弁護士ブログ

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?㉒】何人くらいの弁護士に相談して、依頼する弁護士を決めるのでしょうか?

2025.04.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.これまで弁護士に頼んだことなんて一度もないからこそ…


 おそらく私のところにご相談に来られる方々は「これまで弁護士に頼んだことなんて一度もない」という方ばかりだと思います。

 そのため、実際にご自身のモラハラ離婚の問題をどの弁護士に依頼するのが良いか思い悩む方も相当数いらっしゃいます。

 このような観点から、実際に皆さんは何人くらいの弁護士に相談した上で弁護士を決めているのか、またポイントなどがあるのかについて解説していきます。

 

 

3.皆さん何人くらいの弁護士に相談して、依頼する弁護士を決めるのでしょうか?


 私がご相談を受けておりますと、「最初から秦弁護士にお願いするつもりできました」ということで、他の弁護士には一切相談したことがない、という方もいます。

 ただ、大半の方は、「実は他の弁護士にも相談しています」とか「これから他の弁護士さんにも相談してみようと思っています」とおっしゃることが多いです。

 離婚の問題は、解決までに時間がかかることも多いですし、弁護士費用は決して安くないので、私の方からも、「弁護士を比較検討してみる方が良いかもしれない」とアドバイスすることも多いです。

 

 それでは、実際には何人くらいの弁護士に相談する方が多いのでしょうか?

 これは、私がご相談を受けている際のご様子と印象という側面が強いのですが、4,5人の弁護士に相談して決めるという方が相対的に多いと思います。非常に思い悩んでいて10名以上の弁護士に相談したという方もたまに見かけますが、お話を聞いていると、あまりに相談し過ぎていて、どの弁護士がどのように話していたか少し混乱している様子がありましたので、あまり相談し過ぎるのも良くないと感じました。

 

 

4.弁護士選びのコツ


 弁護士選びのコツと言いますか、どのような切り口で検討するのが良いのかという点について、以下解説していきます。

 

(1)女性弁護士の方が良いか男性弁護士の方が良いか

 特に女性の方で多いのですが、女性弁護士にご相談されるか男性弁護士にご相談されるかで悩んでいらっしゃる方もいます。

 弁護活動の「質」というと表現が適切なのかという問題もありますが、男性弁護士と女性弁護士とで「質」という意味での差はないと思います。

 

 ただ、女性の方がよくおっしゃるのが、離婚の問題となりますと家庭内の機敏な話題も出てきますので、女性弁護士の方が相談しやすい、話しやすいという方はいます。

 他方で、モラハラのケースですと、モラハラ夫と交渉しなければなりませんので、女性弁護士では言い負けてしまうのではないかと心配される方もいます。

 

 しかし、上記の点は弁護士に対する一般的なイメージですので、逆に男性弁護士でも非常に話しやすいという先生もいれば、女性弁護士でもかなり力強く先方と交渉してくれる先生もいます。

 そのため、「女性弁護士が良い」とか「男性弁護士が良い」と間口を狭めてしまうのではなく、以下のような要素を考慮して検討してみるのがよいと思います。

 

(2)モラハラ離婚に精通しているか

 モラハラ離婚問題に関する弁護士選びにおいて一番重要なのは、モラハラ離婚問題に精通している弁護士かどうかという点ではないかと思います。要するに、これまでにモラハラ離婚の事件の取扱件数がどの程度あるのかという点が非常に重要な判断要素になると思います。

 ここで注意して頂きたいのが、この事件取扱実績の判断において、単純に離婚問題の実績というのではなく「モラハラ」離婚の実績がどの程度あるのかという点です。

 

 モラハラのケースですとモラハラ夫が法律事務所に乗り込んできたり、罵声を浴びせられたりと、普段の離婚事件とは異なる特殊性があります。また、電話口での対応一つ取っても、モラハラ離婚を取り扱ったことのない弁護士ですと相手を不用意に怒らせてしまい、そのことが早期離婚の妨げになることもあります。

 

 ただ、弁護士に相談した際に、その弁護士に対して「こういうケースって多いんですか?」とか「先生はこういうケースを何件ぐらい取り扱っていますか?」と面と向かって質問しても、(実際取り扱ったことがないとしても)「1件もやったことはありません」という返事は返ってこないと思います。おそらく「モラハラのケースはよく取り扱いますよ」とか「離婚全体の相談件数が多いですから」といったお茶を濁した返答が返ってくると思います。

 

 そのため、その弁護士のホームページを見てモラハラ事案の取扱実績がどの程度あるのか、モラハラ問題に力を入れているのかは把握しておいた方が良いと思います。その際、DVのケースは、モラハラのケースの発展型とも言えますので、DVの取扱件数が多い様でしたら、信頼性は高いと思われます。また、友人や知人から「以前モラハラ離婚でお世話になったことがある」といった理由で紹介を受けた弁護士であれば、実績としては申し分ないかと思います。

 

(3)直接会って相性の確認

 上記の通り、モラハラ問題に詳しい弁護士が見つかった場合、実際その弁護士に会って話をしてみるのがよいと思います。

 直接会って話をすると、多少なりとも弁護士の人となり、対応の仕方が分かってくるからです。

なお、複数人の弁護士が所属する法律事務所の場合には、「その法律事務所の弁護士ならだれでも良い」という姿勢はあまり感心しません。実際に直接話をした弁護士が担当してくれるのか、もしくは、インターネットの記事を実際に執筆した弁護士が担当してくれるのか、といった点はしっかりと確認した方が良いと思います。

 

(4)やっぱり気になる弁護士費用

 皆様は弁護士費用が高額に感じることが多いと思いますので、弁護士費用がいくらになるのかという点も重要な判断要素になります。

 

 ただ、弁護士費用が安ければ安いほど良いというわけでもないと思いますので、弁護士選びの優先順位としては、前述の①モラハラ離婚に対する専門性、②直接会って話してみた相性を優先して弁護士選びをした方が良いと思います。

 また、弁護士費用を確認するにあたっては、①事件ごとに弁護士費用が発生するのかどうか、②日当などが発生する可能性がないのか、③今は協議離婚・調停離婚の段階なので良いが、裁判離婚の場合いくらぐらいになるのかといったことも確認すると、より安心できると思います。

 補足しますと、上記の①につきましては、一口に離婚事件と言いましても、婚姻費用(離婚までの生活費)の問題や面会交流の問題など派生する問題が発生することが多くあります。それらの事件一つ一つについて追加の弁護士費用が発生する場合にはコストも高くなってしまいますので、最初に払う弁護士費用でどこまでカバーしているのかについてはしっかりと確認した方が良いです。

 上記の②につきましては、調停をする裁判所が少し離れている、ということもあります。その場合、調停期日に足を運ぶたびに弁護士の日当がかかるケースも多いです。日当がいくらなのかを把握しておくと弁護士費用のイメージがより透明化されると思います。

 

(5)弁護士事務所のロケーション

 あと私が相談を受けていて依頼者の方がよくおっしゃるのが、弁護士事務所のロケーションでしょうか。ご自宅の近く、職場の近くなど、弁護士事務所の近さも一つの考慮要素になると思います。

 

 特に、何か問題が起きた際には、できるだけ弁護士に直接会って面談をしたいと考えている方は、ご自宅又は職場の近くの弁護士事務所にご相談になるのが良いと思います。

 ただ、モラハラのケースですと、モラハラ夫は、あなたが弁護士事務所周辺を生活圏にしているのではないかと疑ってくることも多いため、あまりあなたの住居に近い場所の弁護士事務所に相談をすることは得策ではないかも知れません。

 

 
(6)できれば、弁護士の忙しさの確認も

 最後になりましたが、弁護士の忙しさも確認できるようなら確認してみると良いと思います。ただ、単純に弁護士に対して「お忙しいですか?」と質問すると、ほとんどの弁護士は「忙しいです」と回答すると思いますので、その様な質問の仕方はあまり良くないと思います。

 

 オススメなのは、「先生にお願いした場合、相手に送る内容証明郵便の文案が出来上がるのにどれくらい日数がかかりますか?」という質問です。この回答が「1ヵ月くらいはかかります」という内容ですと、相当忙しいことが予想されますので、ご留意した方が良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


・私が相談を受けていると、4,5人の弁護士に相談した上で依頼する弁護士を決めている方が相対的に多いように感じる。

・弁護士選びは男性・女性という枠を決めずに選んだ方が良いことが多い。

・モラハラ離婚は特殊性が強いので、モラハラ問題に精通した弁護士に依頼した方が良い。

・その弁護士に直接会って相性を確認した方が良い。

・弁護士費用も気にする必要があるが、優先順位を高めに考えるべきではない。

・弁護士事務所のロケーションも一つの考慮要素になりうる

・弁護士の忙しさも確認できるようなら確認した方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?㉑】離婚解決まで長引くことが多いんでしょうか?

2025.04.07更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.全体的な傾向は…


はじめに、私が数々のモラハラ案件を処理している中で感じるのは、「なかなか早期解決が難しい」という点です。

 モラハラ夫が相手なので、些細なところにこだわって離婚の話が進まないとか、同居中ほとんど子供の面倒を見ていなかったのに親権に強くこだわり始めるなど、こちらがあまり予想していなかった部分で時間がかかってしまうということも往々にしてあるのです。

 あまり抽象的に話をしていても、分かりにくくなってしまうと思いますので、離婚の手続きの段階に応じて整理します。

 即ち、離婚の問題は、①協議離婚→協議離婚が上手く行かない場合に②調停離婚→どうしても調停離婚が上手く行かない場合に③裁判離婚という流れをたどりますので、最終解決が協議離婚で済むのか、調停離婚での解決なのか等手続がどこまで進むかに応じて、要する期間も異なってきます。

 

 このような期間はケースによって様々なので一概には申し上げにくいのですが、各手続に応じてどの程度の期間を要するのかの目安と、どのような問題が争点になると長期化しやすいのかについて解説します。

 

 

3.協議離婚で解決する場合


 協議離婚というのは、離婚届を役所に提出して解決する場合を言います。

 たまに依頼者の中には、弁護士が間に入る場合には、協議離婚にはならない(調停離婚で手続を進める)と誤解されている方もいらっしゃいますが、基本的には、弁護士が間に入った場合にも、協議離婚による解決を目指すことが多いです。

 

 では、協議離婚の場合、解決までにどの程度の期間を要するかというと、おおよそ2か月から6か月程度というのが一つの目安かと思われます。ただ、これもケースによりけりですので、一つの目安と考えて頂ければと思います。

 

 通常、協議離婚で解決したという場合には、離婚条件について大きな対立はないことが多いのですが、協議離婚が長期化する傾向があるのは、①緻密な離婚協議書を作成する場合や②財産分与の対象が多くて整理に時間がかかる場合、③公正証書を作成する場合ではないかと思います。

 補足しますと、「①緻密な離婚協議書を作成する場合」というのは、特にお子様との関わりが問題になることが多いのですが、例えば、離婚後のお子様と夫との交流について、直接会う頻度は2か月に一回までしか認めないけれども、メールのやり取りは週1回まで認める等々何をどこまで認めるのかについてきめ細かく記載する場合などが代表例です。きめ細かく離婚協議書の内容を詰めていかなければならなくなりますので、交渉に期間を要することが多いです。

 ③はどのようなケースなのかといいますと、特に養育費などの金銭の支払いに強制力を持たせたい場合が代表例です。その場合、公正証書を実際に作成するのは公証人になります。そのため、公正証書を作成する場合には、公証人との折衝や公証人に提出する資料なども必要になってくる関係で最終解決までの期間が延びる傾向にあります。

 

 なお、モラハラ夫との離婚協議の場合、相手が自分の考え方に強く固執している場合も多く、協議離婚での解決は難しいケースも多いように思われます。

 

 

4.調停離婚で解決する場合


 前述の協議離婚が上手く行かない場合、調停手続で離婚を目指すことになります。

 特に相手がモラハラ夫で、離婚協議をしていても、話がうまく進展しない場合には、早期に調停を申し立てることが多いです。

 

 調停での解決にどの程度の期間を要するかですが、これもケースによって千差万別なのですが、一般的にはどんなに早くとも調停がスタートしてから3か月、長い場合には1年、または1年を超えることもあるという回答になると思います。

 それでは、モラハラ離婚の調停の場合、どのような問題で長期化しやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

 

①離婚するかどうかの部分、または離婚原因の部分で対立が激しい場合

 特に深刻なモラハラ夫のケースで多いのですが、モラハラ夫は基本的に自分が悪いことをしてきたという認識が薄いです。

 そのため、こちらからモラハラを離婚原因に掲げると、モラハラ夫側からは、以下のような反発を受けることが多くあります。例えば以下のようなものです。

・妻の我慢が足りない。

・モラハラの原因を作ったのは妻の方である。

・そこまでひどいことをしていない。

・暴力をふるったわけではないから問題ない。

 果ては、離婚調停の申立書の書き方が悪いとか、事細かに揚げ足を取ってくる場合もあります。

 このようにモラハラ離婚そのものを争ってきたり、その詳しい離婚原因に強く反発してくる場合には、詳しい離婚条件を話し合う前の段階で調停手続がストップしてしまいますので、時間を費やしてしまう原因になりかねません。

 なお、離婚する・離婚しないというところでお互いが意見を譲らない場合には、調停委員から早めに調停打ち切りを伝えられてしまうケースも多いです。調停打ち切りになってしまいますと、一旦調停の場での議論はできなくなってしまいますので、次は裁判を起こすという手順に進んでいくことになります。

 

②お子さんとの関係で嫌がらせをしてくる場合

 モラハラ夫が離婚には応じたとしても、渋々合意したと言うことが多いため、何かしらの形で嫌がらせをしたいと考えてくる人もいます。例えば、以下のような形になります。

・実際自分では育てられないと分かっているのに親権獲得を希望してくる。

・親権は争わないが、今後の監護計画を事細かに聞いてくる。

・頻繁な面会交流を要求してくる。

・しきりに学校行事や習い事の発表会への参加を要求してくる。

・養育費を出し渋る。

 モラハラ夫から上記のような要望が出された場合には、長期化要因になりますが、どの程度期間が延びるかは、夫側がどこまで執着してくるのかによっても大きく左右されます。

 

③財産分与の対象財産が多い場合、争点が多い場合

 財産分与の対象財産が比較的少ない場合や、そもそも婚姻期間が短く財産分与の必要がない場合には、その分短期決着が見込めます。

 他方で、財産が多い場合や、特有の争点が生じる場合には長期化要因になります。財産分与で争点となるケースというのは、①自宅購入時の頭金の金額・性質等に争いがある場合、②相手が一部の財産しか開示しない場合(対象財産の範囲に争いがある場合)、③婚姻前の財産の範囲や額に争いがある場合等になります。

 特にモラハラ夫は、離婚する妻に対しては極力金銭を渡したがらないことが多いため、財産分与が大きな争いになるケースも多くあります。

 

④慰謝料が争点になる場合

 モラハラも深刻な内容の場合には、相手に慰謝料を請求すべき場合もあります。

 ただ、モラハラ夫は通常自身の行動を正当化してくることが多いため、慰謝料を支払わないばかりか、こちらが慰謝料を請求してきたことそのものに不満をぶつけてくることもあります。

 この慰謝料の問題で対立する場合も紛争が長期化する要因になります。

 

 

5.裁判離婚で解決する場合


 上記のような調停手続でも離婚が成立しない場合には、やむを得ず裁判を選択せざるを得なくなります。

 

 裁判に要する期間については、それこそ千差万別であって一概に申し上げることは非常に困難です。

 ただ、裁判を申し立てる前に、既に離婚協議、離婚調停を経ているため、訴訟提起の段階で数か月は経っていることが多いと思います。そして、裁判そのものがスタートしても、さらに1年近い期間が経過することは覚悟しなければならないと思います。そのため、弁護士が事件に着手してからのトータル期間で見ますと、①裁判の申立前に既に数か月、②裁判スタート後に1年というイメージですと、トータル期間として最低でも1年数か月は覚悟しなければならないというイメージになると思います。

 

 なお、離婚訴訟を起こすとなると、裁判で勝てるだけの離婚原因があるのかという点の検討も必要になります。

 具体的には、モラハラの証拠を精査・整理することはもちろんですが、ある程度別居期間を稼ぐという観点から、多少訴訟提起の時期を遅らせるという場合もあります。そのため、調停が成立してからすぐに裁判を起こすのではなく、調停終了から裁判の申立までに一定期間を空ける場合もあります。

 

 裁判離婚の場合、原則として相手も徹底的に争ってくるケースが多いため、各離婚条件について反論や証拠集めの労を要するというように考えた方が良いと思います。

 

 

6.スピードよりも、「より良い解決」を!


 たまに弁護士が間に入ったのだから早急に解決して欲しいという要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、結論を急ぐあまりに十分納得できない内容で解決してしまうのでは本末転倒だと思います。

 

 もちろん、離婚という問題を長期間抱えることは、それだけで心理的ストレスになると思いますので、早急な解決が望ましいことは間違いありません。

 ただ、結論を急ぐあまりに不十分な内容で解決してしまうと、2年後、3年後に振り返ったときに後悔してしまうのではないかと思います。

 

 そのため、解決を急ぎつつも、ご自身が納得いく解決を目指すことができればと考えております。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫が相手なのでモラハラ離婚は解決までに時間がかかるケースが相対的に多い。

・協議離婚はあまり長期化せずに解決できるケースが多い。

・ただ、協議離婚でも、離婚協議書に細かな内容を盛り込む場合や公正証書を作成する場合、長期化要因になることがある。

・調停離婚はいくつか長期化する項目があり、モラハラ夫の態度が大きく影響する。

・裁判離婚に発展した場合には、それなりの期間かかることを覚悟する必要がある。

・迅速な解決が望ましいが、迅速性よりも「より良い解決」の方が大事である。

 

 

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<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑳】こちらが弁護士を立てると夫は強く反発してくるんじゃないでしょうか?

2025.03.31更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.こちらが弁護士を立てると夫は強く反発してくるのではないでしょうか?


 私にご相談に来られる方の中には、こちらが弁護士を立てることで余計に話が複雑になってしまうことをご心配なさっている方も相当数います。

 モラハラ夫は、家庭内では非常に理不尽なことを言ってきたりしますが、家庭の外では理想的な人間のように振舞っている人も非常に多いので、外部の人間に相談するということ自体に反感を覚えたり、「弁護士に頼んで大事にされた」と考えて反発してくるモラハラ夫がいるのも事実です。

 また、夫婦で離婚や別居の話し合いを一度もしていないと、弁護士が間に入っても「夫婦で直接話させてくれ」ということを強く主張してくるモラハラ夫もいます。

 そのため、一度は夫婦での話し合い又は家族会議(お互いの両親なども入って話し合いをすること)をオススメすることもあります。

 具体的に、私がどのようにお話することが多いのかを以下で解説します。

 

 

3.弁護士としてどのように回答しているか


 正直なところを言いますと、私は、あまり無理に「弁護士を雇うべき」とは考えておりませんので、まずはお話をお伺いして、ご夫婦直接の話し合いや家族会議などの余地があるようでしたら、そちらをオススメすることもあります。

 いきなり弁護士を雇うのではなく、夫婦又は家族会議で話が順調にまとまるケースもあります。

具体的には以下のようなことをお伺いしています。

 

(1)モラハラの内容の深刻さ

 限られた時間で、あなたが受け続けてきたモラハラ被害の実態をすべて把握することは難しいのですが、おおよその印象を掴むことはできることが多いです。

 そうしますと、あなたが受け続けてきたモラハラ被害がどれほど深刻なものなのかをおおよそ見極めることが出来ます。

 当然ながら、より深刻なケースほど弁護士に依頼した方が良いケースと言え、逆に、深刻さがそれほど重くないという場合には、まだご夫婦やご家族での話し合いの余地があるということになります。

 

(2)あなた自身のご体調

 あなた自身が既に心療内科や精神科に通院し、正式に精神疾患の診断を受けているという場合もあります。

 このような場合には、夫婦で冷静な話し合いをすることは期待できませんので、そのような話し合いを経ずに弁護士を雇うことをオススメすることもあります。

 また、正式に精神疾患の診断を受けていないとしても、モラハラ夫と話をしていると動悸やめまいがするなど、体調上、話し合いが難しいという場合にも、話し合いを経ずに弁護士を雇うことをオススメすることもあります。

 もちろん体調が許すようでしたら、夫婦での話し合いもしくは家族会議を行った方が良いと思います。

 

(3)これまでに夫婦での話し合いをしたかどうか

 私のところにご相談に来られる方の中には、これまでに何度も夫婦で話し合ったという方もいれば、これまでに一度も話し合ったことはないという方もいます。また、夫から一方的に離婚とか「出て行け」と言われるケースは多いのですが、夫婦で冷静に離婚や別居の話し合いができていないという方も多くいます。

 これまで一度も夫婦で冷静に離婚や別居の話し合いができていないという場合には、私の方からは、一旦はご夫婦での話し合い、もしくは、ご夫婦のお互いの両親を交えての大家族会議などをオススメすることが多いです。

 

(4)あなた自身が何を強く希望するか

 私がお話を伺っていると、「一度は私が選んだパートナーなので、最後に一度くらいは直接話をしたいと思います。ただ、夫にどうやって話を切り出すのがいいか分からないので教えて下さい」といったご相談を受けることもあります。

 もちろん、そうは言ってもモラハラ被害があまりに深刻だったり、あまりに体調が悪い場合には、私の方からは「あまりご無理なさらないで下さい」とは言いますが、そうでない場合には、どのようにすれば夫婦で冷静に話し合いができるのかをご助言しています。

 逆に、モラハラ夫と直接話をすることが心情的につらく「何があっても夫と直接話をすることはしたくない」という場合に、無理に直接の話し合いをオススメすることはできません。

 以上は分かりやすい例ですが、私がお話を聞いておりますと、あなた自身が何を重視してどうしたいのかが伝わってくることも多いので、それに合わせて、直接の話し合いか、早めの弁護士依頼かをご助言しています。

 

 

4.モラハラ夫が強く反発してきた場合どうするか?


 何の話し合いもせずに弁護士が介入すると、モラハラ夫側は強く反発してくることも多いのですが、私の方で、交渉が円滑に進まないと感じた場合には、早めに離婚調停を起こしてしまうことが多いです。

 モラハラ夫が要望してくるのは「妻と直接会って話がしたい」というものであることが多く、弁護士を雇った後に、そのような直接の話し合いを実現することは不可能だからです。

 「離婚調停」というと裁判所の手続ですから、複雑な準備が必要だと感じるかもしれませんが、調停申立書のフォーマットも簡易なものですので、複雑な準備が必要になるわけでもありません。

 

 

5.そもそも、弁護士を雇うことにはどんなメリット・デメリットがあるか?


 前述のように、弁護士を雇うことでモラハラ夫が反発してしまうということを考慮しますと、そもそも「弁護士を雇うメリットは何なの?」と感じるかもしれません。

 そこで、弁護士を雇うメリットとデメリットを整理してみました。

(1)【メリット1】直接やり取りしなくて済む

  モラハラ離婚を弁護士に依頼する最大のメリットは、あなたがモラハラ夫と直接やり取りをしなくて済むという点ではないかと思います。私のところに相談に来られるモラハラ被害者の方々も、「怖くて直接話をすることができない」「身の危険を感じる」「夫を前にすると言葉が出なくなる」とおっしゃる方は多いです。

 

 モラハラのケースでは、モラハラ夫がこちらの意見に耳を貸さない、理解しようとしないというケースが多いように思われますので、直接やり取りをするだけで精神的にすり減ってしまうと言うことが多いと思います。また、ご自身で離婚を切り出すと、夫側が逆上して、暴言被害が増えるリスクもあります。

 これに対して、弁護士に依頼すると、弁護士が窓口となって交渉をしますので、直接当事者間で話をする必要がなくなります。

 

(2)【メリット2】相手の論法に巻き込まれない・丸め込まれない

 こちらも、私のところに相談に来られる方が、よくおっしゃることなのですが「夫は理屈っぽいので絶対に言葉ではかなわない」とか「普通に話をすると丸め込まれてしまう」、「結局夫が気に入る結論じゃないと納得しないので、いつまでも話が終わらない」といったことをおっしゃる方が多いです。

 

 モラハラ夫は、自分のしているモラハラ行為を完全に正当であると考えている人が非常に多く、そのため、自分の主張に強い自信を持っている人、自分の理屈を曲げようとしない人が多いというのが一つの特徴と言えます。

 そのため、ご本人で話をしたり、友人に間に入ってもらっても、相手が理屈を曲げないために、交渉が進展しないと言うことが往々にしてあります。

 

 これに対して、モラハラの問題に詳しい弁護士が間に入った場合、弁護士は、相手がどのような主張を展開してくるかある程度予測できますので、相手の論法に巻き込まれません。

 

 (3)【メリット3】常に道標がある安心感

 前述のようにモラハラ夫は、自信を持って自分の主張を展開してくることが多いため、聞いている方は、自分の考え方が間違っているのではないかと不安になってしまうことが多くあります。

 

 しかし、弁護士が間に入れば、常に弁護士のアドバイスを受けながら手続を進められますので、その様な不安もなく安心することができます。

 

(4)【メリット4】裁判を視野に入れた準備

 モラハラのケースでも、大半のケースでは、少なくとも調停離婚までで決着しています。とは言いましても、モラハラ夫が無理な言い分を曲げないため、調停離婚もまとまらず、どうしても裁判離婚を避けられないというケースも出てくることがあります。

 

 前述のように、モラハラ夫は自分の主張に自信を持っている人が多いため、こちらから説得しても、理解しようとしないことが多いため、離婚協議や調停が上手く進捗しないケースもあるのです。

 

 離婚裁判になりますと証拠がない主張は認められにくくなってしまいますので、調停の進捗などを見て、裁判でも勝訴できるだけの証拠を集める作業などを進めて行くことができます。このような準備を進めておけば、調停が不成立になってしまった場合でも、スムーズに裁判の手続きにスイッチさせることができます。

 

(5)【メリット5】避難先を知られずに手続ができる

 特にモラハラがひどいケースでは、ご自身で別居を開始しているか、別居を決意されていると思います。

 

 そして、相手からの暴言が過激であったり、執拗な場合、避難先を知られてしまいますと、モラハラ夫が押しかけてきて近所で騒ぎ始めるといったリスクもあります。

 

 さらに、モラハラ夫に避難先を隠したままにしておくと、モラハラ夫は、あなたの現住所を教えることが離婚の話し合いの前提条件だと言い放って話が進展しないこともあり得ます。

 

 この点、弁護士は守秘義務を負っていますので、弁護士がモラハラ夫に、あなの現住所等の情報を漏らす危険性はありません。当然、モラハラ夫は弁護士に対しても、執拗にあなたの現住所を聞き出そうとしてくることもありますが、弁護士は粘り強く住所を教えられない理由を説明して、局面を打開して行くことになります。

 

(6)【メリット6】相手の外面に騙されない

 これは、モラハラ問題に詳しい弁護士に言えることなのですが、私を含めてモラハラの問題を多数扱っている弁護士は、夫側がどれだけ外面が良くても、そのような外面には騙されません。どんなに外面が良くても、「家庭内では別の顔を持っている」とよく分かっているからです。

 逆に、モラハラの問題に疎い弁護士だと、夫の本質を見抜けずに、誤った方向に話を進めてしまうリスクもあります。

 モラハラ問題に詳しい弁護士であれば、そのようなこともなく、安心してお任せいただけます。 

 

(7)【デメリット1】弁護士費用の負担

 弁護士に事件を依頼することになりますので、どうしても弁護士費用がかかってきてしまいます。

 ただ、私がご依頼を受ける場合、いくら弁護士費用がかかるのかを明確にご説明しますので、ご安心してご依頼頂けます。

 

(8)【デメリット2】結局調停には本人出席が必要

 私のところに相談に来られる方の中には、弁護士に依頼する場合、弁護士に全て手続を任せるので、ご自身で裁判所まで足を運ぶ必要はないと誤解されている方もいます。

 

 もちろん離婚協議の際に、ご自身で足を運んで頂く必要はありませんが、離婚の手続きが調停のステップに上がってしまった場合、調停の席にはご本人にも出席して頂く必要が出てきます。

 

 ただ、その場合にも、①必ず弁護士が同行しますし、②相手と同じ部屋で話し合いをするわけではありません。また、③裁判所で相手に遭遇するリスクを極力減らすよう裁判所とも連携して行きますので、裁判所でトラブルになるケースは少ないと思います。

 

 

6.まとめ


・残念ながら、こちらが弁護士を立てるとモラハラ夫は強く反発してくることも多い。

・弁護士としては以下のような項目を検討要素として夫婦直接の話し合い等を勧めることもある。

  • モラハラの内容の深刻さ
  • あなた自身のご体調
  • これまでの話し合いの有無・回数等
  • あなた自身の要望

・こちらが弁護士を立てたことで、モラハラ夫が強く反発してきた場合には、早めに調停を起こしてしまうことが多い。

・弁護士を雇うことはメリットもあればデメリットもある。

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

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浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑲】モラハラ後遺症が治るまでの期間はどのくらいなのでしょうか?

2025.03.17更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.既にメンタル面での正式な診断を受けてしまっている場合


 同居中から、モラハラ夫の暴言などに悩み苦しみ、既に精神科や心療内科から、PTSDやうつ病、適応障害、身体表現性障害、不安神経症など正式な診断がおりてしまっている場合もあります。

 このような場合には、精神症状の回復にはかなりの期間を要するケースが多いと思います。

 いずれにしましても、既に精神科や心療内科に通院なさっていますので、今後の回復見込みや回復時期に関しては主治医にお尋ね頂く他ありません。

 

 以下では、上記のような正式な精神疾患の診断は受けていない前提で、モラハラ後遺症がいつ頃治るのかについて解説していきます。

 

 

3.そもそも「モラハラ後遺症」って?


 前述のように、既に精神科や心療内科から、PTSDやうつ病、適応障害、身体表現性障害、不安神経症など正式な診断がおりてしまっている場合、これらの精神疾患そのものがモラハラ後遺症と言っても良いものだと思います。

 他方で、このような正式な診断がなくとも、別居以降も、イライラ、倦怠感、食欲不振、吐き気、動悸、息切れ、めまい、頭痛、不眠、感情の不安定、涙もろいなどの体調不良が出る場合には、これはモラハラ後遺症と言ってよいと思います。

 

 なお、誤解がないようにお伝えしますと、①このような「モラハラ後遺症」というのは正式な法律用語ではありませんので、法律などで「どこまでがモラハラ後遺症でどこまでが後遺症ではない」というような明確な線引きがあるわけではありません。このように、正式な法律用語ではないということと関連しますが、②モラハラ後遺症に該当すると慰謝料がもらえる、というような相関関係があるわけではありません。この点はご留意下さい。

 

 

4.モラハラ後遺症が治るまでにかかる期間はどのくらい?


(1)非常に残念ではあるが、短期的には治らないケースが多い

 私が担当している数々の事件を見ておりますと、全体的にモラハラ後遺症は「あまり短期間では治らないことが多い」というのが実感です。

 そのため、あまりにご体調が悪い期間が長引く場合には、「早めに心療内科にご相談に行かれるなどなさって下さい」とアドバイスすることも多いです。

 特に婚姻期間が長いケースですと、長期間モラハラ被害を受け続けたことになりますので、その回復には時間がかかるケースが多いです。

 

(2)それでも別居での負担感軽減は大きい

 前述のように、残念ながら、モラハラ後遺症は、別居以降もそれなりの期間付き合う必要があることが多いです。

 ただ、別居することで後遺症が軽減したとおっしゃる方は非常に多いです。例えば「モラハラ夫と同居中は、毎日夫が帰宅するときのドアの鍵の音がするだけで緊張感が走ってやり場のない気持ちになっていましたが、今はそのようなことは無くなりました」とか「別居してなにより子供たちの笑顔が増えて、私もそれに癒されています」といった感想を述べられる方もいます。

 モラハラ夫は、こちらからしてみると「いつ何を言い出すか分からない」ということで、こちらも強い緊張状態下に置かれてしまうというケースも非常に多いものですから、少なくとも「モラハラ夫と一緒に暮らさなくて済んでいる」という安心感はあるようです。

 

(3)残念ながら、その後の手続きの中で再び体調不良になってしまうこともある

 前述のようにモラハラ夫と一緒に暮らすストレスは軽減されるのですが、あなた自身が調停手続きに参加することの不安感や、その手続きの中で夫側の言い分を聞くことによるストレスなどはどうしても発生してしまいます。

 もちろん、弁護士を雇えば、弁護士も調停の席に同席するのですが、上記のようなストレスや不安感をゼロにすることは難しいです。

 

 

5.弁護士として配慮していること


 私はモラハラ離婚のケースなどを数多く取り扱っておりますので、前述のようなモラハラ後遺症に悩まされている方の苦しみの一部は理解しているつもりです(残念ながら、ご本人様ではないため、その全部は理解することが難しいですが)。

 そのため、なるべくモラハラ被害者の方々が、これ以上モラハラ後遺症が悪化しないように極力努めさせて頂いています。

例えばですが、まず、モラハラ被害を吐き出すということで、私の方で、詳しくお話を聞いて、それをストレス発散につなげてもらうということもあります(逆に、詳しい話を思い出そうとすると心情的に苦しいという場合には、時間をかけてお話を聞くなどします)。

 また、例えば、モラハラ夫側弁護士の書面の内容がきつい内容の場合には、それをメールで転送等する際に「少しお時間をかけてご覧下さい」などとメールタイトルに書くなどして配慮するようにしております。

 

 

6.まとめ


・PTSDやうつ病、適応障害、身体表現性障害、不安神経症などのメンタル面での正式な診断がおりてしまっている場合には、残念ながら回復までに期間を要するケースが多い。

・そうでない場合でも、短期的に回復するケースは少ないと思われる。

・それでも、別居での後遺症の軽減を実感される方が多い。

・弁護士としてもモラハラ後遺症軽減に配慮している。

 

 

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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑱】どこまで昔のことを思い出す必要があるのでしょうか?

2025.03.10更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.どこまで昔のことを思い出す必要があるのでしょうか?


 「どうして離婚したいと思うようになったのか」という点について、より正確かつ詳細に話をするにあたっては、結婚当初に遡った出来事を思い出さないといけないと考えがちです。

 確かに、後述の通り、最終的には、結婚のときに遡って時系列的に出来事などを羅列するといった作業が必要になりますが、漫然とそれを思い出すということは非常に難しいと思います。特に婚姻期間が10年、20年、それ以上ともなると、「結婚した当初の時のことは思い出せない」「そんな10年以上前のことを正確に思い出すことは難しい」ということも多いと思います。

 今回は、今後の調停や裁判に向けて、「どのようなこと」を「どのような切り口」で思い出す必要があるのかという観点から解説していきます。

 

(1)まずは直近部分についてのエピソード

 この点は、一番大事で、調停などでも必ずと言ってよいほど調停委員から質問される事項なのですが、直近部分のエピソードをお話しいただく必要があります。

 要するに、今あなたが弁護士に相談をしたいと考えたり、別居したいと考えているのは、直近で「もうモラハラ夫とは一緒にやっていけない」と感じる大きな出来事があったからだと思います。

 それは、「これまでは汚い言葉で罵られるだけだったけれども、ついに手が出たのでもう無理だと思った」なのか「これまでは無視されるだけだったけれども、今回はこちらのこれまでの努力を完全に無にするようなひどい罵倒があった」なのか、出来事の内容は様々だとは思いますが、「これまでにない何か」があったのだと思いますので、その内容が何なのかをお話しいただくということになります。

 

  もちろんモラハラの場合には、「これまでの積み重ね」が大きく、直近で分かりやすい大きな出来事が発生していない場合もありますが、それでも、「モラハラ夫が帰ってくると動悸がしてしまって苦しくなってしまった」など、何らか別居・離婚を決意した理由等があると思いますので、そのような「直接のきっかけ」と一緒に、夫の何が嫌で、「どのような積み重ね」があったのかをお話しいただくことが重要になります。

 

(2)証拠という切り口

 前述のように直近の出来事に関しては、まだそれほど期間も空いていないため思い出すことが出来ると思いますが、数年前の出来事になりますと「こういうことがあったのは間違いないけれども、5年前のことだったか、7年前くらいだったかもよく思い出せない」ということもあろうかと思います。

 そもそも、モラハラ夫が「離婚したくない」と強く主張してくる可能性が高い事案では、早い段階からモラハラ証拠を確認しておくべき事案が多いです。

 

 モラハラ夫の言動を録音した音声があれば、それが良いのですが、それがない場合でも、モラハラ夫のLINEやメールなどがあれば、それが証拠になる場合もあります。

 LINEやメールで暴言や脅しまがいの文言などがある場合には、モラハラの証拠になりますし、LINE等の日付を見れば、何時の出来事なのかも分かります。

 このようにして証拠を振り返ることで、モラハラの時期を特定していくということもあります。

 

 もし、モラハラ夫がLINEやメールではモラハラ発言をしていないという場合には、時期の特定のために写真データなどを見返すということもあります。

 例えば、夫側の両親も交えて○○に旅行に行った時に、ひどい暴言被害を受けたという場合には、その旅行の時期が特定できれば良いので、その時の旅行の写真を探す、といった具合です。デジタルデータが残っていれば、写真撮影日イコール暴言被害の時期の特定につながると思います。

 

(3)「漏れなく伝える」というよりも「重要な出来事をしっかり伝える」ということの方が重要

 たまに、10ページ以上の文書で「これまでのモラハラ被害の全て」というような内容のものを詳細にまとめてきてくださるような方もいます。もちろん、このような文書があると、弁護士としては過去の経緯の確認をするにあたって作業がしやすいのは事実です。

 ただ、このような方々のお話を聞いていると、「結婚中のモラハラをほとんど網羅していると思います」とお話なさるのですが、今後の手続きに当たって重要になってくるのは、「全てを漏れなく」というよりも「重要な出来事に関しての詳細」という視点です。要するに「広く浅く」よりも(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が大事だということです。

 もちろん、そのような重要な出来事に関して証拠があれば、その方が有利に手続きを進めることが出来ます。

 

 例えば、「平成〇年〇月〇日に夫から『死ね』と言われた」というだけではなく、①どのような経緯でそのように言われたのか、②その声の大きさはどのくらいの声の大きさだったのか、③その時に言われたのは「死ね」だけだったのか、他にひどいことは言われていないのかといったことをしっかりと思い出す、という意味です。

 よく私の方からは、重要な出来事に関しては5W1Hもしっかりと思い出して下さい、とアドバイスすることが多いです。

 

(4)最終的には時系列化

 前述のように思い出していただき、最終的には時系列化できると良いです。

 ただ、結婚して数年など、古い出来事についてはどうしても思い出せないとか、特に大きなモラハラの出来事はないということもあると思います。

 そのような場合には「結婚して暫くは特に夫が暴言などを発することもなかったが、長男が生まれたあたりから、やつあたりがひどくなり…」というような説明の仕方になることも多いです。

 いずれにせよ、前述のように「全てを漏れなく」というよりも「重要な出来事に関しての詳細」という視点で思い出すことの方が重要性が高いです。

 

 

3.皆さんどうなさっているんでしょうか?


(1)調停手続きの途中の段階で詳しく整理することになるパターンが多い

 実際上、私が担当している事件を見ますと、当初の段階から詳しく時系列を整理しきれているというケースは稀で、調停手続きの途中の段階で詳しく整理することになるパターンが多いです。

 そもそも、調停委員も、調停の限られた話し合いの時間の中で結婚してから別居するまでの夫婦間のやり取りを「広く浅く」知りたがるかというと、どうして別居することになったのかどうして離婚したいのか、その引き金になった事情やそのように思い立つに至った重要な出来事の方に関心を持つことが多いです。

 残念ながら調停では、夫婦の言い分が大きく食い違うケースが多いです。そして、あまりにモラハラ夫側が「離婚されるような経緯に思い当たる節がない」と強く主張する場合に、こちらの方で離婚に至る経緯等を詳しく整理することになるというパターンが多いです(その段階になって、時系列を正式に整理するということ)。

 

(2)初回の相談時は?

 弁護士に初回相談をする際に、離婚の理由を詳細にまとめてきてくださる方もいますが、全体的には「ごく少数」というイメージです。

 このように初回相談の時から長文の出来事をまとめてきて下さるケースですと、残念ですが、「広く浅く」なってしまっていて、(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が欠けてしまっていることの方が多いです。

 そのようなこともあって、私の方からは「初回相談にあたって、特に私の方から準備をお願いすることはありません」とお伝えすることも多いです。

 もちろん、既にあなたの手元に資料などがあって、「ぜひその内容を見て欲しい」という事情があれば、それはお持ちいただきたいのですが(よくあるのは、このモラハラ夫の言い方はきついと思うのですが、実際に録音を聞いてみて欲しい、ということで、録音をお持ちになる方もいます)、事前にあまり詳しい準備をする必要はありません。

 

 

4.まとめ


・過去の経緯に関しては、まずは直近の出来事を詳しく思い出すことが重要である。

・過去の経緯を思い出すにあたっては、「広く浅く」よりも(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が大切である。

・証拠(LINEやメール、写真)を元に思い出すと正確な時期などを思い出せることが多い。

・最終的には時系列化する必要があるが、調停の途中段階で必要になるといったケースが多い。

・少なくとも初回相談の時に詳しく整理している方はごく少数である。

 

 

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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑰】皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?

2025.02.24更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?


(1)皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?

 私が担当した事件の印象としましては、慰謝料を請求していない方の方が多少多い印象です。ただ、慰謝料を請求している方がすごく少ないのかと言いますと、「そこまで少なくはない」という印象です。

 詳しくは後述しますが、少なくとも調停段階では、ご依頼者様が慰謝料を請求しておきたいと考えているようであれば、慰謝料は請求するようにしています。

 

(2)調停申立ての段階で思い悩むことが多い

 慰謝料を請求するかどうかという点は、実際には離婚調停を起こす際に思い悩むことが多いです。

 なぜなら、離婚調停申立書という申請書に、慰謝料を請求するかどうかのチェック欄が設けられていますので、申請の段階で、慰謝料を請求するかどうかを決断しなければならないからです。

 

(3)慰謝料を請求しない方がおっしゃっていること

 私の方から慰謝料を請求しますか?と尋ねると、はっきりと「請求しない」とおっしゃる方も多いです。そのような方がよくおっしゃるのが「夫は自分が絶対正しいと思っているので、慰謝料を請求しても反発してくるだけだと思います」とか「どちらかと言うと、私は財産分与さえしっかりもらえれば、早めに離婚したいので、慰謝料の話をして話を長引かせたくないです」といったお話です。

 

(4)慰謝料を請求する方がおっしゃっていること

 逆に、慰謝料を積極的に請求したい、という方もいます。

 そのような方がおっしゃるのは「これだけのことをされて何もなしというのは納得できません」とか「最初から慰謝料を請求しないと相手になめられそうなので、一旦は慰謝料を請求して下さい」といったお話です。

 

(5)どのような点を考慮して請求するかどうかを決めるのか?

 実際に調停を申し立てる際に、慰謝料を請求するかどうかは、以下のような点を考慮して決定することが多いです。

 ・早めに離婚したいかどうか

 ・モラハラ夫が反発するリスクをどう捉えるか

 ・あなた自身の心情的な問題

 ・最初から一切ナシとすることへの抵抗感

 ・調停委員から見た印象

 ・今後の裁判での見込み

それぞれ詳しく解説していきます。

 

ア)【考慮要素①】早めに離婚したいかどうか

 「早めに離婚したいですか?」と質問された場合、ほとんどの人が「早めに離婚したいです」と回答すると思います。ここで問題となるのは「慰謝料を諦めてでも早く離婚したいですか?」という問題です。

 確かに、あなたがこれまでにされたことを全て振り返ると、とても許せないということかもしれませんが、そのことを考慮しても「早く終わらせたいのか?」ということをお考えいただくようにしています。

 

イ)【考慮要素②】モラハラ夫が反発するリスクの評価

 基本的にモラハラ夫は自分がこれまでしてきたことは「全て正しい」と考えていることが多いです。

 そのため、慰謝料を請求すると「俺がそんなに悪いことをしたって言うのかよ」と強く反発してくることが多いのは事実です。

 ただ、このように反発してくる場合の、具体的なモラハラ夫側の行動の内容に応じて、リスクの大きさを検討することもあります。

 要するに、慰謝料と言うことに反発して、夫側が調停の手続きを完全にボイコットしてしまうとか、長文の反論文章が提出されて、手続きがあまりにも長期化しそうだというような場合には、慰謝料請求にはかなりの覚悟を持った方が良い気がします。

 他方、調停の席で、夫側が反発してくるだろうが、そこまで極端なものではない、という場合には、慰謝料請求の余地があるかもしれません。

 

ウ)【考慮要素③】あなた自身の心情的な問題

 要するに「どうしても許せない」という気持ちがどの程度あるのか、という問題です。

 法律上、モラハラ夫に謝罪を要求するということは難しいので、モラハラに対して何か言うとなると「慰謝料請求という方法しかない」というのが実情ではあります。

 そのため、夫のモラハラに対して「何も罰がないというのはおかしい」という場合には、慰謝料を請求すべきということになります。

 

エ)【考慮要素④】最初から一切ナシとすることへの抵抗感

 調停申立書は、調停を申し立てる際の申請書であると同時に、調停の手続きをしている中で、調停委員が議論の柱を再確認書類でもあります。

 そのため、調停申立書において慰謝料の欄に一切チェックをしておかないと、後から慰謝料を請求しても、調停委員から「本気度」を疑われるといったリスクがあります。

 そのため、「ひとまず慰謝料を書いておくだけはしておく」ということで調停申立書の慰謝料欄にはチェックを入れるということもあります。

 

オ)【考慮要素⑤】調停委員から見た印象

 調停委員は、全体的に、慰謝料の話題は避けたがることが多いです。

 なぜなのかと言いますと、調停は、お互いが一定の譲歩をして解決を導く制度です。これに対して、慰謝料は、どちらか一方が「悪い」と認定した上で、お金を払わせるものですので、「お互いの譲歩」という考えと相いれない面があるのです。

 調停委員を味方につけるという発想から、最初から慰謝料は請求しない、とおっしゃる方もいます。

 

カ)【考慮要素⑥】裁判の実情

 後述のように、残念ながら、離婚裁判ですとモラハラのみを理由とする慰謝料は認められないことの方が多いです。

 そのため、最初から慰謝料を請求しない、という方もいます。

 

(6)請求する場合、いくらと書くか?

 離婚調停の場合、調停申立書の書式の中に「相当額」という印刷文字が入っていますので、申立段階では「相当額」にチェックを入れて、具体的な金額を入れないことが多いかと思います。

 あまり高額を記載すると、相手が強く反発してくるでしょうし、あまり少額を書くと相手が変に安心するという心配もありますので、このように書くことが多いと思います。

 

 

3.裁判での実状


 モラハラよりも悪化して、暴力に及ぶケースなどでは、離婚裁判でも慰謝料が認められることはありますが、モラハラだけを理由とした場合、残念ながら、慰謝料請求は認められないことの方が多いです。

 

 

4.まとめ


・私が担当したケースだと、慰謝料を請求しない方の方が多い印象である。

・慰謝料を請求するかどうかは以下のような要素を考慮して決定する。

 ①早めに離婚したいかどうか

 ②モラハラ夫が反発するリスクをどう捉えるか

 ③あなた自身の心情的な問題

 ④最初から一切ナシとすることへの抵抗感

 ⑤調停委員から見た印象

 ⑥今後の裁判での見込み

・仮に慰謝料を請求する場合、調停の申立て所の「相当額」にチェックを入れることが多い。

・仮に裁判になった場合、モラハラのみを理由とした慰謝料請求は認められにくい。

 

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東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
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・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑯】皆さん別居直後の心境はどのような感じなのでしょうか?

2025.02.17更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さん別居直後の心境はどのような感じなのでしょうか?


 私が実際に担当したケースですと、やはり、別居直後は不安にお感じになっている方が多いです。一番のご不安は、別居先がモラハラ夫にバレてしまうのではないか、モラハラ夫がこっちに押し掛けてきてしまうのではないか、という不安になります。

 ただ、不安ばかりなのかと言いますと、「夫と一緒に生活していた際には、夫が帰宅時にドアを開けるだけで緊張感が走っていたが、今は、そのように緊張することも少なくなった」とか「同居中は、いつも夫にお伺いを立てながら生活していたが、その必要がなくなった」など負担の軽減を口になさる方も多いです。

 

 

3.お子さんの方が先に別居先の環境に馴染むケースも多い


 あなた自身のご不安もあるでしょうが、お子さんが別居先の環境に馴染めるのか、ということについても同様に不安かと思います。

 ただ、実際には、「新しい小学校にも早く馴染んでくれて、安心した」とか「数回保育園に行きたがらないことがあったが、慣れてしまうと、逆に『あまり早く迎えに来ないで』と言われてしまった」と言ったお話を聞くことも多いです。

 そのため、奥様の方からは「むしろ子供の方が私よりも新しい環境に慣れてしまって、驚いています」といったお話をお聞きすることも多いです。

 

 

4.皆さん別居直後の不安をどのように軽減しているのか?


 前述のように、別居直後は不安を抱えながら生活するという方が多いのですが、そのような中で不安をどのように軽減しているのかについて解説します。

 

(1)【不安軽減策①】実家に避難する

 モラハラ夫も、あなたの実家には頭が上がらないとか、目上の人間に対しては強く出ることができない、というような場合には、実家に避難することで、モラハラ夫が急に来てしまうことを防止するということもあります。

 特にお子様がいるような場合には、ご実家にも育児の一部を分担してもらうというメリットを述べられる方も多いです。

 

(2)【不安軽減策②】モラハラ夫が全く知らない新天地を別居先にする

 前述とは、逆で、元の自宅が実家と近い場合や、実家だろうとこちらの居場所が分かっているとモラハラ夫が来てしまいそうだというような場合には、モラハラ夫が全く知らない新天地を別居先にする場合もあります。

 夫もさすがに見当もつかないだろうということで、安心感を得られることもあります。

 

(3)【不安軽減策③】事前に警察に相談しておいて、何かあったときにはすぐ来てもらえるようにしておく

 夫がこちらの居場所を探し回りそうだとか、万が一来てしまった時にすぐに警察に来てもらえるようにしておいた方が良いというような場合には、別居前に、警察に相談しておくこともあります。

 事前に事情が分かっていると、警察にもすぐ臨場してもらえるので安心です。

 

(4)【不安軽減策④】区役所に継続して相談する

 最近では、区役所内で、女性被害のことを相談できる部署が配置されています。

 そのため、何か困ったことがあった際に気軽に相談できる場所として、予め区役所に相談しておくという方もいます。

 

(5)【不安軽減策⑤】信頼できる弁護士を雇う

 前述のように、別居直後は、モラハラ夫が来てしまうのではないかという不安を感じる方も多いので、別居と同時に弁護士に間に入ってもらうことを希望する方もいます。

 このようにすると、弁護士をモラハラ夫との交渉窓口にすることができますので、あなたが直接モラハラ夫と話をする必要がなくなります。

 

 

5.まとめ


・別居直後は不安もあるが、モラハラ夫と一緒に生活しなくて良いという「安心」を口にする方も多い。

・お子様の方が別居先の生活に馴染んでしまうということも多い。

・別居直後の不安軽減策としては以下のようなものがある。

 ①実家に避難する

 ②全くの新天地を別居先にする

 ③早めに警察に相談しておく

 ④区役所に相談しておく

 ⑤信頼できる弁護士を雇う

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑮】夫は、こちらの主張する離婚理由をどこまで理解するのでしょうか?

2025.02.03更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.できれば「謝罪して欲しい」というのが本心


 私のところに相談にいらっしゃる方の中にも、「同居中これだけのことをされたので、せめて最後に一言謝って欲しい」とおっしゃる方も多いです。

 モラハラの被害は長期にわたることも多いので、このように謝罪を希望するのも、当然の発想だと思います。

 ただ、法律上、相手に謝罪を要求できるのかと言いますと、厳密には、謝罪を要求することはできません。名誉棄損のように外部に向けてあなたの社会的地位を貶めるような言動をした場合(例えば、SNSなどであなたの名誉を害するような投稿などをした場合とか)は、法律上謝罪を求める権利が与えられることもあるのですが、そうでない場合、法律で明確に謝罪を要求する権利を定める規定はないのです。

 そのため、私の方からも「お気持ちは痛いほどよく分かりますが、相手に謝罪させる法律上の根拠がないので難しいんです」とご説明しています。

 

 

3.謝罪が無理でも、少しでもこちらの気持ちを理解してもらえないものか?


 前述のように謝罪が難しいとしても、少しでもこちらの気持ち・苦しみを理解して欲しいとおっしゃる方は多いです。

 特に、調停などが進んでいくと、こちらの方からモラハラ被害の全容を書面でまとめたり、または、何度か調停委員に対してモラハラ被害の状況を伝えていますので、「流石にこれだけ伝えれば、相手も理解はするだろう」と感じるのです。

 しかし、残念ながら、モラハラ夫の反応は、以下のように、とてもこちらの苦しみを理解しているとは思えない反応のことが多いです。

 ・言い合いの中でそのような発言をしてしまったことはあるが、言い合いの中でのことなのでお互い様である。

 ・妻は私のことが怖かったとか言っているが、実際には一緒に出掛けて楽しく過ごしていることの方が多かった。

 ・多少怒ってしまったことはあるが、原因があってのことなので、原因を作った妻の方が悪い。

 ・妻があまりに家事が苦手なので、注意はしたが、そんなキツイ言い方はしていない。

 ・妻が何度言っても基本的な家事すらもできないので、キツイ言い方をしないと改善しないと思ったので仕方がないことである。

 ・(ひどいケースだと)妻の言い分は全て言いがかりで、どうしてこんなことを言われないといけないのか分からない。

 ・(ひどいケースだと)妻は以前から記憶がすり替わったりすることもあったので、今の妻の言い分もすり替わりの結果である。

 

 

4.証拠を突き付けた時の反応は?


 例え、こちらからこのようなモラハラ被害を受けたと主張したとしても、モラハラの証拠がなければ、前述のように、モラハラ夫は、否定したり、お互い様と述べてくるとしても、証拠があった場合はどうなのでしょうか。

 証拠を提出した場合には、さすがにモラハラ夫も言い逃れができないとして、認める人もいますが、証拠があっても認めない人もいます。

 モラハラ夫がどのように言い逃れしてくるのかと言いますと、①俺ははめられた、録音には私だけがひどいことを言っているように記録されているが、その前に妻が散々挑発したからこうなったんだ、②妻は怪我をさせられたと言っているが、写真だけだと転んだ傷かもしれないし、私が暴力をふるった証拠にはならないといったことを言ってくる人もいるのです。

 

 

5.結局は早めに縁を切った方が良いという結論に至ることが多い


 前述のように、モラハラの証拠を突き付けても、モラハラ夫はモラハラを否定してくることさえあります。

 そのため、モラハラ夫に「モラハラを認めさせる」ということにこだわりますと、そのことだけで解決に時間がかかってしまうということも多いです。

 結局は、「モラハラ夫が理解することに期待はできないから、早く縁を切った方が良いかもしれませんね」とアドバイスさせて頂くことが非常に多いのが実情です。

 

 

6.まとめ


・法律上モラハラ夫に謝罪を要求することは難しい

・モラハラ夫が自身のモラハラを認めることは珍しい。

・モラハラの証拠を突き付けても、モラハラを否定するモラハラ夫もいる。

・結局は、早めに縁を切った方が良いという結論に至ることが多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑭】Xデーまでの過ごし方

2025.01.27更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.Xデーまでの過ごし方


 Xデーつまり別居開始日までの過ごし方は、①別居についてモラハラ夫との合意を得ている場合と、②モラハラ夫に伝えず、もしくは、一度は反対された状態で別居する場合とで異なりますので、場合分けした上で解説していきます。

 なお、モラハラ夫のモラハラ等がひどい場合には、事前に何も伝えずに別居を始めることもやむを得ないとは思いますが、そうでない場合には、極力事前に夫側に話をすることを私は推奨しています。

 

 

3.【Xデーまでの過ごし方①】別居についてモラハラ夫側の同意を得ている場合


(1)モラハラ夫の気分が変わらないような配慮

 モラハラ夫は、意見が変わることも多いため、そのようにならない配慮が必要になることが多いです。

 具体的には、別居開始を早めることが可能なのでしたら、モラハラ夫の気が変わる前に別居を開始できると安心です。

 お子様の都合などで、別居開始を早めることが難しいという場合、モラハラ夫が意見を変えないよう必要以上に刺激しないよう注意する方が良いです。

 

(2)モラハラ夫の両親など説得してもらえる体制を確保しておく

 前述のように、モラハラ夫は、一度は別居に同意しても、時間が経つと意見を変えてくるリスクがあります。

 そのため、もし意見が変わっても、モラハラ夫の両親から説得してもらえるように予め準備しておくなどすると安心です。

 説得してくれる適任者がいないという場合には、この準備は難しいのですが、モラハラ夫の両親だけではなく、モラハラ夫の先輩や上司など、説得してくれそうな人物がいる場合には、予め話をしておくと安心です(ただ、モラハラ夫に事前に話をせずに先輩や上司に話をすると、余計にモラハラ夫が怒り始めることも多いので、進め方には慎重に留意してください)

 

(3)お子様への説明

 別居についてモラハラ夫の了解を得られている場合、お子様への説明についても、夫側と調整して話ができることが多いと思います。

 例えば、あなたの実家に別居するという場合には「おばあちゃんの体調があまり良くないから、一緒におばあちゃんを元気づけに行こうね」とか、夫側が一時自宅を離れるパターンの別居の場合「パパは暫くお仕事でおうちには帰れないからね」とかの説明をすることになります。

 

 

4.【Xデーまでの過ごし方②】別居についてモラハラ夫側の同意を得ていない場合


 「別居についてモラハラ夫側の同意を得ていない場合」というのは、そもそも別居のことを一言も伝えていないケースと、一旦別居の話をしたがモラハラ夫側から断られ、しばらくした後に再度話をせずに別居を実行するケースとがあります。

 

(1)絶対にこちらの動きを察知されないこと

 Xデーまでの過ごし方の中で一番重要になるのが、別居の準備をしていることを夫側に察知されないようにすることです。これを察知されてしまうと、別居を妨害されたり、別居準備を進めていることを厳しく批難されることになりかねません。

 私が担当したケースでも、別居準備中に夫側に察知されてしまい、なかなか別居できなかったというケースもありますので、細心の注意が必要です。

 夫側に別居準備のことを知られてしまった原因としては、①夫が奥様の携帯電話をこっそり盗み見ており、その中で発覚してしまったケース、②別居準備のために子どもの小学校転校の話等を現在の通学先小学校に相談していたところ、夫側が小学校に問い合わせて発覚したケース、③区役所に児童手当や保険切替の相談をしていたところ、夫側が区役所に問い合わせて発覚したケース等があります。

 別居準備中は別居先住所等の情報は最大限外部に知られないようにし、自身の携帯電話等も夫が勝手に見られないようにする等の注意を払って準備を進めていく必要があります。

 

(2)親族・友人等の支援体制を整えること

 別居後にモラハラ夫が、あなたの両親等の親族や親しい友人等に執拗に連絡を取るというケースもあります。

 そのため、少なくとも夫側が連絡をしそうな先については予め別居のことを話しておいた方が良いケースが多いです。合わせて、ご自身の状況等を相談できるようであれば相談すると心強いかと思います。

 このように支援の輪が広ければ心強いとは思いますが、情報が拡散し過ぎますと、どこかで夫側が別居先の情報等を察知してしまう危険性が増して行くことになりますので、支援の依頼先の範囲については慎重な検討が必要です。

 

(3)お子様への説明

 お子様のご年齢にもよりますが、お子様に別居のことを伝えると、お子様がモラハラ夫にそのことを話してしまうリスクがあります。

 そのようなリスクが高い場合には、別居直前までお子様には伝えられないというケースもあります。

 他方で、お子様自身がモラハラ夫と早く別居したいと考えているような場合には、お子様を安心させるために、多少早めに別居のことを伝えてしまうケースもあります。

 いずれにせよ、モラハラ夫側にこちらの別居計画が知られないように慎重にタイミングや伝え方を検討する必要があります。

 

(4)別居時の持ち物リスト

別居の際には持ち出し漏れ等がないよう、以下の関連記事を参照の上、荷物の整理をしてみて下さい。

関連記事>>「ついに別居を決意!これだけは持って出よう!」
 なお、モラハラ夫名義の財産としてどのような財産があるか全く分からない状況で別居を始めてしまいますと、離婚の際に十分な財産分与を貰えなくなってしまうというケースもありますので、別居前に、ある程度夫側の財産がどこにあるのかは把握しておく必要があります。

これはDVのケースですが、別居後程なくして旦那が奥様やお子様の荷物の大半を勝手に捨ててしまったというケースもありますので、ご留意下さい。

 

 

(5)置き手紙の活用

 別居の際には、自宅に置き手紙を残すことを私は推奨しています。古典的ですが、あなたが事故や事件に巻き込まれたわけではないことを伝えておく必要がありますし、執拗に居場所を探されないようする必要があるからです。

 置き手紙の内容は、旦那と一緒にやっていくことができないと考えたので別居を決断したこと、元気にしているので探さないで欲しい、といったことを簡単に記載しておけば構いません。

 私の依頼者の方からは「LINEやメールで伝えるのではダメですか?」と質問されることが多いのですが、置き手紙の方が無難なことが多いです。といいますのは、LINEやメールで伝えると、夫側に対して「LINEやメールが連絡手段として生きている」と伝えるようなものなので、その後、夫側からしつこくLINEやメールが来る危険性が増すからです。

 

 

5.まとめ


・Xデー(別居開始日)までの過ごし方は、事前に夫の同意を得ているかそうでないかで異なる。

・事前にモラハラ夫の同意を得ている場合の過ごし方

  • モラハラ夫の気が変わらないように、可能な限り早く別居をスタートしてしまう
  • もしモラハラ夫の気が変わっても説得してくれる人に事情を話しておく
  • お子様への説明方法などを夫と相談して決める

・事前にモラハラ夫の同意を得ていない場合の過ごし方

  • モラハラ夫に別居計画が知られないように注意する
  • 親族や友人の支援体制を整えておく
  • お子様への説明のタイミングや説明方法を慎重に検討する
  • 慎重に持ち出す荷物の準備も進めておく
  • 置手紙の準備をしておく

 

 

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

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>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑬】皆さんXデーはいつ頃に設定しているのでしょうか?

2025.01.13更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.皆さんXデー(別居開始日)をいつ頃に設定しているのでしょうか?


 私のところにご相談に来られる方を見ておりますと、Xデー(ここでは「モラハラ夫に別居などを切り出す日付」ではなく「別居開始日」という意味でXデーという言葉を使っています)について、大きく分けると2パターンがあります。

 一つ目は、既におおよそのXデーを決めてしまっているパターンがあります。

もう一つは、状況等に応じて決めるので、現時点ではいつになるのか定かではないというパターンです。

それぞれについて詳しく解説していきます。

 

 

3.【パターン①】既におおよそのXデーを決めてしまっているパターン


 このパターンは、すでに私のところに相談に来る前に別居先も確保し、ほとんど準備が整っているという場合か、まだそこまで準備が整ってはいないものの、子どもの都合を考慮して既にXデーの目星をつけているパターンとがあります。

(1)ほとんど準備が整っているという場合

 既にほとんど準備が整っていますので、あとは準備の詰めをすればいつでも家を出られるというパターンです。

 この場合は、私に相談に来られてから、2週間とか1か月とか、あまり間を置かずにXデーが設定されていることが多いです。

 

(2)子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけている場合

 子供の都合を考慮して目星をつけている場合というのは、あと3か月もすれば、子どもが夏休みに入って動きやすくなるので、そのタイミングで別居を考えているとか、年度の途中で転校するよりは、年度の切り替えのタイミングで別居した方が良いということで、3月下旬とかに別居すると決めているようなパターンが多いです。

 あとは、今あなたが働いているパート先の都合や別居先でのパート先候補の都合などで、既に何か月後に別居を始めることを決めているというパターンもあります。

 

(3)実際には「ほとんど準備が整っているケース」と「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」のどちらの方が多いのか?

 私のところにご相談に来られる方は、「子供の都合などを考慮してXデーの目星をつけているケース」の方が多い印象です。

 と言いますのは、別居の準備にあたって私のところにご相談に来られる方は、これからの別居の準備にあたって不安や疑問を抱えている方が多く、しっかりと準備した上で別居を始めたいという方が多いからです。

 そのため、夏休みとか進級など、数か月間を空けて、十分な準備期間を確保しているという方が多いのです。

 

 

4.【パターン②】具体的目処を立てていないケース


 このケースで最も多いのは、「一旦モラハラ夫に直接話をしてみるので、その様子によっていつ頃になるのかがまだ見通せない」というパターンです。

モラハラ夫が完全に納得することはないだろうけれども、ある程度は納得させてから別居したいという場合などでは、何度か話し合いをしなければならないので、いつ頃になるのかが見通せないということです。

 あとは、財産分与も考慮した場合、夫側の財産の所在がまだ十分に分かっていないため、その確認などに一定の期間を要するということで、特に目処を設けずに準備するというパターンもあります。

 

 

5.弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しい。


 あなたとしては、モラハラ夫との別居を決意したのですから、あまり期間を置かずに家を出たいと考えると思います。

 ただ、一度別居してしまいますと、あなたの私物を取りに戻ろうとしても、妨害されてしまうということもありますし、モラハラの証拠を自宅に置いて出てしまいますと、取りに戻ることも難しいケースもあります。

 そのため、「早く別居したい」というお気持ちは分かりますが、「一度家を出てしまいますと、また戻って自宅内を確認するということは難しいので、慎重に準備しましょう」とお話させて頂くことが多いです。

 

 

6.まとめ


・Xデー(別居開始日)については、予め目処を立てている場合と目処を立てていない場合とがある。

・目処を立てている場合とは、既に予め準備がほぼ整っているとか、お子様の都合などで目星をつけている場合などが主なケースである。

・目処を立てていない場合とは、モラハラ夫側と話をしてみるので、その話の行く末によって状況が変わるかもしれないというのが主なケースである。

・弁護士としては、あまり焦ってXデーを決めないで欲しいという話をすることが多い。

 

 

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