【財産分与】分割払いの提案を断固拒否!判決で全額一括払いさせたケース
2016.03.28更新
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1.財産分与で分割払いってどういうこと?
財産分与という用語は普段の生活ではあまり聞き慣れないと思います。この用語は、いくつかの性質があるとされていますが、中心的な意味合いは、「婚姻中の夫婦共同財産の清算を求める権利」と言えます。
要するにご夫婦のうち財産を多く持っている方が、少ない方にいくらかの財産を渡す制度とお考えいただければ分かりやすいと思います。
このように財産を多く持っている方が、その一部を分けるのですから、分割払いも何も、持っている財産で一括払いすればよいようにも思えます。
しかし、財産分与の対象財産は、預金や株式などの換金しやすい財産ばかりではありません。不動産や自動車なども含まれますので、換金できないとか換金したくないという財産も含まれます。
そのため、相手が「財産分与を分割払いしたい」と提案してくる場合があるのです。
2.私が担当した事件
・ご依頼者様 40代前半の女性(「Xさん」とします)
・ご依頼内容
相手は大した財産を持っていないと見込まれるが、法律で認められる最大限の財産分与は受けたい、分割払いだと相手は途中で支払わなくなる危険性が高いので一括払いで支払わせたい、というご依頼内容でした。
なお、この事件の相手方:40代前半の旦那様、お子様:中学校に通うご長男様と小学校低学年のご長女様のお二人、婚姻期間:約15年、家庭環境:ご依頼時別居中のケースでした。
3.この事件での手続の流れ
この事件では、私の方から離婚の条件を記載した通知を相手に送ったところ、相手も弁護士を立てて、交渉をしましたが、交渉決裂し、調停手続きを経て、裁判で争われることになりました。
この事件では、財産分与もさることながら、お子様の親権をご夫婦いずれが取得するかという点も大きな争いになり、そのことが裁判で争われることになったのです。
4.継続的に行われた和解手続
離婚問題が裁判に発展した場合、最終的には裁判官が判決を言い渡して事件は解決します。つまり、ご夫婦がお互いの主張をぶつけ合った上で、裁判官が、「白黒つける」ことになります。
ただ、離婚問題のように家族の問題については、裁判官も、和解を勧めてくることが多くあります。
「和解」とは、裁判の手続を進めながら、または裁判の手続きは一時保留にしながら、当事者間の話し合いを進める手続になります。裁判手続中に行われる和解ですから、裁判官が直接間に入った上で和解協議が行われます。
5.和解手続での相手の言い分
この事件では、相手の財産の中に自宅不動産と自動車があり、相手は、自宅に継続して居住することとを希望しました。また、自動車についても業務上必要であるとのことで売却できないと主張していました。
相手の預金は微々たるものでしたので、相手は、財産分与の分割払いを強く提案してきました。
ただ、Xさんは、旦那様に対して強い不信感を抱いていましたので、分割払いにしてしまうと、途中で支払われなくなるのではないかと強く心配していました。私の目から見ましても、旦那様は一般的に女性を下に見ているような雰囲気の持ち主でしたので、Xさんの不安を共有しておりました。
そのため、私は、旦那様に対して、分割払いには一切応じられないと強く主張しました。
6.判決の言い渡し
結局旦那様側も分割払いを譲りませんでしたので、和解は決裂し、判決が言い渡されることになりました。
判決内容はこちらが予想していた財産分与が認められました。なお、判決で財産分与の金額が定められる場合には、分割払いにはなりませんので、一括払いを命じる内容の判決になります。
このような判決が言い渡されると、あれだけ「分割払いでないと支払えない」と言っていた旦那様があっさりと財産分与額全額を一括払いしてきました。
上記の通り、旦那様には高額の預貯金はなかったのですが、お勤めをされていましたので、給料差押えを受けることを不安視して、一括払いしてきたものと思われます。
つまり、判決がありますと、旦那様の勤め先に対して、給料の一部の支払いをストップさせて、Xさんの側に支払う様命令することができるのです(これを「給料差押え」といいます。なお、給料差押えは、離婚裁判とは別の手続きを踏む必要があります)。
給料の差押えがありますと、裁判所からの命令書が直接勤め先に届きますので、旦那様は、職場に居づらくなることを避けたかったのかもしれません。いずれにしましても、一括で支払いがありましたので、Xさんは「引っ越しを考えていたので、まとまったお金が入り、安心しました」とお話しされていました。
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