離婚問題

【絶対に離婚したくない(13)】相手が弁護士を雇ってきた場合、離婚不可避か?

2017.06.26更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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1.弁護士からの通知が突如やってくることも…


 

 離婚問題で弁護士が通知を送るのは通常別居開始後になります(同居したまま通知を送ることもありますが例としては少数だと思います)。

 相手配偶者の別居開始直後に通知があったり、別居して暫く音沙汰がないと思っていたら通知が来たりと、タイミングはケースによって異なります。

 

 相手が別居開始前から弁護士に相談しているといったケースでは、別居の際に、置き手紙やメール等を残すことも多く、そこには、「今後離婚の件は弁護士に一任しているので弁護士からの連絡を待って欲しい」と書かれていることもあります。

 他方、別居開始前から弁護士に相談している訳ではなかったり、別居開始前から相談していても慌ただしく別居したケースなどでは、事前に弁護士を雇っていることが分からないこともあります。

 その場合には、弁護士からの連絡は突如来ることになります。

 

 そして、突如弁護士から電話が来るということは少なく、通常は、内容証明郵便または手紙という形で弁護士から手紙が届くということが多いです。

 

 

2.「弁護士から連絡が来た」イコール「おおごとになった」という発想は禁物


 

 一般的に日本では弁護士の敷居が高いと言われていますので、「相手が弁護士を雇ってきた」イコール「おおごとになった」という発想を持つ方も多くいらっしゃいますが、その様な発想は禁物です。

 弁護士を就けていますと最終的には離婚問題は裁判によって解決して行くことになりますが、離婚の問題では、一部の例外を除いて、いきなり裁判を起こすことが法律で禁止されていますので、突如裁判になるということはありません。

 

 話し合いが上手く行きませんと離婚調停を申し立てられる可能性は高いですが、調停はあくまで裁判所という場所を使っての話し合いですので、結論を強要されることはありません。

 また、相手配偶者があなたと直接話をしたくないという場合には、早めに弁護士を頼むという進め方をする方もかなり増えている印象です。

 そのため、相手が弁護士を雇っても、その後重大な急展開が起こると言うことはまずありませんので、その意味ではご安心下さい。

 

 

3.相手の弁護士は離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。


 

 相手が弁護士を雇っている場合、「裁判で争っても負けてしまう」「相手の弁護士は確実に勝てると考えているから事件を担当することになったんだ」と誤解されている方も多くいますが、必ずしもそうとは限りません。

 

 離婚事件は、協議離婚や調停離婚で解決する割合が非常に多いため、裁判で確実に勝てるというケースではなくても、弁護士が就くことは珍しくありません。

 そもそも、裁判で離婚が認められるためには、浮気や暴力といった明確な離婚原因が必要になりますので、離婚訴訟で勝訴できると確信して事件を担当することは逆に少ないと思います。

 そのため、「相手が弁護士を就けている以上、争っても絶対勝てないから、早く離婚した方が得策だ」と考えるのは早計です。

 

 

4.相手が真剣に離婚を考えていることに対してどう向き合うか


 

 前述の通り、相手が弁護士を雇ったということで必要以上に不安になる必要はないのですが、相手が弁護士を雇ったと言うことは、相手は、「弁護士費用を支払ってでも離婚したい」と考えていることは事実なので、俗な言い方ですが「本気で離婚したいと考えている」と思った方が良いと思います。

 

 ただ、だからといって、こちらが離婚に応じなければいけないと言うことではありませんので、相手が真剣に離婚したがっていると言うことをどのように受けとめて、今後どのようにしたいのかという視点から良く考えた方が良いと思います。

 あなたが、離婚したくないという気持ちが強いのでしたら、離婚に応じないという姿勢で問題ないのですが、その場合に肝心なのは、相手の心情に極力寄り添って対応するということだと思います。たまに、「相手と離婚を巡って対決するんだ」と誤解されている方もいますが、対決してしまいますと夫婦の間柄を修復することはできません。

 

 そのため、どうやったら相手の気持ちを変えることができるのか、夫婦の間柄を修復する方向に話が進むのか、ということを真剣に考えて、対応していくことが肝要です。

 

 

5.少なからず修復事例はある

 


 

 私のところにご相談に来られる方の中には、「相手に弁護士までついて離婚にならなかったケースなんてありませんよね?」と質問される方もいます。

 ただ、相手が弁護士を立てても、離婚にならなかったケースはあります。私自身が担当した事件でも、離婚にならず、夫婦の関係をしっかりと修復できたご家庭も実際にあります。

 そうは言いましても、残念ながら、修復に成功した事例は、一握りしかないのも事実です。

 このようにお話しますと「結局、数パーセントですか?」とか「本当に確率低いですよね?」と重ねて質問してくる方もいますが、ご家庭によって事情は様々ですので、「確率が低いか高いかは状況次第です」とお答えすることが多いです。

 

 

6.一人で悩んでいても結論が出ない場合、他の人にも相談してみること


 相手が弁護士を雇ったため大事になったと考えて、誰にも相談しないという方もいらっしゃいますが、そうすると余計に悩みが深くなるケースもあります。

 信頼できる親友に相談したり、実家の両親、兄弟姉妹その他近しい人間に相談すると、自身の客観的な立場が分かり、安心材料になることも多いので、迷った際には近しい方にご相談することを強くお勧めします。

 そんな中で、あなた自身のケースで離婚が認められる可能性が高いのかどうかや、離婚の際にどのような取り決めをしなければならないのかといった点について専門家に相談したいという場合には、弁護士に相談することも検討してみて下さい。

 

 

7.修復を目指すと心に決めたら胸を張って「ヨリを戻したい」と言う。 


 

 たまに私が相談に乗っておりますと、後ろめたくて「ヨリを戻したいと言いづらいです」という方もいます。しかし、離婚するか修復するかは、今後のあなたの人生にとっても非常に大切なことなのですから、何も後ろめたい気持ちを抱く必要はありません。

 そのため、しっかりと修復を目指すと心に決めたのなら、胸を張ってそのように言えばよいと思います。

 

 

8.まとめ


・弁護士からの手紙は何の前触れもなくやってくることも多い。
・相手が弁護士を雇ったからといって「おおごとになった」と必要以上に不安になるべきではない。
・相手の弁護士も離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。
・離婚に応じないにしても、相手が真剣に離婚を目指しているという心情には配慮し改善策等を練る必要がある。

・相手が弁護士を立てていても、少なからず修復事例はある

・一人で悩んでいても結論が出ない場合、近しい人間に相談してみるのも一つの方法である。

・修復を目指すと心に決めたら、胸を張ってよい。

 

 

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