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性格の不一致だけでは離婚理由にならない?の実際

2019.04.01更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.性格の不一致は離婚理由になるか?


 

 「離婚理由」という場合、大きく分けて二つの意味があります。一つめは、相手に離婚を切り出す理由になるかという意味、二つめは、裁判で勝てるだけの理由になるかという意味です。 

 

 まず、一つめの離婚理由という意味で言いますと、あなた自身性格の不一致で夫との今後の生活に限界を感じているという場合、『性格の不一致』は立派な離婚理由になります。ただし、実際に相手に離婚を切り出すとなると、具体的にどのような夫の言動や動作から今後一緒にやっていけないと感じたのかをしっかりと整理して旦那に話す必要が出てくると思います。

 

  次に、「裁判で勝訴できるだけの理由」という意味での離婚理由になるかというと再度詳しく検討していく必要があります。

 と言いますのは、離婚裁判ですと、裁判所が強制的に離婚を命じることができるのですが、本来離婚するかどうかは当人同士の意思に委ねるべき話ですから、「裁判で勝てるだけの離婚理由」というのは法律で厳格に制限されているのです。そのため、本当に性格の不一致以外に一切離婚理由が存在しないという場合、「裁判で勝てるだけの理由とは言えない」と言われてしまうリスクが非常に高くなってしまいます。 

 

 

2.別に裁判をしたいわけではないんだけれど…


 

 私の経験上離婚のケースで大半は裁判にまで行かずに調停または協議で解決しています。

 そのため、あまり裁判ということで身構えて考えて頂く必要性は少ないと思います。

  しかし、少数ですが相手の反発が大きく裁判を避けられないと言うこともありますので、事前に裁判になることを考えながら準備を進めていけると安心です。

 

 

3.そもそもそれってモラハラでは?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージを持たれる方も多いと思います。しかし、あなた自身がモラハラの意味をしっかりと理解していませんと、あなたの本当の離婚理由を見極めることはできませんし、夫からも軽く見られてしまう可能性があります。本当はモラハラなのに、モラハラの意味がよく分からないがために離婚できないということは絶対に避けなければいけません。 

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 これだけではなかなかピンと来ないと思いますので、ある程度類型化して整理しますと、以下のようにまとめられると思います。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

  夫との日常生活の中で、上記のようなモラハラ行為のいくつかを実際に体験しているのではないでしょうか。そうしますと、あなたの離婚理由は「性格の不一致」ではなく「モラハラ被害」になる可能性があります。

 

 

4.モラハラ内容の整理


  上記のようなモラハラの項目に当てはまる場合、夫婦生活の中で具体的にどのようなエピソードがあったのかをしっかりと思い出す必要があります。

具体的には5W1Hの要領で「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「何故」「どのように」したのかを思い出すようにして下さい。特にモラハラ夫から心ない言葉を浴びせられたという場合、具体的なセリフまで思い出すのが望ましいです。

 このようにして思い出す作業を通じて、あなたとしても離婚の意思を固めることができると思いますし、夫側にも詳しい話をしやすくなると思います。

 

 

5.いざ離婚という場合どのように手続を進める必要があるか


 

 通常、離婚は直接あなたの口から夫側にしっかりと伝える必要があります。そして夫婦でしっかりと話ができるようでしたら離婚に向けた話し合いをしてみて下さい。

 当人同士での話し合いが難しい場合、身内や友人等間に入ってくれる人間を探して、話し合いをすることも検討してみると良いでしょう。

 その様な身内等を入れての話し合いも難しいという場合には、家庭裁判所への調停も検討対象になります。調停は裁判所で行われる手続になりますから、不安があるようでしたら弁護士に依頼することもいよいよ考えなければなりません。 

 

 

6.まとめ


・性格の不一致も、そのことであなたが夫とやっていけないと考えるのであれば、離婚を切り出すに当たっては十分な理由になる。

・ただし、相手が激しく抵抗してきて離婚裁判も視野に入れなければならない場合、離婚裁判に耐えられるかの検討が必要な場合もある。

・性格の不一致のつもりでも、実際にはモラハラというケースも多いので、その様な観点から検討する必要がある。

・モラハラの項目に当てはまる場合、その具体的エピソードを5W1Hの要領で思い出していくと良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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