【夫が被害者のケース】DV妻との別居を決意!別居にあたっての8つの手順
2019.09.16更新
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1.事前にDV妻に相談した方が良いか?
DV離婚のケースで一番悩まれるのは、離婚することや別居することを事前に相手に伝えるべきかという問題だと思います。
何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような暴力を受けるか分からないと言うことで、悩まれている方も多くいます。
基本的に、これまでこちらが怪我をするような暴力被害を受けたことがあるというケースでは、事前に離婚や別居を切り出さずに別居を開始した方が良いことが多いと思います。事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしないのです。
他方で、暴力被害を受けたことがあるけれども怪我をするほどのことではなかったとか、暴言のみという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。
事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、今後DV被害を受けることを防ぐというきちんとした理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。ただ、DV妻や子供達があなたの収入に頼って生活してきたという場合には、別居したからといって急に生活費を渡さないという対応は避けるべきかと思います。正式に離婚が成立するまでは、裁判所の算定表の金額などを参考に生活費(婚姻費用)を支払っておくべきでしょう。
DVのケースでは、別居後も親族・友人等どなたかの支援を受けながら生活していくことになると思いますので、事前にDV妻に別居や離婚を切り出しておくべきかは、その親族や友人とも予め相談しておくと良いと思います。
2.絶対にこちらの動きを察知されないこと
事前にDV妻に別居を切り出さずに別居しようとする場合、別居の準備をしていることを相手に察知されないようにすることが非常に重要になります。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。
私が担当したケースでも、別居準備中にDV妻に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。
DV妻に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①妻が旦那様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、妻が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、妻が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。
別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話も妻が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。
3.親族・友人等の支援体制を整えること
DVのケースですと別居に成功しても、DV妻が別居先を突き止めてしまうのではないかと言うことで多かれ少なかれ不安を抱えながら生活していかなければならないというケースも多くあります。
このようなことを考えますと、別居後に支援をしてくれる親族や友人を見付けておき、別居後に支援を受けつつ日々の生活を送っていければ安心感が非常に増すと思います。
支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散しますと、どこかでDV妻が別居の情報を察知してしまう危険性が増して行くことになります。そのため、まずは、親身に相談に乗ってくれそうな両親その他の親族等に絞って支援を依頼することが現実的かもしれません。
また、DV妻からの暴力が極端にエスカレートしてきたため、あまり準備期間がないまま別居せざるを得ないというケースもありますので、その場合には、友人等の支援体制を築くよりも前にまず別居して安全を確保すべきケースもあります。
4.置き手紙の活用
別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。
置き手紙の内容は、DV妻と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。
私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、相手に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後DV妻からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。
5.捜索拒否願の提出
DVのケースですと、DV妻からの暴力について地元の警察に相談をしていることが多いと思いますので、事前に別居日を警察にも伝えておいて下さい。
そして、突如別居を開始すると、DV妻は警察署に捜索願を提出するケースもありますので、予めあなたの方から警察に対して「捜索拒否願」を提出しておくことも検討してみて下さい。
捜索拒否願を提出しておけば、警察が捜索願を受理することはありませんし、DV妻が警察に相談しに来た際に「旦那さんがどこにいるかは教えられないが無事だから探すようなことはしないように」と伝えてくれますので、安心です。
6.住民票の移動は慎重に
別居先に転居した際には、住民票を移動すべきかという問題があります。各種行政サービスを受けるにあたっては住民票を移動していた方が手続は円滑なことが多いですが、安易に移動してしまいますとDV妻に居場所を知られる危険性が生じます。
DV被害者として役所に申請を提出しておけば、DV妻があなたの住民票を入手することはできなくなりますが、役所のミスで住所が発覚してしまうというケースも実際にはあります(ただ、最近はこのようなミスはほとんどなくなっていると聞きます)。
そのため、行政サービスを受けるため等、その他現実の必要性が生じてから住民票は移動した方が安全だと思います。
7.早めに弁護士に依頼する
DVで別居を開始し、相手にあなたの所在地を明かさずに離婚の交渉をするという場合、弁護士に依頼をして手続きを取るというのが最も現実的かと思います。
もちろん、ご両親など間に入ってくれる人物がいて、旦那も目上の人には丁寧に応対するという場合には、ご両親等に間に入ってもらうことを依頼する方法もあります。
ただ、相手がDV妻の場合、あなたの居場所を執拗に尋ねてきたり、あなたと一目でも良いから会わないと離婚の協議には応じないという奥様も多くいます。
その様なケースでは早めに弁護士に依頼して手続きを取った方が円滑に離婚できるケースが多いと思います。
8.別居時の持ち物
DVのケースでは、急いで別居を開始しなければいけないとか、そうでなくとも別居後の不安から気持ちを落ち着かせて荷物の整理ができないという方も多いと思います。
しかし、DVのケースですと、別居後、程なくして妻が旦那様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、必要な荷物のとりまとめは不可欠です。
貴重品を忘れるケースは少ないと思いますが、健康保険証や年金手帳は忘れがちなので注意して下さい。また、繰り越し前の通帳が必要になってくることもありますので、必要に応じてご準備下さい。さらに、お子様の写真データなどは、後々相手が渡さないと言うことで交渉材料に遣ってくるケースもありますので、データコピーが可能であれば、コピーデータを忘れずにお持ち下さい。
今後の離婚や財産分与に向けてまとめた資料等があれば忘れずにお持ち下さい(特に家族兼用PCでデータ作成していたという場合には、忘れずにデータをお持ち下さい)。
9.まとめ
○事前にDV妻に別居する旨を相談した方が良いかはケースによる。
○別居準備は絶対にDV妻に察知されないように進める。
○別居にあたっては、親族・友人等の支援体制を整えた方が良いが、緊急を要する場合は安全性を優先すべきである。
○別居の際は自宅に置き手紙を残す方が良い。
○警察には捜索拒否願を提出する。
○住民票の移動は時期を含めて慎重に検討した方が良い。
○DVのケースでは早めに弁護士に依頼した方が良い。
○別居の際には持って出る荷物についても検討しておく必要がある。
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