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【絶対に離婚したくない(3)】現状の立ち位置を知ろうーケース別復縁難易度

2019.05.13更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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1.ケース別復縁難易度って?


 

 私は、離婚回避・夫婦関係修復のご相談を受けることも多いのですが、ご相談を受けた時点で、どこまで状況が悪化しているのか、一定のケース分けができることに気付きました。

 もちろん、以下は、ケースごとの難易度を目安としてお示しするものであって、「このケースであれば夫婦関係修復確実」などと保障するものではありませんので、この点はご留意の上ご覧いただければと思います。

 

 

2.ケース分け


 

 あなたが起こっている事態に応じて、離婚に向けての深刻度を類型化することができますので、具体的には以下のようにケース分けして解説していきます。

 

①相手(妻又は夫)から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②相手から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③相手から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④相手から別居の提案があって、話し合いが決裂、相手が突如別居を開始した

⑤相手から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けていない)

⑦相手(別居中)の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けている)

 

 なお、これら①から⑧は相手が順を追ってこのような手続きを踏むというわけではなく、いきなり⑤と⑧から手続が進むと言うこともあります。そのため、現在あなたが置かれている状況が①から⑧のどの状況なのかを確認して、該当の解説をご覧下さい。

 

 

3.【ケース①または②】相手から、別居または離婚の提案があった


 

 上記のケース分けで①または②に該当するケースです。実際に相手が別居を開始していない段階ですので、上記のケース分けの中では深刻度が一番低い類型になります。

 上記の③から⑧にまで発展していない段階ですので、あなたが対応を誤らなければ十分夫婦関係の修復も期待できる段階と言えます。

 

 ただ、この段階でも、真剣に相手が離婚を切り出してきている場合や、両親等も交えた話し合いを提案してきているような場合には、あなたも空いての声に真剣に耳を傾けないと、別居を実行されてしまうリスクもありますので、その意味では慎重な対応が必要になります。

 また、ここでのあなたの対応が相手を更に傷つけてしまいますと、別居や離婚を決断させる引き金になってしまう可能性もありますので、その点に注意する必要があります。

 

 なお、相手から別居の提案が出されただけというケース(①のケース)と、更に踏み込んで離婚の提案までなされたケース(②のケース)とでは、②の方が多少深刻度が高いということになります。

 また、相手からこのような提案がなされるのが今回が初めてではない、という場合には、深刻度は増しますので、この点にも注意が必要です。

 

 

4.【ケース③】相手から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中


 

 何か別居の引き金になるような出来事が起こって、お互いに冷却期間を置いた方が良いということで、あなたも承諾して別居を開始したというケースです。

 例えば、あなたがついカッとなって奥様に手を出したところ、当たり所が悪くて怪我をしてしまったというときに、お互いに話し合いをして、一時的に奥様が実家で暮らすことにしたというようなケースとか、旦那様があまりに仕事が忙しく、そのストレスで家庭内でもイライラすることが多いので、話し合って、一旦、旦那様だけ社員寮で暮らすことにしたといったケースがこれに当たります。

 いわゆる「ほとぼりが冷めるまで別居する」という内容ですので、あなたが対応を誤らなければ夫婦関係修復も期待できる段階と言えます。

 

 このようなケースでは先ほども解説しましたとおり、別居の引き金になるような出来事が起きていることが多いので、あなた自身もそのような出来事を振り返り、そのこととしっかりと向き合って対応する必要があります。

 ちなみに、相手のことを疑い始めてしまいますとキリがないのですが、残念ながら、冷却期間のための別居だと言いつつ、実際には、そのまま戻ってこないというケースもあります。そのような場合には、相手が別居したいということは伝わってくるものの、別居したい理由があいまいだというケースが多いので、そのような場合には、「別居前にじっくりと話し合おう」ということで、あまり別居に応じない方が望ましいと言えます。

 

 

5.【ケース④】相手から別居の提案があって、話し合いが決裂、相手が突如別居を開始した


 

 このケースは、相手から別居の提案があったという点ではケース③と同じですが、話し合いが上手く行かず、相手が別居を独断で実行したケースになります。

 このような相手の行動心理としては、「話をしていても埒があかないので、最終的には承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース①から③よりも慎重な対応が必要になります。

 

 このようなケースでは、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 もちろん、別居後も相手から連絡があり、あなたからの連絡に対して相手からの返答もあるようでしたら、相手との直接の話し合いを模索してみても良いかもしれません。それが逆効果になりそうな場合や、相手との直接の話し合いを模索してみたけれども、なかなか難しいという段階で他の方を間に入れることを検討してみて下さい。

 

 

6.【ケース⑤】相手が何の提案もなく突如別居を開始した


 

 このケースは、相手が突如別居を始めたという点はケース④と同じですが、相手が事前に別居の提案をしてこなかったケースになります。

 このような相手の行動心理としては、「直接話をしていても埒があかないので、承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース④よりも慎重な対応が必要になることが多いと思います。

 

 ただ、ケース④よりも深刻度が高いかというと、事前に話し合いをするかは、相手の性格やこれまでのご夫婦での話し合いや夫婦関係等による影響もありますので、あまり深刻度はケース④と変わらないというケースもあります。

 このケースでも、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 

 なお、あなたとしては、相手が何の相談もなく勝手に出ていったことに対する怒りの感情を持つかもしれませんが、そのような怒りの感情に支配されて行動してしまいますと、夫婦関係修復の道は遠のいてしまうと思いますので、冷静な対応が必要かと思われます。

 

 

7.【ケース⑥】家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けていない)


 

 このケースは、あなたが普段通りに生活していたところ、突如離婚調停の通知が郵便で届いてしまったというケースになります。

 このケースは更に、①相手が別居した上で、暫くしてから裁判所の書類が届いたケースと、②相手が同居しながら(家庭内別居のまま)裁判所の書類が届くケースに分けることができます。このケース⑥-①の方が、⑥―②よりも深刻度が高いことの方が多いのですが、相手としては色々な事情があってケース⑥-②を選ばざるを得なかったということもあります。例えば、別居資金が不足しているとか、お子様の学区を変更しない場所で別居先を見付けることができなかった、この自宅に住み続けたいとの要望が強いといった事情が考えられます。そのような事情がある場合には、ケース⑥-①もケース⑥-②も深刻度はあまり変わらないと思います。

 

 このケースでは相手が弁護士を立てていないものの、裁判所での話し合いを希望している段階ですので、離婚意思が強いケースが多いと思います。

 この段階にまで発展してしまっていますと夫婦関係修復の難易度はかなり高いと思いますので、夫婦関係修復を希望するのであれば、誠意をもって調停に臨むことをオススメします。

 

 

8.【ケース⑦または⑧】相手が弁護士を付けた


 

 相手が弁護士を付けて離婚を要求してきたケースです。弁護士が手紙を送ってくるケース(ケース⑦)と、弁護士の判子が押された調停書類が裁判所から届くケース(ケース⑧)とがあります。

 ケース⑦とケース⑧どちらの深刻度が高いのかという点ですが、一般的にはケース⑧の方が深刻度が高いのですが、事件の方針として交渉から着手するか調停から着手するかは弁護士の普段の事件処理方法によるところも大きいので、必ずしも深刻度に差があるとは限りません(より分かりやすく言いますと、弁護士によっては「離婚事件は常に離婚調停の申立からスタートする」という事件処理をしている弁護士もいるということです)。

 

 このケース⑦または⑧になりますと、相手は弁護士にお金を払ってでも離婚したいという決意を持っているわけですから、離婚の覚悟は相当固いと考えた方が良いと思います。

 また、この段階にまで発展してしまっていますと、奥様が専門家である弁護士を付けているので、あなたとしてもミスが起きないよう弁護士を立てることを考えた方が良いと思います。

 

 

9.まとめ


・夫婦関係の悪化の状況に応じて復縁難易度には差が生じる。

・一般的には以下の数字が大きくなるほど復縁難易度は上がる傾向がある。

①相手から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②相手から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③相手から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④相手から別居の提案があって、話し合いが決裂、相手が突如別居を開始した

⑤相手から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けていない)

⑦相手(別居中)の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けている)

・上記の①から⑧はあくまで目安なので、ご家庭の状況によっては復縁難易度に差が生じ得る。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(8)】相手が弁護士を立てると、本人と直接話もできないのか?

2019.04.22更新

弁護士秦

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1.突如相手が弁護士を立てたという連絡


 

 相手配偶者が自宅を出て行って暫くしたところで、その弁護士を名乗る人物から手紙が届くということが実際に起こります。あなたにも、急にこのような手紙が届けば当然驚くことかと思います。

 

 ただ、相手が付けた弁護士は、別にあなたを驚かせようとしてやっているわけではなく、弁護士が間に入ったという挨拶も含めて書面を送っているということになります。もちろん、あなたが受け取った文面には挨拶どころか、相手が同居期間中どれだけ苦労してきたのか、といった話が記述されており、納得いかないと思われる部分もあるかと思います。ただ、弁護士が何か行動を起こす場合、急にあなたに電話連絡をしても、最近は振り込め詐欺等が横行している時代ですので、あらぬ誤解を招く危険性があります。そのため、まずは書面にて通知するという形が一般的に取られているのです。

 

 そして、このような弁護士からの書面には通常「今後は当職が窓口になったので、奥様への直接のご連絡はお控え下さい」といった文章が含まれることが多いです。

 

 

2.相手と直接会って話をすることは不可能なのか?


 

 たまに、私のところにご相談に来られる方の中には「『直接会うな』なんてけしからん。そんなことを向こうが決める権限はないから、私は本人に直接連絡を取り続けます」とおっしゃる方もいます。

 それでは、相手弁護士の言うことを聞かずに、相手に連絡を取り続けた場合、どのようなデメリット等があるのでしょうか。

 

(1)【デメリット1】相手を頑なにしてしまうリスク

 弁護士は、相手本人に対して、「もし電話がかかってきても電話に出ないで下さい」とアドバイスしていることが多いです。

 それにも関わらず、あなたが相手へと電話やメールを送り続けてしまいますと、相手からしてみると「直接話をしたくないという私の気持ちを考慮していない」とか「弁護士を立てているのに直接連絡してくるなんて信じられない」と思われるリスクがあります。

 そうしますと、相手はより気持ちが頑なになってしまい離婚の決意を固めてしまうリスクがあります。

 

(2)【デメリット2】相手に有利な証拠として利用されてしまうリスク

 また、あまり頻繁に電話等をかけてしまうと、相手の弁護士から「ストーカーまがいの行動はやめて欲しい」といった文書が届くケースもあります。

 このような場合、相手の弁護士は、あなたからの着信数やメール、LINEメッセージの内容等を入手して、必要に応じて、あなたに不利な証拠として提出してくることがあります。

 要するに、同居しているときから執着心や嫉妬心が強かった、そのため、弁護士を立てたのに頻繁に直接連絡を取ってきており、異常であると言ってくる可能性があるのです。

 そうなってしまいますと、あなたからの頻繁な電話等の着信履歴は、相手の主張の裏付けとなってしまうのです。

 

(3)【デメリット3】相手本人から「怖い」と主張してくる発端になるリスク

 あまりあなたの方から頻繁に相手本人に対して電話連絡等をしてしまいますと、「ストーカーのようだ」という言い分が出されるリスクが出てきます。

 それとともに、電話連絡だけではなく、こちらの居場所を探ろうとしているのではないか等々恐怖を覚えているという言い分を生み出す危険性があります。

 

(4)【デメリット4】ストーカー規制法で対応されるリスク

 ストーカー規制法は、夫婦間でも適用されます。また、離婚に関連するトラブルが増加傾向であることは警察も認知していますので、ストーカー規制法違反の相談があった場合には、厳正に対処する傾向が強まっています。

 そのため、あまり相手本人への連絡頻度が高かったりすると、警察からストーカー規制法違反での警告を受けてしまうということもありますので、注意が必要です。

 

(5)以上のようなデメリットがありますので、相手に弁護士が立っているのに、本人に直接連絡を取ることは避けた方が良いと思います。

 

 

3.それでは、相手の弁護士に要求することは?


 

 次に考えられるのは、相手の弁護士に対して「しっかりと本人と向き合って話ができていないので、直接会って話をする機会をセッティングして欲しい。弁護士さん立会でも構わないので、お願いしたい」という要望を伝える方法です。

 残念ながら、相手の弁護士に対して、相手本人と一対一で話をしたいと伝えても、断られる可能性が非常に高いです。

 そのため、「弁護士さん立会でも構わない」ということを伝えた方が良いと思います。

 それでも、断られてしまうリスクは高いのですが、 何も伝えないよりは、あなたが直接話したいと考えていることは相手に伝わりますので、このようなアプローチはした方が良いと思います。

 

 

4.こちらも弁護士を立てれば、相手と直接会いやすくなるか?


 

 それでは、あなた自身も弁護士を立てれば、相手と直接会って話をする道筋は付けやすくなるのでしょうか。

 この点は、正直に言いますと「あまり確率は上がらないと思います」という返答になります。

 

 もちろん、私も弁護士なので、相手の弁護士に対しては直接相手本人と会って話をしたい旨伝えますが、無理強いさせることは難しいというのが現状です。

 そのため弁護士を立てたから、相手本人と直接会う確率が上がるということにはなりません。

 

 

5.どうして弁護士は会わせたくないのか?


 

 前述のように、相手が弁護士を立てると、その後、相手本人と直接会って話をすることは、かなり難易度が高いというのが事実です。

 ただ、あなたとしては、「急に出て行かれて、これでは気持ちの整理が全くできない」とか「夫婦なのに、一言も離婚や別居の相談もなくて、こんなのはおかしくないですか」「これだけ会いたくないって、何か向こうに後ろ暗いこと(実は浮気しているとか)があるんじゃないか?」などと色々と考えてしまうかと思います。

 そもそも、どうして相手の弁護士は、本人と会わせないようにするのでしょうか。

(1)【理由1】直接やり取りするなら弁護士がいる意味がない

 離婚のケースでは、夫婦間で直接やり取りをしたくないので、弁護士に間に入ってもらうというケースがかなり多いです。

 それなのに、簡単に直接のやり取りを認めてしまいますと、依頼者としては「これでは弁護士を頼む意味がないじゃないか」と感じてしまうと思います。

(2)【理由2】直接やり取りすると混乱する危険性がある

 直接のやり取りを認めてしまいますと、本人の言っていることと弁護士が言っていることとが、違ったニュアンス等で伝わってしまうこともあります。

 そうしますと、本人はこう言っているのに、弁護士は違うことを言っている、というように話し合いが混乱してしまうリスクがあります。

(3)【理由3】弁護士としてはトラブルを避けたい

 一対一で会う席を設けると、その際に暴力沙汰になるなど、依頼者の身に危険が及ぶリスク等が生じるケースもあります。

 いずれにせよ、トラブルが生じる危険性を冒す理由がない、ということで「会わせない」というスタンスの弁護士が多いのも事実です。

 

 

6.まとめ


・相手が弁護士を立てているのに、本人に直接連絡を取ることには以下のようなデメリットがある。

 ①相手を頑なにしてしまうリスク

 ②相手に有利な証拠として利用されてしまうリスク

 ③相手から「怖い」と言われる発端になるリスク

 ④執拗な連絡を取ってしまうと、ストーカー規制法違反で警告を受けるリスク等がある。

・そのため、相手の代理人弁護士宛てに連絡を取って、直接会うことを要望した方が良い。

・相手の弁護士も一定の理由があって断っているケースが多い。

 

 

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【弁護士が解説】突如妻から離婚要求―黒幕は、妻が雇った弁護士か?

2019.04.15更新

弁護士秦 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、>妻からの理不尽な離婚要求に対する旦那側の総合サイトはこちら<になります。

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1.私のところに相談に来られる旦那様からのご発言の中にも…


 

 私のところにご相談に来られる旦那様は、皆様お考えは異なるものですし、言い分や事情等も異なる部分が多くあります。

 ただ、ご相談を聞いておりますと、旦那様側から「心優しい妻がこんな事を言ってくるとは思えない。妻が付けた弁護士がいけないんだ」とか「妻が付けた弁護士が全てをぶち壊した」という意見や、更には「妻の弁護士は金目当てで離婚を唆しているので許せない」というお話しが出ることもあります。

 

 それでは、妻側の弁護士が黒幕と言うことはあり得るのでしょうか。

 私も、奥様側から離婚の弁護をすることもございますので、そのような経験も踏まえて解説していきます。

 

 

2.「弁護士は敷居が高い」ことから分かること


 

 私の弁護士経験は13年以上(平成31年4月時点)ですが、弁護士をしておりますと、一般の方々は「弁護士は敷居が高い」と考えている様に感じる場面が多くあります。

 例えば、私の友人がリフォームでトラブルを抱えた際にも、その友人は私に相談せず、自分で問題解決の努力をしていました。私が聞いたのはトラブルが解決した後のことでした。

 

 また、初めてご相談にいらっしゃるお客様でも、「こんな事でお手を煩わせてしまって申し訳ないのですが…」という形で恐縮されている方も多くいらっしゃいます。

 弁護士費用は安い金額ではありませんし、ビジネスでのお付き合いなら別として、あなた自身のプライベートで弁護士に相談する場面というのは、人生で1回や2回ということも多いでしょうから、まだまだ「弁護士は敷居が高い」と考えている方は多いのではないでしょうか。

 

 どうしてこのようなお話しをさせて頂くのかと言いますのは、弁護士に相談する奥様の側の心境も「弁護士は敷居が高い」と思いつつ、その弁護士に頼らざるを得ないと考えて相談している可能性が高いということです。

 このような高い敷居を乗り越えて相談をしているので、奥様も覚悟を決めて相談しているのではないか、という話です。

 

 私が、女性側から相談を受ける際、離婚するか悩んでいるという方も多くいますが、最初から弁護士に頼むつもりで相談に来られている方は、かなり離婚の覚悟を強く決めて相談に来ている方が多い印象を受けます。

 

 

3.女性が相談する場所は無数にあるということ


 

 奥様が訴える事情の内容にもよりますが、今は「旦那のモラハラで苦しんでいます」と言えば相談する場所はいくつもあります。

 インターネット上の相談サイトだけでも沢山ありますし、女性相談センターや子育て支援センター等電話や対面で親身に相談に乗ってくれる機関もあります。

 

 本当に悩んでいる奥様はこのような色々な相談窓口に相談をし、最終的に行き着くところが弁護士のところになります。なぜなら、弁護士は法律手続きを踏むという決断をしたときにどうしても頼らざるを得ない場所だからです。

 

 そのため、あなたにとっては、「突如妻の弁護士から手紙が来た」とか「突如家内の弁護士が調停を申し立ててきた」と感じるかもしれませんが、奥様はそれより何ヶ月も前から色々な場所に相談しているというケースもあるのです。

 

 

4.弁護士がけしかけると言うよりも、復縁のリスク面を話すことはある


 

 私が女性側から相談を受ける際には、上述の通り離婚の相当な覚悟を決めて相談を受けることが多いように感じます。

 そのため、弁護士が奥様に対して「離婚を唆す」とか「弁護士が黒幕である」というケースはほとんどないのではないかと思います。

 

 ただ、奥様から「やっぱりヨリを戻すのはどうでしょうか?」と質問されたときには、これまで一緒に生活してきた中で離婚を決断したような出来事が今後起きないかしっかりと見極めた方が良い旨アドバイスすることはあると思います。この時にも、奥様が当初から話をしていた離婚原因というものが、ありふれた夫婦の間で一般的に起こるような話であれば、私も、ヨリを戻すことも検討してみて下さいと話をしますが、そうでなければ、上記のようなアドバイスをすることが多いように思います。

 

 また、私が奥様から相談を最初に受けた時点で、奥様が悩んでいる様子がある場合、私はそのような事件は担当せず、奥様に対して「まだ悩んでいるようでしたら時間をかけて結論を出した方が良いですし、旦那さんともあなたの口から話をした方が良いと思いますよ」というアドバイスをすることが多いです。そのため、私の場合は、そのような事件は最初から担当しないことの方が多いと思います。

 

 

5.まとめ


・弁護士は敷居が高いと思われている方が多い。

・女性側の相談場所は無数にある。

・そんな中で弁護士に頼んでいると言うことは相当離婚の決意を固めている可能性が高い。

・弁護士がけしかけると言うよりも、復縁のリスク面を話すことはある

 

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>家内の弁護士からモラハラ夫とレッテルを貼られてしまった-どう対処すればよいか?

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>突如家を出た家内の所在を調査できないか?

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突如裁判所から離婚調停の書類が届いてしまったー調停に出席する必要があるのか?

2019.03.25更新

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1.全て相手のペースで話が進んでいることに納得いかない。


 

 突如奥様が別居を開始し、暫くしたら、一方的に裁判所から離婚調停の書類が届いた。

 夫婦でしっかりと離婚の話すらできていないのに、急に調停と言われても到底納得できないという方もいらっしゃると思います。

 全て相手の一方的な要望で話が進んでいますので、あなたがその様に考えるのも当然のことだと思います。

 

 

2.そもそも、こちらは離婚する気がないのだから調停に出席する必要があるのか?


 

 こちらとしては唐突なことであり、一切離婚に応じる気持ちがないという場合、「相手の土俵に乗ってやる必要はない」と考えることも自然なことだと思います。

 それでは、離婚調停を全て欠席する(ボイコットする)という方法もあり得るのでしょうか。

 

 

3.まずチェックすべきなのは、相手が弁護士を就けているかどうか


 裁判所から届いた書類の中には、夫婦関係調整調停申立書という書類が入っています。そこに判子が押されていると思いますが、奥様の判子なのか、弁護士の判子なのかを確認して下さい。

 弁護士の判子が押されている場合、既に奥様は弁護士を雇っていると言うことになります。

 

 逆に、奥様の判子が押されている場合、とりあえずまだ弁護士は雇われていないと思われます。但し、調停だけは奥様の方で申立をして、第1回調停期日の前までに弁護士を雇うというケースも少なからずありますので、この点は留意する必要があります。

 

 仮に、奥様がまだ弁護士を雇っていないという場合、あなたとしては奥様と調停外で話をできるチャンスもありますので、調停の外で話ができないのかと言うことを模索しても良いと思います。逆に、奥様が弁護士を雇っている場合、弁護士は奥様に対して「旦那と直接話をしないように」と指示していますので、奥様側と直接話をすることは困難なことが多いです。

 なお、奥様側にコンタクトする場合、奥様に直接電話やLINE、メールをするといった方法はあまりオススメできません。奥様ご本人で調停を起こしている訳ですから、本人同士での話し合いを希望していない可能性が高いからです。そのため、奥様のご両親や兄弟姉妹、親戚等の身内か、友人等に間に入ってもらって、橋渡しをしてもらった方が望ましいです。

 

 

4.調停に欠席することのデメリットとメリット


 

 相手が弁護士を立てているとか、弁護士を立てていないけれども奥様側が取り付く縞がないという場合、調停外での話し合いは結局実現しないと言うことになります。

 そうすると、いよいよあなたとして調停に出席した方が良いのかという問題に直面します。

 

 ここでは、調停に欠席した場合のデメリットとメリットについて解説します。

(1)【デメリット1】調停に代わる審判

 調停に欠席する最大のメリットとも言えるのですが、勝手に裁判所が離婚の審判を下してしまうというケースです。ケースとしては一般的には稀ですが、いくつかの事情が揃いますと、裁判所が審判をしてしまうリスクがあります。

 

①【条件1】これまでにあなたが明確に離婚及び親権者について合意した事実があること

  例えば、一旦はあなたの方で離婚届にサインし、親権者を奥様とすることにもチェックを入れてしまったという場合で、奥様がその離婚届を持っているという場合などです。

  夫婦喧嘩の際にあなたが「もう離婚だ」と口走った程度では、この「条件1」は満たさないことが多いです。

 

②【条件2】あなたが調停の席に出席する可能性が非常に低いこと

  あなたの方から裁判所に「絶対に調停には行かない」と電話連絡を入れるとか、逆に、一切裁判所に連絡もせずに調停期日に欠席するといった場合に「条件2」を満たします。

 

 このような審判が下されてしまいますと、あなたの方で異議期間内に異議を述べないと離婚が成立してしまいますので最大限の注意が必要です。

 

(2)【デメリット2】誤ったメッセージを送ってしまうリスク

 これは奥様が調停を申し立てた意図にも寄りますが、調停委員という中立な第三者を入れて話をしたいというだけの場合、あなたが欠席し続けますと、あなたの方が「話し合いを一切拒否するつもりだ」という誤ったメッセージになってしまうリスクがあります。

 このようなメッセージと奥様が考えてしまいますと、奥様との話し合いの道は実質的に閉ざされてしまいかねません。

 

(3)【デメリット3】離婚裁判を早めるリスク

 上記のような調停に代わる審判は、通常は、裁判所も慎重に対応することが多いため、あなたが調停に欠席し続けた場合、調停は不成立になる可能性が高いです。

 その場合に奥様があなたに直接コンタクトを取り始めればよいのですが、離婚裁判に突き進んでしまう可能性があります。

 離婚裁判は、残念ながらこれまでの夫婦生活での出来事に関する誹謗中傷合戦のような色彩がありますので、極力離婚裁判にならない方が、今後の夫婦関係のためには望ましいと思います。

 

(4)【デメリット4】結局相手の気持ちが分からずじまいになるリスク

 相手が記載した調停申立書には離婚したい理由として簡単な内容しか書かれないため、実際何時のどのような出来事を気にしているのかと言った事情が何も分からないと言うことも多くあります。

 調停に出席すれば詳しい事情を聴くこともできるのですが、欠席してしまいますと、その事情すら聴くことができません。

 

(5)【メリット?】相手の一方的なやり方に抗議できる?

 あなたとしては、事前に裁判所に調停に欠席すること、欠席する理由をキチンと伝えておくことで、相手が一方的に手続を進めていくことに対して抗議することは可能です。

 ただ、それならば、しっかりと調停の席であなたの気持ちを調停委員に伝えた方がより効果的とも思えます。

 弁護士の立場から申し上げますと、調停に欠席することについて明確なメリットはないように思えます。

 

 

5.仕事の都合でどうしても1回目の調停期日には行けない


 

 調停期日は奥様と裁判所の都合で設定されるため、あなたの仕事の都合等で出席できないというケースもあります。

 その様な場合には、なるべく早めに裁判所に連絡をして、1回目の調停に出られないことを伝えて下さい。あなたの仕事の都合で出席できない場合、そのことで裁判所から責められると言うことは全くありませんので、その点の不安は持たずに連絡してみて下さい。

 

合わせて、答弁書等についても極力事前に裁判所に提出するようにして下さい。

 なお、奥様が既に弁護士を就けているような場合には、こちらも弁護士を就けて対応した方が望ましいので、早めに弁護士に相談して答弁書の書き方等を相談した方が良いでしょう。

 

 

6.まとめ


・まだ相手が弁護士を就けていない場合、調停外の話し合いを目指すという方法もなくはない。

・相手からの一方的な調停に納得いかないという心情は理解できるが、調停に欠席し続けると様々なデメリットがある。

・【デメリット1】条件が揃うと裁判所が調停に代わる審判を出してしまうリスクがある。

・【デメリット2】あなたの方から話し合い拒否という誤ったメッセージを送ってしまうリスクがある。

・【デメリット3】離婚裁判への手続きを早めてしまうリスクがある。

・【デメリット4】相手の気持ちが分からずじまいになるリスクがある

・1回目の調停に欠席することは問題ないので早めに裁判所に連絡した方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

別居したのに離婚しない妻への対処法5選

2018.11.19更新

弁護士秦 

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1.何故離婚を申し入れてこないのか?


 

 奥様が別居を開始して、何ヶ月または1年以上も経つのに、一向に離婚の申し入れがないという場合、そもそも、奥様はどうして離婚を申し入れてこないのでしょうか。様々なケースがありますので、以下のケースが全てとは言いませんが、以下のようなことが考えられます。

 

(1)【ケース1】別居の啖呵を切った手前戻りづらい

 夫婦喧嘩その他奥様が感情的になってしまうような出来事があって別居の啖呵を切ってしまったというケースです。実際に別居を実行してしまうと、自分の方から「戻りたい」と言いづらくなってしまって別居がズルズルと続いてしまうようなケースになります。

 このケースですと1,2か月別居と言うことは考えられても、それが何ヶ月も続くと言うことは考えにくいため、別居期間が長期に及ぶ場合には、「奥様が戻りづらいだけ」というケースは非常に少ないと思います。

 

(2)【ケース2】夫側からの謝罪や迎えを待っている

 あなたの行動や言動が奥様の逆鱗に触れてしまったような場合、あなたからの謝罪等が来るまでは絶対に家に戻らないというケースもあります。

 このようなケースは、通常これまでにも何度か奥様が家出を繰り返しており、今回もその延長というケースが相対的に多いように思われます。

 このケースでも通常は、別居期間が何ヶ月にも及ぶケースは相対的に少ないかと思いますが、奥様のご性格等によってはそれなりに長期間に及ぶケースもあろうかと思います。

 

(3)【ケース3】夫側を自由にしたくないので離婚するつもりがない

 これは、あなたが浮気をしてしまったといったケースでよく見られる理由です。

 奥様としてはあなたの浮気を許せないけれども、離婚してしまうとあなたが不倫女性と第2の人生を踏み出してしまうため、それは絶対に許せないと言うことで自分から離婚を要求してこないというケースになります。

 

(4)【ケース4】離婚しても多くの財産分与等を望めないので生活費として極力お金をもらいたいと考えている

 民法752条には夫婦の協力扶助義務が定められていますので、例え別居中であっても夫側は妻側に対して生活費(法律用語としては「婚姻費用」と呼びます)を支払わなければならないとされています。

 離婚した後の生活費に心配がある奥様としては、離婚を遅らせれば遅らせるほど婚姻費用をもらえる期間が伸びるため、敢えて自分から離婚を申し入れていないというケースになります。

 特に、離婚をしても預金がほとんどないようなケースでは、奥様もあまりまとまったお金をもらえると期待していませんので、離婚を遅らせようと考えている場合があります。

 

(5)【ケース5】離婚裁判を視野に入れており別居期間を稼いでいる

 奥様としても離婚することは決意しているけれども、あなたが強く反発してくることを予測して、別居期間を稼いでいるケースということになります。

 そもそも、離婚の裁判で離婚が認められる理由は非常に限定されています。そのため、例えば性格の不一致といった理由は「裁判で勝てるだけの理由」にはなりにくいのが実情です。ただ、別居期間が長期間に及ぶ場合、裁判所も「この夫婦がやり直すことは難しいだろう」と判断してくれますので、無難に手続を進めるために別居期間を稼いでいると言うことになります。

 

(6)【ケース6?】妻が浮気相手と同棲を始めた

 突如奥様が別居を始めると、奥様が実は浮気をしていて、浮気相手と一緒に住み始めていると疑う方もいます。

 これまでの夫婦生活の中で、奥様が性的に奔放だったり、何度か不倫の疑惑が生じたことがあるといったケースであればまだしも、そうでない場合には、浮気の可能性は低いことが多いように思われます。

 

 

2.まず、あなたは積極的に妻にアプローチした方が良いのか?


 

(1)あなたが奥様とやり直したいと考えている場合

 あなたとしては、奥様が別居をスタートしてしまったけれどもやり直したいと考えている場合、そもそも、奥様に積極的にアプローチした方が良いのでしょうか。

 前述の通り、奥様が別居しながらも離婚を切り出さない理由は多様ですので、あなたのケースで奥様が離婚を切り出さない理由を考えてみて下さい。

 

 合わせて、奥様の別居の引き金となった出来事は何なのか、これまでの家出の回数や奥様の性格等も考慮しながら、奥様に積極的にアプローチした方が奥様が安心するのか、または、今はそっとしておいた方が良いのかをじっくりと考えて下さい。

 一般的にはコミュニケーション不足や誤解が別居の原因になっているケースが多いため、通常は早めに奥様側にコンタクトを取って直接話をした方が良いケースの方が多いように思われます。

 

(2)もう離婚したいと考えている場合

 例えば奥様がこれまでも些細なことで家出を繰り返しており、あなたとしてもうんざりしているという場合には、積極的に離婚したいと考えることもあると思います。

 その場合には、あなたの方から積極的に離婚を切り出すことも検討して良いと思います。ただ、離婚を申し入れるのはよいとしても、奥様に対して生活費を渡さないようにするといった手段をとりますと、あなたが不利になる可能性がありますので、避けるようにして下さい。

 

 また、奥様の別居に対して一時的な感情で離婚を切り出してしまいますと離婚した後に後悔してしまうこともあると思います。そのため、離婚を正式に切り出すまでに少なくとも2,3日といった期間は空けた上で、本当に離婚を切り出す方向でよいのか慎重に検討すべきだと思います。

 

 

3.妻に渡す生活費の目安は?


 

 実務では裁判所が作成した算定表という表を軸に婚姻費用を決めることが多く行われています。そのため、この算定表の数字を一つの目安にしてみると良いでしょう。(詳しくは下記のサイトをご参照下さい)

最高裁の算定表サイト

 なお、算定表の数字がこれまで渡してきた生活費よりも低額の場合、何も言わずに減額してしまいますと奥様の強い反発も予想されますので、減額するにあたって一度は奥様と話し合いをするのが望ましいと思います。

 

 逆に、算定表の数字がこれまで渡してきた生活費の額よりも高額の場合、特に奥様側から不満等がないようでしたら、敢えてこちらから増額を申し入れなくとも良いかもしれません。

 なお、たまに「勝手に別居したような女に生活費なんか渡すつもりはない」とおっしゃる方もいますが、あなた自身やり直すことを考えている場合、奥様からの反発を受ける可能性もあり、離婚に向けての手続を早めるリスクもありますので、オススメできません。

 

 

4.夫婦円満を目指す場合、調停の席を利用することの可否


 

 こちらとしてはやり直したいのに、一向に奥様としっかりとした話し合いができないという場合、調停の席を利用して話をするという方法もあるにはあります。

 

 具体的には夫婦円満調停だとか同居調停といった方法になります。

 確かに民法752条には夫婦の同居義務が定められていますが、同居は裁判所が強制することには馴染まないとされていますし、調停委員も「普段から夫婦喧嘩が絶えない家庭の場合、奥様に『家に戻りなさい』とは言えない」と言われてしまうケースの方が多いように思われます。

 また、家庭裁判所で取り扱う調停の大半は離婚調停であり、円満調停の件数自体が非常に少ないという事情もありますので、調停委員からの積極的な説得を期待できないという事情もあります。

 

さらに、奥様側が「暫くそっとしておいて欲しい」と考えている場合、調停のために裁判所に足を運ばなければならないと言うことを苦痛に感じることもあると思います。

 そのため、夫婦としてやり直すことを考える場合、調停の席を利用するという方法は、弁護士としては積極的にはオススメできません。

 

 むしろ、奥様のご両親やあなた自身のご両親等を介して話をするなどして別居解消の糸口を探った方が良いように思われます。

 

 

5.お子様と十分に会えていないという場合


 

 夫婦の間でお子様がいらっしゃって、奥様の別居の際、奥様がお子様を連れて出ていったため、こちらの要望するような回数、お子様と会えていないという場合、面会交流の調停を起こすことは考えて良いかもしれません。

 ただ、面会交流調停での面会頻度は実務的には、1か月に1回程度を目安とすることが多いため、「毎週子どもに会いたい」という希望で調停を起こしても、希望通りにならない可能性が高いと見込まれます。

 

 なお、調停を起こす前に奥様と直接、または身内や友人を介して話ができる場合、面会交流についてもじっくりと話をした上で、それでもあなたの希望が実現しない場合に調停申立を検討した方が良いと思います。

 また、調停を申し立てるにあたっては、一度は事前に奥様側に①調停を申し立てる決意であること、②そのことを踏まえて奥様側で面会頻度を増やす意思がないかの最終確認はした方が良いと思います。

 

 

6.別居期間が1年以上といった長期間に及ぶ場合、奥様が急に戻ってきたいと言い出す可能性は低い


 

 別居の経緯等によりますので断定はできないのですが、別居期間が1年以上といった長期間に及ぶ場合、その後に奥様が急に自宅に戻りたいと言い出す可能性は一般的に低いと思います。

 そのため、別居期間が長期に及んでいる場合には、奥様が急に戻りたいと言い出すことは期待できないと考えた上で、今後の対処方法を検討していった方がよいかもしれません。

 まずは、奥様が別居を長引かせたい理由を推測した上で、あなた自身離婚を切り出したいのか、それでもやり直したいのかと言ったことを真剣に考え、次の行動に出るべきです。

 

 

7.まとめ


・奥様が別居期間を長引かせたいのにはいくつかの理由が考え得る。

・その様な理由も考慮しながら、あなたの方から積極的にアプローチすべきかを検討する。

・奥様に渡す生活費は算定表を目安にすると良い。

・夫婦円満を実現するためには調停はあまりオススメではないことが多い。

・お子様に会えていない場合には面会交流調停等も検討すべきである。

・あまり別居期間が長い場合、急に奥様が帰ってくるという可能性は一般的に低い

 

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【弁護士が解説】会社を破産させて個人で事業継続できるか

2018.11.07更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.会社を破産させて個人で事業継続できるか。


 

 

 あなたが会社の代表者をしている場合で、その会社は、これまでの借金が累積しており、維持していくことは難しいけれども、会社の事業そのものは良い事業のため、あなた個人の事業として継続できないのか、と言う問題です。

 これは、①会社もあなた個人も両方一旦破産手続きはしながら、事業は個人として続けていくというケースと、②破産手続きを取るのは会社だけで、あなた個人は破産手続きを取らないというケースが考えられます。

 

 結論から申しますと、個人として同業を続けていくことは可能ですが、手続きを取るタイミング等については細心の注意を払う必要があります。

 

2.その事業の魅力が高い場合には、民事再生手続きを取るのが原則


 

 

 今は、借金が累積しているため、何らかの借金整理の手続が必要だとしても、現在行っている事業の魅力が高いという場合には、スポンサー等をつけるなどして、民事再生手続きを取るといった手段を第1に考えるべきかと思います。

 但し、民事再生手続きで進める場合には、債務総額の過半数を握る債権者(通常はメインバンク等)が民事再生手続きに同意していることなどの条件整備が不可欠になります。

 以下では、民事再生や事業譲渡等によって会社自体を存続させることが難しいという前提で、個人事業として仕事を継続できるかどうかについて解説していきます。

 

3.会社もあなた個人も両方破産手続きを取るケース


 

 例えば、会社が多額の借金を負担しており、あなた自身もその保証人になっているため、会社としても個人としても借金の返済が難しいというケースや、あなたが保証人になっている借金は少ないけれども、会社の運転資金のために、あなた自身別途貸金業者等から多額の借金をしているケースなどの場合、会社のみ破産手続きを取っても、問題の抜本的解決を図ることができませんから、会社もあなた個人も一緒に破産手続きを取ることになります。

 なお、会社の代表者であるあなただけではなく、あなたの奥様も保証人になっているという場合には、会社、あなたに加え奥様も一緒に破産した方が良いというケースもあります(通常、一緒に手続きを取った方が、裁判所に納める手数料が安くなります)。

 

 このように会社とあなた個人両方破産手続きを取る場合でも、あなたが事業を続ける方法はありますが、以下の点に注意していく必要があります。

①得意先や仕入れ先の理解を得ること

 仕入れ先は、あなたが会社という形態なので、そのことを信用して商品を取引しているだとか、得意先も、あなたが個人ではなく会社なので、商品を発注しているということも多くあります。

 そのため、今後の取引が会社ではなく個人としての取引になることを説明し、今後も取引を続けてくれることの確約を得る必要があります(その説明の際に、会社が破産手続きを取ることは①相手との取引基本契約でこちら側に説明義務が課せられている場合には説明が不可欠になりますが、②そのような取引基本契約の規程等がない場合、説明した方がベターですが、他の理由できちんと説明できる様であれば、必ずしも破産のことを説明する必要はありません)。

 

②一時的に取引を中断する必要が出てくることが多い

 得意先や取引先に破産手続きを取ることをしっかりと伝えた上で、事業を引き継ぐのであればよいのですが、そうでない場合、破産手続の申請時には売掛金が残っていない状態にする必要があります。

 何を言っているのかというと、破産手続申請時点で売掛金が残っている場合、その売掛金債権は破産管財人の管理財産になってしまいます。このような「破産管財人の管理財産」については、破産手続の中で、破産管財人が回収すべき財産として、得意先に売掛金の支払いを請求していく事態になってしまいますので、得意先の信用を失ってしまうのです。

 

 一つの得意先に知られるだけならばまだしも、業界内での情報の流通が早い場合、複数の得意先で情報を共有されてしまい、あなたが今後事業を続けられないという事態にも陥りかねません。

 そのため、以下の様にタイミングを計る必要があります。

A.スケジュールとして破産申請予定日(平成31年4月1日に申請を行う等)をあらかじめ決めてしまう。

 (この申請予定日は、あなたの事業の受注が例年少ない月を選ぶのがベターでしょう)

 ↓

B.既に納品が完了しているものについては、破産申請予定日よりも前に売掛金を全額回収しきってしまう。

 ↓

C.納品から代金請求までの期間を考慮し、破産申請予定日の1ヶ月前等から受注を断っておく。

 (破産申請予定日よりも前に受注し、支払期限が到来していない売掛金が残ってしまうと、破産の際、破産管財人の管理財産になってしまいますので、取引の受け控えをすることになります)

 ↓

D.上記のBやCと平行して、得意先や仕入れ先に対して、今後は会社ではなく個人としてお付き合いしたい旨を伝えて理解を得ておく。

 

③あなた自身今後の融資を受けづらくなることを前提に取引を続けられるか慎重に見極める

 あなた自身が破産手続きを取る場合、あなた自身の資産も基本的にはすべて処分して、貸金業者等への配当資金にする必要があります。また、破産手続きを取るため、一般の金融機関等は、あなたに対して新規融資はしてくれません。

 そのため、あなた自身のまとまったお金もなければ、新規融資も受けられないという前提で、今後事業を続けられるのか慎重に見極める必要があります。

 

4.破産手続きを取るのが会社のみのケース


 

 

 例えば、あなたが会社の経営を引き継いだものの、前代表取締役の際に負担した借金が多額で、あなたの代で会社を破産させることを決断したという場合や、銀行借り入れ等はほとんど残っておらず、仕入れ先への仕入れ代金債務ばかりが残っている場合などでは、あなた個人として負担する借り入れはほとんどないため、あなた個人の破産手続は必ずしも必要ありません。

 ただ、その場合でも、会社は破産手続を取ることになりますので、以下の点に注意しながら進めていく必要があります。

 

①得意先や仕入れ先の理解を得ること

 会社と個人両方が破産する場合同様、取引主体が会社から個人に移ることは変わりがありませんので、個人との取引で構わないか得意先や仕入れ先の理解を得る必要があります。

 なお、仕入れ先への代金未払が多いという場合には、仕入れ代金も破産の対象債券になりますので、今後は、その仕入れ先からの商品供給を受けることは難しくなると思います。そのような前提で他の業者からの仕入れが可能なのか等についての見極めも必要になってきます。

 

②破産申請のタイミングは見極めること

 会社が破産する以上、破産申請時に売掛金のみ回収金があると、それは破産管財人の管理財産になってしまいます。そのため、破産申請時に売掛金未回収が存在しない状態にしておく必要があります。

 ただ、このケースでは、あなた個人は破産手続きを取りませんので、破産申請前までに、取引を会社から個人に完全に移行してしまっていれば、問題がありません。そのため、あなた自身は破産しない場合、一旦仕入れ先や得意先との取引を中止するという必要はありません。

 

③あなた個人についても新規融資が難しくなるケースは多い

 あなた個人としては破産しないとしても、あなたが経営する会社が破産手続きを取ることになったのですから、金融機関等は新規融資に消極的になるケースが多いでしょう。

 そのため、あなた個人で事業を引き継ぐ場合にも、あなた自身の資産のみを活用して事業を行っていく必要があります。新規融資は受けづらくなるという前提で事業計画を作成する必要があります。

 

5.まとめ


 

・あなたが営んでいる事業の魅力が高い場合、破産ではなく会社の民事再生手続きを取るのが基本である。

・会社のみ破産、またはあなた個人も一緒に破産した場合でも、事業を引き継いで実施していくことは可能である。

・事業を引き継ぐ場合、以下の点に留意する必要がある。

 ①個人との取引になることについて、得意先や仕入れ先の理解を得ること

 ②売掛金の回収タイミングを考慮しつつ破産申請時期を見極める必要があること

 ③あなた自身が新規融資を受けていくことが難しくなるという前提で事業計画を考えること

 

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【弁護士が解説】借金整理を弁護士に依頼するメリット&デメリット

2018.11.07更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に分かりやすい役に立つブログ解説を目指して解説していきます。

 神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.弁護士に頼む様な話なのか悩む方も多いのではないでしょうか。


 

 

 そもそも、借金をして返済に困っているという事柄自体、あまり他人に知られたくない話と考えている方が多いのではないでしょうか。そうすると、簡単に他人に相談できる内容ではないから、弁護士に相談するのも「気が引ける」「借金がこんなになるまで放っておいたことを弁護士に責められるのではないかと心配」という方も多いと思います。

 

 ただ、借金の問題は、そのままにしておきますと、いずれは貸金業者が裁判を起こしてくるという事態に発展しかねませんので、今のあなたの収入や資産の状況から、月々の返済が難しくなってきたという場合には、早めに弁護士に相談することをオススメします。

 私もそうですが、借金の問題を多数取り扱っている弁護士であれば、借金の返済で苦労しているあなたを責める様なことは一切ありませんので、安心してご相談にいらして下さい。

 

2.弁護士に依頼するメリット 


 

 

①【弁護士に依頼するメリット1】貸金業者等からの督促が止まる

 借金整理を弁護士に依頼する一番のメリットだと思いますが、貸金業者等からの督促をストップさせることができます。弁護士に依頼する場合、弁護士があなたの窓口になって貸金業者等と話をしますので、貸金業者等はあなたに直接連絡をしなくなるのです。

 あなたが、貸金業者等からの催促の電話や葉書等に悩まされているという場合には、電話や葉書が来なくなるとかなり安心できるのではないでしょうか。

 

②【弁護士に依頼するメリット2】過払いが発生するケース

 あなたが長期間借金の返済を続けてきたという場合、利息の引き直し計算をすると、貸金業者等からお金を取り戻せるというケースもあります。このように取り戻せるお金のことを「過払い金」と言いますが、このような過払い金の有無や金額は、弁護士等にて正確に計算する必要がありますし、過払い金の回収作業も弁護士を通じて行うと安心です。

 このような過払い金の問題は、弁護士に依頼する場合のメリットの一つと言えます。

 

③【弁護士に依頼するメリット3】破産手続や個人再生手続きの場合

 破産手続や個人再生手続きは、裁判所にて行う手続ですから、あなたご本人のみで手続きを踏むことは非常に難しいです。破産や個人再生を視野に入れている場合には、是非弁護士にご相談下さい。

 

④【弁護士に依頼するメリット4】早期解決による経済的更生の迅速化

 任意整理でも自己破産でもそうですが、手続が早く完了すればするほど、あなたの信用情報の回復時期も早まります。通常、貸金業者は、「手続完了から3年間は新しい融資はしない」といった独自の審査基準を持っていますので、手続完了が早まるほど、あなたの信用情報回復も早まる(また借り入れやクレジットカードを持てる様になる)のです。

 

3.弁護士に依頼するデメリット


 

①【弁護士に依頼するデメリット1】信用情報悪化の可能性

 弁護士が借金整理の事件を担当する場合、貸金業者等に対して、受任通知を送ることになります(要するに、「弁護士が間に入ったので、今後は弁護士にだけ連絡して下さい」というアナウンスをすることになるのです)。

 そうすると貸金業者は、弁護士介入事件という扱いをして、その情報を信用情報として登載しますので(俗に言う「ブラックリスト」になります)、あなたの信用情報が悪化することになるのです。

 ただ、既にあなたが返済を2ヶ月以上滞らせているという場合には、ブラックリストに載っている可能性の方が高いので、弁護士が間にはいることで、あなたの信用情報がこれ以上悪化することはありません。

 

②【弁護士に依頼するデメリット2】弁護士費用の負担

 弁護士に依頼する以上、その費用がかることは避けられません。ただ、私もそうですが、弁護士費用の分割払いについては相談に乗ることができますので、最初にまとまったお金がかかると言うことにはなりません。

 

4.総合すると…

 


 

 

 これまで説明してきましたとおり、弁護士に依頼するデメリットも多少ありますが、借金を放置すると、裁判を起こされたり、勤め先を知られていると給料の差押えを受けるリスクもあります。

 そのため、借金の問題は放置するのではなく、早めに弁護士に相談した方が、良い結果に結びつくことが多いでしょう。

 

5.まとめ

 


 

①弁護士に依頼すると以下の様なメリットがある。

 ・貸金業者等からの督促をストップさせられる。

 ・過払い金を回収できる場合がある。

 ・破産や個人再生の手続きを取ってくれる。

 ・借金問題を早期解決できる。

②弁護士に依頼するデメリットもある。

 ・信用情報が悪化する場合もある。

 ・弁護士費用がかかる。

 

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【弁護士が解説】借金整理の3つの手法

2018.11.07更新

弁護士秦

 こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.借金整理の手法は大きく分けて全部で3つ


 

 様々な事情があって、今抱えている借金を今まで通りに返済できないという場合で、既に自分だけでは整理がつかないという場合には、いよいよ弁護士への相談も考えなければいけません。そのような場合、大きく分けて借金整理の手法としては以下の様なものがあります。

①任意整理

②自己破産

③個人再生

 

2.任意整理とは


 

 

 任意整理とは、弁護士が貸金業者等と交渉を行って、借金の返済条件を緩和するものと考えていただくと分かりやすいと思います。要するに、今まであなたは今後2年で完済しなければならなかった借金を、3年での返済まで条件を緩和するといった形になります。

 より具体的に、弁護士が行う事務としては、①利息制限法に違反する利息分を圧縮して、借金残高を減らす、②減らした残高に対して、あなたが支払える月額での返済条件を貸金業者等と交渉する、という流れになります。

 

 まず、①の債務の圧縮ですが、貸金業者が利息制限法を超える利率でお金を貸している場合には、借金がかなり減る可能性もありますが、ここ2,3年前に借り始めたばかりという借金などは、制限利率を超えていないため、ほとんど利息分を圧縮できないというケースもあります。

 

 次に、②の返済条件ですが、一般的には、3年から5年の間に完済するプランにすることが多いです。貸金業者によっては、3年以内に完済してもらわないと困るという業者もいれば、5年でも構わないという業者もいますので、この点は、業者によって対応が分かれてきます。ただ、あなたが月々に支払える額が少額のため、どうしても完済までに10年といった長期間を要するという場合には、任意整理の手法は難しいと思います。

 

 なお、弁護士が間に入って、任意整理を行うという場合には、今後返済していくのは現金残高のみ(または、和解が整った時点までの遅延損害金等を加算した金額のみ)とすることが多いため、将来の利息が発生しないというメリットがあります。

 

3.自己破産とは


 

 これから説明する個人再生と自己破産は、いずれも、裁判所に申立をして行う手続になります。そのため、裁判所を利用しない任意整理と区別されることになります。

 自己破産とは、裁判所の許可を得ることで、借金の支払い義務を法律的に免れる手続などと言われます。このように借金の支払い義務を免れることを法律的に「免責」と呼んだりしますが、要するに、破産時点で抱えている借金を返さなくてよくする手続と言うことになります。但し、公租公課など免責の対象にならないものもありますので、留意する必要があります。

 

 ただ、このような破産を簡単に認めてしまいますと、貸金業者等の債権者からすると、貸し付けたお金を返済してもらえなくなるわけですから、大きな不利益を受けることになります。そのため、破産を申請する際には、いろいろな資料を集めるなどして、裁判所に提出する必要があります。

 また、破産の際に、あなたが資産を持っている場合、その資産は基本的に債権者への配当等に回さなければならなくなります。イメージとしては、持っている財産ははき出す代わりに借金の支払いを免れる手続とお考えいただいた方が正確かもしれません。

 

4.個人再生とは


 

 

 個人再生は、裁判所の手続という点では自己破産と同じなのですが、自己破産と大きく違うのは、一部の借金を返済していくプランだと言うことです。自己破産と個人再生いずれの手続きを取るかといった点は「5」で後述します。

 

 個人再生で支払う額は、借金総額の5分の1になります。但し、以下のいくつかの条件がありますので、注意する必要があります。

①最低支払額100万円

 例えば、借金の総額が300万円の場合、5分の1の金額は60万円になりますから、個人再生で支払わなければならない金額の合計は60万円で済みそうです。

 ただ、この点は個人再生法という法律で最低弁済額は100万円と決まっていますので、借金総額が低かったとしても、少なくとも100万円は弁済しなければいけません。

 

②あなたの資産状況

 例えば、借金総額が1000万円だとすると、5分の1である200万円を支払えばよいと言うことになりそうです。ただ、個人再生には自己破産とは違う「特典」がありますので、返済額に関して、個人再生を自己破産より有利に扱うことは法律が認めていません。より分かりやすく言いますと、前述したとおり、破産した場合にあなたの資産をはき出さなければいけないのですが、個人再生の場合にも、最低限、あなたが現在持っている資産の金額分は支払う必要が出てくると言うことです。

 要するに、先ほどの例だと、あなたが外車を所有しており、その外車が300万円の価値があるという場合、あなたは、200万円ではなく、300万円を返済しなければならなくなるということです。

 但し、この300万円は、3年間の弁済計画の中で払えばよいため、自動車を売却しなければならないと言うことは回避できます。

 

③住宅ローン特別条項を利用した場合

 住宅ローン特別条項を利用した場合、その住宅ローンは、他の借金の弁済計画とは別枠で支払っていく必要が出てきます。

 

 

5.手続の選択


 

 上記の通り、借金整理の手法には3つの手法があるのですが、その検討手順について解説いたします。

 まずは、あなたの資産や収入状況等から、任意整理が可能かどうかを検討します。任意整理の場合、借金の圧縮ができればよいのですが、借金の圧縮が難しい場合には、基本的に借金全額を払わなければいけませんので、今後3年か5年で本当に完済できるのかをしっかりと見極める必要があります。

 

 任意整理が難しそうだという場合には、次に自己破産の方法を検討します。個人再生では、上記の通り借金総額の5分の1を支払わなければならないのに対して、破産の場合は支払を全額免れることができるため、破産の方があなたにとってもメリットが大きいから、自己破産の方を先に検討するのです。

 そして、自己破産をするにあたって支障があるという場合には、個人再生を検討していくことになります。自己破産に支障があるというのは、例えば、借金を多額のギャンブルに使ってしまったといった場合には、免責が認められないリスクがあります。そのような場合には、リスクを負って破産の手続きを踏むのではなく、最初から個人再生の手続を申請すると言うことが考えられます。

 

 また、破産手続きを取っている間は、一定の資格制限があります。身近なものですと、警備員や保険外務員、証券外務員などが資格制限となるのですが、破産手続中もこれらのお仕事を続けていく必要があるという場合には、敢えて破産ではなく個人再生を選択した方がよいということもあり得ます。 

 さらに、自宅を残したいとか、どうしても仕事で車を利用するという場合等では、自宅や自動車を残す手段として個人再生を利用するメリットがありますので、個人再生を検討することになります。

 

6.まとめ


・借金整理の手法には大きく分けて、任意整理、自己破産、個人再生の3つの手法がある。

・任意整理とは、利息制限法に基づく債務の圧縮をして、返済条件を見直す手法である。

・自己破産とは、裁判所の手続きを経て、債務全額の支払いを免れる手続である。

・個人再生とは、裁判所の手続きを経て、債務を基本5分の1に圧縮して返済していく手続である。

・3つの手法のどれを選択するかは①任意整理の可否→②自己破産の可否→③個人再生の可否という順番で検討するのがオーソドックスである。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

家内が要求するモラハラ・DV慰謝料の金額はどのように決まるのか。

2018.05.18更新

弁護士秦

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1.家内から高額な慰謝料の請求が来た


 

 奥様が突如別居を開始したと思ったら、今度は奥様の弁護士を名乗る人物から離婚とともに高額な慰謝料を請求する書面が届いた。

 残念ながら、奥様があなたとの直接の話し合いを強く拒否する姿勢の場合には、上記のような場面が現実に起こり得ることになります。

 その様な書面を見ると、あなたがモラハラ行為やDV行為を繰り返してきたということで、高額な慰謝料額が記載されていることがあります。例えば、1000万円やそれ以上の慰謝料額を要求してくるようなケースもあります。

 

 

2.どうやってこのような高額慰謝料額を算出したのか


 

 それでは、奥様はどのようにしてこのような高額慰謝料を算出したのでしょうか。

 あまり高額な場合には、奥様の要望額がそのまま書面に反映されているケースが非常に多いです。

 

 つまり、奥様が付けた弁護士は、弁護士ですから、通常は破格な高額慰謝料を得ることは難しいと分かっていますし、通常は奥様本人にもその様に話をします。

 しかし、奥様が弁護士の説明に納得せず、「その金額では私の気持ちが収まらないので、絶対に1000万円よりも低い金額は書かないで下さい」と言ってきた場合、弁護士としてもその様な数字を記載せざるを得ません。

 

 あなたが受け取った書面には弁護士の印鑑が押されていますので、「相手の弁護士は1000万円が妥当な金額と考えている」と誤解されやすいですが、そうではなく、奥様の要望額という意味合いが強いです。

 そのため、相手の請求額を極端に怖れる必要はありません。ただ、このような金額の要求があると言うことは奥様が強く感情的になっていることは明らかですから、慎重な対応が必要になります。

 

 

3.具体的には何を目安にすることが多いか。


 いずれも法律の根拠はないのですが、破格な高額慰謝料は以下のようなものを目安にして請求されていることがあります。

①あなたの年収額(年収額と同額ぐらいは請求したいとか、年収が高額なので、1000万円くらいなら払えます、といった話がなされることがあります)

②奥様が婚姻期間中稼ぐことができた収入(特に結婚を機に奥様が仕事を辞めている場合に、仕事を辞めずに婚姻期間中ずっと働いていれば相当稼げていたはずだが、夫のDVで結婚が台無しになったので、それを取り返して欲しいという理屈)

③あなたに対する制裁という意味合い

④あなたに対する反省や謝罪をさせるという意味合い

 

 

4.実際の慰謝料額はどのように決まるの?


 

 慰謝料の金額についての当事者間の考えの違いが大きく折り合いがつかない場合には、最終的には裁判所が適正な慰謝料の金額を判断することになります。そして、その際には以下のような事情が考慮されます。

 

①暴力やモラハラ行為の悪質性の程度

②奥様が受けた肉体的苦痛や精神的苦痛の程度

③婚姻期間の長さ

 

より具体的に解説していきます。

(1)DVやモラハラ行為の悪質性

  悪質性という場合には、以下のような要素が考慮されます。

 ①暴力やモラハラ行為の内容

  暴力やモラハラ行為についてはその内容自体で悪質性・危険性が大きく異なります。

  一口に暴力といっても凶器を使用する場合と凶器を使用しない場合とでは危険性が異なりますし、暴力が首を絞めるとか頭部を殴るという場合にも一般的に危険な行為となります。

  また、モラハラ行為にも危険性に大きな差があり、奥様の耳元で長時間怒鳴りつける行為と単純に無視続けるというケースでは危険性の程度が異なります。

②その行為の行われた期間

 もちろん、その様な行為が長期間行われたという場合には悪質と評価される可能性が高くになります。

 ③頻度

  もちろん、その様な行為の頻度が頻繁という場合には悪質と評価されやすくなります。

 

(2)奥様の受けた肉体的苦痛や精神的苦痛の程度

  奥様が苦痛を受けたという場合、通常は診断書が提出されることになりますので、その診断書の診断名、完治までの期間が重要になります。

 

 

5.相手が破格な慰謝料を要求してくる場合、早めに弁護士に依頼するのがオススメ


 相手が破格な慰謝料を要求してくる場合、通常相手も弁護士を立てて請求してくるケースが多いです。

 その様な場合に、あなたがご本人で対応してしまいますと、不利な扱いを受けてしまうリスクがあります。

 そのため、相手が弁護士を立てている場合には、こちらも弁護士を立てた上で、慎重に対応するのがオススメです。

 

 

6.まとめ


・破格な慰謝料額は奥様の要望額であるケースが多い

・奥様が感情的になっている可能性が高いため、慎重な対応が求められる。

・裁判になった場合には、①モラハラ・DV行為の悪質性、②奥様が受けたという肉体的苦痛等、③婚姻期間の長さなどを考慮して裁判所が慰謝料額を決定する。

・相手が弁護士を立てている場合には、こちらも弁護士を立てるのがオススメである。

 

 

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家内が「モラハラ!」と叫ぶと全部夫が悪者になるのか?

2018.05.18更新

弁護士秦

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1.家内が突如「モラハラ」なんて用語を使い始めた


 

 あなたにとっては普段通りの生活をしてきたつもりなのに、奥様が急にあなたに対して「それってモラハラじゃない?」だとか「この前のあなたの態度はモラハラみたいよ!」といった用語を使い始めることがあります。

 

 最近はインターネットで簡単に情報を入手することができますので、インターネット情報をもとに、多少の夫婦の行き違いやすれ違いを「これってモラハラじゃない?」だとか「正しくモラハラにあたる」と考え始めてしまう奥様がいるのです。

 奥様が多少情報をかじった程度ならまだ良いのですが、詳しく情報を検索し始めてしまいますと、事態は思わぬ方向に向かってしまうことがあります。

 

 

2.家内が「モラハラ!」と叫ぶと全部夫が悪者になるのか?


 

 奥様があなたに対してモラハラと叫べば、そのことで、あなたが即座に悪者になるということではありません。その意味では、「言った者勝ち」ということはありませんのでご安心下さい。

 ただ、奥様がその様な言葉を発し始めたときの対応を誤ってしまいますと、離婚に向かって大きく話が進み始めてしまうリスクがありますので、この点は十分に注意する必要があります。

 そこで、奥様がモラハラだと決めつけた発言をした場合の対処方法について以下で解説していきます。

 

 

3.初期の段階の対応


 

 奥様がモラハラという言葉を口にし始めた初期の段階では、奥様自身がモラハラの意味を十分に理解していないこともあります。

 そのため、通常の夫婦の間で生じるような多少の行き違い等の話であれば、奥様の話を聞くだけで奥様も気持ちが晴れるということも多いと思います。

 

 ただ、奥様がこのように言い始めることには何らかの発端があるのが通常ですから、奥様の話をないがしろにすることは厳禁です。

 「疲れているから今はそんな話聞きたくない」

 「重要な仕事のプロジェクトのことで頭がいっぱいだから、このタイミングでそんな話をするな」

 「そんなことを言っている暇があったら家事をしっかりしろ」

 といった返答は避けた方が良いでしょう。

 

 奥様とのコミュニケーションが円滑に取れている場合には、奥様の言い分がもっともだという場合には、あなたも多少の範囲で改善等をする必要も出てくると思います。

 確かに、あなたとしては、急に奥様から「モラハラ夫」と悪者扱いされたようで、納得できないという面もあると思いますが、感情的になってしまうことは得策ではありません。

 

 

4.家内が離婚を強く要求してきた


 

 これまで奥様が離婚と言った言葉を口にしてきたことはないのに、急に「別居したい」「別れたい」「離婚したい」といった言葉を口にし始めた場合、あなたもしっかりと対応していく必要があります。

 

(1)基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応すること

 奥様がどのようにしてモラハラなどと言い始めたのかは分かりませんが、自分がモラハラ被害者であるということで気持ちが盛り上がってしまっている場合があります。

 こちらとしては急に喧嘩を売られたようなものですが、喧嘩を買ってしまいますと夫婦関係はぎくしゃくしていき、いずれは離婚という方向に話が進んでしまいます。

 

 他方で、相手が理不尽な要求をしてきたのに、その全てに付き合ってもいられません。

 そこで、奥様からの離婚要求に対する基本的な姿勢は、「冷静にメリハリを付けて対応すること」ではないかと思います。あなたが奥様よりも一歩大人になって、冷静に対応するというのが夫婦円満の秘訣ではないかと思います。具体的には以下の通りになりますので、参考にされて下さい。

 

(2)まずは、奥様の言い分をしっかりと聞く

 奥様が離婚したいがために、事実と異なる話や事実を誇張した話をしてくることがあります。

 その様な場合、あなたとしてはすぐさま反論したくなると思いますが、すぐには反論せず、まずはしっかりと奥様の話を聞くようにして下さい。

 奥様の言い分が複数に上るような場合には、こちらもメモを取るなどした方が良いでしょう。

 

 何故、先に奥様に一通り話をさせるのかというと、後から奥様に以下のように言われることを防止するためです。

 ①モラハラ夫が最初から喧嘩腰だったのでほとんど話をできなかった。

 ②少し話し始めた途端モラハラ夫が長々と言い訳を始めたので、「この人には何を言っても無駄」だと思って、話すのをやめた。

 ③こちらが真剣に相談しているのに、モラハラ夫に怒鳴りつけられて、もう離婚するしかないと決断した

 

 もちろん、「奥様の話を一通り聞く」ということは、あなたが反論してはいけないと言うことでは決してありません。一通り聞いた後に、あなたの方で必要な反論をするようにして下さい。奥様が誤った認識を持っている場合には、しっかりと誤解を解く必要があります。但し、その際にもあまり感情的にならずに、冷静に話をするように努めて下さい。

 

(3)奥様が隠し録音をしているかもしれないということに注意

 最近はスマートフォンの性能が良いため、簡単にスマートフォンで夫婦間の会話を録音することができます。

 奥様が真剣に離婚を決意している場合には、あなたとの会話を録音している可能性もあります。

 

 そのため、録音されている可能性も考慮して以下の点には最低限注意して下さい。

 ①感情的になって話をしないこと(怒鳴ったり、大声を出すことは厳禁)
 ②相手が言うモラハラを安易に認めないこと(後で、奥様から「あの時の会話で夫はモラハラを認めていた」と揚げ足を取ってくる危険性があります)
 ③こちらが離婚に応じても良いというような発言は控えること

 

(4)あなたとしても否があるようなら、その点だけは改善する

 奥様の言い分のうち、虚偽や誇張に関しては、あまり真剣に取り合う必要もないと思いますが、事実としてあなたが反省すべき点があるようなら、時には謝罪し、時には改善していく必要もあると思います。

 奥様の方も、あなたが誠実に対応するようならば、離婚に突き進むのではなく、考え直す可能性もあるのではないでしょうか。

 

(5)改善が難しい点は不可能であると伝える

 残念ながら、モラハラに関するインターネット情報には「モラハラは治らないから、すぐに離婚した方が良い」とか「モラハラ夫と離婚して自由な生活を手に入れた」といった書き込みもあり、奥様がその様な情報を鵜呑みにしてしまいますと、離婚したいがために、こちらに無理な要求をしてくることがあります。

 例えば、仕事の関係で平日早く帰宅することがほぼ不可能なのに、「週に1日は必ず18時までに帰宅して育児を手伝うこと」とか、接待ゴルフを禁止しろと言ったものです。

 

 そこで、あなたの仕事の関係上応じることが難しい事項等については、しっかりと「改善できない」と相手に伝える必要があります。

 なお、奥様からの要求が理不尽なもののため、ついあなたも感情的になってしまいそうですが、冷静になって落ち着いた口調で話をした方が良いと思います。

 

(6)奥様が離婚話に固執し冷静な話し合いができない場合

 奥様が感情的になって、離婚以外の選択肢がないような発言を繰り返す場合、夫婦2者間での話し合いには限界があるかもしれません。

 その様な場合には、奥様も冷静になって話ができるような身内の方や友人の方を間に入れる方法を検討してみて下さい。

 

 

5.夫婦なので「お互い様」が基本的な考え方


 

 夫婦関係には通常波がありますので、関係が非常に良好なときもあれば、多少険悪化してしまうときもあります。ただ、険悪化した原因が全てあなたにあるのかというと、通常は様々な経緯や状況・環境があってのことだと思います。

 そのため、夫婦の間で何かがあったとしても通常は「お互い様」ということが多いでしょう。

 

 ただ、あなたが一方的に悪者扱いされていることに対して感情的に対立してしまっては、円満な夫婦生活を送っていくことは難しくなります。

 そこで、前述のように、冷静にメリハリを付けて対応することが肝要かと思われます。

 

 

6.まとめ


・奥様が「モラハラ」と叫んでもあなたが全部悪者になるということではない。

・奥様が離婚を切り出し始めたような場合には慎重な対応が必要になる。

・基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応する姿勢が大事

・まずは、奥様の言い分をしっかりと聞くこと

・あなたに否がある部分は改善し、対応困難な点は対応できないとしっかりと伝えること

・冷静な話し合いが難しい場合には、身内や友人を間に入れることも検討する。

 

 

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