【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑳】こちらが弁護士を立てると夫は強く反発してくるんじゃないでしょうか?
2025.03.31更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
2.こちらが弁護士を立てると夫は強く反発してくるのではないでしょうか?
私にご相談に来られる方の中には、こちらが弁護士を立てることで余計に話が複雑になってしまうことをご心配なさっている方も相当数います。
モラハラ夫は、家庭内では非常に理不尽なことを言ってきたりしますが、家庭の外では理想的な人間のように振舞っている人も非常に多いので、外部の人間に相談するということ自体に反感を覚えたり、「弁護士に頼んで大事にされた」と考えて反発してくるモラハラ夫がいるのも事実です。
また、夫婦で離婚や別居の話し合いを一度もしていないと、弁護士が間に入っても「夫婦で直接話させてくれ」ということを強く主張してくるモラハラ夫もいます。
そのため、一度は夫婦での話し合い又は家族会議(お互いの両親なども入って話し合いをすること)をオススメすることもあります。
具体的に、私がどのようにお話することが多いのかを以下で解説します。
3.弁護士としてどのように回答しているか
正直なところを言いますと、私は、あまり無理に「弁護士を雇うべき」とは考えておりませんので、まずはお話をお伺いして、ご夫婦直接の話し合いや家族会議などの余地があるようでしたら、そちらをオススメすることもあります。
いきなり弁護士を雇うのではなく、夫婦又は家族会議で話が順調にまとまるケースもあります。
具体的には以下のようなことをお伺いしています。
(1)モラハラの内容の深刻さ
限られた時間で、あなたが受け続けてきたモラハラ被害の実態をすべて把握することは難しいのですが、おおよその印象を掴むことはできることが多いです。
そうしますと、あなたが受け続けてきたモラハラ被害がどれほど深刻なものなのかをおおよそ見極めることが出来ます。
当然ながら、より深刻なケースほど弁護士に依頼した方が良いケースと言え、逆に、深刻さがそれほど重くないという場合には、まだご夫婦やご家族での話し合いの余地があるということになります。
(2)あなた自身のご体調
あなた自身が既に心療内科や精神科に通院し、正式に精神疾患の診断を受けているという場合もあります。
このような場合には、夫婦で冷静な話し合いをすることは期待できませんので、そのような話し合いを経ずに弁護士を雇うことをオススメすることもあります。
また、正式に精神疾患の診断を受けていないとしても、モラハラ夫と話をしていると動悸やめまいがするなど、体調上、話し合いが難しいという場合にも、話し合いを経ずに弁護士を雇うことをオススメすることもあります。
もちろん体調が許すようでしたら、夫婦での話し合いもしくは家族会議を行った方が良いと思います。
(3)これまでに夫婦での話し合いをしたかどうか
私のところにご相談に来られる方の中には、これまでに何度も夫婦で話し合ったという方もいれば、これまでに一度も話し合ったことはないという方もいます。また、夫から一方的に離婚とか「出て行け」と言われるケースは多いのですが、夫婦で冷静に離婚や別居の話し合いができていないという方も多くいます。
これまで一度も夫婦で冷静に離婚や別居の話し合いができていないという場合には、私の方からは、一旦はご夫婦での話し合い、もしくは、ご夫婦のお互いの両親を交えての大家族会議などをオススメすることが多いです。
(4)あなた自身が何を強く希望するか
私がお話を伺っていると、「一度は私が選んだパートナーなので、最後に一度くらいは直接話をしたいと思います。ただ、夫にどうやって話を切り出すのがいいか分からないので教えて下さい」といったご相談を受けることもあります。
もちろん、そうは言ってもモラハラ被害があまりに深刻だったり、あまりに体調が悪い場合には、私の方からは「あまりご無理なさらないで下さい」とは言いますが、そうでない場合には、どのようにすれば夫婦で冷静に話し合いができるのかをご助言しています。
逆に、モラハラ夫と直接話をすることが心情的につらく「何があっても夫と直接話をすることはしたくない」という場合に、無理に直接の話し合いをオススメすることはできません。
以上は分かりやすい例ですが、私がお話を聞いておりますと、あなた自身が何を重視してどうしたいのかが伝わってくることも多いので、それに合わせて、直接の話し合いか、早めの弁護士依頼かをご助言しています。
4.モラハラ夫が強く反発してきた場合どうするか?
何の話し合いもせずに弁護士が介入すると、モラハラ夫側は強く反発してくることも多いのですが、私の方で、交渉が円滑に進まないと感じた場合には、早めに離婚調停を起こしてしまうことが多いです。
モラハラ夫が要望してくるのは「妻と直接会って話がしたい」というものであることが多く、弁護士を雇った後に、そのような直接の話し合いを実現することは不可能だからです。
「離婚調停」というと裁判所の手続ですから、複雑な準備が必要だと感じるかもしれませんが、調停申立書のフォーマットも簡易なものですので、複雑な準備が必要になるわけでもありません。
5.そもそも、弁護士を雇うことにはどんなメリット・デメリットがあるか?
前述のように、弁護士を雇うことでモラハラ夫が反発してしまうということを考慮しますと、そもそも「弁護士を雇うメリットは何なの?」と感じるかもしれません。
そこで、弁護士を雇うメリットとデメリットを整理してみました。
(1)【メリット1】直接やり取りしなくて済む
モラハラ離婚を弁護士に依頼する最大のメリットは、あなたがモラハラ夫と直接やり取りをしなくて済むという点ではないかと思います。私のところに相談に来られるモラハラ被害者の方々も、「怖くて直接話をすることができない」「身の危険を感じる」「夫を前にすると言葉が出なくなる」とおっしゃる方は多いです。
モラハラのケースでは、モラハラ夫がこちらの意見に耳を貸さない、理解しようとしないというケースが多いように思われますので、直接やり取りをするだけで精神的にすり減ってしまうと言うことが多いと思います。また、ご自身で離婚を切り出すと、夫側が逆上して、暴言被害が増えるリスクもあります。
これに対して、弁護士に依頼すると、弁護士が窓口となって交渉をしますので、直接当事者間で話をする必要がなくなります。
(2)【メリット2】相手の論法に巻き込まれない・丸め込まれない
こちらも、私のところに相談に来られる方が、よくおっしゃることなのですが「夫は理屈っぽいので絶対に言葉ではかなわない」とか「普通に話をすると丸め込まれてしまう」、「結局夫が気に入る結論じゃないと納得しないので、いつまでも話が終わらない」といったことをおっしゃる方が多いです。
モラハラ夫は、自分のしているモラハラ行為を完全に正当であると考えている人が非常に多く、そのため、自分の主張に強い自信を持っている人、自分の理屈を曲げようとしない人が多いというのが一つの特徴と言えます。
そのため、ご本人で話をしたり、友人に間に入ってもらっても、相手が理屈を曲げないために、交渉が進展しないと言うことが往々にしてあります。
これに対して、モラハラの問題に詳しい弁護士が間に入った場合、弁護士は、相手がどのような主張を展開してくるかある程度予測できますので、相手の論法に巻き込まれません。
(3)【メリット3】常に道標がある安心感
前述のようにモラハラ夫は、自信を持って自分の主張を展開してくることが多いため、聞いている方は、自分の考え方が間違っているのではないかと不安になってしまうことが多くあります。
しかし、弁護士が間に入れば、常に弁護士のアドバイスを受けながら手続を進められますので、その様な不安もなく安心することができます。
(4)【メリット4】裁判を視野に入れた準備
モラハラのケースでも、大半のケースでは、少なくとも調停離婚までで決着しています。とは言いましても、モラハラ夫が無理な言い分を曲げないため、調停離婚もまとまらず、どうしても裁判離婚を避けられないというケースも出てくることがあります。
前述のように、モラハラ夫は自分の主張に自信を持っている人が多いため、こちらから説得しても、理解しようとしないことが多いため、離婚協議や調停が上手く進捗しないケースもあるのです。
離婚裁判になりますと証拠がない主張は認められにくくなってしまいますので、調停の進捗などを見て、裁判でも勝訴できるだけの証拠を集める作業などを進めて行くことができます。このような準備を進めておけば、調停が不成立になってしまった場合でも、スムーズに裁判の手続きにスイッチさせることができます。
(5)【メリット5】避難先を知られずに手続ができる
特にモラハラがひどいケースでは、ご自身で別居を開始しているか、別居を決意されていると思います。
そして、相手からの暴言が過激であったり、執拗な場合、避難先を知られてしまいますと、モラハラ夫が押しかけてきて近所で騒ぎ始めるといったリスクもあります。
さらに、モラハラ夫に避難先を隠したままにしておくと、モラハラ夫は、あなたの現住所を教えることが離婚の話し合いの前提条件だと言い放って話が進展しないこともあり得ます。
この点、弁護士は守秘義務を負っていますので、弁護士がモラハラ夫に、あなの現住所等の情報を漏らす危険性はありません。当然、モラハラ夫は弁護士に対しても、執拗にあなたの現住所を聞き出そうとしてくることもありますが、弁護士は粘り強く住所を教えられない理由を説明して、局面を打開して行くことになります。
(6)【メリット6】相手の外面に騙されない
これは、モラハラ問題に詳しい弁護士に言えることなのですが、私を含めてモラハラの問題を多数扱っている弁護士は、夫側がどれだけ外面が良くても、そのような外面には騙されません。どんなに外面が良くても、「家庭内では別の顔を持っている」とよく分かっているからです。
逆に、モラハラの問題に疎い弁護士だと、夫の本質を見抜けずに、誤った方向に話を進めてしまうリスクもあります。
モラハラ問題に詳しい弁護士であれば、そのようなこともなく、安心してお任せいただけます。
(7)【デメリット1】弁護士費用の負担
弁護士に事件を依頼することになりますので、どうしても弁護士費用がかかってきてしまいます。
ただ、私がご依頼を受ける場合、いくら弁護士費用がかかるのかを明確にご説明しますので、ご安心してご依頼頂けます。
(8)【デメリット2】結局調停には本人出席が必要
私のところに相談に来られる方の中には、弁護士に依頼する場合、弁護士に全て手続を任せるので、ご自身で裁判所まで足を運ぶ必要はないと誤解されている方もいます。
もちろん離婚協議の際に、ご自身で足を運んで頂く必要はありませんが、離婚の手続きが調停のステップに上がってしまった場合、調停の席にはご本人にも出席して頂く必要が出てきます。
ただ、その場合にも、①必ず弁護士が同行しますし、②相手と同じ部屋で話し合いをするわけではありません。また、③裁判所で相手に遭遇するリスクを極力減らすよう裁判所とも連携して行きますので、裁判所でトラブルになるケースは少ないと思います。
6.まとめ
・残念ながら、こちらが弁護士を立てるとモラハラ夫は強く反発してくることも多い。
・弁護士としては以下のような項目を検討要素として夫婦直接の話し合い等を勧めることもある。
- モラハラの内容の深刻さ
- あなた自身のご体調
- これまでの話し合いの有無・回数等
- あなた自身の要望
・こちらが弁護士を立てたことで、モラハラ夫が強く反発してきた場合には、早めに調停を起こしてしまうことが多い。
・弁護士を雇うことはメリットもあればデメリットもある。
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