養育費

2年以上粘り強く養育費を支払わせ続けたケース

2015.12.25更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士の秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.養育費は支払われなくなっても仕方ないもの?


 

 私は、離婚事件を多数手がけていますが、ご夫婦の離婚の問題について最初からご相談を受けるケースと、協議離婚の後に、元夫との紛争についてご相談を受けるケースとがあります。

 

 特に、離婚して数年間が経過してしまい、元夫から養育費が支払われないといったご相談を受けることも多くあります。

 

 その様な場合に、もう離婚して期間が経ってしまっているのだから、養育費が支払われなくてもある程度仕方ないと思っていますと言った話をされる方も多くいらっしゃいます。本当にそうでしょうか。

 

 

2.私が担当した事件        


 

・ご依頼者様 : 40代後半の女性(Kさんと言います)

・ご依頼内容 : 家庭裁判所の調停によって離婚し、養育費も支払うと約束したのに、支払がストップしたので、養育費を回収してほしいとのご依頼内容でした。

 

なお、この事件の相手 : 40代後半の元夫、お子様 :  小学校高学年の息子様と小学校低学年の息子様の合計2人、家庭環境 : 離婚済み、別居中でした。

 

 

3.この事件での私の活動     


 

 この事件で、私はまず、元夫に対して、養育費の支払いを催促する文書を内容証明郵便にて送付しました。

 すぐに、元夫から連絡があり、現在失職しており、失業手当しか収入がないから払えないとの内容でした。

 

 これに対しては、本当に失職しているのか、失業手当受給の証明を送付してもらい、その確認を取ると共に、差押えを示唆しながら粘り強く交渉を行いました。

 

 特に交渉にあたっては、元妻に支払うのではなく、お子さんの生活費のために払って欲しいということを強調しました。

 

 最初のうちは、元夫は、私に対して「私は差し押さえられる様な財産なんて持ってないんだから、やれるもんならやってみろ」と言っていましたが、私の方も粘り強く話をしたところ、最終的には、元夫も養育費の支払いに渋々納得しました。

 ただ、元夫が失業中という事情もありましたので、離婚時に約束した養育費よりも金額は下げる形で折り合うことになりました。

 

 

4.その後の活動          


 

 上記の通り、元夫は、月々の養育費を支払うようになったのですが、弁護士の目が届かなくなりますと直ぐに支払いがストップする危険性があるケースでしたので、毎月私から催促をして、養育費の支払を継続させています(このような催促は、もう2年ほどになります)。

 

 なお、私の方から毎月催促をする際には、その都度元夫が再就職していないのか、現在の収入を証明する書類はないのかと言った点を尋ねていましたので、元夫も収入が多いときなどは、多少多めに養育費を支払ってきました。このことも、粘り強く催促を続けてきた一つの成果ではないかと思います。

 

 

5.離婚後の養育費請求には落とし穴が多い


 

 詳しくは別のブログで触れますが、離婚後の養育費請求には、落とし穴が多いので注意が必要です。

 差押えを実施していくためには離婚が調停で終了しているといった条件が必要になりますし、離婚後の元夫の環境によっては養育費減額請求がなされるといった危険性もあります。

 

 そのため、養育費の件でお悩みの方は、リスクもきちんと理解していただく必要がありますので、お気軽に弁護士秦真太郎までご相談下さい。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

離婚無効確認の訴えで無効原因が認められたケース

2015.12.18更新

 

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1.私の担当した事件 

・ご依頼者様 : 60歳代後半の男性

・ご依頼内容 : 奥様が旦那様に無断で勝手に離婚届を出してしまったので、離婚無効の裁判を起こしたいというものでした。

 

なお、この事件の相手方 : 60歳代後半の奥様、お子様 : いらっしゃらない、婚姻期間 : 15年程度、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 

2.離婚無効確認って何だ?

 

 離婚無効確認というのは、離婚を無効にする原因がある場合に、離婚が無効であることを確認するということを指します。例えば、①奥様が勝手に旦那様の印鑑を使って離婚届を偽造した場合とか、②旦那様の印鑑は旦那様本人が押したけれども、奥様が知らないところに保管していたのを奥様が見付けて勝手に出してしまったような場合を指します。

 

 私が担当した事件では、旦那様が離婚届を作成し、奥様に離婚の意思を伝えたけれども、奥様が離婚届にサインすることを拒否し、その後円満な夫婦関係が築けていたのに、その2年後に奥様が勝手に離婚届を提出してしまったというケースでした。

 

 

3.離婚届提出後の対応が非常に肝心

 

 私がこの事件を担当し始めたのは、離婚届提出から7,8か月は経過していたのですが、旦那様ご自身で適切な対応をしてくれていたことが離婚無効確認訴訟でも非常に重要な意味を持ちました。

 

 ご夫婦の一方が離婚届を持参した場合には、戸籍課は、様式が整っている限り、これを受理しますが、離婚届を受理した旨が他方配偶者に通知されます。

 

 これを受けて、今回の事件の旦那様は、直ぐに戸籍課に確認に行き、離婚届のコピーを入手すると共に、直ぐに奥様にも電話をかけて事情を確認する作業を実施していました。

 

 このような行動を取っておけば、離婚届の提出が不意打ちであったことを強く印象づけることができます。

 

 その後の事情確認は、奥様へのメールでの確認をしておいた方が証拠に残るため、より望ましいものと言えます。

 

 

4.裁判での立証活動

 

 離婚無効確認の裁判では、上記のような離婚届提出が発覚した後の旦那様の対応はもちろん強く主張しました。

 

 そのことに加え、旦那様が一度離婚届を作成してから奥様に勝手に提出されるまでに2年程度の期間が空いており、その間は同居生活をしていたこと、ご夫婦の関係が良好であったことを、旅行の写真等で詳しく立証していきました。

 

 そうすると、裁判所も事情を理解してくれたのか、離婚無効を認める判決を言い渡してくれました。

 

 

5.裁判所から言われたこと

 

 上記の離婚無効確認の裁判では、裁判所から、仮に離婚無効の結論が出ても、奥様は旦那様との同居生活は臨んでいないのではないか、そのため離婚無効になっても円満な夫婦生活は営めないのではないかとの懸念が伝えられていました。

 

 ただ、依頼者は、このような理不尽な形で離婚届を提出されたことに納得できないとの強い信念をお持ちでしたので、離婚無効確認裁判の結論をもらうまで裁判を続けました。

 

 

6.離婚不受理申請

 

 上記のように、無断で離婚届を提出されてしまいますと、長期間の裁判を強いられることになりますので、相手から離婚話を切り出されたような場合には、勝手に離婚届を出されてもよいように離婚不受理申請をしておくことを強くお勧めします。

 

 このようにしておけば、相手方勝手に離婚届を提出しても区役所の戸籍課が離婚届を受理しませんので、安心です。

 

 離婚については半ば致し方ないと思っていたとしても、十分な話し合いもなく離婚することには納得が行かないと思いますし、離婚する際には財産分与など夫婦で話し合うべき項目が多数あります。このような交渉の間口を拡げる意味でも、離婚不受理申請は有効に活用できるものと思います。

 

 

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相手からの慰謝料請求に対して支払ゼロのケース(婚姻破綻後の不倫)

2015.12.11更新

 

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1.私の担当した事件


 

 

・ご依頼者様 : 20代後半の女性(Dさんとします)

・ご依頼内容 : 旦那様からの暴言に耐えられないので離婚したいということで、離婚問題のご相談を受けていたのですが、Dさんが他の男性とのお子様を妊娠してしまい、出産することになってしまいましたので、そのお子様との親子関係不存在の事件も担当することになりました。

なお、この事件の相手方 : 20代後半の旦那様、お子様 : 高校に通う息子様、中学校に通う娘様、小学校に通う娘様の合計3人、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 この事件の親子関係不存在の問題は既に別のブログにてご説明済みですので、今回は、慰謝料の支払いを免れたという意味で離婚事件の切り口でご説明いたします。

 

 

2.婚姻関係破綻後の不倫では慰謝料は発生しない


 

 そもそも、不倫によって慰謝料が発生するのは、不倫によって夫婦の関係が悪化または破綻し、そのことで精神的に強いショックを受けるからです。

 

 このように夫婦の関係悪化・破綻が慰謝料の発生原因なのですから、既に(不倫以外の理由で)婚姻関係が破綻している場合には、事後の不倫によっても慰謝料は発生しないのです。

 

 ここでの婚姻関係の破綻とは、ご夫婦の関係が修復不可能なほどにうまく行かなくなることを意味します。そして、このような婚姻関係の破綻後の不倫については慰謝料が発生しないのです。

 

 

3.婚姻関係の破綻と認められるためには?


 

 離婚の裁判などでも婚姻関係の破綻時期が問題になることは多々あり、家庭内別居の開始時を破綻時と見るべきだと主張されることもあります。

 

 ただ、家庭内別居というのは物理的にはご夫婦が同じ建物の中に居住していると言う状況にありますので、「家庭内別居」であることの証明は困難なことが多いです。

 

 そのため通常は別居開始時もしくはその数か月前程度が破綻時と捉えられることが多いです。

 

 

4.この事件で問題になったこと


 

 上記の私が担当した事件で問題になったのは、旦那様の方が執拗に、Dさんと関係を持った男性の情報を知りたがっていたと言うのもあるのですが、その点のみならず、①別居前からDさんの男性関係は不審に思っていたとの点、②別居の経緯でした。

 

 この事件は、相手にも弁護士が就き、弁護士同士で話し合いをしていたのですが、交渉が決裂してしまい、当方から家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。

 そのため、上記の①、②の点について、どうやって調停委員の理解を得るのかという点が大きな課題になりました。 

 

 まず、①の別居前の男性関係については、このような離婚トラブルになり始めてから初めて旦那様が言い始めたことでしたので、そのことを率直に調停委員に伝えました。調停委員が旦那様に確認したところ、旦那様も別居前はあまり不倫のことをDさんに確認していなかったとのことでしたので、旦那様の言い分にはあまり信憑性がないという話の流れを作ることができました。

 

 次に、②の別居の経緯について、旦那様側は、奥様が駆け落ちしたような言い方をしていましたので、旦那様側からの暴力が原因であるという事実を指摘して、この点も大きなトピックにはせずに済みました。

 

 

5.最終的には別居後の男性関係と認められた


 

 上記のようなやり取りを調停にて繰り返し、最終的には慰謝料の支払いをしない形での調停成立にこぎ着けることができました。

 

 不倫・浮気の問題はデリケートな問題でもありますので、きちんと作戦を練ったうえで調停に臨みませんと、相手の感情を逆撫でし、手続きがうまく進まなくなってしまうケースが多い様に思われます。

 

 そのため、婚姻破綻後の不倫・浮気かどうかが争われると言った事件では、早いうちに弁護士に依頼して手続きを進めることをおすすめします。

 

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親子関係不存在確認調停が認められたケース

2015.12.04更新

 

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1.私の担当した事件

・ご依頼者様 : 20代後半の女性

・ご依頼内容 : 旦那様からの暴言に耐えられないので離婚したいということで、離婚問題のご相談を受けていたのですが、奥様が他の男性とのお子様を妊娠してしまい、出産することになってしまいましたので、そのお子様との親子関係不存在の事件も担当することになりました。

 

なお、相手方 : 20代後半の旦那様、お子様 : 高校に通う息子様、中学校に通う娘様、小学校に通う娘様の合計3人、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 

2.嫡出否認は旦那様から訴えるもの

 

 前週のブログにて「嫡出否認」のケースをご紹介しましたが、嫡出否認は、奥様が勝手に出生届を提出した場合に、旦那様の側から、「自分の子供ではない」と訴えるケースになります。

 そのため、奥様の側から訴える場合には、嫡出否認の調停、裁判を起こすことはできず、親子関係不存在の調停や裁判を起こしてゆくことになります。

 

 今回のケースでは、奥様が出生届を役所に提出してしまいますと、旦那様との子供として受理されてしまいますので、出生届は提出せずに、親子関係不存在の調停を申し立てました。

 

 

3.親子関係不存在の調停

 

 今回の親子関係不存在の調停申立時に一番懸念していたのは、旦那様が出席しないのではないかという点、お子様との父子関係についてDNA鑑定に協力しないのではないかという点でした。

 

 しかし、旦那様としても明らかに自分の子供ではない者が、自分の子供として戸籍に登録されることを非常に嫌がっており、DNA鑑定等には積極的に協力を得ることができました。

 

 その当時のDNA鑑定の費用は、5万円程度で済みました。

 

 DNA鑑定の実施には、裁判所の協力を得ることができ、裁判所の調停室を利用して、鑑定業者を介して、円滑に鑑定資料の採取を行うことができました。

 

 

4.旦那様からの主張

 

 上記の通り、旦那様は、DNA鑑定には協力したものの、奥様と関係を持った男性を明らかにするよう執拗に迫ってきました。

 

 この点は、ご夫婦の別居から5年以上が経過しており、浮気にはならないことを理由として、相手の男性の情報を公開せずに済みましたが、この部分に関する旦那様とのやり取りには非常に神経を遣いました。

 

 

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嫡出否認の訴えで勝訴したケース

2015.11.27更新

 

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1.嫡出否認ってなんだ?

 

 嫡出否認と言う言葉は聞き慣れない言葉だと思いますので、簡単にこの用語についてご説明します。

 

 奥様が旦那様と婚姻し、離婚する前に身籠もった子供については、民法上旦那様の子供と推定されています。このことを嫡出推定と表現し、そのお子様のことを「嫡出子」と呼んだりします。

 

 嫡出否認は、このように自分の子供として届けられた子について、旦那様の側から実際には自分の子ではないと主張することを指します。

 

2.私が取り扱ったケース

 

 私が取り扱ったケースは、依頼者が60歳代後半の男性、奥様が30歳代前半のフィリピン女性で、奥様が旦那様に無断でお子様の出生届を提出したという事件です。

 

 この事件では、依頼者も奥様が別居を開始してから暫く経っていたこともあって、奥様の所在を確認することが容易ではありませんでした。

 

 そして、このように奥様の所在すら確認が困難なのですから、お子様と連絡を取ることなどほぼ不可能に近く、お子様のDNAを採取し、親子関係の存在しないことを客観的に裏付けることも困難なケースでした。

 

3.まずは、調停を申し立てた

 

 前述のように、お子様との親子関係の不存在について客観的証拠がございませんでしたので、まずは、家庭裁判所に調停を起こし、奥様が出席すれば、DNA鑑定の実施をすることも視野に入れて手続を進めました。

 

 なお、弁護士の調査権限にて奥様の所在はほぼ特定することができていました。

 

 この調停には奥様は結局出席せず、奥様欠席のまま手続は終了しました。

 

4.嫡出否認の訴えの提起

 

 前述のように、奥様が調停にも出席しなかったため、訴訟に出席する可能性はそれほど高くないと考え、親子のDNA鑑定は行えないことも視野に入れて裁判に臨みました。

 

 この裁判では、依頼者様の子供ではないことを、きめ細かく事実関係を重ねて主張してゆくことで説明してゆきました。

 つまり、ご夫婦が出会ったきっかけ、結婚の経緯から夫婦としての同居生活の実態、別居の経緯、別居後の交流頻度、奥様からの妊娠の報やその経緯等について、きめ細かく事実を述べてゆきました。

 

 裁判にまでなったため、奥様もマズイと思ったのか、裁判所に出席はしないものの、裁判所宛に主張書面は提出してきました。奥様の書面では、依頼者に対する不平不満が綴られていましたが、そのことが逆に夫婦の関係がぎくしゃくしていることの根拠になりましたので、このような記述は最大限活用しました。

 

 このようにきめ細かな裁判進行を行ったこともあって、この裁判では嫡出否認の訴えが認められ、奥様の方も控訴しなかったため、判決は確定しました。

 

5.雑感

 

 嫡出否認の訴えは、認められると、自動的に奥様の浮気も証明できてしまうため、浮気を否定する奥様は、嫡出否認の訴えにおいても積極的に争ってくるケースの方が多いように思われます。

 

 そして、裁判実務としては父子のDNA鑑定が決定的に重要な意味を持ちますので、裁判官もDNA鑑定の実施を強く求めてくる傾向があるものと言えます。

 

 上記のようにDNA鑑定なしに嫡出否認を認めてくれたのは、ケースとしては稀な方ではないかと思いました。

 

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養育費として学費全額150万円程度を支払わせたケース

2015.11.20更新

 

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1.離婚後のお子様の生活費のことはきちんと話し合いましたか? 


 

 

 ご夫婦が離婚する際、離婚すること、親権者をいずれにするかについては離婚届に記載しなければなりませんから、ご夫婦でもきちんと話し合いをすると思います。

 

 離婚しますとご夫婦は、法律上は「他人」となりますが、仮に奥様がお子様の親権者となって引き取ることになった場合でも、旦那様とお子様との父子関係がなくなるわけではありません。

 

 そのため、旦那様の収入が奥様の収入よりも高額であるような場合には、離婚後もお子様の養育費を請求することができます。

 早めに離婚したいし、旦那様も養育費を払うと口約束しているのだから、と言って離婚届けにサインをもらうだけではなく、きちんと養育費をいくらにするのか等についてご夫婦で話し合い、文書に残すことを強くおすすめします。

 

 

2.旦那様側がお子様の養育費として学費全額の支払いに合意したケース 


 

 

 養育費の金額をいくらにするのかを話し合う際には、お子様の高校・大学の入学金や学費をいずれがどの程度の割合で負担するのかという点も争われるケースが多いです。

 

 お子様が小学校にも進学していない年齢などの場合には、「長男○○の進学・病気・事故等特別の出費を要する場合には、その負担につき甲乙間で別途協議する。」といった約束をすることが多いと思います。現時点では、お子様が今後どのような中学校、高校に進学し、どのくらいの入学金・学費がかかるか分からないため、このような定め方をすることが多いのです。

 

 これに対して、中学・高校・大学などに既に通学しており、毎年の学費が現実に発生しているという場合には、学費の分担についての話し合いが重要な問題になります。

 

 

3.私が担当した事件        


 

・ご依頼者様 : 50代後半の女性(Jさんと言います)

・ご依頼内容 : 旦那様が浮気を繰り返しており、注意しても浮気が収まらないために離婚したい、目下、大学在学中のお子様の学費の支払いがあるため、学費の納付期限までの間に速やかに学費分の養育費を受け取りたいとのご依頼内容でした。 

 

なお、この事件の相手方 : 60代前半の旦那様、お子様 : 就職済みの息子様と大学3年生在学中の息子様の合計お二人、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 

4.養育費は何歳まで支払うのか。


 

 まず、この事件で議論の対象になったのが、二男はもう成人しているので養育費を支払う必要があるのかという点でした。

 

 この離婚の問題が浮上する前は、旦那様も二男に対して仕送りをしていましたのですが、Jさんから離婚を切り出した途端、養育費の支払いを渋るようになっていました。

 

 この点については、二男が成人後も仕送りを続けていたことを論拠として、22歳までの養育費の支払いを約束させることができました。

 

 

5.学費の負担について 


 

 より大きな問題になったのが、二男の学費の負担でした。旦那様が二男の大学3年次の前期授業料は支払っていたのですが、後期授業料の支払いはしていなかったため、その負担が問題となったのです。

 

 当初旦那様側は、授業料の半額を支払うと主張していたのですが、Jさんのパート収入では残りの授業料半額の支払いが難しいこと、二男の通う大学の入学は旦那様の推薦もあったので志望したといった事情を繰り返し説明し、大学3年次の授業料全額及び4年次の授業料全額の支払いを約束させることができました。

 

 

6.養育費を獲得するコツ

 


 

 旦那様が養育費の支払いを渋る最も多い理由は、「そのお金が結局妻の生活費に充てられる危険性があるから」という点かと思われます。

 

 特に離婚するかしないか、離婚の条件等で激しく争った場合、旦那様は、奥様に対して極力金銭を支払いたくないと考える傾向が強いように思われます。

 

 ですので、その様な場合に養育費を支払わせるコツは、お子様の生活費に利用されるという点を旦那様に十分に理解してもらうことですが、具体的には、お子様との面会交流を活用することが多いです。

 

 旦那様からしてみれば、お子様に十分に会うこともできないのに、養育費を支払わなければならないというのは納得しがたいと言うことが多いので、逆にある程度面会交流を大目に見ることは、養育費の支払いを引き出す重要な要素になるように思われます。

 

 もちろん、法律的には養育費と面会交流は別の問題ですし、本来両者を絡めて議論する話ではないのですが、面会交流を通して旦那様もお子様への愛情を再確認することになりますので、養育費支払いに応じやすくなる傾向があると思います。

 

 また、養育費の振込先口座をお子様名義の口座に指定するという方法も、旦那様の感情に配慮した手法ではないかと思われます。

 

 さらに、お子様が通う学校について旦那様の意見が反映されている場合には、授業料等の支払いに応じやすくなると思われますので、ご夫婦の関係があまり良好ではない場合であっても、お子様の志望校については十分に相談して決めておいた方がよいように思われます。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

決定版!これが不倫の証拠だ!

2015.11.13更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

特に夫婦関係に問題はないと思っていたのにふとしたことから旦那様の浮気が分かったということもあるかと思います。では、その様な旦那様の不倫については、どのように証明してゆけばよいのでしょうか。

 

 

 

1.浮気の証拠って?


 

 

法律上「浮気」については「不貞」などと表現しますが、これを証拠で証明するためには、端的には、旦那様が不倫相手と肉体関係を持ったことを証明する必要がありますたまに、「旦那からの愛情を感じなくなったのですが、旦那は浮気しているのではないでしょうか?」等抽象的なご質問を受けるときもありますが、肉体関係を伴うかなり決定的な証拠があった方が望ましいものと言えます。

 

しかし、肉体関係の直接の証明として、海外などでは、①ラブホテルの寝室に旦那と他の女性が着衣を纏わずに一緒に寝ている写真や②不倫相手の自宅の隣室から不倫相手と旦那が体を重ねている様子を撮影した写真などが証拠とされることもあります。しかし、プライバシーの問題もありますので、日本でこれだけ直接の証拠を入手することはほぼ不可能と言えます。

 

そこで、実際の裁判などで争う場合にも以下のような証拠が、不倫の証拠になり得ます。

 

○配偶者が他の女性と一緒に夜間にラブホテルに入った様子と翌朝出たところを撮影した写真

 

○ひとり暮らしの不倫相手の自宅に配偶者が宿泊したことを示す証拠

 

○ラブホテル利用が記載されたLINEやチャット、SNSの不倫相手とのやり取り

 

○ラブホテルでの待ち合わせや利用後の感想などについて記載した不倫相手とのメール

 

○配偶者が不倫相手と二人で宿泊を伴う旅行をしたことを示す証拠

 

○不倫相手が自身の裸等を自撮りした写真付きメールや写真データ

 

○配偶者本人が不倫を詳しく告白した録音テープ

 

○配偶者本人が不倫の経緯等について詳しく記載して署名押印した謝罪書面や誓約書

 

○不倫相手が不倫を詳しく告白した録音テープ

 

○不倫相手が不倫の経緯等について詳しく記載して署名押印した謝罪書面や誓約書

 

 

 

2.不倫の証拠として十分か十分ではないのか


 

 

このブログをご覧になっている方は、「一度も裁判所に行ったこともない」という方も多いと思います一般の方が考えているよりも裁判所が不倫の証拠として認めてくれる範囲は厳格ですので、ご自身では不倫の決定的な証拠をつかんだとお考えでも、実際には裁判の証拠としては十分ではないということもあります。

 

また、上述したような証拠をいくつも集められるというケースは非常に少なく、上記で例示した証拠の1つか2つしか集められないというケースが大半かと思われます。

 

その様に不倫の証拠は不倫の被害に遭われた奥様が集めて下さった貴重な証拠ですから、その証拠が不倫の証拠として十分なのかという点は非常に重要なポイントになります。また、一つのカテゴリーの証拠を大量に入手できる場合もありますが(たとえばチャットの詳細なやりとりを収集できたので、全体で数十ページ分になるとか)、証拠は量よりも質を重視する必要があると思いますので、この点の精査も必要になります。

 

以下では、各証拠の類型に応じて、注意すべきポイントを簡単にご説明いたします。

 

①写真

その写真に写りこんでいるのが誰なのか、どんな体勢なのか(後ろ姿なのか等)、どんな場面なのかという点も重要ですが、その写真の写り具合についても十分に注意を払う必要があります。

 

ホテルへの入退室の写真を例にしてみましても、被写体は歩いていますし、調査会社が撮影した場合には被写体に発覚しないように撮影しますので、一定のブレが生じることがあります。その程度が大きいものですと、裁判の際に、旦那様が髪型等を大きく変更して、「自分の写真ではない」と言い張る可能性が出てきます。

 

また、写真に日付を印字できるようでしたらカメラの機能として、日時を印字しておくと、後から写真撮影日時を争われるリスクは減ります。

 

 

②LINEやチャット、SNSの不倫相手とのやり取り

こちらについては、もちろん、その内容が非常に重要なのですが、チャット等は相手とのやり取りが重要なので、旦那様側のチャット内容だけではなく、不倫相手からの返事等全体の流れにも注意を払う必要があります。

 

また、そのやり取りから想定される場面についても注意して下さい。たまに不倫旅行に出かけたと思っていたら、大学のサークル仲間数人での旅行だったということが分かると言ったケースもあります。

 

さらに、旦那様が不倫相手のことをどのように呼んでいるのか、チャットの頻度等チェックすべき項目があります。

 

 

③旦那側からの誓約書や謝罪文

これについては人によって非常に両極端なように思われます。ある方は、旦那がもう不倫をしないと約束しているのだから、1行「もう今後浮気はしません」とだけ書かせたり、そうではなくても、B5便せん1枚程度のもので済ませる方もいれば、10枚以上の謝罪文を要求している方もいらっしゃいます。

 

あまり簡素なものは望ましくありませんが、浮気の経緯、浮気の期間や回数、今後についてどう考えているのかと言った点について具体的に書かせることが必要だと思います。

 

 

 

3.迷ったら弁護士に相談してみる


 

 

ご自身で証拠と向き合っていても、十分なのかどうかの結論が出ないということも多いと思います。

 

相手に対して不倫を理由として離婚を考えているだとか、慰謝料を取りたいという場合には、できる限り早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。特にチャットなどについては、内容に応じて不倫の証拠として十分なのかどうかの見極めが難しいケースも多いので、慎重な対応が求められます。

 

私は、初回法律相談を完全無料にて対応しております(ご相談の途中から有料になるとか、ご相談にお見えになったら弁護士に依頼しなければならないということは絶対にありません)ので、是非お気軽にご相談下さい。

 

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まずはお気軽にご相談ください


 

 

弁護士に会って相談することは、少し勇気のいることかもしれませんが、ほとんどの方が「弁護士と話をするのが初めて」という方ばかりです。

 

費用のことや依頼する場合の流れ、注意点など不安なことがあれば無料相談で解消いたします。

 

平日は夜間22時までご相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にご予約をいただければ幸いです。

 

 



 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV特集(5)―保護命令の要件

2015.11.06更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

前回に引き続きDVについてご説明してゆきたいと思いますが、今回は、DVの事件における保護命令の要件についてご説明いたします。

 

1.保護命令の要件は一般の方が思っているよりは厳しい

 

 DV被害者の方がご相談に来られる際、保護して欲しいので保護命令の申請をして欲しいと要望される方がかなりの数いらっしゃいます。

 

 だいたい、私のところにご相談に来られる方は、警察署やウィメンズプラザなどの配偶者暴力相談支援センターの支援を受けておられる方が大半なので、「保護命令」という言葉についてはご存じの方が多いです。

 

 ただ、保護命令の発動条件は法律で厳しく定められていますので、注意が必要です。

 

 なお、DVの保護命令の要件としてご夫婦もしくは内縁者という要件があるのですが、ここでは、内縁者の意義の説明は割愛させていただき、ご夫婦の問題であることを前提に説明させていただきます。

 

2.DV加害者からの暴力もしくは脅迫

 

 一方の配偶者から何の暴力も脅迫もなければ、そもそもDVではないので、当たり前の要件のようにも見えますが、そう簡単ではありません。

 

①客観的証拠の有無が非常に重要

 

 まず、暴力について説明しますと、暴力を受けたことを裁判所に対して証明しなければなりませんので、診断書や傷口部分を撮影した写真といった客観的証拠を求められることが多いです。最近は客観的証拠がなくても、保護命令を発令してくれるケースもありますが、少数ですので、基本的には客観的証拠が必要とお考えになった方がよいと思います。

 

 このことは、脅迫の被害を受けた場合も同様です。特に、これまで暴力を受けたことは一度もなく、脅迫を受けたことがあるのみというケースでは、録音テープなどの客観的証拠が必要不可欠になると思われます。

 

なお、「客観的証拠」というのは、ご本人の証言や目撃者の証言、ご親族や友人の証言といった「言葉による証拠」(これを「主観的証拠」と言ったりします)と区別される概念で、今回の場合には診断書や写真、録音テープなどが該当します。

 

②単なる暴言は除かれる

 

 DVの保護命令の要件は「脅迫」にあたる必要があり、この脅迫の内容としては、DV加害者の生命又は身体に危害を加える旨の告知でなければなりません。

 

 つまり、単なる誹謗中傷では足りず、「ぶっ殺してやる」といった形の危害を加える旨の発言がなければなりません。

 

③今後危害を受ける危険性が必要

 

 また、「今後も暴力によってDV被害者が危害を加えられる危険性がある」ということも要件になっています。

 

 この要件で実務上問題点となるのが、①直近の暴力の時期と②これまでの暴力の継続性だと思います。例えば、大怪我をさせられたことがあったとしても、それが2年も前の話でしたら、今後も暴力被害を受ける危険性が高いということを裁判所に納得してもらうことは難しいように思えます。また、最近暴力を受けたケースであっても、例えば、これまでの数十年にわたる婚姻期間で一度も暴力をふるったことがなかった旦那様が、リストラにあったことを理由に奥様から執拗に責め立てられて、カッとなって一度だけ暴力をふるってしまったという場合では、今後も暴力をふるう可能性は低いと判断される場合もあり得ます。

 

3.退去命令は一般的に更にハードルが高い

 

 上記のような保護命令の条件を満たした場合、接近禁止命令は発令されても、退去命令までは発令されないということは相当数あります。

 

 退去命令は、DV加害者に対して、2ヶ月間自宅に入るなと命じる内容になりますので、DV加害者にとっては一定期間生活の本拠に戻れないことになりますから、その不利益は大きいものがあります。

 

 そのため、退去命令発令については慎重になる裁判官が多いように感じます。

 

4.お子様やご親族様への接近禁止命令

 

 まず、お子様への接近禁止命令については、お子様を連れ戻す旨の言動その他DV被害者がDV加害者との面会を余儀なくされるおそれがある時にのみ認められます。

 

 そもそも、DV法は、DVの直接の被害者の保護を目的としていまして、お子様の直接の保護までは目的としていません。

 

 そのため、お子様が連れ去られるなどすれば、DV被害者としては、お子様を帰してもらうためにDV加害者との面会を余儀なくされるでしょうから、そういった場合(DV被害者本人がDV加害者との面会を余儀なくされることで更なる暴力を受ける危険性がある場合)にのみ、お子様への接近禁止命令が認められるのです。

 

 同様にご親族への接近禁止命令についても、その親族の住居に赴き粗野又は乱暴な言動をしており、DV被害者がDV加害者との面会を余儀なくされるような場合にのみ認められます。

 

 つまり、例えば、頻繁にDV加害者が、DV被害者の実家まで押しかけて、大声で叫ぶということを繰り返す場合、DV被害者としては実家にこれ以上迷惑をかけまいと、DV加害者に面会することを余儀なくされることになりますので、これを防止するという限度でご親族への接近禁止命令が認められるのです。

 

 たまにDV被害者ご本人やお子様はシェルターへ避難したけれども、DV被害者のご両親は、シェルターに入っていないという場合、そのご両親について接近禁止命令を申請して欲しいとのご相談を受けることがありますが、これはできません。

 あくまでDV被害者を直接の保護対象にしておりますので、DV被害者に対する接近禁止命令の申請とセットでなければ親族への接近禁止命令を申請することはできないのです。

 

4.そのほかの要件

 

 最後に形式的な要件にはなりますが、DV被害者の方は配偶者暴力相談支援センター又は警察署に一度は相談をしていることが必要であり(これに代えて公証人による宣誓供述書を用意することでも構いません)、また、ご親族の接近禁止命令をも申請する場合には、そのご親族の同意書を用意する必要があります。

 

5.DVの案件は発動条件も複雑なので専門家に相談するのが安心

 

 以上のように、DVの案件は保護命令の発動条件などが複雑ですので、専門家に相談して手続を進めてゆくのが安心だと思います。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV特集(4)―保護命令とは?

2015.10.30更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

前回に引き続きDVについてご説明してゆきたいと思いますが、今回は、DVの事件における保護命令というのがどのようなものなのかについてご説明いたします。

 

1.保護命令って? 

 

 簡単にご説明しますと、保護命令とは、DV加害者からの接触を断つために、一旦自宅からの退去を命じたり、DV被害者につきまとうことを禁止する命令を裁判所が発するという制度になります。

 

 たまに、弁護士がDV加害者の接触を断つための命令を発する制度であると誤解されている方がいらっしゃいますが、保護命令を発令するのは裁判所になります。弁護士は、保護命令を発令するよう裁判所に申立をする立場になります。

 

2.保護命令でどんなことができる?

 

 DV保護法における保護命令のメニューとしては以下のようなものがあります。

①2か月間DV加害者を自宅から退去させる(「退去命令」などと呼んだりします)

②6か月間DV被害者の付近につきまとうことを禁止する(「接近禁止命令」などと呼んだりします)

③6か月間DV被害者のお子様の付近につきまとうことを禁止する

④6か月間DV被害者のご親族の付近につきまとうことを禁止する

 

 ①の退去命令は、DV被害者が円滑に別居生活を開始できるよう、DV加害者を自宅から退去させ、DV被害者が自宅の荷物の整理や運び出しができるようにするための命令です。

 ②の接近禁止命令には通常、以下のような電話等による接触禁止も付加するのが一般的です。

 

1 面会を要求すること。

 

2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知りうる状態に置くこと。

 

3 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

 

4 電話をかけても何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。

 

5 緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。

 

6 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

 

7 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

 

8 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

 

 上記の通り保護命令のメニューは大まかには4つあるのですが、事件の性質に応じて、その内の1つないし2つの申立をするのが一般的です。

 

3.保護命令の効果

 

 直接的には、裁判所がDV加害者に対して前述のような接近禁止等を公的に命令することになります。

 

 そのため、一度保護命令が発せられると、DV加害者の方もDV被害者の周辺につきまとうということはケースとしては少ないと思います。

 

 ただ、万が一この命令に違反するようなことがあった場合刑事罰(具体的には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が課せられることになります。

 

 たまに、接近禁止命令は、DV被害者に近づけないようDV加害者を逮捕してくれる制度だと勘違いしている方がいらっしゃいますが、これは誤解です。DV加害者が保護命令に違反して付きまといを続けるなどした場合には逮捕されることもあり得ますが、命令に違反しない限りは、DV加害者も通常通りの生活を送ることが出来ます。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

DV特集(3)―DVにおける保護メニュー

2015.10.23更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

前回に引き続きDVについてご説明してゆきたいと思いますが、今回は、DVの事件における保護メニューとしてどのようなものがあるのかについてご説明いたします。

 

1.シェルター保護

 

 これは、弁護士が何かの申立をするという色彩のものではないのですが、DV被害者の方にとって一番重要なのは、DV加害者との接触を断つことだと思います。

 

 そのためにはシェルターを利用することが非常に有効です。

 

 配偶者暴力相談支援センターや警察署に相談すると、シェルターへの連絡も取ってくれますので、身の危険があるような場合には、シェルターの利用もご検討下さい。

 

2.弁護士による通知

 

 前述のシェルターへの避難は、その後、被害者の方がご本人でアパートを借りるなどして生活してゆくことが前提になっておりますので、ご実家での生活を希望されているとか、ご親戚の所有物件に転居したいといった場合には、あまり有効ではありません。

 

 また、既にDV加害者の知らないところに転居済みであれば、シェルターへ避難する必要性が薄いと言うこともあると思います。

 

 それらのような場合で、かつ、DV加害者がDV被害者の所在を探し回っているような場合には、それを牽制する意味も込めて、弁護士から通知を送るということが考えられます。

 

 この通知には、もちろん、離婚の意向と離婚の条件を記載するのですが、それに加えて、以下のようなことを記載して、被害者の方の安心感を持ってもらいます。

 

①被害者の所在を調べようとしないこと、

②弁護士が窓口になるので被害者と直接交渉しないこと、

③被害者は携帯電話の電話番号及びメールアドレスを着信拒否設定にしたので連絡が取れない状態であること

 

3.保護命令の申立

 

 詳しくは次回のブログでご説明いたしますが、前述のような弁護士からの通知を送っても、DV加害者が守らない危険性があるといった場合には、裁判所に保護命令を申し立てることを検討する必要があります。

 

 保護命令は、簡単にご説明しますと、DV加害者からの接触を断つために、一旦自宅からの退去を命じたり、DV被害者につきまとうことを禁止する命令を裁判所が発するという制度になります。一度DVの保護命令が発せられると、これに違反したDV加害者は、刑事罰が課されることもありますので、強力な手段になります。

 

4.暴力罪や傷害罪での告訴

 

 これは、DV行為について直接刑事罰を求めて行く手段になります。具体的には警察署に被害届を提出したり、告訴状を提出してゆくことになります。

 

 最近、警察署は、家庭内でのDVに対する意識が向上していますので、DV被害を受けた直後にDV被害者が直接警察署に相談に行くと、被害届の受付やDV加害者の逮捕につき積極的に動いてくれることが多くなっています。

 

 ただ、刑事告訴の難点は、DV加害者の拘束期間が長くなっていまいますと、失職の危険性が高まるという点にあります。

 

 DV加害者が失職してしまいますと、今後の婚姻費用や養育費の請求が難しくなる面がありますので、この点を考慮することが可能でしたら、検討要素に加えた方がよいと思います。

 

 なお、弁護士が事件を担当することになった場合に、刑事告訴状を作成することも可能ですが、前述のような失職の危険性も考慮して、DV被害者の方のみの安全確保という観点からはシェルターの利用か保護命令の申立を検討することが一般的かと思われます。

 

5.その後の離婚手続き

 

 通常、私などがDVの事件を担当することになった場合、保護命令の申立等だけではなく、離婚の手続きについてもお手伝いさせていただいております。

 

 前述した通知を送り、DV加害者が交渉に応じてくるようであれば、協議離婚によって事件を解決することも可能ですが、通常DV加害者の方は、交渉に応じない方が多いので、離婚調停を申し立てることの方が多いです。

 

 離婚調停で解決しない場合には、離婚訴訟を起こすことになります。

 

 いずれにしましても、離婚の最終結論が出るまで手続にお付き合いさせていただきますので、ご安心してご相談いただければ幸いです

 

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