 そのため、相手が弁護士を雇っても、その後重大な急展開が起こると言うことはまずありませんので、その意味ではご安心下さい。

 

 

3.相手の弁護士は離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。


 

 相手が弁護士を雇っている場合、「裁判で争っても負けてしまう」「相手の弁護士は確実に勝てると考えているから事件を担当することになったんだ」と誤解されている方も多くいますが、必ずしもそうとは限りません。

 

 離婚事件は、協議離婚や調停離婚で解決する割合が非常に多いため、裁判で確実に勝てるというケースではなくても、弁護士が就くことは珍しくありません。

 そもそも、裁判で離婚が認められるためには、浮気や暴力といった明確な離婚原因が必要になりますので、離婚訴訟で勝訴できると確信して事件を担当することは逆に少ないと思います。

 そのため、「相手が弁護士を就けている以上、争っても絶対勝てないから、早く離婚した方が得策だ」と考えるのは早計です。

 

 

4.相手が真剣に離婚を考えていることに対してどう向き合うか


 

 前述の通り、相手が弁護士を雇ったということで必要以上に不安になる必要はないのですが、相手が弁護士を雇ったと言うことは、相手は、「弁護士費用を支払ってでも離婚したい」と考えていることは事実なので、俗な言い方ですが「本気で離婚したいと考えている」と思った方が良いと思います。

 

 ただ、だからといって、こちらが離婚に応じなければいけないと言うことではありませんので、相手が真剣に離婚したがっていると言うことをどのように受けとめて、今後どのようにしたいのかという視点から良く考えた方が良いと思います。

 あなたが、離婚したくないという気持ちが強いのでしたら、離婚に応じないという姿勢で問題ないのですが、その場合に肝心なのは、相手の心情に極力寄り添って対応するということだと思います。たまに、「相手と離婚を巡って対決するんだ」と誤解されている方もいますが、対決してしまいますと夫婦の間柄を修復することはできません。

 

 そのため、どうやったら相手の気持ちを変えることができるのか、夫婦の間柄を修復する方向に話が進むのか、ということを真剣に考えて、対応していくことが肝要です。

 

 

5.少なからず修復事例はある

 


 

 私のところにご相談に来られる方の中には、「相手に弁護士までついて離婚にならなかったケースなんてありませんよね?」と質問される方もいます。

 ただ、相手が弁護士を立てても、離婚にならなかったケースはあります。私自身が担当した事件でも、離婚にならず、夫婦の関係をしっかりと修復できたご家庭も実際にあります。

 そうは言いましても、残念ながら、修復に成功した事例は、一握りしかないのも事実です。

 このようにお話しますと「結局、数パーセントですか?」とか「本当に確率低いですよね?」と重ねて質問してくる方もいますが、ご家庭によって事情は様々ですので、「確率が低いか高いかは状況次第です」とお答えすることが多いです。

 

 

6.一人で悩んでいても結論が出ない場合、他の人にも相談してみること


 相手が弁護士を雇ったため大事になったと考えて、誰にも相談しないという方もいらっしゃいますが、そうすると余計に悩みが深くなるケースもあります。

 信頼できる親友に相談したり、実家の両親、兄弟姉妹その他近しい人間に相談すると、自身の客観的な立場が分かり、安心材料になることも多いので、迷った際には近しい方にご相談することを強くお勧めします。

 そんな中で、あなた自身のケースで離婚が認められる可能性が高いのかどうかや、離婚の際にどのような取り決めをしなければならないのかといった点について専門家に相談したいという場合には、弁護士に相談することも検討してみて下さい。

 

 

7.修復を目指すと心に決めたら胸を張って「ヨリを戻したい」と言う。 


 

 たまに私が相談に乗っておりますと、後ろめたくて「ヨリを戻したいと言いづらいです」という方もいます。しかし、離婚するか修復するかは、今後のあなたの人生にとっても非常に大切なことなのですから、何も後ろめたい気持ちを抱く必要はありません。

 そのため、しっかりと修復を目指すと心に決めたのなら、胸を張ってそのように言えばよいと思います。

 

 

8.まとめ


・弁護士からの手紙は何の前触れもなくやってくることも多い。
・相手が弁護士を雇ったからといって「おおごとになった」と必要以上に不安になるべきではない。
・相手の弁護士も離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。
・離婚に応じないにしても、相手が真剣に離婚を目指しているという心情には配慮し改善策等を練る必要がある。

・相手が弁護士を立てていても、少なからず修復事例はある

・一人で悩んでいても結論が出ない場合、近しい人間に相談してみるのも一つの方法である。

・修復を目指すと心に決めたら、胸を張ってよい。

 

 

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こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-財産少額編

2017.06.19更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.弁護士は高額なお金が動く事件ばかりを担当しているのではないか?


 

 私は、離婚事件のご相談を受ける機会が多いのですが、その際、ご相談者からこのように言われることがあります。「先生は複雑な事件ばかりを担当されているでしょうから、私がご相談したような少額なお金のことなんか担当できませんよね?」といったことです。

 一般の方は、金額が少ない事件イコール簡単な事件と考える方が非常に多いのですが、事件の複雑性は金額の多寡によって決まるものではありません。

 

 例えば離婚することは決まっているけれども、財産分与で争いがあるが、その争いも10万円、20万円の争いでしかないといったケースです。

 金額だけを見ますと小規模な事件という評価になってしまうと思いますが、その中身を見てみると複雑な問題を抱えているというケースもあるということです。

 

 また、お金の問題については少額の争いであっても、特にお子様が絡む場合には、親権争いや面会交流の頻度等で激しい対立がある事件もあります。その様なケースは、決して「簡単な」事件ではありません。

 ご自身の離婚事件は「簡単な事件なんだ」という先入観で判断することは危険かもしれません。

 

2.財産が少額でも弁護士に相談した方が良い事件とは?


 

 ほとんど夫婦で分ける財産がないというケースで弁護士を付けた方が良い事件の最たるものは、親権の帰属について夫婦の間で激しい対立がある事件ではないかと思います。

 親権は今後のお子様のことに直結しますので、お金には換えられない重要な問題だと思うからです。また、親権の帰属について激しい対立がある場合、話し合いや調停が上手く行かないことも多く、その場合には裁判で争っていく必要が出てきます。離婚裁判をご本人のみで対応すると言うことは非常に難しいと思いますので、早い段階から弁護士に依頼した方が良いケースだと思います。

 

 次に弁護士に相談した方が良いケースとしては、親権の帰属について争いがない場合でも、面会交流の頻度や養育費の金額、進学費用の負担等で争いがあるケースは、一度は弁護士に相談してみた方が良いと思います。親権の帰属の問題よりは重要性が下がりますが、面会交流や養育費は今後のお子様の生活や夫との付き合い方の問題になりますので、重要な問題だと思います。

 

 また、こちらは離婚したいのに相手が離婚を断固拒否している様な場合には、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立てなければならないこともあります。そのような場合には調停申し立て前に一度は弁護士に相談した方がよいと思います。

 

 さらに、ほとんど財産分与の対象財産がないという場合にも、ご本人が財産分与の対象財産を見落としているというケースもありますので、その確認のために一度弁護士に相談するという方法もあり得ます。特に財産分与で見落としやすい財産としては生命保険・退職金が最たるものではないかと思います。

 

 最後に、相手から慰謝料を取りたいという場合にも、弁護士への相談を検討すべきケースの一つといえます。相手が財産をほとんど持っていないという場合、どこまで慰謝料を回収できるのかという問題もありますが、心情的に相手のしてきたことに対して許せないという場合、どのような対応が可能なのか一度弁護士に相談してみることは有益といえます。

 

3.弁護士は何をアドバイスしてくれるの?


 

 前述しましたとおり、財産自体は少額でも、弁護士に相談することが有益なケースはたくさんあります。

 その場合に一番役に立つのは、世界に一つしかないあなた自身のケースにおいて仮に裁判になった場合、どのような結論になるのか、離婚する際にはお子様のこと、財産のことと決めなければいけないことが複数ありますが、そのそれぞれについて現状の勝訴の見込み、どの程度の金額に落ち着きそうであるのかという具体的なめどを立てることができるという点だと思います。

 

 インターネットなどで色々な情報がありますが、ご自身では分かったつもりになっていても誤解しているケースや見落としているケースもあります。そのため、直接ご相談いただけば、あなた自身のケースで離婚の際にどのような条件で話がまとまりそうなのかを正確に知ることができます。その上で、離婚に向けてどのような準備をどのような順序で進めていくのが良いのかについても正確に知ることができるのです。

 初回の相談は完全無料でご対応できますので、費用の面でも気にせずに気軽にご相談下さればと思います。

 

4.まとめ


・複雑な事件なのか簡単な事件なのかは、金額の高い安いでは判断できない。
・分ける財産が少額でも、離婚条件の面で弁護士に相談した方がよいケースは多い。
・あなた自身のケースで正確な情報を得るためには直接弁護士に相談することが一番正確である。

 

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こんなことで弁護士に相談してもいいんですか?-離婚理由編

2017.06.05更新

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1.実際どのような離婚理由で相談があるの?


 

 私が受けるご相談内容としては、深刻なDVや不倫・浮気を離婚原因とするご相談もあります。ただ、このような重大な問題ばかりかというと、性格の不一致を原因とする離婚というものも数多く取り扱っておりますし、統計上も性格の不一致が離婚原因としてはトップになります。

 例えば、離婚の調停を起こす際には、裁判所の書式に記載されている申立動機の中から該当するものを選択しなければならないのですが、裁判所の書式には以下の項目が設けられています。

 

①性格が合わない
②異性関係
③暴力をふるう(以前)
④酒を飲み過ぎる
⑤性的不調和
⑥浪費する
⑦病気
⑧精神的に虐待する
⑨家族をすててかえりみない
⑩家族と折り合いが悪い
⑪同居に応じない
⑫生活費を渡さない
⑬その他(        )

 

この①から⑬をご覧になると、ご自身も複数該当する項目があることに気付くのではないでしょうか。

この①から⑬はそれだけで直ちに裁判での離婚原因になるものではない項目も含まれていますが、その内容が極端な場合には離婚できる十分な理由になることもありますし、複数の該当項目が重なり合って離婚に値するものと判断される可能性もあります。

 

 暴力や不倫・浮気といった顕著な離婚原因がない場合でも、上記の①性格が合わない、⑧精神的に虐待する(例えば暴言を浴びせてくるとか、こちらの仕事や家事を卑下しているとか、脅してくる、こちらを無視し続ける等々)、⑨家族と折り合いが悪い(実家の両親を悪く言う、折り合いが悪い等々)といった項目には該当することが多いのではないでしょうか。

 

2.離婚するかどうかはご本人の気持ちが一番大事


 

 特にお子様がいらっしゃる家庭ですと、「子供のことを考えると離婚なんてできない。自分が我慢すればいいことだ」とお考えの方も多くいらっしゃいます。確かに、お子様がいらっしゃる場合、お子様のこと、今後の生活のことはしっかりと考えなければいけません。

 しかし、離婚しないという選択をした場合、今後何年も、20年も30年も今一緒に生活している夫と一緒の生活を続けなければならなくなります。

 

 そのため、まずは、今後一生この夫と一緒に生活してやっていけるのか、耐えられるのかと言うことをまず一番に考え、離婚するかどうかの軸として考えるべきだと思います。ご自身が考えている夫の嫌いな点、イヤな点は、ときには一般の方の賛同を得られないこともあると思いますし、些細なことと捉えられることもあると思います。ただ、ご本人がどうしても耐えられない部分、心情的に許せないと言うことならば、その点ではご自身のお気持ちに素直に向き合うことがよいと思います。

 このようにして離婚を決意されたならば、後はどのような段取りで離婚を進めていくのかを考えなければなりませんが、その際に相手の反対が予想されるのであれば、今後の手順を考えるにあたって弁護士に相談してみるというのも一つの手段なのではないかと思います。

 

 

3.実はとても多いのが、いわゆる「隠れモラハラ」のケース


 

 

 「うちの夫は、感情的になると怒鳴ったりするけれど、暴力や浮気をしているわけではないから」そんなお話をして下さる人もいます。

 しかし、よくよく話を聞いてみますと深刻なモラハラに悩まされ続けてきたという方も多くいます。いわゆる「隠れモラハラ」のケースです。

 

 モラハラの概念は広く、一括りで捉えることはできないのですが、代表的なものとしては以下の様なものがありますので、以下の項目にいくつ当てはまるかチェックしてみて下さい。

 

①あなたに対して侮辱的な発言や差別的発言をする。

②大声を出すなど怒鳴ってくる。

③あなたに危害を加える様な発言をする(悪質なケースだと、包丁等の凶器を持ち出す)

④物を壊す。物に当たり散らす。

⑤急に怒り始めるため理由が分からない。夫に怒られない様に神経を使ってしまう。

⑥長期間無視する。

⑦あなたの行動をチェックしたがる(悪質なケースだと、GPS等でこちらの行動を監視する)。

⑧収入を誇示してくる。

⑨独自の考え方に強く固執する。

⑩外部(あなたの友人や身内)との関係を規制してくる・コントロールしようとしてくる。

⑪被害妄想が強い。

⑫性的要求が強い・異常である。

 

 これらのうち3つ以上に当てはまる様でしたら、モラハラの疑いがあります。また、該当項目が2つ以下の場合でも、その頻度が多かったり、長期間に及ぶ場合にはモラハラに該当することがあります。

 あなたがあまり自覚せずに我慢してしまっていないか、じっくりと考えてみて下さい。

 

4.弁護士に相談することを躊躇っている方へ


 

 アメリカ等では訴訟等の紛争の件数が多いため、弁護士に事件を依頼すること・相談することのハードルは一般的に低いと言われています。

 これに対して、日本では、日本人が基本的に紛争や物事を大きくしたくないという国民性も影響してなのか、「弁護士に相談することは敷居が高い」と思われている方が多いのが実情だと思います。

 

 私自身も、友人から相談を受けた際には、「友人に弁護士が居て良かった。全然知らない弁護士に相談するのは気が引ける。」といった話をされることもあります。

 確かに、「弁護士に相談する」というと何か事態を大事にするような印象があるかもしれませんし、そもそも、普段弁護士と接点がない場合、敷居が高いという方も多いと思います。

 

 ただ、その様な理由で相談を躊躇っていますと、それによって事態が悪化してしまう危険性もあります。また、弁護士という専門家に相談することで、自分の置かれている状況を客観的に把握できるとともに、今後どのように行動すればいいのかが明確になります。このことはご自身の安心にもつながります。

 そのため、まずは気軽にご相談されることをオススメしております。

 

 

5.まとめ


・暴力や浮気といった重大な離婚理由がないということで悩む必要はない。

・重要なのはご自身にとって今後夫とやっていけるかどうかという気持ちの問題である。

・「隠れモラハラ」のケースも多いので注意が必要である。

・離婚を決意した場合、今後の段取りの相談を含めて弁護士にアドバイスを求めることができる。

 

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「離婚を切り出した側が不利になる」って本当?

2017.05.29更新

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1.離婚のご相談を受ける際によくある質問の一つ


 

 私が離婚のご相談を受ける際、ご相談時にまだ離婚を切り出していないというケースも相当数あります。

 

 旦那様が暴力をふるうだとか暴言がひどいという場合には、ご本人から離婚を切り出すことは難しいでしょう。その様な場合には、無理にご本人から離婚を切り出さずに、私の方から代理人弁護士として離婚の意向を伝えることもあります。

 

 他方、そのような「ご本人から相手に離婚を切り出すことが難しい事情」がない場合、原則として、一度はご本人から相手に離婚を切り出してもらうようにしています。

 私の方から旦那様に通知を送ると、「本人からは一度も離婚話がなかった」とか「弁護士がうちの家内に離婚を強く勧めるのはどうかと思う」といった誤解を招きかねないからです。このような無用な反発がありますと、離婚の話し合いが円滑に進まない原因になることもあります。

 

 直接離婚を切り出すことをオススメしますと、ご相談者の中には「インターネット等で『こちらから離婚を切り出すと不利になる』と読んだことがあるのですが大丈夫でしょうか?」とご質問を受けることがあります。

 実際はどうなのでしょうか。

 

2.こちらから離婚を切り出すことが離婚の支障になるか。


 

 結論から申しますと、こちらから離婚を切り出したとしても、そのことのみで「離婚できるかどうか」で不利になることはありません。

 

 確かに、離婚を初めて切り出したときは、相手が「生意気だ」というように反発してくる可能性もありますが、どちらかが離婚を切り出しませんと離婚の話は進みませんから致し方ないと思います。

 離婚の問題は、簡単に言いますと①話し合い→②調停→③裁判というステップを踏みますので、離婚の話し合い・調停が上手く行かない場合には、最終的に裁判で決着を付けざるを得ません。

 

 その場合「離婚の十分な理由があるのか」と言う点は、これまでの婚姻生活における夫婦のやり取り、離婚を切り出すまでの経緯、別居後の状況等を考慮して判断されます。その際、どちらが離婚を切り出したのかという点が問題になることはほとんどありません。

 

3.こちらから離婚を切り出すと相手から慰謝料を請求されないか?


 

 結論から申しますと、「こちらから離婚を切り出した」という事情だけで慰謝料を請求されることはありません。

 もちろん離婚を切り出した際に、相手を執拗に罵倒してしまったというような場合には、慰謝料を請求される可能性があります。ただ、それは「こちらから離婚を切り出したから」という理由ではなく、「罵倒してしまったから」慰謝料を請求されることになっただけです。

 

4.離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方がよい


 

 上記の通り、こちらから離婚を切り出すことで明確な不利益はありませんので、その意味で離婚話を躊躇する必要はありません。

 しかし、離婚はこれまでの婚姻生活を終わらせることを意味しますので、離婚を切り出す時期やタイミングは慎重に検討した方が良いと思います。

 

5.まとめ


・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として離婚上不利になることはない。
・こちらから離婚を切り出したという事情のみを理由として慰謝料を請求されることはない。
・離婚を切り出す時期やタイミングはよく考えた方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

「離婚協議書を作ろう」と言ったら「信用していないのか?」と言われた…どう対処すべきか

2017.05.15更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.離婚するときには離婚の条件をきちんと書面で約束しておくべき


 

 離婚する際には、必ず離婚届を作成しなければなりません。それでは、離婚届さえ書いておけばよいのでしょうか。

 特にお子様がいらっしゃる場合には、養育費や面会交流(親権を取られなかった方からお子様と会うことです)の頻度等できちんと約束を取り交わしておかないと、後々トラブルが発生することがあります。

 また、お子様がいらっしゃらない場合でも、分割払いの約束をした慰謝料の支払いが滞るといったトラブルが予測されます。

 

 離婚が成立した後は、あまりご夫婦で顔を合わせたくないと思うことが通常だと思いますので、トラブルが発生してから相手に連絡を取ることは心理的負担になることも多くあります。

 そのため、口約束だけではなく、必ず離婚する際の条件は書面(「離婚協議書」などと言ったりします)に書き起こしてお互いが署名押印するようにして下さい。

 

 口約束だけですと、後から相手が「そんなことは言っていない」とか「確かにその様なことを言ったかもしれないが、きちんと約束した訳ではない」と言って約束を反故にする危険性がありますので、書面に書き起こしておくべきなのです。

 

2.相手が書面化に難色を示した場合どうすべきか


 

 上記の通り離婚時の約束はきちんと書面に残しておくべきなのですが、書面化を提案した際に、相手から「約束はちゃんと守るから、堅苦しいことはしたくない」とか「そんなに俺のことを信用できないのか!?」と言われた場合、どう対処すべきでしょうか。

 

(1)メールやラインで確認すればいい話では?

 例えば、あなたがメールやラインで離婚の条件を一言一句記載した上で、相手に送信し、相手から「この内容で構わない」旨のメールの返信があった場合、離婚協議書等の書面は不要になるのでしょうか。

 率直に言いますと、メールやラインですと相手がその内容を覆してくるリスクがなお残りますので、書面化を目指した方が良いと思います。

 

 メールやラインは通常普段の日常生活でのコミュニケーションツールにとどまりますので、メールやラインで約束したに過ぎない場合、その厳粛性が書面よりも劣る面が否定できないからです。

 メールやラインは気軽にやり取りができる反面、後から「十分確認せずに返信してしまった」とか「この内容で納得していないから正式に書面にしていない(メールのやり取りが残っているだけなんだ)」という言い訳をされる余地があるのです。

 

 これに対して、書面化する場合、通常どのような文案にするか慎重に話し合うことが期待できますし、最終的には署名押印をしますので、手続の厳粛性を持たせることができます。

 

(2)「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という考えは厳禁

 特に、いがみ合わずに離婚できる場合もあり、その様な場合には、離婚時の取り決めを書面の残さなくてもよいというケースも少なからずあると思います。

 

 しかし、安易に「うちの旦那に限っては大丈夫だと思う」という発想を持つことはリスクがあると思います。

 と言いますのは、離婚時の旦那様の人柄、対応等を見ている限り、離婚時の約束を守ると考えられる場合でも、離婚後の旦那様の生活状況に変化が発生する場合があるからです。

 例えば、旦那様が離婚後に再婚し、新しい奥様との間でお子様が生まれるなどすると、旦那様があなたとの間のお子さんに対する関心が大きく薄れてしまうと言うことも考えられます。

 

 このような状況の変化は、離婚時に全て予測することは不可能です。

 そのため、後で相手の気持ちが変わった場合でも約束をきちんと守らせるために書面を作成しておいた方が無難と言えるのです。

 

(3)どうしても相手が署名押印を拒否する場合、調停申立を検討しても良い

 どうしても相手が署名押印を渋る場合、あなた自身で調停を起こすことも検討して良いと思います。

 相手が離婚自体に応じている場合には、調停手続の結果として調停調書が作成されますので、そちらが離婚協議書の代わりになります(正確には、調停調書の方が、金銭の支払い等について強制力を持たせられますので、離婚協議書よりも強い効力が認められます)。

 ただ、突然調停を起こすと、先方が反発してくることも予想されますので、予め調停を起こすことは伝えておいた方が良いと思います。

 

(4)書面化拒否の本当の理由が「離婚したくない」という場合もある

 相手と話をしていると離婚には応じるし、離婚条件もあなたの提案通りで構わないと話している場合、通常相手も離婚に応じる気持ちだと考えられます。

 

 しかし、書面化だけを強く渋る場合、本当は離婚したくなく、書面化を拒否することで離婚そのものを曖昧にしたいという場合もあります。

 離婚の提案に対して、離婚そのものを拒否すると、あなたとの婚姻生活にしがみついているように見えるため、強がりで「君がそう言うなら離婚しても構わない」と応答している場合があるのです。

 

 相手の真意が離婚したくないというものの場合、冷静にお互いを見つめ直すために別居期間を設けるとか、お互いの実家に相談してアドバイスを求めるといった方法が有効なこともありますので、ご検討下さい。

 

3.離婚時の約束事に強制力を持たせたい場合


 

 離婚時に書面で約束しても、なお相手が約束を破る危険性があるとか、相手を信用できないという場合には、前述の通り調停手続を利用したり、約束の内容を公正証書にすることも検討して下さい。

 調停調書や公正証書にしておけば、強制力が認められますので、相手からの金銭支払いをより確実にすることができます。

 

4.まとめ


・メールやラインのやり取りのみだと書面よりも効力が劣る面がある。
・安易に書面化を諦めると、相手が約束を破るリスクがある。
・書面化拒否の理由が「本当は離婚したくない」という理由の場合、相手に離婚の気持ちを醸成する方が有効なこともある。
・離婚時の約束事をきちんと守らせたい場合には調停や公正証書も検討すべきである。

 

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