不倫誓約書にサインしろと言われた-誓約者側の3つのチェックポイント(不倫相手側)
2018.04.03更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「本当に役に立つ詳しいブログ解説」を目指して解説していきます。
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1.突如不倫相手の奥様(旦那様)から連絡が来た
相手が既婚者であると知りつつも性的関係を持ってしまった。その後も既婚者側のコンタクトが頻繁であることもあって、性的関係が継続してしまった。
その後、不倫相手から連絡があればまだ良い方ですが、不倫相手の配偶者から突如連絡が来ることもあります。配偶者からしますと、不倫の被害者として感情的になっていることも多く、あなたに対して激しく責任追及してくることもあります。
感情的なやり取りはともかくとして、「今後二度と旦那(家内)に会わないでくれ」ということで「不倫誓約書にサインしろ」と言われることもあります。その様な場合に、どのような点に注意すればよいのか、以下解説いたします。
2.【チェックポイント1】まずは不倫誓約書にキチンと目を通すこと
不倫誓約書には署名押印しなければならないのですから「キチンと目を通すこと」というのは当たり前のことのように思えます。
しかし、不倫が発覚して相手から毎日のように厳しい追及を受けている場合、冷静に不倫誓約書を見て書いてあることを読み込むと言うことは、簡単に見えて簡単なことではありません。
特に、相手が要求してくる慰謝料の金額が高額ではない場合、「細かい条件でもめるよりも、早く解決してしまいたい」と考えて、詳しく確認せずにサインしてしまうリスクもあります。しかし、一度不倫誓約書にサインしてしまいますと、基本的には誓約書に書かれた内容で効力が発生してしまいますので、慎重に検討しなければなりません。
そのため、誓約書をその場で確認するのではなく、極力自宅に持ち帰った上でじっくりと検討した方が良いと思います。
3.不倫誓約書に署名押印すると、基本的には書いてある通りの効力が発生してしまう
たまに、不倫誓約書にサインしても、第三者の立会がないと効力が生じないだとか、公正証書にしないと正式な効力はない等誤解されている方もいらっしゃいます。
しかし、不倫誓約書にご自身で署名押印してしまった場合、立会や公正証書が全くなくとも、基本的には誓約書に書いてある通りの効力が発生してしまいます。
そのため、不倫誓約書に書いてあることはキチンと守らなければならないし、重要な約束なのであるという自覚を持ってサインしなければなりません。
4.【チェックポイント2】まずは慰謝料の金額と支払い方法の検討
不倫誓約書には一般的にどのような記載があるのかと言う点は後述しますが、最優先で確認しなければいけないのは、今回相手に払わなければいけない慰謝料の金額と支払い方法だと思います。
インターネットの情報などを見ておりますと200万円だとか300万円だと言った数字が踊っていますが、慰謝料の金額は、不倫の経緯や態様、ご夫婦の仲など様々な要素を考慮して決定されますので、あなたのケースで、その数字が絶対と言うことはありません。
まずは、あなたが納得できる金額がいくらなのかをじっくりと考えてみて下さい。その際には、怒っている相手を納得させられる金額なのかという点も考慮する必要がありますが、相手のことばかりに引っ張られすぎないよう注意して下さい。
次に検討すべきなのは、支払い方法になります。一括で支払い可能であれば、一括で払ってしまった方が問題の早期解決になりますが、まとまったお金を準備することが難しいという場合には、分割払いを提案せざるを得ないこともあります。その場合には、何回払いであれば対応できるのか検討する必要があります。
ちなみに、今回は慰謝料の支払がないという場合でも、「次に会ったら○○万円」というペナルティが課されている場合もあります。例え今回支払わなくても良いという場合でも、ペナルティの金額が高すぎるという場合には、慎重な検討が必要な場合もあり得ると思います。
5.【チェックポイント3】不倫誓約書の各記載に対する検討
実は不倫誓約書にも、行政書士が作成したもの(行政書士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)と弁護士が作成したもの(弁護士のホームページでひな型などで載せられているものを含みます)とで書いてある内容がそれなりに色分けされます。
ただ、相手がインターネットの情報をつぎはぎして作成している場合もありますので、以下では(行政書士型のひな型、弁護士型のひな型を問わず)不倫誓約書によく記載のある事項を中心にご説明していきます。
(1)謝罪の条項
読んで字のごとく、不倫をしていたことに対して謝罪する旨の条項になります。なお、謝罪の条項については、以下のような点も記載されることがありますので、誤った記載がないかよくご検討下さい。
・不倫期間(「平成○年○月~平成○年○月まで不倫していた」と言った記述)
・不倫相手と知り合った経緯(「職場で知り合った○○さんと不倫していた」と言った記述)
・不倫回数(「○回もの不倫行為に及び」と言った記述)
(2)慰謝料の条項
前述の通り、支払額、支払い方法について慎重に検討する必要があります。
(3)誓約条項
不倫相手と連絡を取らないという誓約をさせる文言は通常記載されます。
問題は、それ以上に、不倫相手と知り合ったきっかけとの関係で、どこまで行動の制限がかかるのかという点です。
不倫のきっかけが、かつての大学時代の同級生、大学のサークル仲間等でしたら、それほど身近な接点がある訳ではないので、誓約条項も限られることが多いです。
他方、不倫関係は割と身近な接点を原因としていることも多くあります。例えば職場、子供の通う保育園や学校、子供が通う習い事等をきっかけに知り合ったというケースもありますし、不倫相手が近隣に住んでいるというケース等です。
このような場合、旦那様の生活圏に不倫相手の生活や仕事があるため、接点を持たないようにするため、どこまで行動の制限をかけるのかという問題が生じるのです。
この点は具体的な事例に応じて対応が大きく異なってくるところでもありますので、誓約事項をキチンと確認し、自分の行動にとってあまりに拘束が強くなり過ぎないように注意する必要があると思います。
(4)違反の場合のペナルティ条項
特に行政書士が作成する誓約書に多いのですが、「不倫相手と連絡を取り合った場合1回につき○○万円」といった形で条項化されることが多いです。
このような条項が法律的に有効かというと、無制限に有効とは思えませんが、このような約束をしているということは今後不倫が再開した場合に考慮されると思います。
極端な話ですが「連絡を取り合った場合1回につき1000万円」という約束をしていても、高額すぎるため、このような約束には法律的効力はないと思います。
ただ、実際に不倫が発覚してしまうと、当然奥様からは約束の1000万円を要求されることになりますし、あなたに対する責任追及が非常に強まることは間違いありませんので、安易に高額な慰謝料を約束しないよう注意が必要です。
(5)信用毀損や名誉毀損禁止の条項
前述のように一定の行動制限にかかる誓約条項は別途置かれるのですが、前述の誓約条項とは別に、相手の信用や名誉を毀損する行動を禁止する旨の条項が置かれることも多くあります。特に、インターネットが普及した昨今、一方的に情報を不特定多数人に伝達することは比較的容易ですので、SNS等を通じての誹謗中傷等を禁止すべく、このような条項が置かれるのです。
このような条項が置かれるのは至極当然のことですので、あまり問題視することは少ないと思われます。
(6)口外禁止の条項
不倫の事実を口外すれば通常は、相手にとっての名誉を毀損する行為に該当します。
ただ、不倫相手が著名人であるような場合、公共性の観点から、不倫事実の公表が世間として許容されるというケースも有り得なくはありません。また、そうでなくとも、誹謗中傷に当たらない範囲でも身近な人に触れ回られることを禁止したいと思うのは当然のことでしょう。
このような条項が置かれるのは至極当然のことですので、あまり問題視することは少ないと思われます。
6.まとめ
・不倫誓約書にはきちんと隅々まで目を通してからサインする。
・慰謝料の金額と支払い方法について重点的に確認する。
・不倫誓約書には色々な記載があるので細かなチェックポイントがある。
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