財産分与

【財産分与】分割払いの提案を断固拒否!判決で全額一括払いさせたケース

2016.03.28更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.財産分与で分割払いってどういうこと?


 

 

財産分与という用語は普段の生活ではあまり聞き慣れないと思います。この用語は、いくつかの性質があるとされていますが、中心的な意味合いは、「婚姻中の夫婦共同財産の清算を求める権利」と言えます。

要するにご夫婦のうち財産を多く持っている方が、少ない方にいくらかの財産を渡す制度とお考えいただければ分かりやすいと思います。

 

このように財産を多く持っている方が、その一部を分けるのですから、分割払いも何も、持っている財産で一括払いすればよいようにも思えます。

しかし、財産分与の対象財産は、預金や株式などの換金しやすい財産ばかりではありません。不動産や自動車なども含まれますので、換金できないとか換金したくないという財産も含まれます。

 

そのため、相手が「財産分与を分割払いしたい」と提案してくる場合があるのです。

 

 

2.私が担当した事件      


 

・ご依頼者様 40代前半の女性(「Xさん」とします)

・ご依頼内容

 相手は大した財産を持っていないと見込まれるが、法律で認められる最大限の財産分与は受けたい、分割払いだと相手は途中で支払わなくなる危険性が高いので一括払いで支払わせたい、というご依頼内容でした。

 

なお、この事件の相手方:40代前半の旦那様、お子様:中学校に通うご長男様と小学校低学年のご長女様のお二人、婚姻期間:約15年、家庭環境:ご依頼時別居中のケースでした。

 

 

3.この事件での手続の流れ


 

この事件では、私の方から離婚の条件を記載した通知を相手に送ったところ、相手も弁護士を立てて、交渉をしましたが、交渉決裂し、調停手続きを経て、裁判で争われることになりました。

 

この事件では、財産分与もさることながら、お子様の親権をご夫婦いずれが取得するかという点も大きな争いになり、そのことが裁判で争われることになったのです。

 

4.継続的に行われた和解手続


 

離婚問題が裁判に発展した場合、最終的には裁判官が判決を言い渡して事件は解決します。つまり、ご夫婦がお互いの主張をぶつけ合った上で、裁判官が、「白黒つける」ことになります。

 

ただ、離婚問題のように家族の問題については、裁判官も、和解を勧めてくることが多くあります。

「和解」とは、裁判の手続を進めながら、または裁判の手続きは一時保留にしながら、当事者間の話し合いを進める手続になります。裁判手続中に行われる和解ですから、裁判官が直接間に入った上で和解協議が行われます。

 

 

5.和解手続での相手の言い分 


 

 

この事件では、相手の財産の中に自宅不動産と自動車があり、相手は、自宅に継続して居住することとを希望しました。また、自動車についても業務上必要であるとのことで売却できないと主張していました。

 

相手の預金は微々たるものでしたので、相手は、財産分与の分割払いを強く提案してきました。

 

ただ、Xさんは、旦那様に対して強い不信感を抱いていましたので、分割払いにしてしまうと、途中で支払われなくなるのではないかと強く心配していました。私の目から見ましても、旦那様は一般的に女性を下に見ているような雰囲気の持ち主でしたので、Xさんの不安を共有しておりました。

そのため、私は、旦那様に対して、分割払いには一切応じられないと強く主張しました。

 

 

6.判決の言い渡し      


 

結局旦那様側も分割払いを譲りませんでしたので、和解は決裂し、判決が言い渡されることになりました。

 

判決内容はこちらが予想していた財産分与が認められました。なお、判決で財産分与の金額が定められる場合には、分割払いにはなりませんので、一括払いを命じる内容の判決になります。

 

このような判決が言い渡されると、あれだけ「分割払いでないと支払えない」と言っていた旦那様があっさりと財産分与額全額を一括払いしてきました。

 

上記の通り、旦那様には高額の預貯金はなかったのですが、お勤めをされていましたので、給料差押えを受けることを不安視して、一括払いしてきたものと思われます。

つまり、判決がありますと、旦那様の勤め先に対して、給料の一部の支払いをストップさせて、Xさんの側に支払う様命令することができるのです(これを「給料差押え」といいます。なお、給料差押えは、離婚裁判とは別の手続きを踏む必要があります)。

 

給料の差押えがありますと、裁判所からの命令書が直接勤め先に届きますので、旦那様は、職場に居づらくなることを避けたかったのかもしれません。いずれにしましても、一括で支払いがありましたので、Xさんは「引っ越しを考えていたので、まとまったお金が入り、安心しました」とお話しされていました。

 

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関連記事

 


>>「損をしない財産分与の心構え」

>>「『うちの場合、財産分与は預金だけだと思います』の落とし穴」

 

 

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【財産分与】自宅売却の落とし穴―不動産業者に任せっきりにしていませんか?

2016.03.25更新

弁護士秦

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1.財産分与における自宅不動産の処理

 

結婚期間中ご自宅を購入した場合、基本的にその不動産は、離婚の際に財産分与の対象になります。

それでは、ご自宅はどのように分けるのでしょうか。

 

基本的なパターンは以下のようになります。

①奥様がご自宅を取得される。
②旦那様がご自宅を取得される。
③ご自宅を売却して、売却代金を折半する。

 

ご自宅の分け方は、他にどのような財産があって、どのように精算するのかにも関わってくることだと思いますので、ご夫婦の財産の全体を見渡した上で、今後の生活のことも考えた上で決定するべきかと思います。

 

なお、財産分与イコール夫婦の財産の精算ということなので、「自宅は売却しなければならない」とお考えの方もいらっしゃいますが、誤解です。上記①から③のような3つのバリエーションがあるとお考え下さい。

 

 

2.自宅売却は不動産業者に任せっきりで良い?

 

それでは、離婚の際に自宅を売却することにした場合、不動産業者に任せっきりにして良いのでしょうか。

弁護士としての回答は、「NO!」ということになります。

 

通常は、地元の不動産業者一社に仲介を依頼して、自宅売却を試みることになると思いますが、これでは、競争が働きませんので、損をしてしまう危険性があります。

 

 

3.弁護士って不動産売却に役に立つの?

 

皆様は、不動産の売却は不動産業者の仕事なので、弁護士が関わる必要はないとお考えではないでしょうか。

確かに、実際にその不動産の買主さんを探してくるのは不動産業者ですが、業者の選定、仲介契約の締結方法等で、弁護士が間に入る意義があります。

 

また、通常弁護士が離婚問題に関与する場合には、離婚するかどうか、財産分与も含めた離婚条件の詳細を交渉することがメインの業務にはなります。

しかし、不動産の売却経験に長けた弁護士にご依頼いただければ、普通に自宅を売却するよりも高額で売却できる可能性が上がります。

 

 

4.結局のところ弁護士は何をしてくれるの?

それでは、財産分与の対象に不動産(ご自宅を含みます)が含まれる場合、弁護士はどのようなことをするのでしょうか。

 

(1)不動産業者を選んでくれる

通常の方は、不動産の売り買いを頻繁に行っていないと思いますので、どの不動産業者が良いのか、という知識をお持ちではない方が多いと思います。

 

そのため、自宅を購入した際にお世話になった不動産業者に依頼するとか、自宅のポストに折り込みチラシが入っていた不動産業者に依頼するといった方法を取る方が多いのではないでしょうか。

 

確かに、不動産売却にあたっては、地元の不動産業者にお手伝いしてもらった方が圧倒的に有利ですが、それでも各不動産業者の強みや評判などがあります。

 

私は、これまでに不動産の売却手続に関わってきた経験がありますので、この経験を活かして、私の方で業者の選定をすることができます。

 

そのため、ご依頼者様に「どの不動産業者に任せるのが良いか分からない」といったご不安を抱かせません。

 

(2)複数の不動産業者に関与させることで競争させる

通常の方は、不動産業者1社に専属で自宅売却を依頼すると思います。

しかし、それでは不動産業者間の競争が働かず、結果的に売却金額が安くなってしまい損をしてしまう危険性があります。

 

私が不動産売却に関わる場合、基本的に複数の業者に仲介を依頼し、業者間で競争させるようにしています(ただし、不動産の評価額があまりに低いといった例外的な場合には、致し方なく1社専属とする場合もあります)。

 

5.不動産が含まれる財産分与の事件は、不動産処理経験の豊富な弁護士に依頼するのが一番

 

上記の通り、個人で不動産を売却するとなると不慣れなために損をしてしまうこともあります。

 

特に、不動産がご自宅だけならばよいですが、投資用に不動産を購入しており、その売却も必要になるといったケースでは、より一層不動産処理経験の豊富な弁護士に依頼するのが望ましいと言えます。

 

 

 

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粘り勝ち!離婚断固拒否のDV夫と離婚したケース

2016.03.25更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。なお、モラハラ・DV情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ・DV総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.DV夫の考え方には共通点がある?


 

 

  私が離婚事件のご依頼を受けて、DV暴力をふるう夫側に対して離婚を切り出す場合、夫側から離婚を拒否される比率が圧倒的に高いように思われます。

 

では、夫側はどうして離婚を拒否するのでしょうか。

 

  私が担当した数々のケースを見ていますと、DV夫は、以下のような傾向をお持ちの方が多いように思えます(勿論いろいろな方がいらっしゃいますので一括りにできない部分もあります)。

 

・相手の痛みを理解できない、理解しようとしない。 

・夫本人のこだわりがあって、こだわる部分に反する意見や行動が許せない。

・言うことを聞かない相手や約束を守れない相手には暴力をふるっても問題ないと考えている。

・(飲酒時に暴力をふるう方の場合)飲酒すると気が大きくなる。

・(飲酒時に暴力をふるう方の場合)飲酒すると非常に短気になる。

 

 このような利己的な考え方を持っているため、奥様の方から離婚を切り出されたということそのものに反発してくる夫もいます。

 

 いずれにしましても、DV夫と離婚するにあたっては、慎重に手続を進めて行く必要がありますので、早めに弁護士等の専門家を入れることをオススメします。

 

 

2.私が担当した事件        


 

 

①ご依頼者様 : 30代後半の女性(Uさんとします)

②ご依頼内容 : 旦那様からのDV暴力に耐えられないので、離婚したいが、当事者同士で話をしても進展しないので早期に離婚したいとのご依頼内容でした。

 

③関係者概要等

この事件の相手方: 40代前半の旦那様 、 お子様: ご依頼者様の連れ子お二人と、実子(ご長男様)お一人 、 婚姻期間: 5年程度 、 家庭環境: ご依頼時同居、その後別居開始というケースでした。

④DVの概要 

こちらに当たる様に物を投げつけてくる。引っ張り倒す。壁に押しつけてきた上で首を絞める。蹴りつけてくる等々

 

 

3.まずはUさんからしっかりお話を聞くこと


 

 まずは、DV被害の実態の確認をしました。Uさんからは診断書といった証拠をお持ちいただき、そのときのDV被害はもちろん、いつ頃からDVが始まったのか、どの程度の頻度でDVが行われてきたのか、特にDVのひどかった時期はいつ頃で、どのようなDV暴力が行われたのかについて詳しく聞き取りをしました。

 

 DV被害を受けられた方にとって、過去のDV被害をお話しいただくことはつらい作業になりますが、その全容を知っておかなければキチンとした弁護活動は行えません。そのため、時間をかけてゆっくりと被害の全容をお話しいただきました。

 

 このようにUさんからじっくりとお話を聞くと、DV夫の人柄を多少なりとも理解できますので、ある程度旦那様の反応を見越したうえで弁護活動を行うこともできます。

 

 

 

4.相手からの調停申立        


 

 私は、Uさんのご依頼を受けて、離婚調停の申立を準備していたのですが、逆にDV夫の方から先に調停の申立がなされました。

 

 夫側が申し立てた調停は、夫婦の円満解決を求めるものでした。夫側の言い分では、Uさんとぎくしゃくしたことはあったが、仲直りできた、仲直りにあたってはお互い今後の生活上の約束事があるので、約束事を裁判所にも立ち会って約束してもらうために調停を申し立てたというものでした。

 

 

5.調停の場でのやり取り      


 

 夫側は上記のように、Uさんと仲直りできることを前提として話を進めていましたので、こちら側としては、DV夫と一緒に生活して行く気持ちが全くないことを強く訴えました。

 

 これに対して、夫側の反応は、Uさんのことを愛しているので何とかヨリを戻したい、今離婚することは小さいお子様にとって可哀想過ぎるというもので、絶対に離婚には応じたくないというものでした。

 

  このように、夫側が復縁にこだわる場合には、夫側から、今後の生活の改善点を提案してくることが往々にしてあります。

 たとえば、今回のケースでも「仕事が忙しいとストレスが貯まってイライラして、Uさんに対してきつくあたってしまうこともあったので、今後は上司と相談して仕事の分量を減らす様にする」とか「仕事が忙しく、Uさんやお子さんとしっかりと向き合う時間がなかったので、今後は仕事の量を減らしたことで積極的に家族サービスする」といった提案がありました。

 これに対しては、これまでの結婚生活を振り返ると、今後そのような約束が実行される可能性は低いこと、仮に約束を守ったとしても夫側に対する愛情は残っていないので、復縁の道はないことを、しっかりと調停委員に伝えました。

 

 また、Uさんとしては、調停がうまくいかなかった場合には、裁判も辞さないという強い気持ちを持っていると言うことも伝えました。実際、Uさんは、夫側からの暴力に随分悩まされておりましたので、裁判をしてでも離婚したいという強いお気持ちを持っていました。 

 

 第1回目の調停でDV夫は離婚拒否の姿勢を示し、第2回目も全く同様の姿勢で変化がありませんでした。しかし、DV夫の言い分に対して逐一しっかりと反論を繰り返し、また、こちらが粘り強くヨリを戻す意思がないことを強く訴え続けました。

 すると、おっとがわも第3回目の調停には離婚も致し方ないとの意見に変わっていました。

 

 事前に調停委員からは、第3回目の調停で夫側が全く離婚の意思がない場合には、その日に調停を不成立にする予定であるとのお話がありましたので、ギリギリ離婚の方向性を決めることができた形になります。

 

 

6.解決                 


 

 その後DV夫側はお子様の親権を主張するなど抵抗を続けたため、調停でのやり取りが続いたのですが、最終的にはUさんが親権を取得して離婚することができました。

 

 

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「うちの場合、財産分与は預金だけだと思います」の落とし穴

2016.03.21更新

弁護士秦

 

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1.財産分与って何?     .

 

財産分与という用語は普段の生活ではあまり聞き慣れないと思います。この用語は、いくつかの性質があるとされていますが、中心的な意味合いは、「婚姻中の夫婦共同財産の清算を求める権利」と言えます。

 

ご夫婦で共同生活を送っている場合でも、通常は、旦那様と奥様のいずれかが家計の管理をされることが多いので、いずれかの財産が多くなります。

例えば、旦那様が家賃や生活費だけを奥様に手渡し、奥様が支払いをしていたという場合には、残りの給料は旦那様の預金に貯蓄されてゆくことになりますし、逆に旦那様がお小遣い制という場合には、給料の大半は奥様の預金に貯蓄されてゆくことになります。

 

ただ、旦那様が離婚時に相当の貯蓄をしている反面、奥様の貯蓄はほとんどないという場合、そのまま離婚しますと奥様は今後の生活に困ってしまいますし、何より、旦那様は奥様の内助の功があるからこそ安心して外で働けるという面がありますので、何の清算もしないというのは不公平とも言えます。

このような不公平を解消するものが財産分与になります。

 

 

2.財産分与の対象財産    .

 

上記のように婚姻期間中に取得した財産は通常財産分与の対象になりますが、「婚姻期間中に取得した財産」と言われても抽象的なため分かりにくいと思います。

よくご相談に来られた方の中には「うちは、自宅も持ち家ではないし、車も持っていませんので、分けるのは預金だけだと思います」とおっしゃる方もいます。

 

しかし、本当にそうでしょうか。

 

①生命保険等の保険

財産分与の対象財産でよく見落とされがちなのが保険になります。生命保険などは旦那様にもしものことがあった時に保険金が下りるものだと誤解されている方が多いですが、掛け捨ての保険ではない場合、その保険は財産分与の対象になります。

 

なお、「保険が財産分与の対象になる」というと、「保険を今すぐ解約しなければいけないんですか?」とご質問を受けることがありますが、そうではありません。

 

別居の時点での解約返戻金(「かいやくへんれいきん」と読みます)の金額を算出し、その金額を財産分与の対象として加算して計算することになります。

その保険を解約するか解約しないかは、財産分与の分け方の問題になりますので、預金などでカバーできる場合、保険を解約する必要はありません。

 

なお、お子様にかける学資保険についても厳密には財産分与の対象になりますが、お子様のための蓄えと言うことで敢えて財産分与の対象から外すこともありますので、交渉の進展具合に応じて決定して行くことが多いです。

 

②退職金

退職金は旦那様が退職して初めて支給されるものになるため、見落とされることが多い財産になります。

 

定年退職して退職金が支払われた後でなければ財産分与の対象にはならないと誤解されている方が多いようですが、退職金が支払われる前であっても定年間近といった場合には財産分与の対象になります。

逆に言いますと、退職がある程度近くなった時点でなければ、退職金は財産分与の対象になりませんので、注意が必要です。

 

例えば、まだ40歳代で、定年退職まで20年近くあるという場合には、退職金が支給されるのか不確定なので財産分与の対象になりません。

 

③社内積立

また、これも見落とさせることが多い財産の一つなのですが、社内積立や従業員持株会といったものも財産分与の対象になります。

 

これらは通常月々の給料から積立額等を差し引いていますので、給料明細書を見れば、積立があるのかどうかが分かります。

このような積立のうち婚姻期間中に積み立てられた額は、財産分与の対象になります。

 

 

 

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損をしない財産分与の心構え

2016.03.21更新

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1.財産分与って何?      .

 

財産分与という用語は普段の生活ではあまり聞き慣れないと思います。この用語は、いくつかの性質があるとされていますが、中心的な意味合いは、「婚姻中の夫婦共同財産の清算を求める権利」と言えます。

 

ご夫婦で共同生活を送っている場合でも、通常は、旦那様と奥様のいずれかが家計の管理をされることが多いので、いずれかの財産が多くなります。

 

例えば、旦那様が家賃や生活費だけを奥様に手渡し、奥様が支払いをしていたという場合には、残りの給料は旦那様の預金に貯蓄されてゆくことになりますし、逆に旦那様がお小遣い制という場合には、給料の大半は奥様の預金に貯蓄されてゆくことになります。

 

ただ、旦那様が離婚時に相当の貯蓄をしている反面、奥様の貯蓄はほとんどないという場合、そのまま離婚しますと奥様は今後の生活に困ってしまいますし、何より、旦那様は奥様の内助の功があるからこそ安心して外で働けるという面がありますので、何の清算もしないというのは不公平とも言えます。

 このような不公平を解消するものが財産分与になります。

 

 

2.損をしない財産分与の心構え

 

損をしない財産分与の心構えとして一番大事なのは、「いざ離婚の場面になった場合、相手が財産を隠す危険性がある」という認識を持つことです。

 

離婚の場面になりますと、ご夫婦お互いに夫婦生活での不満を相手にぶつけることになりますので、お互いに良い感情を持っていません。そうしますと、なるべく相手に渡すお金を少なくするべく、財産をできる限り見付からないようにするということが起こりうるのです。

 

つまり、いざ離婚の話し合いになった際、「うちの旦那は株をやっているから株式をもっているはずだ」とか「預金通帳にそれなりの蓄えをしているはずだ」と言いましても、相手から、「株は別居の1年前からやっていない」だとか「預金は会社の接待で使ってしまって残っていない」と言われてしまう危険性があると言うことです。

このように相手が言い逃れしてきた場合に、こちらが何も具体的な話をできませんと、交渉はストップしてしまいます。

 

 

3.どのような点に注意をしていればよいのか。

 

普段の生活で心がけて欲しいのは、相手に宛てて届く郵便物の把握になります。

なお、郵便物は相手宛の郵便になりますので、決して勝手に開封しないようにご注意下さい。封筒の外観だけでも銀行名・支店名等は把握できます。

 

具体的にお話ししますと、それなりの金額の預金を持っている場合には、その銀行から「定期預金に切り替えてはどうか」だとか「投資運用の相談に乗ります」といった形の勧誘の封書が届くことが多いです。そのため、その様な封書が届いていれば、その銀行のその支店に預金通帳をもっていると言うことになります(なお、預金については「○○銀行」という情報だけではなく「○○銀行○○支店」という情報まで把握しておく必要があります)。

 

また、株式投資などを行っている場合には、定期的に株取引の取引報告書が証券会社から届きますので、どこの証券会社で株式取引を行っているかを把握することができます。

 

 

4.相手からの「私は蓄えなんかない」という言葉を鵜呑みにしないこと

 

特に離婚の本格的な紛争に発展している場合、離婚の際の金銭負担を軽くするためか「私にはほとんど蓄えはありません」と言ってくる場合があります。

 

ただ、普段の生活の中で少ないかもしれませんが蓄えがゼロと言うことはほとんどないと思います。

 

そのため、仮に相手が普段から「私にはほとんど蓄えはない」と話していたとしても、キチンと預金通帳を確認するなどして、どの程度の残高があるのか把握しておく必要があります。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

弁護士依頼後、地道に準備してモラハラ・DV夫と離婚できたケース

2016.03.18更新

 

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1.モラハラ・DV夫は離婚に応じるか?     


 

 モラハラ・DV被害に悩まれている場合、ご自身で夫側に離婚を切り出すことが難しいという方も多いと思います。

 私が担当したケースでも夫側に離婚の話をせずに家を飛び出したという方もかなりの数いらっしゃいます。

 

 そのため、ご本人では、実際に離婚の話を切り出した場合に、モラハラ・DV夫がどのような反応を示すのか分からないというケースも多いように思えます。

 

 一概に言えませんが、私の方から離婚の話を持ちかけた場合、モラハラ・DVのケースでは旦那様が離婚に反対する比率がかなり高いように思われます。

 

モラハラ・DV夫側は、以下のように話してくる人も多いように見受けられます。

 

・家内は自分のことを愛している、弁護士が離婚を煽るようなことはしないで欲しい。

・私は離婚を要求されるようなヒドイことをしていないので、離婚に応じる義理はない。

・家内は生活力がなく私無しでは生きていけない。

・家内の方から離婚を切り出してくるなんて生意気である。

・家内は何か誤解をしている、直接話ができれば誤解が解けるので直接話をさせて欲しい。

 

 

2.私が担当した事件        


 

①ご依頼者様 : 40代後半の女性(Tさんとします)

②ご依頼内容 : 夫からのモラハラ・DV被害を長年受け続けてきたが、子供が大きくなるまで我慢してきた、一番下の子も大学に通う年齢になったので、夫側と離婚したい、夫側は離婚を断固拒否すると思うが早めに離婚したいというご依頼内容でした。

 

③関係者概要等

この事件の相手方: 50代前半のモラハラ・DV夫 、お子様: 既に成人されているお子様3名と大学に通う息子様の合計4人 、 婚姻期間: 25年程度 、 家庭環境: ご依頼時別居中というケースでした。

 

④モラハラ・DV概要

モラハラ)異常な性癖を持っているため、こちらから注意しても、受け入れず、逆にこちらを批難してくる、こちらに節約を命じてくるのに、自身の異性関係で浪費を繰り返す、家庭にAV雑誌等を頻繁に持ち込む等々

DV)急に逆上して家具に奥様の顔面を打ち付けてくる等々

 

 

3.まずはTさんからしっかりお話を聞くこと


 

 まずは、DV被害の実態の確認をしました。Tさんからは診断書といった証拠をお持ちいただき、そのときのDV被害はもちろん、いつ頃からDVが始まったのか、どの程度の頻度でDVが行われてきたのか、特にDVのひどかった時期はいつ頃で、どのようなDV暴力が行われたのかについて詳しく聞き取りをしました。また、結婚当初はモラハラ行為のみだったということなので、結婚当初のモラハラ内容や、暴言等がいつまで続いたのか等についても聞き取りを行いました。

 

 モラハラ・DV被害を受けられた方にとって、過去のモラハラ・DV被害をお話しいただくことはつらい作業になりますが、その全容を知っておかなければキチンとした弁護活動は行えません。そのため、時間をかけてゆっくりと被害の全容をお話しいただきました。

 

 最初は、Tさんもとまどいながらお話しをされていましたが、話し終わる頃には、「他の人にはなかなか話ができないことをしっかりと話ができた」ということで安心しているような印象もありました。

 

 

4.直ぐに調停の申立        


 

 Tさんは、既に夫側に離婚を切り出したが、全く応じる様子はなく、DV暴力がひどくなる有様とのことでした。また、Tさんの方から弁護士を立てることも夫側に伝えても、「俺は絶対に離婚しない」という返事だったということでした。

 

 そのため、Tさんと進め方を相談したところ、すぐに離婚調停を起こした方が良いであろうということになりましたので、私の方から夫側に手紙を送るのではなく、直ぐに調停を申し立てる方法を取りました。

 

 通常の離婚事件では、まずは夫側に郵便でこちらの要望を伝え、話し合いで解決できるのであれば協議離婚によって解決する道を目指すのですが、ケースによってはご依頼者様とも相談した上で、調停からスタートさせるケースもあります。

 

 このように今回は調停からスタートさせたのです。

 

 

5.モラハラ・DV夫の言い分            


 

 夫側は多少のモラハラは認めつつ、DVそのものを否定した上で、Tさんが別れたい理由が分からないというような言い方をしてきました。また、直接Tさんと話ができれば、誤解が解けるのでこの場でTさんと直接話をさせてくれという話をしてきました。

もちろん、これに対してはきっぱりと拒絶しました。

 

 その後、私の方からTさんに電話をかけて、DV旦那のよくある言い分で、こちらの予想の範囲なので不安にならないで欲しいと話して、多少安心していただきました。

 

 

6.私の入念な準備           


 

 相手がDVを否定してくることは予め予想していましたので、Tさんにはキチンとした診断書を準備してもらっておきました。

 

 ただ、これだけでは安心できませんでしたので、Tさん自身のお話をまとめた陳述書と、お子様達の陳述書も準備して、相手が言い逃れできないように入念な準備を進めておきました。

 この陳述書というものは、これまでのいきさつなどを時系列順にまとめた文書で、「Tさんの陳述書」「ご長男様の陳述書」といった形で各人別にお作りします。作り方は、私の方で皆様から詳しい話をお伺いして、私の方で文章を作成するという形になります。

 特に今回の様なDV事件では、何時、どのような場所でどのような暴力が起こったのか、このような暴力に対してどのように対処したのか、といった点をできる限り詳しくまとめていきました。Tさんからだけではなく、お子様ともお話をすることで、皆様の記憶が蘇っていき、充実した内容の陳述書を完成させることができました。 

 

 DV被害が日常的に行われていると、感覚が麻痺してしまい、重要なことを話し忘れてしまっているというケースも多々ありますので、充実した陳述書を作成する作業は、このような大きな見落としを防ぐという意味もあります。

 このような準備をしましたので、離婚調停の席でも、モラハラ・DV夫の言い分に対して即座に反論でき、充実した調停運営を可能にしたと思います。

 

 

7.最終解決                


 

 このケースでは、こちらが、ヨリを戻す意思がないことを調停の席で強く訴えたところ、相手も、それほど強くは抵抗せずに離婚に応じました。

 

 上記のような入念な証拠を見せるまでもなく離婚することができたのですが、Tさんは上記のような準備があったので安心していたとお話しになっていました。

 

 

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不倫慰謝料請求の3つの注意ポイント

2016.03.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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旦那様の不倫に直面した時、初めはショックで何も考えられない、ということも多いと思います。気持ちを建て直して、まず考えなければいけないのは、旦那様と離婚するかどうかの問題だと思います。

 

それでは、離婚を決意した場合、旦那様のしたことに対して何もしないということは到底許せないと思いますが、慰謝料請求する場合、どのような注意ポイントがあるのでしょうか。

 

特に弁護士に依頼するかどうかは悩みどころだと思いますので、以下のような事情も参考にして弁護士に依頼するかどうかを検討していただければと思います。

 

 

 

1.不倫の証拠


 

 

一つめの注意ポイントは不倫の証拠の有無になります。

 

不倫とは他の女性と肉体関係を持つことを意味しますので、「デートをしているところを目撃した」とか「手をつないでいるところを目撃した」というだけでは十分とは言えません。

 

また、旦那様と話をして不倫を認めたとしても、ICレコーダー等で録音しておかないと、後から旦那様が発言を翻す危険性もあります。

 

そのため、旦那様の不倫の証拠としてどのようなものがあるのか、その証拠がどの程度客観的なものなのかについては慎重に検討する必要があります。

 

もちろん、私の方から旦那様宛に通知を送ったところ、旦那様が不倫を争わないというケースは相当数あるのですが、逆に、徹底的に争ってくるというケースもありますので、十分準備しておきたいところです。

 

 

 

2.相手の支払能力


 

 

二つめの注意ポイントは、相手の支払能力になります。

 

簡単に言いますと旦那様が十分な貯蓄をもっているか、または、キチンとした定職に就いているかの問題です(つまり、お金を支払う十分な能力があるかどうかの問題です)。

 

仮に、裁判で慰謝料の支払を命ずる判決が言い渡されましても、相手が無職で、ほとんど貯蓄もないようでしたら、金銭の支払いを受けることは難しくなります。

 

そのため、慰謝料請求にあたっては、旦那様の支払能力も見極める必要があります。

 

 

 

3.不倫相手を訴えるかどうか


 

 

この問題は大きく二つの問題を含んでいます。

 

具体的には、①不倫相手の住所などを調べられるのか、②不倫相手の住所などが分かっているとして不倫相手を巻き込むかの二つの問題です。

 

まず、一つめの問題ですが、弁護士の調査権限には限界も多いため、弁護士に相談すれば不倫相手の住所も調べてくれると考えないで頂いた方がよいと思います。もちろん、ご依頼がありましたら、調査を致しますが、不倫相手の住所を突き止められないと言うことも往々にしてあります。

 

次に、不倫相手まで巻き込むかという問題ですが、これは、旦那様への請求との兼ね合いで問題になります。

 

少し難しい話になりますが、不倫は、旦那様と不倫相手の共同加害行為と言うことになりますので、旦那様から慰謝料全額を回収した場合、不倫相手には慰謝料請求できないという関係にあります。

 

簡単に言いますと、慰謝料の金額が、200万円が妥当であるというケースの場合、旦那様が200万円を支払ってきた場合、不倫相手からは慰謝料をもらえないと言うことになります。

 

慰謝料200万円がだと言うという場合、旦那様から200万円プラス不倫相手から200万円の合計400万円もらえると誤解されている方もいらっしゃいますが、そうではなく、どちらかから200万円ということになります。

 

ですので、不倫相手に請求するのは、旦那様が支払いを渋っているだとか、不倫を認めていないといった場合が多いと思います。

 

ただ、お金の問題はさることながら、不倫相手の女性が何事もなく生活して行くことは許せないと思いますので、不倫相手の女性への制裁の意味も込めて、慰謝料を請求するというケースもあります。詳しくは弁護士秦までご相談いただければと思います。

 

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不倫慰謝料に相場ってあるの?

2016.03.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

円満な結婚生活を送っているつもりだったのに、配偶者が陰で不倫をしていたという場合には、大変な精神的ショックを受けると思います。不倫によってもう相手を信じることができなくなり、離婚に発展することも多くあります。その様な場合、不倫の問題は、慰謝料という形で金銭的に精算することになります。

 

 

 

1.不倫慰謝料に相場ってあるの?


 

不倫の問題は、慰謝料で精算するしかないと分かっていても、次に浮かぶ疑問は「一体いくらぐらい請求すれば良いんだろう?」という疑問だと思います。

 

慰謝料の金額がどのように決まるかは後で詳しく説明しますが、様々な事情が絡んできます。そのため、一概にいくらということは言いにくいのですが、私が取り扱った事件の慰謝料額を平均すると、200万円前後に近い数字になるのではないかと思います。

 

ただ、繰り返しの説明になりますが、慰謝料額は個別の事件によって大きく異なりますので「200万円は確実にもらえるのですね」とか「200万円しかもらえないのですか」とお考えにならないようにして下さい。私が扱った事件でも数十万円しか慰謝料を得られなかった事件もありますし、逆に400万円以上の慰謝料を得られた事件もあります。

 

 

 

2.慰謝料の金額はどのように決められるのか。


 

先ほどご説明しましたとおり、慰謝料の金額は「色々な事情」を考慮して決定されます。それでは、この「色々な事情」というのは具体的にどのような事情になるのでしょうか。

 

大きく分けますと、以下のような事情になります。

 

①不倫配偶者の悪質性

 

②被害配偶者が受けた精神的苦痛や肉体的苦痛

 

③婚姻期間の長さ

 

④不倫配偶者の収入

 

これだけではピンと来ないと思いますので、詳しくご説明致します。

 

 

①の不倫配偶者の悪質性の判断では、以下のような要素が考慮されます。

 

・不倫の発端(不倫配偶者側から不倫相手に積極的にアプローチしたのか等)

 

・不倫期間や頻度

 

・不倫相手の人数

 

・被害配偶者を裏切った回数(例えば、一度目の不倫発覚時に今後一切不倫をしない旨誓約したのに何度もその誓約に違反した等)

 

・不倫によって不倫相手に妊娠させたのかどうか

 

・不倫後の生活状況(不倫相手の自宅に入り浸りになるとか、不倫相手に生活費の大半を貢ぐようになったとか)

 

・不倫配偶者による関係修復の努力の有無(客観的証拠上不倫の事実が明らかなのに、不倫を否定し続けたり、不倫を認めたのに開き直って不倫相手と安定した生活を築く旨発言した場合などは慰謝料額は増額される傾向にあります)

 

 

②の被害配偶者の精神的苦痛や肉体的苦痛としては、例えば、うつ病その他の精神疾患を患うようになったとか、胃潰瘍になってしまったといった事情が、不倫と直接関係しているような場合には、慰謝料の増額要因になり得ます。

 

 

③の婚姻期間の長さは、入籍してからの期間が考慮され、原則として交際していた期間は考慮されません。

 

 

④不倫配偶者の収入は、源泉徴収票等が重要な判断資料になります。なお、たまに「旦那はお金を持っていないけれど、旦那の親は資産家だから、親からお金を取って欲しい」という相談を受けることがありますが、旦那様と親御様は別人格になりますので、法律的には親御様に対して金銭請求することはできません。

 

このように「色々な事情」が考慮されることが分かっていただけたかと思います。

 

自分がいくらの慰謝料を期待できるのかについては、先ほどのご説明を読んだだけでは、なかなか分かりにくいと思いますので、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。

 

 

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不倫を勤め先にも家族にも知られずに解決したケース

2016.03.11更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.不倫のことは勤め先や家族にバレないものなの?


 

  既婚者と不倫してしまった場合、既婚者の配偶者に対して慰謝料は支払うけれども、不倫のことは勤め先や家族には知られたくないとお考えの方も多いかと思います。

 

 不倫してしまったことは簡単に許されることではないとしても、そのことが当然に勤め先や家族にまで知られなければならない話ではありません。

 

 ただ、残念ながら、不倫が勤め先に知られてしまっているというケースはかなり多いように思えます。

 

 特に弁護士を間に入れずに交渉してしまっているケースですと、不倫加害者側の話し方が気に入らないといった理由で不倫被害者側が勤め先に話してしまうといったケースが非常に多いように見受けられます。

 

 他方、弁護士が間に入りますと、私の方から勤め先や家族に知らせないで欲しい旨をキチンと伝えますので、勤め先や家族に発覚するというケースはあまりない様に思われます。

 

 

2.私が担当したケース


 

 

 ・ご依頼者様 : 不倫してしまった50代前半の男性(Sさんとします)

・ご依頼内容 : 不倫がfさん(不倫相手(女性)の旦那様)に発覚してしまい恐喝まがいの電話連絡を受けている、金銭的負担はやむを得ないと考えているが、勤め先を辞めたくないので、勤め先や家族に知られずに事件解決して欲しいとのご依頼内容でした。

 つまり、旦那様が居る女性と関係を持ってしまったことが発覚し、その旦那様(fさん)から慰謝料を請求されたケースになります。

 

なお、この事件の請求者 : 不倫された旦那様側(50代前半)(fさんとします)、fさんの家庭状況は、奥様 :  40代後半、お子様 : 娘様がお一人、婚姻期間 : 15年程度、家庭環境 : ご依頼時同居、その後別居し離婚というケースでした。

 

 

3.私の弁護活動          


 

 Sさんは、毎日のようにfさんから電話やメールを受けており、その内容は、「勤め先にばらす」だとか「ただじゃおかない」といったもので、穏当なものでは決してありませんでした。そして、Sさんもこのような電話連絡などにかなり滅入っている様子でした。

 

 そこで、Sさんには、fさんから電話連絡があった際に、「弁護士を間に立てるので、そちらからの連絡を待って欲しい」旨を伝えてもらいました。

 

 その直ぐ後に私の方からfさんに連絡を入れて電話で話をさせていただきました。

 fさんからの電話等が穏当なものではないにしても、その原因を作ったのは、Sさんですから、その点は私の方からも真摯に謝罪し、慰謝料の金額については本人とよく検討させて欲しい旨を伝えました。

 

 

4.fさんへの通知         


 

 電話のみでは弁護士としての身元確認が十分ではありませんし、何よりfさんがSさんの勤め先に勝手に連絡を取ってしまう危険性もありました。

 

 そのため、一度電話をした後に、私の方から、こちらの要望をまとめた書面をfさんに郵送しました。この書面の中には、弁護士が交渉窓口になったのでSさん本人やSさんの勤め先・家族などには連絡を取らないで欲しい旨を明記しました。ただし、こちら側は不倫加害者という位置づけになりますので、あまり強い表現をとってしまいますと逆にfさんの感情を害してしまう危険性があります。そのため、職場の混乱防止に協力願いたいといった形でやんわりと牽制する形にしました。

 

 

5.fさんの言い分         


 

 

 fさんは、こちらからの「勤め先に連絡しないで欲しい」という要望を逆手にとって、「勤め先に知られたくなかったらもっと金を払え」と言わんばかりに慰謝料額をつり上げてきました。

 また、このケースは職場不倫でしたので、fさんとしては、不倫が行われた現場である職場にSさんが残り続けることに対して納得が行っていない様子でした。

 

 fさんは、弁護士が相手であろうとすごい剣幕で巻くしててくる方でしたし、頻繁にお電話が参りますので、対応に苦慮しました。ただ、このようにまくし立ててくる様な方に対しては、ゆっくりとした口調で丁寧に繰り返し繰り返し説明をするのがもっとも効果的ですので、このようにしてじっくりと時間をかけて話をさせていただきました。

 

 私からのお返事内容は、丁寧な口調で話しつつも、こちらの要望をきちんと伝える姿勢で一貫していましたので、Sさんとしても半ばあきらめてしまったのか、こちらの要望する金額に抑えることに成功しました。

 

 また、fさんは、かなりSさんの職場に連絡を取りたがっていましたが、これに対しては、Sさんのプライベートに関わる問題なので、職場とは切り離して考えて欲しい旨を伝えました。また、fさんの要望は私の方からSさんにその都度伝えている旨も伝えました。fさんは納得いっていない様子でしたが、弁護士が間に入っている手前、Sさんの職場に連絡を取るのはマズイという認識は持っている様でした。

 結局、事件解決までの間、fさんがSさんの職場に連絡を取ることはなく解決することができました。

 

 

6.合意書の締結          


 

 

 慰謝料をfさんに払うだけですと、その後fさんが不倫のことを口外する危険性もありましたので、この点は他言しない旨を合意書に明記し、Sさんとfさん双方が署名する形で合意しました。

 

 

7.さらに厄介なのはダブル不倫のケース


 

 

 このケースでは、Sさんは未婚だったのですが、ダブル不倫のケースですと、Sさんの奥様に知られずに解決すると言うことは、さらに難易度が高いケースになります。

 と言いますのは、fさんからすれば、Sさんへの慰謝料請求書の送り先は、Sさんの自宅と言うことになりますので、自宅に送られてしまうとSさんの奥様が目にする危険性が一気に高まるからです。Sさんが弁護士を立てない場合「自宅に手紙を送らないで欲しい」と言ったところで、法律上は難しい要求になってしまいます。

 なぜなら、fさんが「口頭だと誤解などが生じる可能性もあるので、こちらの要望をきちんと書面にして送ることにした」と言われてしまいますと、fさんとしては正当な権利行使と言うことになってしまいますので、防ぎようがないのです。

 

 私は、そのようなケースも取り扱ったことがあり、何とかSさんの奥様に当たる人に知られずに解決しましたが、 早急に弁護士を付けてもらえたから成功したケースばかりです。

 

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相手弁護士との議論の応酬を経て不倫慰謝料100万円の支出にとどめたケース

2016.03.04更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.突然の弁護士からの通知!不倫の問題は本人同士で話し合うものでは?


 

 不倫相手の旦那様の弁護士から突然通知が来たという場合、ふと疑問に思うのは、このような問題は当人同士で話し合いをするのではないか?という点かと思います。

 

 一般の方はあまり弁護士と接する機会はないと思いますので、突然弁護士から通知が来ますと驚くことが多いと思います。

 

 ただ、弁護士を依頼するかどうかは本人の自由になりますので、本人同士の話し合いをしなければならないということはありません。

 

 不倫被害者としては、一度は不倫相手と直接話し合いをしたいという方もいらっしゃいますが、逆に、「酷いことをされたので弁護士を雇って徹底的に責任を追及したい」という方もいます。

 

 

2.私が担当した事件        


 

・ご依頼者様 : 不倫してしまった40代前半の男性(Qさんとします)

・ご依頼内容 : 突如cさんの弁護士から不倫の慰謝料として200万円を請求されたが、cさんが言うような悪質な行為はしていないので、200万円全額払うことに納得できない。間に入って交渉して欲しいというご依頼内容でした。

 つまり、旦那様が居る女性と関係を持ってしまったことが発覚して、その旦那様(cさん)から慰謝料を請求された事件になります。

 

なお、請求者 : 40代前半の男性(cさんとします)、cさんの家庭状況は、奥様 : 30代前半、お子様 : 不明、婚姻期間 : 10年程度、家庭環境 : 同居中というケースでした。

 

 

3.不倫行為についての言い分   


 

 Qさんは、不倫そのものは認めつつも、Qさんが積極的に不倫を勧めたような責められ方をしていることに納得できないとおっしゃっていました。また、肉体関係にまで発展したのは数えるほどであり、cさんの言い分は一方的であるとのことでした。

 

 Qさんも不倫を認めておりましたので、cさんの弁護士との交渉は、金額面での交渉になりました。

 

 

4.私の弁護活動           


 

 私は、早速cさんの弁護士に対して返答の書面を作成して返信しました。大筋で不倫は認めつつも、cさんの奥様がおっしゃっている内容と事実関係に食い違いがあることは指摘し、ただ、Qさんがした行為については真摯に謝罪する旨を書き込みました。具体的な金額の話は直接会って話したいと伝えました。

 

 不倫の問題では、cさんが感情的になっており、こちら側からあまり低い金額を提案すると、cさんの感情を逆撫でする危険性が高かったので、敢えて金額は記載しないようにしたのです。

 

 cさんの弁護士と会って話をしたところ、cさんご本人は、Qさんの年収分でも支払って欲しいと希望していたが、早く解決するために200万円まで希望額を下げている、そのため、200万円以下での和解は難しいとのお話しでした。これに対しては、100万円でお願いできないかと言うことで率直に意見を聴きました。

 

 cさんの弁護士は、100万円はいくら何でも安過ぎるので、Qさんの方で再検討して欲しいとの話になりました。

 

 このケースでは、cさんが奥様とよりを戻したいとの意向を持っているらしいと言うことが分かっていましたので、敢えて多少時間をかけて検討することにしました。

 

 この間にもcさんの弁護士から「返事はまだか?」という催促が参りました。その都度Qさんの検討に時間がかかっている旨を伝えました。

 

 その後も結局こちらの提案金額100万円は変更しませんでしたので、cさんの弁護士も随分いらだっている様子が分かりました。ただ、この金額が現状のQさんの精一杯の金額であることを伝え、低姿勢で検討をお願いしました。

 

このようなやりとりを何度も繰り返した結果、cさんも100万円の支払いを受けることで合意しました。

 

 

5.「100万円」という慰謝料額について


 

 個人の方が負担する金額として100万円という数字は決して安くないことは重々承知しております。

 

 ただ、今後の裁判のことも考えますと、100万円という数字で収まるのかという不安もありましたので、100万円の慰謝料支払いで解決できたのは良かったと思います。

 Qさん自身100万円の負担に完全に納得できるわけではないとおっしゃっていました。ただ、事件解決後に私のところに挨拶にお越しになって「やはりこの金額が安いとは思えない。けれども、秦弁護士が親身にじっくりと話を聞いてくれたので、この金額で納得しました。」とおっしゃって下さいました。

 

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