「うちの場合、財産分与は預金だけだと思います」の落とし穴
2016.03.21更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。
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1.財産分与って何? .
財産分与という用語は普段の生活ではあまり聞き慣れないと思います。この用語は、いくつかの性質があるとされていますが、中心的な意味合いは、「婚姻中の夫婦共同財産の清算を求める権利」と言えます。
ご夫婦で共同生活を送っている場合でも、通常は、旦那様と奥様のいずれかが家計の管理をされることが多いので、いずれかの財産が多くなります。
例えば、旦那様が家賃や生活費だけを奥様に手渡し、奥様が支払いをしていたという場合には、残りの給料は旦那様の預金に貯蓄されてゆくことになりますし、逆に旦那様がお小遣い制という場合には、給料の大半は奥様の預金に貯蓄されてゆくことになります。
ただ、旦那様が離婚時に相当の貯蓄をしている反面、奥様の貯蓄はほとんどないという場合、そのまま離婚しますと奥様は今後の生活に困ってしまいますし、何より、旦那様は奥様の内助の功があるからこそ安心して外で働けるという面がありますので、何の清算もしないというのは不公平とも言えます。
このような不公平を解消するものが財産分与になります。
2.財産分与の対象財産 .
上記のように婚姻期間中に取得した財産は通常財産分与の対象になりますが、「婚姻期間中に取得した財産」と言われても抽象的なため分かりにくいと思います。
よくご相談に来られた方の中には「うちは、自宅も持ち家ではないし、車も持っていませんので、分けるのは預金だけだと思います」とおっしゃる方もいます。
しかし、本当にそうでしょうか。
①生命保険等の保険
財産分与の対象財産でよく見落とされがちなのが保険になります。生命保険などは旦那様にもしものことがあった時に保険金が下りるものだと誤解されている方が多いですが、掛け捨ての保険ではない場合、その保険は財産分与の対象になります。
なお、「保険が財産分与の対象になる」というと、「保険を今すぐ解約しなければいけないんですか?」とご質問を受けることがありますが、そうではありません。
別居の時点での解約返戻金(「かいやくへんれいきん」と読みます)の金額を算出し、その金額を財産分与の対象として加算して計算することになります。
その保険を解約するか解約しないかは、財産分与の分け方の問題になりますので、預金などでカバーできる場合、保険を解約する必要はありません。
なお、お子様にかける学資保険についても厳密には財産分与の対象になりますが、お子様のための蓄えと言うことで敢えて財産分与の対象から外すこともありますので、交渉の進展具合に応じて決定して行くことが多いです。
②退職金
退職金は旦那様が退職して初めて支給されるものになるため、見落とされることが多い財産になります。
定年退職して退職金が支払われた後でなければ財産分与の対象にはならないと誤解されている方が多いようですが、退職金が支払われる前であっても定年間近といった場合には財産分与の対象になります。
逆に言いますと、退職がある程度近くなった時点でなければ、退職金は財産分与の対象になりませんので、注意が必要です。
例えば、まだ40歳代で、定年退職まで20年近くあるという場合には、退職金が支給されるのか不確定なので財産分与の対象になりません。
③社内積立
また、これも見落とさせることが多い財産の一つなのですが、社内積立や従業員持株会といったものも財産分与の対象になります。
これらは通常月々の給料から積立額等を差し引いていますので、給料明細書を見れば、積立があるのかどうかが分かります。
このような積立のうち婚姻期間中に積み立てられた額は、財産分与の対象になります。
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