【夫が被害者】DV保護命令にDV妻は従うか?
2019.09.16更新
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1.DV保護命令とは?
DV保護命令とは、DV妻があなたに接触すべく付きまといや徘徊することを禁止したり(接近禁止命令と言ったりします)、一定期間DV妻に自宅から退去させる(退去命令と言ったりします)裁判所からの命令になります。
DV保護命令を発令させるためには、保護命令の申立書を提出し、裁判所はDV妻からも事情を聴く必要があります。
2.DV妻は、保護命令に従うか?
あなたは、DV妻と共に生活し、妻からの理不尽な要求や非難等を浴びせられ、とてもではないが、裁判所の保護命令に従うとは思えないという方もいらっしゃると思います。
私のところに相談に来られる方も、「妻は自分の考えを絶対曲げないので」とか「妻は自分が一番だと考えているので、とても保護命令に従うとは思えない」ということをおっしゃる方は多いです。
それでは、保護命令が発令された場合には、どのような効力が認められるのでしょうか。
(1)罰則の存在
DV保護命令に違反した場合、1年以下の懲役、100万円以下の罰金という罰則が設けられています。
要するに保護命令に違反した場合、刑事罰を科すことができるということです。
もちろん、DV妻があなたに対して暴力を振るったり脅迫をした場合には、暴行罪や脅迫罪として処罰の対象になるのですが、このような暴行や脅迫に至らなくとも、保護命令に違反した場合、要するに、あなたの新しい住まいの周りを徘徊しただけで、上記のような保護命令違反の処罰が可能になっているのです。
このことは、保護命令の実効性を確保する手段としてはかなり強力なものと言えます。
(2)警察との連携
上記の通り、保護命令に違反した場合、それだけで刑事罰の対象になりますから、保護命令の制度には警察も密接に連携して対応してくれます。
通常は、保護命令が発令されると、その日の当日に警察官がDV妻に対して直接電話連絡をし、保護命令を遵守するよう伝えてくれますし、近日中に(または当日)警察署に来るように指示され、呼び出される形でDV妻は警察署で話をすることになります。
当然、DV妻が接近してきていると疑われる事情が発生した場合には、警察は親身に対応してくれます。
このような警察との密接な連携は、DV妻に対する牽制の効果としては大きいです。
3.結局DV妻に知られない場所に引っ越す必要がある
上記の通り、保護命令の効力は強いのですが、限界もありますので、いずれにせよ、DV妻に知られない場所に引っ越す必要が出てきます。
まず、保護命令を申し立てた際、裁判所は必ず妻側からも事情を聴く必要があります。保護命令は上記の通り強力な手段なのですが、他方で、DV妻側の行動の自由を制限するものになりますので、必ずDV妻側の言い分を確認する必要があるからです。
その前提として、裁判所は妻側に、こちら側が提出した保護命令申立書や証拠類を事前に送っておく必要があります。こちらの言い分が分からないと妻側も十分な反論ができないからです。
そのため、少なくとも、DV妻側に保護命令申立書が送られてきてから保護命令が発令されるまでの期間は、あなたはDV妻に知られないような場所に避難しておく必要が出てきます。DV妻が保護命令申立のことを知った場合、間違いなく、あなたに対して強く立腹するでしょうから、身を隠して身の安全を確保する必要があるからです。
また、保護命令が発令したとしても、接近禁止命令についていいますと有効期間は6か月ですので、有効期間経過後、DV妻があなたに対してコンタクトを図る危険性があります。
そのため、いずれにせよ、保護命令があったとしても、あなたとしては、DV妻側に所在を知られないような場所に転居する必要があるのです。
4.まとめ
・保護命令に違反した場合には刑事罰があり、効果は強い。
・保護命令が発令した場合、警察と密接に連携して対応できる。
・保護命令が発令された場合でもあなたの身の安全を守るためには、結局、DV妻に知られない場所に転居する必要性が生じる。
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